(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】読取装置、画像形成装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240910BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240910BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H04N1/04 101
G06T1/00 430G
H04N1/21
(21)【出願番号】P 2020181785
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】横山 卓平
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】小山 忠明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-205538(JP,A)
【文献】特開2006-130201(JP,A)
【文献】特開2004-310662(JP,A)
【文献】特開2004-193728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
G06T 1/00
H04N 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、
前記第1の光源とは光の波長が異なる第2の光源と、
前記第1の光源および前記第2の光源の点灯および消灯を指示する指示手段と、
第1の光量値に基づき前記第1の光源の光量を調整する第1の光量調整手段と、
第2の光量値に基づき前記第2の光源の光量を調整する第2の光量調整手段と、
被写体から反射する前記第1の光源の光を受光する第1のイメージセンサと、
前記被写体から反射する前記第1の光源の光および前記第2の光源の光を受光する第2のイメージセンサと、
前記第1の光源を点灯した状態で前記第1のイメージセンサから出力される出力データに基づき第1の光量条件を満たす光量値を前記第1の光量値として設定し、前記第1の光源を点灯した状態で前記第2のイメージセンサから出力される出力データに基づき第2の光量条件を満たす光量値を前記第2の光量値として設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記設定手段は、
前記第1の光源の点灯状態において前記第1のイメージセンサから出力される出力データおよび前記第2のイメージセンサから出力される出力データをメモリで保持し、
前記メモリで保持している前記第1のイメージセンサの前記出力データを使用して前記第1の光量条件から算出される光量値を前記第1の光量値として設定し、
前記第1のイメージセンサの前記出力データを保持していた領域を解放して前記第2の光源の点灯状態において前記第2のイメージセンサから出力される出力データを保持し、
前記第1の光源の点灯状態における前記第2のイメージセンサの前記出力データおよび前記第2の光源の点灯状態における前記第2のイメージセンサの前記出力データを使用して前記第2の光量条件から算出される光量値を前記第2の光量値として設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記設定手段は、
前記第1の光量値の設定を前記第1の光源を点灯させた状態で行い、
前記第2の光量値の設定を前記第2の光源を点灯させた状態で行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項4】
前記設定手段は、
前記第1の光量値として設定された光量で前記第1の光源を点灯させた状態で、前記第2の光量値の設定を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記設定手段は、
前記第2のイメージセンサにおいて画像が飽和しない光量内で前記第2の光量値の設定を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記第2の光源は可視光波長域の光源であり、前記第1の光源は可視光とは異なる波長域である不可視光波長域の光源である、
請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項7】
さらに、前記第1のイメージセンサから出力される前記不可視光波長域の読取画像の視認レベルの設定を受け付ける選択部を備え、
前記設定手段は、前記選択部により受け付けた視認レベルに対応する光量調整目標値を満たす光量値を前記第1の光量値として設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の読取装置。
【請求項8】
さらに、前記第1のイメージセンサから出力される前記不可視光波長域の2次元コードがデコード可能なレベルの設定を受け付ける選択部を備え、
前記設定手段は、前記選択部により受け付けたデコード可能なレベルに対応する光量調整目標値を満たす光量値を前記第1の光量値として設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の読取装置。
【請求項9】
さらに、前記第1のイメージセンサから出力される前記不可視光波長域のバーコードがバーコード読取可能なレベルの設定を受け付ける選択部を備え、
前記設定手段は、前記選択部により受け付けたバーコード読取可能なレベルに対応する光量調整目標値を満たす光量値を前記第1の光量値として設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の読取装置。
【請求項10】
前記第2のイメージセンサの出力画像から前記第1の光源の光の成分を除去する除去手段と、
前記出力画像からオブジェクト情報を抽出するオブジェクト情報抽出手段と、
をさらに備え、
前記設定手段は、
前記除去手段による前記光の成分の除去後の画像がオブジェクト情報の抽出が可能なレベルに前記第1の光源の光量値を設定する、
ことを特徴とする請求項7~9の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項11】
前記
第1の光源は、赤外線の波長域の光源である、
ことを特徴とする請求項6乃至10のうちの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項12】
前記第1の光源および前記第2の光源による基準被写体からの反射光を前記第1のイメージセンサおよび前記第2のイメージセンサが受光することにより前記第1の光源および前記第2の光源の光量調整を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至11のうちの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項13】
前記被写体から反射する前記第2の光源の光による前記第1のイメージセンサへの入射を回避する手段を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至12のうちの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちの何れか一項に記載の読取装置と、
前記設定手段の光量設定で前記被写体から読み取った前記第1のイメージセンサまたは前記第2のイメージセンサの出力画像を媒体上に形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
被写体から反射する第1の光源の光を受光する第1のイメージセンサと、前記被写体から反射する前記第1の光源の光および前記第1の光源とは光の波長が異なる第2の光源の光を受光する第2のイメージセンサとの、混色を抑制する方法であって、
前記第1の光源を点灯した状態で前記第1のイメージセンサから出力される出力データに基づき第1の光量条件を満たす光量値を第1の光量値として設定するステップと、
