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特許7552182画像形成装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240910BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240910BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240910BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J29/393 105
H04N1/00 002Z
B41J29/38 202
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020155738
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049505
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 孔佑
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英明
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-297069(JP,A)
【文献】特開2003-312090(JP,A)
【文献】特開2012-249268(JP,A)
【文献】特開2012-61692(JP,A)
【文献】特開2009-130890(JP,A)
【文献】特開2006-187990(JP,A)
【文献】特開2004-159240(JP,A)
【文献】特開2003-304377(JP,A)
【文献】特開2000-198566(JP,A)
【文献】特開2007-293069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、前記搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と、
前記読み取り画像に基づいて前記搬送面における汚れの発生領域を検出する汚れ検出部と、
前記汚れ検出部によって検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認部と
を備え、
前記汚れ検出部は、
前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定し、
前記汚れ検出部によって設定された前記許容領域を記憶する記憶部を備え、
前記汚れ検出部は、検出された前記汚れの発生領域が、前記記憶部に記憶されている前記許容領域の範囲内である場合、当該汚れの発生領域の汚れを許容する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、前記搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と、
前記読み取り画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々について、汚れを表す画素の画素数に基づいて、汚れの発生領域とするか否かを判断することで前記搬送面における前記汚れの発生領域を検出する汚れ検出部と、
前記汚れ検出部によって検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認部と
を備え、
前記汚れ検出部は、
前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記汚れ検出部は、
前記複数の領域の各々について、ユーザによる過去の判断結果に基づく許容可能画素数を基準として、前記汚れの発生領域とするか否かを判断する
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記汚れ検出部は、
前記複数の領域の各々について、ユーザによる過去の判断結果と所定の重み付け係数とに基づく許容可能画素数を基準として、前記汚れの発生領域とするか否かを判断する
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記汚れ検出部は、
前記複数の領域の各々について、前記搬送面の地肌を表す画素とは異なる画素の画素数に基づいて、前記汚れの発生領域とするか否かを判断する
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記汚れ検出部は、
前記搬送面の地肌を表す画素の基準値として、前記読み取り画像から最も多く検出された画素値を用いる
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送面の地肌を表す画素の基準値を予め記憶する記憶部
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記確認部は、
前記汚れ検出部によって検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する際に、前記読み取り画像を呈示するとともに、前記読み取り画像において、前記許容領域に設定することを推奨する推奨領域を、前記ユーザに呈示する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記確認部は、
