(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】排紙装置、排紙方法、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240910BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240910BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240910BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240910BHJP
B65H 29/22 20060101ALI20240910BHJP
B65H 29/36 20060101ALI20240910BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20240910BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B41J29/393 105
B41J29/38 301
G03G21/00 386
G03G21/00 500
H04N1/00 567L
B65H29/22 B
B65H29/36
B65H31/24
B65H31/38
(21)【出願番号】P 2020184497
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】謝 驥
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-084730(JP,A)
【文献】特開2018-086799(JP,A)
【文献】特開2016-159434(JP,A)
【文献】特開2014-184694(JP,A)
【文献】特開2015-049189(JP,A)
【文献】特開2013-114246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/393
G03G 21/00
H04N 1/00
B65H 29/22
B65H 29/36
B65H 31/24
B65H 31/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物が排紙される多段構成の排紙トレイと、前記排紙トレイの下側のメイントレイと、を有し、任意の排紙トレイに印刷物を排紙可能な排紙装置であって、
前記印刷物の検査結果を取得する検査結果取得部と、
前記検査結果取得部が前記検査結果を取得する前に、前記排紙トレイに前記印刷物を排紙する排紙制御部と、
前記排紙トレイの識別情報と前記排紙トレイに排紙された前記印刷物の前記検査結果を対応付けて管理するトレイ情報管理部と、
を有し、
前記トレイ情報管理部は、少なくとも、
次に、前記印刷物が排紙される排紙ステータス、
前記印刷物を持たない待機ステータス、
前記印刷物が規定枚数排紙され、検査結果の確定待ちの検査ステータス、
再印刷の前記印刷物のページ番号が記録されると共に、再印刷の前記印刷物が排紙される再印ステータスを、前記排紙トレイのステータスとして管理し、
最下段の排紙トレイからメイントレイに対し、前記検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物を判別可能な状態で移動させる移動制御部を有し、
前記検査ステータスの印刷物が異常と判断された場合、前記トレイ情報管理部は、印刷された印刷物のページ番号が記録されている前記再印ステータスの前記排紙トレイに、前記ページ番号の印刷物を排紙し、
前記再印ステータスの前記排紙トレイの前記印刷物の検査が完了するまでの間、前記ページ番号でない新たに印刷された印刷物を、前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙し、
前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物の検査が完了すると、前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物を、メイントレイに移動させ、
前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙されていた印刷物を、より下方の排紙トレイに移動させることを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、下方からS番目の排紙トレイからS-1番目の排紙トレイに対する印刷物の移動を、Sを1つずつ大きくして繰り返し、
前記トレイ情報管理部は、前記移動制御部による前記印刷物の移動に応じて前記排紙トレイの識別情報と前記検査結果の対応を更新することを特徴とする請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、最下段の排紙トレイからメイントレイに対し、前記検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物が相対的にずらした状態になるよう移動させることを特徴とする請求項2に記載の排紙装置。
【請求項4】
前記トレイ情報管理部は、
更に、
全ての前記印刷物の検査結果で正常となったOKステータス、
全ての前記印刷物の1枚でも異常の旨のNGステータス、
NGステータスの排紙トレイから前記印刷物が移動された下段の排紙トレイを示すNRステータス、前記排紙トレイのステータスとして管理し、
前記トレイ情報管理部は、前記S番目の排紙トレイと前記S-1番目の排紙トレイとのステータスの組み合わせに応じて、前記S番目の排紙トレイから前記S-1番目の排紙トレイへ前記印刷物の移動を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の排紙装置。
【請求項5】
前記S番目の排紙トレイのステータスが
前記NGステータスであり、
前記S-1番目の排紙トレイのステータスが
前記NGステータス又は
前記NRステータスの場合、
前記移動制御部は、前記S番目の排紙トレイから前記S-1番目の排紙トレイへ前記印刷物を移動し、
前記トレイ情報管理部は、前記S番目の排紙トレイのステータスを
前記再印ステータスに変更することを特徴とする請求項4に記載の排紙装置。
【請求項6】
前記S番目の排紙トレイのステータスが
前記NRステータスであり、
前記S-1番目の排紙トレイのステータスが
前記NGステータス又は
前記NRステータスの場合、
前記移動制御部は、前記S番目の排紙トレイから前記S-1番目の排紙トレイへ前記印刷物を移動し、
前記トレイ情報管理部は、前記S番目の排紙トレイのステータスを
前記待機ステータスに変更することを特徴とする請求項4に記載の排紙装置。
【請求項7】
前記S番目の排紙トレイのステータスが
前記OKステータスであり、
前記S-1番目の排紙トレイのステータスが
前記OKステータス又は
前記待機ステータスの場合、
前記移動制御部は、前記S番目の排紙トレイから前記S-1番目の排紙トレイへ前記印刷物を移動し、
前記トレイ情報管理部は、前記S番目の排紙トレイのステータスを
前記待機ステータスに変更することを特徴とする請求項4に記載の排紙装置。
【請求項8】
前記S番目の排紙トレイのステータスが
前記排紙ステータス、
前記再印ステータス又は
前記検査ステータスであり、
前記S-1番目の排紙トレイのステータスが
前記待機ステータスの場合、
前記移動制御部は、前記S番目の排紙トレイから前記S-1番目の排紙トレイへ前記印刷物を移動し、
前記トレイ情報管理部は、前記S番目の排紙トレイのステータスを
前記待機ステータスに変更することを特徴とする請求項4に記載の排紙装置。
【請求項9】
前記トレイ情報管理部は、予め設定されている枚数の単位で前記印刷物に前記検査結果に基づくサブステータスを設定し、
前記枚数の印刷物の1枚でも前記検査結果が異常な場合、前記枚数の印刷物に異常の旨のサブステータスを設定し、
前記枚数を単位に再印刷を行うことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の排紙装置。
【請求項10】
前記トレイ情報管理部は、予め設定されている回数まで再印刷を実行し、前記検査結果が正常とならない場合、印刷装置を停止させることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の排紙装置。
【請求項11】
印刷物が排紙される多段構成の排紙トレイと、前記排紙トレイの下側のメイントレイと、を有し、任意の排紙トレイに印刷物を排紙可能な排紙装置が行う排紙方法であって、
検査結果取得部が、前記印刷物の検査結果を取得するステップと、
排紙制御部が、前記検査結果取得部が前記検査結果を取得する前に、前記排紙トレイに印刷物を排紙するステップと、
トレイ情報管理部が、前記排紙トレイの識別情報と前記排紙トレイに排紙された印刷物の前記検査結果を対応付けて管理するステップと、
を有し、
前記トレイ情報管理部は、少なくとも、
次に、前記印刷物が排紙される排紙ステータス、
前記印刷物を持たない待機ステータス、
前記印刷物が規定枚数排紙され、検査結果の確定待ちの検査ステータス、
再印刷の前記印刷物のページ番号が記録されると共に、再印刷の前記印刷物が排紙される再印ステータスを、前記排紙トレイのステータスとして管理し、
