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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】コンパクトなポリウレタン
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20240910BHJP
   C08G 65/28 20060101ALI20240910BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240910BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C08G18/48
C08G65/28
C08J5/24 CFF
C08J5/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021536085
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2019086432
(87)【国際公開番号】W WO2020127814
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】18214431.1
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】エムゲ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ツァルバクシュ,ジルス
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122332(JP,A)
【文献】特開2014-167105(JP,A)
【文献】特表2014-520905(JP,A)
【文献】特表2017-514965(JP,A)
【文献】特開2004-149719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
65/00-67/04
71/00-71/04
C08J 5/04
5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有する、コンパクトなポリウレタンであって、
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、コンパクトなポリウレタン
【請求項2】
(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択される)を有る、請求項1に記載のコンパクトなポリウレタン。
【請求項3】
記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲の等価分子量を有する、請求項1又は2に記載のコンパクトなポリウレタン。
【請求項4】
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)の前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオールである、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【請求項5】
(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たない、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【請求項7】
前記ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみであ、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【請求項8】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法であって、少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物
であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
の反応を含み、
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【請求項9】
(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択される)を有る、請求項8に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【請求項10】
記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲の等価分子量を有する、請求項8又は9に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【請求項11】
(ii.1)の前記ポリエーテルポリオールの前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオールである、請求項8から10のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【請求項12】
少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを、繊維複合材の製造に使用する方法であって、
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、方法
【請求項13】
以下の成分:
a)少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタン、
b)前記コンパクトなポリウレタンに少なくとも部分的に埋め込まれている繊維
を含む、繊維複合材であって、
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、繊維複合材
【請求項14】
繊維複合材の製造方法であって、
1)繊維を提供する工程と、
2)少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を提供する工程と、
3)工程2)の成分i)及びii)を混合して反応性混合物を得る工程と、
4)前記繊維に工程3)で得られた前記反応性混合物を含浸させる工程と、
5)前記反応性混合物を硬化させて繊維複合材を得る工程であって、ポリウレタンが、コンパクトであり、850g/l以上の密度を有する、工程と
を含み、
前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、繊維複合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも以下の成分:i)ポリイソシアネート組成物;ii)ポリオール組成物であって、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)及び任意にさらなる助剤及び/又は添加剤(ii.1.4)の存在下で、(ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを(ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと反応させることによって得られる又は得ることができる、少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含む、ポリオール組成物を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンに関し、ここで、ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する。本発明はさらに、このようなコンパクトなポリウレタンを製造する方法、及びこの方法によって得られる又は得ることができるコンパクトなポリウレタンに関する。本発明はさらに、850g/l以上の密度を有するこのようなコンパクトポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法に関する。本発明はまた、対応する繊維複合材材料、及びそのような繊維複合材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PU)は、多数の加工操作で製造され、数多くの異なる用途に使用されている(Guenter Oertel,Polyurethane Handbook:Chemistry-Raw Materials-Processing-Application-Properties-1.1994年1月)。硬質の、コンパクトな及び/又は繊維強化したポリウレタンは、高いヒドロキシル価を有する高官能価のポリオールから製造され(US 3,464,935 A)、高度に架橋されたポリマーである。これらは一般に、30分~240分の範囲の長い処理時間を有すべきであり、非常に反応性の高い出発材料の使用は除外される。材料の特性に関して、高い硬度、引張強度及び曲げ強度と組み合わせた高い耐衝撃性が要求されているが、この特性の組み合わせの達成が困難である。さらに、従来のアルキレンオキシドをベースとするポリエーテルポリオール又はOH末端のポリエステルオール(ポリエステルポリオール)を用いて大気湿度が高い環境で製造されたコンパクトなポリウレタンは、特に繊維複合材料をこのような条件下で製造した場合、部品表面に大きな気泡及び欠陥があることが見出された。この欠陥の原因は、空気中及び繊維上に水分が存在することで、ポリウレタン反応混合物との望ましくない反応が起こることにある。このような理由から、特に、現在、対応するプロセスでは、ポリウレタンの代わりにエポキシ又は不飽和ポリエステル/ビニルエステルなどの樹脂を使用することが好ましい。
【0003】
求められる特性に関して、触媒は典型的に、必要なポリエーテルポリオール及びポリエステルオールの調製に使用される。工業規模では、塩基性触媒がポリエーテルオールの調製に使用され、KOHが最も広く使用されている(M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,p.119 ff.)。EP 1 803 756 A1は、多官能スターターとプロピレンオキシドとの反応によって得られるポリオールを記載している;この反応のための触媒については言及されていない。ソルビトール(開始剤)とプロピレンオキシドとの反応生成物が製造される。カチオン触媒を使用しない場合、得られるポリオールは、ルイス酸を触媒として使用した結果として高い割合の一級ヒドロキシル基を有するポリオールと比較して、主に二級ヒドロキシル基を有しており、反応性及び疎水性に関して異なるプロファイルが得られる。さらに、EP 1 803 756 A1で使用されるポリオールは粘度が高く、例えば粘度は約10000MPas(25℃)の範囲にあり、その結果、プレポリマーの粘度が再びはるかに高くなる。このような高粘度の樹脂は、繊維複合材料として使用する場合には不利であり;繊維を含浸させる際の流量は粘度に反比例する(ダーシーの法則)(M.Neitzel,P.Mitschang,Handbuch Verbundwerkstoffe[Handbook Composite Materials],Carl Hanser Verlag,2004年,164頁を参照)。EP 1 803 756 A1のポリオールから製造されたポリウレタンは、より多くの一級ヒドロキシル基を有するポリオールを用いて製造されたポリウレタンと比較して、その形態に関して基本的な違いがある。例えば、EP 1 803 756 A1に従って製造されたポリマーは、使用されたプレポリマー混合物の結果として、低レベルの架橋で互いに緩く結合している高官能価領域(前者のプレポリマー)からなることが予想される。
【0004】
ポリエーテルオールは、ルイス酸又は超酸触媒によるアルコキシル化で調製されたものが知られている。この反応レジームの課題は、ヒドロキシル基を持たず、したがってポリウレタンの形成に関与せず、生成物の不快な臭いの原因となる望ましくない環状エーテルの形態でのかなりの量の副産物が形成されることである(M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,245~247頁)。
【0005】
一般的に使用されているアルカリ金属又はアミンの群からの触媒の代わりに、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPB)をアルコキシル化触媒として使用したポリエーテルオールが知られている(T.Miyajimaら,Polymer Journal(2015年)47,771~778頁)。プロピレンオキシドが使用される場合、これらのポリオールは、一級ヒドロキシル基の高い含有量を有し、したがって、同じ組成を有する一般的に使用されるポリエーテルオールよりもはるかに反応性が高い。
【0006】
WO 2016/064698 A1には、2段階のアルコキシル化プロセスで二重触媒を使用して、2500g/mol超の高分子量及び一級ヒドロキシル基の高い含有量を有するポリオールを調製することが記載されている。
【0007】
US 6,531,566 B1は、一級ヒドロキシル基の高い含有量を有するポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールに、及びそれらを熱硬化性樹脂の製造に使用する方法に関し、ここで、実施例では、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの添加によりグリセロール-プロピレンオキシド付加物をさらなるプロピレンオキシドと反応させ、次いでこれらをイソシアネートと反応させてウレタンフォーム又はポリウレタンエラストマーを得ることが開示されている。
【0008】
US 6,831,112 B2には、エチレンオキシド(EO)を用いて製造されたポリエーテルポリオール、及びそれらを硬質ポリウレタンフォームの製造に使用する方法が記載されている。実施例では、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下でプロピレンオキシド-グリセロール付加物をさらなるプロピレンオキシド(PO)及びエチレンオキシドと反応させ、ポリウレタンエラストマー及びフォームの製造に使用する。
【0009】
JP 2014-167105 Aは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPB)を用いてのみプロポキシル化され、270mg KOH/gのヒドロキシル価(OHN)を有するグリセロール開始ポリオールの実施例を開示している。
【0010】
US2003/0100623 A1は、ほぼプロピレンオキシドのみを使用することで、TPBを用いてのみアルコキシル化される、450mg KOH/gのOHNを有するソルビトール(+9個のPO及び1個のEO)をベースとするポリオール、及びまた同じOHNを有するグリセロール、ペンタエリスリトールをベースとする類似のポリオールを開示している。すべての実施例において、TPB触媒はその後に除去される。この文献には、水で発泡する硬質フォームを製造するための使用方法も記載されている。したがって、製造プロセスにおいて膨張及び架橋の両方を行うポリウレタンが記載されている。この場合、架橋剤は、一定量の水及び他の親水性ポリオールと混和しなければならず、その結果、全体的に親水性であるが、それに加えてまだ脆い材料が得られる。
【0011】