前記汚れ検出部によって検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する際に、前記読み取り画像を呈示するとともに、前記読み取り画像において、既に設定されている前記許容領域を、前記ユーザに呈示する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
定期的に、
前記確認部が、前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かを前記ユーザに確認し、
前記汚れ検出部が、前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、前記許容領域として設定する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送面の変更が発生する毎に、
前記確認部が、前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かを前記ユーザに確認し、
前記汚れ検出部が、前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、前記許容領域として設定する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
印刷ジョブ毎に、
前記確認部が、前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かを前記ユーザに確認し、
前記汚れ検出部が、前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、前記許容領域として設定する
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記汚れ検出部は、
印刷ジョブの設定情報に基づいて、前記許容領域を自動的に設定する
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記汚れ検出部は、
前記許容領域に該当しない前記汚れの発生領域が検出された場合、前記ユーザに対する前記搬送面の清掃要求を行う
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記汚れ検出部は、
前記許容領域に該当しない前記汚れの発生領域が検出された場合、前記ユーザに対するインクジェット記録ヘッドの清掃要求を行う
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、前記搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と
を備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記読み取り画像に基づいて前記搬送面における汚れの発生領域を検出する汚れ検出工程と、
前記汚れ検出工程において検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認工程と、
前記確認工程において前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定する設定工程と
前記設定工程において設定された前記許容領域を記憶する記憶工程と、
前記汚れ検出工程において検出された前記汚れの発生領域が、前記記憶工程で記憶されている前記許容領域の範囲内である場合、当該汚れの発生領域を許容する許容工程と
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項17】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、前記搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と
を備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記読み取り画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々について、汚れを表す画素の画素数に基づいて、汚れの発生領域とするか否かを判断することで前記搬送面における汚れの発生領域を検出する汚れ検出工程と、
前記汚れ検出工程において検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認工程と、
前記確認工程において前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定する設定工程と
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項18】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、前記搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と
を備えた画像形成装置用のプログラムであって、
コンピュータを、
前記読み取り画像に基づいて前記搬送面における汚れの発生領域を検出する汚れ検出部、および、
前記汚れ検出部によって検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認部
として機能させ、
前記汚れ検出部に、
前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定させ
前記汚れ検出部によって設定された前記許容領域を記憶する記憶部として機能させ、
