(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】張力付与装置、搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/16 20060101AFI20240910BHJP
B65H 20/34 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B65H23/16
B65H20/34
(21)【出願番号】P 2020172628
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】陳 秉賢
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211416677(CN,U)
【文献】特開昭64-069445(JP,A)
【文献】特開2019-156506(JP,A)
【文献】米国特許第04553713(US,A)
【文献】特開平06-219613(JP,A)
【文献】特開2019-181841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/16
B65H 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連帳シートを繰り出す繰出しローラと、前記繰出しローラから繰り出された連帳シートを巻き取る巻取りローラとを備える搬送装置に取り付けられて、前記繰出しローラ及び前記巻取りローラの間で連帳シートに張力を付与する張力付与装置であって、
連帳シートに向けて下り傾斜となるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿ってスライドするスライダと、
前記スライダに支持されて、前記スライダの自重によって連帳シートに圧接されるテンションバーと、
水平方向に対する前記ガイドレールの傾斜角度を調整する角度調整機構とを備え
、
前記角度調整機構は、
前記ガイドレールを支持するブラケットと、
前記ブラケットに固定され、前記搬送装置のフレームに回動可能に支持された回動軸とを含み、
前記回動軸は、前記スライダが前記ガイドレールの下端に位置するときに、前記テンションバーと同軸となることを特徴とする張力付与装置。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記回動軸を中心として回動することによって、前記回動軸を中心とする円弧に沿って前記搬送装置のフレームに形成された複数の定位穴のいずれかに連通する貫通穴を有し、
前記角度調整機構は、連通する前記定位穴及び前記貫通穴に挿通されて、前記張力付与装置を前記搬送装置のフレームに固定する固定部材を含むことを特徴とする請求項
1に記載の張力付与装置。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記回動軸を中心とする円弧状に延びる長穴を有し、
前記張力付与装置は、前記長穴に挿通されたボルトによって、前記搬送装置のフレームにさらに固定されることを特徴とする請求項
2に記載の張力付与装置。
【請求項4】
前記ブラケットに固定され、前記スライダの位置を検知する位置センサを有することを特徴とする請求項
1~
3のいずれか1項に記載の張力付与装置。
【請求項5】
前記繰出しローラから繰り出される連帳シートが硬いほど、前記角度調整機構によって前記ガイドレールの傾斜角度が大きく設定されることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の張力付与装置。
【請求項6】
前記繰出しローラと、
前記巻取りローラと、
前記繰出しローラ及び前記巻取りローラの間に配置され、連帳シートを挟持して搬送する搬送ローラ対と、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の張力付与装置とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の搬送装置と、
前記張力付与装置より前記巻取りローラ側において、連帳シートに画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張力付与装置、搬送装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、連帳シートを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された連帳シートに画像を形成する画像形成部とを備える画像形成装置が知られている。また、搬送部は、例えば、連帳シートを繰り出す繰出しローラと、繰出しローラから繰り出された連帳シートを巻き取る巻取りローラと、繰出しローラ及び巻取りローラの間で連帳シートを挟持して搬送する搬送ローラ対とを主に備える。
