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特許7552242液体吐出ヘッド、吐出ユニット、液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240910BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 451
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020174129
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065505
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】時田 寛也
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073668(WO,A1)
【文献】特開2019-123115(JP,A)
【文献】特開2019-202549(JP,A)
【文献】特開2012-035619(JP,A)
【文献】特開2008-168626(JP,A)
【文献】特開2010-214819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の共通流路支流と、
前記複数の共通流路支流に連通する共通流路本流と、
前記複数の圧力室をそれぞれ加圧する複数の圧力発生素子が配置されたアクチュエータ基板と、を備え、
前記共通流路本流の長手方向である前記アクチュエータ基板の長手方向の両端部に、温度を検知する温度検知手段がそれぞれ配置され
前記温度検知手段に対する配線は、前記アクチュエータ基板の短手方向の端部に引き出されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記温度検知手段に対する配線は、前記アクチュエータ基板の短手方向の両端部に引き出されている
ことを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記共通流路支流は、前記圧力室に通じる共通供給流路支流と、前記圧力室に通じる共通回収流路支流とを含み、
前記共通流路本流は、前記共通供給流路支流に通じる共通供給流路本流と、前記共通回収流路支流に通じる共通回収流路本流と、を含み、
前記共通供給流路本流の上流側の側方と、前記共通回収流路支流の下流側の側方とに、それぞれ前記温度検知手段が配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれかに記載の液体吐出ヘッドが複数配列されている
ことを特徴とする吐出ユニット。
【請求項5】
請求項1ないしいずれかに記載の液体吐出ヘッド、請求項に記載の吐出ユニットの少なくともいずれかを備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、温度検知手段を備えるものがある。
【0003】
従来、ノズルと、ノズルと連通する圧力室と、圧力室の液体に圧力を与える圧電素子と、複数の圧力室と連通するマニホールドと、複数のマニホールドに液体を供給する供給路と、複数のマニホールドを連結し、且つ、供給路から供給される液体を複数のマニホールドに分配する連結流路と、連結流路に設けられ、且つ、液体の温度を検知する温度検知器と、を備えるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-123115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、共通流路を本流と支流で構成するヘッドにあっては、面内における流路配置が複雑になり、特許文献1のように温度検知器を共通流路の長手方向の片側に配置しただけでは、面内における温度検知結果の誤差が大きくなるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、温度検知の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の共通流路支流と、
前記複数の共通流路支流に連通する共通流路本流と、
前記複数の圧力室をそれぞれ加圧する複数の圧力発生素子が配置されたアクチュエータ基板と、を備え、
前記共通流路本流の長手方向である前記アクチュエータ基板の長手方向の両端部に、温度を検知する温度検知手段がそれぞれ配置され
前記温度検知手段に対する配線は、前記アクチュエータ基板の短手方向の端部に引き出されている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度検知の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドをノズル面側から見た外観斜視説明図である。
図2】同じくノズル面と反対側から見た外観斜視説明図である。
図3】同じく分解斜視説明図である。
図4】同じく流路構成部材の分解斜視説明図である。
図5図4の要部拡大斜視説明図である。
図6】同じく流路部分の断面斜視説明図である。
図7】同じくアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
図8】本発明の第2実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
図9】本発明の第3実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
図10】本発明の第4実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
図11】本発明の第5実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
図12】本発明に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の一例の概略説明図である。
図13】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体吐出ヘッドをノズル面側から見た外観斜視説明図、図2は同じくノズル面と反対側から見た外観斜視説明図、図3は同じく分解斜視説明図、図4は同じく流路構成部材の分解斜視説明図、図5図4の要部拡大斜視説明図、図6は同じく流路部分の断面斜視説明図である。
【0011】
ヘッド100は、循環型の液体吐出ヘッドであり、ノズル板110と、流路板(個別流路部材)120と、圧電素子140を含む振動板部材130と、共通流路支流部材150と、ダンパ部材160と、共通流路本流部材170、フレーム部材180と、配線部材(フレキシブル配線基板)145などを備えている。配線部材145にはヘッドドライバ(ドライバIC)146が実装されている。本実施形態では、個別流路部材120と振動板部材130とによって、圧電素子140が配置されたアクチュエータ基板102を構成している。
【0012】
ノズル板110には、液体を吐出する複数のノズル111を有している。複数のノズル111は、二次元状にマトリクス配置されている。
【0013】
個別流路部材120は、複数のノズル111に各々連通する複数の圧力室(個別液室)121と、複数の圧力室121に各々通じる複数の個別供給流路122と、複数の圧力室121に各々通じる複数の個別回収流路123とを形成している。
【0014】
振動板部材130は、圧力室121の変形な可能な壁面である振動板131を形成し、振動板131には圧電素子140が一体に設けられている。また、振動板部材130には、個別供給流路122に通じる供給側開口132と、個別回収流路123に通じる回収側開口133とが形成されている。圧電素子140は、振動板131を変形させて圧力室121内の液体を加圧する圧力発生手段(圧力発生素子)である。