前記汚れ検出部は、検出された前記汚れの発生領域が、前記記憶部に記憶されている前記許容領域の範囲内である場合、当該汚れの発生領域を許容する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項19】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、前記搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と
を備えた画像形成装置用のプログラムであって、
コンピュータを、
前記読み取り画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々について、汚れを表す画素の画素数に基づいて、汚れの発生領域とするか否かを判断することで前記搬送面における汚れの発生領域を検出する汚れ検出部、および、
前記汚れ検出部によって検出された前記汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認部
として機能させ、
前記汚れ検出部に、
前記確認部によって前記汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、理想的な状態が明確になっている搬送ローラの搬送面の汚れを光学読取機構にて検出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、搬送面の理想的な状態(すなわち、汚れの発生していない状態)を事前に認識することなく、当該搬送面の汚れを検出することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送手段の搬送面を光学的に読み取ることによって、搬送面の読み取り画像を生成する光学読み取り手段と、読み取り画像に基づいて搬送面における汚れの発生領域を検出する汚れ検出部と、汚れ検出部によって検出された汚れの発生領域が許容できるものであるか否かを、ユーザに確認する確認部とを備え、汚れ検出部は、確認部によって汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定する。
【発明の効果】
【0005】
一実施形態によれば、搬送面の理想的な状態を事前に認識することなく、当該搬送面の汚れを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図
図2】一実施形態に係る画像形成装置が備えるインクジェット記録モジュールの構成を示す図
図3】一実施形態に係る画像形成装置が備える汚れ検出構成を示す図
図4】一実施形態に係るドラムの搬送面における許容領域の一例を示す図
図5】一実施形態に係る画像形成装置の機能構成の一例を示す図
図6】一実施形態に係る画像形成装置による処理の手順の一例を示すフローチャート
図7】一実施形態に係る画像形成装置において、ユーザに呈示される読み取り画像の一例を示す図
図8】一実施形態に係る画像形成装置において、汚れ検出部による汚れ発生領域を検出する方法の一例を説明するための図
図9】一実施形態に係る画像形成装置において、汚れ検出部による汚れ発生領域を検出する方法の一例(第2例)を説明するための図
図10】一実施形態に係る画像形成装置において、汚れ検出部による汚れ発生領域を検出する際に用いられる、搬送面の地肌とは異なるRGB値の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0008】
(画像形成装置200の全体構成)
図1は、一実施形態に係る画像形成装置200の全体構成を示す図である。図1に示す画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置である。
【0009】
図1に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200は、画像形成部210、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、記録媒体反転部250、および排紙部290を備える。
【0010】
給紙部220は、給紙スタック221に積載された記録媒体W1を、エアー分離部222によって1枚ずつピックアップし、レジスト調整部230へ送出する。
【0011】
レジスト調整部230は、給紙部220から送出された記録媒体W1に対し、レジストローラ対231によって、傾きの補正を行う。そして、レジスト調整部230は、傾きの補正が行われた後の記録媒体W1を、画像形成部210へ送出する。
【0012】
画像形成部210は、レジスト調整部230から送出された記録媒体W1の先端を、円筒形状のドラム10(「搬送手段」の一例)の表面に設けられた記録媒体グリッパ11によって挟んだ状態で、ドラム10が回転することにより、当該記録媒体W1を、ヘッドモジュール28K~28Pの各々に対向する位置へ搬送する。画像形成部210では、円筒形状のドラム10表面に沿って、インクジェット方式によりインクを吐出する記録ヘッドユニットであるヘッドモジュール28K~28Pが、所定のインク色を充填した状態で放射状に角度をもって配置されている。画像形成部210は、ヘッドモジュール28K~28Pの各々が、ドラム10の表面に保持された記録媒体W1の表面に対して、インク(液体)を吐出することにより、記録媒体W1の表面に画像を形成する。そして、画像形成部210は、画像が形成された後の記録媒体W1を、乾燥部240へ送出する。
【0013】