前記第1の光源を点灯した状態で前記第2のイメージセンサから出力される出力データに基づき第2の光量条件を満たす光量値を第2の光量値として設定するステップと、
前記第1の光量値に基づき前記第1の光源の光量を調整するステップと、
前記第2の光量値に基づき前記第2の光源の光量を調整するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、画像形成装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光と近赤外光を同時に原稿に照射し、一度のスキャン動作で可視光に基づく画像と近赤外光に基づく画像を同時に読取る画像読取装置の技術が知られている。可視光と近赤外光とを同時に原稿に照射すると、読取の対象とする波長以外の他方の光源からの光にも感度がある場合に検出されてしまうことがある。このような場合、センサからの出力画像に他方の光源の光も重畳され混色が生じることになるため、混色を抑制するために光量を調整する技術も開示されている。
【0003】
例えば特許文献1において、異なる波長帯の光源を同時に点灯させ画像を読み取る画像読取装置において、各光源に対するセンサの混色度合いを算出し、算出結果を使用して光量調整する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、混色を抑制するには光量調整に使用するメモリ量が増大するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光量調整に必要なメモリ量を削減して混色を抑制することができる読取装置、画像形成装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の読取装置は、第1の光源と、前記第1の光源とは光の波長が異なる第2の光源と、前記第1の光源および前記第2の光源の点灯および消灯を指示する指示手段と、第1の光量値に基づき前記第1の光源の光量を調整する第1の光量調整手段と、第2の光量値に基づき前記第2の光源の光量を調整する第2の光量調整手段と、被写体から反射する前記第1の光源の光を受光する第1のイメージセンサと、前記被写体から反射する前記第1の光源の光および前記第2の光源の光を受光する第2のイメージセンサと、前記第1の光源を点灯した状態で前記第1のイメージセンサから出力される出力データに基づき第1の光量条件を満たす光量値を前記第1の光量値として設定し、前記第1の光源を点灯した状態で前記第2のイメージセンサから出力される出力データに基づき第2の光量条件を満たす光量値を前記第2の光量値として設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光量調整に必要なメモリ量を削減して混色を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる読取装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、読取装置の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、光源とイメージセンサの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、読取装置の光量調整の第1のパターンの一例を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、読取装置の光量調整の第2のパターンの一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、読取装置の光量調整の第3のパターンの一例を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、読取装置の光量調整の第4のパターンの一例を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、飽和しない最大光量の設定としなかった場合と設定した場合とにおいて原稿を読み取ったイメージセンサの出力画像の比較図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態の実施例にかかる読取装置の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、読取対象の原稿と、当該原稿の一度の画像読取によりイメージセンサから出力される出力画像の比較図である。
【
図12】
図12は、変形例1にかかる読取装置の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、読取装置の光量調整の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は、読取対象の原稿と、当該原稿の一度の画像読取によりイメージセンサから出力される出力画像の比較図である。
【
図15】
図15は、不可視情報に2次元コード情報を使用した証明書の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、変形例2にかかる読取装置の光量調整の一例を示すフロー図である。
【
図17】
図17は、不可視情報に1次元バーコード情報を使用した証明書の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、変形例3にかかる読取装置の光量調整の一例を示すフロー図である。
【
図19】
図19は、変形例4にかかる読取装置の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、読取対象の原稿と、当該原稿の一度の画像読取によりイメージセンサから出力される出力画像の比較図である。
【
図21】
図21は、汎用のイメージセンサを使用した場合の読取装置の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、シリコンのイメージセンサの分光特性を示す図である。
【
図23】
図23は、基準被写体を含む構成の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、読取装置、画像形成装置および方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下において可視光線の波長域(可視波長域)を対象とする場合に可視、可視光線以外の赤外線や紫外線などの波長域を対象とする場合に不可視と呼ぶ。不可視の波長域(不可視波長域)は一例として380nm以下または750nm以上などとする。また、以下では、「被写体」の一例として原稿等を示すが、原稿等の読取を行わない期間は原稿の読取位置にある部材(基準部材等)が被写体に相当するものとする。光源の光が被写体で反射してイメージセンサに入射する例を示す。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる読取装置の一例を示す図である。
図1には、読取装置の一例として、ADF(Automatic Document Feeder)を搭載した読取装置の構成を示している。
【0011】
読取装置本体10は、上面にコンタクトガラス11を有し、読取装置本体10の内部に縮小光学系方式の読取手段である、光源13、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズユニット16、センサボード17などを有する。
図1において、第1キャリッジ14は光源13と反射ミラー14-1とを有し、第2キャリッジ15は反射ミラー15-1、15-2を有する。
【0012】