【0003】
このような画像形成装置は、搬送ローラ対の表面の摩擦抵抗で連帳シートを搬送するので、繰出しローラ及び巻取りローラの間で連帳シートに張力を付与する必要がある。そこで、画像形成装置は、連帳シートにテンションバーを圧接することによって、連帳シートに張力を付与する張力付与装置をさらに備える(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、張力付与装置が連帳シートに付与すべき張力の大きさは、連帳シートの材質や厚みによって異なる。しかしながら、特許文献1の張力付与装置には、連帳シートに付与する張力を調整する機構が搭載されていないので、対応可能な連帳シートの種類が少ないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、連帳シートに付与する張力を調整可能な張力付与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、連帳シートを繰り出す繰出しローラと、前記繰出しローラから繰り出された連帳シートを巻き取る巻取りローラとを備える搬送装置に取り付けられて、前記繰出しローラ及び前記巻取りローラの間で連帳シートに張力を付与する張力付与装置であって、連帳シートに向けて下り傾斜となるガイドレールと、前記ガイドレールに沿ってスライドするスライダと、前記スライダに支持されて、前記スライダの自重によって連帳シートに圧接されるテンションバーと、水平方向に対する前記ガイドレールの傾斜角度を調整する角度調整機構とを備え、前記角度調整機構は、前記ガイドレールを支持するブラケットと、前記ブラケットに固定され、前記搬送装置のフレームに回動可能に支持された回動軸とを含み、前記回動軸は、前記スライダが前記ガイドレールの下端に位置するときに、前記テンションバーと同軸となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連帳シートに付与する張力を調整可能な張力付与装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】搬送装置の動作過程における張力付与装置の動きを示す図。
【
図5】LMガイドが傾斜角度θ1のときの張力F1の大きさを示す図。
【
図6】LMガイドが傾斜角度θ2のときの張力F2の大きさを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。
図1は、画像形成装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、搬送装置10の縦断面図である。
図3は、画像形成部30の詳細構成を示す平面図である。
【0010】
本実施形態に係る画像形成装置1は、連帳シートPにインクを吐出することによって、当該連帳シートPに画像を形成するインクジェット式の画像形成装置である。但し、画像形成装置1の画像形成方式は、インクジェット式に限定されず、電子写真方式などでもよい。連帳シートPは、帯状のシートである。連帳シートPの素材は、例えば、紙(用紙)、OHPシート、糸、繊維、皮革、金属、プラスチックなどが挙げられる。
【0011】
図1~
図3に示すように、画像形成装置1は、連帳シートPを搬送する搬送装置(搬送部)10と、搬送装置10によって搬送された連帳シートPに画像を形成する画像形成部30とを主に備える。
【0012】
図2に示すように、搬送装置10は、フレーム11と、繰出しローラ12と、巻取りローラ13と、搬送ローラ対14と、ガイドローラ15と、張力付与装置20とを主に備える。フレーム11は、搬送装置10(または画像形成装置1)の筐体を構成する。また、繰出しローラ12、巻取りローラ13、搬送ローラ対14、ガイドローラ15、及び張力付与装置20は、フレーム11に支持されている。
【0013】
搬送装置10のフレーム11には、複数の定位穴16が形成されている。複数の定位穴16は、後述する回動軸22を中心とする円弧に沿って配置されている。また、複数の定位穴16は、所定の間隔(例えば、5°間隔)を隔てて配置されている。但し、複数の定位穴16の間隔は、前述の例に限定されない。
【0014】
繰出しローラ12には、画像が形成される前の連帳シートPが巻回されている。繰出しローラ12は、繰出しモータの回転駆動力が伝達されることによって、巻回された連帳シートPを所定の量だけ繰り出す。巻取りローラ13には、画像が形成された後の連帳シートPが巻回される。巻取りローラ13は、巻取りモータの回転駆動力が伝達されることによって、繰出しローラ12から繰り出された連帳シートPを巻き取る。
【0015】
