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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】低温での選択的タングステン堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/285 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/285 C
H01L21/90 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022542965
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021039816
(87)【国際公開番号】W WO2022006225
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】16/917,049
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】シュ イ
(72)【発明者】
【氏名】フ ユーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】レイ ユ
(72)【発明者】
【氏名】大東 和也
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ダ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン ジャジエ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069313(JP,A)
【文献】特開2011-029554(JP,A)
【文献】特開昭63-065076(JP,A)
【文献】米国特許第08900999(US,B1)
【文献】特開平06-196392(JP,A)
【文献】特開2017-008412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/285
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステンを選択的に堆積させる方法であって、前記方法が、
金属を含む第1の材料面および低k誘電体を含む第2の材料面を含む基板を水素ガスの連続流にさらすこと、ならびに
前記基板を水素ガスの前記連続流にさらしている間に前記基板をタングステン前駆体のパルス流にさらして、前記基板上にタングステン層を堆積させることであって、前記第1の材料面に第1の厚さのタングステンを堆積させ、前記第2の材料面に第2の厚さのタングステンを堆積させること
を含み、前記第1の厚さと前記第2の厚さの比が約200:1以上であり、
前記タングステン前駆体が、反応性タングステン種およびキャリアガス、または、反応性タングステン錯体およびキャリアガスを含む、
方法。
【請求項2】
前記基板が約350℃以下の温度に維持される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
水素ガスの前記流れと前記タングステン前駆体の前記流れの比が約500:1以上である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記タングステン層が、約1nm以下の2乗平均平方根粗さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記タングステン層の応力が約1000MPa以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記タングステン前駆体がWF 6 を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タングステン層が、約10 19 原子/cm 3 以下のフッ素濃度を有する、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に、相互接続を形成する改良された方法に関する。本開示の追加の実施形態は、低温でタングステンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
100nmよりも小さな特徴を高い信頼性で形成することは、半導体デバイスの次世代超大規模集積(VLSI)および極超大規模集積(ULSI)のための鍵となる技術的課題の1つである。しかしながら、回路技術の限界が押し広げられるにつれて、VLSIおよびULSI技術の寸法縮小は、処理能力に追加の要求を課した。基板上にゲート構造体を高い信頼性で形成することは、VLSIおよびULSIの成功にとって、ならびに回路密度ならびに個々の基板およびダイの品質を高めるための不断の努力にとって重要である。
【0003】
