(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】シート処理装置、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20240910BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240910BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20240910BHJP
B65H 47/00 20060101ALI20240910BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240910BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H37/04 Z
B65H41/00 B
B65H47/00 Z
B41J11/42
B41J29/00 H
(21)【出願番号】P 2020104445
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼航
(72)【発明者】
【氏名】古橋朋裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋航
(72)【発明者】
【氏名】浅野翔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木義人
(72)【発明者】
【氏名】門馬真也
(72)【発明者】
【氏名】秋山城治
(72)【発明者】
【氏名】原口陽介
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068115(JP,A)
【文献】特開2021-046300(JP,A)
【文献】特開2017-132559(JP,A)
【文献】特開平09-150456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/02
B65H 37/04
B65H 41/00
B65H 47/00
B41J 11/42
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、
前記2枚重ねシートの剥離動作を行う剥離機構と、
装置本体への処理命令を受け付ける命令入力手段とを備え、
前記処理命令に応じた処理動作と並行して、前記剥離動作も実施可能であるシート処理装置において、
搬送路上に前記2枚重ねシートがあるか検出するシート検出手段を備え、
前記シート検出手段の検出結果に基づいて、前記剥離動作を実施すること、
シート情報として、前記剥離動作を実施したこと、及び剥離した前記2枚重ねシートのサイズを記憶する記憶手段を備え、
前記シート情報に基づいて、シート処理を制御すること、
前記シート検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記シート情報に基づいて、シート処理を制御すること、及び
前記記憶手段に、直前の電源切断時に前記剥離動作を実施したことが記憶されており、かつ、前記シート検出手段が前記2枚重ねシートを検出した場合、
前記剥離動作をキャンセルすることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、
前記2枚重ねシートの剥離動作を行う剥離機構と、
装置本体への処理命令を受け付ける命令入力手段とを備え、
前記処理命令に応じた処理動作と並行して、前記剥離動作も実施可能であるシート処理装置において、
前記剥離機構は、回転部材と、前記2枚重ねシートを前記回転部材に搬送する搬送手段とを有し、
前記2枚重ねシートを前記回転部材に巻き付けることで、前記2枚重ねシートのそれぞれのシート間に巻き付け周長差を生じさせ、前記2枚重ねシートを剥離することを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
前記処理命令は、前記装置本体の電源切断命令であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
搬送路上に前記2枚重ねシートがあるか検出するシート検出手段を備え、
前記シート検出手段の検出結果に基づいて、前記剥離動作を実施することを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
シート情報として、前記剥離動作を実施したこと、及び剥離した前記2枚重ねシートのサイズを記憶する記憶手段を備え、
前記シート情報に基づいて、シート処理を制御することを特徴とする請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記シート状媒体のサイズ入力を受け付ける表示操作手段を備え、
前記シート状媒体のサイズと、前記記憶手段に記憶された前記2枚重ねシートのサイズに基づいて、シート処理を制御することを特徴とする請求項1又は5に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記シート状媒体のサイズと、前記2枚重ねシートのサイズに基づいて、前記2枚重ねシートへ前記シート状媒体を挟み込む挿入動作をキャンセルすることを特徴とする請求項6に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記シート検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記シート情報に基づいて、シート処理を制御することを特徴とする請求項
1に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記記憶手段に、直前の電源切断時に前記剥離動作を実施したことが記憶されており、かつ、前記シート検出手段が前記2枚重ねシートを検出した場合、
前記剥離動作をキャンセルすることを特徴とする請求項
1に記載のシート処理装置。