搬送ローラ対14は、連帳シートPの搬送経路のうち、繰出しローラ12及び巻取りローラ13の間に配置されている。搬送ローラ対14は、駆動ローラ14aと、加圧ローラ14bとで構成される。駆動ローラ14aは、搬送モータの回転駆動力が伝達されて回転する。加圧ローラ14bは、連帳シートPを挟んで駆動ローラ14aに圧接され、駆動ローラ14aの回転に従動して回転する。これにより、搬送ローラ対14は、駆動ローラ14a及び加圧ローラ14bの表面の摩擦抵抗によって、挟持した連帳シートPを繰出しローラ12から巻取りローラ13に向けて搬送する。
【0016】
ガイドローラ15は、連帳シートPの搬送経路のうち、搬送ローラ対14及び巻取りローラ13の間に配置されている。ガイドローラ15は、搬送ローラ対14によって搬送された連帳シートPに当接して従動する。ガイドローラ15は、搬送ローラ対14によって搬送される連帳シートPをガイドする。
【0017】
張力付与装置20は、連帳シートPの搬送経路のうち、繰出しローラ12及び巻取りローラ13の間(より詳細には、繰出しローラ12及び搬送ローラ対14の間)に配置されている。張力付与装置20は、連帳シートPに所定の張力を付与する。また、本実施形態に係る張力付与装置20は、連帳シートPに付与する張力の大きさを調整(増減)させることができる。張力付与装置20の詳細は後述する。
【0018】
画像形成部30は、連帳シートPの搬送経路のうち、繰出しローラ12及び巻取りローラ13の間(より詳細には、張力付与装置20及び搬送ローラ対14の間)に配置されている。
図1~
図3に示すように画像形成部30は、キャリッジ31と、主走査モータ32と、駆動力伝達機構33と、プラテン34と、エンコーダセンサ35とを主に備える。
【0019】
キャリッジ31は、主走査方向Aに延びるガイドロッド38a及び副ガイドレール38bに沿って、主走査方向Aに往復移動する。また、キャリッジ31には、各色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する記録ヘッド31k、31c、31m、31yが搭載されている。記録ヘッド31k、31c、31m、31yは、インクカートリッジ39k、39c、39m、39yから供給されるインクを、プラテン34に支持された連帳シートPに向けて吐出する。
【0020】
駆動力伝達機構33は、主走査モータ32の駆動力をキャリッジ31に伝達することによって、キャリッジ31を主走査方向Aに移動させる。より詳細には、駆動力伝達機構33は、主走査方向Aに離間して配置された駆動プーリ33a及び加圧プーリ33bと、駆動プーリ33a及び加圧プーリ33bに掛け渡された無端環状のタイミングベルト33cとで構成される。
【0021】
駆動プーリ33aは、主走査モータ32の駆動力が伝達されて回転する。これにより、タイミングベルト33cが回転し、タイミングベルト33cに取り付けられたキャリッジ31が主走査方向Aに往復移動する。また、加圧プーリ33bは、タイミングベルト33cに所定のテンションを付与する。
【0022】
プラテン34は、上下方向において、キャリッジ31に対面して配置されている。そして、プラテン34は、搬送装置10によって副走査方向Bに搬送された連帳シートPを支持する。エンコーダセンサ35は、キャリッジ31に搭載されている。エンコーダセンサ35は、キャリッジ31に対面する位置に設けられたエンコーダシートを読み取って、読み取り量を示すパルス信号をコントローラに出力する。
【0023】
図2に示すように、張力付与装置20は、ブラケット21と、回動軸22と、LMガイド(ガイドレール)23と、スライダ24と、テンションバー25と、位置センサ26、27と、インデックスプランジャ(固定部材)28とを主に備える。
【0024】
ブラケット21は、平板形状の部材である。ブラケット21は、回動軸22、LMガイド23、スライダ24、テンションバー25、及び位置センサ26、27を支持すると共に、搬送装置10のフレーム11の内壁に支持されている。回動軸22は、ブラケット21に固定され、フレーム11に回動可能に支持されている。すなわち、ブラケット21は、回動軸22を介してフレーム11に回動可能に支持されている。
【0025】
ブラケット21には、貫通穴21aと、長穴21bとが形成されている。貫通穴21a及び長穴21bは、ブラケット21を厚み方向に貫通する。貫通穴21aは、ブラケット21が回動することによって、フレーム11に設けられた複数の定位穴16のいずれかに連通する。長穴21bは、回動軸22を中心とする円弧状に延びている。
【0026】
そして、連通する定位穴16及び貫通穴21aにインデックスプランジャ28が挿通されることによって、ブラケット21が所定の回動角でフレーム11に固定される。さらに、長穴21bの両端に挿通されたボルト29a、29bがフレーム11のボルト穴に螺合されることによって、ブラケット21がフレーム11に対して二重に固定される。ブラケット21、回動軸22、インデックスプランジャ28、及びボルト29a、29bは、角度調整機構を構成する。
