(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240910BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B41J2/16 517
B41J2/14 613
B41J2/16 507
(21)【出願番号】P 2020155546
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020011867
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】塚本 竜児
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111216(JP,A)
【文献】特開2003-159801(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039266(WO,A1)
【文献】特開2006-324681(JP,A)
【文献】特開2015-047726(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル板が振動することにより液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル板は、基板と、該基板よりも吐出対象物側に設けられた圧電体とを有し、前記基板と前記圧電体とを貫通するノズル孔が形成され、該ノズル孔における一方の穴から他方の穴に向かう方向を液体の吐出方向としたとき、
前記圧電体は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を含み、該PZTは前記吐出方向と平行に延びた結晶構造を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記結晶構造は、柱状結晶であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記基板に対して、スパッタ法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてPZTを積み上げることにより前記圧電体を形成することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記基板上に前記圧電体を形成した後、前記基板及び前記圧電体に対してドライエッチングを行い、前記ノズル孔を形成することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電体を用いた液体吐出ヘッドにおいて、ノズル面を振動させてインクを吐出する液体吐出ヘッドが知られている。このような液体吐出ヘッドにおいては、インクを吐出させるために大きな振動が必要であり、例えば圧電乗数の大きいバルクピエゾを薄いノズル板に張り付けてユニモルフ状にすることで大きな変位を得ていた。
【0003】
また、特許文献1では、ノズル基板プレート及び圧電性薄膜を貫通するノズル孔が設けられたヘッド構造が開示されている。これによれば、インク滴吐出エネルギーを大きくすることができ、安定したインク噴射を行えるとしている。
【0004】
また、特許文献2では、振動基板におけるノズルの部分を振動させ、ノズルに保持された液体インクの表面近傍にノズルの中心部に向けて定在波が生じるようにし、ノズルの中心部のインク表面から液滴を飛翔させることが開示されている。これによれば、エネルギー効率が高く、小さな液滴を吐出することができるとしている。また、特許文献1の実施形態では、2つの基板を貼り合わせ、両基板を貫通するノズルを形成し、ノズルの周囲における基板を振動させることで液滴を吐出することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、ノズル孔を加工する際に、ノズル孔の壁面の一部が脱落し、ノズル孔内部における壁面の形状を直線に加工することができないという問題があった。ノズル孔の形状を直線にできない場合、液体を吐出する際に吐出曲がりが発生するという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、ノズル板が振動することにより液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体の吐出曲がりを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、ノズル板が振動することにより液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記ノズル板は、基板と、該基板よりも吐出対象物側に設けられた圧電体とを有し、前記基板と前記圧電体とを貫通するノズル孔が形成され、該ノズル孔における一方の穴から他方の穴に向かう方向を液体の吐出方向としたとき、前記圧電体は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を含み、該PZTは前記吐出方向と平行に延びた結晶構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズル板が振動することにより液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体の吐出曲がりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における断面概略図である。
【
図2】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における要部断面概略図である。
【
図3】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における要部分解斜視概略図である。
【
図4】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における分解斜視概略図である。
【
図5】比較例に係る液体吐出ヘッドの断面概略図である。
【
図6】比較例に係る液体吐出ヘッドの要部断面概略図である。
【
図7】比較例に係る液体吐出ヘッドの分解斜視概略図である。
【
図8】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における断面概略図である。
【