【請求項10】
ユーザに知覚信号を発する報知手段を備え、
前記記憶手段に、直前の電源切断時に前記剥離動作を実施したことが記憶されておらず、かつ、前記シート検出手段が前記2枚重ねシートを検出した場合、
前記報知手段により、前記ユーザに確認を促す報知を行うことを特徴とする請求項
1に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記処理命令に応じた処理動作と並行して、前記剥離動作を自動で実施する自動剥離モードと、
前記命令入力手段からの命令に応じて、前記剥離動作を実施する手動剥離モードと、を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート処理装置と、
前記2枚重ねシートを加熱及び加圧可能な熱加圧部材と、を備えることを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項13】
前記処理命令は、前記熱加圧部材の加熱命令であることを特徴とする請求項12に記載のラミネート処理装置。
【請求項14】
画像形成を行う画像形成部と、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート処理装置、又は、請求項12若しくは13に記載のラミネート処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
画像形成装置と、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート処理装置、又は、請求項12若しくは13に記載のラミネート処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項16】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート処理装置、又は、請求項12若しくは13に記載のラミネート処理装置が、画像形成装置に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、前端が接続されているラミネートフィルムを分離解放手段(上部、下部バキューム)で分離し、その後、保護紙葉体を挿入するラミネート装置を開示している。
【0004】
また、特許文献2は、ラミネートシートの厚みに応じて定着ユニット部の動作制御をすることにより、所望のラミネート加工ができる画像形成装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラミネートシートの剥離(分離)を自動で行うラミネート装置は、剥離完了後に中紙を給紙・挿入するため、剥離動作の開始・完了が遅くなると生産性が低下することになる。そして、従来のラミネート装置は、給紙及び加圧の準備が整い、ユーザがボタンなどで開始指示を入力してから剥離動作を開始するため、生産性を向上できないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、剥離動作完了までの待ち時間を削減し、生産性を向上できるシート処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、前記2枚重ねシートの剥離動作を行う剥離機構と、装置本体への処理命令を受け付ける命令入力手段とを備え、前記処理命令に応じた処理動作と並行して、前記剥離動作も実施可能であるシート処理装置において、搬送路上に前記2枚重ねシートがあるか検出するシート検出手段を備え、前記シート検出手段の検出結果に基づいて、前記剥離動作を実施すること、シート情報として、前記剥離動作を実施したこと、及び剥離した前記2枚重ねシートのサイズを記憶する記憶手段を備え、前記シート情報に基づいて、シート処理を制御すること、前記シート検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記シート情報に基づいて、シート処理を制御すること、及び前記記憶手段に、直前の電源切断時に前記剥離動作を実施したことが記憶されており、かつ、前記シート検出手段が前記2枚重ねシートを検出した場合、前記剥離動作をキャンセルすることを特徴とするシート処理装置によって解決される。
上記課題は、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、前記2枚重ねシートの剥離動作を行う剥離機構と、装置本体への処理命令を受け付ける命令入力手段とを備え、前記処理命令に応じた処理動作と並行して、前記剥離動作も実施可能であるシート処理装置において、前記剥離機構は、回転部材と、前記2枚重ねシートを前記回転部材に搬送する搬送手段とを有し、前記2枚重ねシートを前記回転部材に巻き付けることで、前記2枚重ねシートのそれぞれのシート間に巻き付け周長差を生じさせ、前記2枚重ねシートを剥離することを特徴とするシート処理装置によっても解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシート処理装置は、装置本体への処理命令に応じた処理動作と並行して、ラミネートシート(2枚重ねシート)の剥離動作も実施可能とする。したがって、剥離動作完了までの待ち時間を削減でき、生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るラミネート処理装置の全体構成図である。
【
図2】
図1に示したラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
【
図3】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
【
図4】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
【
図5】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
【
図6】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
