(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】非水溶性、非油溶性色素組成物
(51)【国際特許分類】
C09B 67/02 20060101AFI20240910BHJP
C09B 61/00 20060101ALI20240910BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240910BHJP
C09C 1/40 20060101ALI20240910BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C09B67/02 A
C09B61/00 A
C09B67/20 F
C09C1/40
C09C3/08
(21)【出願番号】P 2023551302
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2022034505
(87)【国際公開番号】W WO2023053982
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021157741
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】関川 周司
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅晃
(72)【発明者】
【氏名】安井 健悟
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-017786(JP,A)
【文献】特開平10-330637(JP,A)
【文献】特開昭61-179264(JP,A)
【文献】特開昭59-213770(JP,A)
【文献】国際公開第2001/055262(WO,A1)
【文献】特開2006-070175(JP,A)
【文献】特開平01-230676(JP,A)
【文献】特開平02-204751(JP,A)
【文献】特開昭63-258957(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01798262(EP,A1)
【文献】国際公開第2012/124785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00-69/10
C09C 1/40
C09C 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化アルミニウムに、少なくともカロテン類、キサントフィル類、アポカルテノイド類から選ばれる一つ以上のカロテノイド系色素が、電気的な相互作用により物理吸着し、複合体として析出、水に不溶化した非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
【請求項2】
前記少なくともカロテン類、キサントフィル類、アポカルテノイド類から選ばれる一つ以上のカロテノイド系色素と、水酸化アルミニウムが質量比で、カロテノイド系色素が少なくともカロテン類、キサントフィル類、アポカルテノイド類から選ばれる一つ以上の天然色素:水酸化アルミニウム=0.1:99.9~90:10である請求項1に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
【請求項3】
前記カロテン類が少なくともαカロテン、βカロテン、γカロテン、σカロテン、リコペンから選ばれる一つ以上である請求項1または2に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
【請求項4】
前記キサントフィル類が少なくともルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、ビオラキサンチンから選ばれる一つ以上である請求項1または2に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
【請求項5】
前記アポカルテノイド類が少なくともビキシン、ノビルキシン、クロシン、クロセチン、アブシシン酸、アポカロテナール、イオノン、ペニリジンから選ばれる一つ以上である請求項1または2に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物を含有することを特徴とする食品、化粧品、医薬品または農薬のコーティング材または印字マーカー、文房具、筆記具、印刷インキ、インクジェットインキ、金属インキ、塗料、プラスチック着色剤、カラートナー、または化学センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水溶性、非油溶性色素組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しい色材が求められおり、このような状況下で、カロテノイド色素の活用が検討されている。しかしながらカロテノイド系色素は、油溶性または水溶性であり、化粧品や食用色素に用いた場合、水や溶剤への溶出やそれに伴う色落ちの問題も起こりやすいことが明らかになっている。そのため現状ではごく限られた用途でしか使用されていない。