次世代デバイスの回路密度が高まるにつれて、ビア、トレンチ、コンタクト、ゲート構造体および他の特徴などの相互接続の幅ならびにそれらの間の誘電体材料の幅は45nmおよび32nm寸法以下に低下するが、誘電体層の厚さは実質的に一定のままであり、その結果、特徴のアスペクト比は増大する。次世代デバイスおよび構造体の製造を可能にするため、トランジスタの性能を向上させる目的で、半導体チップの3次元(3D)スタッキングがしばしば利用される。トランジスタを従来の2次元の代わりに3次元に配置することにより、集積回路(IC)内に多数のトランジスタを、互いに非常に接近させて配置することができる。半導体チップの3Dスタッキングは配線長を短くし、配線遅延を低く保つ。半導体チップの3Dスタッキングの製造では、多数の相互接続構造体をその上に配して、高密度の縦型トランジスタデバイスを形成することを可能にするために、階段状構造がしばしば利用される。
【0004】
したがって、集積回路の製造コスト、メモリセルサイズおよび電力消費を低減させるため、相互接続を形成する改良された方法が引き続き求められている。
【0005】
化学気相堆積(CVD)によって堆積させたタングステン膜は、比較的に大きな応力値および粗さを有することが知られている。さらに、六フッ化タングステンを使用して堆積させたタングステン膜は、比較的に高いレベルのフッ素不純物を有することが知られている。この比較的に高いレベルの応力、粗さおよびフッ素不純物はしばしば、限定はされないが、ウエハのそり、構造変形、間隙充填内のボイドおよびシーム、ならびに界面におけるフッ素攻撃損傷を含む、問題を引き起こす。
【0006】
これらの問題を解決するために開発された方法の一部は、原子層堆積(ALD)に依拠している。しかしながら、ALD法は通常、普通は400℃以上の比較的に高い温度で実行される)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、タングステンを堆積させる方法であって、小さな粗さ、小さな応力および少ない不純物をもたらし、加えてより低い温度で実行される方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、タングステンを堆積させる方法を対象としている。この方法は、基板を水素ガスの流れにさらすこと、および基板を水素ガスの流れにさらしている間に基板をタングステン前駆体の流れにさらして、基板上にタングステン層を堆積させることを含む。基板は約350℃以下の温度に維持される。
【0009】
本開示の追加の実施形態は、タングステンを堆積させる方法を対象としている。この方法は、基板を水素ガスの流れにさらすこと、および基板を水素ガスの流れにさらしている間に基板をタングステン前駆体の流れにさらすことを含む。水素ガスの流れとタングステン前駆体の流れの比は約500:1以上である。
【0010】
本開示の追加の実施形態は、タングステンを選択的に堆積させる方法を対象としている。この方法は、第1の材料面および第2の材料面を含む基板を水素ガスの流れにさらすこと、ならびに基板を水素ガスの流れにさらしている間に基板をタングステン前駆体の流れにさらして、第1の材料面に第1の厚さのタングステンを堆積させ、第2の材料面に第2の厚さのタングステンを堆積させることを含む。第1の厚さと第2の厚さの比は約200:1以上である。
【0011】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することによって、上に概要を簡単に示した開示がより具体的に説明されていることがある。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。これは、本開示が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】1つまたは複数の実施形態による、相互接続を形成する方法を示す図である。
図2A】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図2B】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図2C】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図2D】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図2E】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図2F】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図2G】1つまたは複数の実施形態による、基板上に形成された、図1の方法の異なる段階の相互接続の側断面図である。
図3】1つまたは複数の実施形態による、図1の方法を実行することができるマルチチャンバ処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。特段の言及がなくとも、1つの実施形態の要素および特徴を、別の実施形態に有益に組み込むことが企図される。
【0014】
しかしながら、添付図面は、本発明の例示的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。これは、本発明が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【0015】