【
図7】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
【
図8】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
【
図9】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
【
図10】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
【
図11】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その10)である。
【
図12】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その11)である。
【
図13】ラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その12)である。
【
図14】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
【
図15】ラミネート処理装置のブロック図の一例である。
【
図16】操作パネルに表示される、シートサイズと中紙サイズを設定する操作画面の一例である。
【
図17】操作パネルに表示されるエラー画面の一例である。
【
図18】電源OFF時のラミネート処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図19】操作パネルに表示される、剥離動作の実施を選択する操作画面の一例である。
【
図20】電源ONからラミネート処理されたシートの排出までの一連のラミネート処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図21】操作パネルに表示される、剥離動作の自動又は手動実施を選択する操作画面の一例である。
【
図22】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【
図23】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理装置の全体構成図である。本実施形態のラミネート処理装置200は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させ、熱と圧力を加えることでシートSを接着するものである。
【0011】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0012】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0013】
図1に示すように、ラミネート処理装置200は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またラミネート処理装置200は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0014】
またラミネート処理装置200は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113などを備える。さらにそれら下流に、シートSを加熱及び加圧可能な熱加圧部材である熱加圧ローラ120と、熱加圧ローラ120の下流に設けられた排出ローラ121と、排紙トレイ104とを備える。
【0015】
そして、巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離爪116を備える。なお、これら入口ローラ対108、出口ローラ対113、巻付けローラ109、及び剥離爪116などは、シートSを剥離する剥離機構の一例である。
【0016】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられている。また、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられ、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0017】
なお、これら搬送センサC1、C3、C4、C5は、シートS及び/又は中紙Pが搬送路中にあるかを検出するシート検出手段としての役割も有する。
【0018】
また、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0019】
さらにまた、ラミネート処理装置200の外装部には、装置本体の情報表示や、装置本体への処理命令を入力するための命令入力手段である操作パネル10(いわゆるオペレーションパネル)と、電源ON/OFFボタンが設置されている。この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。
【0020】
なお、操作パネル10に替えて、スイッチ/ボタンなどを設け、それらを命令入力手段として用いてもよい。また、報知手段として、ブザーなどを別途設けるとしてもよい。
【0021】
図2は、
図1に示したラミネート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0022】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0023】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(
図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0024】