【0027】
LMガイド23は、直線的に延びる棒状の部材である。LMガイド23は、連帳シートPに向けて下り傾斜になるように、ブラケット21に固定されている。水平方向に対するLMガイド23の傾斜角度θは、回動軸22周りにブラケット21が回動することによって変化する。
【0028】
スライダ24は、LMガイド23に支持されている。スライダ24は、LMガイド23に沿ってスライドする。より詳細には、スライダ24は、自重によって斜め下方に(すなわち、連帳シートPに向けて)下降し、連帳シートPから受ける反力によって斜め上方に上昇する。スライダ24は、連帳シートPに付与する張力に応じた重量を有する剛体である。
【0029】
テンションバー25は、スライダ24に固定されている。テンションバー25は、連帳シートPの幅方向に延びる棒状の部材である。テンションバー25の長手方向の寸法は、連帳シートPの幅一杯に接触する長さに設定される。そして、スライダ24が自重によって下降することによって、テンションバー25の外周面が連帳シートPに圧接される。すなわち、テンションバー25が、連帳シートPの幅方向において接触しながらスライダ24の下降方向に向けて、連帳シートPを押す状態になる。この押す力によって、連帳シートPに所定の張力が付与される。また、回動軸22は、スライダ24が下端位置のときに、テンションバー25と同軸になる位置に配置されている。
【0030】
スライダ24には、金属製の被検知部24aが設けられている。位置センサ26は、スライダ24が下端位置のときに、被検知部24aに対面する位置に配置されている。位置センサ27は、スライダ24が上端位置のときに、被検知部24aに対面する位置に配置されている。そして、位置センサ26、27は、被検知部24aが近接したときに、検知信号をコントローラに出力する。
【0031】
すなわち、位置センサ26、27は、スライダ24の位置を検知する。より詳細には、位置センサ26はスライダ24が下端位置に到達したことを検知し、位置センサ26はスライダ24が上端位置に到達したことを検知する。なお、位置センサ26、27の具体的な構成は、近接センサに限定されず、反射光または透過光を検知する光学センサなどであってもよい。
【0032】
画像形成装置1の動作は、コントローラによって制御される。一例として、コントローラは、プログラムを記憶するメモリと、メモリからプログラムを読み出して実行するCPUとで構成されてもよい。他の例として、コントローラは、FPGAによって構成されてもよい。さらに他の例として、コントローラは、これらの組み合わせであってもよい。
図4を参照して、画像形成装置1(特に、搬送装置10)の動作を説明する。
図4は、搬送装置10の動作過程における張力付与装置20の動きを示す図である。
【0033】
まず、コントローラは、繰出しモータを駆動することによって、繰出しローラ12から所定の長さの連帳シートPを繰り出す。そうすると、繰出しローラ12と搬送ローラ対14の間の連帳シートPが長くなり緩む。これにより、連帳シートPによってテンションバー25に与えられる力(スライダ24の下降によってテンションバー25が移動しようとする力に抗う「反力」)が弱まる。その結果、スライダ24が傾斜方向に下降する。そして、コントローラは、
図4(A)に示すように、スライダ24が下端位置に到達した(すなわち、位置センサ26から検知信号が出力された)タイミングで、繰出しモータを停止する。
【0034】
また、コントローラは、搬送モータを駆動することによって、搬送ローラ対14に所定の搬送幅だけ連帳シートPを搬送させる。さらに、コントローラは、巻取りモータを所定のトルクで常時駆動する。搬送ローラ対14が所定の搬送幅を搬送させると、繰出しローラ12から繰り出されていた連帳シートPが搬送幅の分だけ巻取りローラ13側に移動する。そして、巻取りローラ13は、搬送ローラ対14によって搬送された連帳シートPを巻き取る。これにより、巻取りローラ13に巻き取られた連帳シートPからの反力が強まる。その結果、スライダ24が傾斜方向に沿って上昇する。
【0035】
また、コントローラは、
図4(B)に示すように、スライダ24が上端位置に到達した(すなわち、位置センサ27から検知信号が出力された)タイミングで、再び操出モータを駆動して、繰出しローラ12から連帳シートPを繰り出す。そして、コントローラは、上記の処理を繰り返すことによって、連帳シートPを搬送する。
【0036】
さらに、コントローラは、プラテン34に支持された連帳シートPに対して、画像形成部30に画像を記録させる。より詳細には、コントローラは、主走査モータ32を駆動してキャリッジ31を主走査方向Aに移動させ、記録ヘッド31k、31c、31m、31yに所定のタイミングでインクを吐出させる。
【0037】
次に、
図5及び