本開示の例示的ないくつかの実施形態の説明に進む前に、本開示は、以下の説明に記載された構造またはプロセスステップの詳細だけに限定されないことを理解すべきである。本開示は、他の実施形態を含むことができ、さまざまなやり方で実施または実行することができる。
【0016】
本明細書および添付の特許請求項で使用されているとき、用語「基板」は、その上でプロセスが実行される表面または表面の部分を指す。さらに、文脈からそうでないことが明らかである場合を除き、基板への論及が基板の一部分だけへの論及でもありうることを当業者は理解するであろう。さらに、基板上への堆積への論及は、裸の基板と、1つまたは複数の膜または特徴がその上に堆積したまたは形成された基板の両方を意味しうる。
【0017】
本明細書で使用されているとき、「基板」は、製造プロセス中にその上で膜処理が実行される任意の基板または基板上に形成された任意の材料面を指す。例えば、その上で処理を実行することができる基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイヤなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、金属合金および他の導電性材料などの他の任意の材料を含む。限定はされないが基板は半導体ウエハを含む。基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、eビーム硬化および/またはベークするために、基板を前処理プロセスにかけることができる。基板自体の表面でじかに膜処理を実行することに加えて、本開示では、後により詳細に開示するように、基板上に形成された下層上で、開示されたいずれかの膜処理ステップを実行することもでき、用語「基板表面」は、文脈が指示するそのような下層を含むことが意図されている。したがって、例えば、基板表面に膜/層または部分膜/層を堆積させた場合には、新たに堆積させたその膜/層の露出した表面が基板表面となる。
【0018】
図1は、基板上に相互接続を形成する方法100の一実施形態を示す流れ図である。図2A~2Gは、図1の方法100の前の基板および図1の方法100の異なる段階の基板の断面図を示している。
【0019】
図2Aは、方法100を始める前の相互接続200の断面図を示している。一般に、相互接続200は、デュアルダマシン構造体などの相互接続構造体を形成する目的に利用することができる多数の膜層を含む。基板202上に膜スタック201が形成されている。スタック201は誘電体層204を含む。誘電体層204は、図2Aに示されているように、基板202上に配されており、誘電体層204内に形成された、誘電体層204と境界を接する導電層206を有する。一例では、誘電体層204を、酸化ケイ素などの1種または数種の絶縁材料から形成されたものとすることができる。一例では、導電層206を、銅などの導電層から形成されたものとすることができる。
【0020】
ブロック102で、図2Bに示されているように、基板202上に誘電体バリア層208を堆積させる。例えば、示されているように、誘電体層204と導電層206の両層の上に誘電体バリア層208を堆積させる。したがって、誘電体バリア層208は、誘電体層204および導電層206の上に、中断のない均一な層を形成することができる。誘電体バリア層208は低k材料から形成することができる。例えば、誘電体バリア層208は、炭素を含むケイ素層(SiC)、窒素がドープされた炭素を含むケイ素層(SiCN)、窒化ケイ素層、金属窒化物または金属酸化物(例えばAlN、AlOx、AlON)などから形成することができる。
【0021】
ブロック104で、図2Cに示されているように、基板202上に誘電体層210を堆積させる。例えば、示されているように、誘電体バリア層208の上に誘電体層210を堆積させる。誘電体層210は、誘電体層204と実質的に同様とすることができる。一実施形態では、誘電体層204と同じ材料から誘電体層210を形成することができる。別の実施形態では、誘電体層204とは異なるが同じ低k属性を維持している材料から、誘電体層210を形成することができる。
【0022】
ブロック106で、図2Dに示されているように、相互接続200に1つまたは複数のビア212を形成して導電層206を露出させる。例えば、誘電体層210と誘電体バリア層208の両方を貫いてビア212を形成して、その下の導電層206を露出させることができる。ビア212は一般に幅W1を有する。いくつかの実施形態では、それぞれのビア212の幅が、そのビア212の全長にわたって均一である。他の実施形態では、それぞれのビア212の幅を、ビア212の頂部からビア212の底部へ徐々に変化させることができる。
【0023】
ブロック108で、図2Eに示されているように、相互接続200に1つまたは複数のトレンチ214を形成する。1つまたは複数のトレンチ214は誘電体層210に形成することができる。トレンチ214は、ビア212の少なくとも一部分を広げるように構成されている。いくつかの実施形態では、ブロック106の前にブロック108を実行することができる。すなわち、ビア212の前にトレンチ214を形成することができる。説明している実施形態などの他の実施形態では、ビア212の形成に続いてトレンチ214が形成される。