【0003】
例えば、カロテノイドのエマルジョンや化粧品、食品用途への組成物、また、水可溶性のアプローチとして、糖との混合物が検討されている(特許文献1-3参照)。
【0004】
しかし、カロテノイドの着色剤としての展開において、単にカロテノイド色素単体では水や油に対する不溶性、安定性、分散性が乏しくまだ各々のアプリケーションにおける要求特性を充足させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2019-010106号広報
【文献】特開2009―185023号広報
【文献】特開2005-239953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、着色剤として使用した場合、安定性、分散性に優れたカロテノイド系色素組成物、および該色素組成物を含有した食品、化粧品、医薬品または農薬のコーティング材または印字マーカー、文房具、筆記具、印刷インキ、インクジェットインキ、金属インキ、塗料、プラスチック着色剤、カラートナー、または化学センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金属または金属化合物に、カロテノイド系色素が被覆、含浸、複合化、あるいは吸着された色素組成物が、非水溶性且つ、非油溶性であることを見出し、さらに該色素組成物が着色剤として多種の用途として展開が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]
金属または金属化合物に、カロテノイド系色素が被覆、含浸、複合化、あるいは吸着された非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[2]
前記カロテノイド系色素と、金属または金属化合物が質量比で、カロテノイド系色素:金属または金属化合物=0.1:99.9~90:10である1に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[3]
前記カロテノイド系色素が少なくともカロテン類、キサントフィル類、アポカルテノイド類から選ばれる一つ以上である1または2に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[4]
前記カロテン類が少なくともαカロテン、βカロテン、γカロテン、σカロテン、リコペンから選ばれる一つ以上である3に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[5]
前記キサントフィル類が少なくともルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、ビオラキサンチンから選ばれる一つ以上である3に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[6]
前記アポカルテノイド類が少なくともビキシン、ノビルキシン、クロシン、クロセチン、アブシシン酸、アポカロテナール、イオノン、ぺニリジンから選ばれる一つ以上である3に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[7]
前記金属化合物が金属水酸化物または金属酸化物である1または2に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[8]
前記金属または金属化合物の金属元素がアルミニウムである1または2または7に記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物。
[9]
1~8いずれか1つに記載の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物を含有することを特徴とする食品、化粧品、医薬品または農薬のコーティング材または印字マーカー、文房具、筆記具、印刷インキ、インクジェットインキ、金属インキ、塗料、プラスチック着色剤、カラートナー、または化学センサー。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、着色剤として、安定性、分散性に優れた色素組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の非水溶性且つ、非油溶性色素組成物について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
【0011】
(カロテノイド系色素)
本発明で使用するカロテノイド系色素は、黄、橙、赤色などを示す天然色素の一群である。カロテノイドは、化学合成、微生物発酵あるいは天然物より抽出し得られ、これまで750種類以上が同定されている。たとえばトマトやニンジン、フラミンゴやロブスターの示す色はカロテノイド色素による着色である。自然界におけるカロテノイドの生理作用は多岐にわたり、とくに光合成における補助集光作用、光保護作用や抗酸化作用等に重要な役割を果たす。また、動物の必須栄養素であるビタミンAの前駆体となるほか、近年ではがんや心臓病の予防効果も報告されている。
