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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】粉末状食品原料組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20240910BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20240910BHJP
   A23L 23/10 20160101ALN20240910BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23L19/00 C
A23L27/10 C
A23L27/10 F
A23L23/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019180007
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021052680
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】北川 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕美子
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-101859(JP,A)
【文献】特開2008-301782(JP,A)
【文献】特許第4153334(JP,B2)
【文献】特開2013-110982(JP,A)
【文献】特開2009-011314(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126598(WO,A1)
【文献】特開平03-049649(JP,A)
【文献】特開2012-065594(JP,A)
【文献】特表2010-505004(JP,A)
【文献】特開2019-033735(JP,A)
【文献】特開2014-128237(JP,A)
【文献】特開2019-154419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む混合物の120℃~130℃の加熱処理物を含む粉末状食品原料組成物であって、
前記オニオン及び前記ガーリックの含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で30質量%以上であり、
前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して30質量%以上50質量%未満であり、
前記粉体原料の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%以上である、粉末状食品原料組成物。
【請求項2】
オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む混合物の120℃~130℃の加熱処理物を含む粉末状食品原料組成物であって、
前記オニオン及び前記ガーリックの含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で40質量%より多く、
前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%より多く、
前記粉体原料の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%以上である、粉末状食品原料組成物。
【請求項3】
前記粉体原料が、澱粉質原料及び/又は澱粉分解物を含む、請求項1又は2に記載の粉末状食品原料組成物。
【請求項4】
前記澱粉質原料が、小麦粉を含む、請求項に記載の粉末状食品原料組成物。
【請求項5】
前記澱粉分解物が、デキストリン及び/又はマルトデキストリンを含む、請求項に記載の粉末状食品原料組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の粉末状食品原料組成物を含む調味料。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の粉末状食品原料組成物を含む食品。
【請求項8】
オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む混合物を、品温120℃~130℃で加熱する工程を含む、粉末状食品原料組成物の製造方法であって、
前記オニオン及び前記ガーリックの含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で30質量%以上であり、
前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して30質量%以上50質量%未満であり、
前記粉体原料の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%以上である、製造方法。
【請求項9】
オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む混合物を、品温120℃~130℃で加熱する工程を含む、粉末状食品原料組成物の製造方法であって、
前記オニオン及び前記ガーリックの含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で40質量%より多く、
前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%より多く、
前記粉体原料の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%以上である、製造方法。
【請求項10】
前記粉体原料が、澱粉質原料及び/又は澱粉分解物を含む、請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記澱粉質原料が、小麦粉を含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記澱粉分解物が、デキストリン及び/又はマルトデキストリンを含む、請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状食品原料組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱処理したオニオンやガーリックは、種々の食品の原料として使用されている。例えば、特許文献1には、油分含量3~10%、水分含量3~10%であって、クリスピーな食感を有するローストオニオンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4153334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、カレー等の製品の製造に使用する加熱処理したオニオン又はガーリックの仕掛品として、油脂の比率が高い粉末状の仕掛品を調製しようとしたところ、オニオン又はガーリックを高温で加熱処理する際に、オニオン又はガーリックのラバー化によってそれらの物性が著しく悪化して、大量のダマが発生してしまった。そこで、本発明は、オニオン又はガーリックを高温で加熱処理して調製していてもダマの発生が抑えられている粉末状食品原料組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、オニオン又はガーリックを油脂中で加熱処理する際に、油脂を特定の比率で含ませつつ、粉体原料を添加することによって、オニオン又はガーリックのラバー化が抑えられてダマの発生が抑えられることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示す粉末状食品原料組成物及びその製造方法を提供するものである。
