(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】光硬化性組成物、光硬化性組成物の光硬化物、パターン膜及びパターン膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 75/045 20160101AFI20240910BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20240910BHJP
C08K 5/3445 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C08G75/045
C08K5/07
C08K5/3445
(21)【出願番号】P 2020173143
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211100
【氏名又は名称】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 昌仁
(72)【発明者】
【氏名】宮本 祐樹
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-211594(JP,A)
【文献】特開昭55-164825(JP,A)
【文献】特開平09-031389(JP,A)
【文献】特開2010-006977(JP,A)
【文献】特開昭59-113012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジスルフィド結合を有する光重合性化合物と、
水素引き抜き型光ラジカル発生剤と、
分子内開裂型光ラジカル発生剤と、を含有
し、
前記水素引き抜き型光ラジカル発生剤が2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール及び9-フルオレノンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記分子内開裂型光ラジカル発生剤が2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンからなる群より選択される少なくとも1種である、光硬化性組成物。
【請求項2】
前記光重合性化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する、請求項
1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の光硬化性組成物の光硬化物。
【請求項4】
パターンを有し
、光硬化性組成物の光硬化物を含
み、
前記光硬化性組成物が、ジスルフィド結合を有する光重合性化合物と、水素引き抜き型光ラジカル発生剤と、分子内開裂型光ラジカル発生剤と、を含有する、パターン膜。
【請求項5】
ジスルフィド結合を有する光重合性化合物と、水素引き抜き型光ラジカル発生剤と、分子内開裂型光ラジカル発生剤と、を含有する光硬化性組成物に、波長405nmの光を含む第1の光を照射して、膜状の光硬化物を形成する硬化工程と、
前記光硬化物の少なくとも一部に、波長365nmの光を含む第2の光を照射することによってパターニングする露光工程と、
パターニングされた前記光硬化物を現像する現像工程と、を備える、パターン膜の製造方法。
【請求項6】
前記現像工程が、水洗することによって現像する工程を含む、請求項
5に記載のパターン膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、光硬化性組成物、光硬化性組成物の光硬化物、パターン膜及びパターン膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光照射によって軟化する光軟化性組成物は、様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1には、光軟化性樹脂組成物からなる光軟化性樹脂を有する記録部材を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光照射によって、硬化と軟化の2つの機能を発現する技術は、上記光軟化性組成物を用いる種々の用途に有用である。
【0005】
本発明の一側面は、光照射によって軟化可能な光硬化物を形成可能な光硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、ジスルフィド結合を有する光重合性化合物と、水素引き抜き型光ラジカル発生剤と、分子内開裂型光ラジカル発生剤と、を含有する、光硬化性組成物を提供する。
【0007】
このような光硬化性組成物に、第1の光を照射すると、水素引き抜き型光ラジカル発生剤により光重合性化合物の重合反応が進行して、ジスルフィド結合を有する光重合性化合物の重合体と、分子内開裂型光ラジカル発生剤と、を含有する光硬化性組成物の光硬化物が形成される。光硬化物に、第2の光を照射すると、光硬化物を軟化させることができる。光硬化物を軟化させることができるメカニズムは明らかではないが、例えば以下のようなメカニズムが考えられる。但し、これらのメカニズムに限定されない。まず、第2の光の照射によって光硬化物中のジスルフィド結合が分解(開裂)し、チイルラジカルが発生する。このとき、光硬化物中に、光ラジカル発生剤が存在すると、チイルラジカルと光ラジカル発生剤とが反応し、チイルラジカルが光ラジカル発生剤によってキャップされる。これによって、ジスルフィド結合を有する化合物が低分子量化して、光硬化物が軟化する機構が考えられる。他のメカニズムとして、光ラジカル発生剤に起因する光誘起ラジカルがジスルフィド結合と直接反応し、光誘起ラジカル-チオエーテル結合の形成とチイルラジカルの生成とが起こり、チイルラジカルと別の光誘起ラジカルとが反応し、ジスルフィド結合を有する化合物自体が低分子量化して光硬化物が軟化する機構も考えられる。第1の光は、第2の光とは異なる波長の光を含む。第1の光は、第2の光より長波長側の光を含んでいてよい。第1の光は、波長405nmの光を含んでいてよい。第2の光は、波長365nmの光を含んでいてよい。ジスルフィド結合が開裂する反応は不可逆反応であるといえる。