【0012】
カロテノイド系色素は一般に8個のイソプレン単位が結合して構成された化学式C40H56の基本骨格を持つ。テルペノイドの一種でもあり、テトラテルペンに分類される。カロテノイドの色素としての性質は、その分子骨格にそってのびる長い共役二重結合(ポリエン)によるものである。その共役系の長さによって、400から500nmの間に極大をもつ異なる吸収スペクトルを示すことにより、黄色、橙色、赤色の異なる色を呈する。また、カロテノイドのもつ高い抗酸化作用もこの共役二重結合に由来する。
【0013】
カロテノイドは、分子構造や精製経路により、カロテン類、キサントフィル類、アポカルテノイド類などに分類される。カロテノイド色素の用途としては、飲料やアイスクリームなどの冷菓、マーガリン、パン類、てんぷら粉など中性から酸性まで幅広い食品に活用可能である。また、口紅、リップクリーム、ネイルケア、ハンドクリーム、フェイスオイル、ヘアトリートメント、シャンプー、化粧水などの化粧品にも活用されている。
【0014】
(カロテン類)
カロテン類は炭素と水素のみを構成成分として含むカロテノイドであり、αカロテン、βカロテン、γカロテン、σカロテン、リコペン等のカロテノイド系色素がある。β-カロテンは、にんじんやほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれている鮮やかなオレンジ色のカロテノイド系色素であり、自然界に最も多く存在するプロビタミンAである。ビタミンAは脂溶性のビタミン類であることから、過剰摂取が心配される栄養素である。一方で、プロビタミンAは必要に応じてビタミンAへ変換されるため、β-カロテンの摂取では、ビタミンAの過剰症の心配がない。ビタミンAは目の健康を維持する効果に加え、免疫賦活作用や、強力な抗酸化力を発揮する。
リコピンは、トマト、すいかに多く含まれている赤色のカロテノイド系色素であり、その抗酸化作用はβ-カロテン以上である。
【0015】
(キサントフィル類)
キサントフィル類は、カロテン類の水素原子がヒドロキシ基やカルボニル基などの酸素官能基に置換した構造を有しており、アスタキサンチン、カンタキサンチン、β-クリプトキサンチン、カプサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ミキソキサントフィル、ゼアキサンチンなどが含まれる。
ゼアキサンチンは、パプリカや卵黄、ほうれん草などに多く含まれている赤橙色素であり、目の水晶体や、網膜の中心部に存在する。ゼアキサンチンは抗酸化作用を有しており、光から目を保護する効果がある。アスタキサンチンは、サケ、イクラ、エビなどに多く含まれている赤色のカロテノイド系色素で、網膜や脳などの栄養が行き届きにくい細部に働きかけ、抗酸化力を発揮する。
【0016】
(アポカルテノイド類)
アポカルテノイド類はカロテノイドオキシゲナーゼの触媒作用で、カロテノイドから変換されることにより生成する。アポカロテノイド類には、ビキシン、ノビルキシン、クロセチン、イオノン、ペリジニン、アポカロテナール、レチナール、レチノイン酸、レチノールや、アブシジン酸などがある。ビキシンは、ベニノキの種子に含まれ、アナトー色素の構成成分である。ビキシンは脂溶性であるが、アルカリ存在下ではメチルエステルが加水分解され、水溶性のジカルボン酸、ノルビキシンを与える。
クロセチンは、天然に存在するカロテノイドカルボン酸であり、クロッカスの花に含まる橙色色素である。 クロシンは、水溶性の黄色カロテノイド系色素であり、クロセチンが2分子のゲンチオビオースと縮合したジエステル構造を有する。クロシンとクロセチンは、サフラン色素やクチナシ色素の着色成分である。
【0017】
本発明に係るカロテノイド系色素としては、カロテノイド系全般の色素を使用することができるが、カロテン類、キサントフィル類、アポカルテノイド類が、発色、不溶性に関して好ましく、その中でもβカロテン、ビキシン、ノビルキシン、クロシン、クロセチンがより好ましい。
【0018】
(金属、金属化合物)
本発明で使用する金属および金属化合物は、カロテノイド系色素を不溶化するための担持作用を有するものであれば、如何なるものでも使用することができる。金属単体、金属酸化物、金属水酸化物等であり、特にアルミニウム、アルミニウム水酸化物が好適に使用できる。本発明で使用する金属または金属化合物中の金属元素としては、元素の周期表1~15族に属するもののうち、第1周期及び第2周期のものを除いたものが挙げられる。中でも鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、チタン等の金属元素の使用が可能であり、それらから選択される1種類以上の金属元素を使用することができる。特に食品、化粧品用途として人体に影響のない金属または金属化合物が好ましく、本発明の実施形態においては、特にアルミニウム、チタン、亜鉛が好ましい。本発明の実施形態において、カロテノイド系色素と金属または金属化合物の物理的吸着をより強固にするために、金属または金属化合物として金属の水酸化物や酸化物が好適に用いられ、特に水酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化亜鉛が好適に用いられる。