また、ラミネート処理装置200は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、剥離爪116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0025】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。可動の把持手段110は、ローラ部材111とともにシートSの先端を把持することを特徴とする。この把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体に成形してもよいし、別部品として構成してもよい。
【0026】
続いて、
図1~
図13を用いて、ラミネート処理装置200の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入、そしてラミネート(定着)処理までの動作を説明する。なお、
図3~
図13において、
図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0027】
図1において、シートトレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、ラミネート処理装置200は、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0028】
(剥離動作)
次いで、
図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでラミネート処理装置200は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0029】
続いて
図3に示すように、ラミネート処理装置200は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0030】
次に、
図4に示すように、ラミネート処理装置200は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0031】
続いて、
図5に示すように、ラミネート処理装置200は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0032】
次いで、
図6に示すように、ラミネート処理装置200は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0033】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0034】
ラミネート処理装置200は、シートSに生じた空間に剥離爪116を挿入した状態で(
図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、
図8に示すように、シートSの剥離した空間をシートSの正搬送方向(矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0035】
この状態で、ラミネート処理装置200はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離爪116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0036】
続いて
図9に示すように、ラミネート処理装置200は、シートSの後端の全域を剥離した状態から、今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。すなわち、シートSの剥離された2枚のシートは、剥離爪116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。
【0037】
そして、ラミネート処理装置200はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0038】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。また、シートSの搬送から始まるここまでの一連の動作を「剥離動作」と呼ぶ。
【0039】
(挿入動作)
次いで、
図10に示すように、ラミネート処理装置200は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(
図1参照)から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0040】
続いて、
図11に示すように、ラミネート処理装置200は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。なお、中紙Pの搬送から始まるここまでの一連の動作を「挿入動作」と呼ぶ。
【0041】
(ラミネート処理)
続いて、
図12に示すように、ラミネート処理装置200は、中紙Pを挟持したシートSを熱加圧ローラ120に搬送し、シートS(及び中紙P)を加熱及び加圧して、いわゆるラミネート処理(定着処理)を行う。
【0042】
そして、
図13に示すように、ラミネート処理後のシートS(及び中紙P)を、排出ローラ121にて排紙トレイ104に排出・積載する。
【0043】
このように本実施形態のラミネート処理装置200は、シートSを大きく開口し、その中に中紙Pを挿入・挟持させることができる。したがって、例えば、バキューム装置を用いる特許文献1のラミネート装置に比べ、単純な構成であり、装置全体を簡略化、小型化できる。
【0044】
また、本実施形態のラミネート処理装置200は、
図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。なお、本実施形態では、トレイ102にシートSを積載し、トレイ103に中紙Pを積載するようにしたが、これに限定されない。トレイ102に中紙Pを積載し、トレイ103にシートSを積載してもよい。
【0045】
図14は、シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。フローチャートに対応する図面の番号を示しながら説明する。
【0046】
まず、ステップS11において、ラミネート処理装置200は、シートSの給紙を開始する(