【0008】
水素引き抜き型光ラジカル発生剤の波長405nmの吸光係数は、7以上であってよく、分子内開裂型光ラジカル発生剤の波長405nmの吸光係数は、5以下であり、かつ、波長365nmの吸光係数が、49以上であってよい。光重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であってよい。
【0009】
本発明の他の一側面は、上記光硬化性組成物の光硬化物に関する。本発明の他の一側面は、パターンを有し、上記光硬化物を含む、パターン膜に関する。
【0010】
本発明の他の一側面は、上記光硬化性組成物に、波長405nmの光を含む第1の光を照射して、膜状の光硬化物を形成する硬化工程と、前記光硬化物の少なくとも一部に、波長365nmの光を含む第2の光を照射することによってパターニングする露光工程と、パターニングされた前記光硬化物を現像する現像工程と、を備える、パターン膜の製造方法に関する。現像工程は、水洗することによって現像する工程を含んでいてよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光照射によって軟化可能な光硬化物を形成可能な光硬化性組成物が提供される。本発明によれば、上記光硬化性組成物の光硬化物、並びに上記光硬化性組成物及びその光硬化物を用いたパターン膜及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0014】
また、本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0016】
また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、その他の類似表現も同様である。「A又はB」とは、AとBとのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
【0017】
[光硬化性組成物]
一実施形態の光硬化性組成物は、ジスルフィド結合を有する光重合性化合物(以下、(A)成分という場合がある。)と、水素引き抜き型光ラジカル発生剤(以下、(B-1)成分という場合がある。)と、分子内開裂型光ラジカル発生剤(以下、(B-2)成分という場合がある。)と、を含有する。
【0018】
(A)成分:ジスルフィド結合を有する光重合性化合物
(A)成分は、ジスルフィド結合(-S-S-)を有し、かつ、光照射によって重合する化合物である。(A)成分としては、ジスルフィド結合を有し、かつ、重合性不飽和基を有する化合物が挙げられる。重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。(A)成分は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
【0019】
(A)成分は、分子内に重合性不飽和基を1個又は2個以上有する化合物であってよい。(A)成分は、分子内に重合性不飽和基を2個有する化合物であることが好ましい。
【0020】
(A)成分は、分子内に1個又は複数個(2個以上)のジスルフィド結合を有する。(A)成分におけるジスルフィド結合の数は、例えば、複数個(2個以上)であってよい。
【0021】
(A)成分は、ポリマー又はオリゴマーの高分子量成分であってよい。(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
(A)成分は、例えば、ジスルフィド結合を有し、かつ、重合性不飽和基と反応し得る基を有する化合物(以下、「(A-1)成分」という場合がある。)と、重合性不飽和基を有する化合物(以下、「(A-2)成分」という場合がある。)とを反応させることによって得られる反応物であってよい。言い換えると、(A)成分は、(A-1)成分と、(A-2)成分との反応物であってよい。このような反応物は、通常、25℃において、固体(固形分)であることから、光硬化性組成物(のワニス)における溶剤等の揮発成分を除去することによって、膜状(フィルム状)、ブロック状等の形態で使用することができる。
【0023】
(A-1)成分における重合性不飽和基と反応し得る基としては、例えば、チオール基、アミノ基、アルコキシ基等が挙げられる。(A-1)成分は、重合性不飽和基と反応し得る基を2個以上(例えば、2個)有していてよい。
【0024】
(A)成分の架橋度が少なくなるほど、光硬化性組成物の光硬化物を軟化させ易くなる傾向にあることから、(A-1)成分として、重合性不飽和基と反応し得る基を2個有する化合物を使用することが好ましく、重合性不飽和基と反応し得る基の数が異なる複数の化合物を使用する場合は、重合性不飽和基と反応し得る基の数が2個である化合物の使用割合を多くすることが好ましい。
【0025】
重合性不飽和基と反応し得る基の数が2個である化合物の割合は、(A-1)成分全量を基準として、75~100質量%、85~100質量%、又は90~100質量%であってよい。重合性不飽和基と反応し得る基の数が3個以上である化合物の割合が、(A-1)成分全量を基準として、0~10質量%、0~15質量%、又は0~25質量%であってよい。
【0026】