光源13は、第1の光源13aと第1の光源13bを備え、第1の光源13aと第1の光源13bを共に点灯する。第1の光源13aと第1の光源13bとは互いに波長帯が異なる光源を使用している。例えば第1の光源13aは赤外線等の可視波長域以外の光(不可視光と呼ぶ)の光源であり、第1の光源13bは赤色などの可視波長域の光(可視光と呼ぶ)の光源である。光源13の第1の光源13aの光および第1の光源13bの光は共に読取対象に照射され、読取対象からの反射光が第1キャリッジ14のミラー14-1や第2キャリッジ15のミラー15-1、15-2で折り返されてレンズユニット16に入射し、読取対象の像がレンズユニット16からセンサボード17上の受光面上に結像する。センサボード17は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary MOS)などのラインセンサを有する。ラインセンサは、受光面に結像した第2の光源13bからの光の像を順次電気信号に変換して第2画像を出力し、受光面に結像した第1の光源13aからの光の像を順次電気信号に変換して第1画像を出力する。
【0013】
本実施の形態において、読取装置1は第1の光源13aの光および第2の光源13bの光を同時に読取対象に照射する。ラインセンサは、照射された第1の光源13aの光を、第1の光源13aの光に対応する第1のイメージセンサで撮像して第1画像を出力し、照射された第2の光源13bの光を、第2の光源13bの光に対応する第2のイメージセンサで撮像して第2画像を出力する。一例として、第1の光源13aを赤外光とした場合に第1のイメージセンサとしてIR(赤外線)センサを使用することができる。また、第2の光源13bを可視光とした場合に可視光のイメージセンサとしてR(Red)、G(Green)、およびB(Blue)のイメージセンサを使用することができる。
【0014】
基準白板12は光源13の光量変化やラインセンサの画素(画素回路)のばらつきなどの補正に使用される。
【0015】
読取装置1は読取装置本体10に制御ボードを備え、読取装置本体10の各部やADF20の各部を制御して所定の読取方式で読取対象の読取を行う。
【0016】
読取装置1は、ADF20を使用してシートスルー方式で原稿100の読取を行う。
図1に示す構成では、読取装置1は、ADF20のトレイ21の原稿束からピックアップローラ22により1枚ずつに分離して原稿100を搬送路23に搬送し、原稿100の読取対象の面を所定の読取位置で読み取って原稿100を排紙トレイ25に排出する。原稿100の搬送は各種搬送ローラ24の回転により行われる。
【0017】
原稿100の読取は、読取装置1が例えば第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を所定のホームポジションに移動して固定し、それを固定した状態で、原稿100が読取窓19と背景部26との間を通過するタイミングで行う。読取窓19はコンタクトガラス11の一部に設けられたスリット状の読取窓であり、原稿100が自動搬送で読取窓19を通過することで原稿100の副走査方向が走査される。背景部26は、スリットの対向位置に配置される所定の背景色の背景部材である。読取装置1は、原稿100が読取窓19を通過する間に読取窓19側に向けられている原稿100の第1面(表面または裏面)に照射した光源13の光の反射光をセンサボード17上のラインセンサで逐次読み取る。
【0018】
なお、原稿100の両面読取を行う場合には、例えば表裏を反転させる反転機構を設けるなどして実施する。読取装置1は、反転機構を設けることにより原稿100を反転させて原稿100の第2面を読取窓19で読み取らせることが可能になる。また、反転機構に限らず、その他の構成で読み取らせるようにしてもよい。例えば読取窓19の通過後に、原稿100の背面側に設けた読取部で原稿100の第2面を読み取らせてもよい。この場合、読取部の対向位置に配置された白色等の部材が背景部に相当する。
【0019】
本例の読取装置1の構成では、フラットベット方式の読取も可能である。具体的には、ADF20を持ち上げてコンタクトガラス11を露出し、コンタクトガラス11上に原稿100を直接配置する。そして、ADF20を元の位置に下ろしてADF20の下部で原稿100の背面を押さえる。フラットベット方式では原稿100が固定されるため、原稿100に対しキャリッジ(第1キャリッジ14、第2キャリッジ15)側を移動して走査を行う。第1キャリッジ14および第2キャリッジ15はスキャナモータ18によって駆動され、原稿100の副走査方向を走査する。例えば、第1キャリッジ14が速度Vで移動し、同時にそれと連動して第2キャリッジ15が、第1キャリッジ14の半分の速度1/2Vで移動して、原稿100のコンタクトガラス11側の第1面を読み取る。この場合、ADF20の下部(原稿100を背面から抑える白色等の部材)が背景部に相当する。
【0020】
なお、この例では、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズユニット16、センサボード17等を別々に示しているが、これらは、個別に設けてもよいし、一体となった一体型センサモジュールとして設けてもよい。
【0021】
本実施の形態では、第2光源の光を、第1の光源13bの光の波長領域に感度をもつ第2のイメージセンサを使用して撮像する場合を一例に、第1の光源13aの光を同時に照射した場合に生じる混色を光量調整により抑制する方法について説明する。第2のイメージセンサは第1の光源13aの光の波長領域にも感度をもつ場合がある。この場合、第2のイメージセンサでは第1の光源13aの光を同時に照射すると第1の光源13aの光成分も検出し、第2のイメージセンサから第1の光源13aからの光も重畳された信号が出力され、出力画像(第2画像)に混色が生じてしまう。
【0022】
図2は、読取装置1の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
図2には、一例としてCPUが光量調整を行う場合の構成を示している。
図2には主に光量調整に関わる処理部と制御対象とを明示しており、読取装置1のその他の構成については図示を省略している。
【0023】
CPU31はプロセッサであり、ROMなどに記憶した制御プログラムに基づき読取装置1全体を制御する。本実施の形態においてCPU31は第1の光源13aおよび第2の光源13bの光量調整等の各種処理も行う。例えばCPU31は、光量調整プログラムを実行することにより指示手段310および設定手段311を機能部として実現し、原稿の読取処理の前において第1の光源13aおよび第2の光源13bの光量調整を行う。
【0024】
指示手段310は、第1の光源13aおよび第2の光源13bを所定の手順で点灯または消灯する。設定手段311は、第1のイメージセンサ17aおよび第2のイメージセンサ17bから適宜出力データを取得し、取得した出力データから光量条件を満たす光量値を算出して設定する。
【0025】
CPU31は、第1のイメージセンサ17aの出力データである画像(第1の画像)に基づき第1の光量条件を満たす光量値を第1の光源13aの光量値(第1の光量値)として設定する。また、CPU31は、第2のイメージセンサ17bの出力データである画像(第2の画像)に基づき第2の光量条件を満たす光量値を第2の光源13bの光量値(第2の光量値)として設定する。
【0026】
メモリ32は、CPU31がワークエリアとして使用するRAM等の記憶部である。例えばCPU32が光量調整を行う際に一時的にデータを保持する場合にメモリ32を使用する。
【0027】
第1の光量調整手段34aは、第1の光量設定部340aに設定された光量値に基づき第1の光源13aの光量を調整する。
【0028】
第2の光量調整手段34bは、第2の光量設定部340bに設定された光量値に基づき第2の光源13bの光量を調整する。
【0029】
なお、指示手段310および設定手段311の一部またはすべてを光量調整手段(第1の光量調整手段34aおよび第2の光量調整手段34b)に設けて実施してもよい。その場合には、光量調整手段は、例えば第1の光源13aおよび第2の光源13bの点灯および消灯を指示し、第1のイメージセンサ17aおよび第2のイメージセンサ17bから出力データを適宜取得して第1の光源13aおよび第2の光源13bのそれぞれの光量条件(第1の光量条件および第2の光量条件)を満たす光量値(第1の光量値および第2の光量値)を算出して各設定部(第1の光量設定部340aおよび第2の光量設定部340b)に設定する。この場合、光量調整の際に必要なメモリは光量調整手段のハードウェアに設けてよい。以下、第1の光量条件を第1の光源13aの光量条件とし、第2の光量条件を第2の光源13bの光量条件として説明する。