【0024】
伝統的な製造スキームでは、ビア212およびトレンチ214に金属材料を充填して相互接続200を形成する「充填プロセス」が実行される。例えば、銅などの金属を使用して、ビア212とトレンチ214の両方に充填することができる。ビア212とトレンチ214の両方に同じ材料を充填すると、相互接続抵抗が大きくなり、このことが、半導体チップのRC遅延およびIR降下につながる可能性があることが分かっている。
【0025】
チップ上の相互接続抵抗は、RC遅延およびIR降下による電力管理の結果としてチップ速度に影響を与える。デザインルールは縮小し続けているため、相互接続抵抗の低減はますます重要な優先事項となっている。特に、ビア(例えばビア212)抵抗は、短い相互接続線、40nm未満のより小さいビア寸法、およびビアスタックとの多数の層ルーティングによって、抵抗全体のかなりの部分を占める。すなわち、ビアの抵抗は相互接続線の抵抗よりも大きい。したがって、チップ性能を達成するために、ビア抵抗を低減させることがますます重要になっている。
【0026】
従来のビア形成は、プロセスインテグレーションにおいて使用される材料のため、大きな抵抗につながる。ブロック108の後、従来の方法では、金属バリア、ライナおよびバルク充填金属によってビア充填が完了となる。金属バリアおよびライナは、信頼性および間隙充填のロバストネスのために使用される。しかしながら、バリアおよびライナ層に使用される材料は、それらの高い抵抗率の結果として、ビアの底部に堆積させたときに、大きなビア抵抗につながる可能性がある。一例として、従来のデュアルダマシン銅充填は、(物理的気相堆積(PVD)プロセスによって堆積させたTaNバリア層と、バリア層上に堆積させたTa金属ライナ層(例えばPVDまたは化学気相堆積(CVD)プロセス)と、金属ライナ層上に堆積させたCuシード/めっき層とからなることがある。バリアおよびライナの重みは、ビア寸法に応じて、ビア抵抗全体の約50%~90%超を占める。したがって、金属バリアおよびライナ層を除去することがビア抵抗を低減させる助けとなることがある。しかしながら、同時に、バリアおよびライナ層を排除することの結果として潜在的なリスクが生じることがある。例えば、相互接続は依然として、誘電破壊および金属エレクトロマイグレーションの回避を含む信頼性関連事項を満たす必要があるであろう。さらに、ビア抵抗と線抵抗の両方を改良するために、デュアルダマシン構造体内の適当な金属充填プロセスインテグレーションが必要であることがある。
【0027】
そのため、以下の議論では、より小さなビア抵抗を示し、同時にインテグレーション要件および信頼性要件を満たす選択的充填手法(例えばW充填手法)を提案する。その下の金属層(例えばCu、W、Coなど)および周囲の誘電体(例えば低k誘電体、酸化物など)に損傷を与えることなくビアの底部から金属材料(例えばW)を選択的に成長させるための界面処理(少なくともブロック110に関連して後に論じる)および充填プロセス(少なくともブロック118に関連して後に論じる)が展開される。その結果として、以下の議論は、ビア抵抗を小さくするための1つまたは複数の技法を提供する。ビア充填に続いてダマシン充填を実行する。このダマシン充填は、等価線抵抗を形成するのを助ける。
【0028】
改良された方法100は、選択的金属ビア充填を使用して、抵抗を低減させ、信頼性要件(側壁誘電体204および露出した導電層206との相互作用)および線抵抗要件を満たすことを含む。ブロック110で、相互接続200に対して1つまたは複数の前処理プロセスを実行して、選択的金属ビア212充填を受けることに備えた相互接続200の準備をする。例えば、ブロック110はサブブロック112~116を含むことができる。
【0029】
サブブロック112で、相互接続200を、ビア212の中の導電層206の露出部分に対する第1の処理プロセスにかける。例えば、第1の前処理プロセスを使用して、ビア212に第1の金属を堆積させるときのボトムアップ成長に備えた導電層206の露出部分の準備をする。遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用して相互接続を前処理することができる。相互接続200を前処理チャンバに移すことができ、そこで相互接続200を洗浄プロセスにかける。例えば、相互接続を、H2/Ar混合物を使用した、約250~350℃の間の温度および約1~10トルの温度の洗浄プロセスにかけることができる。他の実施形態では、金属スパッタリングのない酸化物ノックオフ(knock-off)を容易にするため、わずかなバイアスエネルギーを適用することができる。例えば、前処理チャンバに0~200Wのエネルギーを適用することができる。
【0030】