〔1〕オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む加熱処理物を含む粉末状食品原料組成物であって、
前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%より多い、粉末状食品原料組成物。
〔2〕前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して50質量%より少ない、前記〔1〕に記載の粉末状食品原料組成物。
〔3〕前記オニオン及び前記ガーリックの含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で30質量%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の粉末状食品原料組成物。
〔4〕前記粉体原料が、澱粉質原料及び/又は澱粉分解物を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の粉末状食品原料組成物。
〔5〕前記澱粉質原料が、小麦粉を含む、前記〔4〕に記載の粉末状食品原料組成物。
〔6〕前記澱粉分解物が、デキストリン及び/又はマルトデキストリンを含む、前記〔4〕に記載の粉末状食品原料組成物。
〔7〕前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の粉末状食品原料組成物を含む調味料。
〔8〕前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の粉末状食品原料組成物を含む食品。
〔9〕オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む混合物を、品温100℃以上で加熱する工程を含む、粉末状食品原料組成物の製造方法であって、
前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%より多い、製造方法。
〔10〕前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して50質量%より少ない、前記〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕前記オニオン及び前記ガーリックの含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で30質量%以上である、前記〔9〕又は〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕前記粉体原料が、澱粉質原料及び/又は澱粉分解物を含む、前記〔9〕~〔11〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔13〕前記澱粉質原料が、小麦粉を含む、前記〔12〕に記載の製造方法。
〔14〕前記澱粉分解物が、デキストリン及び/又はマルトデキストリンを含む、前記〔12〕に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従えば、オニオン又はガーリックを油脂中で加熱処理する際に、粉体原料を添加することによって、オニオン又はガーリックのラバー化が抑えられてダマの発生が抑えられる。したがって、操作性の良好な粉末状食品原料組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の粉末状食品原料組成物は、オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む加熱処理物を含んでいる。前記オニオン又は前記ガーリックは、加熱処理を施されたことで、それらに特有の加熱香を有し得る。前記オニオン又は前記ガーリックの形状は、特に制限されないが、粉末状(オニオンパウダー又はガーリックパウダー)であると扱いやすく便利である。また、前記オニオン及び前記ガーリックの含有量は、特に制限されないが、例えば、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して合計で約30質量%以上であってもよく、好ましくは約40質量%~約60質量%である。
【0008】
本明細書に記載の「油脂」とは、食用に供される天然油脂又は加工油脂などのことをいう。前記油脂としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、前記油脂は、バター、牛脂、及び豚脂などの動物油脂、マーガリン、パーム油、綿実油、及びコーン油などの植物油脂、これらの硬化油脂、並びにこれらの混合油脂などからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。前記油脂の含有量は、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して約10質量%より多く、好ましくは約30質量%以上である。前記油脂をこのような量で配合することで、香辛料を効率よく加熱することが可能となり、加熱香を向上させることができる。また、ある態様では、前記油脂の含有量は、約50質量%未満であってもよい。前記油脂をこのような量で配合することで、油脂のにじみ出しがより少ない粉末状食品原料組成物を調製することが可能となり、粉砕物同士の接着などによるハンドリングの低下を抑制することができる。
【0009】
本明細書に記載の「粉体原料」とは、前記オニオン又は前記ガーリック以外に本発明の粉末状食品原料組成物に配合される粉末状の食品原料のことをいう。前記粉体原料としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、澱粉質原料、澱粉分解物、香辛料、及び、調味料からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。前記粉体原料の含有量は、特に制限されないが、例えば、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して約5質量%~30質量%であってもよく、好ましくは約10質量%~25質量%である。前記粉体原料をこのような量で配合することで、ダマの発生をより効果的に抑制する一方、前記オニオン及び/又は前記ガーリックに由来する風味への影響がより少ないバランスの優れた粉末状食品原料組成物を調製することができる。
【0010】
前記オニオン及び/又は前記ガーリックと、前記油脂と、前記粉体原料とを加熱処理する条件は、特に制限されないが、例えば、品温が約100℃以上、好ましくは約120℃~約130℃となってもよく、加熱時間が約30分以上、好ましくは約50分~約80分であってもよい。特定の理論に拘束されるものではないが、前記粉体原料は、前記オニオン又は前記ガーリック中の水分を吸収し、当該オニオン又はガーリック中の糖類と水分との反応を妨げることによって、加熱処理中のオニオン又はガーリックのラバー化を抑えてダマの発生を抑えることができると考えられる。
【0011】