【0030】
図3は、光源とイメージセンサの構成の一例を示す図である。
図3には、光源とイメージセンサの構成と、読取対象との配置の関係と、光の入射の関係とを模式的に示している。
図3に示すように、第1の光源13aから照射する光は読取位置で反射して第1のイメージセンサ17aに入射する。また、第2の光源13bから照射した光は読取位置で反射して第2のイメージセンサ17bに入射する。原稿100は読取位置に配置されて、読取位置で第1の光源13aと第2の光源13bの光の照射により反射光が第1のイメージセンサと第2のイメージセンサに入射して読み取られる。
【0031】
図3示す例では、原稿100は矢印m1の方向へ搬送機構により搬送され、読取位置の通過と共に、第1の光源13aの光が原稿100で反射し第1のイメージセンサ17aへ入射し、第2の光源13bの光が原稿100で反射し第2のイメージセンサ17bへ入射する。しかし、
図3に示すように、第1の光源13aおよび第2の光源13bの反射光は、それぞれ他方のイメージセンサ(第2のイメージセンサ17bおよび第1のイメージセンサ17a)にも入射している。この場合、混色が生じる条件にあるので光量調整が必要になる。
【0032】
本実施の形態では、第1のイメージセンサ17aに対し、第2光源13bの光をカットするフィルタ171を設ける。フィルタ171は、例えば第1のイメージセンサ17aの受光面に第2の光源13bの光を吸収するフィルタまたは反射するフィルタを配置するなどして設ける。これにより、第1のイメージセンサ17aは、ほぼ第2の光源13bからの光をカットし、第1の光源13aの光のみを受光することができる。
【0033】
一方、第2のイメージセンサ17bは、第1の光源13aの光および第2の光源13bの光が入射する構成になっており、第2の光源13bの光の波長領域だけでなく第1の光源13aの光の波長領域にも受光感度を有する。
【0034】
第1のイメージセンサ17aおよび第2のイメージセンサ17bは互いに隣接若しくは近傍に位置し、第2のイメージセンサ17bは他方の光つまり第1の光源13aの光が入射する。
【0035】
なお、フィルタ171は、第1のイメージセンサ17aへの第2の光源13bの光の入射を回避する手段の一例である。回避手段は、その目的が達成できるのであれば、フィルタ171を設けること以外の手段を使用してもよい。例えば、第1の光源13aの光が入射しない位置(第1のイメージセンサ17aから遠い位置)に第2のイメージセンサを配置するなどとしてもよい。
【0036】
この構成の下、読取装置1に以下の光量調整を行わせる。光量調整は、CPU31が光量調整プログラムを実行することにより必要に応じてメモリ32を使用しながら次のように行う。
【0037】
図4は、読取装置1の光量調整の第1のパターンの一例を示すフロー図である。まず、CPU31は、第1の光源13aを基準光量Po1の設定で点灯し、第1の光源13aの光量調整を開始する(S101)。
【0038】
次に、CPU31は、第1の光源13aの基準光量Po1における第1のイメージセンサ17aの出力Do1_1を取得し、メモリ32のアドレス1に保持させる(S102)。Do1_1は第1の光源13aの基準光量Po1における第1のイメージセンサ17aの基準データである。
【0039】
次に、CPU31は、第1の光源13aの基準光量Po1における第2のイメージセンサ17bの出力Do2_1を取得し、メモリ32のアドレス2に保持させる(S103)。Do2_1は第1の光源13aの第2のイメージセンサ17bに対する混色度合いである。
【0040】
次に、CPU31は、第1の光源13aを消灯し(S104)、第1の光源13aの光量条件を満たす光量値P1を算出して第1の光量設定部340aに設定する(S105)。第1の光源13aの光量条件は、一例としてP1=Po1×Tar1/Do1_1である。光量条件に示すTar1は所定の光量調整目標値である。ここでCPU31は光量値P1の計算にメモリ32からDo1_1を読み出すため、アドレス1を解放することができる。ここまでで第1の光源13aの光量調整は完了である。
【0041】
次に、CPU31は、第2の光源13bを基準光量Po2で点灯し、第2の光源13bの光量調整を開始する(S106)。
【0042】
次に、CPU31は、第2の光源13bの基準光量Po2における第2のイメージセンサ17bの出力Do2_2を取得し、メモリ32のアドレス1に保持させる(S107)。Do2_2は第2の光源13bの基準光量Po2における第2のイメージセンサ17bの基準データである。
【0043】
次に、CPU31は、第2の光源13bを消灯し(S108)、第2の光源13bの光量条件を満たす光量値P2を算出して第2の光量設定部340bに設定する(S109)。第2の光源13bの光量条件は、一例としてP2=Po2×(Tar2-D2_1×P1/Po1)/Do2_2である。光量条件に示すTar2は所定の光量調整目標値である。ここでCPU31は光量値P2の計算にメモリ32からDo2_1、Do2_2を読み出すため、アドレス1、2を解放することができる。ここまでで第2の光源13bの光量調整は完了である。
【0044】
なお、Do1_1やDo2_1を保持する場所は読取装置1が備えるメモリ32に限らず、読取装置1の外部にある外部メモリでもよい。
【0045】
以上のような第1のパターンの光量調整を行うことにより、光量調整に必要なアドレスはアドレス1~2だけでよく、光量調整の調整時間を増加させることなくメモリ32の容量の削減が可能となる。
【0046】
第2の光源13bと第1のイメージセンサ17aの組み合わせのように、ほぼ混色しない光源とイメージセンサとの組み合わせについては混色度合いを取得および保持する必要がない。従って、その分のデータの取得および保持を省略することができ、その分だけメモリ32の容量を減らしても適切に光量調整を行うことが可能となる。
【0047】
図5は、読取装置1の光量調整の第2のパターンの一例を示すフロー図である。まず、CPU31は、第1の光源13aを基準光量Po1で点灯し、第1の光源13aの光量調整を開始する(S201)。
【0048】
次に、CPU31は、第1の光源13aの基準光量Po1における第2のイメージセンサ17bの出力Do2_1を取得し、メモリ32のアドレス1に保持させる(S202)。
【0049】
次に、CPU31は、第1の光源13aの光量条件を満たす光量値P1を算出して第1の光量設定部340aに設定する(S203)。
【0050】
次に、CPU31は、第1の光源13bを消灯する(S204)。ここまでで第1の光源13aの光量調整は完了である。
【0051】
次に、CPU31は、第2の光源13bを基準光量Po2で点灯する(S205)。次に、CPU31は、第2の光源13bの光量条件を満たす光量値P2を算出して第2の光量設定部340bに設定する(S206)。ここでCPU31は光量値P2の計算にメモリ32からDo2_1を読み出すため、アドレス1を解放することができる。
【0052】
次に、CPU31は、第2の光源13bを消灯し(S207)、ここまでで第2の光源13bの光量調整は完了である。
【0053】
以上の第2のパターンのフローのように、光量調整する光源を点灯させたままイメージセンサ出力を読み出して光量設定することにより、イメージセンサ出力がメモリ代わりになる。よって、第2のパターンのフローであればメモリにDo1_1を保持する必要がなく、第1のパターンよりも少ないメモリ容量で適切に光量調整を行うことが可能である。
【0054】
図6は、読取装置1の光量調整の第3のパターンの一例を示すフロー図である。まず、CPU31は、第1の光源13aを基準光量Po1で点灯し、第1の光源13aの光量調整を開始する(S301)。
【0055】
次に、CPU31は、第1の光源13aの光量条件を満たす光量値P1を算出して第1の光量設定部340aに設定する(S302)。ここまでで第1の光源13aの光量調整は完了である。
【0056】
次に、CPU31は、第2の光源13bを基準光量Po2で点灯する(S303)。
【0057】