移動制御部が、最下段の排紙トレイからメイントレイに対し、前記検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物を判別可能な状態で移動させるステップを有し、
前記検査ステータスの印刷物が異常と判断された場合、前記トレイ情報管理部は、印刷された印刷物のページ番号が記録されている前記再印ステータスの前記排紙トレイに、前記ページ番号の印刷物を排紙し、
前記再印ステータスの前記排紙トレイの前記印刷物の検査が完了するまでの間、新たに印刷された印刷物を、前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙し、
前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物の検査が完了すると、前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物を、メイントレイに移動させ、
前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙されていた印刷物を、より下方の排紙トレイに移動させることを特徴とする排紙方法。
【請求項12】
印刷物を出力するプリンタと、前記印刷物の検査結果を生成する検査装置と、
前記印刷物が排紙される多段構成の排紙トレイと、前記排紙トレイの下側のメイントレイと、を有し、任意の排紙トレイに印刷物を排紙可能な排紙装置と、を有する画像形成システムであって、
前記プリンタから取得した印刷データと前記印刷物を読み取った読取画像を比較して前記検査結果を生成し、
前記印刷物の検査結果を取得する検査結果取得部と、
前記検査結果取得部が前記検査結果を取得する前に、前記排紙トレイに印刷物を排紙する排紙制御部と、
前記排紙トレイの識別情報と前記排紙トレイに排紙された印刷物の前記検査結果を対応付けて管理するトレイ情報管理部と、
を有し、
前記トレイ情報管理部は、少なくとも、
次に、前記印刷物が排紙される排紙ステータス、
前記印刷物を持たない待機ステータス、
前記印刷物が規定枚数排紙され、検査結果の確定待ちの検査ステータス、
再印刷の前記印刷物のページ番号が記録されると共に、再印刷の前記印刷物が排紙される再印ステータスを、前記排紙トレイのステータスとして管理し、
最下段の排紙トレイからメイントレイに対し、前記検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物を判別可能な状態で移動させる移動制御部を有し、
前記検査ステータスの印刷物が異常と判断された場合、前記トレイ情報管理部は、印刷された印刷物のページ番号が記録されている前記再印ステータスの前記排紙トレイに、前記ページ番号の印刷物を排紙し、
前記再印ステータスの前記排紙トレイの前記印刷物の検査が完了するまでの間、新たに印刷された印刷物を、前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙し、
前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物の検査が完了すると、前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物を、メイントレイに移動させ、
前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙されていた印刷物を、より下方の排紙トレイに移動させることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排紙装置、排紙方法、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プロダクションプリンティング(商用印刷)においては、プリンタの印刷出力について状態異常や欠陥の有無による良品又は不良品判別の検査を行う要求がある。この要求に対し、印刷元の画像データである原稿画像データと、原稿画像データの印刷物をスキャナが読み取って生成した画像データである読取画像データを検査装置が比較して、印刷物が正常であるかを検査する技術が知られている。この技術は、印刷物が異常であった場合、ユーザーの手を煩わせずに、検査結果が異常な印刷物を取り除くと共に検査結果が正常な印刷物と差し替えられることが求められる。
【0003】
検査結果が異常な印刷物を自動で取り除くために、検査結果が正常な印刷物を搬送経路内で一時的に収納するプリンタが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。このプリンタは、異常が検知されない印刷物を排紙部に排紙している途中で、印刷物の異常が検知された場合に、異常が検知された印刷物を異常シート収納部に収納する。そして、プリンタは、後に続く、異常が検知されない印刷物を正常シート収納部に一時的に収納していく。プリンタは、検査結果が異常な印刷物の代わりに、検査結果が異常な印刷物に印刷された画像を、別の印刷物に印刷し、当該別の印刷物を排紙部に排紙した後、正常シート収納部に収納された印刷物を排紙部に排紙する。これにより、検査結果が異常な印刷物を取り除き、取り除いた印刷物のリカバリーを自動的に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、検査結果を取得するまで排紙装置が印刷物を排紙できないという問題があった。高速なプリンタにおいて、検査結果が確定した時点では印刷物は既に排紙されている場合が多いため、検査結果が確定されるまで排紙しないような構成を採用する場合、搬送経路を長くする、又は、検査結果が異常な印刷物を一次収納するといった仕組みが必要となる。検査結果を取得してから排紙する従来の排紙装置は、コストの増加やプリンタのサイズが大きくなるという不都合をもたらすおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、検査結果を取得する前に印刷物を排紙できる排紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、印刷物が排紙される多段構成の排紙トレイと、前記排紙トレイの下側のメイントレイと、を有し、任意の排紙トレイに印刷物を排紙可能な排紙装置であって、前記印刷物の検査結果を取得する検査結果取得部と、前記検査結果取得部が前記検査結果を取得する前に、前記排紙トレイに前記印刷物を排紙する排紙制御部と、前記排紙トレイの識別情報と前記排紙トレイに排紙された前記印刷物の前記検査結果を対応付けて管理するトレイ情報管理部と、を有し、前記トレイ情報管理部は、少なくとも、次に、前記印刷物が排紙される排紙ステータス、前記印刷物を持たない待機ステータス、前記印刷物が規定枚数排紙され、検査結果の確定待ちの検査ステータス、再印刷の前記印刷物のページ番号が記録されると共に、再印刷の前記印刷物が排紙される再印ステータスを、前記排紙トレイのステータスとして管理し、最下段の排紙トレイからメイントレイに対し、前記検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物を判別可能な状態で移動させる移動制御部を有し、前記検査ステータスの印刷物が異常と判断された場合、前記トレイ情報管理部は、印刷された印刷物のページ番号が記録されている前記再印ステータスの前記排紙トレイに、前記ページ番号の印刷物を排紙し、前記再印ステータスの前記排紙トレイの前記印刷物の検査が完了するまでの間、前記ページ番号でない新たに印刷された印刷物を、前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙し、前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物の検査が完了すると、前記再印ステータスの前記排紙トレイの印刷物を、メイントレイに移動させ、前記排紙ステータスの前記排紙トレイに排紙されていた印刷物を、より下方の排紙トレイに移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、検査結果を取得する前に印刷物を排紙できる排紙装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】排紙装置による排紙方法の概略を説明する図である。
【
図2】実施の形態にかかる画像形成システムの構成例を示す図である。
【
図3】情報処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】排紙装置の制御部のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】画像形成システムの全体構成と画像形成システム内で送信される情報の一例を示す図である。
【
図6】排紙装置が有する排紙トレイ及びメイントレイの構成例を示す図である。
【
図8】ソート動作が完了したメイントレイ上の印刷物の状態を説明する図である。
【
図9】排紙装置の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図10】トレイ情報管理部が管理するトレイ情報の一例を示す図である。
【
図11】排紙トレイ1からメイントレイへのソート動作、及び、排紙トレイ2~4のソート動作をテーブルで説明する図である。
【
