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  • 特許-鍛造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】鍛造装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 13/02 20060101AFI20240910BHJP
   B21D 13/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B21J13/02 H
B21D13/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023102347
(22)【出願日】2023-06-22
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】古藤 宏菜
(72)【発明者】
【氏名】苅田 あすか
(72)【発明者】
【氏名】青山 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】大櫃 暢力
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-202456(JP,A)
【文献】特開2004-167554(JP,A)
【文献】特開平4-172142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 13/02
B21D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された下型と、該下型に対峙した上型とを有し、前記下型に載置した素材を前記上型で鍛造して鍛造材を得る鍛造装置において、
前記鍛造装置は、更に、前記下型に設置され、前記下型の固定された位置から前記上型の上下に移動可能な位置までの高さの範囲に亘って前記上型の側面を覆う筒状体を有し、
前記筒状体は、該筒状体の内面を前記上型の側面が上下に摺動する上型ガイド構造であるとともに、該筒状体と前記下型との設置面がインロー構造であり、
前記上型の側面が突起部を有するとともに、鍛造中の前記上型が上下に移動するときの前記突起部が当たる前記筒状体の位置に、該筒状体の上端に開放した切欠き溝であり、かつ、鍛造中の前記突起部が最下位置にあるとき以上の深さの切欠き溝が形成されていることを特徴とする、鍛造装置。
【請求項2】
前記突起部が前記上型の側面の対抗する位置にあるとともに、前記筒状体の切欠き溝が前記突起部の位置に相当する位置に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の鍛造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下型に載置した素材を上型で鍛造して鍛造材を得る鍛造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍛造は、例えば、そのときの鍛造温度に応じて冷間鍛造や温間鍛造、熱間鍛造等に種類別けされ、また、そのときの鍛造材の形状に応じて型打鍛造や自由鍛造、据込鍛造等に種類別けされる。そして、このような鍛造に用いられる鍛造装置は、一般的に、固定された下型と、この下型に対峙した上型とを有して、この下型に載置した素材を上記の上型で鍛造して鍛造材を得る構造でなる(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-021213号公報
【文献】特開2016-052673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の鍛造装置で鍛造を行うとき、下型に載置した素材に向けて下降中の上型がずれないように、この上型を誘導案内するガイドが用いられてきた。例えば、上記の特許文献1、2では、「パンチが上下スライド自在に挿通するガイド孔を有するパンチガイド」が提案されている。そして、特許文献2では、このパンチガイド自身がずれないように、「下型ダイスの上面に位置決め用凸部を有し、上記のパンチガイド下面に上記の位置決め用凸部が噛合する位置決め用凹部を有する鍛造金型装置」が提案されている。しかし、例えば、素材がニッケル合金やチタン合金といった高強度材であったり、これらの素材が大型化して鍛造中の変形荷重が大きくなったりすると、鍛造装置や金型も大型化される。そして、このような鍛造として、例えば、鋼塊といった高強度の大型素材を熱間鍛造する場合が考えられるところ、この鍛造を開始する前の準備工程で時間を要すると、加熱した素材の温度が下がる等して、鍛造に不具合が生じる懸念がある。
本発明の目的は、鍛造中の上型のずれを抑制できる仕組みを提案して、かつ、その仕組みを簡単に準備できる鍛造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、固定された下型と、この下型に対峙した上型とを有し、この下型に載置した素材を上記の上型で鍛造して鍛造材を得る鍛造装置において、