次に、CPU31は、第2のイメージセンサ17bの出力D2がD2=Tar2を満たすかどうかを判定する(S304)。
【0058】
CPU31は、出力D2がD2=Tar2を満たさない場合(S304:No判定)、第2の光量設定部340bに設定されている光量値を所定単位でインクリメントし、第2の光源13bの光量を増加させる(S305)。その後、CPU31は、S304の判定を再び行う。インクリメントする単位数は1単位ずつでも複数単位ずつでもよい。
【0059】
CPU31は、出力D2がD2=Tar2を満たす場合(S304:Yes判定)、そこで第2の光源13bの光量調整が完了するので、第1の光源13aおよび第2の光源13bを消灯する(S306、S307)。
【0060】
以上の第3のパターンのフローのように、第1の光源13aを狙いの光量P1に設定し、光量P1で点灯させた状態で第2の光源13bの光量調整を行う。これにより、第2の光源13bの光量調整時の第2のイメージセンサ出力に第1の光源13aの混色成分が含まれるようになる。このように光量調整することにより、光量調整の調整時間を増加させることなく、さらに光量調整のためのメモリに保持することなくつまり一般的な読取装置からメモリ容量を増加させることなく、適切に光量調整を行うことが可能になる。
【0061】
なお、
図6に示すフローでは、光量を徐々に増やすようにして第2の光源13bの光量調整を行っているが、これは一例であり、光量調整目標値にセンサ出力を合わせられる方法であれば、別の方法を用いてもよい。例えば、Po2をD2≧Tar2となるような光量に設定しておき光量を徐々に減らしていってもよい。また、第1の光源13aの光量調整を行った後の光量P1と、第1の光源13aと第2のイメージセンサ17bの光学特性から第1の光源13aが第2のイメージセンサ17bに及ぼす混色量を推測して第2の光源13bの光量を設定してもよい。
【0062】
図7は、読取装置1の光量調整の第4のパターンの一例を示すフロー図である。まず、CPU31は、第1の光源13aを基準光量Po1で点灯し、第1の光源13aの光量調整を開始する(S401)。
【0063】
次に、CPU31は、第1の光源13aの基準光量Po1における第1のイメージセンサ17aの出力Do1_1を取得し、メモリ32のアドレス1に保持させる(S402)。Do1_1は第1の光源13aの基準光量Po1における第1のイメージセンサ17aの基準データである。
【0064】
次に、CPU31は、第1の光源13aの光量条件を満たす光量値P1を算出して第1の光量設定部340aに設定する(S403)。ここでCPU31は光量値P1の計算にメモリ32からDo1_1を読み出すため、アドレス1を解放することができる。ここまでで第1の光源13aの光量調整は完了である。
【0065】
次に、CPU31は、第2の光源13bを基準光量Po2で点灯し、第2の光源13bの光量調整を開始する(S404)。
【0066】
次に、CPU31は、第2の光源13bの基準光量Po2における第2のイメージセンサ17bの出力Do2_2を取得し、メモリ32のアドレス1に保持させる(S405)。Do2_2は第2の光源13bの基準光量Po2における第2のイメージセンサ17bの基準データである。
【0067】
次に、CPU31は、第2のイメージセンサ17bの出力D2がD2=D2maxを満たすかどうかを判定する(S406)。
【0068】
CPU31は、出力D2がD2=D2maxを満たさない場合(S406:No判定)、第2の光源13bの光量出力が最大出力かどうかを判定する(S407)。
【0069】
CPU31は、第2の光源13bの光量出力が最大出力でない場合(S407:No判定)、第2の光量設定部340bに設定されている光量値を所定単位でインクリメントし、光源13bの光量を増加させる(S408)。その後、CPU31は、S406の判定を再び行う。インクリメントする単位数は1単位ずつでも複数単位ずつでもよい。
【0070】
CPU31は、出力D2がD2=D2maxを満たすか(S406:Yes判定)、あるいは第2の光源13bの光量出力が最大出力に達すると(S407:Yes判定)、そこで第2の光源13bの光量調整を完了し、第1の光源13aおよび第2の光源13bを消灯する(S409、S410)。
【0071】
以上の第4のパターンのフローのように、第2の光源13bの光量調整を終了する条件(第2の光量調整を満たす条件)として、第2のイメージセンサ17bの出力D2が第2の光源13bの最大出力だけでなく、第2のイメージセンサ17bの飽和出力値D2maxとすることで、第2の光源13bの光量を第2のイメージセンサ17bが飽和しない光量内で最大光量に調整することができる。
【0072】
なお、D2maxは必ずしも第2のイメージセンサ17bの飽和出力値そのものである必要は無く、電子デバイスなどの発熱による温度変化で変動する光源光量、センサ感度の安定性、あるいは光学素子の分光特性の安定性などに合わせ、飽和出力値にマージンをもたせた値であってもよい。
【0073】
図8および
図9は、飽和しない最大光量の設定としなかった場合(第4のパターン以外)と飽和しない最大光量の設定とした場合(第4のパターン)においてイメージセンサから出力される画像の比較結果を説明する図である。
【0074】
図8は、原稿の一例を示す図である。
図8には、原稿400にテキスト401と画像402が含まれるものを一例として示した。
【0075】
図9は、飽和しない最大光量の設定としなかった場合(
図9(a))と設定した場合(
図9(b))とにおいて
図8に示す原稿400を読み取ったイメージセンサの出力画像500の比較図である。一般的にセンサへの入射光量が多いほど画像のS/Nは高くなる。S/Nとはシグナルノイズ比のことでS/Nが高いほど画像の粒状性がよくなる。
図9(a)は、飽和しない最大光量の設定としないため、第2イメージセンサ17bから出力される原稿画像である第2の画像500が全体的にノイズの乗った粒状性のある画像になり、テキスト501と画像502が原稿400のテキスト401と画像402から画質が落ちて再現しにくくなる。一方、
図9(b)は、飽和しない最大光量の設定としたため、第2イメージセンサ17bから出力される第2の画像がほぼ原稿400に近い画像になり、再現性がよい。つまり、第4のパターンで用いたように第2の光源13bの光量を第2のイメージセンサ17bが飽和しない最大光量に調整することで第2のイメージセンサ17bの読み取りの画質を向上させることができると言える。
【0076】
(実施例1)
第1の実施の形態では、第1の光源13aと第2の光源13bとして、それぞれ異なる任意の波長帯のものを使用した例を示したが、第1の実施の形態の実施例の一つとして、第1の光源に不可視光を使用し、第2の光源に可視光を使用することが考えられる。以下に実施例1にかかる読取装置1の処理部の構成を示し、その場合の利用形態について説明する。
【0077】
図10は、第1の実施の形態の実施例にかかる読取装置1の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
図10には、
図2と同様に、一例としてCPUに光量調整の機能を持たせる場合の光量調整に関わる処理部と制御対象とを示し、読取装置1のその他の構成については図示を省略している。また、
図10に示す構成において
図2と同じ構成については同一番号を付している。その他の構成についても
図2に示す構成をそれぞれ不可視光用と可視光用とに置き換えたものであり、
図10の構成と
図2の構成との対応関係は次の通りである。
【0078】
図10において、第1の光源13a(
図2参照)を不可視光の光源である不可視光光源43aに置き換えている。この置き換えに合わせて、第1の光量調整手段34a(
図2参照)を不可視光光量調整手段44aに置き換え、第1の光量設定部340a(
図2参照)を不可視光光量設定部440aに置き換え、第1のイメージセンサ17a(
図2参照)を不可視光イメージセンサ47aに置き換えている。
【0079】
また、第2の光源13b(
図2参照)を可視光の光源である可視光光源43bに置き換えている。この置き換えに合わせて、第2の光量調整手段34b(