サブブロック114で、相互接続200を第2の前処理プロセスにかける。望ましくない側壁成長を最小化するため、この第2の処理プロセスを使用して、ビアの側壁216をパッシベートする。上述のとおり、誘電体層204は、低k材料から形成されたものとすることができる。そのため、この第2の前処理プロセスは、誘電体層204の表面ポアをシールすること、およびソーク前駆体(soaking precursor)から誘電体層204を保護することを助ける。一実施形態では、この第2の前処理プロセスを、高温(例えば200~400℃)での熱前駆体ソーク(thermal precursor soak)とすることができる。いくつかの例では、使用することができる前駆体が、テトラメチルシラン(TMS)、ジメチルアミノトリメチルシラン(DMATMS)などである。一実施形態では、サブブロック114での第2の前処理プロセスがさらに、相互接続200を紫外線(UV)ベークプロセスにかけることにより、この前駆体ソークプロセスにUVエネルギーを追加することを含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ブロック110がサブブロック116を含むことができる。ブロック116では、相互接続200を、任意選択の後処理洗浄にかける。例えば、この任意選択の前処理洗浄は、ビア212の底部で酸化または残留物成長が起こる場合に使用することができる。この任意選択の前処理洗浄では、過酸化物(例えばH22)を含むアルカリpH調整したケミストリを使用して、残留物をわずかに剥ぎ取る。
【0032】
前処理プロセス(ブロック110)に続いて、ブロック118で、図2Fに示されているように、ビア212に金属220を選択的に充填する。例えば、ビア212の中に金属220材料を、ビア212がトレンチ214と出合う点222まで堆積させる。使用する金属220は、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの適当な任意の金属材料とすることができる。金属220の主な要件は、金属220が、トレンチ214の中に堆積させる後続の金属とは異なる材料であることである。ビアの中に金属220を選択的に堆積させることは、ビア抵抗を低減させること、ならびに信頼性要件および線抵抗要件を満たすことを助ける。
【0033】
金属220は、化学気相堆積(CVD)プロセスを使用して堆積させることができる。このCVDプロセスは、高温(例えば350~500℃)でのH2前ソークを含むことができる。このCVDプロセスは、約200~500℃の温度で、金属を含む前駆体(例えばWF6)の小さな流量(例えば2~100sccm)を使用して、非常に幅広いH2周囲環境で実行することができる。この流量、圧力および温度の組合せは、堆積させたときに金属220のモルホロジーを低減させるのを助ける。最初の1~3nmの核生成のため、金属220材料を堆積させる前に従来の核生成層を適用することができる。ビア212に均一に充填するために、全体の成長量が、プロセス時間、圧力および前駆体流量によって制御される。
【0034】
ブロック120で、図2Gに示されているように、それぞれのトレンチ214の中に第2の金属224を堆積させる。例えば、第2の金属224は、点222からトレンチ214の頂部まで堆積させる。使用する第2の金属224は、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの適当な任意の金属材料とすることができる。第2の金属224の主な要件は、第2の金属224が、ビア212の中に堆積させた第1の金属220材料とは異なる材料であることである。第2の金属224は、CVDプロセスを使用して堆積させることができる。単一の金属材料の従来の金属充填を、ビア212の中に第1の金属220を堆積させることおよびトレンチ214の中に第2の金属224を堆積させること含む2ステッププロセスに分けることは、ビア212の抵抗を低減させるのを助ける。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2の金属224を堆積させる前に、第1の金属220の上にバリアシード層(図示せず)を堆積させることができる。例えば、第2の金属224が銅である場合には、このバリアシード層を銅のバリアシード層とすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法100が、第2の金属224を堆積させる前に実行する任意選択のブロック119を含むことができる。ブロック119では、第2の金属224の前に、相互接続200を前処理プロセスにかけることができる。この前処理プロセスを使用して、第1の金属220の頂面に形成されていることがある酸化物を除去することができる。例えば、相互接続200を、サブブロック112と同様のプロセスにかけることができる。
【0037】
図3は、マルチチャンバ処理システム300を示している。処理システム300は、ロードロックチャンバ302、304、ロボット306、移送チャンバ308、処理チャンバ310、312、314、316、318、328、およびコントローラ320を含むことができる。ロードロックチャンバ302、304は、処理システム300内および処理システム300外に基板(図示せず)を移送することを可能にする。ロードロックチャンバ302、304は、処理システム300に導入された基板をポンプダウンして真空シールを維持することができる。ロボット306は、ロードロックチャンバ302、304と処理チャンバ310、312、314、316、318および328との間で基板を移送することができる。ロボット306はさらに、ロードロックチャンバ302、304と移送チャンバ308の間で基板を移送することができる。