したがって、先行技術によれば、TPBの触媒作用は主に、反応性を高めることを目的とした長鎖ポリエーテルオールの製造に使用される。これらのポリオールは、発泡剤としての水と組み合わせてフォームの製造に使用される。特にEOを使用することにより対応するポリオールは、水がそれらと混合する十分な親水性を持たなければならない。TPBで触媒されたポリオールを使用して架橋された既知のポリウレタンは、その良好な耐衝撃性については知られていない硬質フォームである。
【0012】
TPBで触媒されたポリオールをコンパクトな硬質ポリウレタンの製造に使用することは、親水性のためにあまり期待できないように思われる。高い疎水性に加えて長い処理時間を必要とするコンパクトなポリウレタン及び繊維複合材料にとって、反応性の増加は魅力的ではない。したがって、高度に架橋された疎水性のコンパクトなポリウレタンの製造にTPBポリオールを使用することは、明らかではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】US 3,464,935 A
【文献】EP 1 803 756 A1
【文献】WO 2016/064698 A1
【文献】US 6,531,566 B1
【文献】US 6,831,112 B2
【文献】JP 2014-167105 A
【文献】US2003/0100623 A1
【非特許文献】
【0014】
【文献】Guenter Oertel,Polyurethane Handbook:Chemistry-Raw Materials-Processing-Application-Properties-1.1994年1月
【文献】M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,p.119 ff.
【文献】M.Neitzel,P.Mitschang,Handbuch Verbundwerkstoffe[Handbook Composite Materials],Carl Hanser Verlag,2004年,164頁
【文献】M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,245~247頁
【文献】T.Miyajimaら,Polymer Journal(2015年)47,771~778頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、架橋剤が撥水性であり、親水性ポリオールではなく疎水性ポリオールと混和する場合に、架橋されたコンパクトなPU材料を提供することであった。このPU材料は、非常に高い大気湿度の場合でも、気泡のないコンパクトな生成物を得るために加工可能であるべきであり、同時に、例えば硬質フォームのように耐衝撃性があり、脆くないものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンによって達成された。
【0017】
コンパクトなポリウレタンの密度に関するすべての数値は、それぞれの場合において、フィラーを考慮に入れない純粋なポリウレタン樹脂に関するものであり、密度はDIN EN ISO 1183-1に従って浮力法により決定される。(ii.1.4)に関する説明に従ってフィラー又は繊維が使用される場合、本発明によるポリウレタンの報告された密度は、使用されるフィラーの量及び密度に応じて変化する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
コンパクトなポリウレタン
本発明によれば、(ii.1.1)により使用されるポリオールスターターは、3~6、好ましくは3又は4の官能価を有する少なくとも1種のポリオールであり、本発明によればこれらのポリオールの2種以上の混合物も包含されている。「3~6の官能価を有するポリオール」とは、平均で、1個の分子あたり、2.8個~3.0個の範囲、又は3.8個~4.0個の範囲、又は4.8個~5.0個の範囲、又は5.8個~6.0個の範囲のヒドロキシル基を有するポリオールを意味すると理解される。同様に、「3又は4の官能価を有するポリオール」とは、平均で、1個の分子あたり、2.8個~3.0個、又は3.8個~4.0個の範囲のヒドロキシル基を有するポリオールを意味すると理解される。実際には、ポリオール合成中の様々な副反応により、名目上の官能価よりも実際には低い官能価になることがあるため、名目上の官能性からの偏差がある(M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,67~75頁)。50~150g/molの等価分子量の範囲では、官能価が3又は4又は5又は6に非常に近く、好ましくは3又は4に非常に近いと想定される。
【0019】
等価分子量(EMW)は、ポリエーテルポリオールの分子量(M(ポリエーテルポリオール))とポリエーテルポリオールの官能価(F)の商として定義される:
EMW=M(ポリエーテルポリオール)/F[g]。
【0020】
例えば、1モルのプロピレンオキシドでアルコキシル化された1モルのグリセロールの場合、EMW=(150.2g/mol)/(3mol-1)に基づいて、50g/eqのEMWが得られる。
【0021】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0022】
3~6の官能価を有するポリオールスターター(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)の反応における(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒の使用は、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、ポリエーテルポリオール(ii.1)に存在するヒドロキシル基の50%以上が一級ヒドロキシル基であるという結果、すなわち、形成されるヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基であるという結果を得ることができる。
【0023】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0024】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する。
【0025】
例えば、式(I)のトリオールにおいてm、n及びoが6である場合、ヒドロキシル価(OHN)は405mg KOH/gであり、又は等価分子量は134gである。式(I)のトリオールにおいてl、m、n、oが1である場合、TMPには1256mg KOH/gのOHN又は45gの等価分子量が得られる。
【0026】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化1】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)。
【0027】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である。コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0028】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する。コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない。コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。エチレンオキシドを使用しない場合、又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのみを使用する場合であっても、本発明によるホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、50%以上の一級ヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が得られ、すなわち、ポリエーテルポリオール(ii.1)中のヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基である。
【0029】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは上記の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし;好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii.1)は式(II)を有する、
【化2】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数、好ましくはゼロ又は1~4の範囲の整数、より好ましくはゼロ又は1~3の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基である)。好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である。好ましくは、l、m、n及びoはすべて1であり、p、q及びrは、独立して、0~2の値を取る。
【0030】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない。
【0031】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、一段階の合成工程で、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われる。ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、ポリエーテルオールの合成後に任意に除去することができるが、好ましくは生成物中に残る。
【0032】
少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)は、好ましくは、(ii)のポリオール組成物の総質量に基づいて、25質量%~95質量%の範囲で(ii)のポリオール組成物に存在する。コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される。ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)は、好ましくは、使用されるポリオール組成物(ii)の官能価の合計の、使用されるポリイソシアネート組成物(i)の官能価の合計に対するモル比が0.7~2.1の範囲であるような比で使用される。好ましくは、この比は0.8~1.2の範囲である。ここでは、1:1の比は100のイソシアネート指数に対応する。
【0033】
驚いたことには、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランによる触媒作用下で、トリオール、特にTMPからのプロポキシル化によって製造されたポリオールの使用により、60kJ/m超、特に70kJ/m超の改善された耐衝撃性を有するコンパクトなポリウレタンが得られることが見出された。さらに、ショアD硬度は、KOHの触媒作用で製造された異なるポリオールを使用して製造されたポリウレタンの硬度と同等であった。驚いたことには、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランによる触媒作用下で、トリオール、特にTMPからのプロポキシル化によって製造されたポリオールを用いて製造されたコンパクトなポリウレタンは、80MPa超の顕著に改善された引張強度を有していた。
【0034】
繊維複合材を製造する際に、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランによる触媒作用下で、トリオール、特にTMPからのプロポキシル化によって製造されたポリオールを用いて製造されたコンパクトなポリウレタンの使用により、望ましくない気泡の形成を回避できるという点で、著しく優れた結果が得られることが、巻き取り試験で見出された。巻き取り試験では、本発明によるポリオールを使用した場合、85%の高い大気湿度にもかかわらず、対応する成分の製造中に気泡の形成が、あったとしてもごくわずかであったが、KOHの触媒作用で製造されたポリオールの使用は、激しい発泡を引き起こし、すなわち、望ましくない気泡が大幅に形成されることが見出された。
【0035】
本発明によれば、(i)として、ポリイソシアネート組成物が使用される。ここでは、ポリイソシアネート組成物は少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。また、本発明によれば、ポリイソシアネート組成物は、2種以上のポリイソシアネートを含んでいてもよい。
【0036】
少なくとも1種のポリイソシアネートは、好ましくは少なくとも1種のジイソシアネートであり、より好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び芳香族ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの2種以上の混合物からなる群から選択される。具体的な例には、以下の芳香族ジイソシアネートが含まれる:トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,4-及び2,6-ジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタン4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン2,4’-及び4,4’-ジイソシアネートの混合物、ウレタン、カルボジイミド又はウレトイミンで修飾された液体ジフェニルメタン4,4’-及び/又は2,4-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジフェニルエタン、モノマーメタンジフェニルジイソシアネートとメタンジフェニルジイソシアネートの高次の多環式ホモログの混合物(ポリマーMDI)、ナフチレン(1,2)及び1,5-ジイソシアネート、又はこれらのイソシアネートとポリオール、若しくはイソシアネートとイソシアネート反応性成分のプレポリマー。使用される脂肪族ジイソシアネートは、慣用の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートであり、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート、又はこれらのイソシアネートのプレポリマーが挙げられる。MDIを含むイソシアネート組成物が好ましい。
【0037】
ジイソシアネート及びポリイソシアネート(i)は、ポリイソシアネートプレポリマーの形態で使用することもできる。これらのポリイソシアネートプレポリマーは、上記のポリイソシアネート(i)を過剰に、例えば30~100℃、好ましくは約80℃の温度で、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する化合物と反応させて、プレポリマーを得ることにより得ることができる。本発明のポリイソシアネートプレポリマーのNCO含有量は、好ましくはNCOの15質量%~33質量%、特に好ましくはNCOの25質量%~30質量%である。
【0038】
ポリイソシアネート組成物(i)は、50mPas~1000mPasの範囲、好ましくは50mPas~500mPasの範囲、より好ましくは50mPas~300mPasの範囲の、25℃での粘度を有する。
【0039】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、このさらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである。ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである。