図12】排紙装置の全体的な動作を説明するフローチャート図の一例である。
【
図13】排紙装置が排紙する動作を説明するフローチャート図の一例である。
【
図14】排紙装置が検査結果に応じてトレイ情報を更新する動作を説明するフローチャート図の一例である。
【
図15】排紙装置がトレイ情報に応じてソートを行う全体動作を説明するフローチャート図の一例である。
【
図16】排紙装置が排紙トレイ1からメイントレイへの印刷物の移動を説明するフローチャート図の一例である。
【
図17】排紙装置が排紙トレイ1より上の排紙トレイ2~4のソートを行う動作を説明するフローチャート図の一例である。
【
図18】ソート動作1を説明するフローチャート図の一例である。
【
図19】ソート動作2を説明するフローチャート図の一例である。
【
図20】ソート動作3を説明するフローチャート図の一例である。
【
図21】ソート動作4を説明するフローチャート図の一例である。
【
図22】ソート動作による排紙トレイのステータスの変化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、排紙装置と排紙装置が行う排紙方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は排紙装置103による排紙方法の概略を説明する図である。排紙装置103は多段構成のトレイを有している。
【0011】
(1) 排紙装置103は、検査結果が確定する前に、印刷物を所定の枚数ずつ、排紙トレイ21の下から上へ順に排紙する。
【0012】
(2) 検査結果を取得すると(検査結果が確定した段階で)、排紙装置103は、検査結果が正常な印刷物をメイントレイ22にそのまま移動させる。検査結果が異常な印刷物がある排紙トレイ21については、検査結果が正常な印刷物に対しユーザーが判別可能な状態で排紙装置103がメイントレイ22に移動させる排紙制御を行う。判別可能な状態とは、例えば相対的にずらした状態である。説明のため、排紙トレイ2に検査結果が異常な印刷物が含まれるとする。
【0013】
(3)検査結果が異常な印刷物を排紙装置103がメイントレイ22に移動させた場合、検査結果が異常な印刷物が排紙されていた排紙トレイ2には再印刷された印刷物を排紙する。したがって、排紙トレイ2に再印刷された印刷物が排紙される。
【0014】
(4) 排紙トレイ2に再印刷された印刷物が排紙されるまで、排紙装置103は、搬送経路内の検査結果が正常な印刷物を再印された印刷物が出力される排紙トレイ2よりも上の段に排紙する。
【0015】
このように、排紙装置103は、メイントレイ22に検査結果が異常な印刷物が正常な印刷物に対しずれた状態で排出する。また、再印刷のために排紙トレイが確保されるので、メイントレイ22にはページ順に印刷物が排紙される。ユーザーは検査結果が異常な印刷物を引き抜くだけで最終的に正しくソートされた、検査結果が正常な印刷物を得られる。排紙装置103は検査結果を待つことなく、再印刷用の排紙トレイよりも上側の排紙トレイに排紙できるため、搬送経路を長くする、又は、検査結果が異常な印刷物を一次収納するといった仕組みが不要となる。
【0016】
<用語について>
ソートとは、印刷物の検査結果に応じて、上段の排紙トレイから下段の排紙トレイ、又は、最下段の排紙トレイからメイントレイへ印刷物を移動することをいう。ずらし移動とは、印刷物をずらした状態で移動することをいう。
【0017】
印刷物の検査結果とは、元の印刷データとの相違に基づく正常、異常の判断結果である。相違が閾値以上の場合、印刷物の画質が異常と判断される。相違が閾値未満の場合、印刷物の画質が正常と判断される。閾値は、再印刷が必要な程度に異なっているかどうかで設定されている。
【0018】
検査装置の検査結果を取得する前とは、印刷物が検査中又は検査前であることをいう。つまり、印刷物が排紙された時点では検査結果が確定していないでよい。
【0019】
検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物を判別可能な状態とは、ユーザーが異常な印刷物を判別できればよい。この状態には、例えば、ずれている、色がついている、折り目がついている、しわがついている、又は、廃棄されている、などがある。
【0020】
排紙トレイが再印刷のために確保されるとは、検査結果が異常の印刷物が排紙された排紙トレイには、検査結果が異常の印刷物と同じページの印刷物が排紙されることをいう。ただし、下段の排紙トレイが待機ステータスの場合は、下段の排紙トレイに、検査結果が異常の印刷物と同じページの印刷物が排紙される場合がある。
【0021】
<構成例>
図2は、実施の形態にかかる画像形成システム100の構成例を示す図である。
図2に示すように、画像形成システム100は、DFE(Digital Front End)104、プリンタ101、検査装置102、排紙装置103を備えている。プリンタ101は、DFE104、検査装置102及び排紙装置103に対してそれぞれ専用のインタフェースで接続されている。
【0022】
DFE104は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき印刷データ、具体的には、出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをプリンタ101に送信する画像処理装置である。
【0023】
プリンタ101は、DFE104から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン105を制御して画像形成出力を実行させる。また、プリンタ101は、DFE104から受信したビットマップデータを、プリントエンジン105による画像形成出力の結果を検査装置102が検査する際に参照するためのマスター画像の基となる情報として検査装置102に送信する。なお、プリンタ101は、ページを識別する情報(後述のページ番号)を、印刷物の各ページに印刷してもよい。また、プリンタ101は、ページに余白(裁断する箇所)を設けることが設定されている場合等には、ページを識別する情報を自動的に余白に印刷してもよい。
【0024】
プリンタ101は、ビットマップデータに基づいて記録媒体である印刷用紙に対して画像形成出力を実行する画像形成装置である。なお、記録媒体は、トナー又はインクが付着可能なものであればよい。一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、などの媒体であり、特に限定しない限り、トナー又はインクが付着するすべてのものが含まれる。
【0025】
また、「トナー又はインクが付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどトナー又はインクが一時的でも付着可能であればよい。
【0026】
プリントエンジン105は、無端状移動手段である搬送ベルト111に沿って各色の感光体ドラム112Y、112M、112C、112K(以降、総じて感光体ドラム112とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ113から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト111に沿って、この搬送ベルト111の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム112Y、112M、112C、112Kが配列されている。
【0027】
各色の感光体ドラム112の表面においてトナーにより現像されたK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナー像が、搬送ベルト111に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト111上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ114の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
【0028】
なお、本実施形態において、プリンタ101のプリントエンジン105は電子写真方式であることを前提として説明したが、これに限るものではなく、インクジェット方式などの他の方式のプリンタ101であってもよいことはいうまでもない。
【0029】
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ115にて画像を定着された後、検査装置102に搬送される。
【0030】
プリンタ101は、読取装置131を備えている。読取装置131は、定着ローラ115を経由して搬送されてきた用紙のそれぞれの面を読み取り、読取画像を生成する。
【0031】
検査装置102は、読取装置131により読み取った読取画像を取得する。また、検査装置102は、DFE104から直接入力された、あるいは、DFE104からプリンタ101を経由して入力された、ビットマップデータに基づいて、基準データの一例である、マスター画像を生成する。そして、検査装置102は、プリンタ101が出力した用紙を読取装置131で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査(記録媒体である用紙に印刷された画像の検査)を行う。
【0032】