【0038】
それぞれの処理チャンバ310、312、314、316、318および328は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、PVD、エッチング、前洗浄、ガス抜き、加熱、配向または他の基板プロセスなどのいくつかの基板操作を実行するための装備を有することができる。さらに、それぞれの処理チャンバ310、312、314、316、318および328は、誘電体バリア層を堆積させ、誘電体層を堆積させ、このスタックに1つまたは複数のビアおよびトレンチを形成し、1つまたは複数の前洗浄プロセスを実行し、第1の金属材料層を堆積させ、第2の金属材料層を堆積させるための装備を有することができる。
【0039】
コントローラ320は、図1に開示された方法などの処理システム300の全ての態様を操作するように構成されたものとすることができる。例えば、コントローラ320を、基板上に相互接続を形成する方法を制御するように構成されたものとすることができる。コントローラ320は、基板処理の制御を容易にするために処理システムのさまざまな構成要素に結合されたプログラム可能な中央処理ユニット(CPU)322を含み、プログラム可能なCPU322は、電源、クロック、キャッシュ、入力/出力(I/O)回路およびライナなどの、メモリ324および大容量記憶装置、入力制御ユニットならびにディスプレイユニット(図示せず)とともに動作可能である。コントローラ320はさらに、前駆体、プロセスガスおよびパージガス流を監視するセンサを含む処理システム300内のセンサによって基板処理を監視するためのハードウェアを含む。基板温度、チャンバ気圧などのシステムパラメータを測定する他のセンサがコントローラ320に情報を提供することもできる。
【0040】
上で説明した処理システム300の制御を容易にするため、CPU322を、プラグラム可能な論理制御装置(PLC)など、工業セッティングで使用することができる、さまざまなチャンバおよびサブプロセッサを制御するための任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つとすることができる。メモリ324はCPU322に結合されており、メモリ324は非一過性であり、メモリ324を、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスクまたは他の形態のディジタルストレージなどの容易に入手可能なローカルまたはリモートメモリのうちの1つまたは複数とすることができる。支援回路326は、プロセッサを従来のやり方で支援するためにCPU322に結合されている。メモリ324には一般に、荷電種生成、加熱および他のプロセスが、通常はソフトウェアルーチンとして記憶されている。このソフトウェアルーチンを、CPU322が制御しているハードウェアから遠隔して置かれた第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行することもできる。
【0041】
メモリ324は、CPU322によって実行されたときに処理システム300の操作を容易にする命令を含むコンピュータ可読ストレージ媒体の形態をとる。メモリ324の中の命令は、本開示の方法を実装したプログラムなどのプログラム製品の形態をとる。このプログラムコードは、異なる多数のプログラミング言語のうちのいずれか1つに従うものとすることができる。一例では、コンピュータシステムとともに使用するためのコンピュータ可読ストレージ媒体上に記憶されたプログラム製品として本開示を実施することができる。プログラム製品の(1つまたは複数の)プログラムは、(本明細書に記載された方法を含む)実施形態の機能を定義する。例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体には、限定はされないが、(i)その上に情報が恒久的に記憶された書き込み不能なストレージ媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読み出し可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内のリードオンリーメモリデバイス)、および(ii)変更可能な情報がその上に記憶された書き込み可能なストレージ媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピーディスクもしくはハードディスクドライブまたは任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)が含まれる。本明細書に記載された方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持しているとき、このようなコンピュータ可読ストレージ媒体は本開示の実施形態である。