【0040】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される。
【0041】
好ましくは、ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは、塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される。コンパクトなポリウレタンの好ましい実施態様において、ポリオール組成物(ii)は、アミン触媒又は塩基性触媒を含まない。
【0042】
好ましくは、(ii)のポリオール組成物は、少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)に加えて、1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、このさらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物の群から選択され、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物は、好ましくは6個超、特に好ましくは8個超かつ100個未満、特に10個超かつ50個未満の炭素原子を有する炭化水素基、及び1個以上のヒドロキシル基を有する。少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する使用された化合物は、例えば、ポリエーテルオール又はポリエステルオールであってもよい。少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する使用された化合物は、二級OH基を含むポリエーテルオール又はポリエステルオールであることが好ましく、例としてポリプロピレンオキシドが挙げられる。ここでは、ポリエーテルオール又はポリエステルオールは、好ましくは2~4、特に好ましくは2~3の官能価、及び少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも85%の二級OH基の割合を有する。平均で1分子あたり少なくとも1.5個のイソシアネート反応性水素原子を有する使用された化合物は、ポリウレタン化学で知られているイソシアネート反応性水素原子を有するすべての化合物であり得る。
【0043】
油脂化学ポリオールの例は、特に、M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,第17.1章に記載されている。そのようなヒドロキシル官能化された疎水性化合物として、ヒドロキシル官能化された油脂化学化合物、すなわち油脂化学ポリオールが好ましく使用される。油脂化学ポリオールの一実施態様において、ヒマシ油(トリグリセリド混合物)及びその誘導体が使用される。好ましい誘導体は、アルキレンオキシド又はケトン-ホルムアルデヒド樹脂との反応生成物である。後者の化合物は、例えばCovestro AGがDesmophen(登録商標)1150の名称で販売している。好ましく使用される油脂化学ポリオールの別の群は、エポキシ化脂肪酸エステルの開環、アルコールとの同時反応、及び任意にその後の更なるエステル交換反応によって得ることができる。油脂へのヒドロキシル基の導入は、主にこれらの生成物に存在するオレフィン二重結合のエポキシ化、及びその後の得られたエポキシド基と一価又は多価アルコールとの反応によって達成される。ここでは、エポキシド環は、ヒドロキシル基、又は多官能アルコールの場合は大量のOH基を有する構造となる。油脂は主にグリセロールエステルであるため、上記の反応には並行したエステル交換反応も伴う。得られる化合物は、好ましくは500~1500g/molの範囲の分子量を有する。このタイプの製品は、例えばBASF(Sovermol(登録商標)として)又はAltropol Kunststoff GmbH(Neukapol(登録商標)として)から提供されている。
【0044】
さらに、(ii)のポリオール組成物は、当業者に知られているタイプのポリオール、例えば、フリーラジカル又はアニオン重合ブタジエンをベースとするポリブタジエン、アクリレートポリオール、ポリシロキサンポリオール、マンニッヒ縮合によって得ることができるポリオール、例えばビスフェノールA、レゾルシノール、ノボラック又はメラミンをベースとする芳香族ポリオールを含むことができる。さらなる使用可能なものは、ポリテトラヒドロフラン若しくはポリカプロラクトン、又はこれらの出発材料のコポリマーであり;さらなる使用可能なものは、例えばトリオールをベースとするポリマーポリオール、及びポリスチレン、スチレン/アクリロニトリルをベースとする粒子である。これらのタイプのポリオールはすべて、例えば、M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,67~75頁から知られている。
【0045】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリオール組成物ii)は、任意に、例えば、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド及び/又はブチレンオキシドなどのエポキシドから、又はテトラヒドロフランから、触媒を使用して、脂肪族アルコール、フェノール、アミン、カルボン酸、水などの活性水素原子を有するスターター化合物、又はスクロース、ソルビトール又はマンニトールなどの天然物質をベースとする化合物で調製されたポリエーテルオールを含む。ここでは、例えばWO 2006/034800 A1、EP 0090444 B1又はWO 05/090440 A1に記載されているように、塩基性触媒又は複金属シアン化物触媒が挙げられる。
【0046】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリオール組成物ii)は、任意に、好ましくはエステル化触媒の存在下で、例えば脂肪族又は芳香族ジカルボン酸及び多価アルコールから調製されたポリエステルオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール及び/又はヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネートを含む。他の使用可能なポリオールは、例えば「Kunststoffhandbuch,Band 7,Polyurethane」[Plastics Handbook,第7巻,Polyurethanes],Carl Hanser Verlag,第3版,1993年,第3.1章に記載されている。ポリエステルポリオールは、例えば、2~12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは4~6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、及び2~12個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を有する多価アルコール、好ましくはジオールから調製することができる。有用なジカルボン酸の例には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が含まれる。ここで、ジカルボン酸は、単独で、又は互いに混合して使用してもよい。また、遊離ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えば1~4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル又はジカルボン酸無水物を使用することも可能である。コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸のジカルボン酸混合物を、例えば20~35:35~50:20~32質量部の量比で使用することが好ましく、特にアジピン酸を使用することが好ましい。二価及び多価アルコール、特にジオールの例としては、エタンジオール、ジエチレングリコール、プロパン-1,2-及び-1,3-ジオール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール、グリセロール及びトリメチロールプロパンが挙げられる。エタンジオール、ジエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、及びヘキサン-1,6-ジオールを使用することが好ましい。また、ラクトン、例えばε-カプロラクトン、又はヒドロキシカルボン酸、例えばω-ヒドロキシカプロン酸に由来するポリエステルポリオールを使用することも可能である。
【0047】
ポリエステルポリオールは、有機、例えば芳香族、好ましくは脂肪族のポリカルボン酸及び/又は誘導体と多価アルコールとを、無触媒で、又は好ましくはエステル化触媒の存在下で、適切に不活性ガス、例えば窒素、一酸化炭素、ヘリウム又はアルゴンの雰囲気中で、150~250℃、好ましくは180~220℃の温度の溶融物中で、任意に減圧下で、好ましくは10未満、特に好ましくは2未満である所望の酸価まで重縮合することによって調製することができる。好ましい実施態様において、エステル化混合物は、上記の温度で、標準圧力下で、その後、500ミリバール未満、好ましくは50~150ミリバールの圧力下で、80~30、好ましくは40~30の酸価まで重縮合される。使用できるエステル化触媒の例としては、金属、金属酸化物又は金属塩の形態での、鉄触媒、カドミウム触媒、コバルト触媒、鉛触媒、亜鉛触媒、アンチモン触媒、マグネシウム触媒、チタン触媒、及びスズ触媒が挙げられる。しかしながら、重縮合は、共沸蒸留によって縮合水を除去するために、希釈剤及び/又は同伴剤(entraining agents)、例えばベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンの存在下で液相で行うこともできる。ポリエステルポリオールを調製するには、有機ポリカルボン酸及び/又は誘導体と多価アルコールを、有利に1:1~1.8、好ましくは1:1.05~1.2のモル比で重縮合する。
【0048】
好ましくは、得られるポリエステルポリオールは、2~4、特に2~3の官能価、及び480~3000g/mol、好ましくは1000~3000g/molの数平均分子量を有する。
【0049】
コンパクトなポリウレタンの一実施態様において、ポリオール組成物ii)は、任意に鎖延長剤を含む。使用される鎖延長剤は、好ましくは450g/mol未満、特に好ましくは60~400g/molの分子量を有する物質であり、鎖延長剤は2個のイソシアネート反応性水素原子を有し、架橋剤は3個のイソシアネート反応性水素原子を有する。これらは好ましくは、個別に又は混合物の形態で使用することができる。400未満、特に好ましくは60~300、特に60~150の分子量を有するジオール及び/又はトリオールを使用することが好ましい。スターター分子の有用な例には、2~14個、好ましくは2~10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式及び/又は芳香脂肪族のジオール、例えばモノエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、デカン-1,10-ジオール、1,2-、1,3-、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール及びビス(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、トリオール、例えば1,2,4-、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール及びトリメチロールプロパン、及びエチレンオキシド及び/又は1,2-プロピレンオキシドをベースとする低分子量のヒドロキシル基含有のポリアルキレンオキシド、及び前述したジオール及び/又はトリオールが挙げられる。鎖延長剤として、モノエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ジエチレングリコール、グリセロール又はそれらの混合物を使用することが特に好ましい。
【0050】
鎖延長剤及び/又は架橋剤が使用される場合、鎖延長剤及び/又は架橋剤の割合は、成分(ii)の総質量に基づいて、典型的に1~50質量%、好ましくは2~20質量%である。しかしながら、ここで、鎖延長剤又は架橋剤を省略することも可能である。しかしながら、鎖延長剤、架橋剤又は任意にそれらの混合物を添加することは、機械的特性、例えば硬度を変更するのに有利であることを実証することができる。
【0051】
助剤及び/又は添加剤(ii.1.4)も任意に使用することができる。ここでは、ポリウレタンの製造に既知のあらゆる助剤及び添加剤を使用することもできる。上記の例としては、例えば、界面活性物質、発泡剤、発泡安定剤、セル調整剤、離型剤、フィラー、染料、顔料、難燃剤、加水分解安定剤、静真菌性物質及び静菌性物質が挙げられる。これらの物質は、知られており、例えば「Kunststoffhandbuch,Band 7, Polyurethane」[Plastics Handbook,第7巻,Polyurethanes],Carl Hanser Verlag,第3版,1993年,第3.4.4及び3.4.6~3.4.11章に記載されている。
【0052】
添加剤として、慣用のポリウレタン触媒を触媒(ii.1.4)として使用することができる。これらは、イソシアネート反応性水素原子を有する化合物(b)と、ジイソシアネート及びポリイソシアネート(a)との反応を大幅に促進する。ポリウレタンの製造に使用することができる慣用の触媒の例として、以下が挙げられる:アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチル-、N-エチル-及びN-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-及びN-エチルジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン。また、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキソエート及びスズ(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテート、及びまたビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエート、又はそれらの混合物を使用することも可能である。有機金属化合物は、単独で、又は好ましくは強塩基性アミンと組み合わせて使用することができる。成分(ii.1.4)がエステルである場合、アミン触媒のみを使用することが好ましい。また、当業者に知られている、室温であったとしてもほとんど触媒活性を持たず、例えば、温度を上げることによってのみ活性化される、いわゆる潜在触媒を使用することも可能である。これらの触媒の例は、特に、DE 102008021980 A1又はWO 2009/115540 A1に見出すことができる。
【0053】
触媒(ii.1.4)は、例えば、成分(ii)の質量に基づいて、0.001質量%~5質量%、特に0.05質量%~2質量%の濃度で、触媒又は触媒の組み合わせとして使用することができる。
【0054】
さらに好ましい実施態様において、助剤及び添加剤(ii.1.4)は、慣用のポリウレタン形成触媒ではない塩基性触媒を含むことができる。これらは、例えば、ポリイソシアヌレートの形成を触媒する触媒を含む。ポリイソシアヌレート触媒は、アルカリ金属カルボキシレートを含む。これらは、好ましくはホルマート及びアセテート、特にアセテート、例えばナトリウムアセテート及びカリウムアセテートを含む。
【0055】