(A-1)成分の市販品としては、例えば、チオコールLPシリーズ(ポリサルファイドポリマー、東レ・ファインケミカル株式会社製)、シスタミン二塩酸塩等が挙げられる。これらの(A-1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
(A-2)成分は、重合性不飽和基を有する化合物である。(A-2)成分は、重合性不飽和基を2個以上(例えば、2個)有していてよい。(A)成分の架橋度が少なくなるほど、光硬化性組成物の光硬化物を軟化させ易くなる傾向にあることから、(A-2)成分として、重合性不飽和基が2個である化合物を使用することが好ましく、重合性不飽和基数の異なる複数の化合物を使用する場合は、重合性不飽和基数が2個である化合物の使用割合を多くすることが好ましい。
【0028】
(A-2)成分の光重合性基数が2個である化合物の割合は、(A-2)成分全量を基準として、75~100質量%、85~100質量%、又は90~100質量%であってよい。重合性不飽和基数が2個である化合物以外の化合物の割合が、(A-2)成分全量を基準として、0~10質量%、0~15質量%、又は0~25質量%であってよい。
【0029】
(A-2)成分としては、例えば、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。これらの(A-2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
(A-1)成分と、(A-2)成分との好適な組み合わせとしては、例えば、ジスルフィド結合を有し、かつ、チオール基を有する化合物と、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物との組み合わせ等が挙げられる。
【0031】
(A-1)成分と(A-2)成分との反応割合は、(A-1)成分の重合性不飽和基と反応し得る基の当量及び(A-2)成分の重合性不飽和基の当量に基づき、適宜調整することができる。(A-1)成分と(A-2)成分との反応は、加熱しながら行ってもよい。反応温度は、例えば、0~150℃であってよく、反応時間は、例えば、1分間以上240時間以下であってよい。
【0032】
(A-1)成分と、(A-2)成分とは、触媒存在下で反応させてもよい。触媒としては、例えば、塩基性触媒(以下、「(A-3)成分」という場合がある。)が挙げられる。塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等のアミン系触媒が挙げられる。
【0033】
(A-3)成分の含有量は、(A-1)成分及び(A-2)成分の合計を基準として、0.005~10質量%、0.01~5質量%、又は0.02~3質量%であってよい。
【0034】
(A)成分の分子量又は重量平均分子量は、200~1000000、500~100000、又は1000~10000であってよい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0035】
(A)成分((A-1)成分及び(A-2)成分の合計)の含有量は、光硬化性組成物全量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、又は70質量%以上であってよく、99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。
【0036】
(B-1)成分:水素引き抜き型光ラジカル発生剤
(B-1)成分は、光の照射によって、他の分子から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物である。(B-1)成分としては、水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤として用いられている化合物を使用することができる。
【0037】
(B-1)成分としては、ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)系光ラジカル発生剤、ベンゾフェノン系光ラジカル発生剤、チオキサントン系光ラジカル発生剤、フルオレノン系光ラジカル発生剤等が挙げられる。(B-1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
HABI系光ラジカル発生剤としては、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、2,2’―ビス(2―クロロフェニル)-4,4’,5,5’―テトラフェニル-1、2’―ビイミダゾール)、2,2’-ビス(o-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o,p-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(o,o’-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-ニトロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-メチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0039】
ベンゾフェノン系光ラジカル発生剤としては、4、4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0040】