【0015】
共通流路支流部材150は、2以上の個別供給流路122に通じる複数の共通供給流路支流152と、2以上の個別回収流路123に通じる複数の共通回収流路支流153とを交互に隣接して形成している。
【0016】
共通流路支流部材150には、個別供給流路122の供給側開口132と共通供給流路支流152を通じる供給口154となる貫通孔と、個別回収流路123の回収側開口133と共通回収流路支流153を通じる回収口155となる貫通孔が形成されている。
【0017】
また、共通流路支流部材150は、複数の共通供給流路支流152に通じる1又は複数の共通供給流路本流156の一部156aと、複数の共通回収流路支流153に通じる1又は複数の共通回収流路本流157の一部157aを形成している。
【0018】
ダンパ部材160は、共通供給流路支流152の供給口154と対面する(対向する)供給側ダンパと、共通回収流路支流153の回収口155と対面する(対向する)回収側ダンパを有している。
【0019】
ここで、共通供給流路支流152及び共通回収流路支流153は、同じ部材である共通流路支流部材150に交互に並べて配列された溝部を、変形可能な壁面を形成するダンパ部材160で封止することで構成している。
【0020】
共通流路本流部材170は、複数の共通供給流路支流152に通じる共通供給流路本流156と、複数の共通回収流路支流153に通じる共通回収流路本流157を形成する。
【0021】
フレーム部材180には、共通供給流路本流156の一部156bと、共通回収流路本流157の一部157bが形成されている。共通供給流路本流156の一部156bはフレーム部材180に設けた供給ポート181に通じ、共通回収流路本流157の一部157bはフレーム部材180に設けた回収ポート182に通じている。
【0022】
このヘッド100においては、圧電素子140に駆動パルスを印加することによって圧電素子140が撓み変形をして圧力室121内の液体を加圧することにより、ノズル111から液体が滴状に吐出される。
【0023】
また、ヘッド100から液体を吐出する動作を行わないとき、あるいは、ノズル111から吐出されなかった液体は、回収ポート182及び供給ポート181が接続される循環経路を介して循環する。
【0024】
次に、本実施形態における温度検知に関する構成について図7も参照して説明する。図7はアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
【0025】
アクチュエータ基板102の振動板部材130には、複数の圧力室121に対応して圧力室121を加圧する圧電素子140が配列されている。
【0026】
アクチュエータ基板102の長手方向と直交する方向(短手方向)の両縁側には、圧電素子140に対する駆動電圧配線としての個別電極配線147、共通電極配線に通じる電極パターン148(148A、148B)が、アクチュエータ基板102に長手方向に沿って配置されている。
【0027】
電極パターン148(148A、148B)は、アクチュエータ基板102の短手方向において、平面視で、共通供給流路本流156及び共通回収流路本流157の外側に配置される。なお、電極パターン148は、各個別電極配線147と共通電極配線の引出し端子(接続用電極)の集合体を意味している。
【0028】
ここで、アクチュエータ基板102の長手方向は、共通供給流路本流156及び共通回収流路本流157の長手方向である。
【0029】
そして、共通流路本流の長手方向に沿う方向の両側であるアクチュエータ基板102の長手方向の両端部には、サーミスタなどの温度検知手段200(200A、200B)がそれぞれ配置されている。
【0030】
温度検知手段200は、アクチュエータ基板102の短手方向(共通流路本流の長手方向と直交する方向)においては、中央部に配置している。
【0031】
2つの温度検知手段200A、200Bの2つの引出し配線201、201は、それぞれアクチュエータ基板102の短手方向の両端部に引き出して、電極パターン148A、148Bの一部となっている(これを、「電極パターン148に引き出している」というように表記する。)。電極パターン148A、148Bには配線部材145に接続される。
【0032】
本実施形態の液体吐出ヘッド100は、図7に矢印で液体の流れ示すように、共通供給流路本流156、複数の共通供給流路支流152、個別の圧力室121、複数の共通回収流路支流153、共通回収流路本流157の順になる複雑な流路配置となっている。なお、面内とは、ノズル板110、アクチュエータ基板102、共通流路支流部材150、共通流路本流部材170などの面内の意味である。
【0033】
そこで、共通流路本流の長手方向に沿う方向の両側に温度検知手段200(200A、200B)をそれぞれ配置している。言い換えれば、2つの温度検知手段200A、200B間に、共通流路本流(共通供給流路本流156、共通回収流路本流157)、共通流路支流(共通供給流路支流152、共通回収流路支流153)、圧力室121が配置される。
【0034】
これにより、流路全体における温度検知をより正確に行うことができ、温度検知の信頼性が向上する。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
【0036】
本実施形態では、前記第1実施形態における温度検知手段200Aの2つの引出し配線201、201は、一方の電極パターン148A側に引き出し、温度検知手段200Bの2つの引出し配線201、201は、他方の電極パターン148B側に引き出している。
【0037】
これにより、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
【0039】
本実施形態では、一方の温度検知手段200Aは、アクチュエータ基板102の短手方向において、共通供給流路本流156側に片寄らせて、平面視で、共通供給流路本流156の上流側(供給ポート181側)の側方に配置している。
【0040】
他方の温度検知手段200Bは、アクチュエータ基板102の短手方向において、共通回収流路本流157側に片寄らせて、平面視で、共通回収流路本流157の下流側(回収ポート182側)の側方に配置している。
【0041】
温度検知手段200A、200Bの2つの引出し配線201、201は、それぞれ両側の電極パターン148A、148B側に引き出されている。
【0042】
これにより、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、最上流側のノズル111と最下流側のノズル111の近傍の温度を検知することができる。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
【0044】
本実施形態では、前記第1実施形態における温度検知手段200Aの2つの引出し配線201、201は、一方の電極パターン148A側に引き出し、温度検知手段200Bの2つの引出し配線201、201は、他方の電極パターン148B側に引き出している。
【0045】
これにより、第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
次に、本発明の第5実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態におけるアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
【0047】
本実施形態の液体吐出ヘッド100は、非循環型ヘッドであり、前記第1実施形態における共通回収流路支流153及び共通回収流路本流157を備えていない。本実施形態でも、図11に矢印で液体の流れ示すように、共通供給流路本流156、複数の共通供給流路支流152、個別の圧力室121の順になる。
【0048】