さらなるタイプの添加剤(ii.1.4)は脱気剤であり、これは当業者に知られており、例えばThomas Brock,Michael Groteklaes,Peter Mischke:Lehrbuch der Lacktechnologie[Textbook of Paint Technology].Ed.:Ulrich Zorll,第2版,Vincentz Verlag,Hanover 2000年,ISBN 978-3-87870-569-7,第2.4.2.1章,Entschaeumer und Entluefter[Defoamers and Deaerators],p.169 f.に記載されている。
【0056】
さらなる実施態様において、ポリイソシアネート組成物(i)に、イソシアネート反応性水素原子を含まないこのような成分(ii-1.4)を添加することも可能である。
【0057】
本発明の目的のために、「ポリウレタン」という用語は、すべての既知のポリイソシアネート重付加生成物を包含する。これらには、イソシアネートとアルコールに由来する付加生成物が含まれ、また、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造を含むことができる修飾ポリウレタン、及びその他のイソシアネート付加生成物も含まれる。本発明のこれらのポリウレタンは、特に、固体のポリイソシアネート重付加生成物、例えば熱硬化性樹脂、及びポリイソシアネート重付加生成物に基づいて850g/l超の見かけ密度を有するフォーム、特にポリウレタンコーティングを含む。
【0058】
さらに好ましい実施態様において、ポリウレタンは、好ましくは850g/l超、好ましくは850~1400g/l、特に好ましくは850~1100g/lの密度を有する固体ポリウレタンである。ここでは、固体ポリウレタンは、発泡剤を添加せずに得られる。本発明の文脈において、少量の発泡剤、例えば製造プロセスの結果としてポリオール中に存在する水は、ここで発泡剤の添加を構成するものとは解釈されない。コンパクトなポリウレタンを製造するための反応混合物は、好ましくは0.2質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満の水を含む。固体ポリウレタンは、好ましくはフィラー、特に繊維状のフィラーを含む。好適なフィラーは、下記の(ii.1.4)に記載されている。
【0059】
反応混合物は、好ましくは2成分法で製造される。この目的のために、ポリイソシアネート組成物i)及びポリオール組成物ii)が組み合わされる。ポリイソシアネート組成物は、イソシアネート、及び成分(ii.1.4)の任意に非イソシアネート反応性成分を含む。ここでは、好ましくは、ポリオール組成物の組成は、好ましくは2000mPas未満の25℃での粘度を有するように調整される。ここでは、粘度測定はDIN 53019-1~3に基づいている。ここでは、粘度は特に、成分(ii.1.4)の化合物の選択及びその使用量を介して調整することができる。特に、ポリオール成分の粘度は、アクリレート又は可塑剤などの当業者に知られている物質を使用することによって低下させることができる。
【0060】
反応混合物は、80℃超、好ましくは80℃~200℃の温度で硬化される。
【0061】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法
本発明はさらに、少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
の反応を含む、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法に関する。
【0062】
コンパクトなポリウレタンに関するセクションで既に述べた説明は、ポリイソシアネート組成物(i)にも適用される。
【0063】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する。
【0064】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。3~6の官能価を有するポリオールスターター(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)の反応における(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、ポリエーテルポリオール(ii.1)に存在するヒドロキシル基の50%以上が一級ヒドロキシル基であるという結果、すなわち、形成されるヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基であるという結果が得られる。
【0065】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0066】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する。
【0067】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される。ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)は、好ましくは、使用されるポリオール組成物(ii)の官能価の合計の、使用されるポリイソシアネート組成物(i)の官能価の合計に対するモル比が0.7~2.1の範囲であるような比で使用される。好ましくは、この比は0.8~1.2の範囲である。ここでは、1:1の比は100のイソシアネート指数に対応する。
【0068】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、(ii.1)のポリエーテルポリオールのポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化3】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)。好ましくは、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、より好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である。
【0069】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0070】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは上記の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii.1)は式(II)を有する、
【化4】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数、好ましくはゼロ又は1~4の範囲の整数、より好ましくはゼロ又は1~3の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基である)。好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である。好ましくは、l、m、n及びoはすべて1であり、p、q及びrは、独立して、0~2の値を取る。
【0071】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである。
【0072】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない。850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、一段階の合成工程で、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われる。ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、ポリエーテルオールの合成後に任意に除去することができるが、好ましくは生成物中に残る。
【0073】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法のさらなる実施態様によれば、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する。好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない。エチレンオキシドを使用しない場合、又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのみを使用する場合であっても、本発明によるホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、50%以上の一級ヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が得られ、すなわち、ポリエーテルポリオール(ii.1)中のヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基である。
【0074】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法のさらなる実施態様によれば、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。
【0075】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、このさらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである。さらなるポリオール(単数又は複数)は、好ましくは、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される。これに関する詳細は、コンパクトなポリウレタンに関して冒頭ですでに説明されており、これらは、ここに記載の製造方法にも適用される。
【0076】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは、塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される。850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法の一実施態様において、ポリオール組成物(ii)は、ポリウレタン反応を触媒するアミン触媒又は塩基性触媒を含まない。
【0077】
また、本発明は、上記の方法により得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンに関する。
【0078】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法
本発明はまた、少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを、繊維複合材の製造、好ましくは繊維の含浸に使用する方法に関する。
【0079】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを使用する方法について、コンパクトなポリウレタンに関するセクションで既に述べた説明は、ポリイソシアネート組成物(i)にも適用される。
【0080】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する。
【0081】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。3~6の官能価を有するポリオールスターター(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)の反応における(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒の使用は、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、ポリエーテルポリオール(ii.1)に存在するヒドロキシル基の50%以上が一級ヒドロキシル基であるという結果、すなわち、形成されるヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基であるという結果を得ることができる。
【0082】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する。
【0083】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される。
【0084】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、(ii.1)のポリエーテルポリオールのポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化5】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)。
【0085】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である。
【0086】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0087】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは上記の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化6】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数、好ましくはゼロ又は1~4の範囲の整数、より好ましくはゼロ又は1~3の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)。好ましくは、l、m、n及びoはすべて1であり、p、q及びrは、独立して、0~2の値を取る。
【0088】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない。850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを使用する方法の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、一段階の合成工程で、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われる。ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、ポリエーテルオールの合成後に任意に除去することができるが、好ましくは生成物中に残る。
【0089】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する。好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない。より好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。エチレンオキシドを使用しない場合、又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのみを使用する場合であっても、本発明によるホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、50%以上の一級ヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が得られ、すなわち、ポリエーテルポリオール(ii.1)中のヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基である。