塩化アルミニウムや4塩化チタン、塩化亜鉛等の塩化物にアルカリを添加し、水酸化アルミニウムや酸化チタン、水酸化亜鉛等のスラリーとしたものを使用したほうが、カロテノイド系色素との物理的吸着がより強くなり、好ましい。さらに、物理的吸着をより強固にするために、金属または金属化合物の表面にカロテノイド系色素が被覆されている状態がより好ましい。被覆の定義として、カロテノイド系色素が金属表面に一部または均一に存在し覆っている状態を示す。金属または金属化合物の粒子の粒径は、用途によって好適な粒径が異なり、金属または金属化合物の粒子の粒子サイズによって色相も異なる。一例として、食品、化粧品用途では100nm~20μm、その他用途では50~500nmが好ましい。
【0019】
(非水溶性且つ非油溶性色素組成物)
カロテノイド系色素単体は染料の形態であるため油溶性、または水溶性である。本発明では、強固に金属または金属化合物に、カロテノイド系色素が被覆、含浸、複合化、あるいは吸着された非水溶性且つ非油溶性色素組成物とすることで、水と溶剤に不溶となることを見出したものである。不溶化のメカニズムとしては、下記に一例を示しているが、これに限定されるものではない。
水酸化アルミニウムをはじめとした金属化合物は、水溶液中でのpH変化における粒子電荷の変化が大きい。そのため、金属化合物とカロテノイド系色素の水分散液のpHを調整することにより、金属化合物とカロテノイド系色素が電気的な相互作用により物理吸着し、複合体として析出、水と溶剤に不溶化した、と考えている。
【0020】
本発明によって得られた不溶化により、食品や化粧品用途に限定されていたカロテノイド系色素を、通常の顔料と同等の着色材として、食品、化粧品、医薬品または農薬のコーティング材または印字マーカー、文房具、筆記具、印刷インキ、インクジェットインキ、金属インキ、塗料、プラスチック着色剤、カラートナー、または化学センサー等の用途に使用できうる耐性まで向上することができた。また、不溶化に伴い、耐熱性、耐光性等の特性向上も期待できる。なお、本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物の用途は、上記の用途に限定されるものではない。
【0021】
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物として、カロテノイド系色素と金属または金属化合物の組成の質量比は、任意に設計が可能であり、カロテノイド系色素:金属または金属化合物=0.1:99.9~99.9:0.1の割合で設定して使用することができる。好ましくは、カロテノイド系色素:金属または金属化合物=0.1:99.9~90:10である。
【0022】
(非水溶性且つ非油溶性色素組成物の製造方法)
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物を製造する方法としては、溶媒中でカロテノイド系色素と金属または金属化合物を混合する方法が、最も均一な非水溶性且つ非油溶性色素組成物を製造できるため好ましい。
【0023】
溶媒中で各物質を混合する非水溶性且つ非油溶性色素組成物の製造方法としては、1)まず金属または金属化合物を酸または塩基の希釈水溶液に溶解し、溶液を作成する。2)一方でカロテノイド系色素または、カロテノイド系色素を含有する調剤を水に溶解、または分散させ、水溶液又は水分散液を作成する。3)次に上記2つの液を混合して混合液を作成する。4)さらに混合液にpH調整剤を添加しpHを調整することで非水溶性且つ非油溶性色素組成物を含む混合液を作成する。5)得られた非水溶性且つ非油溶性色素組成物を含む混合液を濾過、乾燥する方法が挙げられる。
【0024】
金属または金属化合物溶液とカロテノイド系色素含有水溶液、又は水分散液を混合する方法としては、金属または金属化合物溶液にカロテノイド系色素含有水溶液、又は水分散液を混合しても良いし、カロテノイド系色素を粉体のまま加えて混合しても良いし、その逆にカロテノイド系色素含有水溶液、又は水分散液に金属または金属化合物溶液を混合しても良いし、これら2つの液を少量ずつ混合しながら作成しても構わない。また、金属または金属化合物溶液は、金属または金属化合物が液中に完全溶解していてもよいし、金属または金属化合物が液中に一部のみ溶解し一部は液中に分散している状態でもよい。混合する温度は、室温でもよいし加熱してもよい。カロテノイド系色素の分解温度を考慮し、10~60℃で混合するのが好ましく、20~50℃がより好ましい。また、金属または金属化合物溶液とカロテノイド系色素含有水溶液、又は水分散液を混合する際のpHの範囲は、2.0~6.0が好ましく、3.0~5.0に調整することがさらに好ましい。
【0025】
pHを調整する際のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの水溶液が挙げられる。pH調整剤を添加したときの混合液のpHの範囲は、混合液中で金属または金属化合物と、カロテノイド系色素を効率的に吸着させ不溶化させる観点から6.0~8.5が好ましく、6.5~8.0に調整することがさらに好ましい。