図2参照)を可視光光量調整手段44bに置き換え、第2の光量設定部340b(
図2参照)を可視光光量設定部440bに置き換え、第2のイメージセンサ17b(
図2参照)を可視光イメージセンサ47bに置き換えている。
【0080】
実施例にかかる読取装置1の場合、可視光波長域の可視光情報と不可視光波長域の不可視光情報を含む原稿から可視光情報と不可視光情報の画像読取を一度の画像読取(例えば同時読取)で実施するという利用形態が可能である。混色を抑止する光量調整処理を第1の実施の形態において一例として示す第1~第4のパターンのうちの何れかのパターンで実施し、次の結果を得る。
【0081】
図11は、読取対象の原稿と、当該原稿の一度の画像読取によりイメージセンサから出力される出力画像の比較図である。
図11(a)は可視光情報と不可視光情報を含む原稿の一例である。
図11(a)には、可視光波長域で読み取り可能なテキスト401と画像402を含み、更に不可視光域で読み取り可能な不可視光情報403を含む証明書400の一例を示している。証明書400は、例えば名刺、会員証、学生証、免許証、パスポート、またはマイナンバーカードなどにおいて実施できる。テキスト401は、例えば名前や住所等のテキスト情報であり、画像402は顔写真であり、不可視光情報403は隠し絵やロゴ等の情報である。
【0082】
不可視光光源43aと可視光光源43bによる証明書400に対する光の照射により、可視光イメージセンサ47bから第2画像として
図11(b)に示す可視光画像510が出力される。また、不可視光イメージセンサ47aから第1画像として
図11(c)に示す不可視光画像520が出力される。
【0083】
可視光画像510は、可視光情報のテキスト401および画像402が読み取られたテキスト511および画像512が含まれる。また、可視光画像510は、第1の実施の形態に示す光量調整により不可視光による混色が適切に抑止されるため証明書400に近い画質の画像が得られる。
【0084】
不可視光画像520には、不可視光情報403が読み取られた画像523が含まれ、混色も抑止されている。
【0085】
(実施例1の変形例1)
図12は、変形例1にかかる読取装置1の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
図12に示す読取装置1には、
図10に示す構成において不可視光光量調整手段44aに、「選択部」の一例として、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aを更に設けている。
【0086】
不可視光光源の光量調整目標値選択部441aは、不可視光源43aの光量調整目標値Tar1を、不可視光情報403の隠し絵やロゴなどを視認可能な光量Tar1bwに設定する。隠し絵やロゴの精細さや、ユーザによる認識のしやすさは光量によって変わるため、各ユーザにとって認識しやすい設定、つまり不可視情報の被写体地肌(証明書400の地肌)に対する輝度差を予め決めて最適な光量調整目標値を設定する。可視光情報403と利用するユーザとが固定で変更が必要ない場合には、不可視光光源43aの光量調整目標値は1つに決まる。その場合には、予め固定の光量調整目標値を不可視光光源の光量調整目標値選択部441aから不可視光光量設定部440aに設定する。
【0087】
一方、可視光情報403または利用するユーザが固定ではなく、可視光情報403とユーザの組み合わせが変わるような場合、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aはユーザに光量調整目標値を選択させて不可視光光量設定部440aに設定する。例えば、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aは、メモリなどに複数の光量調整目標値を記憶させておき、利用するユーザにタッチパネルや操作ボタン等からの入力操作により、記憶されている光量調整目標値の中からユーザに適する光量調整目標値の選択を受け付ける。
【0088】
図13は、変形例1にかかる読取装置1の光量調整の一例を示すフロー図である。
図13に示すフローは、
図4に示すフローのS101の前にS501を追加したフローである。
図13に示すフローにおいて、CPU31は、まず不可視光光源43aの光量調整目標値Tar1を上述のTar1bwに設定する。その後のS502~S510の手順は
図4のS101~S109に対応するものであり、Tar1がTar1bwに代わること以外、S101~S109と同様の手順で光量調整を行う。S502から以下の説明については繰り返しになるので省略する。
【0089】
図14は、読取対象の原稿と、当該原稿の一度の画像読取によりイメージセンサから出力される出力画像の比較図である。
図14(a)は
図11(a)の証明書400である。
【0090】
一般的に、可視光情報には赤外光を透過する黒ボールペンあるいは黒の染料インクなどが含まれる。証明書400の可視光情報がそのような黒の色材で書かれていた場合、通常の可視光と不可視光の光量調整を行うと、不可視光光量は適正光量よりも大きく、あるいは小さく調整されてしまう。そのような状態で可視光と不可視光(この場合は赤外光)の同時読取を実施すると、不可視光光量が大きい場合は
図14(b1)に示すように可視光画像510はテキスト511と画像512がほぼ原稿つまり証明書400のテキスト401と画像402と同じ輝度で読み取れる。一方、証明書400の不可視光情報403については、
図14(c1)に示すように証明書400の地肌の画像との輝度差が小さく不可視情報403の画像が視認できなくなってしまう。
【0091】
不可視光光量が小さい場合は、
図14(c2)に示すように不可視光画像523は証明書400の地肌画像と不可視情報403の画像との輝度差が明確で、視認しやすい。一方、
図14(c1)に示すように可視光画像のテキスト511および画像512は、可視光センサでの不可視光による混色により原稿つまり証明書400のテキスト401および画像402よりも明るい画像になり、視認しにくくなってしまう。
【0092】
そこで、光量調整フローを実施する。変形例1にかかる光量調整フローを実施した場合、
図14(b3)に示すように可視光画像510は混色の影響が抑えられてテキスト511および画像512が原稿に近いつまり証明書400に近い輝度で読み取られる。また、
図14(c3)に示すように不可視光画像520も光量が小さいことにより不可視画像523と証明書400の地肌画像との輝度差は
図14(c2)よりは小さくなるが、視認可能なレベルで読み取られる。
【0093】
以上のように、例えば原稿の不可視光情報が隠し絵やロゴなどの場合には、不可視光情報の読取画像も人の目で視認できる必要がある。不可視光光源の光量が小さすぎると原稿の地肌画像が暗くなり不可視光画像との輝度差が小さくなり絵やロゴの形が認識しにくくなるため、不可視光画像の視認性で不可視光光源の必要光量が決まる。よって、その必要光量に基づき、不可視光光源の光量調整目標値選択部により光量調整目標値を設定することができる。
【0094】
以上のように、不可視光光源の光量を不可視情報が視認可能な光量に調整し、必要以上には不可視光光量を上げない。このため、不可視光による可視光センサへの混色を抑制し、可視光画像の画質の向上が可能になる。
【0095】
(変形例2)
変形例2として、不可視情報に2次元コード情報を使用した場合の例を示す。
【0096】
図15は、不可視情報に2次元コード情報を使用した証明書の一例を示す図である。
図15に示す証明書400に不可視情報として2次元コード情報404が含まれている。2次元コード情報404は、一例としてQRコード(登録商標)を表示させている。
【0097】
QRコードのデコードの必要要件として画像のS/Nがある。このため、不可視光光源の光量はQRコードをデコード可能なS/Nの画像レベルで得る光量にする必要がある。デコードに必要なS/NはQRコードのセルサイズで決まるため、QRコードのセルサイズで必要な不可視光光量が決まり、不可視光光源の光量調整目標値Tar1SNが決まる。
【0098】