【0090】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、このさらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである。
【0091】
850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法の一実施態様において、さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルポリオール及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルポリオールからなる群から選択される。使用されるヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルポリオール及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルポリオールに関する詳細は、コンパクトなポリウレタンに関して冒頭ですでに説明されており、これらの詳細は同様に、ここに記載の使用方法にも適用され、ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない。
【0092】
使用方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物として1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、すべてのポリオールは、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずにのみ調製されている。微量のKOH/CsOH/アミンは、PU製造の触媒として、及びまた水とイソシアネートの反応の触媒として機能する。したがって、本発明は、これらの成分を含まないポリオール及び原材料を使用する。また、塩が大幅に除去されるように精製されているKOHの触媒作用で調製したポリオールの使用により、高い大気湿度でイソシアネートと反応させる場合に発泡材料が得られる。
【0093】
使用方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである。
【0094】
好ましくは、ポリオール成分の組成は、ここで、好ましくは1000mPas未満の25℃での粘度を有するように調整される。
【0095】
繊維複合材
本発明はまた、以下の成分:
a)少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタン、
b)前記コンパクトなポリウレタンに少なくとも部分的に埋め込まれている繊維
を含む繊維複合材に関する。
【0096】
繊維複合材の一実施態様において、コンパクトなポリウレタンは、成分(i)、(ii)、及び添加剤ii.1.4)として少なくとも1種の脱気剤を反応させることにより得られる又は得ることができる。繊維複合材に関して、コンパクトなポリウレタンに関するセクションで既に述べた説明は、ポリイソシアネート組成物(i)にも適用される。
【0097】
繊維複合材の一実施態様において、コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する。
【0098】
繊維複合材の一実施態様において、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。3~6の官能価を有するポリオールスターター(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)の反応における(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒の使用は、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、ポリエーテルポリオール(ii.1)に存在するヒドロキシル基の50%以上が一級ヒドロキシル基であるという結果、すなわち、形成されるヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基であるという結果を得ることができる。
【0099】
繊維複合材の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。繊維複合材の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する。
【0100】
繊維複合材の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される。
【0101】
繊維複合材の一実施態様において、(ii.1)のポリエーテルポリオールのポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化7】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)。
【0102】
繊維複合材の一実施態様において、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である。
【0103】
繊維複合材の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1500mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1300mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0104】
繊維複合材の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは上記の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化8】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数、好ましくはゼロ又は1~4の範囲の整数、より好ましくはゼロ又は1~3の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)。好ましくは、l、m、n及びoはすべて1であり、p、q及びrは、独立して、0~2の値を取る。
【0105】
繊維複合材の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない。繊維複合材の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、一段階の合成工程で、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われる。ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、ポリエーテルオールの合成後に任意に除去することができるが、好ましくは生成物中に残る。
【0106】
繊維複合材の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する。より好ましくは、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない。エチレンオキシドを使用しない場合、又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのみを使用する場合であっても、本発明によるホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、50%以上の一級ヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が得られ、すなわち、ポリエーテルポリオール(ii.1)中のヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基である。
【0107】
繊維複合材の好ましい実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオール、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。
【0108】
繊維複合材の一実施態様において、好ましい繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、天然繊維、例えばセルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、ザイロン繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール))、炭化ケイ素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、及びこれらの組み合わせである。これらは、例えば、短い又は長いガラス繊維、連続繊維、敷き詰められたスクリム(laid scrims)、編物、ランダムに敷き詰められた繊維マット(random-laid fiber mats)、及び同一又は異なる繊維配向を有するプライの形態をとることができる。繊維を濡らすための技術は、特に制限されず、よく知られている。例えば、これらは、フィラメント巻き付けプロセス、引抜成形プロセス、手動ラミネーションプロセス、RTMプロセス、及び注入プロセス、例えば真空注入プロセスを包含する。
【0109】
繊維複合材の一実施態様において、ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、このさらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである。ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである。
【0110】
繊維複合材の一実施態様において、さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される。使用されるヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、ホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルポリオール及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルポリオールに関する詳細は、コンパクトなポリウレタンに関して冒頭ですでに説明されており、これらの詳細は同様に、ここに記載の繊維複合材にも適用される。ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を使用せずに調製され、ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない。
【0111】
好ましい繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、天然繊維、例えばセルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、ザイロン繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール))、炭化ケイ素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、及びこれらの組み合わせである。これらは、例えば、短い又は長いガラス繊維、連続繊維、敷き詰められたスクリム、編物、ランダムに敷き詰められた繊維マット、及び同一又は異なる繊維配向を有するプライの形態をとることができる。繊維を濡らすための技術は、特に制限されず、よく知られている。例えば、これらは、フィラメント巻き付けプロセス、引抜成形プロセス、手動ラミネーションプロセス、樹脂トランスファー成形(RTM)プロセス、及び注入プロセス、例えば真空注入プロセスを包含する。
【0112】
繊維複合材の製造方法
本発明はまた、繊維複合材の製造方法に関し、この方法が、
1)繊維を提供する工程と、
2)少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を提供する工程と、
3)工程2)の成分i)及びii)を混合して反応性混合物を得る工程と、
4)前記繊維に工程3)で得られた反応性混合物を含浸させる工程と、
5)前記反応性混合物を硬化させて繊維複合材を得る工程であって、ポリウレタンが、コンパクトであり、850g/l以上の密度を有する、工程と
を含む。
【0113】
繊維複合材の製造方法について、コンパクトなポリウレタンに関するセクションで既に述べた説明は、ポリイソシアネート組成物(i)にも適用される。
【0114】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する。
【0115】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。3~6の官能価を有するポリオールスターター(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)の反応における(ii.1.3)のホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、ポリエーテルポリオール(ii.1)に存在するヒドロキシル基の50%以上が一級ヒドロキシル基であるという結果、すなわち、形成されるヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基であるという結果が得られる。
【0116】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0117】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する。
【0118】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される。
【0119】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、(ii.1)のポリエーテルポリオールのポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化9】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)。
【0120】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、より好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である。
【0121】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0122】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは上記の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化10】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数、好ましくはゼロ又は1~4の範囲の整数、より好ましくはゼロ又は1~3の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)。好ましくは、l、m、n及びoはすべて1であり、p、q及びrは、独立して、0~2の値を取る。