検査装置102は、検査によって出力結果の用紙の画像内に欠陥(異常)があると判断した場合、欠陥(異常)として判断された欠陥ページを含む、検査結果情報である欠陥検査情報をプリンタ101に通知する。これにより、プリンタ101によって欠陥ページの再印刷制御が実行される。なお、プリンタ101は欠陥ページの再印刷制御を実行せず、印刷を中止する制御を行ってもよい。また、検査装置102は、検査結果情報である欠陥検査情報を、サーバ202に送信し、サーバ202で情報を記憶する。なお、検査装置102は、内部にサーバ備え、当該サーバに情報を記憶してWebサーバを形成してもよい。
【0033】
検査装置102で検査された用紙は、片面印刷の場合、そのまま排紙装置103に送信される。
【0034】
一方、両面印刷の場合、検査装置102で検査された用紙は、反転パス116に搬送されて反転された上で再度転写ローラ114の転写位置に搬送される。再度転写ローラ114の転写位置に搬送された用紙は、片面印刷がなされた用紙の反対側にトナー像を転写・定着される。その後、検査装置102で検査された両面印刷用紙は、排紙装置103に送信される。
【0035】
排紙装置103は、プリンタ101から排出された用紙を、排紙トレイ21にスタックする(積み重ねる)。排紙の詳細については後述される。
【0036】
図3は、情報処理システム200の構成を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成システム100を含む情報処理システム200は、画像形成システム100に加えて、クライアント201と、サーバ202とを備えている。
【0037】
画像形成システム100の各部(DFE104、プリンタ101、検査装置102、排紙装置103)と、クライアント201と、サーバ202とは、それぞれネットワーク203に接続されている。ネットワーク203は、例えばLAN(Local Area Network)、インターネットなどである。
【0038】
クライアント201は、通信機能とコンテンツの出力機能とを有する情報処理装置である。クライアント201は、各種の端末装置、例えばPC(Personal Computer)、タブレット端末などである。クライアント201は、ネットワーク203経由でDFE104への印刷ジョブの送信を行う。また、クライアント201は、検査装置102の検査結果を表示する。クライアント201は、Webブラウザを備えている。クライアント201は、後述のサーバ202にネットワーク203経由でアクセスする。クライアント201は、サーバ202に蓄積・記憶された検査結果情報(欠陥検査情報)を、表示画面情報(例えばHTMLファイル)として取得して表示すると共に、Webブラウザ上で表示画面へのユーザーの操作を受け付ける。なお、DFE104は、クライアント201から印刷ジョブを受け付ける他、ネットワーク203経由で、プリンタ101、検査装置102から印刷ジョブを受け付けることもできる。
【0039】
サーバ202は、ネットワーク203経由で検査装置102から送られてくる欠陥検査情報を受信する。サーバ202は、受信した欠陥検査情報に基づいてDB(データベース33)を生成する。サーバ202は、生成したDBを記憶する。また、サーバ202は、ネットワーク203経由でクライアント201とデータの送受信を行う。なお、サーバ202は、検査装置102の内部に備えてもよい。
【0040】
<ハードウェア構成例>
図4は、排紙装置103の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4は、排紙装置103の制御部のハードウェア構成を示すが、他のプリンタ101の制御部、DFE104の制御部、検査装置102の制御部、又は、サーバ202の制御部についても同様である。
【0041】
図4に示すように、本実施形態に係る排紙装置103の制御部は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る排紙装置103の制御部は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
【0042】
CPU10は演算手段であり、排紙装置103全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム、Webブラウザ等が格納されている。
【0043】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザーが排紙装置103の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザーが排紙装置103に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0044】
専用デバイス80は、排紙装置103、プリンタ101、検査装置102、DFE104、クライアント201、サーバ202において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリンタ101の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、検査装置102の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置131も、専用デバイス80によって実現される。
【0045】
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40若しくは光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムにしたがってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る排紙装置103、プリンタ101、検査装置102、DFE104、クライアント201、サーバ202の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0046】
<装置間で送信される情報>
図5は、本実施形態に係る画像形成システム100の全体構成と画像形成システム100内で送信される情報を示す図である。
【0047】
まず、DFE104は、クライアントPCから受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき印刷データとページ情報をプリンタ101に送信する。
【0048】
プリンタ101のプリンタ制御部11はDFE104から受信した印刷データを、検査用画像の元となる情報として検査装置102に送信する。検査用画像は、プリンタ101による印刷結果を検査装置102が検査する際に参照される。
【0049】
プリンタ101のエンジン部12は、プリンタ制御部11の制御に従い、用紙などのシート状部材に対して画像形成を実行すると共に、出力した印刷物を読取装置で読み取り(スキャンし)、生成した読取画像を検査装置102に入力する。
【0050】
なお、シート状部材は、用紙、フィルム、プラスチック等のシート状の素材であって、画像形成出力の対象物となるものであればよい。
【0051】
検査装置102はプリンタ制御部11から入力された印刷データに基づいて、読取画像と比較するマスター画像を生成し、エンジン部12から入力された読取画像をマスター画像と比較することにより、印刷物の検査を行う。検査装置102は検査結果をプリンタ制御部11に返す。また、検査結果が異常である場合、検査装置102は印刷停止をエンジン部12に通知してもよい。検査結果が正常である場合、検査装置102は継続通知をエンジン部12に通知してよい。
【0052】
エンジン部12は印刷物を排紙装置103に送信する。エンジン部12は、排紙要求、検査結果、ページ番号、及び、イメージ番号を排紙装置103に送信する。
【0053】
排紙装置103は画像形成された印刷物を排紙要求、検査結果、ページ情報、及び、イメージ情報に基づいて排紙する。排紙制御の詳細については後述する。
【0054】
<排紙トレイ、メイントレイの構成例>
図6は、排紙装置103が有する排紙トレイ21及びメイントレイ22の構成例を示す図である。排紙トレイ21は一時的に印刷物が排紙されるトレイであり、メイントレイ22は排紙トレイが垂直方向下側に移動する印刷物(シート状部材)を受け止めるトレイである。ユーザーはメイントレイ22から印刷物を取り出す。
【0055】
排紙トレイ21は多段構成であり(図では4段)、排紙トレイ21の下にメイントレイ22が配置される。便宜上、排紙トレイ21はメイントレイ22に近いもの(下方から)から順に1、2、3、4と番号が割り振られている。排紙トレイ21の段数は印刷装置の用途や目的に応じて変化するため、段数は任意でよい。排紙装置103は多段構成の任意の排紙トレイ21に印刷物を排紙可能である。
【0056】
図7は、ソート動作を説明する図である。
図7(a)~
図7(e)は排紙トレイ(2段分のみ)とメイントレイ22を正面から見た図である。
図7(a)~
図7(e)は印刷物が時間と共にソートされる様子を示す。
【0057】
まず、
図7(a)に示すように、排紙トレイ1及び排紙トレイ2には、排紙された印刷物が載っている。
【0058】
図7(b)は排紙装置103が排紙トレイ1からメイントレイ22へ印刷物を移動させた場合の動作を示す。排紙装置103は排紙トレイ1の底面を開口し、印刷物をメイントレイ22へ移動させている。