図1参照)。次いで、ステップS12において、搬送センサC3にシートSの先端が到着したか判定する(
図2参照)。ステップS13にて、ラミネート処理装置200は、シートSを搬送センサC3から指定量搬送したことを判定すると、その搬送を一時停止する(
図3参照)。続いて、ステップS14にて、把持手段110を開口するとともに、ステップS15においてシートSを逆搬送方向に搬送する(
図4参照)。
【0047】
ステップS16において、ラミネート処理装置200は、シートSを指定量搬送したことを判定すると、ステップS17にてシートSの搬送を一時停止する。そして、ステップS18において、把持手段110を閉じ、シートSの端部を把持する(
図5参照)。
【0048】
続いてステップS19において、ラミネート処理装置200は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける(
図6参照)。次いで、ステップS20において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS21にて、ラミネート処理装置200は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS22において、異常状態検出センサC4を用いてシートSの状態を検出する。
【0049】
この異常状態検出センサC4は、シートSの2枚のシート間に生じた空間の寸法が、所定の閾値を超えているかを検出する異常検出手段である。ステップS23において、ラミネート処理装置200は、異常状態検出センサC4の検出結果から、シートSの状態が正常(空間の寸法が、所定の閾値以上)であると判定した場合、ステップS24aに移行する。
【0050】
一方、ステップS23において、シートSの状態が異常(空間の寸法が、所定の閾値より下)であると判定した場合、ステップS24bに移行し、ラミネート処理装置200は異常を通知し、シート処理を停止する。
【0051】
ステップS24aに移行した場合、ラミネート処理装置200は、生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入する(
図7参照)。次に、ステップS25において、ラミネート処理装置200は、剥離爪116をシートSの両側から挿入した状態で、巻付けローラ109を今度は時計回りに回転し、シートSを正搬送方向に搬送する。
【0052】
次いで、ステップS26において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS27にて、ラミネート処理装置200は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS28において、把持手段110を開口する。
【0053】
次いで、ステップS29において、ラミネート処理装置200はシートSの搬送を一時停止し、ステップS30にて、剥離爪116をシート幅方向へ更に移動する(
図8参照)。これにより、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0054】
ステップS31において、ラミネート処理装置200はシートSを逆搬送方向に搬送する。次いで、ステップS32において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS33にて、ラミネート処理装置200は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS34にて、その搬送を一時停止する(
図9参照)。これにより、シートSの剥離が完了する。
【0055】
続いて、ステップS35において、ラミネート処理装置200は、中紙Pを正搬送方向に搬送し、開口したシートS内に中紙Pを挿入する(
図10、11参照)。
【0056】
次いで、ステップS36において、中紙Pを挟持したシートSを熱加圧装置(定着Md)へ搬送し、熱と圧力を加えることで、ラミネート処理を行う(
図12参照)。ラミネート処理(定着処理)後、排出ローラ121を回転し、ラミネート処理したシートS(中紙P)を排紙トレイ104に排出する(
図13参照)。
【0057】
次に、本実施形態のラミネート処理装置のその他の構成について説明する。
【0058】
本実施形態のラミネート処理装置200は、シートSのサイズと、中紙Pのサイズを取得し、それらのサイズに応じて一連のラミネート処理を制御できる。
【0059】
図15は、ラミネート処理装置のブロック図の一例である。ラミネート処理装置200は、装置本体の動作を制御する制御部56と、剥離機構と、熱加圧部材と、記憶手段と、シート検出手段と、入出力用のI/Oポート58と、操作パネル10などで構成される。
【0060】
制御部56は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを包含するコンピュータで構成され、ラミネート処理装置全体の制御を司る。また、制御部56には、読み書き可能な記憶手段(不揮発記憶媒体)が接続されている。
【0061】
図16は、操作パネルに表示される、シートサイズと中紙サイズを設定する操作画面の一例である。本実施形態のラミネート処理装置200は、ユーザが操作パネル10の画面をタッチすることで、ラミネートフィルム(シートS)のサイズと、挟み込む中紙Pのサイズを選択・入力できる。
【0062】
すなわち、操作パネル10は、シートS及び中紙Pのサイズ入力を受け付ける表示操作手段としても用いられる。
【0063】
そして、ラミネート処理装置200の制御部56は、操作パネル10で入力されたシートSのサイズと中紙Pのサイズの相対関係(中紙Pを挟み込んだ際のシートSの状態)から、中紙Pを挟み込むことが可能か否かを判定する。
【0064】
そして、中紙Pを挟み込むことできると判定した場合、ユーザが「ラミネート処理実行」と表示された領域をタッチ(押下)することで、一連のラミネート処理(
図14参照)を開始する。