【0123】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない。繊維複合材の製造方法の一実施態様において、(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、一段階の合成工程で、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われる。ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、ポリエーテルオールの合成後に任意に除去することができるが、好ましくは生成物中に残る。
【0124】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する。
【0125】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない。エチレンオキシドを使用しない場合、又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのみを使用する場合であっても、本発明によるホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の使用により、それぞれの場合にポリエーテルポリオール(ii.1)中のすべてのヒドロキシル基の全体に基づいて、50%以上の一級ヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が得られ、すなわち、ポリエーテルポリオール(ii.1)中のヒドロキシル基の最大50%が二級ヒドロキシル基である。
【0126】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。
【0127】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、ここで、このさらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである。
【0128】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである。
【0129】
繊維複合材の製造方法の一実施態様において、さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される。使用されるヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、ホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルポリオール及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルポリオールに関する詳細は、コンパクトなポリウレタンに関して冒頭ですでに説明されており、これらの詳細は同様に、ここに記載の繊維複合材の製造方法にも適用される。ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製され、ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない。
【0130】
好ましくは、ポリオール成分の組成は、好ましくは1000mPas未満の25℃での粘度(DIN 53019-1~3に従って測定された)を有するように調整される。好ましくは、ポリオール成分(ii)の23℃での粘度(DIN 53019-1~3に従って測定された)は500mPas未満である。
【0131】
好ましい繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、天然繊維、例えばセルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、ザイロン繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール))、炭化ケイ素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、及びこれらの組み合わせである。これらは、例えば、短い又は長いガラス繊維、連続繊維、敷き詰められたスクリム、編物、ランダムに敷き詰められた繊維マット、及び同一又は異なる繊維配向を有するプライの形態をとることができる。繊維を濡らすための技術は、特に制限されず、よく知られている。例えば、これらは、フィラメント巻き付けプロセス、引抜成形プロセス、手動ラミネーションプロセス、RTMプロセス、及び注入プロセス、例えば真空注入プロセスを包含する。
【0132】
本発明は、以下の実施態様、及び対応する従属参照及び他の参照から生じる実施態様の組み合わせによって、より詳細に説明される。特に、例えば「実施態様1から4のいずれか一項に記載の方法」といった表現の文脈で、実施態様の範囲が言及されるあらゆる場合において、この範囲内の各実施態様は、当業者に明示的に開示されているとみなされ、すなわち、この表現の文言は、「実施態様1、2、3、及び4のいずれか一項に記載の方法」と同義であると当業者に理解されることに留意すべきである。
【0133】
1.少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタン。
【0134】
2.850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する、実施態様1に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0135】
3.(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、実施態様1又は2に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0136】
4.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様1から3のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0137】
5.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する、実施態様1から4のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0138】
6.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される、実施態様1から5のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0139】
7.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)の前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化11】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)、実施態様1から6のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0140】
8.前記式(I)の前記少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である、実施態様7に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0141】
9.前記トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様7又は8に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0142】
10.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは実施態様7又は8に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化12】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)、実施態様1から9のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0143】
11.(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない、実施態様1から10のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0144】
12.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する、実施態様1から11のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0145】
13.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施態様1から12のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0146】
14.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施態様1から13のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0147】
15.前記ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである、実施態様1から14のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0148】
16.前記ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、前記ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである、実施態様15に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0149】
17.前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルポリオール及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルポリオールからなる群から選択される、実施態様15又は16に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0150】
18.ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは、塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される、実施態様15から17のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0151】
19.前記ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない、実施態様15から18のいずれか一項に記載のコンパクトなポリウレタン。
【0152】
20.850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法であって、少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
の反応を含む、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0153】
21.前記コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する、実施態様20に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0154】
22.(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、実施態様20又は21に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0155】
23.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様20から21のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0156】
24.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する、実施態様20から23のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0157】
25.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される、実施態様20から24のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0158】
26.(ii.1)の前記ポリエーテルポリオールの前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化13】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)、実施態様20から25のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0159】
27.前記式(I)の前記少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である、実施態様26に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0160】
28.前記トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様26又は27に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0161】
29.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは実施態様26又は27に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化14】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)、実施態様26から28のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0162】
30.(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない、実施態様20から29のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0163】
31.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する、実施態様20から30のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0164】
32.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施態様20から31のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0165】
33.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施態様20から32のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0166】