【0059】
図7(c)は、排紙装置103がメイントレイ22へ移動した印刷物の位置を、フリッパー23を用いて揃える動作を示す。
【0060】
図7(d)は、排紙装置103が排紙トレイ2から下段の排紙トレイ1へ印刷物を移動させた場合の動作を示す。
図7(d)では、排紙装置103が排紙トレイ2から排紙トレイ1へ印刷物を移動させているが、排紙トレイ2よりも上段の排紙トレイの場合でも同様である。
【0061】
図7(e)は、排紙装置103がフリッパー23を用いてメイントレイ22へ移動した印刷物をずらす動作を示す。排紙トレイ2に載っていた印刷物の検査結果がNGの場合、検査結果が正常な印刷物に対し、検査結果が異常な印刷物を排紙装置103がずらすことにより、ユーザーは容易に検査結果が正常な印刷物群から検査結果が異常な印刷物を判別することができる。
【0062】
図7(d)の動作により、排紙装置103が印刷物を下段のトレイに移動させることで、上段の排紙トレイには印刷物がなくなり、空き状態になる。この空き状態の排紙トレイに対し、排紙装置103が再印刷された印刷物を排紙することで、再印刷の対象のページよりも後のページより下側の排紙トレイに、再印刷された印刷物を挿入することが可能となる。多段構成の排紙トレイは上から下に印刷物を移動する。よって、排紙装置103は、印刷ジョブ全体の印刷物の順序を維持することができる。
【0063】
排紙装置103は検査結果が異常な印刷物をずらして検査結果が正常な印刷物と区別するが、これは必ずしも1枚単位で行う必要はなく、検査結果が異常な印刷物と正常な印刷物が混ざった積載状態で実施してもよい。例えば3枚単位であれば、排紙装置103は、2枚正常、1枚異常の印刷物をまとめてずらしても良い。この場合、3枚単位で再印刷が実施され、ユーザーは3枚単位で検査結果が異常な印刷物を取り除けばよい。
【0064】
同様に、排紙装置103が1つの排紙トレイに排紙する印刷物の数と1つの排紙トレイに積載できる最大の印刷物の数を一致させる必要はない。例えば排紙装置103が1つの排紙トレイに排紙する印刷物の枚数を3枚とし、積載できる印刷物の最大の枚数を9枚とした場合、排紙装置103は、3枚単位の印刷物を3つ分、1つの排紙トレイに移動させることができる。
【0065】
排紙装置103が1つの排紙トレイに排紙する印刷物の枚数を増やすことは、検査枚数の単位も増やす。よって、1つの排紙トレイに排紙する印刷物の枚数を増やすことは、検査結果が異常な印刷物を許容できる枚数が増えることにより、排紙トレイの段数を削減できるメリットもある。しかし、排紙装置103が再印刷する枚数も増えるというデメリットがある。この排紙枚数の単位又は検査枚数の単位はシステム全体の構成や用途に応じてユーザーが任意に変更することが可能である。
【0066】
なお、
図7では印刷物を移動させる手段として、排紙装置103は排紙トレイ21の底面を排紙トレイ正面に対して左右に開口させているが、前後に開口させる、開口せず排紙トレイを傾けることで滑らせるなどの手段でも可能である。
【0067】
また、
図7では印刷物の位置の調整にフリッパー23を用いているが、排紙装置103は、排紙トレイ21又はメイントレイ22の少なくとも一方を移動させ、それらの位置関係を変更させることでずらし移動を実現してもよい。また、排紙装置103は、排紙トレイ21又はメイントレイ22の位置関係を左右に移動させるのでなく、前後に移動させてもよい。
【0068】
このように、印刷物の位置関係を調整する手段は限定されない。例えば、排紙装置103は開口タイミングをずらすことで、印刷物の滑る方向を調整することで実現しても良い。
【0069】
本実施例では検査結果が異常な印刷物と検査結果が正常な印刷物を排紙装置103が相対的にずらすことでユーザーに判別させている。しかし、メイントレイ22の横に検査結果が異常な印刷物の廃棄場所を設け、フリッパー23などで検査結果が異常な印刷物をメイントレイ22から取り除いても良い。この場合は検査結果が異常な印刷物をユーザーが取り除く作業が不要となり、更に望ましい。
【0070】
<ソート後のメイントレイの一例>
図8は、ソート動作が完了したメイントレイ22上の印刷物の状態の例を示す。
図8では、ページ1からページ15の印刷物がメイントレイ22に存在する。ページ3とページ7が検査結果で異常と判断されたため、その他の検査結果が正常な印刷物に対しずらされてメイントレイ22に置かれている。また、ページ3は1回目の再印刷で正常と判断されたが、ページ7は1回目の再印刷でも異常と判断されたため、プリンタ制御部11が2回目の再印刷を実施している。
【0071】
なお、このような位置ずらし、及び、再印刷についてプリンタ制御部11は、印刷物単位ではなく、任意の複数の印刷物をまとめた単位で行ってもよい。
【0072】
<排紙装置の機能について>
図9は、排紙装置103の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。排紙装置103は検査結果取得部31、トレイ情報管理部32、データベース33、動作判断部34、排紙制御部35、排紙駆動部36、移動制御部37、及び、ソート駆動部38を有する。
【0073】
検査装置102が有するこれら各機能は、
図4に示されている各構成要素のいずれかが、HDD40からRAM20に展開されたプログラムに従ったCPU10からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0074】
検査結果取得部31は検査装置102から検査情報(イメージ番号及びページ番号ごとの検査結果)を受信する。検査結果取得部31はイメージ番号と検査結果をトレイ情報管理部32へ送信する。ここでイメージ番号は印刷物のユニークな識別番号である。
【0075】
トレイ情報管理部32はプリンタ制御部11からソート条件の設定情報、排紙要求及びページ番号を受信する。トレイ情報管理部32は検査結果取得部31から検査結果とページ番号(イメージ番号ももらってよい)を受信する。ソート条件はプリンタ101のシステム全体に応じて、再印刷を実施する印刷物の枚数の設定や、再印刷を許容できる回数、印刷物の種類に応じたソート時の動作など(用紙厚やサイズに応じて動作を変える)、及び、ソート動作に係る設定全体の情報を含む。ページ番号は印刷ジョブに含まれるページの識別情報であり、再印刷時の排紙トレイを特定するため等に使用される。ページ番号は再印刷された場合はユニークではなく、重複する。トレイ情報管理部32はプリンタ制御部11と検査結果取得部31から受信した情報を基に、データベース33上にて排紙トレイのステータスの管理と更新を行う。トレイ情報管理部32は、移動制御部による印刷物の移動に応じて排紙トレイの識別情報と前記検査結果の対応を更新する。また、トレイ情報管理部32は、トレイ情報に基づいて排紙トレイへのソート要求又は排紙要求を出力する。
【0076】
動作判断部34はトレイ情報管理部32から排紙要求(排紙トレイを指示する)、ソート要求(ソート対象の排紙トレイを指示する)、ページ番号、及び、トレイステータスを受け取る。動作判断部34はこれらに基づいて排紙装置103の動作タイミングを判断し、排紙制御部35と移動制御部37に要求を割り当てる。動作タイミングとは、例えば、同じ排紙トレイで排紙とソートが同時に実行されないように、先に要求された指示を優先する排他制御を行うことである。なお、動作判断部34はトレイステータスをトレイ情報管理部32から受け取らなくてもよい。トレイステータスに基づく排紙要求とソート要求はトレイ情報管理部32で指示するからである。しかし、動作判断部34がトレイステータスをもらうことで、排紙トレイが実際に空いているかどうかなどの判断が可能である。
【0077】
排紙制御部35は排紙要求を基に、印刷物の排紙トレイと排紙命令を排紙駆動部36に伝える。排紙駆動部36は排紙命令に従い、指定された排紙トレイに排紙する。指定された排紙トレイの切替は、排紙先である排紙トレイ側を上下などに駆動させる方法と、搬送経路を切替する方法などが可能である。また、切替を行う搬送経路は、プリンタ101又は排紙装置103のいずれに設けられても良いが、プリンタ101との組み合わせが不要となり、汎用性が向上するという観点から排紙装置103内に独立して設ける方が望ましい。
【0078】
移動制御部37はソート要求を基に、ソートを実施する排紙トレイとソートの種類(ずらすかずらさないか)及びソート命令をソート駆動部38に伝える。ソート駆動部38はソート命令に従い、排紙トレイの駆動を行う。
【0079】
<データベースで管理されるトレイ情報について>
<<トレイ情報で管理される情報>>
図10は、トレイ情報管理部32が管理するトレイ情報の一例を示す図である。トレイ情報は、トレイ番号、ステータス、サブステータス、及び、シートステータスを有している。
図10では、4×4=16が1つの排紙トレイが載せられる最大の印刷物の枚数である。また、4枚が品質検査及び再印刷の単位である。これら4,16は説明のための一例に過ぎず、ユーザーなどが設定できる。
【0080】
・トレイ番号
トレイ番号は、排紙トレイの番号である。本実施形態ではメイントレイ22に近い最下段の排紙トレイを排紙トレイ1とし、排紙トレイ21は上側ほど順番に大きくなる番号を有する。
【0081】
・ステータス
