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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ガラス製造装置、及びガラス製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/167 20060101AFI20240910BHJP
   C03B 5/225 20060101ALI20240910BHJP
   F27D 3/14 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C03B5/167
C03B5/225
F27D3/14 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020171997
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063638
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 仁
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-521248(JP,A)
【文献】特開2000-001319(JP,A)
【文献】特開2019-108259(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169333(WO,A1)
【文献】米国特許第04219326(US,A)
【文献】特表2018-506695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 5/00 - 5/44
F27D 3/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス原料を溶解し、溶融ガラスを製造する溶解装置と、
前記溶解装置で製造した前記溶融ガラスを成形する成形装置と、
前記溶解装置と前記成形装置の間に位置し、前記溶融ガラスを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の位置を移動する移動装置と、を備え、
前記移動装置は、第1水平方向及び前記第1水平方向とは異なる第2水平方向の両方向における前記搬送装置の位置を調整する水平方向調整機構を含む、ガラス製造装置。
【請求項2】
前記水平方向調整機構は、前記第1水平方向における前記搬送装置の位置を調整する第1ユニットと、前記第2水平方向における前記搬送装置の位置を調整する第2ユニットと、を含む、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記第1ユニットは、ボルトと、前記ボルトに対して相対的に回転可能に結合するナットと、を含み、前記ボルト又は前記ナットの回転によって、前記第1水平方向に前記搬送装置を移動する、請求項2に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記第1ユニットは、前記ナットを2つ含み、2つの前記ナットで前記第1水平方向における前記搬送装置の移動を制限する、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記移動装置は、前記第1水平方向における前記搬送装置の位置測定に用いる第1測定器と、前記第2水平方向における前記搬送装置の位置測定に用いる第2測定器と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記移動装置は、前記搬送装置と床との間に転動体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記移動装置は、鉛直方向における前記搬送装置の位置を調整する鉛直方向調整機構を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のガラス製造装置。
【請求項8】
前記鉛直方向調整機構は、ジャッキを含む、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記搬送装置は、前記溶融ガラスを送る導管を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記導管は、上方に開放された鉛直管を含む、請求項9に記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記鉛直管の内部にて前記溶融ガラスを攪拌する攪拌装置を備える、請求項10に記載のガラス製造装置。
【請求項12】
前記攪拌装置の位置を移動する第2移動装置を備え、
前記第2移動装置は、前記第1水平方向及び前記第2水平方向の両方向における前記攪拌装置の位置を調整する第2水平方向調整機構を含む、請求項11に記載のガラス製造装置。
【請求項13】
前記第2移動装置は、鉛直方向における前記攪拌装置の位置を調整する第2鉛直方向調整機構を含む、請求項12に記載のガラス製造装置。
【請求項14】
前記溶解装置と前記成形装置の間に位置し、前記溶融ガラスを清澄する清澄装置を備え、
前記清澄装置は、前記溶融ガラスを減圧脱泡する減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽に前記溶融ガラスを上昇させる上昇管と、前記減圧脱泡槽から前記溶融ガラスを下降させる下降管と、を含み、
前記鉛直管には、前記上昇管又は前記下降管が挿入される、請求項10に記載のガラス製造装置。
【請求項15】
前記成形装置は、溶融金属を収容するフロートバスを含み、
前記搬送装置は、前記フロートバスに収容した前記溶融金属の上に前記溶融ガラスを供給するリップを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス製造装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のガラス製造装置を用いてガラスを製造する、ガラス製造方法であって、