34.前記ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである、実施態様20から33のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0167】
35.前記ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、前記ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである、実施態様34に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0168】
36.前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルポリオール及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルポリオールからなる群から選択される、実施態様34又は35に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0169】
37.ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは、塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される、実施態様34から36のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0170】
38.前記ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない、実施態様34から37のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンの製造方法。
【0171】
39.実施態様20から38のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタン。
【0172】
40.少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを、繊維複合材の製造、好ましくは繊維の含浸に使用する方法。
【0173】
41.前記コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する、実施態様40に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0174】
42.(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、実施態様40又は41に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0175】
43.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様40から42のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0176】
44.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する、実施態様40から43のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0177】
45.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される、実施態様40から44のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0178】
46.(ii.1)の前記ポリエーテルポリオールの前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化15】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)、実施態様40から45のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0179】
47.前記式(I)の前記少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である、実施態様46に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0180】
48.前記トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様46又は47に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0181】
49.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは実施態様46又は47に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化16】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)、実施態様40から48のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0182】
50.(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない、実施態様40から49のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0183】
51.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する、実施態様40から50のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0184】
52.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施態様40から51のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0185】
53.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施態様40から52のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0186】
54.前記ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである、実施態様40から53のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0187】
55.前記ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、前記ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである、実施態様54に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0188】
56.前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される、実施態様54又は55に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0189】
57.ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される、実施態様40から56のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0190】
58.前記ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない、実施態様40から57のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0191】
59.フィラメント巻き付けを製造方法として使用する、実施態様40から58のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0192】
60.真空注入を製造方法として使用する、実施態様40から58のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0193】
61.樹脂トランスファー成形を製造方法として使用する、実施態様40から58のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0194】
62.引抜成形を製造方法として使用する、実施態様40から58のいずれか一項に記載の850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタンを繊維複合材の製造に使用する方法。
【0195】
63.以下の成分:
a)少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる、850g/l以上の密度を有するコンパクトなポリウレタン、
b)前記コンパクトなポリウレタンに少なくとも部分的に埋め込まれている繊維
を含む、繊維複合材。
【0196】
64.前記コンパクトなポリウレタンは、成分(i)、(ii)、及び添加剤ii.1.4)として少なくとも1種の脱気剤を反応させることにより得られる又は得ることができる、実施態様63に記載の繊維複合材。
【0197】
65.前記コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する、実施態様63又は64に記載の繊維複合材。
【0198】
66.(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、実施態様63から65のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0199】
67.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様63から66のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0200】
68.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する、実施態様63から67のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0201】
69.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される、実施態様63から68のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0202】
70.(ii.1)の前記ポリエーテルポリオールの前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化17】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)、実施態様63から69のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0203】
71.前記式(I)の前記少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である、実施態様70に記載の繊維複合材。
【0204】
72.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1500mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1300mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様70又は71に記載の繊維複合材。
【0205】
73.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは実施態様70又は71に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化18】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)、実施態様63から72のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0206】
74.(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない、実施態様63から73のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0207】
75.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する、実施態様63から74のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0208】
76.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施態様63から75のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0209】
77.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオール、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施態様63から76のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0210】
78.前記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、天然繊維、例えばセルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、ザイロン繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール))、炭化ケイ素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、及びこれらの組み合わせから選択される、実施態様63から77のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0211】
79.前記繊維は、短い又は長いガラス繊維、連続繊維、敷き詰められたスクリム、編物、ランダムに敷き詰められた繊維マット、及び同一又は異なる繊維配向を有するプライの形態をとる、実施態様63から78のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0212】
80.前記ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである、実施態様63から79のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0213】
81.前記ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、前記ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである、実施態様80に記載の繊維複合材。
【0214】
82.前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される、実施態様80又は81に記載の繊維複合材。
【0215】