図6を参照して、LMガイド23の傾斜角度θと、連帳シートPに付与される張力Fとの関係を説明する。
図5は、LMガイド23が傾斜角度θ1のときの張力F1の大きさを示す図である。
図6は、LMガイド23が傾斜角度θ2のときの張力F2の大きさを示す図である。
【0038】
図5及び
図6に示すように、水平方向に対するLMガイド23の傾斜角度をθ、スライダ24及びテンションバー25の自重をwとすると、張力付与装置20から連帳シートPに付与される張力Fは、下記式(1)で表される。
【0039】
【0040】
式(1)によれば、θ=30°のときF=0.50w、θ=45°のときF≒0.71w、θ=60°のときF≒0.87wとなる。このように、LMガイド23の傾斜角度θが大きくなる程、張力付与装置20から連帳シートPに付与される張力Fが大きくなる。すなわち、F1>F2である。
【0041】
そして、張力付与装置20が連帳シートPに付与すべき張力Fの大きさは、連帳シートPの材質(例えば、硬さ)や厚みに応じて変化する。より詳細には、張力Fは、連帳シートPが硬いほど大きく設定され、連帳シートPが厚いほど大きく設定される。例えば、連帳シートPの素材がPVC(PolyVinyl Chloride)の場合は傾斜角度θ=30°に設定され、連帳シートPの素材がPVCより硬いPET(PolyEthylene Terephthalate)の場合は傾斜角度θ=45°に設定される。但し、連帳シートPと傾斜角度θとの具体的な関係は、前述の例に限定されない。
【0042】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0043】
上記の実施形態によれば、角度調整機構でLMガイド23の傾斜角度θを調整することにより、連帳シートPに付与する張力Fを調整することができる。なお、張力Fを調整する他の方法として、スライダ24にウェイトを着脱する方法がある。しかしながら、この方法では、張力付与装置20が大型化するというデメリットがある。そこで上記の実施形態のように、LMガイド23の傾斜角度θを調整する角度調整機構を採用することによって、張力付与装置20の小型化にも寄与する。
【0044】
また、上記の実施形態によれば、スライダ24が下端位置のときにテンションバー25と同軸となるように、回動軸22が配置されている。これにより、LMガイド23の傾斜角度θを変更しても、テンションバー25と連帳シートPとの接触位置が変化するのを防止できる。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、複数の定位穴16のいずれかに貫通穴21aを連通させ、連通した定位穴16及び貫通穴21aにインデックスプランジャ28挿通することによって、ブラケット21がフレーム11に固定される。これにより、LMガイド23の傾斜角度θの調整を容易に行うことができる。
【0046】
また、上記の実施形態によれば、インデックスプランジャ28及びボルト29a、29bで、フレーム11に対してブラケット21が二重に固定される。これにより、LMガイド23の傾斜角度θが意図せずに変化するのを防止できる。
【0047】
また、上記の実施形態によれば、位置センサ26、27をブラケット21に取り付けてユニット化したので、LMガイド23の傾斜角度θを変更しても位置センサ26、27と被検知部24aとの相対位置が変わらない。これにより、LMガイド23の傾斜角度θを調整する度に、位置センサ26、27を位置合わせする必要がなくなる。
【0048】
さらに、上記の実施形態によれば、連帳シートPが硬いほどLMガイド23の傾斜角度θが大きく設定される。これにより、素材や厚みに適した張力Fを連帳シートPに付与することができる。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 :画像形成装置
10 :搬送装置
11 :フレーム
12 :繰出しローラ
13 :巻取りローラ
14 :搬送ローラ対
14a :駆動ローラ
14b :加圧ローラ
15 :ガイドローラ
16 :定位穴
20 :張力付与装置
21 :ブラケット
21a :貫通穴
21b :長穴
22 :回動軸
23 :LMガイド
24 :スライダ
24a :被検知部
25 :テンションバー
26,27 :位置センサ
28 :インデックスプランジャ
29a,29b :ボルト
30 :画像形成部
31 :キャリッジ
31c,31k,31m,31y :記録ヘッド
32 :主走査モータ
33 :駆動力伝達機構
33a:駆動プーリ
33b :加圧プーリ
33c :タイミングベルト
34 :プラテン
35 :エンコーダセンサ
38a :ガイドロッド
38b :副ガイドレール
39c,39k,39m,39y :インクカートリッジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】