前記水平方向調整機構によって、前記第1水平方向と前記第2水平方向の両方向における前記搬送装置の位置を調整することを含む、ガラス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス製造装置、及びガラス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製造装置は、溶解装置と、成形装置と、徐冷装置と、を備える。溶解装置は、ガラス原料を溶解し、溶融ガラスを製造する。成形装置は、溶融ガラスを所望の形状に成形する。徐冷装置は、成形装置によって成形したガラスを徐冷する。その後、製品であるガラスが得られる。
【0003】
特許文献1記載のガラス製造装置は、搬送装置を備える。搬送装置は、溶解装置と成形装置の間に位置し、溶融ガラスを搬送する。溶解装置と成形装置の間には、搬送装置の他に、清澄装置が設けられてもよい。清澄装置は、溶融ガラスに含まれる気泡を除去し、溶融ガラスを清澄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/102895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラス製造装置は、ガラスの製造を開始する前に、使用温度まで加熱される。その際に、ガラス製造装置を構成する複数の装置のそれぞれが熱膨張する。そこで、複数の装置が干渉しないように、複数の装置の間には隙間が設けられる。但し、隙間が大きすぎると、溶融ガラスが漏れてしまう。一方、隙間が小さすぎると、隣り合う装置同士が押し合い、装置が破損する。装置が破損すると、溶融ガラスが周辺のレンガ等と接触し、ガラスの品質が低下する。また、隣り合う装置の接続口同士が、溶融ガラスの流れ方向と直交する方向にずれることがある。そのずれによって、溶融ガラスの流れに淀みが生じ、リーム等の欠点が生じることがある。
【0006】
本開示の一態様は、ガラスの品質低下を抑制する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るガラス製造装置は、溶解装置と、成形装置と、搬送装置と、移動装置と、を備える。前記溶解装置は、ガラス原料を溶解し、溶融ガラスを製造する。前記成形装置は、前記溶解装置で製造した前記溶融ガラスを成形する。前記搬送装置は、前記溶解装置と前記成形装置の間に位置し、前記溶融ガラスを搬送する。前記移動装置は、前記搬送装置の位置を移動する。前記移動装置は、第1水平方向及び前記第1水平方向とは異なる第2水平方向の両方向における前記搬送装置の位置を調整する水平方向調整機構を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、ガラスの品質低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係るガラス製造方法を示すフローチャートである。
図3図3は、ガラス製造時における溶解装置と成形装置と搬送装置の一例を示す断面図である。
図4図4は、熱上げ時における溶解装置と成形装置と搬送装置の一例を示す断面図である。
図5図5(A)は移動装置の一例を示す側面図であり、図5(B)は図5(A)の移動装置の上面図である。
図6図6(A)は移動装置の別の一例を示す側面図であり、図6(B)は図6(A)の移動装置の上面図である。
図7図7(A)は第2移動装置の一例を示す側面図であり、図7(B)は図7(A)の第2移動装置の第2水平方向調整機構の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、各図面において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに垂直な方向であって、X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。X軸方向が溶融ガラスの流れ方向、Y軸方向が溶融ガラスの幅方向である。
【0011】
まず、図1を参照して、本実施形態に係るガラス製造装置1について説明する。ガラス製造装置1は、溶解装置2と、搬送装置3と、成形装置4と、徐冷装置5と、加工装置6とを備える。
【0012】
溶解装置2は、ガラス原料を溶解し、溶融ガラスを製造する。ガラス原料は、複数種類の材料を混ぜて調製される。ガラス原料は、清澄剤を含んでもよい。清澄剤は、三酸化硫黄、塩化物又はフッ化物などである。ガラス原料は、ガラスをリサイクルすべく、ガラスカレットを含んでもよい。ガラス原料は、粉体原料でもよいし、当該粉体原料を造粒した造粒原料でもよい。ガラス原料は、ガラスの組成に応じて決定される。
【0013】
ガラスは、例えば無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス又はソーダライムガラスなどである。無アルカリガラスとは、NaO、KO等のアルカリ金属酸化物を実質的に含有しないガラスを意味する。ここで、アルカリ金属酸化物を実質的に含有しないとは、アルカリ金属酸化物の含有量の合量が0.1質量%以下を意味する。
【0014】
無アルカリガラスは、例えば、酸化物基準の質量%表示で、SiO:54%~66%、Al:10%~23%、B:6%~12%、MgO+CaO+SrO+BaO:8%~26%を含有する。
【0015】
無アルカリガラスは、高歪点とするには、酸化物基準の質量%表示で、SiO:54%~68%、Al:10%~25%、B:0.1%~5.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:8%~26%を含有することが好ましい。
【0016】
溶解装置2は、連続式であって、ガラス原料の供給と、溶融ガラスの製造とを連続的に行う。ガラス原料の単位時間当たりの投入量は、溶融ガラスの単位時間当たりの排出量と同程度である。
【0017】
搬送装置3は、溶解装置2と成形装置4の間に位置し、溶融ガラスを搬送する。搬送装置3の詳細は、後述する。溶解装置2と成形装置4の間には、搬送装置3の他、清澄装置7(図3参照)が設けられてもよい。