図9】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における他の断面概略図である。
【
図10】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における断面概略図である。
【
図11】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における斜視概略図である。
【
図12】本発明に係る液体吐出装置の一例における概略図である。
【
図13】ヘッドユニットの一例における概略図である。
【
図14】本発明に係る液体循環装置の一例におけるブロック説明図である。
【
図15】本発明に係る液体吐出装置の他の例における概略図である。
【
図16】本発明に係る液体吐出装置の他の例における概略図である。
【
図17】液体吐出ユニットの一例における概略図である。
【
図18】液体吐出ユニットの他の例における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本実施形態の液体吐出ヘッドは、ノズル板が振動することにより液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記ノズル板は、基板と、該基板よりも吐出対象物側に設けられた圧電体とを有し、前記基板と前記圧電体とを貫通するノズル孔が形成され、該ノズル孔における一方の穴から他方の穴に向かう方向を液体の吐出方向としたとき、前記圧電体は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を含み、該PZTは前記吐出方向と平行に延びた結晶構造を有することを特徴とする。
【0012】
本実施形態の液体吐出装置は、本実施形態の液体吐出ヘッドを備え、必要に応じてその他の手段を備える。
【0013】
本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の液体吐出ヘッドの断面概略図である。
図1には、ノズル板1、ノズル孔4、基板81、圧電体82、共通液室プレート83、共通液室84、隔壁85、天井プレート86、供給路87が図示されている。なお、図では、本実施形態の液体吐出ヘッドを説明するために要部のみを図示するものであり、必要に応じてその他の部材を設けてもよい。
【0014】
液体(例えばインク)は、天井プレート86に設けられた供給路87を通り、共通液室プレート83に設けられた共通液室84に供給される。天井プレート86としては、例えば金属部材を用いることができ、共通液室プレート83としては、例えばSiを用いることができる。
【0015】
ノズル板1は、基板81と、吐出対象物側に設けられた圧電体82とを有する。ノズル板1が振動することにより、共通液室84内の液体がノズル孔4から吐出される。ノズル孔4の数や配置、形状は、適宜変更することができる。
【0016】
ノズル孔4は、基板81と圧電体82とを貫通するように形成されている。本実施形態において、ノズル孔4における一方の穴から他方の穴に向かう方向を液体の吐出方向とする。例えば、共通液室84側の穴を一方の穴とし、これとは反対側の穴を他方の穴とする。
【0017】
基板81としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、Si基板を用いることができる。基板81の厚みとしては、例えば200μm~900μmが好ましい。
【0018】
圧電体82は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を含む。圧電体82の厚みとしては、例えば1μm~6μmが好ましい。
【0019】
ノズル板1には、ノズル板1が振動して液体を吐出するために、電極が設けられてもよい。電極の材料としては、公知のものを用いることができる。
【0020】
図2に、本実施形態におけるノズル板1の断面模式図を示す。
図2は、
図1の破線部分における拡大断面模式図である。
図2(A)は、ノズル板1にノズル孔4が形成された状態を示す模式図である。本実施形態において、圧電体82は、吐出方向と平行に延びた結晶構造を有する。
【0021】
圧電体82が上記結晶構造を有することにより、ノズル孔4を加工しても脱粒が発生せず、ノズル孔の形状を直線に加工することができる。
図2(A)に示されるように、ノズル孔4を形成した場合、ノズル孔の壁面に凹凸が生じにくくなり、真っ直ぐに加工することができる。
【0022】
圧電体82について、吐出方向と平行に延びた結晶構造を形成するには、基板81と圧電体82にそれぞれノズル孔を形成した後に接合させる方法ではなく、例えば積み上げ法により形成する。詳細は後述する。
【0023】
図2(B)は、ノズル孔4に液体88が流れる場合やノズル孔4に液体88が溜まった場合の例を模式的に示す図である。ノズル孔4が真っ直ぐに加工されているため、液体88はノズル孔4内を真っ直ぐに流れる。
【0024】
図2(C)は、液体88がノズル孔4から吐出される場合の例を模式的に示す図であり、矢印は液体88が吐出される方向を模式的に示すものである。ノズル孔4が真っ直ぐに加工されているため、液体88は吐出方向に対してずれることなく吐出される。本実施形態によれば、液体を吐出する際に吐出曲がりを抑制することができ、更には画像品質を向上させることができる。
【0025】
一方、例えばバルク構造のように、結晶構造が吐出方向と平行に延びていない場合、ノズル孔を加工すると、圧電体を形成する粒子が脱落する脱粒が生じてしまう。従来技術では、例えば特性の異なる2枚の基板を接合しており、その製法から圧電体として、バルクを研磨したものが用いられる。バルク圧電体をノズル板に張り付ける製法の場合、バルク圧電体にノズル孔を加工するとき、もしくは加工後に、バルク圧電体の一部が脱粒してしまう。脱粒が生じるとノズル孔の形状が直線ではなくなってしまい、吐出曲がりが発生する。
【0026】
ここで、後述の比較例における液体吐出ヘッドを説明する。
図5は比較例における液体吐出ヘッドの断面概略図である。また、
図6は、
図2と同様の図であり、
図5の破線部分における拡大断面模式図である。
図6では、バルク構造のバルク圧電体82aが図示されており、粒子が集まって形成されている。
【0027】
図6(A)に示されるように、バルク圧電体82aには、粒子が脱落する脱粒91が生じている。脱粒91が生じると、ノズル孔4が真っ直ぐの形状にならない。このような状態のノズル孔4aに対して液体が供給されると、