【0065】
一方、中紙Pを挟み込むことができないと判定した場合は、操作パネル10は、エラー画面(
図17参照)を表示し、中紙Pのサイズが大き過ぎるため、ラミネート加工をキャンセルする旨をユーザに報知するとともに、その確認を求める。
【0066】
このように、本実施形態のラミネート処理装置200は、シートSのサイズ及び中紙Pのサイズを取得し、それらのサイズに応じてシート処理を制御(実施又はキャンセル)するため、サイズに合ったラミネート処理ができる。
【0067】
続いて、本発明の特徴的構成について説明する。
【0068】
ラミネート処理装置200は、シートSの剥離動作を完了した後に中紙Pを搬送し、シートS内に挿入するため、生産効率は剥離動作が完了するタイミングに依存することになる。これに対し本発明者らは、装置本体の電源がOFFされた際や、電源がONされ、熱加圧ローラを加熱している間に、シートSの剥離動作を実施し、剥離動作完了までの待ち時間を削減することに着目している。
【0069】
以下の実施形態では、剥離動作完了までの待ち時間を削減し、生産効率を向上できるラミネート処理装置について説明する。
【0070】
(第1実施形態)
【0071】
図18は、電源OFF時のラミネート処理装置の動作を説明するフローチャートである。このフローチャートを参照しながら、電源切断命令に応じた処理動作と並行して、剥離動作を実施する構成について説明する。
【0072】
まず、ステップS101において、ユーザが装置本体の電源OFFボタンを押下した場合、ステップS102に移行する。ラミネート処理装置200(の制御部56)は処理命令として電源切断命令を各部(各装置)に出し、電源OFF処理を開始する。電源OFF処理では、例えば、熱加圧ローラ120の停止・冷却、その他周辺機器の停止処理などが実施される。
【0073】
次いで、ステップS103に移行し、ラミネート処理装置200(の制御部56)は、シート検出手段である搬送センサC1、C3、C5の検出結果により、搬送路上にシートSがあるか判定する。シートSがないと判定した場合(YESの場合)、ステップS104に移行し、制御部56は、剥離動作を実施するか選択させるメッセージを操作パネル10上に表示する。
【0074】
図19は、操作パネルに表示される、剥離動作の実施を選択する操作画面の一例である。ユーザが操作パネル10上の「実行する」と表示された領域をタッチ(押下)した場合、ステップS105に移行し、ラミネート処理装置200は、シートSの剥離動作を実施する。
【0075】
一方、ステップS104において、ユーザが操作パネル10上の「実行しない」と表示された領域をタッチ(押下)した場合、シートSの剥離動作を実施せず、ステップS106に移行する。
【0076】
また、先のステップS103において、搬送路上にシートSがあると判定した場合(NOの場合)も、剥離動作を実施せず、ステップS106に移行する。
【0077】
ステップS106において、ラミネート処理装置200(の制御部56)は、シート情報として、剥離動作の完了(剥離動作の実施/不実施)を記憶手段に記憶する。
【0078】
これは、装置本体の電源を再投入した際、搬送路上にあるシートSが剥離動作を実施したものであるのか、ジャム残紙であるのかを判定するために用いられる。例えば、ジャム残紙であった場合、操作パネル10にエラー画面を表示し、ジャムが発生している旨をユーザに報知する。
【0079】
その後、ステップS107に移行し、制御部56は、剥離機構を含む全ての装置/機構の電源OFF処理を実施し、電源切断命令応じた処理動作を完了する。
【0080】
このように本実施形態のラミネート処理装置200は、電源切断命令に応じた処理動作と並行して、シートSの剥離動作を実施できる。したがって、装置本体の電源を再投入した際、既に剥離されたシートSに中紙Pの挿入ができる。すなわち、剥離動作完了までの待ち時間を削減でき、生産性を向上できる。
【0081】
また、有利な構成として、制御部56の記憶手段は、シート情報として、剥離動作を実施したことに加えて、剥離したシートSのサイズを記憶することが望ましい。既に剥離完了したシートSのサイズと中紙Pのサイズの相対関係から、中紙Pを挟み込むことが可能か否かを判定でき、有利である。
【0082】
(第2実施形態)
図20は、電源ONからラミネート処理されたシートの排出までの一連のラミネート処理装置の動作を説明するフローチャートである。このフローチャートを参照しながら、熱加圧部材の加熱命令に応じた処理動作と並行して、剥離動作を実施する構成について説明する。
【0083】
まず、ステップS201において、ユーザが装置本体の電源ONボタンを押下した場合、ラミネート処理装置200(の制御部56)は、熱加圧ローラ120の温度を温度センサにて検出し、所定温度未満であるか判定する。所定温度未満であると判定した場合(YESの場合)、ステップS202に移行し、ラミネート処理装置200(の制御部56)は、処理命令として加熱命令を出し、熱加圧ローラ120の加熱処理を開始する。
【0084】
次いで、ステップS203に移行し、ラミネート処理装置200(の制御部56)は、搬送センサC1、C3、C5の検出結果により、搬送路上にシートSがあるか判定する。シートSがないと判定した場合(YESの場合)、ステップS204に移行し、制御部56は、剥離動作を実施するか選択させるメッセージを操作パネル10上に表示する(
図19参照)。
【0085】
ユーザが操作パネル10上の「実行する」と表示された領域をタッチ(押下)した場合、ステップS205に移行し、ラミネート処理装置200は、シートSの剥離動作を実施する。
【0086】
一方、ステップS204において、ユーザが操作パネル10上の「実行しない」と表示された領域をタッチ(押下)した場合、シートSの剥離動作を実施せず、ステップS206に移行する。
【0087】
また、先のステップS203において、搬送路上にシートSがあると判定した場合(NOの場合)も、剥離動作を実施せず、ステップS206に移行する。
【0088】