この鍛造装置は、更に、上記の下型に設置され、上記の下型の固定された位置から上記の上型の上下に移動可能な位置までの高さの範囲に亘って上記の上型の側面を覆う筒状体を有し、
上記の筒状体は、この筒状体の内面を上記の上型の側面が上下に摺動する上型ガイド構造であるとともに、この筒状体と上記の下型との設置面がインロー構造であり、
上記の上型の側面が突起部を有するとともに、鍛造中のこの上型が上下に移動するときの上記の突起部が当たる上記の筒状体の位置に、上記の筒状体の上端に開放した切欠き溝であり、かつ、鍛造中の上記の突起部が最下位置にあるとき以上の深さの切欠き溝が形成されている、鍛造装置である。
【0006】
そして、好ましくは、上記の突起部が、上記の上型の側面の対抗する位置にあるとともに、上記の筒状体の切欠き溝が上記の突起部の位置に相当する位置に形成されている、鍛造装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明であれば、鍛造中の上型を精度よく下型の適正な位置に誘導できる。そして、この鍛造を行なうにあたり、鍛造前の準備工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来の鍛造装置について、その断面の一例を示す模式図である。
図2】本発明の鍛造装置について、その断面の一例を示す模式図である。
図3】本発明の別の鍛造装置について、その断面の一例を示す模式図である。
図4】本発明の鍛造装置について、それが有する上型および筒状体の詳細の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明の鍛造装置は、「固定された下型と、この下型に対峙した上型とを有し、この下型に載置した素材を上記の上型で鍛造して鍛造材を得る鍛造装置」である。
まず、この構成について、図1を例に説明する。図1は、固定された下型1と、この下型1に対峙した、上下に移動可能な上型2とを有する鍛造装置0の断面を示したものである。つまり、この下型1に載置した素材3を上記の上型2で鍛造して鍛造材4を得ることができる。そして、一具体的には、加熱した円柱状の素材3を、その上面より圧縮成形して、略樽(バレル)形状の鍛造材4に熱間据込鍛造するものである。
【0010】
図1において、鍛造を開始する前の上型2は、素材3の上面に接した位置(最上位置と言う。)に待機している。あるいは、鍛造を開始する前の上型2は、素材3の上面から上方に離れた位置に待機していてもよい。次に、鍛造を開始すると、上型2は下型1に向けて下降して素材3の上面を圧縮し、素材3が所定の高さの鍛造材4に圧縮成形されるまで鍛造を行う。そして、この圧縮成形が終了した時点で、上型2の下降は停止して、この上型2が鍛造材4の上面に接した位置(最下位置と言う。)で鍛造が終了する。
【0011】
(2)本発明の鍛造装置は、更に、「上記の下型に設置され、上記の下型の固定された位置から上記の上型の上下に移動可能な位置までの高さの範囲に亘って上記の上型の側面を覆う筒状体を有する」ものである。
図1の鍛造装置の場合、鍛造中の変形荷重が大きいと、鍛造中の上型2への反力が大きいこと等に起因して、上型2が当初の調整された(センタリングされた)位置から左右にずれることが懸念される。そうすると、目的とした形状の鍛造材4を得られないかも知れない。そこで、本発明の鍛造装置は、図1の鍛造装置の構成に加えて、更に、図2に示すように、上型2の側面を覆う筒状体5を有している。そして、この筒状体5が、下型1に設置されて、かつ、この筒状体5の高さが、上記の下型1の位置から上記の上型2の上下に移動可能な位置(つまり、上型2の最上位置と最下位置との間の位置)までの高さの範囲に亘っていることで、この筒状体5が、以下に説明する、鍛造中の上型2のずれの抑制に機能する。
【0012】
(3)本発明の鍛造装置は、「上記の筒状体の内面を上記の上型の側面が上下に摺動する上型ガイド構造である」とともに、「上記の筒状体と上記の下型との設置面がインロー構造である」ものである。
【0013】
<上型ガイド構造>
まず、筒状体5が、上型2の最上位置と最下位置との間の位置に亘って、上型2の側面を覆っていることで(図2)、鍛造中においては、この上型2の側面が筒状体5の内面に摺動して、拘束されながら上下に動くので、筒状体5が鍛造中の上型2を下型1の適正な位置に誘導する「ガイド」として機能する。なお、ここで「摺動」と表記しているが、厳密には、筒状体5の内面と上型2の側面との間には、許容できる範囲で「遊び(クリアランス)」があってもよい。
【0014】
また、筒状体5が「上型2の最上位置と最下位置との間の位置に亘って」上型2の側面を覆っていることについては、上型2の側面の高さ方向における「全域」を覆っている必要はない。すなわち、上型2が最上位置(鍛造前の待機位置)にあるときに、その側面の高さ方向における「少なくとも一領域(言わば、下側の領域のみ)」が筒状体5で覆われているならば(図3)、鍛造中の上型2はこの最上位置よりも下降して筒状体5の内面により必然的に誘導されるので、ガイドとして機能する。そして、後述の通り、筒状体5は下型1に設置されていることから、上型2が最下位置(鍛造の終了位置)にあるときの筒状体5は、上型2の側面の高さ方向における「全域」や「ほぼ全域」を覆っているのが現実的である(図2、3)。