図6(B)に示されるように、脱粒した箇所に液体が入り込んでしまう。この場合、
図6(C)に示されるように、液体を吐出する際に、吐出された液体が曲がったり、吐出不良が発生したりしてしまう。
【0028】
本実施形態において、吐出方向と平行に延びた結晶構造としては、柱状結晶が好ましい。柱状結晶以外には、例えば針状の結晶構造等が挙げられる。
圧電体が、吐出方向と平行に延びた結晶構造を有しているかは、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)により観察することで判定することができる。
【0029】
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法は、基板と圧電体とを貼り合わせるのではなく、基板に対して圧電体を積み上げて形成する積み上げ法を用いる。
【0030】
本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3(A)~
図3(C)は、基板81上に圧電体82を形成した後、ノズル孔4を形成する場合の斜視模式図である。
【0031】
図3(B)に示されるように、
図3(A)に示される基板81に対して、積み上げ法により圧電体82を成膜する。積み上げ法により形成された圧電体は柱状結晶になりやすい。このため、吐出方向と平行に延びた結晶構造を有する圧電体82を形成することができる。
【0032】
積み上げ法においては、例えば、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い、基板81に対してPZTを積み上げることにより圧電体82を形成する。この他にもゾルゲル法を用いてもよい。
【0033】
図3(C)に示されるように、基板81上に基板上に前記結晶構造を有する圧電体82を形成した後にノズル加工をしている。これにより、圧電体と基板のノズル位置を合わせることができる。このため、圧電体と基板との間に段差ができず、吐出方向が安定する。
【0034】
ノズル孔4を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、例えばドライエッチングにより行うことができる。
【0035】
一方、後述の
図7に示される張り合わせ法は、基板と圧電体にノズル穴をあけてから張り合わせる。この場合、圧電体と基板との間に段差がつきやすく、吐出方向が不安定になる。従来技術において、ノズル板の振動でインクを吐出させるためには大きな変位が必要であり、そのためには圧電定数の高いバルク圧電体の変位が必要となる。このようなバルク圧電体を用いる場合、特性の異なる部材(バルク圧電体と基板)どうしを貼り合わせる必要があり、上記の問題が生じてしまう。
【0036】
図4に、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための別の図を示す。
図4は、本実施形態を説明するための分解斜視概略図である。
【0037】
図4(A)は、天井プレート86の斜視模式図である。天井プレート86に対して、供給路87を形成する。
図4(B)は、共通液室プレート83の斜視模式図である。共通液室プレート83に対して、共通液室84を形成する。
図4(C)は、ノズル板1の斜視模式図であり、
図3によって得られたノズル板1である。
【0038】
図4に示される各部材を接合することにより、
図1に示される本実施形態の液体吐出ヘッドを得ることができる。
【0039】
(実施例1及び比較例1)
実施例1では、
図3に示される積み上げ法により、
図1に示される液体吐出ヘッドを作製する。まず、Si基板に対して厚さ10μmのSiO
2を成膜し、これを基板81とした。
次いで、基板81におけるSiO
2膜上に、スパッタ法を用いた積み上げ法により厚さ10μmのPZTを成膜して圧電体82を形成した。
これにより、ノズル板1を形成した。次いで、ノズル板1に対してドライエッチングを行い、直径25μmのノズル孔4を形成した。
【0040】
次に、
図4に示されるように各部材を接合する。共通液室プレート83はSiとし、
図1及び
図4に示されるような形状の共通液室84及び隔壁85を形成した。天井プレート86は金属部材を用い、供給路87を形成した。次いで、各部材を接合して、
図1に示される、実施例1の液体吐出ヘッドを作製した。また電極は、圧電体82の上部と下部にそれぞれ厚み0.1μmを形成した。
得られた液体吐出ヘッドについて、ノズル孔4近傍のノズル板1の変位量を調べたところ、ノズル変位量は600nmであった。
【0041】
次に、得られた液体吐出ヘッドについて、メディアに対してインクを吐出する吐出評価を行うことにより、曲がり量の測定を行った。測定条件は以下とした。
【0042】
[測定条件]
ノズル数:1024ノズル
滴速度:7m/sec
ヘッドとメディアとの距離:1mm
インクの種類:水性顔料インク
インクの粘度:5cp
【0043】
結果、実施例1の液体吐出ヘッドにおける曲がり量3σ(μm)平均値は、3.3μmであり、吐出曲がりが抑制されていることがわかった。
【0044】
次に、比較例1として、上記実施例1における積み上げ法ではなく、貼り合わせ法に変更してノズル板を形成することにより液体吐出ヘッドを作製した。比較例1では、
図5~
図7に示される構成及び方法としている。
比較例1では、基板81aとバルク圧電体82aそれぞれに対してノズル孔4aを形成し、接着剤92を用いて接合することによりノズル板1aを形成した。次いで、天井プレート86、共通液室プレート83、ノズル板1aを接合し、比較例1の液体吐出ヘッドを得た。
【0045】
比較例1で得られた液体吐出ヘッドについて、実施例1と同様の測定を行った。結果、比較例1の液体吐出ヘッドにおける曲がり量3σ(μm)の平均値は、15.1μmであり、吐出曲がりが生じていることがわかった。
【0046】
以下、本発明の液体吐出ヘッド及び液体吐出装置の他の実施形態について説明する。
図8は同実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(圧力室長手方向)に沿う断面説明図、
図9は同じくノズル配列方向に沿う断面説明図である。
【0047】
本実施形態の液体吐出ヘッド100は、圧電体を備えるノズル板1と、個別流路部材である流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通流路部材20を備えている。また、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11を更に備えていてもよい。