【0042】
上で論じた方法は、処理システム300だけに結びつけられているわけではない。例えば、ブロック120またはサブブロック114などの1つまたは複数のブロックを、処理システム300の外部の処理チャンバで実行することもできる。
【0043】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、タングステンを堆積させる低温法を対象としている。本開示のいくつかの実施形態は、誘電体表面の上の金属表面にタングステンを選択的に堆積させる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態は、タングステンを堆積させる方法であって、より小さな粗さ、より小さな応力および/またはより少ない不純物を有する膜を提供する方法を有利に提供する。本開示のいくつかの実施形態は、タングステンを堆積させる方法であって、小さなサーマルバジェットを必要とする用途を容易にするためにより低い温度で実行される方法を提供する。
【0045】
本明細書には、タングステンを堆積させる方法が開示されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された方法が、上で説明したブロック118に対応する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された方法によって堆積させたタングステンが、上で説明した金属220に対応する。
【0046】
例示的な方法は、基板を水素ガス(H2)の流れにさらすこと、および基板を水素ガスの流れにさらしている間に基板をタングステン前駆体の流れにさらすことを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、水素ガスの流れとタングステン前駆体の流れがともに連続流である。この水素ガスとタングステン前駆体の両方の連続流は、化学気相堆積(CVD)プロセスに対応することを当業者は理解すべきである。いくつかの実施形態では、タングステン前駆体の流れがパルス流であり、水素ガスの流れが連続流である。このタングステン前駆体のパルス流および水素ガスの連続流は、パルスCVDプロセスに対応することを当業者は理解すべきである。
【0048】
上で説明したとおり、いくつかの実施形態では、この方法を、水素(H2)環境で基板を熱ソークすることから始めることができる。いくつかの実施形態では、この水素環境での熱ソークを、タングステンを堆積させた後に実行することができる。いくつかの実施形態では、この方法が、第1の量のタングステンを堆積させること、熱ソークを実行すること、および第2の量のタングステンを堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、この熱ソークが、約250℃~約600℃の範囲、約300℃~約500℃の範囲、約300℃~約400℃の範囲、または約400℃~約500℃の範囲の温度で実行される。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された方法が、比較的に低い温度で実行される。上で説明したとおり、いくつかの実施形態では、基板が、約200℃~約500℃の範囲の温度に維持される。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、基板が、約200℃~約400℃の範囲、約250℃~約375℃の範囲、約300℃~約350℃の範囲、または約250℃~約350℃の範囲の温度に維持される。いくつかの実施形態では、基板が、約400℃以下、約375℃以下、約350℃以下、約325℃以下、または約300℃以下の温度に維持される。
【0050】
いくつかの実施形態では、水素ガスおよび/またはタングステン前駆体の流量が制御される。いくつかの実施形態では、水素ガスの流量が、約2000sccm~約20000sccmの範囲、約2000sccm~約18000sccmの範囲、約5000sccm~約20000sccmの範囲、または約10000sccm~約20000sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、タングステン前駆体の流量が、約500sccm以下、約200sccm以下、約100sccm以下、または約50sccm以下である。
【0051】
いくつかの実施形態では、水素ガスの流量とタングステン前駆体の流量の間の比が制御される。いくつかの実施形態では、水素ガスの流量とタングステン前駆体の流量の比が、約100:1以上、約200:1以上、約500:1以上、または約1,000:1以上、約5,000:1以上、または約10,000:1以上である。理論によって拘束されるわけではないが、タングステン膜での有益な結果(小さな粗さ、小さな応力など)は、処理チャンバ内に過剰の水素が存在することによると考えられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、処理チャンバの圧力が制御される。いくつかの実施形態では、チャンバの圧力が、約5トル~約50トルの範囲、約10トル~約50トルの範囲、約20トル~約50トルの範囲、約5トル~約20トルの範囲、または約5トル~約10トルの範囲に維持される。いくつかの実施形態では、チャンバの圧力が約50トル以下に維持される。