チオキサントン系光ラジカル発生剤としては、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2-シクロヘキシルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-フェノキシチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオキサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-チオキサントン、4-ブトキシカルボニルチオキサントン、3-ブトキシカルボニル-7-メチルチオキサントン、3,4-ジ-[2-(2-メトキシエトキシ)-エトキシカルボニル]-チオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-エトキシチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-n-プロポキシチオキサントン、2-メチル-6-ジメトキシメチル-チオキサントン、2-メチル-6-(1,1-ジメトキシベンジル)-チオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メトキシ-チオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メチルチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-(1-メチル-1-モルホリノエチル)-チオキサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、2-メチル-6-モルホリノメチルチオキサントン、チオキサントン-2-カルボン酸ポリエチレングリコールエステル等が挙げられる。
【0041】
フルオレノン系光ラジカル発生剤としては、9-フルオレノン、3,4-ベンゾ―9-フルオレノン、2―ジメチルアミノ―9-フルオレノン、2-メトキシ―9―フルオレノン、2-クロロ―9-フルオレノン、2,7-ジクロロ―9―フルオレノン、2-ブロモ―9―フルオレノン、2,7-ジブロモ―9―フルオレノン、2-ニトロ-9-フルオレノン、2-アセトキ-9-フルオレノン等が挙げられる。
【0042】
(B-1)成分は、例えば、波長405nmの光を吸収する化合物であってよい。(B-1)成分は、波長405nmの吸光係数が(B-2)成分より大きい化合物であってよい。(B-1)成分は、波長405nmの光を吸収する化合物であってよい。
【0043】
(B-1)成分の波長405nmの吸光係数は、7以上であってよい。(B-1)成分の波長405nmの吸光係数が上記範囲内にある場合、本発明の効果がより一層顕著に奏されることとなる。
【0044】
本明細書において、吸光係数は、メタノール中で測定される値(単位:mL/g・cm)である。
【0045】
波長405nmの吸光係数が7以上である(B-1)成分としては、例えば、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、9-フルオレノン等が挙げられる。
【0046】
(B-1)成分の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、又は5質量部以上であってよい。(B-1)成分の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、20質量部以下、15質量部以下、10質量部以下、又は8質量部以下であってよい。
【0047】
(B-2)成分:分子内開裂型光ラジカル発生剤
(B-2)成分は、光の照射によってその物自体が光開裂して2つのラジカルを生成する化合物である。(B-2)成分としては、分子内開裂型光ラジカル重合開始剤として用いられている化合物を使用することができる。
【0048】
分子内開裂型光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンジルケタール系光ラジカル発生剤、α-アミノアルキルフェノン系光ラジカル発生剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル発生剤、α-ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル発生剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル発生剤が挙げられる。(B-2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
ベンジルケタール系光ラジカル発生剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad651)等が挙げられる。
【0050】
α-アミノアルキルフェノン系光ラジカル発生剤としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(Omnirad369)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Omnirad907)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(Omnirad379EG)等が挙げられる。
【0051】
α-ヒドロキシアルキルフェノンとしては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(Omnirad184)等が挙げられる。
【0052】
α-ヒドロキシアセトフェノンとしては、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(Omnirad127)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(Omnirad1173)等が挙げられる。