乾燥部240は、乾燥ユニット241の下側を記録媒体W1が通過することにより、記録媒体W1を乾燥させる。そして、乾燥部240は、乾燥された後の記録媒体W1を、排紙部290へ送出する。但し、乾燥部240は、両面印刷の場合には、乾燥された後の記録媒体W1を、記録媒体反転部250へ送出する。
【0014】
記録媒体反転部250は、乾燥部240から送出された記録媒体W1を、記録媒体反転機構251によって反転し、反転搬送部252によって、画像形成部210へ送出する。画像形成部210の内部に設けられたレジストローラ253は、記録媒体反転部250から送出された記録媒体W1の傾きを補正し、ドラム10へ搬送する。
【0015】
排紙部290は、乾燥部240から送出された複数の記録媒体W1が、互いに揃えられた状態で積載される。
【0016】
(インクジェット記録モジュール20の構成)
一実施形態に係る画像形成装置200(画像形成部210)が備えるインクジェット記録モジュール20の構成を示す図である。
【0017】
図2に示すように、インクジェット記録モジュール20は、駆動制御基板21、ケーブル22、およびインクジェット記録ヘッド23を備える。
【0018】
駆動制御基板21は、駆動制御部25、駆動波形生成部26、および記憶手段24が搭載されている。
【0019】
ケーブル22は、駆動制御基板21に接続される駆動制御基板コネクタ27と、インクジェット記録ヘッド23に接続されるヘッド側コネクタ28とを有する。ケーブル22は、駆動制御基板21と、インクジェット記録ヘッド23との間で、アナログ信号およびデジタル信号を伝送する。
【0020】
インクジェット記録ヘッド23は、残留振動検知モジュール29、ヘッド基板30、ヘッド内インクタンク31、ヘッド駆動IC基板32、および剛性プレート33を有する。なお、本実施形態の画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置であるため、インクジェット記録モジュール20では、複数のインクジェット記録ヘッド23が、記録媒体W1の搬送方向と直交する方向(すなわち、記録媒体W1の幅方向)に並べて設けられている。但し、本発明は、ライン走査型インクジェット記録装置への適用に限らず、その他の方式を用いた記録装置(例えば、インクジェット記録ヘッドが、主走査方向に移動しながら、記録媒体の表面に画像を形成するシリアル走査型プリンタ)にも適用可能である。
【0021】
(汚れ検出構成)
図3は、一実施形態に係る画像形成装置200(画像形成部210)が備える汚れ検出構成を示す図である。
【0022】
図3に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200(画像形成部210)は、ドラム10の搬送面10Aと対向して、スキャナ40が設けられている。スキャナ40は、「光学読み取り手段」の一例であり、ドラム10の搬送面10Aを光学的に読み取ることによって、搬送面10Aの読み取り画像を生成する。
【0023】
図3(b)に示すように、スキャナ40は、主走査方向(図中X軸方向)に関しては、搬送面10Aの全域を覆うことで、搬送面10Aの全域を読み取り対象領域としてカバーし、すなわち、汚れ検出が可能である。また、スキャナ40は、ドラム10を回転させながら、光学的な読み取りを行うことによって、副走査方向(図中Y軸方向)においても、搬送面10Aの全域を読み取り対象領域としてカバーし、すなわち、汚れ検出が可能である。
【0024】
なお、本実施形態では、スキャナ40として、画像濃度を読み取るために画像形成装置200(画像形成部210)に搭載されているものを用いている。但し、これに限らず、スキャナ40として、汚れ検出専用のものを別途設けるようにしてもよい。
【0025】
このような汚れ検出構成を有する画像形成装置200は、例えば、予め取得しておいた搬送面10Aの理想的な状態(すなわち、汚れが生じていない状態)の画像と、スキャナ40によって生成された搬送面10Aの画像とを比較することにより、搬送面10Aにおける汚れ発生領域を検出することができる。
【0026】
但し、汚れ発生領域を許容できるか否かは、ユーザや印刷ジョブにより異なる可能性がある。例えば、搬送面10Aに僅かに汚れ発生領域が生じている場合であっても、ユーザや印刷ジョブによっては、この汚れ発生領域を許容できると判断できる場合がある。それにも関わらず、従来技術では、この汚れ発生領域を一律に許容できないものと判断し、所定の汚れ対応処理(例えば、汚れの通知、装置の停止、等)を不必要に行ってしまう虞がある。そこで、本実施形態の画像形成装置200は、搬送面10Aに生じている汚れ発生領域を許容できるか否かをユーザに確認することで、検出する必要がない汚れの発生領域のために、所定の汚れ対応処理(例えば、汚れの通知、装置の停止、搬送面10Aの清掃、等)を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0027】
(搬送面10Aにおける許容領域の一例)
図4は、一実施形態に係るドラム10の搬送面10Aにおける許容領域の一例を示す図である。図4に示す例では、搬送面10Aにおいて、主走査方向の中央に、記録媒体W1が通過する領域が発生しており、記録媒体W1が通過する領域の左右両方の外側に、記録媒体W1が通過しない領域が発生している。画像形成装置200は、この記録媒体W1が通過しない領域を、自動認識するとともに、汚れを許容する「許容領域」と判定し、当該「許容領域」を記憶部523に設定することができる。記録媒体W1が通過しない領域に汚れが発生した場合であっても、当該汚れが記録媒体W1に付着する可能性は低く、当該汚れを無視できるからである。
【0028】