【0026】
得られた非水溶性且つ非油溶性色素組成物を含む混合液を濾過、乾燥し、非水溶性且つ非油溶性色素組成物を得ることができる。混合液をヌッチェ等のろ過器でろ過したとき、ろ液に着色がないことから、カロテノイド系色素と金属または金属化合物が吸着していることを確認できる。また、得られた非水溶性且つ非油溶性色素組成物の水含有ウェットケーキは、室温や加熱、真空、減圧乾燥等により乾燥し、ドライの非水溶性且つ非油溶性色素組成物を得ることができる。乾燥方法、乾燥機は、通常の方法、装置であればいかなるものでも可能であり、限定されるものではない。
【0027】
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、上記の水が含有したウェットケーキであっても乾燥したドライの非水溶性且つ非油溶性色素組成物であっても、用途によって使い分けが可能である。水系の分散液、インキに使用する場合は、ウェットケーキをそのまま使用が可能であり、溶剤分散系で使用する場合は、水系から溶剤系に置換し、使用が可能である。ドライの非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、そのままでも使用可能であるし、水、または有機溶媒、樹脂溶液等に再分散させて使用することももちろん可能である。
【0028】
(安定化剤、添加剤)
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物に、他の有機顔料、無機顔料、染料、色素を任意の割合で混合することももちろん可能であり、所望の要求される色相を満たすことができる。
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物を更に耐光性、耐熱性を付与するために、安定化剤や添加剤を添加することもできる。
【0029】
安定化剤、添加剤は、金属水酸化物の水溶液または、カロテノイド系色素含有水溶液、又は水分散液各々または両方に添加することも可能であるし、作成された非水溶性且つ非油溶性色素組成物に添加しても良い。
【0030】
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、必要に応じて、他の樹脂、ゴム、添加剤、顔料や染料等と混合され最終的な食品、化粧品、医薬品または農薬のコーティング材または印字マーカー、文房具、筆記具、印刷インキ、インクジェットインキ、金属インキ、塗料、プラスチック着色剤、カラートナー、または化学センサー等に調整され使用される。以下、上記用途の一例を示す。
【0031】
(化粧品用途)
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、化粧品として使用できる。使用される化粧品には特に制限はなく、本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、様々なタイプの化粧品に使用することができる。
【0032】
前記化粧品は、機能を有効に発現することができる限り、いかなるタイプの化粧品であってもよい。前記化粧品は、ローション、クリームゲル、スプレー等であってよい。前記化粧品としては、洗顔料、メーク落とし、化粧水、美容液、パック、保護用乳液、保護用クリーム、美白化粧品、紫外線防止化粧品等のスキンケア化粧品、ファンデーション、白粉、化粧下地、口紅、アイメークアップ、頬紅、ネイルエナメル等のメークアップ化粧品、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、整髪剤、パーマネント・ウェーブ剤、染毛剤、育毛剤等のヘアケア化粧品、身体洗浄用化粧品、デオドラント化粧品、浴用剤等のボディケア化粧品などを挙げることができる。
【0033】
前記化粧品に使用される本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物の量は、化粧品の種類に応じて適宜設定することができる。前記化粧品中の含有量が通常0.1~99質量%の範囲であり、一般的には、0.1~10質量%の範囲となるような量であることが好ましい。一方で、着色が目的のメークアップ化粧品では、好ましくは5~80質量%の範囲、さらに好ましくは10~70質量%の範囲、最も好ましくは20~60質量%の範囲となるような量であることが好ましい。前記化粧品に含まれる本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物の量が前記範囲であると、着色性等の機能を有効に発現することができ、かつ化粧品に要求される機能も保持することができる。
【0034】