ステータスは排紙トレイの状態を表す。本実施例では以下の7種類のステータスがある。ステータスはトレイ番号と対応付けられている。各排紙トレイは必ずいずれかのステータスを持つ。
[排紙] ステータスは再印刷ではない通常の印刷順で、次に印刷物が排紙される排紙トレイのステータスである。
[再印] ステータスは再印刷の印刷物が排紙される、予約又は確保された排紙トレイのステータスである。
[検査] ステータスは[排紙]又は[再印]のトレイに対し、印刷物が規定の単位の枚数だけ排紙され(規定枚数排紙され)、検査結果の確定待ちの排紙トレイのステータスである。
[OK] ステータスは[検査]の排紙トレイが保持する全印刷物が検査結果で正常となった排紙トレイのステータスである。
[NG] ステータスは[検査]の排紙トレイが保持する全印刷物の内、検査結果で1枚以上が異常となった排紙トレイのステータスである。
[NR] ステータスは[NG]のトレイから印刷物を移動された下段の排紙トレイのステータスである。[NR]は再印刷用の排紙トレイが予約済み(又は確保済み)であることを意味する。
[待機] ステータスは印刷物を持たない排紙トレイのステータスである。本実施例では上記6種類のステータス以外の排紙トレイはすべて[待機]となる。
【0082】
・サブステータス
サブステータスは、ソート動作において、排紙装置103が、[OK]同士の排紙トレイや、[NG][NR]同士の排紙トレイの印刷物を同じ排紙トレイに移動した場合に、再印刷が必要か否かの判断を規定の単位で行うための情報である。サブステータスは排紙装置103が再印刷を実施する印刷物を移動する前に排紙トレイが持っていたステータスの情報を保存するため、<OK>、<NG>、<NR>の3種がある。サブステータスについては
図22で補足する。
【0083】
・シートステータス
シートステータスは、排紙トレイに排紙された印刷物の状態であり、2種類の識別番号(ページ番号、 イメージ番号)と、3種類の印刷物の検査情報(OK、NG、検査)を持つ。
[ページ番号]は排紙された印刷物とジョブ情報を対応付ける番号である。再印刷された印刷物はページ番号によって同じページ番号が排紙された排紙トレイへ排紙される。
[イメージ番号]は、排紙された印刷物のユニークな番号である。イメージ番号は重複しない。
[OK]は検査結果が正常の印刷物である。
[NG]は検査結果が異常の印刷物である。
[検査]は検査結果が確定していない印刷物である。
【0084】
<<排紙トレイ1からメイントレイへの移動制御>>
図11(a)は、後述の
図16で説明される排紙トレイ1からメイントレイ22へのソート動作をテーブルで説明する図である。トレイ情報管理部32は、
図10のトレイ情報で各排紙トレイのステータスを管理し、
図11(a)のテーブルに基づいて、最下段の排紙トレイ1からメイントレイ22に対し、検査結果が正常な印刷物と異常の印刷物を判別可能な状態で移動させる。
【0085】
<<排紙トレイSからS-1への移動制御>>
図11(b)は、後述の
図17で説明される排紙トレイ2~4のソート動作をテーブルで説明する図である。2つの上下に連続した排紙トレイに着目した場合、行見出しは下段の排紙トレイ(S-1)のステータス、列見出しは上段の排紙トレイ(S)のステータスである。トレイ番号は下方からの昇順である。
【0086】
トレイ情報管理部32は、
図10のトレイ情報で各排紙トレイのステータスを管理し、下方からS番目の排紙トレイとS-1番目の排紙トレイとのステータスの組み合わせに応じて、S番目の排紙トレイからS-1番目の排紙トレイに対する印刷物の移動を制御する。
【0087】
なお、
図11(a)、
図11(b)のテーブルはデータベース33に記憶されている。
【0088】
<ソート動作の例>
以下では、排紙動作、ソート動作を実現するために必要な情報やアルゴリズムについて説明する。なお、以下では、排紙トレイ[S]と記載している場合、Sはソート対象の排紙トレイの番号を表す。S-1はソート対象の排紙トレイから見て1段下の排紙トレイの番号を表す。
【0089】
<<全体動作>>
図12は、排紙装置103の全体的な動作を説明するフローチャート図の一例である。
図12の処理は排紙装置103の電源オンによりスタートする。
【0090】
S1:トレイ情報管理部32は、各排紙トレイのステータスに対し初期設定を行う。すなわち、トレイ情報管理部32は、排紙トレイ1のステータスを「排紙」、その他の排紙トレイのステータスを「待機」に設定する。
【0091】
S2:トレイ情報管理部32は排紙に関する制御を行う。詳細は
図13にて説明する。
【0092】
S3:トレイ情報管理部32は検査に関する制御を行う。詳細は
図14にて説明する。
【0093】
S4:トレイ情報管理部32はソートに関する制御を行う。詳細は
図15にて説明する。
【0094】
S5:トレイ情報管理部32はソート動作も含めて印刷が完了している、又は、エラー通知があり動作をプリンタ101が継続できないかを判断し、いずれかの場合、動作を終了する。
【0095】
印刷物が排紙されてから検査結果が確定するまでに一定時間を要する。そのため、
図12のフローチャート図に示すように排紙、検査、及び、ソートをそれぞれがすべて完了するまで排紙装置103が繰り返す。排紙装置103の処理速度や排紙トレイの状況に応じて、これらの順番は前後してもよく、また特定の動作を複数回繰り返してもよい。
【0096】
<<排紙>>
図13は、排紙装置103が排紙する動作を説明するフローチャート図の一例である。
【0097】
S11:まず、トレイ情報管理部32は排紙要求、及び、ページ番号、イメージ番号をプリンタ101から取得する。
【0098】
S12:トレイ情報管理部32はページ番号が再印刷された印刷物か否かを判断する。トレイ情報管理部32はトレイ情報にすでに同じページ番号が登録されているか否かを判断する。更に、ステータスが[再印]である排紙トレイに該ページ番号があるか否かを判断してよい。
【0099】
S13:再印刷された印刷物の場合、トレイ情報管理部32は[再印]ステータスの排紙トレイへ印刷物を排紙する。具体的には、トレイ情報管理部32は動作判断部34に排紙要求、ページ番号、及び、トレイ番号を通知する。
【0100】
S14:トレイ情報管理部32は、排紙トレイにこれ以上、印刷物を排紙できないかどうかを判断する。トレイ情報管理部32は予め設定されている検査枚数(最大では排紙トレイの最大積載量)とトレイ情報に登録済みの枚数を比較する。
【0101】
S15:これ以上排紙できない場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイを[検査]ステータスに変更する。
【0102】
S16:ステップS12で再印刷された印刷物ではないと判断された場合、トレイ情報管理部32は、[排紙]ステータスの排紙トレイへ印刷物を排紙すると判断する。具体的には、トレイ情報管理部32は動作判断部34に排紙要求、ページ番号、及び、トレイ番号を通知する。このように、トレイ情報管理部32は、印刷物の検査結果が確定する前に印刷物を排紙トレイに排紙する。
【0103】
S17:トレイ情報管理部32は、排紙トレイにこれ以上、印刷物を排紙できないかを判断する。トレイ情報管理部32は予め設定されている検査枚数(最大では排紙トレイの最大積載量)とトレイ情報に登録済みの枚数を比較する。
【0104】
S18:これ以上排紙できない場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイの上段の排紙トレイが有効、つまり、空いているかどうかを判断する。
【0105】
S19:上段に有効な排紙トレイがある場合、トレイ情報管理部32は、[排紙]ステータスの排紙トレイを[検査]ステータスに変更し、上段の排紙トレイを[排紙]ステータスに変更する。
【0106】
S20:上段に有効な排紙トレイがなく、これ以上[排紙]ステータスを割り当てられない場合、トレイ情報管理部32は印刷を継続できないため、エラー通知を行う。エラー通知はプリンタ101に送信され、プリンタ101は印刷を中断又は中止する。この場合、排紙トレイが空けばプリンタ101は印刷を再開できる。
【0107】
<<検査>>
図14は、排紙装置103が検査結果に応じてトレイ情報を更新する動作を説明するフローチャート図の一例である。
【0108】
S21:まず、検査結果取得部31がエンジン部12から検査結果、イメージ番号及びページ番号を取得する。
【0109】
S22:トレイ情報管理部32は検査結果を取得した印刷物がある排紙トレイの全印刷物が検査済みか否かを判断する。トレイ情報管理部32はイメージ番号で排紙トレイを特定できる。
【0110】
S23:トレイ情報管理部32は、排紙トレイの全印刷物が検査済みで、かつ、ステータスが[OK]であるか否かを判断する。
【0111】
S24:排紙トレイに排紙された全ての印刷物のステータスが[OK]の場合、トレイ情報管理部32はこの排紙トレイを[OK]ステータスに変更する。
【0112】
S25:排紙トレイに排紙されたいずれかの印刷物のステータスが[NG]の場合、トレイ情報管理部32はこの排紙トレイを[NG]ステータスに変更する。
【0113】
S26:トレイ情報管理部32は、再印回数が設定値を超えたか否かを判断する。
【0114】