【0018】
清澄装置7は、溶解装置2で得られた溶融ガラスを成形装置4で成形する前に、溶融ガラス中に含まれる気泡を除去する。気泡を除去する方法として、例えば、溶融ガラスの周辺雰囲気を減圧する方法、及び溶融ガラスを高温に加熱する方法から選ばれる1つ以上が用いられる。
【0019】
成形装置4は、溶解装置2で得られた溶融ガラスを所望の形状のガラスに成形する。板状のガラスを得る成形方法として、フロート法、フュージョン法、又はロールアウト法等が用いられる。管状のガラスを得る成形方法として、ベロー法、又はダンナー法等が用いられる。
【0020】
徐冷装置5は、成形装置4で成形したガラスを徐冷する。徐冷装置5は、例えば、徐冷炉と、徐冷炉の内部においてガラスを所望の方向に搬送する搬送ローラとを有する。搬送ローラは、例えば水平方向に間隔をおいて複数配列される。ガラスは、徐冷炉の入口から出口まで搬送される間に、徐冷される。ガラスを徐冷すれば、残留歪みの少ないガラスが得られる。
【0021】
加工装置6は、徐冷装置5で徐冷したガラスを所望の形状に加工する。加工装置6は、例えば切断装置、研削装置、研磨装置、及びコーティング装置から選ばれる1つ以上であってよい。切断装置は、徐冷装置5で徐冷したガラスを切断する。切断装置は、例えば、徐冷装置5で徐冷したガラスにスクライブ線を形成し、スクライブ線に沿ってガラスを割断する。スクライブ線は、カッター又はレーザ光線を用いて形成される。研削装置は、徐冷装置5で徐冷したガラスを研削する。研磨装置は、徐冷装置5で徐冷したガラスを研磨する。コーティング装置は、徐冷装置5で徐冷したガラスに所望の膜を形成する。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るガラスの製造方法について説明する。図2に示すように、ガラスの製造方法は、溶解(ステップS11)と、搬送(ステップS12)と、成形(ステップS13)と、徐冷(ステップS14)と、加工(ステップS15)とを含む。溶解装置2が溶解(ステップS11)を実施し、成形装置4が成形(ステップS13)を実施し、徐冷装置5が徐冷(ステップS14)を実施し、加工装置6が加工(ステップS15)を実施する。
【0023】
なお、ガラスの製造方法は、清澄をさらに含んでもよい。清澄は、溶融ガラス中に含まれる気泡を除去することであり、溶解(ステップS11)の後、成形(ステップS13)の前に実施される。清澄は、例えば搬送(ステップS12)の途中で行われる。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、搬送装置3等について説明する。ガラス製造装置1は、溶解装置2と成形装置4の間に、複数の搬送装置3A~3Eを備える。また、ガラス製造装置1は、複数の搬送装置3A~3Eを個別に移動する複数の移動装置8A~8Eを備える。移動装置8Aは、詳しくは後述するが、第1水平方向(例えばX軸方向)及び第1水平方向とは異なる第2水平方向(例えばY軸方向)の両方向における搬送装置3Aの位置を調整する。また、移動装置8Aは、鉛直方向における搬送装置3Aの位置を調整する。その他の移動装置8B~8Eも同様である。
【0025】
図4に示すように、熱上げ時には、溶解装置2と搬送装置3Aの間に隙間が形成される。また、熱上げ時には、隣り合う搬送装置同士(例えば搬送装置3Aと搬送装置3B)の間に隙間が形成される。熱上げ時には、溶融ガラスGは搬送されないので、隙間が大きくても、溶融ガラスGが漏れ出すことはない。装置同士の干渉を防止でき、装置の破損を防止できる。その結果、ガラスの製造時に、溶融ガラスGが後述する導管31A~31D及びリップ37Eの周囲に設けられる断熱レンガ等と接触して溶融ガラスGに異物が混入するのを防止でき、ひいてはガラスの品質が低下するのを防止できる。
【0026】
熱上げの終了後、ガラス製造の開始前に、溶融ガラスGが漏れ出さない程度に、溶解装置2と搬送装置3Aの間の隙間がX軸方向に狭められる。同様に、隣り合う搬送装置同士(例えば搬送装置3Aと搬送装置3B)の間の隙間がX軸方向に狭められる。これらの隙間は、狭められた結果、無くなってもよい。
【0027】
ところで、熱上げによって、溶融ガラスGの流れ方向と直交する方向(例えばY軸方向又はZ軸方向)に、隣り合う装置の接続口同士がずれることがある。そのずれを放置して、ガラスの製造を開始すると、溶融ガラスGの流れに淀みが生じ、リーム等の欠点が生じることがある。
【0028】
そこで、本実施形態では、熱上げの終了後、ガラス製造の開始前に、溶解装置2に対して搬送装置3AがY軸方向又はZ軸方向に移動させられる。同様に、隣り合う搬送装置同士(例えば搬送装置3Aと搬送装置3B)が相対的にY軸方向又はZ軸方向に移動させられる。また、成形装置4に対して搬送装置3EがY軸方向又はZ軸方向に移動させられる。
【0029】
その後、図3に示すように、搬送装置3A~3Eが、溶融ガラスGを溶解装置2から成形装置4に搬送し、ガラスの製造を開始する。予め隣り合う装置の接続口同士を合わせてあるので、溶融ガラスGの流れに淀みが生じるのを抑制でき、リーム等の欠点が生じるのを抑制できる。
【0030】
図3に示すように、溶解装置2と成形装置4の間には、清澄装置7が設けられてもよい。清澄装置7は、例えば、搬送装置3A~3Bと、搬送装置3C~3Eとの間に配置される。以下、図3を参照して、溶解装置2と成形装置4との間に位置する各種装置について説明する。
【0031】
搬送装置3Aは、溶融ガラスGを送る導管31Aを含む。導管31Aは、溶融ガラスGの流路を形成し、溶融ガラスGを所望の方向に導く。導管31Aは、例えば金属製である。金属製の導管31Aを通電加熱し、溶融ガラスGを加熱できる。
【0032】
導管31Aは、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)及びモリブデン(Mo)から選ばれる1種以上を含む金属で形成されてもよい。金属は合金を含む。Pt、Rh、W、Ir及びMoは、溶融ガラスGに対する耐食性に優れている。