【0048】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
【0049】
流路板2は、複数のノズル4に通じる複数の圧力室6と、各圧力室6にそれぞれ通じる個別流路である個別供給流路7と、1又は複数(本実施形態では1つ)の個別供給流路7に通じる液導入部となる中間供給流路8を形成している。
【0050】
振動板部材3は、流路板2の圧力室6の壁面を形成する変位可能な複数の振動板(振動領域)30を有する。ここでは、振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層3Aと、厚肉部を形成する第2層3Bで構成されている。
【0051】
そして、薄肉部である第1層3Aで圧力室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。振動領域30内には、第2層3Bで圧電アクチュエータ11と接合する厚肉部である凸部30aを形成している。
【0052】
そして、振動板部材3の圧力室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0053】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工をして、ノズル配列方向において、所要数の柱状の圧電素子12を所定の間隔で櫛歯状に形成している。そして、圧電素子12は、振動板部材3の振動領域30に形成した厚肉部である凸部30aに接合している。
【0054】
この圧電素子12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極(端面電極)に接続され、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
【0055】
共通流路部材20は複数の圧力室6に通じる共通供給流路10を形成している。共通供給流路10は、振動板部材3に設けた開口部9を介して液導入部となる中間供給流路8に連通し、中間供給流路8を介して個別供給流路7に通じている。
【0056】
この液体吐出ヘッド100においては、例えば圧電素子12に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12が収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて圧力室6の容積が膨張することで、圧力室6内に液体が流入する。
【0057】
その後、圧電素子12に印加する電圧を上げて圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて圧力室6の容積を収縮させることにより、圧力室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0058】
図10は、更に他の実施形態における液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(圧力室長手方向)に沿う断面説明図である。
図11は、本実施形態の液体吐出ヘッドの斜視概略図である。
【0059】
本実施形態の液体吐出ヘッド100は、循環型液体吐出ヘッドであり、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通流路部材20とを備えている。
【0060】
そして、流路板2は、複数のノズル4に各々ノズル連通路5を介して通じる複数の圧力室6と、複数の圧力室6に各々通じる複数の流体抵抗部を兼ねる個別供給流路7と、2以上の個別供給流路7に通じる1又は複数の液導入部となる中間供給流路8などを形成している。
【0061】
個別供給流路7は、前記実施形態と同様に、個別供給流路7は、圧力室6よりも流体抵抗が高い2つの第1流路部7A及び第2流路部7Bと、第1流路部7Aと第2流路部7Bとの間に配置され、第1流路部7A及び第2流路部7Bよりも流体抵抗が低い第3流路部7Cとを含む。
【0062】
なお、流路板2は、複数枚の板状部材2A~2Eを積層して構成しているが、これに限るものではない。
【0063】
また、流路板2は、複数の圧力室6にノズル連通路5を介して各々通じる流路板2の面方向に沿う複数の個別回収流路57と、2以上の個別回収流路57に通じる1又は複数の液導出部となる中間回収流路58を形成している。
【0064】
個別回収流路57は、圧力室6よりも流体抵抗が高い2つの第1流路部57A及び第2流路部57Bと、第1流路部57Aと第2流路部57Bとの間に配置され、第1流路部57A及び第2流路部57Bよりも流体抵抗が低い第3流路部57Cとを含む。個別回収流路57は、第2流路部57Bよりも循環方向において下流側となる流路部57Dは第3流路部57Cと同じ流路幅にしている。
【0065】
共通流路部材20は、共通供給流路10と共通回収流路50とを形成している。なお、本実施形態においては、共通供給流路10は、ノズル配列方向において共通回収流路50と並ぶ流路部分10Aと、共通回収流路50と並ばない流路部分10Bとで構成している。
【0066】
共通供給流路10は、振動板部材3に設けた開口部9を介して液導入部となる中間供給流路8に連通し、中間供給流路8を介して個別供給流路7に通じている。共通回収流路50は、振動板部材3に設けた開口部59を介して液導出部となる中間回収流路58に連通し、中間回収流路58を介して個別回収流路57に通じている。
【0067】
また、共通供給流路10は供給ポート71に通じ、共通回収流路50は回収ポート72に通じている。
【0068】
なお、その他の振動板部材3の層構成、圧電アクチュエータ11の構成などは、前記実施形態と同様である。
【0069】
この液体吐出ヘッド100においても、前記実施形態と同様にして、圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて圧力室6の容積を収縮させることにより、圧力室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0070】
また、ノズル4から吐出されない液体はノズル4を通過して個別回収流路57から共通回収流路50に回収され、共通回収流路50から外部の循環経路を通じて共通供給流路10に再度供給される。また、ノズル4から液体吐出を行っていないときも、共通供給流路10から圧力室6を経て共通回収流路50に液体が循環し、外部の循環経路を通じて共通供給流路10に再度供給される。