そして、共通流路本流の長手方向に沿う方向の両側であるアクチュエータ基板102の長手方向の両端部には、サーミスタなどの温度検知手段200(200A、200B)がそれぞれ配置されている。
【0049】
温度検知手段200は、アクチュエータ基板102の短手方向(共通流路本流の長手方向と直交する方向)においては、中央部に配置している。
【0050】
2つの温度検知手段200A、200Bの2つの引出し配線201、201は、電極パターン148側に引き出している。
【0051】
このような非循環型のヘッドにおいて、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0052】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の一例について図12及び図13を参照して説明する。図12は同印刷装置の概略説明図、図13は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【0053】
印刷装置1は、液体を吐出する装置であり、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、反転機構部60と、搬出部50とを備えている。
【0054】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0055】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0056】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0057】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0058】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0059】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0060】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0061】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0062】
液体吐出部32は、液体吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0063】
吐出ユニット33は、例えば、図13に示すように、複数のノズル111を二次元マトリクス状に配列した本発明に係る複数の液体吐出ヘッド(ヘッド)100をベース部材331に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドである。
【0064】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0065】
液体吐出部32で液体が付与されたシート材Pは、ドラム31から受け渡し胴35に渡され、受け渡し胴35によって乾燥部40にシート材Pを移送する搬送機構部41に渡される。
【0066】
乾燥部40は、搬送機構部41によって搬送されるシート材Pを加熱手段42で加熱して、シート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより、液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0067】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷を行うときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは両面搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0068】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。乾燥部40から反転機構部60を介して搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0069】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0070】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0071】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0072】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0073】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0074】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0075】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0076】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0077】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0078】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0079】
なお、ここでは、「液体吐出ユニット」について、液体吐出ヘッドとの組み合わせで説明しているが、「液体吐出ユニット」には上述した液体吐出ヘッドを含むヘッドモジュールやヘッドユニットと上述したような機能部品、機構が一体化したものも含まれる。
【0080】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、ヘッドモジュール、ヘッドユニットなどを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0081】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0082】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0083】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0084】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0085】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0086】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0087】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0088】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0089】
1 印刷装置(液体を吐出する装置)
30 印刷部
33 吐出ユニット
100 液体吐出ヘッド
102 アクチュエータ基板
110 ノズル板
111 ノズル
120 個別流路部材
121 圧力室
122 個別供給流路
123 個別回収流路
130 振動板部材
140 圧電素子
148 電極パターン
150 共通流路支流部材
152 共通供給流路支流
153 共通回収流路支流
156 共通供給流路本流
157 共通回収流路本流
170 共通流路本流部材
200 温度検知手段
図1
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