【0033】
なお、導管31Aは、耐火レンガ製であってもよい。耐火レンガは、耐熱性及び溶融ガラスGに対する耐食性に優れることから、好ましくは電鋳レンガが用いられる。導管31Aの周囲に加熱装置が設けられることで、溶融ガラスGを加熱できる。その他の導管31B~31Dも同様である。
【0034】
導管31Aは、例えば、上方に開放された鉛直管32Aと、2本の水平管33A、34Aと、を含む。鉛直管32Aには、その上方から攪拌装置100Aの攪拌翼101Aが差し込まれる。攪拌装置100Aは、鉛直管32Aの内部にて溶融ガラスGを攪拌し、均質化する。鉛直管32Aは、2本の水平管33A、34Aの間に設けられる。水平管33Aは、溶解装置2から鉛直管32Aに溶融ガラスGを送る。水平管34Aは、鉛直管32Aから、別の搬送装置3Bの水平管33Bに溶融ガラスGを送る。
【0035】
搬送装置3Aは、導管31Aを保温する断熱部材35Aと、断熱部材35Aを介して導管31Aを支持する支持部材36Aと、を含む。断熱部材35Aは、断熱レンガ等のセラミックスである。支持部材36Aは、特に限定されないが、例えば網状のかごであり、断熱部材35Aを取り囲み、断熱部材35Aを構成する複数の断熱レンガを所望の形状にまとめる。
【0036】
搬送装置3Bは、搬送装置3Aと同様に、溶融ガラスGを送る導管31Bを含む。導管31Bは、例えば、上方に開放された鉛直管32Bと、水平管33Bと、を含む。鉛直管32Bには、上方から、後述する清澄装置7の上昇管72が差し込まれる。水平管33Bは、搬送装置3Bの水平管34Aから鉛直管32Bに溶融ガラスGを送る。搬送装置3Bは、搬送装置3Aと同様に、導管31Bを保温する断熱部材35Bを含んでもよく、更に断熱部材35Bを介して導管31Bを支持する支持部材36Bを含んでもよい。
【0037】
清澄装置7は、例えば、減圧脱泡槽71と、上昇管72と、下降管73と、を含む。減圧脱泡槽71は、溶融ガラスGを減圧脱泡する。減圧脱泡槽71の上部の空間は、大気圧よりも低い気圧に減圧される。上昇管72は、搬送装置3Bの鉛直管32Bに上方から差し込まれ、気圧差によって鉛直管32Bから減圧脱泡槽71に溶融ガラスGを上昇させる。一方、下降管73は、搬送装置3Cの鉛直管32Cに上方から差し込まれ、気圧差によって減圧脱泡槽71から鉛直管32Cに溶融ガラスGを下降させる。
【0038】
搬送装置3Cは、搬送装置3Aと同様に、溶融ガラスGを送る導管31Cを含む。導管31Cは、例えば、上方に開放された鉛直管32Cと、水平管34Cと、を含む。鉛直管32Cには、上方から、清澄装置7の下降管73が差し込まれる。水平管34Cは、鉛直管32Cから、別の搬送装置3Dの水平管33Dに溶融ガラスGを送る。搬送装置3Cは、搬送装置3Aと同様に、導管31Cを保温する断熱部材35Cを含んでもよく、更に断熱部材35Cを介して導管31Cを支持する支持部材36Cを含んでもよい。
【0039】
搬送装置3Dは、搬送装置3Aと同様に、溶融ガラスGを送る導管31Dを含む。導管31Dは、例えば、上方に開放された鉛直管32Dと、2本の水平管33D、34Dと、を含む。鉛直管32Dには、その上方から攪拌装置100Bの攪拌翼101Bが差し込まれる。攪拌装置100Bは、鉛直管32Dの内部にて溶融ガラスGを攪拌し、均質化する。鉛直管32Dは、2本の水平管33D、34Dの間に設けられる。水平管33Dは、搬送装置3Cの水平管34Cから鉛直管32Dに溶融ガラスGを送る。水平管34Dは、鉛直管32Dから、別の搬送装置3Eに溶融ガラスGを送る。搬送装置3Dは、搬送装置3Aと同様に、導管31Dを保温する断熱部材35Dを含んでもよく、断熱部材35Dを介して導管31Dを支持する支持部材36Dを更に含んでもよい。
【0040】
搬送装置3Eは、その他の搬送装置3A~3Dとは異なり、溶融ガラスGを送る導管を含まずに、代わりに、溶融金属Mの上に溶融ガラスGを連続的に供給するリップ37Eを含む。この場合、成形装置4は、フロート法で溶融ガラスGを帯板状のガラスリボンに成形する。成形装置4は、溶融金属Mを収容するフロートバス41を含む。搬送装置3Eは、リップ37Eの上を流れる溶融ガラスGの流量を調節するツイール38Eを含む。ツイール38Eとリップ37Eの隙間が大きいほど、溶融ガラスGの流量が大きい。
【0041】
なお、上記の通り、成形方法は、フロート法には限定されない。また、上記の通り、清澄方法は、減圧脱泡法には限定されない。更に、導管31A~31Dは、図3に示す構成には限定されない。例えば、導管31A~31Dは、水平面に対して傾斜した斜め管を含んでもよい。また、水平管33A、34Aの鉛直方向における位置は、異なっていてもよい。水平管33D、34Dについても同様である。
【0042】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る移動装置8Aについて説明する。その他の移動装置8B~8Eは、図5に示す移動装置8Aと同様に構成されるので、図示及び説明を省略する。移動装置8Aは、水平方向調整機構81を含む。水平方向調整機構81は、第1水平方向及び第1水平方向とは異なる第2水平方向の両方向における搬送装置3Aの位置を調整する。
【0043】
なお、本実施形態では、第1水平方向はX軸方向であり、第2水平方向はY軸方向であるが、本開示の技術はこれには限定されない。互いに異なる2つの水平方向における搬送装置3Aの位置を調整すれば、熱上げ時に干渉防止用の隙間を形成でき、また、熱上げの終了後、ガラス製造の開始前に接続口同士のずれを低減できる。
【0044】
水平方向調整機構81は、例えば、X軸方向における搬送装置3Aの位置を調整する第1ユニット82を含む。また、水平方向調整機構81は、Y軸方向における搬送装置3Aの位置を調整する第2ユニット83を含む。X軸方向における搬送装置3Aの位置と、Y軸方向における搬送装置3Aの位置とを個別に調整できる。
【0045】
第1ユニット82は、例えば、ボルト82aと、ボルト82aに対して相対的に回転可能に結合するナット82b、82cと、を含む。ボルト82aの軸方向は、X軸方向である。第1ユニット82は、ボルト82a又はナット82b、82cの回転によって、X軸方向に搬送装置3Aを移動する。