【0071】
本実施形態においても、簡単な構成で、液体吐出に伴う圧力変動を減衰して、共通供給流路10、共通回収流路50に対する伝搬を抑制することができる。
【0072】
次に、本発明の液体吐出装置の一例について
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は同装置の概略説明図、
図13は同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
【0073】
この液体吐出装置である印刷装置500は、連続体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連帳紙、シート材などの連続体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503と、連続体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続体510を乾燥する乾燥手段507と、連続体510を搬出する搬出手段509などを備えている。
【0074】
連続体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、搬出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、搬出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0075】
この連続体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550及びヘッドユニット555に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット555から吐出される処理液で後処理が行われる。
【0076】
ここで、ヘッドユニット550には、例えば、搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ551A、551B、551C、551D(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ551」という。)が配置されている。
【0077】
各ヘッドアレイ551は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続体510に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0078】
ヘッドアレイ551は、例えば、本発明に係る液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)100をベース部材552上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0079】
本実施形態の液体吐出ヘッド及び液体吐出装置は、液体を循環させる構成としてもよく、例えば液体吐出ヘッドを用いた液体循環装置としてもよい。液体循環装置の一例について
図14を参照して説明する。
図14は同循環装置のブロック説明図である。なお、ここでは1つのヘッドのみ図示しているが、複数のヘッドを配列する場合には、マニホールドなどを介して複数のヘッドの供給側、回収側にそれぞれ供給側液体経路、回収側液体経路を接続することになる。
【0080】
液体循環装置600は、供給タンク601、回収タンク602、メインタンク603、第1送液ポンプ604、第2送液ポンプ605、コンプレッサ611、レギュレータ612、真空ポンプ621、レギュレータ622、供給側圧力センサ631、回収側圧力センサ632などで構成されている。
【0081】
ここで、コンプレッサ611及び真空ポンプ621は、供給タンク601内の圧力と回収タンク602内の圧力とに差圧を生じさせる手段を構成している。
【0082】
供給側圧力センサ631は、供給タンク601とヘッド100との間であって、ヘッド100の供給ポート71に繋がった供給側液体経路に接続されている。回収側圧力センサ632は、ヘッド1と回収タンク602との間であって、ヘッド100の回収ポート72に繋がった回収側液体経路に接続されている。
【0083】
回収タンク602の一方は、第1送液ポンプ604を介して供給タンク601と接続されており、回収タンク602の他方は第2送液ポンプ605を介してメインタンク603と接続されている。
【0084】
これにより、供給タンク601から供給ポート71を通ってヘッド100内に液体が流入し、回収ポート72から回収タンク602へ回収され、第1送液ポンプ604によって回収タンク602から供給タンク601へ液体が送られることによって、液体が循環する循環経路が構成される。
【0085】
ここで、供給タンク601にはコンプレッサ611がつなげられており、供給側圧力センサ631で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、回収タンク602には真空ポンプ621がつなげられており、回収側圧力センサ632で所定の負圧が検知されるよう制御される。
【0086】
これにより、ヘッド100内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0087】
また、ヘッド100のノズル4から液体を吐出すると、供給タンク601及び回収タンク602内の液体量が減少していく。そのため、適宜、第2送液ポンプ605を用いて、メインタンク603から回収タンク602に液体を補充する。
【0088】
なお、メインタンク603から回収タンク602への液体補充のタイミングは、回収タンク602内の液体の液面高さが所定高さよりも下がったときに液体補充を行うなど、回収タンク602内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0089】
次に、本発明の液体吐出装置としての印刷装置の他の例について
図15及び
図16を参照して説明する。
図15は同装置の要部平面説明図、
図16は同装置の要部側面説明図である。
【0090】
この印刷装置500は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0091】