ステップS206において、ラミネート処理装置200(の制御部56)は、熱加圧ローラ120の温度を温度センサにて検出し、所定温度に達したか判定する。所定温度に達したと判定した場合(YESの場合)、ステップS207に移行し、制御部56は、ラミネートフィルム(シートS)のサイズと、挟み込む中紙Pのサイズを選択・入力させるメッセージを操作パネル10上に表示する(
図16参照)。
【0089】
ステップS207において、ユーザが「ラミネート処理実行」と表示された領域をタッチ(押下)した場合、ステップS208に移行する。そして制御部56は、入力されたシートSのサイズと中紙Pのサイズの相対関係(中紙Pを挟み込んだ際のシートSの状態)から、中紙Pを挟み込むことが可能か否かを判定する。
【0090】
ステップS208において、中紙PよりもシートSのサイズが大きいと判定した場合(YESの場合)、ラミネート処理装置200は、ステップS209にて中紙Pの挿入動作を実施し、次いでステップS210にてラミネート処理を実施する。そしてステップS211にてシート排出処理を実施後、ステップS212に移行する。
【0091】
ステップS212にて、ラミネート処理装置200(の制御部56)が、次に処理するシートの有無を判定する。次のシートがない場合(YESの場合)、ステップS213に移行する。ラミネート処理装置200(の制御部56)は、最終シートの排出動作が完了したか判定し、完了した場合(YESの場合)、ラミネート処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS212において、次のシートがある場合(NOの場合)、ステップS214に移行し、ラミネート処理装置200は、再度シートSの剥離動作を実施する。そして、ステップS209に移行する。
【0093】
また、先のステップS208において、中紙PよりもシートSのサイズが小さいと判定した場合(NOの場合)、ステップS215に移行し、操作パネル10は、エラー画面を表示する(
図17)。操作パネル10は、中紙Pのサイズが大き過ぎるため、ラミネート加工をキャンセルする旨をユーザに報知し、その確認を求める。
【0094】
このように本実施形態のラミネート処理装置200は、装置本体の電源ON時などの加圧ローラ加熱処理と並行して、シートSの剥離動作を実施できる。したがって、加圧ローラの加熱が完了した際に、中紙Pの挿入及びラミネート処理を実施でき、生産性を向上できる。
【0095】
続いて、本発明の有利な構成について説明する。
【0096】
本実施形態のラミネート処理装置200は、操作パネル10で入力された中紙Pのサイズと、記憶手段に記憶されたシートSのサイズに基づいて、処理を制御することが望ましい。例えば、入力された中紙Pのサイズが、剥離動作で剥離されたシートSのサイズよりも大きい場合、正しく中紙Pを挿入できない。その場合、ラミネート処理装置200は挿入動作をキャンセルする。
【0097】
また、本実施形態のラミネート処理装置200は、記憶手段に記憶されたシート情報(剥離動作を実施したこと)と、シート検出手段の検出結果に基づいて、シート処理を制御することが望ましい。
【0098】
例えば、記憶手段に、直前の電源切断時に剥離動作を実施したことが記憶されており、かつ、シート検出手段が搬送路内にシートSを検出した場合、ラミネート処理装置200は、剥離動作キャンセルする。これにより、剥離動作で剥離したシートSとジャム紙との区別と、剥離動作の重複を回避することができる。
【0099】
一方、記憶手段に、直前の電源切断時に剥離動作を実施したことが記憶されておらず、かつ、シート検出手段が搬送路内にシートSを検出した場合、この搬送路内のシートSは、ジャム残紙である。ラミネート処理装置200は、報知手段(操作パネル10又は別途のブザーなど)にて、ユーザに異常を報知する。
【0100】
このように、本実施形態のラミネート処理装置200は、記憶手段、シート検出手段、及び表示操作手段を備え、それらの情報又は検出結果によって処理を変更するため、問題なく剥離動作を実施することができる。
【0101】
さらに、本実施形態のラミネート処理装置200は、電源OFF時や、電源ON時の熱加圧ローラ120の加熱時に、剥離動作を自動で実施する自動剥離モードと、ユーザの指示により剥離動作を実施する手動剥離モードとを有することが望ましい。
【0102】
なお、手動剥離モードでは、操作パネル10又はスイッチなどの命令入力手段を用いて、ラミネート処理装置200に剥離動作を実施させる。
【0103】
図21は、操作パネルに表示される、剥離動作設定の選択画面の一例である。ユーザが「電源ON/OFF・給紙開始時剥離モード」を選択した場合、ラミネート処理装置200は、自動で剥離動作を実施する(自動剥離モード)。このように、操作パネル10を用いてユーザが任意にモードを選択できることが望ましい。
【0104】
以上、実施形態としてラミネート処理装置について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。ラミネート処理装置200から、熱加圧部材である熱加圧ローラ120と、熱加圧ローラ120の下流に設けられた排出ローラ121を除いた、シート処理装置についても(熱加圧部材の加熱命令を除き)同様な構成を実施できる。なお、シート処理装置は、シート処理として、剥離動作、中紙の挿入動作を実施できる。
【0105】
続いて、本発明に係るラミネート処理装置を備える、画像形成装置及び画像形成システムについて説明する。
【0106】
図22は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成装置300は、ラミネート処理装置部として、内部にラミネート処理装置200aを備える。
【0107】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0108】
画像形成装置本体300の構成を具体的に説明する。