前記化粧品は、化粧品の種類に応じて、本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物の他、化粧品成分として許容可能な、担体、顔料、油、ステロール、アミノ酸、保湿剤、粉体、着色剤、pH調整剤、香料、精油、化粧品活性成分、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、セルフタンニング剤、賦形剤、充填剤、乳化剤、酸化防止剤、界面活性剤、キレート剤、ゲル化剤、濃厚剤、エモリエント剤、湿潤剤、保湿剤、鉱物、粘度調整剤、流動調整剤、角質溶解剤、レチノイド、ホルモン化合物、アルファヒドロキシ酸、アルファケト酸、抗マイコバクテリア剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗腫瘍剤、免疫系ブースト剤、免疫系抑制剤、抗アクネ剤、麻酔剤、消毒剤、防虫剤、皮膚冷却化合物、皮膚保護剤、皮膚浸透増強剤、剥脱剤(exfoliant)、潤滑剤、芳香剤、染色剤、脱色剤、色素沈着低下剤(hypopigmenting agent)、防腐剤、安定剤、医薬品、光安定化剤、及び球形粉末等を含むことができる。
【0035】
前記化粧品は、本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物およびその他の化粧品成分を混合することによって製造することができる。
また、本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物を含む化粧品は、該化粧品のタイプ等に応じて、通常の化粧品と同様に使用することができる。
【0036】
(インキ、塗料用途)
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、インキ、塗料として使用できる。ただし、インキ、塗料の用途、組成について記述するが、これらに限定されるものではない。
また本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物は、熱可塑性樹脂のみに分散させてもよいが、熱可塑性樹脂を必須成分として含有する印刷インキ用ビヒクルや塗料用ビヒクル等に分散させることも出来る。
【0037】
熱可塑性樹脂としては、たとえばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリアルキレンテレフタレートやポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂が分散用樹脂として使用できる。
【0038】
たとえば平版印刷用インキのビヒクルは、たとえばロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂を20~50(質量)%、アマニ油、桐油、大豆油等の動植物油を0~30(質量)%、n-パラフィン、イソパラフィン、ナフテン、α-オレフィン、アロマティック等の溶剤を10~60(質量)%、その他可溶化剤、ゲル化剤等の添加剤を数(質量)%の原料から製造される。
【0039】
またグラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキ用ビヒクルの場合は、たとえばロジン類、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース等から選ばれる一種以上の樹脂を10~50(質量)%、アルコール類、トルエン、n-ヘキサン、酢酸エチル、セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ等の溶剤30~80(質量)%の原料等から製造される。
【0040】
塗料用のビヒクルでは、たとえばアルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、水溶性樹脂等の樹脂20~80(質量)%、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、水等の溶剤10~60(質量)%の原料等から製造される。
【0041】
(プラスチック用途)
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物はプラスチック着色用途にも使用できる。着色プラスチック成形品を得る場合には、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやポリ塩化ビニル樹脂等の、射出成形やプレス成形等の熱成形用の熱可塑性樹脂(プラスチック)が用いられるが、本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物はこれらの樹脂に従来公知の方法で練り込んで使用することができる。
【0042】
(トナー用途)
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物はトナー着色用途にも使用できる。
静電荷像現像用トナーを得る場合には、たとえばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂等の常温で固形の皮膜形成性の熱可塑性樹脂が分散用樹脂として使用される。
【0043】
本発明の非水溶性且つ非油溶性色素組成物を構成成分として製造される静電荷像現像用トナーは、トナー中に磁性体を含有する1成分色磁性トナー(磁性一成分現像用カラートナー)、磁性体を含有しない非磁性1成分色カラートナー(非磁性一成分現像用カラートナー)、又は、キャリアーを混合した2成分色現像剤用カラートナー(二成分現像用カラートナー)として用いることができる。