【0053】
タングステン前駆体は、タングステン膜を堆積させるのに適した任意の前駆体とすることができる。いくつかの実施形態では、タングステン前駆体が、反応性タングステン種およびキャリアガスを含む。いくつかの実施形態では、タングステン前駆体が、反応性タングステン錯体およびキャリアガスを含む。いくつかの実施形態では、タングステン前駆体が、WF6、WxCl5x、WCl6またはW(CO)6のうちの1つまたは複数を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、タングステン前駆体がWF6を含み、または事実上WF6からなる。この点に関して使用されるとき、タングステン前駆体が事実上WF6からなるのは、キャリアガスを除いてモルベースで、反応性タングステン種の約95%以上、約98%以上、約99%以上または約99.5%以上がWF6であるときである。
【0055】
いくつかの実施形態では、開示された方法によって堆積させたタングステンが、比較的に低いレベルの不純物を有する。タングステン前駆体がWF6を含む実施形態では、堆積させたタングステンが、約1020原子/cm3以下、約5×1019原子/cm3以下、約1019原子/cm3以下、約5×1018原子/cm3以下、または約1018原子/cm3以下のフッ素含有量を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、堆積させたタングステンの表面粗さが比較的に小さい。いくつかの実施形態では、堆積させたタングステンの2乗平均平方根粗さ(root mean squared roughness)が、約2nm以下、約1.5nm以下、約1nm以下、または約0.5nm以下である。
【0057】
いくつかの実施形態では、堆積させたタングステンの応力が比較的に小さい。いくつかの実施形態では、堆積させたタングステンの応力が、約2000MPa以下、約1500MPa以下、約1200MPa以下、約1000MPa以下、約800MPa以下、約500MPa以下、または約200MPa以下である。
【0058】
いくつかの実施形態では、基板が、露出した多数の材料を含む。いくつかの実施形態では、基板が、第1の材料面および第2の材料面を含む。上で識別したとおり、第1の材料面は金属または金属合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、この金属が、銅、タングステン、コバルトまたはルテニウムのうちの1つまたは複数から選択される。さらに、第2の材料面は、低k誘電体、酸化物、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法が、第2の材料面よりも第1の材料面にタングステンを選択的に堆積させる。別の言い方をすると、いくつかの実施形態では、第1の材料面に第1の厚さのタングステンを堆積させ、第2の材料面に第2の厚さのタングステンを堆積させる。第1の厚さは第2の厚さよりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の厚さと第2の厚さの比が、約100:1以上、約200:1以上、約250:1以上、約500:1以上、約700:1以上、または約1,000:1以上である。
【0060】
以上の説明は、本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的範囲を逸脱しない範囲で、本発明の他の実施形態および追加の実施形態が考案される可能性があり、本発明の範囲は、添付の特許請求項によって決定される。
【0061】
本明細書の全体を通じて、「一実施形態」、「ある種の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関して記載された特定の特徴、構造、材料または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体のさまざまな箇所における「1つまたは複数の実施形態では」、「ある種の実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本開示のその同じ実施形態に関するわけではない。さらに、1つまたは複数の実施形態では、それらの特定の特徴、構造、材料または特性を適当な任意のやり方で組み合わせることができる。
【0062】
本明細書では特定の実施形態を参照して本開示を説明したが、記載された実施形態は単に本開示の原理および用途の例に過ぎないことを当業者は理解するであろう。本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく本開示の方法および装置にさまざまな変更および変形を加えることができることは当業者には明白であろう。したがって、本開示は、添付の特許請求項およびそれらの等価物の範囲に含まれる変更および変形を含みうる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3