図22に示すように、画像形成装置本体300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0109】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0110】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0111】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0112】
用紙搬送路164は、画像形成装置本体300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置本体300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0113】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0114】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0115】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0116】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0117】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送られる。
【0118】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送る。
【0119】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをラミネート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0120】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、ラミネート処理装置200aにより、ラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0121】
次に、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例、及び画像形成システムについて説明する。
【0122】
図23は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。この画像形成装置400は、画像形成装置本体側に本体排出ローラ122と、本体排紙トレイ123とを備える点で、
図22の画像形成装置300と異なる。
【0123】
画像形成装置400は、ラミネート処理を実施しない場合、本体排出ローラ122を用いて画像形成した記録媒体を本体排紙トレイ123に排出できる。したがって、画像形成装置400は、ラミネート処理をしない場合、画像形成の出力速度を下げない。
【0124】
なお、画像形成装置400は、ラミネート処理装置200aを内部に脱着可能に備える構成としてもよい。すなわち、ラミネート処理が不要な際は、ラミネート処理装置200aを画像形成装置400から外してもよい。
【0125】
また、その外したラミネート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、
図1に示すものと同様なラミネート処理機単体として利用できるとしてもよい。
【0126】
図22に示した画像形成装置300、及び
図23に示した画像形成装置400は、ラミネート処理機に代えて、シート処理装置を備える構成としてもよい。また、
図23に示した画像形成装置400では、シート処理装置を着脱可能な構成としてもよい。
【0127】
また、画像形成システムとして、画像形成装置と、前記画像形成装置に着脱可能に接続されたシート処理装置、又はラミネート処理装置200を備えるシステムを構成してもよい。さらにまた、給紙装置(スタッカ)、及び/又はくるみ製本装置などを備えるシステムを構成してもよい。なお、シートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。
【0128】
さらに、画像形成装置300、400は、シートSと中紙に画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いてもよい。
【0129】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、実施形態と有利な構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10 操作パネル
56 制御部
58 I/Oポート
102 シートトレイ
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105、106 ピックアップローラ
107 搬送ローラ対
108 入口ローラ対
109 巻付けローラ
110 把持手段
111 ローラ部材
113 出口ローラ対
116 剥離爪
120 熱加圧ローラ
121 排出ローラ
122 本体排出ローラ
123 本体排紙トレイ
150 中間転写装置
152 中間転写ベルト
154c、154k、154m、154y 作像装置
156 露光装置
158 給紙装置
160 第1給紙カセット
162 第2給紙カセット
164 用紙搬送路
166 第1給紙コロ
168 第2給紙コロ
170 搬送ローラ
174 二次転写装置
176 定着装置
178 排紙装置
180c、180k、180m、180y 一次転写装置
188 画像読取装置
200、200a ラミネート処理装置
300、400 画像形成装置
C1、C3、C4、C5 搬送センサ
C4 異常状態検出センサ
P 中紙
S シート(2枚重ねシート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【文献】特開2006-160429号公報
【文献】特開平09-164593号公報