このキャリッジ403には、液体吐出ヘッド100及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド100は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド100は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0092】
液体吐出ヘッド100は、前述した液体循環装置600と接続されて、所要の色の液体が循環供給される。
【0093】
この印刷装置500は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0094】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド100に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0095】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0096】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド100の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0097】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド100のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0098】
主走査移動機構493、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0099】
このように構成したこの印刷装置500においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0100】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド100を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0101】
次に、本発明の液体吐出ヘッドを用いた液体吐出ユニットの例について
図17を参照して説明する。
図17は同ユニットの要部平面説明図である。
【0102】
この液体吐出ユニット440、前記液体吐出装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド100で構成されている。
【0103】
なお、この液体吐出ユニット440の例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420を更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0104】
次に、液体吐出ユニットの更に他の例について
図18を参照して説明する。
図18は同ユニットの正面説明図である。
【0105】
この液体吐出ユニット440は、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド100と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0106】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド100と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0107】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0108】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0109】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0110】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0111】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0112】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0113】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0114】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0115】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0116】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0117】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0118】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0119】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0120】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0121】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0122】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0123】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0124】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0125】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0126】
1 ノズル板
4 ノズル孔
81 基板
82 圧電体
83 共通液室プレート
84 共通液室
85 隔壁
86 天井プレート
87 供給路
88 インク
91 脱粒
92 接着剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【文献】特開平3-65350号公報
【文献】特許第3427608号公報