【0053】
アシルホスフィンオキシド系光ラジカル発生剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(OmniradTPO H)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad819)等が挙げられる。
【0054】
(B-2)成分は、波長365nmの光を吸収し、かつ、波長405nmの光を実質的に吸収しない、又は波長405nmの吸光係数が(B-1)成分より小さい化合物であってよい。(B-2)成分の波長365nmの吸光係数は、49以上であってよい。本明細書において、「波長405nmの光を実質的に吸収しない」とは、波長405nmの吸光係数が5以下であることを意味する。(B-2)成分は、波長365nmの吸光係数が49以上であり、かつ、波長405nmの吸光係数は5以下である化合物であってよい。(B-2)成分の波長405nmの吸光係数及び波長365nmの吸光係数が上記範囲内にある場合、本発明の効果がより一層顕著に奏されることとなる。
【0055】
波長365nmの吸光係数が49以上であり、かつ、波長405nmの吸光係数は、5以下である、(B-2)成分としては、例えば、例えば、Omnirad651、Omnirad1173が挙げられる。
【0056】
(B-2)成分の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、7質量部以上、又は10質量部以上であってよい。(B-2)成分の含有量が多くなるほど、光硬化性組成物を光照射したときに軟化させ易くなる傾向にある。(B-2)成分の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、45質量部以下、40質量部以下、35質量部以下、又は30質量部以下、又は25質量部以下であってよい。
【0057】
(B-1)成分と、(B-2)成分との組み合わせは、HABI系光ラジカル発生剤(例えば、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール)と、ベンジルケタール系光ラジカル発生剤(例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン)との組み合わせ、HABI系光ラジカル発生剤(例えば、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール)と、α-ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル発生剤(例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(Omnirad1173であってよい。
【0058】
(C)成分: 水素供与体
光硬化性組成物は、水素供与体(以下、「(C)成分」という場合がある。)を更に含有していてもよい。(C)成分としては、例えば、4,4’,4’’―トリス(N、N-ジメチルアミノフェニル)メタン、ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]メタン等が挙げられる。(C)成分の含有量は、光硬化性組成物全量を基準として、0.1質量%以上であってよい。(C)成分の含有量は、光硬化性組成物全量を基準として、3質量%以下であってよい。
【0059】
(D)成分:増感剤
光硬化性組成物は、さらに増感剤(以下、「(D)成分」という場合がある。)を含有していてもよい。増感剤は、特に制限されず、公知の三重項増感剤を用いることができる。増感剤としては、例えば、安息香酸系光増感剤、アミン系光増感剤等が挙げられる。(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
(D)成分の含有量は、光硬化性組成物全量を基準として、0.01~5質量%、0.02~3質量%、又は0.03~1質量%であってよい。
【0061】
光硬化性組成物は、その他の成分として、例えば、カップリング剤等の密着性向上剤、重合禁止剤、光安定剤、消泡剤、フィラー、連鎖移動剤、チキソトロピー付与剤、難燃剤、離型剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤などの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、公知のものを使用することができる。その他の成分の含有量の総量は、光硬化性組成物全量を基準として、0~95質量%、0.01~50質量%、又は0.1~10質量%であってよい。
【0062】
光硬化性組成物は、溶剤(以下、「(E)成分」という場合がある。)で希釈された光硬化性組成物のワニスとして用いてもよい。(E)成分としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p-シメン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;メチルシクロヘキサン等の環状アルカン;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等のアミドなどが挙げられる。(E)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
ワニス中の固形分の含有量、つまり、ワニス中の(E)成分以外の合計含有量は、ワニスの全質量を基準として、10~80質量%であってよい。
【0064】