【0046】
例えば、ナット82b、82cは、建屋の床Frに対して固定された固定部11に接触しており、固定部11を挟んで配置されている。そして、ボルト82aは、L字アングル84と第2ユニット83とを介して搬送装置3Aに対して連結されている。ボルト82aは、溶接などでL字アングル84に対して固定されている。
【0047】
この場合、作業者又は作業ロボットは、ナット82b、82cの回転によって、X軸方向に搬送装置3Aを移動する。X軸負方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット82cを緩め、次にナット82bを回転させ、ボルト82aをX軸負方向に移動させる。一方、X軸正方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット82bを緩め、次にナット82cを回転させ、ボルト82aをX軸正方向に移動させる。その後、作業者又は作業ロボットは、ナット82b、82cを締め、X軸方向における搬送装置3Aの移動を制限する。移動を制限すべく、ナット82b、82cを溶接してもよい。
【0048】
なお、ボルト82aとナット82b、82cの動作の組み合わせは特に限定されない。搬送装置3AをX軸方向に移動できればよく、ナット82b、82cの回転によってナット82b、82cが移動してもよいし、ボルト82aの回転によってナット82b、82cが移動してもよいし、ボルト82aの回転によってボルト82aが移動してもよい。
【0049】
第1ユニット82は、例えば、上方から見て搬送装置3Aの四隅に設けられる。なお、第1ユニット82の数及び位置は、特に限定されない。また、第1ユニット82の構造も特に限定されず、例えば第1ユニット82として油圧シリンダが用いられてもよい。
【0050】
第2ユニット83は、例えば、ボルト83aと、ボルト83aに対して相対的に回転可能に結合するナット83b、83cと、を含む。ボルト83aの軸方向は、Y軸方向である。第2ユニット83は、ボルト83a又はナット83b、83cの回転によって、Y軸方向に搬送装置3Aを移動する。
【0051】
例えば、ナット83b、83cは、L字アングル84に接触しており、L字アングル84を挟んで配置されている。そして、ボルト83aは、溶接などで搬送装置3Aに対して固定されている。
【0052】
この場合、作業者又は作業ロボットは、ナット83b、83cの回転によって、Y軸方向に搬送装置3Aを移動する。Y軸正方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット83cを緩め、次にナット83bを回転させ、ボルト83aをY軸正方向に移動させる。一方、Y軸負方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット83bを緩め、次にナット83cを回転させ、ボルト83aをY軸負方向に移動させる。その後、作業者又は作業ロボットは、ナット83b、83cを締め、Y軸方向における搬送装置3Aの移動を制限する。移動を制限すべく、ナット83b、83cを溶接してもよい。
【0053】
なお、ボルト83aとナット83b、83cの動作の組み合わせは特に限定されない。搬送装置3AをY軸方向に移動できればよく、ナット83b、83cの回転によってナット83b、83cが移動してもよいし、ボルト83aの回転によってナット83b、83cが移動してもよいし、ボルト83aの回転によってボルト83aが移動してもよい。
【0054】
第2ユニット83は、例えば、上方から見て搬送装置3Aの四隅に設けられる。なお、第2ユニット83の数及び位置は、特に限定されない。また、第2ユニット83の構造も特に限定されず、例えば第2ユニット83として油圧シリンダが用いられてもよい。
【0055】
移動装置8Aは、X軸方向における搬送装置3Aの位置測定に用いる第1測定器85を含む。また、移動装置8Aは、Y軸方向における搬送装置3Aの位置測定に用いる第2測定器86を含む。第1測定器85と第2測定器86は、例えばレーザ変位計である。第1測定器85と第2測定器86は、単なるスケールであってもよい。スケールは、位置を示す目盛の付いたものである。第1測定器85と第2測定器86は、例えば、上方から見て搬送装置3Aの四隅に設けられる。なお、第1測定器85の数及び位置は、特に限定されない。第2測定器86の数及び位置は、特に限定されない。
【0056】
作業者又は作業ロボットは、第1測定器85と第2測定器86を用いて、X軸方向における搬送装置3Aの位置と、Y軸方向における搬送装置3Aの位置とを測定する。これらの位置を、搬送装置3Aの移動の前後で測定すれば、移動量を管理できる。また、搬送装置3Aの移動の後で、元の位置に搬送装置3Aを戻すことも可能である。
【0057】
移動装置8Aは、搬送装置3Aと床Frとの間に転動体を含む。転動体として、本実施形態では後述するように第1コロ87aと第2コロ88aが用いられるが、ボールが用いられてもよい。ボールは、二次元的に転動できる。移動装置8Aは、転動体をガイドするガイドレールを更に含んでもよい。転動体を搬送装置3Aと床Frとの間に配置することで、摩擦を低減でき、搬送装置3Aを容易に移動できる。
【0058】
例えば、移動装置8Aは、X軸方向に転がる第1コロ87aと、第1コロ87aを回転可能に保持する第1ホルダ87bと、第1ホルダ87bに対する搬送装置3Aの高さを変える第1ジャッキ87cと、を含む。第1コロ87aの回転中心線は、Y軸方向である。第1コロ87aは、床Frに接触し、転動する。第1ジャッキ87cは、パンタグラフ式のねじジャッキであるが、パンタグラフ式以外の方式のねじジャッキ、油圧ジャッキ、又はエアジャッキであってもよい。
【0059】
作業者又は作業ロボットは、搬送装置3AをX軸方向に移動する際に、第1コロ87aが床Frに接触し、且つ第2コロ88aも後述する鉛直方向調整機構89も床Frに接触しないように、予め第1ジャッキ87cによって搬送装置3Aの高さを調節する。その後、作業者又は作業ロボットは、第1ユニット82を用いて搬送装置3AをX軸方向に移動させる。その際に、第1コロ87aが床Frに接触しながら転動する。