【0015】
<インロー構造>
本発明においては、上記の筒状体5が下型1に設置されていて、かつ、このときの筒状体5と下型1との設置面どうしが「インロー構造」であることが重要である。インロー構造とは、組合せる部品の一方の設置面を凹形状に加工し、もう一方の設置面を凸形状に加工することで、お互いの部品をずれ難くする構造のことである。そして、この構造によって、鍛造中の筒状体5が下型1からずれ難いので、鍛造中の上型2を下型1の適正な位置に誘導できる。この点において、本発明に係るインロー構造は、「上型のセンタリング機構」と言い換えることもできる。
【0016】
具体的なインロー構造としては、筒状体5を、下型1の側面に被せるような“単純な円筒”の形状とするだけでも、この筒状体5の内面(具体的には内面の下部または下端)がインロー構造の凹側(蓋側)となり、下型1の側面がインロー構造の凸側(箱側)となって、お互いが嵌合するので、インロー構造を付与することができる(例えば、図2、3に示す通り)。あるいは、このような様態に限らず、様々なインロー構造を、筒状体5と下型1との設置面の間に付与することができる。
【0017】
(4)本発明の鍛造装置は、「上型の側面が突起部を有する」ものである。そして、鍛造中の、この上型が上下に移動するときの「上記の突起部が当たる筒状体の位置に、この筒状体の上端に開放した切欠き溝であり、かつ、鍛造中の上記の突起部が最下位置にあるとき以上の深さの切欠き溝が形成されている」ものである。
本発明の鍛造装置であれば、上記の(1)~(3)の要件を満たすことで、その鍛造中の上型が左右にずれることを抑制できる。しかし、この効果を達成するために、本発明の鍛造装置は、従来の下型と上型とに加えて、鍛造中の上型のガイドを担う筒状体を必要とする。この筒状体は、上下型の“ほぼ全体を”をその側面から覆うものであるから、上下型が大きくなると、筒状体の径は、これら上下型の鍛造面を超えて大きくなる得る。そして、特に、鋼塊の据込み鍛造のように、素材の高さも大きくなると、筒状体の高さも大きくなり得る。
【0018】
本発明で、このような上下型による大型素材の鍛造にも対応するとなると、鍛造開始前の準備工程で、加熱された素材を鍛造装置に運び入れる前の時点で、下型は鍛造装置に取り付けておくとしても、上記の上型や筒状体までをも取り付けておくことは現実的ではない。そして、この場合の現実的な準備工程として、まず、予め鍛造装置に取り付けて固定した下型に素材を載置する。次に、この素材の上面に上型を載せる工程に前後して、上型の側面を覆ってガイドする筒状体も、これを素材ごと下型に被せるようにして、下型とインロー構造で接合させる。そして、このような工程で準備した上型の上面を、鍛造装置のラム等で圧下することで鍛造を行う。そうすると、上記の(1)~(3)の要件の鍛造装置で鍛造を行う場合、素材の上面に上型を載せる工程に前後して、上記の筒状体を下型に対して素材の上から設置するとう“特別な工程”が追加される。つまり、従来と比べて、この筒状体を設置するだけの工数が掛かることとなる。そして、筒状体を設置してから、下型の上に素材を載置することは困難であるから、これが熱間鍛造であるなら、先に下型に載置した素材の温度が低下する懸念も生じる。
【0019】
そこで、上記の(1)~(3)の要件の鍛造装置にあっては、その下型に設置する前の筒状体と上型とを“同時に”設置すれば、本来の、上型を鍛造装置に設置する(素材の上に載せる)工程に、本発明に係る筒状体を設置する工数も併合できて、鍛造前の準備工数を削減できる。つまり、未だ鍛造装置外にある筒状体の筒内に“予め”上型を入れておいてから、この筒状体を“上型ごと”鍛造装置内に運搬して、下型の上に既に載置されている素材の上から被せるように下型に設置すれば、あとは鍛造装置に据え付けられてるラムで上型を押下することで、直ちに鍛造を開始することができる。そして、鍛造が終了したときにも、やはり、上記の筒状体を“上型ごと”鍛造材から取り除けば、片付け工数の削減にもなる。
【0020】
よって、本発明では、上述した筒状体を“上型ごと”運搬できる構造とするために、図2、3において、まず、上型2の側面が突起部6を有している。そして、鍛造中のこの上型2が上下に移動するときの上記の突起部6が当たることとなる筒状体5の位置に、この突起部6がはまる切欠き溝7が形成されている。そして、この部分の詳細を図4に示す通り、この切欠き溝7は、筒状体5の上端に開放した切欠き溝であり、かつ、鍛造中に下降する突起部6が最下位置にあるとき以上の深さの切欠き溝である。
【0021】
こうすることで、まず、鍛造の準備段階で、上型2の側面の突起部6を、それが筒状体5の切欠き溝7との位置が合うようにして、筒状体5の上端に開放した切欠き溝7から落とし入れて、上型2を筒状体5の筒内に入れておけば、この筒状体5の側面を掴んで持ち上げたときに、この筒内からずり落ちようとする上型2の側面の突起部6が筒状体5の切欠き溝7の底で引っ掛かって、上型2が筒状体5の下端から抜け落ちることがない。