光硬化性組成物は、例えば、(A)成分、(B-1)成分及び(B-2)成分、並びに必要に応じて添加される成分を混合又は混練することによって調製することができる。混合及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル、ビーズミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
【0065】
(A)成分が(A-1)成分及び(A-2)成分の反応物である場合、光硬化性組成物は、例えば、(A-1)成分、(A-2)成分、(B-1)成分、(B-2)成分及び(A-3)成分、並びに必要に応じて添加される成分を混合又は混練し、(A-1)成分と(A-2)成分と反応させて(A)成分((A-1)成分と(A-2)成分との反応物)を合成する工程を備える方法によって調製することができる。このような方法において、反応温度は、例えば、0~150℃であってよく、反応時間は、例えば、1分間以上240時間以下であってよい。このとき、(A-3)成分の種類によっては、(B-1)成分及び/又は(B-2)成分によって失活してしまう場合がある。そのため、光硬化性組成物は、例えば、(A-1)成分、(A-2)成分、及び(A-3)成分、並びに必要に応じて添加される成分を混合又は混練して、(A)成分((A-1)成分と(A-2)成分との反応物)を含む混合物を得る第1の工程と、当該混合物に(B-1)成分及び(B-2)成分を同時に又は別々に添加し、混合又は混練して光硬化性組成物を得る第2の工程とを備える方法によっても調製することができる。この場合、混合物は溶剤を含んでいることが好ましい。このような方法において、第1の工程及び第2の工程における反応温度は、例えば、いずれも0~150℃であってよく、反応時間は、例えば、いずれも1分間以上240時間以下であってよい。
【0066】
光硬化性組成物は、光照射によって、光硬化物を形成することができる。光硬化性組成物の光硬化物は、膜状(フィルム状)に形成して、樹脂フィルムとして用いることができる。光硬化性組成物の光硬化物は、ブロック状に形成して、樹脂ブロックとして用いることができる。光硬化性組成物を膜状(フィルム状)又はブロック状に形成する方法は、特に制限されず、公知の方法を適用することができる。光硬化物は、通常、光重合性化合物の重合体と、分子内開裂型光ラジカル発生剤とを含有する。光重合性化合物の重合体は、ジスルフィド結合を有する。
【0067】
光硬化性組成物の光硬化物の25℃の貯蔵弾性率は、微粘着性又は無粘着性、増粘性、スリット加工性、打ち抜き加工性、遮蔽性等の観点から、0.01MPa(10000Pa)以上であってよく、バリア性、防湿性、接着性等の観点から、0.05MPa(50000Pa)以上であってもよく、作業性等の観点から1MPa(1000000Pa)以上であってもよい。光硬化性組成物の光硬化物の25℃の貯蔵弾性率は、特に制限されないが、例えば、1000MPa以下であってもよい。本明細書において、25℃の貯蔵弾性率は、実施例に記載の方法で測定される値を意味する。
【0068】
光硬化性組成物の光硬化物は、光照射によって、軟化させることができる。光硬化性組成物の光硬化物は、光照射によって、光重合性化合物の重合体中のジスルフィド結合が切断され、ジスルフィド結合を有する化合物が低分子量化して軟化する性質を有している。
【0069】
光硬化性組成物の光硬化物の25℃の貯蔵弾性率(貯蔵弾性率A)に対する、光照射後の光硬化性組成物の光硬化物の25℃の貯蔵弾性率(貯蔵弾性率B)の割合(貯蔵弾性率B/貯蔵弾性率A)は、折り曲げ性、成形性、耐応力性、防湿性、リペア性等の観点から、0.7以下であってよく、濡れ性、埋込性、粘着性、リペア性等の観点から、0.5以下であってもよく、融解性、溶解性、流動性等の観点から、0.3以下であってもよい。
【0070】
本実施形態の光硬化性組成物は、膜状(フィルム状)又はブロック状に成形し易い光硬化物を形成できるという性質と、当該光硬化物を軟化させることができる性質とを有している。このような性質を利用することによって、本実施形態の光硬化性組成物は、例えば、フォトリソグラフィーのフォトレジスト剤の用途に応用することができ、感光性樹脂組成物又は感光性樹脂フィルムとして使用することができる。感光性樹脂組成物又は感光性樹脂フィルムは、光照射(露光)によってパターニングが可能となり、さらには光照射(露光)後に水洗で現像が可能となる。本実施形態の光硬化性組成物は、パターン膜の形成に好適に用いることができる。
【0071】
本実施形態の光硬化性組成物はまた、例えば、強粘着テープの軟化剤又は易剥離化剤;微粘着又は無粘着フィルムの粘着化剤;コーティング材、粘着剤、又は接着剤の部分軟化剤;成形材の部分軟化剤;打ち抜き後、光照射することで得られる打ち抜き加工可能な超低弾性フィルム;防湿剤;光照射によって軟化、溶解するカプセルの被膜;光照射によって減粘する増粘剤等の様々な用途に応用することができる。
【0072】
一実施形態の軟化物は、光硬化性組成物に第1の光を照射して、光硬化性組成物の光硬化物を形成する工程と、第2の光を照射することによって、光硬化物を軟化させて、軟化物を形成する工程と、を含む方法によって、製造することができる。第1の光は、第2の光より長波長側の光を含んでいてよい。第1の光は、波長405nmの光を含んでいてよい。第2の光は、波長365nmの光を含んでいてよい。
【0073】
光照射に用いられる光源は、特に限定されず、例えば、LEDランプ、水銀ランプ(低圧、高圧、超高圧等)、メタルハライドランプ、エキシマランプ、キセノンランプ等が挙げられ、好ましくは、LEDランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等である。