このように、一実施形態に係る画像形成装置200は、記録媒体W1への影響を及ぼさない「許容領域」の汚れを無視することで、装置のダウンタイム時間を軽減することができる。
【0029】
なお、ドラム10の搬送面10Aには、記録媒体を吸引するための吸引機構(例えば吸引穴)が設けられている場合がある。そこで、「許容領域」を適切に設定するためには、吸引機構と汚れとを適切に判別しなければならない。但し、一実施形態に係る画像形成装置200は、搬送面10Aの読み取り画像をユーザに呈示して、汚れ発生領域を「許容領域」とするか否かをユーザに判断させるため、吸引機構と汚れとを適切に判別するロジックを予め用意しておく必要が無く、且つ、吸引機構を有する領域が「許容領域」として記憶部523に誤って設定されてしまうことを抑制することができる。
【0030】
(画像形成装置200の機能構成)
図5は、一実施形態に係る画像形成装置200の機能構成の一例を示す図である。図5に示すように、画像形成装置200は、スキャナ40、コントロール部510、印刷処理部520、汚れ検出部521、確認部522、および記憶部523を備える。
【0031】
汚れ検出部521は、スキャナ40に対し、搬送面10Aの読み取り画像の生成を指示する。そして、汚れ検出部521は、スキャナ40によって生成された搬送面10Aの読み取り画像に基づいて、搬送面10Aにおける汚れの発生領域を検出する。
【0032】
確認部522は、汚れ検出部521によって検出された搬送面10Aにおける汚れの発生領域の汚れが許容できるものであるか否かを、コントロール部510(制御部511およびユーザIF512)を介して、ユーザに確認する。
【0033】
汚れ検出部521は、確認部522によって搬送面10Aにおける汚れの発生領域の汚れが許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する「許容領域」として、記憶部523に設定する。
【0034】
汚れ検出部521は、「許容領域」が記憶部523に設定された場合、以降、当該「許容領域」を、汚れの発生領域として検出しないようにすることができる。これにより、汚れ検出部521は、検出する必要がない汚れのために、所定の汚れ対応処理(例えば、汚れの通知、装置の停止、搬送面10Aの清掃、等)を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0035】
なお、画像形成装置200は、所定の条件を満たす領域(例えば、図4に例示するように、記録媒体W1が通過しない領域)を「許容領域」と判定し、当該「許容領域」を記憶部523に設定してもよい。
【0036】
なお、上記した画像形成装置200の各機能は、コンピュータが画像形成装置200用のプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、上記した画像形成装置200の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記した画像形成装置200の各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0037】
(画像形成装置200による処理の手順)
図6は、一実施形態に係る画像形成装置200による処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0038】
まず、汚れ検出部521が、スキャナ40によって生成された読み取り画像に基づいて、搬送面10Aにおける汚れの発生領域を検出する(ステップS601)。
【0039】
次に、汚れ検出部521が、ステップS601で検出された汚れの発生領域が、記憶部523に設定されている「許容領域」の範囲内であるか否かを判断する(ステップS602)。
【0040】
ステップS602において、「許容領域」の範囲内であると判断された場合(ステップS602:Yes)、画像形成装置200は、図6に示す一連の処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS602において、「許容領域」の範囲内ではないと判断された場合(ステップS602:No)、確認部522が、ステップS601で検出された汚れの発生領域の汚れが許容できるものであるか否かを、コントロール部510(制御部511およびユーザIF512)を介して、ユーザに確認する(ステップS603)。
【0042】
そして、汚れ検出部521が、ステップS603の確認処理の結果が「許容できる」であるか否かを判断する(ステップS604)。
【0043】
ステップS604において、「許容できる」ではないと判断された場合(ステップS604:No)、汚れ検出部521が、所定の汚れ対応処理(例えば、ユーザへの汚れの通知、ユーザへの搬送面10Aの清掃要求、清掃装置の停止、搬送面10Aの清掃、等)を実行する(ステップS605)。そして、画像形成装置200は、図6に示す一連の処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS604において、「許容できる」であると判断された場合(ステップS604:Yes)、汚れ検出部521が、ステップS601で検出された汚れの発生領域を、「許容領域」として記憶部523に設定する(ステップS606)。そして、画像形成装置200は、図6に示す一連の処理を終了する。
【0045】
なお、汚れ検出部521は、「許容領域」に該当しない汚れの発生領域が検出された場合、所定の汚れ対応処理として、ユーザに搬送面10Aの清掃要求を行うようにしてもよく、ユーザにインクジェット記録ヘッド23の清掃要求を行うようにしてもよい。これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、搬送面10Aまたはインクジェット記録ヘッド23の汚れを直ちに除去するように、ユーザに促すことができる。