S27:再印回数が設定値を超えた場合、トレイ情報管理部32はエラーをプリンタ101に通知する。設定回数以内に正常な印刷物が得られない場合、プリンタ101に何らかの故障等が発生している可能性があるため、このエラーは印刷中止などを要求する。プリンタ101が担当者にメール等で警告するなどすることが好ましい。
【0115】
<<ソート>>
図15は、排紙装置103がトレイ情報に応じてソートを行う全体動作を説明するフローチャート図の一例である。
【0116】
S31:排紙装置103は排紙トレイ1のソート動作を行う。詳細は
図16にて説明する。
【0117】
S32:排紙トレイ1のソート動作が終わると、トレイ情報管理部32は排紙トレイ1より上の排紙トレイ2~4のステータスがすべて[待機]であるか否か判断する。
【0118】
S33:排紙トレイ1より上に[待機]ステータスでない排紙トレイがある場合、トレイ情報管理部32はソート対象の排紙トレイを1段上へ移す。排紙トレイSの初期値をS=1とすると、トレイ情報管理部32は、S=S+1=2の排紙トレイをソートの対象とする。
【0119】
S34:トレイ情報管理部32はソート対象の排紙トレイのソート動作を行う。詳細は
図17にて説明する。
【0120】
S35:トレイ情報管理部32はソート対象の排紙トレイより上の排紙トレイがすべて[待機]ステータスか判断する。[待機]ステータスであればソートが必要ない。ソート対象の排紙トレイより上の排紙トレイが1つでも[待機]ステータスでない場合、処理はステップS33に戻る。
【0121】
このように、排紙装置103は下段の排紙トレイから一段ずつ上の排紙トレイをソートすることを繰り返す。
【0122】
図16は、排紙装置103が排紙トレイ1からメイントレイ22への印刷物の移動を説明するフローチャート図の一例である。
【0123】
S41:トレイ情報管理部32は排紙トレイ1のステータスを確認する。
図11(a)に示すように、ステータスが[排紙][再印][検査][待機]のいずれかであるならば、排紙装置103がソートできないので、排紙トレイ1のソート動作を終了する。
【0124】
S42:排紙トレイ1のステータスが[OK]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイ1の印刷物をメイントレイ22に移動させ、排紙トレイ1のステータスを[待機]ステータスに変更する。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイ1のソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイ1からメイントレイ22に印刷物を移動する。
【0125】
S43:排紙トレイ1のステータスが[NG]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイ1の印刷物をメイントレイ22にずらし移動させ、排紙トレイ1のステータスを[再印]ステータスに変更する。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイ1のソート要求(ずらし移動)を送信する。移動制御部37は排紙トレイ1からメイントレイ22に印刷物をずらし移動する。
【0126】
検査結果が異常の場合、検査装置102がプリンタ101に再印刷を要求する。あるいは、排紙トレイのステータスが[再印]ステータスに変更された場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイに対応付けられているページ番号を指定して、再印刷をプリンタ101に要求する。以降の説明で、排紙トレイのステータスが[再印]ステータスに変更される場合も同様である。
【0127】
トレイ情報管理部32が再印刷を要求する場合、再印刷の排紙トレイを確保してから再印刷要求するため、再印刷、及び、排紙時には必ず排紙トレイが確保されている。しかし、再印刷の排紙トレイを確保してから再印刷要求するため、検査装置102にて検査結果NGが確定した段階では再印刷要求できず、再印刷が検査結果確定から遅れる。これによってソートの遅れが発生し、必要な排紙トレイが増える恐れがある。
【0128】
検査装置102が、検査結果NGが確定した時点で再印刷を要求する場合、再印刷が実施され、排紙されるまでの間に、排紙装置103は再印刷の排紙トレイを確保しておく必要がある。高速な印刷機では機内に10枚以上の印刷物が流れているため、基本的には先に検査装置102が再印刷の要求を出し、後追いで排紙装置103が再印冊の排紙トレイを確保すればよい。
【0129】
トレイ情報で各排紙トレイのステータスが管理され、ステータスが[NG]の排紙トレイの印刷物をトレイ情報管理部32がずらし移動するので、排紙装置103は検査結果が確定する前に印刷物を排紙できる。
【0130】
S44:排紙トレイ1のステータスが[NR]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイ1の印刷物をメイントレイ22にずらし移動させ、排紙トレイ1のステータスを[待機]ステータスに変更する。ステータスがNRの場合、再印刷を行う必要がないためである。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイ1のソート要求(ずらし移動)を送信する。移動制御部37は排紙トレイ1からメイントレイ22に印刷物をずらし移動する。
【0131】
トレイ情報で各排紙トレイのステータスが管理され、ステータスが[NR]の排紙トレイの印刷物をトレイ情報管理部32がずらし移動するので、排紙装置103は検査結果が確定する前に印刷物を排紙できる。
【0132】
図17は、排紙装置103が排紙トレイ1より上の排紙トレイ2~4のソートを行う動作を説明するフローチャート図の一例である。
【0133】
S51:トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイ2~4のステータスを確認する。ステータスが[待機]ならば、ソートが不要なのでソート動作を終了する。
【0134】
S52:ソート対象の排紙トレイのステータスが[排紙][再印][検査]のいずれかの場合、ソート動作1を行う。詳細は
図18にて説明する。
【0135】
S53:ソート対象の排紙トレイのステータスが[OK]の場合、トレイ情報管理部32はソート動作2を行う。詳細は
図19にて説明する。
【0136】
S54:ソート対象の排紙トレイのステータスが[NG]の場合、トレイ情報管理部32はソート動作3を行う。詳細は
図20にて説明する。
【0137】
S55:ソート対象の排紙トレイのステータスが[NR]の場合、トレイ情報管理部32はソート動作4を行う。詳細は
図21にて説明する。
【0138】
以下、ソート動作1~4について説明する。以下のソート動作1~4は
図11(b)のテーブルに基づいて行われる。
【0139】
図18は、ソート動作1を説明するフローチャート図の一例である。ソート動作1はソート対象の排紙トレイS(上段)のステータスが[排紙][再印][検査]の場合のソート動作である。
【0140】
S61:トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSに対し1段下の排紙トレイS-1のステータスを確認する。排紙トレイS-1のステータスが[排紙][再印][検査][OK][NG][NR]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイSからS-1へ印刷物を移動しないでソート動作1を終了する。排紙トレイS-1のステータスが[排紙]の場合は、印刷物が衝突したりあふれたりするおそれがあるためである。排紙トレイS-1のステータスが[再印][検査][OK][NG][NR]の場合は、異なるステータスの印刷物が混在しないようにするためである。
【0141】
S62:排紙トレイS-1のステータスが[待機]の場合、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSから下段の排紙トレイS-1へ印刷物を移動させる。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイSのソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイSから排紙トレイS-1に印刷物を移動する。
【0142】
また、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSのステータスを下段の排紙トレイS-1へコピーし、排紙トレイSのステータスを[待機]に変更する。
【0143】
図19は、ソート動作2を説明するフローチャート図の一例である。ソート動作2はソート対象の排紙トレイS(上段)のステータスが[OK]の場合のソート動作である。
【0144】
S71:トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSに対し1段下の排紙トレイS-1のステータスを確認する。排紙トレイS-1のステータスが[排紙][再印][検査][NG][NR]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイSからS-1へ印刷物を移動しないでソート動作2を終了する。異なるステータスの印刷物が混在しないようにするためである。
【0145】