【0060】
また、移動装置8Aは、Y軸方向に転がる第2コロ88aと、第2コロ88aを回転可能に保持する第2ホルダ88bと、第2ホルダ88bに対する搬送装置3Aの高さを変える第2ジャッキ88cと、を含む。第2コロ88aの回転中心線は、X軸方向である。第2コロ88aは、床Frに接触し、転動する。第2ジャッキ88cは、パンタグラフ式のねじジャッキであるが、パンタグラフ式以外の方式のねじジャッキ、油圧ジャッキ、又はエアジャッキであってもよい。
【0061】
作業者又は作業ロボットは、搬送装置3AをY軸方向に移動する際に、第2コロ88aが床Frに接触し、且つ第1コロ87aも鉛直方向調整機構89も床Frに接触しないように、予め第2ジャッキ88cによって搬送装置3Aの高さを調節する。その後、作業者又は作業ロボットは、第2ユニット83を用いて搬送装置3AをY軸方向に移動させる。その際に、第2コロ88aが床Frに接触しながら転動する。
【0062】
移動装置8Aは、鉛直方向における搬送装置3Aの位置を調整する鉛直方向調整機構89を含む。鉛直方向調整機構89は、例えばねじジャッキを含むが、油圧ジャッキ、又はエアジャッキを含んでもよい。鉛直方向における搬送装置3Aの位置を調整すれば、熱上げの終了後、ガラス製造の開始前に接続口同士のずれを低減できる。
【0063】
鉛直方向調整機構89は、例えば、ボルト89aと、ボルト89aに対して相対的に回転可能に結合するナット89b、89cと、を含む。ボルト89aの軸方向は、Z軸方向である。鉛直方向調整機構89は、ボルト89a又はナット89b、89cの回転によって、Z軸方向に搬送装置3Aを移動する。
【0064】
例えば、ボルト89aは、建屋の床Frに載置されている。そして、ナット89bの上に水平な固定片90が載置されている。固定片90は、溶接などで搬送装置3Aに対して固定されている。ナット89b、89cは、固定片90を挟んで配置されている。
【0065】
この場合、作業者又は作業ロボットは、ナット89b、89cの回転によって、Z軸方向に搬送装置3Aを移動する。Z軸正方向に搬送装置3Aを移動させるには、まず上側のナット89cを緩め、次に下側のナット89bを回転させ、ナット89bをZ軸正方向に移動させる。一方、Z軸負方向に搬送装置3Aを移動させるには、下側のナット89bを回転させ、ナット89bをZ軸負方向に移動させる。その後、作業者又は作業ロボットは、ナット89cを締め、Z軸方向における搬送装置3Aの移動を制限する。移動を制限すべく、ナット89b、89cを溶接してもよい。
【0066】
なお、ボルト89aとナット89b、89cの動作の組み合わせは特に限定されない。搬送装置3AをZ軸方向に移動できればよく、ナット89b、89cの回転によってボルト89aが移動してもよいし、ボルト89aの回転によってナット89b、89cが移動してもよいし、ボルト89aの回転によってボルト89aが移動してもよい。
【0067】
鉛直方向調整機構89は、例えば、上方から見て搬送装置3Aの四隅に設けられる。なお、鉛直方向調整機構89の数及び位置は、特に限定されない。また、鉛直方向調整機構89の構造も特に限定されず、例えば鉛直方向調整機構89として、第1ジャッキ87c又は第2ジャッキ88cが用いられてもよい。
【0068】
移動装置8Aは、Z軸方向における搬送装置3Aの位置測定に用いる第3測定器91を含む。第3測定器91は、例えばレーザ変位計である。第3測定器91は、単なるスケールであってもよい。第3測定器91は、例えば、上方から見て搬送装置3Aの四隅に設けられる。なお、第3測定器91の数及び位置は、特に限定されない。
【0069】
作業者又は作業ロボットは、第3測定器91を用いて、Z軸方向における搬送装置3Aの位置を測定する。この位置を、搬送装置3Aの移動の前後で測定すれば、移動量を管理できる。また、搬送装置3Aの移動の後で、元の位置に搬送装置3Aを戻すことも可能である。
【0070】
次に、図6を参照して、変形例に係る移動装置8Aについて説明する。その他の移動装置8B~8Eも、図6に示す移動装置8Aと同様に構成されてもよい。上記実施形態では第1コロ87aも第2コロ88aも床Frに接触するのに対し、本変形例では第2コロ88aのみが床Frに接触する。なお、第1コロ87aのみが床に接触してもよい。以下、主に、本変形例と上記実施形態との相違点について説明する。
【0071】
なお、本変形例でも、第1水平方向はX軸方向であり、第2水平方向はY軸方向であるが、本開示の技術はこれには限定されない。互いに異なる2つの水平方向における搬送装置3Aの位置を調整すれば、熱上げ時に干渉防止用の隙間を形成でき、また、熱上げの終了後、ガラス製造の開始前に接続口同士のずれを低減できる。
【0072】
第2ユニット83は、例えば、ボルト83aと、ナット83b、83cと、を含む。例えば、ナット83b、83cは、建屋の床Frに対して固定された固定部11に接触しており、固定部11を挟んで配置されている。そして、ボルト83aは、Y軸方向可動板92とX軸方向可動板93とジャッキ94とを介して搬送装置3Aに対して連結されている。ボルト83aの軸方向は、Y軸方向である。ボルト83aは、溶接などでY軸方向可動板92の鉛直部92aに対して固定されている。Y軸方向可動板92の水平部92bの下面には、第2ホルダ88bが固定されている。第2ホルダ88bは、第2コロ88aを回転可能に保持する。第2コロ88aの回転中心線は、X軸方向である。第2コロ88aは、床Frに接触し、転動する。
【0073】