さらに、鍛造中においては、上型2が下降することに伴ってこれの突起部6も下降するところ、これがはまっている筒状体5の切欠き溝7の深さを、鍛造中の突起部6が最下位置にきたとき(鍛造終了時の上型2の位置にあるとき)以上に深くしておくことで、予定される圧下量の達成を妨げることがない。そして、切欠き溝7の深さを、鍛造中の上記の突起部6の最下位置に概ね合わせておけば、鍛造中のこの突起部6が切欠き溝7の底部よりも下がらないので、過剰圧下の抑制にもなる。
【0022】
なお、上記の突起部6は、例えば、棒状のピンとすることができる。そして、このピン先を潰した形状としておくことで、例えば、上型2の横ずれを抑制できる。切欠き溝7の幅には拘らない。但し、この溝幅を突起部6の大きさに近付けておくことで、鍛造中の上型2が水平方向に回転することを抑制できる。
【0023】
(5)本発明の鍛造装置は、好ましくは、「上記の突起部が上記の上型の側面の対抗する位置にあるとともに、上記の筒状体の切欠き溝が上記の突起部の位置に相当する位置に形成されている」ものである。
つまり、図2、3で説明するならば、その突起部6と切欠き溝7とでなる“一つの組合せ”が、紙面上の左右で対抗する“二つの位置(両側の位置)”に、それぞれ設けられているということである。こうすることで、筒状体5の内面と上型2の側面との間にクリアランスがあったとしても、運搬中の上型2の水平が保たれて、下型1への設置時や、下型1からの離間時の姿勢がより安定する。また、鍛造中の上型2の水平も保たれて、より安定した鍛造を行うことができる。
そして、より好ましくは、上記の突起物6と切欠き溝7とでなる一つの組合せを、他の対抗する位置にも設けることで、運搬中や鍛造中の上型2の姿勢がさらに安定する。例えば、図4は、突起部6と切欠き溝7とでなる一つの組合せを、対抗する“四つの位置(十字の位置)”に、それぞれ設けた例である。
【実施例
【0024】
図3および図4の構成でなる、素材を熱間据込み鍛造するための下型1、上型2および筒状体5の組合せを有する鍛造装置0を準備した。このとき、下型1および上型2の側面形状は略円形であり、これに筒状体5を嵌め合わせたときの、上記の側面と筒状体の内面とのクリアランスは片側で約1.5mmである。素材3は、直径が約560mm、高さが約1225mmの、ニッケル基超合金製の円柱形状である。
【0025】
まず、鍛造の準備段階として、鍛造装置外で、上型2の側面の突起部6を、それが筒状体5の切欠き溝7との位置が合うようにして、筒状体5の上端に開放した切欠き溝7から上記の突起部6がこの切欠き溝7の底部に当接するまで落とし入れて、上型2を筒状体5の筒内に入れておいた。そして、加熱炉から取り出した上記の素材3を、予め鍛造装置に取り付けて固定した下型1に載置して直ぐに、上記の筒状体5の外面を把持して、この筒状体5を筒内に納めた上型2ごと鍛造装置内に運搬し、素材3の上から被せるようにして下型1とインロー構造で接合させた。このとき、上型2は、その下面(鍛造面)が素材3の上面に接して載ることで、筒状体5から相対的に上昇して(素材3の上面で押し上げられて)、最上位置で待機した。
【0026】
上記の準備工程によって、素材3の上面に接して載っている上型2の、その筒状体5の上端からはみ出している部分の上面を鍛造装置のラムで圧下して、直ちに据込み鍛造を開始した。そして、上型2が筒状体5の内面に誘導されながら下降して、上型2の突起部6が筒状体5の切欠き溝7の底部に当接する直前で、上型2が最下位置(鍛造終了時の上型2の位置)に到達して、鍛造を終了した。そして、この後、同様に、筒状体5の外面を把持して、これを上型2ごと鍛造材4から取り除くことができて、設計した通りの樽形状の鍛造材4を得ることができた。
【符号の説明】
【0027】
0 鍛造装置
1 下型
2 上型
3 素材
4 鍛造材
5 筒状体
6 突起部
7 切欠き溝

【要約】
【課題】鍛造中の上型のずれを抑制できて、かつ、このための仕組みを簡単に準備できる鍛造装置の提供。
【解決手段】固定された下型と、この下型に対峙した上型とを有し、この下型に載置した素材を上記の上型で鍛造して鍛造材を得る鍛造装置において、
この鍛造装置は、更に、上記の下型に設置され、上記の下型の固定された位置から上記の上型の上下に移動可能な位置までの高さの範囲に亘って上記の上型の側面を覆う筒状体を有し、
上記の筒状体は、これの内面を上記の上型の側面が上下に摺動する上型ガイド構造であるとともに、この筒状体と上記の下型との設置面がインロー構造であり、
上記の上型の側面が突起部を有するとともに、鍛造中のこの上型が上下に移動するときの上記の突起部が当たる上記の筒状体の位置に、この筒状体の上端に開放した切欠き溝であり、かつ、鍛造中の上記の突起部が最下位置にあるとき以上の深さの切欠き溝が形成されている、鍛造装置。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4