【0074】
露光量については、例えば、各光ラジカル発生剤の種類及び量等に応じて、適宜調整することができる。第1の光の露光量は、例えば、20~150J/cm2であってよい。第2の光の露光量は、例えば、10~30J/cm2であってよい。ここで、露光量は、照度と照射時間(秒)との積を意味する。光の照射は、照射する対象に対して直接行ってもよく、ガラス等を介して行ってもよい。
【0075】
[パターン膜及びその製造方法]
一実施形態のパターン膜は、パターンを有し、光硬化性組成物の光硬化物を含む。上記の光硬化性組成物の光硬化物は、光照射(露光)によってパターニングが可能であり、さらには光照射(露光)後に水洗で現像が可能であることから、これらを用いて、パターン膜を形成することが可能となる。
【0076】
一実施形態のパターン膜の製造方法は、上述した光硬化性組成物に第1の光を照射して、膜状の光硬化物を形成する硬化工程と、光硬化物の少なくとも一部に、第2の光を照射することによってパターニングする露光工程と、パターニングされた光硬化物を現像する現像工程とを備える。現像工程は、水洗することによって現像する工程を含んでいてもよい。第1の光は、波長405nmの光を含む光であってよく、第2の光は、波長365nmの光を含む光であってよい。
【実施例】
【0077】
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0078】
[光重合性化合物の調製]
製造例1
125ml軟膏壺に、ジスルフィド結合を有し、かつチオール基を有する化合物である、チオコールLP-3(チオール基数:2、東レ・ファインケミカル株式会社製)を49質量部、重合性不飽和基を有する化合物である、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(メタクリロイル基数:2、日立化成株式会社製、商品名FA-324MG)を51質量部加え、撹拌機(株式会社シンキー製、商品名:泡とり錬太郎ARE-310)を用いて2000rpmで2分間混合した。次いで、得られた混合物に、ジアザビシクロウンデセン(サンアプロ株式会社製、商品名DBU)0.1質量部を添加し、撹拌機を用いて、2000rpmで2分間混合することによって、光重合性化合物(製造例1の(A)成分)を得た。
【0079】
製造例2
チオコールLP-3の量を50質量部に変更したこと、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(メタクリロイル基数:2、日立化成株式会社製、商品名FA-324MG)に代えて、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(アクリロイル基数:2、MIWON社製、商品名M240)を50質量部用いたこと以外は、製造例1と同様にして、光重合性化合物(製造例2の(A)成分)を得た。
【0080】
製造例3
チオコールLP-3の量を57質量部に変更したこと、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(メタクリロイル基数:2、日立化成株式会社製、商品名FA-324MG)に代えて、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(アクリロイル基数:2、MIWON社製、商品名M240)を43質量部用いたこと以外は、製造例1と同様にして、光重合性化合物(製造例3の(A)成分)を得た。
【0081】
[光硬化性組成物の調製]
(B-1)成分、(B-2)成分、(C)成分、及び(D)成分として下記に示す化合物を準備した。
(B-1)水素引き抜き型光ラジカル発生剤:
2,2’―ビス(2―クロロフェニル)-4,4’,5,5’―テトラフェニル-1、2’―ビイミダゾール(富士フイルム和光純薬株式会社製、略称BCIM)
(B-2)分子内開裂型光ラジカル発生剤:
2、2―ジメトキシ―1、2-ジフェニルエタン-1-オン(IGM Resins B.V.社製、商品名Omnirad651)
(C)水素供与体:
4,4’,4’’―トリス(N、N-ジメチルアミノフェニル)メタン(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名ロイコクリスタルバイオレット、略称LCV)
(D)増感剤:
1―フェニル-3―(4―メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)ピラゾリン(株式会社日本化学工業所製、商品名NF-PZ-501D)
【0082】
実施例及び比較例の光重合性化合物((A)成分)に、表1に記載の種類及び量(単位:質量部)の、(B-1)成分、(B-2)成分、(C)成分、及び(D)成分と、溶剤としてアセトンを50質量部加えてミックスローター(アズワン株式会社製)で室温下12時間攪拌して各成分を溶解した。その後、60℃で1時間乾燥することにより、実施例1~3及び比較例1の光硬化性組成物を得た。実施例1~3及び比較例1の光硬化性組成物を評価サンプルとして用いた。
【0083】
[サンプルの評価]
粘弾性測定装置(TA Instuments社製、商品名:DHR-2)を用いて、光透過性の底面から評価サンプルに対して紫外光照射することで25℃における貯蔵弾性率を測定した。光照射は、LEDランプ(パナソニックデバイスSUNX株式会社製、商品名:AicureUJ30/ANUJ6186及びANUJ6189)を用い、第1波長として表1に示される波長及び露光量で露光した。その後、第2波長として表1に示される波長及び露光量で露光した。表1に、光照射前、第1波長の光照射後、第2光照射後の25℃における貯蔵弾性率結果を示す。
【0084】