この場合、作業者又は作業ロボットは、ナット83b、83cの回転によって、搬送装置3AをY軸方向に移動させる。Y軸負方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット83bを緩め、次にナット83cを回転させ、ボルト83aをY軸負方向に移動させる。一方、Y軸正方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット83cを緩め、次にナット83bを回転させ、ボルト83aをY軸正方向に移動させる。その後、作業者又は作業ロボットは、ナット83b、83cを締め、Y軸方向における搬送装置3Aの移動を制限する。移動を制限すべく、ナット83b、83cを溶接してもよい。なお、ボルト83aとナット83b、83cの動作の組み合わせは特に限定されない。
【0074】
第1ユニット82は、例えば、ボルト82aと、ナット82b、82cと、を含む。例えば、ボルト82aは、溶接などでY軸方向可動板92の鉛直部92cに対して固定されている。ボルト82aの軸方向は、X軸方向である。ナット82b、82cは、X軸方向可動板93の鉛直部93aに接触しており、鉛直部93aを挟んで配置されている。X軸方向可動板93の水平部93bの下面には、第1ホルダ87bが固定されている。第1ホルダ87bは、第1コロ87aを回転可能に保持する。第1コロ87aの回転中心線は、Y軸方向である。第1コロ87aは、Y軸方向可動板92の水平部92bの上面に接触し、転動する。
【0075】
この場合、作業者又は作業ロボットは、ナット82b、82cの回転によって、搬送装置3AをX軸方向に移動させる。X軸正方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット82cを緩め、次にナット82bを回転させ、ナット82bをX軸正方向に移動させる。一方、X軸負方向に搬送装置3Aを移動させるには、まずナット82bを緩め、次にナット82cを回転させ、ナット82cをX軸負方向に移動させる。その後、作業者又は作業ロボットは、ナット82b、82cを締め、X軸方向における搬送装置3Aの移動を制限する。移動を制限すべく、ナット82b、82cを溶接してもよい。なお、ボルト82aとナット82b、82cの動作の組み合わせは特に限定されない。
【0076】
ジャッキ94は、X軸方向可動板93と搬送装置3Aとの間に位置し、X軸方向可動板93に対する搬送装置3Aの高さを変える。鉛直方向調整機構89を床Frから離した状態で、搬送装置3AをX軸方向及びY軸方向に移動できる。ジャッキ94は、パンタグラフ式のねじジャッキであるが、パンタグラフ式以外の方式のねじジャッキ、油圧ジャッキ、又はエアジャッキであってもよい。
【0077】
移動装置8Aは、鉛直方向調整機構89を含んでもよい。鉛直方向調整機構89は、鉛直方向における搬送装置3Aの位置を調整する。鉛直方向調整機構89は、例えばねじジャッキを含むが、油圧ジャッキ、又はエアジャッキを含んでもよい。鉛直方向における搬送装置3Aの位置を調整すれば、熱上げの終了後、ガラス製造の開始前に接続口同士のずれを低減できる。
【0078】
鉛直方向調整機構89は、例えば、ボルト89aと、ナット89b、89cと、を含む。ボルト89aの軸方向は、Z軸方向である。例えば、ボルト89aは、建屋の床Frに載置されている。そして、ナット89bの上に水平な固定片90が載置されている。固定片90は、溶接などで搬送装置3Aに対して固定されている。ナット89b、89cは、固定片90を挟んで配置されている。
【0079】
この場合、作業者又は作業ロボットは、ナット89b、89cの回転によって、Z軸方向に搬送装置3Aを移動させる。Z軸正方向に搬送装置3Aを移動するには、まず上側のナット89cを緩め、次に下側のナット89bを回転させ、ナット89bをZ軸正方向に移動させる。一方、Z軸負方向に搬送装置3Aを移動するには、下側のナット89bを回転させ、ナット89bをZ軸負方向に移動させる。その後、作業者又は作業ロボットは、ナット89cを締め、Z軸方向における搬送装置3Aの移動を制限する。移動を制限すべく、ナット89b、89cを溶接してもよい。なお、ボルト89aとナット89b、89cの動作の組み合わせは特に限定されない。また、鉛直方向調整機構89として、ジャッキ94が用いられてもよい。
【0080】
ところで、上記実施形態及び上記変形例では、図3及び図4に示すように、熱上げの終了後、搬送装置3Aの鉛直管32Aには、上方から攪拌装置100Aの攪拌翼101Aが挿入される。同様に、熱上げの終了後、搬送装置3Dの鉛直管32Dには、上方から攪拌装置100Bの攪拌翼101Bが挿入される。
【0081】
そこで、図7に示すように、ガラス製造装置1は、攪拌装置100Aの位置を移動する第2移動装置110Aを備える。図示しないが、ガラス製造装置1は、攪拌装置100Bの位置を移動する第2移動装置をも備える。この第2移動装置は、第2移動装置110Aと同様に構成されるので、図示及び説明を省略する。以下、図7を参照して第2移動装置110Aについて説明するが、まず、攪拌装置100Aについて説明する。
【0082】
図7(A)に示すように、攪拌装置100Aは、搬送装置3Aの鉛直管32Aの内部にて溶融ガラスGを攪拌する攪拌翼101Aと、攪拌翼101Aが下端に取り付けられる回転軸102Aと、回転軸102Aを回転させるモータ103Aと、モータ103Aを載せる架台104Aと、を備える。回転軸102Aは、架台104Aの貫通穴を通り、架台104Aの下方に延びている。その下端に攪拌翼101Aが取り付けられる。なお、図7(A)では、図7(B)の第2水平方向調整機構111の図示を省略している。
【0083】
図7(B)に示すように、第2移動装置110Aは、第2水平方向調整機構111を含む。第2水平方向調整機構111は、X軸方向及びY軸方向の両方向における攪拌装置100Aの位置を調整する。熱上げの終了後、ガラスの製造開始前に、搬送装置3Aの鉛直管32Aの移動に応じて、攪拌装置100Aを適正な位置に移動できる。
【0084】
第2水平方向調整機構111は、例えば、X軸方向における攪拌装置100Aの位置を調整する第1ユニット112を含む。また、第2水平方向調整機構111は、Y軸方向における攪拌装置100Aの位置を調整する第2ユニット113を含む。X軸方向における攪拌装置100Aの位置と、Y軸方向における攪拌装置100Aの位置とを個別に調整できる。
【0085】