本明細書に記載の「澱粉質原料」とは、澱粉を主成分とする食品原料のことをいう。前記澱粉質原料は、前記ルウを製造することができる限り特に限定されないが、例えば、小麦澱粉、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、くず澱粉、及び加工澱粉などの澱粉、並びに、小麦粉、コーンフラワー、米粉、ライ麦粉、蕎麦粉、あわ粉、きび粉、はと麦粉、及びひえ粉などの穀粉などからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0012】
本明細書に記載の「澱粉分解物」とは、生澱粉を化学的又は酵素的な処理によって低分子化することによって得られる食品原料のことをいう。前記澱粉分解物としては、当技術分野で通常使用されているものを特に制限されることなく採用することができる。例えば、前記澱粉分解物は、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、多孔性デキストリン、還元デキストリン、及び還元マルトデキストリンなどであってもよい。なお、前記澱粉分解物のデキストロース当量(DE)は、特に制限されない。
【0013】
前記粉体原料として使用される香辛料は、特に制限されず、例えば、カレーパウダー、ガーリックパウダー、コリアンダー、クミン、キャラウェー、タイム、セージ、胡椒、唐辛子、マスタード、ターメリック、フェヌグリーク、クローブ、及びパプリカなどであってもよい。また、前記粉体原料として使用される調味料は、特に制限されず、例えば、塩、糖類、うまみ調味料、酸味料、着色料、香料、及び甘味料などであってもよく、好ましくは塩、うまみ調味料、酸味料、着色料、香料、及び甘味料などであってもよい。
【0014】
本発明の粉末状食品原料組成物は、各種原料を適宜配合して、当技術分野で通常使用される任意の方法により調製することができる。前記粉末状食品原料組成物の粒径は、特に制限されないが、例えば、前記粉末状食品原料組成物は、目開きが4.0mmの篩を通過する大きさになるように、粉砕機などによって粉砕されていてもよい。また、前記粉末状食品原料組成物は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の調味料、香辛料、食品原料、及び/又は添加剤をさらに含有してもよい。そして、前記粉末状食品原料組成物においては、ダマの発生が抑制され、取り扱い性が向上しているため、前記粉末状食品原料組成物は、調味料や食品の原料、例えば、カレーやシチュー、ハヤシ、チャウダー、スープ、及び鍋などを調理するためのルウ(固形ルウ、フレークルウ、粉末ルウ、及びペースト状ルウなど)、また、ラーメンやうどん、そば、パスタ、及び鍋などの粉末スープ、さらに、スナック菓子やシーズニングなどの製造に使用される原料として好適に利用できる。そのため、ある態様では、本発明は、前記粉末状食品原料組成物を含む調味料又は食品にも関している。
【0015】
また別の態様では、本発明は、粉末状食品原料組成物の製造方法にも関しており、当該製造方法は、オニオン及び/又はガーリックと、油脂と、粉体原料とを含む混合物を、品温100℃以上で加熱する工程を含み、前記油脂の含有量が、前記粉末状食品原料組成物の全質量に対して10質量%より多くなっている。
【0016】
ある態様では、本発明の製造方法は、前記混合物の加熱処理物を冷却する工程及び/又は粉砕する工程をさらに含んでもよい。前記粉砕工程における粉砕の程度は、特に制限されないが、例えば、前記粉末状食品原料組成物が、目開きが4.0mmの篩を通過する大きさになるように、粉砕機などによって粉砕してもよい。また、本発明の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の調味料、香辛料、食品原料、及び/又は添加剤を添加する工程をさらに含んでもよい。
【0017】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0018】
〔製造例1〕
後掲の表1に記載の原料を混合して品温125℃になるまで加熱し、加熱処理物を調製した。当該加熱処理物を品温10℃まで冷却してフレーク状の食品原料を調製した。そして、このフレーク状の食品原料を、目開きが4.0mmの篩を通過する大きさになるように粉砕機で粉砕して、実施例1~4の粉末状食品原料組成物を調製した。比較例1及び2については、加熱処理後にダマが発生してしまい、粉砕機にかけるフレーク状の食品原料を得ることができなかったので、粉末状食品原料組成物を調製することができなかった。
【0019】
〔試験例1〕
実施例1~4並びに比較例1及び2の食品原料組成物について、加熱香の有無を4名のパネラーにより評価した。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
粉体原料を含む実施例1~4の粉末状食品原料組成物においては、良好な加熱香を感じられるだけ十分に加熱したにもかかわらず、ダマが発生していなかった。一方、粉体原料を含まない比較例1及び2においては、ダマが多く発生していて粉末化することができなかった。また、油脂の配合量が少ない比較例2の香辛料組成物では、加熱が十分に行えず加熱香が弱かった。
【0022】
〔製造例2〕
後掲の表2に記載の原料を使用した以外は製造例1と同様にして、実施例5~8の粉末状食品原料組成物を調製した。比較例3及び4については、加熱処理後にダマが発生してしまい、粉砕機にかけるフレーク状の食品原料を得ることができなかったので、粉末状食品原料組成物を調製することができなかった。
【0023】
〔試験例2〕
実施例5~8並びに比較例3及び4の食品原料組成物について、加熱香の有無を4名のパネラーにより評価した。結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
粉体原料を含む実施例5~8の粉末状食品原料組成物においては、良好な加熱香を感じられるだけ十分に加熱したにもかかわらず、ダマが発生していなかった。一方、粉体原料を含まない比較例3及び4においては、ダマが多く発生していて粉末化することができなかった。また、油脂の配合量が少ない比較例4の組成物では、加熱が十分に行えず加熱香が弱かった。
【0026】
〔製造例3〕
実施例1及び実施例5の粉末状食品原料組成物を使用し、以下のとおりフレーク状のカレールウを製造した。
牛脂30質量部、及び小麦粉25質量部を加熱釜に投入して加熱撹拌し、加熱釜内の原料の品温を50分かけて120℃まで昇温して、小麦粉ルウを製造した。この小麦粉ルウに、実施例1の粉末状食品原料組成物(オニオン含有)1質量部、実施例5の粉末状食品原料組成物(ガーリック含有)1質量部、風味原料15質量部、砂糖10質量部、食塩10質量部、カレー粉8質量部を添加して加熱撹拌した。各種原料を添加した後の品温は80℃だった。加熱釜内の原料の品温を20分かけて100℃まで上昇させた後、65℃以下まで冷却し、フレーク製造装置(特許第3962262号を参照)を使用して、実施例9のフレーク状のカレールウを製造した。
【0027】
〔試験例3〕
実施例9のカレールウを使用してカレーを調理し、加熱香の様子を4名のパネラーにより評価した。このカレーにおいては、オニオンとガーリックの加熱香が良好に感じられた。
【0028】
以上より、オニオン又はガーリックを油脂中で加熱処理する際に、油脂を特定の比率で含ませつつ、粉体原料を添加することによって、オニオン又はガーリックのラバー化が抑えられてダマの発生が抑えられることが分かった。したがって、操作性の良好な粉末状食品原料組成物を提供することが可能となる。