【0046】
例えば、画像形成装置200は、図6に示す一連の処理を、定期的に実施してもよい。これにより、画像形成装置200は、定期的に、搬送面10Aの最新の状態に応じて、「許容領域」を適切に設定することができる。
【0047】
また、例えば、画像形成装置200は、図6に示す一連の処理を、所定のイベントが発生したタイミングで実施してもよい。これにより、画像形成装置200は、所定のイベント(例えば、搬送路の変更、等)が発生する毎に、搬送面10Aの最新の状態に応じて、「許容領域」を適切に設定することができる。
【0048】
また、例えば、画像形成装置200は、図6に示す一連の処理を、印刷ジョブ毎に実施してもよい。これにより、画像形成装置200は、印刷ジョブ毎に、搬送面10Aの最新の状態と、印刷ジョブの品質要求とに応じて、「許容領域」を適切に設定することができる。
【0049】
また、例えば、画像形成装置200は、印刷ジョブの設定情報に基づいて、自動的に「許容領域」を設定してもよい。例えば、画像形成装置200は、印刷ジョブの設定情報に含まれている用紙サイズに基づいて、搬送面10Aにおける、その用紙サイズの記録媒体W1が通過しない領域を、「許容領域」として自動的に設定してもよい。
【0050】
(ユーザに呈示される読み取り画像の一例)
図7は、一実施形態に係る画像形成装置200において、ユーザに呈示される読み取り画像の一例を示す図である。図7に示す読み取り画像700は、スキャナ40によって生成され、確認部522によってユーザに呈示される読み取り画像の一例である。
【0051】
図7に示すように、確認部522は、読み取り画像700において、主走査方向における左右両方の外側の記録媒体W1が通過しない領域(図4参照)を、推奨許容領域701,702としてユーザに呈示してもよい。推奨許容領域701,702は、ユーザに対して、「許容領域」として指定することを推奨する領域である。これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、ユーザが、推奨許容領域701,702を参考にして、「許容領域」を指定できるようになるため、ユーザによる「許容領域」の指定を、容易且つ適切に行わせることができる。もし、推奨許容領域701,702が、ユーザによって「許容領域」に指定された場合、以降、汚れ検出部521は、推奨許容領域701,702に発生している汚れ710(図7参照)を許容することができる。
【0052】
また、図7に示すように、確認部522は、読み取り画像700において、既存許容領域703をユーザに呈示してもよい。既存許容領域703は、既にユーザによって汚れ710を許容する「許容領域」として指定されている領域である。これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、ユーザが、呈示された既存許容領域703を参考にして、当該既存許容領域703を「許容領域」として二重に指定してしまうことを防止することができる。なお、汚れ検出部521は、ユーザに呈示された既存許容領域703を、改めて、ユーザが「許容領域」として指定できるようにしてもよい。
【0053】
(汚れ検出部521による汚れ発生領域を検出する方法の一例(第1例))
図8は、一実施形態に係る画像形成装置200において、汚れ検出部521による汚れ発生領域を検出する方法の一例(第1例)を説明するための図である。図8に示す読み取り画像800は、スキャナ40によって生成される読み取り画像の一例である。
【0054】
例えば、汚れ検出部521は、図8に示すように、スキャナ40によって生成された読み取り画像800を、複数の領域に分割する。そして、汚れ検出部521は、読み取り画像800の複数の領域の各々について、汚れを表す画素の画素数を算出する。例えば、図8に示す例では、汚れ検出部521は、汚れ801が発生している汚れ発生領域800Aについて、汚れ801を表す画素の画素数を算出する。さらに、汚れ検出部521は、算出された汚れ801を表す画素の画素数と、ユーザによる汚れ発生領域800Aを許容するか否かの判断結果とに応じて、許容可能画素数を決定する。
【0055】
例えば、汚れ検出部521は、汚れ801を表す画素の画素数が「1000」であり、ユーザによって汚れ発生領域800Aを許容すると判断され、さらに、許容可能画素数を算出するための重み付け係数を「1.1」とする場合、許容可能画素数を「1100」に決定する。
【0056】
このように、汚れ検出部521は、許容可能画素数を決定した場合、以降、読み取り画像800を構成する複数の領域のうち、許容可能画素数未満の汚れが発生している領域を、汚れ発生領域として検出しないようにしてもよい。
【0057】
なお、許容可能画素数を算出するための重み付け係数として、複数種類の重み付け係数が利用可能であってもよい。例えば、許容可能画素数を算出するための重み付け係数として、高検出モードでは「1.1」が用いられ、高生産モードでは「1.3」が用いられてもよい。
【0058】
(汚れ検出部521による汚れ発生領域を検出する方法の一例(第2例))
図9は、一実施形態に係る画像形成装置200において、汚れ検出部521による汚れ発生領域を検出する方法の一例(第2例)を説明するための図である。図9に示す読み取り画像900は、スキャナ40によって生成される読み取り画像の一例である。
【0059】