S72:排紙トレイS-1のステータスが[待機][OK]の場合、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSから下段の排紙トレイS-1へ印刷物を移動させる。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイSのソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイSから排紙トレイS-1に印刷物を移動する。
【0146】
また、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSのステータスを下段の排紙トレイS-1へコピーし、排紙トレイSのステータスを[待機]に変更する。
【0147】
図20は、ソート動作3を説明するフローチャート図の一例である。ソート動作3はソート対象の排紙トレイS(上段)のステータスが[NG]の場合のソート動作である。
【0148】
S81:トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSに対し1段下の排紙トレイS-1のステータスを確認する。排紙トレイS-1のステータスが[排紙][再印][検査][OK]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイSからS-1へ印刷物を移動しないでソート動作3を終了する。異なるステータスの印刷物が混在しないようにするためである。
【0149】
S82:排紙トレイS-1のステータスが[待機][NR]の場合、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSから下段の排紙トレイS-1へ印刷物を移動させる。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイSのソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイSから排紙トレイS-1に印刷物を移動する。
【0150】
また、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSのステータスを[再印]に変更し、下段の排紙トレイS-1のステータスを[NR]に変更する(ステータスが[待機]だった場合)。したがって、ソート対象の排紙トレイSには再印刷の印刷物が排紙される。下段の排紙トレイS-1の印刷物は再印刷されない。
【0151】
S83:排紙トレイS-1のステータスが[NG]の場合、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSから下段の排紙トレイS-1へ印刷物を移動させる。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイSのソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイSから排紙トレイS-1に印刷物を移動する。
【0152】
また、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSのステータスを[再印]に変更する。下段の排紙トレイS-1のステータスは[NG]のままでよい。したがって、ソート対象の排紙トレイSには再印刷の印刷物が排紙される。
【0153】
図21は、ソート動作4を説明するフローチャート図の一例である。ソート動作4はソート対象の排紙トレイS(上段)のステータスが[NR]の場合のソート動作である。
【0154】
S91:トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSに対し1段下の排紙トレイS-1のステータスを確認する。排紙トレイS-1のステータスが[排紙][再印][検査][OK]の場合、トレイ情報管理部32は、排紙トレイSからS-1へ印刷物を移動しないでソート動作4を終了する。異なるステータスの印刷物が混在しないようにするためである。
【0155】
S92:排紙トレイS-1のステータスが[待機][NR]の場合、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSから下段の排紙トレイS-1へ印刷物を移動させる。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイSのソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイSから排紙トレイS-1に印刷物を移動する。
【0156】
また、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSのステータスを[待機]に変更し(NRの排紙トレイは再印刷しないため)、下段の排紙トレイS-1のステータスを[NR]に変更する(ステータスが[待機]だった場合)。下段の排紙トレイS-1の印刷物は再印刷されない。
【0157】
S93:排紙トレイS-1のステータスが[NG]の場合、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSから下段の排紙トレイS-1へ印刷物を移動させる。トレイ情報管理部32は、動作判断部34を介して移動制御部37に排紙トレイSのソート要求を送信する。移動制御部37は排紙トレイSから排紙トレイS-1に印刷物を移動する。
【0158】
また、トレイ情報管理部32は、ソート対象の排紙トレイSのステータスを[待機]に変更する。下段の排紙トレイS-1のステータスは[NG]のままでよい。
【0159】
<ソートのイメージ>
図22は、ソート動作による排紙トレイのステータスの変化を説明する図である。
図22(a)は排紙トレイ3のソート前のステータスを示し、
図22(b)は排紙トレイ2のソート前のステータスを示す。
図22(c)は排紙トレイ3のソート後のステータスを示し、
図22(d)は排紙トレイ2のソート後のステータスを示す。再印刷の単位(品質検査の単位)を3ページとする。
【0160】
図22(a)に示すように、ソート前の排紙トレイ3にはページ4~6が排紙されている。しかし、ページ5の検査結果がNGであった。
図22(b)に示すように、ソート前の排紙トレイ2にはページ1~3が排紙されている。しかし、ページ2の検査結果がNGであった。このため、排紙トレイ2,3のステータスとサブステータスはNGとなる。
【0161】
図22(d)に示すように、排紙トレイ3から排紙トレイ2にページ4~6が移動される。ページ4~6のサブステータスは[NR]である。また、
図22(c)に示すように、排紙トレイ3のステータスは[再印]となり、ページ4~6が再度、排紙される。
【0162】
排紙トレイ2のページ1~6が排紙トレイ1に移動された場合、NGのサブステータスを有するのはページ1~3だけなので、トレイ情報管理部32は、ページ1~3の分だけ[再印]のサブステータスを与えればよい。したがって、排紙トレイ2のページ1~3の部分は、再印刷されたページ1~3が排紙される。このように、サブステータスがあることで、排紙装置103は最小限のページだけ再印刷すればよいことになる。
【0163】
なお、排紙トレイ1からメイントレイ22にページ1~6が移動される場合、排紙トレイ1のステータスは[NR]になるので、ページ1~6がずらして移動される。その後、排紙トレイ2,3のページ1~6がメイントレイ22に排紙されるので、ページの順番が維持されることがわかる。ユーザーはずらされているページ1~6を取り除けば、ページ順に検査結果が正常な印刷物を得ることができる。
【0164】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の排紙装置は、メイントレイ22に検査結果が異常な印刷物が正常な印刷物に対しずれた状態で排出する。また、再印刷のために排紙トレイが確保されるので、メイントレイ22にはページ順に印刷物が排紙される。ユーザーは検査結果が異常な印刷物を引き抜くだけで最終的に正しくソートされた、検査結果が正常な印刷物を得られる。排紙装置103は検査結果を待つことなく、再印刷用の排紙トレイよりも上側の排紙トレイに排紙できるため、搬送経路を長くする、又は、検査結果が異常な印刷物を一次収納するといった仕組みが不要となる。
【0165】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0166】
例えば、
図9などの構成例は、排紙装置103による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。排紙装置103の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0167】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、検査装置102は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0168】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0169】
100 画像形成システム
101 プリンタ
102 検査装置
103 排紙装置
104 DFE
200 情報処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】