このようにQRコードのセルサイズによってデコードに必要なS/Nが変化するため、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aは、メモリなどにセルサイズ別の光量調整目標値を記憶させておき、利用するユーザにタッチパネルや操作ボタン等からのQRコードのセルサイズを選択してもらい、セルサイズを認識する。
【0099】
また、読み取るQRコードのセルサイズが証明書等の被写体の種類によって決まっているのであれば、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aは、それらの対応テーブルから、ユーザに被写体の種類を入力してもらうことでセルサイズを認識してもよい。対応テーブルは、メモリなどに被写体の種類とQRコードのセルサイズとを対応付けたテーブルとして記憶させておく。さらに、読み取るQRコードが固定でセルサイズの変更の必要がない場合には、不可視光源の光量調整目標値は設定しなくとも1つに決まる。この場合には、予めQRコードのセルサイズに合わせた固定の光量調整目標値を、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aから不可視光光量設定部440aに設定する。
【0100】
図16は、変形例2にかかる読取装置1の光量調整の一例を示すフロー図である。
図16に示すフローは、
図13に示すフローのS501のTar1bwの設定をTar1SNに置き換えたものである。Tar1bwがTar1SNに代わること以外、S601~S610は、S501~S510と同様の手順で光量調整を行う。S501~S510の説明の繰り返しになるのでここでの手順の説明は省略する。
【0101】
以上のように、不可視光源の光量調整目標値Tar1を2次元コードのデコードの必要要件であるS/Nを満たすTar1SNに設定する。これにより、不可視光光源の光量を不可視の2次元コードをデコード可能な光量に調整することができる。また、必要以上に不可視光光量を上げないため、不可視光による可視光センサにおける混色を抑制することができ、可視光画像の画質が向上する。
【0102】
(変形例3)
変形例3として、不可視情報に1次元のバーコード情報を使用した場合の例を示す。
【0103】
図17は、不可視情報に1次元バーコード情報を使用した証明書の一例を示す図である。
図17に示す証明書400に不可視情報として1次元バーコード情報405が含まれている。
【0104】
1次元バーコードのデコードの必要要件は画像のMTF(Modulation Transfer Function)である。MTFは画像の読取解像力を示す指標の一つである。不可視光光源の光量が小さすぎると証明書400の地肌画像が暗くなりMTFが低下する。このため、一定以上の光量が必要となる。また、バーコードの読取に必要なMTF(読取可能レベル)はバーコードのナローバーの幅で決まる。このため、バーコードのナローバーの幅により、必要な不可視光光量が決まり、不可視光光源の光量調整目標値Tar1MTFが決まる。
【0105】
MTFは、光学的な画像ボケが関わってくるため、地肌画像と不可視光画像との輝度差よりも厳しい条件となる。
【0106】
このようにバーコードのナローバーの幅によってバーコードの読取に必要なMTFが変化するため、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aは、メモリなどにナローバーの幅別の光量調整目標値を記憶させておき、利用するユーザにタッチパネルや操作ボタン等からのナローバーの幅を選択してもらい、読取対象のバーコードのナローバーの幅を認識する。
【0107】
また、読み取るバーコードのナローバーが証明書等の被写体の種類によって決まっているのであれば、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aは、それらの対応テーブルから、ユーザに被写体の種類を入力してもらうことでバーコードのナローバーの幅を認識してもよい。対応テーブルは、メモリなどに被写体の種類とバーコードのナローバーの幅とを対応付けたテーブルとして記憶させておく。さらに、読み取るバーコードのナローバーの幅が固定で変更の必要がない場合には、不可視光源の光量調整目標値は設定しなくとも1つに決まる。この場合には、予めバーコードのナローバーの幅に合わせた固定の光量調整目標値を、不可視光光源の光量調整目標値選択部441aから不可視光光量設定部440aに設定する。
【0108】
図18は、変形例3にかかる読取装置1の光量調整の一例を示すフロー図である。
図18に示すフローは、
図13に示すフローのS501のTar1bwの設定をTar1MTFに置き換えたものである。Tar1bwがTar1MTFに代わること以外、S701~S710は、S501~S510と同様の手順で光量調整を行う。S501~S510の説明の繰り返しになるのでここでの手順の説明は省略する。
【0109】
以上のように、不可視光源の光量調整目標値Tar1を1次元バーコードのデコードの必要要件であるMTFを満たすTar1MTFに設定する。これにより、不可視光光源の光量を不可視の1次元バーコードをデコード可能な光量に調整することができる。また、必要以上に不可視光光量を上げないため、不可視光による可視光センサにおける混色を抑制することができ、可視光画像の画質が向上する。
【0110】
(変形例4)
図19は、変形例4にかかる読取装置1の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
図14に示す読取装置1には、
図12に示す構成において、さらに不可視光成分除去手段51およびオブジェクト情報抽出部52を設けている。不可視光成分除去手段51は「除去手段」の一例である。
【0111】
不可視光成分除去手段51は、可視光イメージセンサ出力から不可視光成分を除去する。不可視光成分除去手段51は、不可視光光源だけを点灯させたときの可視光イメージセンサ出力を保持しておき、可視光光源と不可視光光源とを同時に点灯させたときの可視光イメージセンサ出力から不可視光光源だけを点灯させたときの可視光イメージセンサ出力を減算することで不可視光成分を除去する。
【0112】
オブジェクト情報抽出部52は、読み取った画像中のオブジェクト情報を抽出する。オブジェクト情報とは、読み取った画像上のオブジェクトが、文字としての特徴をもつか、網点としての特徴をもつか、無色か有色か、などの画像を構成する要素を保有しているかどうかの情報である。抽出されたオブジェクト情報は、一般的に複写機などで読み取った画像にかける画像処理を最適化するのに用いられる。例えば、オブジェクトが文字と判断されればはっきり見えるようエッジを強調する処理を行い、絵柄と判断されれば滑らかに見えるよう平滑化処理を行い、何の特徴ももたない場合は地肌として周囲と値が均一になるような処理を行う。
【0113】
ここで、可視光イメージセンサ出力と不可視光イメージセンサ出力にはそれぞれ異なる光ショットノイズが乗るため、不可視光成分除去時に不可視光イメージセンサのノイズが可視光イメージセンサ出力に転写されてしまう。光ショットノイズは光量が大きいほど大きくなるため、不可視光光量が大きいほど不可視光成分除去時に転写されるノイズ量は大きくなり、可視光画像のS/Nが低下してしまう。
【0114】
S/Nが低下し、可視光画像のノイズが増大すると、オブジェクト情報抽出に影響する。例えば文字部や地肌部を網点部と誤判定してしまう。そこで、不可視光成分の除去後の画像がオブジェクト情報の抽出が可能なレベルになるような光量調整目標値に設定する。
【0115】
図20は、読取対象の原稿と、当該原稿の一度の画像読取によりイメージセンサから出力される出力画像の比較図である。
【0116】
上述したように、S/Nが低下し、可視光画像のノイズが増大すると、オブジェクト情報抽出に影響する。例えば文字部や地肌部を網点部と誤判定してしまう。この場合、
図20(c1)に示すように文字部621が平滑化されたり、地肌部が地飛ばしされずノイズ画像が残ったりするというようなことが起こり、出力画像の品質が悪化する。これを防止するため、可視光画像はオブジェクト情報抽出が可能な最低限必要なS/N以上である必要がある。