【0044】
1成分色磁性トナーは、通常使用されているものと同様に、例えば着色剤、結着樹脂、磁性粉、電荷制御剤(CCA)や離型剤に代表されるその他添加剤等から構成出来る。
【0045】
静電荷像現像用トナー中に占める非水溶性且つ非油溶性色素組成物の使用量は特に限定されないが、結着樹脂100質量部に対し0.5~25質量部の割合で使用することが好ましく、着色剤自身の有する帯電性能を一層顕著ならしめる点から結着樹脂100質量部に対し4~10質量部であることが更に好ましい。
【0046】
静電荷像現像用トナーに用いられる結着樹脂としては、前記熱可塑性樹脂として例示した公知慣用のものがいずれも使用できるが、熱又は圧力の適用下で接着性を示す合成樹脂、天然樹脂、天然ゴム、合成ゴム、合成ワックス等がいずれも使用できる。
【0047】
(化学センサー用途)
カロテノイド系色素はpH変化により発色が変化するものがある。よって、その色が変化することを利用することで、pHを検出するための化学センサーとして使用することもできる。
【0048】
例えば、環境河川水、地下水、産業排水中に含まれるイオンを簡便に検出することができる。日常的な環境モニタリングや工場排水の管理等において、その手段として、大型の測定機器による機器分析を使用するには、時間、コスト、及び労力の点で問題が多いが、本発明のカロテノイド系色素組成物を用いることで、測定の現場で、簡便にpH変化を観測でき、また、非水溶性であることより、濾別等で回収できるため、水性媒体に色素を流出させることもなく工程管理に使用することも可能である。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
2Lビーカーに塩化アルミニウム(III)六水和物(関東化学株式会社製)46.4gをイオン交換水1000mLに溶解した。続いて、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製)より希釈調製した4.8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを4.0とし、水酸化アルミニウムのスラリーとした。この溶液に、アナトー色素粉末(関東化学株式会社製)4.50gを加え、室温で1時間攪拌後、4.8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを7.0とし、30分攪拌した。濾過後の固体を真空乾燥機(740mmHg)で30℃、14時間乾燥し、粉体(1)17.2gを得た。粉体(1)の収量から、仕込んだアナトー色素分を差し引いて求めた、粉体(1)中の水酸化アルミニウムとアナトー色素の組成比率は、質量比で、水酸化アルミニウム:アナトー色素色素=74:26だった。得られた粉体(1)はアナトー色素と同系の黄色を呈した。10mLバイヤルに粉体(1)10mgと水1.0gを添加後、5分間攪拌し、分散液(1)を作製した。分散液(1)をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に黄色く呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察された。初めに円状に黄色く呈色した部分は水に不溶化した粉体(1)、その後同心円状に透明の液が広がった部分は水であり、粉体(1)は水に不溶であったことが分かった。10mLバイヤルに粉体(1)10mgとアセトン1.0gを添加後、5分間攪拌し、分散液(2)を作製した。分散液(2)をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に黄色く呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察された。初めに円状に黄色く呈色した部分はアセトンに不溶化した粉体(1)、その後同心円状に透明の液が広がった部分はアセトンであり、粉体(1)は溶剤に不溶であったことが分かった。
【0051】
(実施例2)
2Lビーカーに塩化アルミニウム(III)六水和物(関東化学株式会社製)46.4gをイオン交換水1000mLに溶解した。続いて、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製)より希釈調製した4.8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを4.0とし、水酸化アルミニウムのスラリーとした。この溶液に、クチナシ黄色素粉末(クロシンP1900、クチナシ黄色素45.0%、デキストリン55.0%、ダイワ化成株式会社製)10gを加え、室温で1時間攪拌後、4.8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを7.0とし、30分攪拌した。濾過後の固体を真空乾燥機(740mmHg)で30℃、14時間乾燥し、粉体(2)19.5gを得た。粉体(2)の収量から、仕込んだクチナシ黄色素分を差し引いて求めた、粉体(2)中の水酸化アルミニウムとクチナシ色素の組成比率は、質量比で、水酸化アルミニウム:クチナシ色素=77:23だった。