例えば、汚れ検出部521は、図9に示すように、スキャナ40によって生成された読み取り画像900を、複数の領域に分割する。そして、汚れ検出部521は、読み取り画像900の複数の領域の各々について、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値(詳しくは、図10参照)を有する画素の画素数を算出する。
【0060】
例えば、図9に示す領域900A-1は、汚れが発生していないときの領域900Aの状態を表しており、複数の吸引孔902(画素数=600)が含まれているため、汚れ検出部521は、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値を有する画素の画素数として、「600」を算出する。
【0061】
汚れ検出部521は、汚れが発生していないときの、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値を有する画素の画素数「600」を基準とすることにより、読み取り画像900の複数の領域の各々について、汚れ発生領域であるか否かを判断することができる。
【0062】
例えば、図9に示す領域900A-2は、複数の汚れ901が発生していないときの領域900Aの状態を表しており、複数の吸引孔902(画素数=600)に加えて、複数の汚れ901(画素数=600)が含まれているため、汚れ検出部521は、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値を有する画素の画素数として、「1200」を算出する。このため、汚れ検出部521は、領域900A-2を、汚れ発生領域と判断することができる。
【0063】
(搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値の一例)
図10は、一実施形態に係る画像形成装置200において、汚れ検出部521による汚れ発生領域を検出する際に用いられる、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値の一例を示す図である。
【0064】
図10に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200においては、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値として、搬送面10Aの地肌をRGBの範囲R1が、予め設定されている。
【0065】
例えば、搬送面10Aの地肌のRGB値(スキャナ40による検出値)の基準値が、220(R),205(G),220(B)である場合において、±20%を地肌の許容範囲とする場合、以下のように、地肌を表すRGB値の基準範囲が設定される。
【0066】
R:176~255
G:164~246
B:176~255
【0067】
そして、汚れ検出部521は、上記地肌を表すRGB値の基準範囲から逸脱する画素を、搬送面10Aの地肌とは異なるRGB値を有する画素(すなわち、吸引孔または汚れを表す画素)として判断する。
【0068】
なお、汚れ検出部521は、上記した地肌のRGB値の各基準値として、地肌が撮像されている読み取り画像から最も多く検出された画素値を用いてもよい。また、汚れ検出部521は、上記した地肌のRGB値の各基準値として、記憶部523に予め記憶されているものを用いてもよい。
【0069】
また、汚れ検出部521は、上記した地肌を表すRGB値の基準範囲を、適切なタイミング(例えば、定期的、搬送路が変更されたタイミング、等)で、スキャナ40によって検出することにより、変更してもよい。これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、搬送面10Aの地肌の最新の色味に応じて、汚れおよび吸引孔の判断を適切に行うことができる。
【0070】
以上説明したように、一実施形態に係る画像形成装置200は、記録媒体を搬送するドラム10と、ドラム10の搬送面10Aを光学的に読み取ることによって、搬送面10Aの読み取り画像を生成するスキャナ40と、スキャナ40によって生成された読み取り画像に基づいて、搬送面10Aにおける汚れの発生領域を検出する汚れ検出部521と、汚れ検出部521によって検出された汚れの発生領域が許容できるものであるか否かをユーザに確認する確認部522とを備え、汚れ検出部521は、確認部522によって汚れの発生領域が許容できるものであることが確認された場合、当該汚れの発生領域を、汚れを許容する許容領域として設定する。
【0071】
これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、搬送面10Aの理想的な状態を事前に認識することなく、当該搬送面10Aの汚れを検出することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 ドラム
10A 搬送面
20 インクジェット記録モジュール
40 スキャナ
200 画像形成装置
210 画像形成部
220 給紙部
230 レジスト調整部
240 乾燥部
250 記録媒体反転部
290 排紙部
510 コントロール部
520 印刷処理部
521 汚れ検出部
522 確認部
523 記憶部
700,800,900 読み取り画像
W1 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【文献】特開2011-160314号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10