【0117】
このような不可視光光量と可視光画像の必要S/Nの関係があるため、不可視光光源光量の上限が可視光画像のS/Nで決まり、不可視光光源の光量調整目標値が決まる。
【0118】
可視光画像のオブジェクト情報抽出に最低限必要なS/Nが得られるよう不可視光光量を調整することで、
図20(b2)のように可視光画像のS/N低下を抑えることができ、可視光画像のオブジェクト情報抽出を誤判定しない光量調整が可能となる。
【0119】
(一般的なイメージセンサを使用する場合)
一般的なシリコンのイメージセンサでは近赤外域(おおよそ750nm~1100nm付近)でも感度をもつ。そのため、可視光と不可視光のイメージセンサをそれぞれ特別に用意しなくとも、従来使用されている汎用のイメージセンサを使用することもできる。
【0120】
図21は、汎用のイメージセンサを使用した場合の読取装置1の光量調整を行う処理部の構成の一例を示す図である。
図21に示す構成では、
図10に示す構成のうち不可視光に対応するものを赤外光に対応するものに置き換えている。
図21の構成と
図10の構成との対応関係は次の通りである。
【0121】
図21において、不可視光光源43a(
図10参照)を赤外光光源53aに置き換えた。この置き換えにより、不可視光光量調整手段44a(
図10参照)を赤外光光量調整手段54aに置き換え、不可視光光量設定部440a(
図10参照)を赤外光光量設定部540aに置き換え、不可視光イメージセンサ47a(
図10参照)を赤外光イメージセンサ57aに置き換えた。
【0122】
ここで、可視光イメージセンサ47bおよび赤外光イメージセンサ57aには、一般的に使用されているシリコンのイメージセンサを使用している。
【0123】
図22は、シリコンのイメージセンサの分光特性を示す図である。
図22には、横軸を波長「nm」とし、縦軸を相対強度として、各波長域における光の感度の特性グラフを示している。
【0124】
図22に示すように、RED(赤)、GREEN(緑)、およびBLUE(青)の各色の光は、それぞれの色の波長域で高い感度を示す。IR(赤外線)の光は赤外領域で高い感度を示す。
【0125】
このようなシリコンのイメージセンサを使用すれば、不可視光を読み取る画素の範囲に可視光をカットするフィルタ171を設けることにより簡易な構成で実施することができる。
【0126】
(基準被写体)
以上では、
図3に示す例のように、第1の光源13aの光の反射光が第1のイメージセンサ17aに入射し、第2の光源13bの光の反射光が第2のイメージセンサ17bへ入射する例を示した。なお、第1の光源13aからの光と第2の光源13bからの光を第1のイメージセンサ17aと第2のイメージセンサ17bへ反射させる部材を、一般的に読取装置1が備える基準被写体としてもよい。
【0127】
図23は、基準被写体を含む構成の一例を示す図である。
図23に示すように、第1の光源13aからの光と第2の光源13bからの光を第1のイメージセンサ17aと第2のイメージセンサ17bへ反射する部材を、読取装置1が備える基準被写体260とする。基準被写体260は、例えば白色の基準部材である。このように一般的な読取装置が備える基準被写体とすることにより、データを安定して取得することが可能となり、さらに光量調整の精度を向上させることができる。
【0128】
(第2の実施の形態)
図24は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
図24において、画像形成装置2は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP)と称される画像形成装置である。
【0129】
画像形成装置2は、読取装置である読取装置本体10およびADF20を有し、その下部に画像形成部103を有する。
【0130】
ADF20は、原稿を給紙して読取位置(読取窓)で読取対象の面を読み取らせて排紙トレイに排紙する。読取装置本体10は、原稿の読取対象の面を読取位置で読み取る。ADF20は第1の実施の形態にかかるADF20(
図1参照)であり、読取装置本体10は第1の実施の形態にかかる読取装置本体10(
図1参照)である。ADF20および読取装置本体10の説明は第1の実施の形態で既に行っている。そのため、ADF20および読取装置本体10のこれ以上の説明は省略する。
【0131】
図24において、画像形成部103は、内部の構成を説明するために、外部カバーを外し内部の構成が分かるようにしている。画像形成部103は、読取装置本体10で読み取った原稿画像を印刷する。画像形成部103は、記録紙を手差しする手差ローラ104や、記録紙を供給する記録紙供給ユニット107を有する。ここで記録紙は「媒体」の一例である。記録紙供給ユニット107は、多段の記録紙給紙カセット107aから記録紙を繰り出す機構を有する。供給された記録紙は、レジストローラ108を介して二次転写ベルト112に送られる。
【0132】
二次転写ベルト112上を搬送する記録紙は、転写部114において中間転写ベルト113上のトナー画像が転写される。
【0133】
また、画像形成部103は、光書込装置109や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)105や、中間転写ベルト113や、上記二次転写ベルト112などを有する。作像ユニット105による作像プロセスにより、光書込装置109が書き込んだ画像(第1画像または第2視画像)を中間転写ベルト113上にトナー画像として形成する。
【0134】
具体的に、作像ユニット(Y、M、C、K)105は、4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)を回転可能に有し、各感光体ドラムの周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素106をそれぞれ備える。各感光体ドラムにおいて作像要素106が機能し、感光体ドラム上の画像が各一次転写ローラにより中間転写ベルト113上に転写される。
【0135】
中間転写ベルト113は、各感光体ドラムと各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト113に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト113の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト112上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト112の走行により、定着装置110に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。なお、両面印刷の場合は、反転機構111により記録紙の表裏が反転されて、反転された記録紙が二次転写ベルト112上へと送られる。
【0136】
なお、画像形成部103は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
【0137】
以上、本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、実施の形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態及び実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態及び実施例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0138】
1 読取装置
13a 第1の光源
13b 第2の光源
17a 第1のイメージセンサ
17b 第2のイメージセンサ
31 CPU
32 メモリ
34a 第1の光量調整手段
34b 第2の光量調整手段
171 フィルタ
310 指示手段
311 設定手段
340a 第1の光量設定部
340b 第2の光量設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】