第1ユニット112は、例えば、ボルト112aと、ボルト112aに対して相対的に回転可能に結合するナット112bと、を含む。ボルト112aの軸方向は、X軸方向である。第1ユニット112は、ボルト112a又はナット112bの回転によって、X軸方向に攪拌装置100Aを移動する。
【0086】
例えば、ナット112bは、ベースプレート121の上面に固定されたL字アングル122に固定されている。ナット112bは、L字アングル122とは別に設けられるが、L字アングル122の一部として設けられてもよい。そして、ボルト112aの先端が、攪拌装置100Aの架台104Aに押し当てられてる。架台104Aは、ベースプレート121の上面に移動自在に載置されている。
【0087】
この場合、作業者又は作業ロボットがボルト112aを回転させると、ボルト112aがX軸方向に移動し、その結果、攪拌装置100AがX軸方向に移動する。ボルト112aの回転量で攪拌装置100AのX軸方向位置を管理できる。
【0088】
なお、ボルト112aとナット112bの動作の組み合わせは特に限定されない。攪拌装置100AをX軸方向に移動できればよく、ボルト112aの回転によってナット112bが移動してもよいし、ナット112bの回転によってボルト112aが移動してもよいし、ナット112bの回転によってナット112bが移動してもよい。
【0089】
第1ユニット112は、例えば、上方から見て攪拌装置100Aの架台104Aの四隅に設けられる。なお、第1ユニット112の数及び位置は、特に限定されない。また、第1ユニット112の構造も特に限定されず、例えば第1ユニット112として油圧シリンダが用いられてもよい。
【0090】
第2ユニット113は、例えば、ボルト113aと、ボルト113aに対して相対的に回転可能に結合するナット113bと、を含む。ボルト113aの軸方向は、Y軸方向である。第2ユニット113は、ボルト113a又はナット113bの回転によって、Y軸方向に攪拌装置100Aを移動する。
【0091】
例えば、ナット113bは、ベースプレート121の上面に固定されたL字アングル122に固定されている。ナット113bは、L字アングル122とは別に設けられるが、L字アングル122の一部として設けられてもよい。そして、ボルト113aの先端が、攪拌装置100Aの架台104Aに押し当てられてる。
【0092】
この場合、作業者又は作業ロボットがボルト113aを回転させると、ボルト113aがY軸方向に移動し、その結果、攪拌装置100AがY軸方向に移動する。ボルト113aの回転量で攪拌装置100AのY軸方向位置を管理できる。
【0093】
なお、ボルト113aとナット113bの動作の組み合わせは特に限定されない。攪拌装置100AをY軸方向に移動できればよく、ボルト113aの回転によってナット113bが移動してもよいし、ナット113bの回転によってボルト113aが移動してもよいし、ナット113bの回転によってナット113bが移動してもよい。
【0094】
第2ユニット113は、例えば、上方から見て攪拌装置100Aの架台104Aの四隅に設けられる。なお、第2ユニット113の数及び位置は、特に限定されない。また、第2ユニット113の構造も特に限定されず、例えば第2ユニット113として油圧シリンダが用いられてもよい。
【0095】
第2移動装置110Aは、X軸方向における攪拌装置100Aの位置測定に用いる測定器131を含む。また、第2移動装置110Aは、Y軸方向における攪拌装置100Aの位置測定に用いる測定器132を含む。測定器131、132は、例えばレーザ変位計である。測定器131、132は、単なるスケールであってもよい。
【0096】
図7(A)に示すように、第2移動装置110Aは、第2鉛直方向調整機構118を含んでもよい。第2鉛直方向調整機構118は、鉛直方向における攪拌装置100Aの位置を調整する。熱上げの終了後、ガラスの製造開始前に、搬送装置3Aの鉛直管32Aの移動に応じて、攪拌装置100Aを適正な位置に移動できる。
【0097】
第2鉛直方向調整機構118は、例えば、ボルト118aと、ナット118bと、を含む。ボルト118aの軸方向は、Z軸方向である。例えば、ボルト118aの下端が、ベースプレート121に対して固定されている。そして、ナット118bは、第1傘歯車118cに対して固定されている。第1傘歯車118cは、第2傘歯車118dと噛み合わされている。第1傘歯車118cの回転中心線はZ軸方向であり、第2傘歯車118dの回転中心線はX軸方向である。なお、第2傘歯車118dの回転中心線はY軸方向であってもよい。第1傘歯車118cと第2傘歯車118dとは、回転中心線を90°変える。第2傘歯車118dは、スプロケット118eと共に回転する。スプロケット118eは、建屋に固定された回転軸に回転自在に支持されている。そして、スプロケット118eには、無端のチェーン118fが掛け回されている。
【0098】
この場合、作業者又は作業ロボットがチェーン118fを引き下げると、スプロケット118eが回転し、第2傘歯車118dと第1傘歯車118cとナット118bとが回転し、ボルト118aがZ軸方向に移動し、その結果、攪拌装置100AがZ軸方向に移動する。ナット118bの回転量で攪拌装置100AのZ軸方向位置を管理できる。なお、ボルト118aとナット118bの動作の組み合わせは特に限定されない。また、第2鉛直方向調整機構118として、ジャッキが用いられてもよい。
【0099】
第2移動装置110Aは、Z軸方向における攪拌装置100Aの位置測定に用いる測定器133を含む。測定器133は、例えばレーザ変位計である。測定器133は、単なるスケールであってもよい。
【0100】
以上、本開示に係るガラス製造装置、及びガラス製造方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0101】
1 ガラス製造装置
2 溶解装置
3 搬送装置
4 成形装置
8A~8E 移動装置
81 水平方向調整機構
G 溶融ガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7