得られた粉体(2)はクチナシ黄色素と同系の黄色を呈した。10mLバイヤルに粉体(2)10mgと水1.0gを添加後、5分間攪拌し、分散液(3)を作製した。分散液(3)をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に黄色く呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察された。初めに円状に黄色く呈色した部分は水に不溶化した粉体(2)、その後同心円状に透明の液が広がった部分は水であり、粉体(2)は水に不溶であったことが分かった。10mLバイヤルに粉体(2)10mgとアセトン1.0gを添加後、5分間攪拌し、分散液(4)を作製した。分散液(4)をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に黄色く呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察された。初めに円状に黄色く呈色した部分はアセトンに不溶化した粉体(2)、その後同心円状に透明の液が広がった部分はアセトンであり、粉体(2)は溶剤に不溶であったことが分かった。
【0052】
<比較例1>
10mLバイアルにアナトー色素粉末(関東化学株式会社製)10mgと水1.0g添加後、5分間攪拌し、分散液(5)を作製した。分散液(5) をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(5)において、アナトー色素が水に溶解していることを示している。
【0053】
<比較例2>
10mLバイヤルにアナトー色素粉末10mgとアセトン1.0gを添加後、5分間攪拌し、分散液(6)を作製した。分散液(6)をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(6)において、アナトー色素が溶剤に溶解していることを示している。
【0054】
<比較例3>
10mLバイアルにアナトー色素粉末(関東化学株式会社製)2.6mgと、実施例1と同様の方法で色素を加えずに作製した水酸化アルミニウム7.4mg、水1.0g添加後、5分間攪拌し、分散液(7)を作製した。分散液(7) をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(7)において、アナトー色素が水に溶解していることを示している。
【0055】
<比較例4>
10mLバイアルにアナトー色素粉末(関東化学株式会社製)2.6mgと、実施例1と同様の方法で色素を加えずに作製した水酸化アルミニウム7.4mg、アセトン1.0g添加後、5分間攪拌し、分散液(8)を作製した。分散液(8) をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(8)において、アナトー色素が溶剤に溶解していることを示している。
【0056】
<比較例5>
10mLバイアルにクチナシ黄色素粉末(クロシンP1900、クチナシ黄色素45.0%、デキストリン55.0%、ダイワ化成株式会社製)10mgと水1.0g添加後、5分間攪拌し、分散液(9)を作製した。分散液(9) をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(9)において、クチナシ黄色素が水に溶解していることを示している。
【0057】
<比較例6>
10mLバイヤルにクチナシ黄色素粉末(クロシンP1900、クチナシ黄色素45.0%、デキストリン55.0%、ダイワ化成株式会社製)10mgとアセトン1.0gを添加後、5分間攪拌し、分散液(10)を作製した。分散液(10)をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(10)において、クチナシ黄色素が溶剤に溶解していることを示している。
【0058】
<比較例7>
10mLバイアルにクチナシ黄色素粉末(クロシンP1900、クチナシ黄色素45.0%、デキストリン55.0%、ダイワ化成株式会社製)5.1mgと、実施例1と同様の方法で色素を加えずに作製した水酸化アルミニウム7.7mg、水1.0g添加後、5分間攪拌し、分散液(11)を作製した。分散液(11) をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(11)において、クチナシ黄色素が水に溶解していることを示している。
【0059】
<比較例8>
10mLバイアルにクチナシ黄色素粉末(クロシンP1900、クチナシ黄色素45.0%、デキストリン55.0%、ダイワ化成株式会社製)5.1mgと、実施例1と同様の方法で色素を加えずに作製した水酸化アルミニウム7.7mg、アセトン1.0g添加後、5分間攪拌し、分散液(12)を作製した。分散液(12) をろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分を中心に同心円状に黄色の液が均一に広がっていく様子が観察された。これは分散液(12)において、クチナシ黄色素が溶剤に溶解していることを示している。