83.ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは塩基性触媒アミン触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される、実施態様63から82のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0216】
84.前記ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない、実施態様63から83のいずれか一項に記載の繊維複合材。
【0217】
85.繊維複合材の製造方法であって、
1)繊維を提供する工程と、
2)少なくとも以下の成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物であって、前記少なくとも1種のポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3又は4の官能価を有するポリオールスターターを
ii.1.2)プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)、及び
ii.1.4)任意にさらなる助剤及び/又は添加剤の存在下で、
反応させることによって得られる又は得ることができ、前記ポリエーテルポリオール(ii.1)が50~150g/molの等価分子量を有する、ポリオール組成物
を提供する工程と、
3)工程2)の成分i)及びii)を混合して反応性混合物を得る工程と、
4)前記繊維に工程3)で得られた前記反応性混合物を含浸させる工程と、
5)前記反応性混合物を硬化させて繊維複合材を得る工程であって、ポリウレタンが、コンパクトであり、850g/l以上の密度を有する、工程と
を含む、繊維複合材の製造方法。
【0218】
86.前記コンパクトなポリウレタンは、850~1250g/lの範囲の密度、好ましくは850~1100g/lの範囲の密度を有する、実施態様85に記載の繊維複合材の製造方法。
【0219】
87.(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、式BR(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子、過フッ素化されたC1~C10アルキル基及び過フッ素化されたC6~C12アリール基からなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRは同一である)を有し、より好ましくは、(ii.1.3)の前記ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒は、三フッ化ホウ素(BF)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CB、及びBFと(CBとの混合物から選択され、より好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、実施態様85又は86に記載の繊維複合材の製造方法。
【0220】
88.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、400mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは400~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1200mg KOH/gの範囲、より好ましくは450~1000mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様85から87のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0221】
89.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、50~140g/molの範囲、好ましくは55~135g/molの範囲、より好ましくは60~130g/molの範囲の等価分子量を有する、実施態様85から88のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0222】
90.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリイソシアネート組成物(i)及びポリオール組成物(ii)の総質量が100質量%であることに基づいて、10質量%~50質量%で使用される、実施態様85から89のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0223】
91.(ii.1)の前記ポリエーテルポリオールの前記ポリオールスターター(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくはグリセロール以外の3の官能価を有するトリオール、より好ましくは式(I)のトリオールである、
【化19】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)、実施態様85から90のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0224】
92.前記式(I)の前記少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~3の範囲の整数であり、より好ましくは、l、m、n及びoはすべて1である、実施態様91に記載の繊維複合材の製造方法。
【0225】
93.前記トリオール(ii.1.1)は、200~2000mg KOH/gの範囲、好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲、より好ましくは400~1850mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様91又は92に記載の繊維複合材の製造方法。
【0226】
94.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、グリセロール以外のトリオール、好ましくは実施態様91又は92に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II)を有する、
【化20】
(式中、l、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数であり、
p、q及びrは、それぞれ独立して、ゼロ又は1~6の範囲の整数であり、
、X及びXは、それぞれ独立して、-CH-CH(CH)-O-基又は-CH-CH(CH-CH)-O-基であり、好ましくは、X、X及びXはそれぞれ、-CH-CH(CH)-O-基である)、実施態様85から93のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0227】
95.(ii.1.1)と(ii.1.2)の反応は、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒(ii.1.3)の存在下でのみ行われ、さらなるアルコキシル化触媒を使用しない、実施態様85から94のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0228】
96.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、エチレンオキシドをベースとする末端基を持たず、好ましくはプロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有する、実施態様85から95のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0229】
97.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基及び/又はブチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、エチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施態様85から96のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0230】
98.前記ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオールスターター、特にトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド(ii.1.2)との反応によってのみ、好ましくはトリオール(ii.1.1)とプロピレンオキシドとの反応によってのみ製造され、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施態様85から97のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0231】
99.前記ポリオール組成物ii)は1種以上のさらなるポリオールを含み、前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、アルカリ金属触媒又はアミン触媒によるアルコキシル化を行わずに調製されたポリオールのみである、実施態様85から98のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0232】
100.前記ポリオール組成物ii)中のアルカリ金属塩の残留量は、前記ポリオール組成物ii)の総質量に基づいて、n<0.5ppmである、実施態様99に記載の繊維複合材の製造方法。
【0233】
101.前記さらなるポリオール(単数又は複数)は、ヒドロキシル官能化された疎水性化合物、油脂化学ポリオール、及びホウ素含有ルイス酸、任意にポリエステルオール(ポリエステルポリオール)及び任意に鎖延長剤の存在下でアルコキシル化されたポリエーテルオール(ポリエーテルポリオール)からなる群から選択される、実施態様99又は100に記載の繊維複合材の製造方法。
【0234】
102.ポリオール組成物(ii)のすべてのポリオールは塩基性触媒又はアミン触媒を使用せずに調製される、実施態様85から101のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0235】
103.前記ポリオール組成物(ii)はアミン触媒又は塩基性触媒を含まない、実施態様85から102のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0236】
104.前記ポリオール成分(ii)の23℃での粘度(DIN 53019-1~3に従って測定された)は1000mPas未満である、実施態様85から103のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0237】
105.前記ポリオール成分(ii)の23℃での粘度(DIN 53019-1~3に従って測定された)は500mPas未満である、実施態様85から104のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
【0238】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の主題に関して決して限定するものではない。
【実施例
【0239】
化学品
【0240】
【表1】
【0241】
試験方法:
粘度はDIN 53019-1~3に従い、
ショアD硬度試験はDIN ISO 7619-1に従い、
3点曲げ試験はDIN EN ISO 178に従い、
引張強度はDIN EN ISO 527に従い、
シャルピー衝撃抵抗(フラットワイズ)はDIN EN ISO 179-1/1fUに従い、
熱変形温度:HDT-B-f、DIN EN ISO 75に従い、0.45MPaでフラットワイズ、
ヒドロキシル価(OH価、OHN):DIN 53240、
密度測定(浮力法):DIN EN ISO 1183-1。
【0242】
ポリオール1~7の調製
ポリオール1
ポリオール1は、810mg KOH/gのOH価、及び1275mPasの25℃での粘度を有するグリセロールプロポキシレートであった。KOHの触媒作用で標準条件下でポリオールを調製した。残留アルカリ度は98ppmであった。
【0243】
ポリオール2
最初に、198.72gのトリメチロールプロパン及び1.80gのKOH水溶液(50質量%)を、25℃で600mlの反応器に投入した。その後、これを窒素で3回不活性化した。攪拌しながら容器を102℃に加熱し、スターター混合物を減圧下で1時間乾燥させた。その後、250.38gのプロピレンオキシドを4時間かけて計量投入した。2時間の反応時間の後、反応器を完全真空下で20分間排気した後、50℃に冷却した。得られた生成物(430g)は、以下のパラメーターを有していた:
ヒドロキシル価(OHN)、550mg KOH/g
粘度(25℃)、2040mPas。
【0244】
ポリオール3
最初に、1191gのトリメチロールプロパン及び0.90gのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを、25℃で5lの反応器に投入した。その後、これを窒素で3回不活性化した。撹拌しながら容器を102℃に加熱し、スターター混合物を減圧下で1時間乾燥させた。その後、2508gのプロピレンオキシドを3.5時間かけて計量投入した。2時間の反応時間の後、反応器を完全真空下で20分間排気した後、50℃に冷却した。得られた生成物(4450g)は、以下のパラメーターを有していた:
ヒドロキシル価(OHN)、550mg KOH/g
粘度(25℃)、1860mPas。
【0245】
ポリオール4
ポリオール4は、550mg KOH/gのOH価、及び655mPasの25℃での粘度を有するグリセロールプロポキシレートであった。BF3エーテラート(混合物全体に基づいて0.11質量%)を使用して、カチオン触媒作用でポリオールを調製した。反応温度は105℃であった。
【0246】
ポリオール5
ポリオール5は、アルカリ度を下げたポリオール1に対応した。残留アルカリ度は15ppmであった。
【0247】
ポリオール6
最初に、198.9gのトリメチロールプロパン及び0.50gのBFエーテラートを25℃で600mlの反応器に投入した。その後、これを窒素で3回不活性化した。攪拌しながら容器を102℃に加熱した。その後、250.6gのプロピレンオキシドを3.5時間かけて計量投入した。2時間の反応時間の後、反応器を完全な真空下で120分間排気した後、50℃に冷却した。得られた生成物(400g)は、以下のパラメーターを有していた:
ヒドロキシル価(OHN)、550mg KOH/g
粘度(25℃)、1195mPas。
【0248】
ポリオール7
最初に、198.72gのトリメチロールプロパンを25℃で600mlの反応器に投入した。その後、これを窒素で3回不活性化した。撹拌しながら反応器を102℃に加熱し、スターターを減圧下で1時間乾燥させた。その後、250.38gのプロピレンオキシドを4時間かけて計量投入した。32時間の反応時間の後、TMPと3個のプロピレンオキシドの付加生成物に関して、収率は10%未満であった。
【0249】
この無触媒の反応レジームは産業界では経済的に利用できないため、反応を中止した。同じ反応条件下で、ポリオール1~6は、6時間の反応時間の後にほぼ完全に変換される。
【0250】
参考例1-コンパクトなポリウレタンからの試験シートの製造
イソシアネート以外のすべての出発材料(典型的なバッチサイズ:300gのポリオール成分)を減圧下で室温で混合した。その後、イソシアネートを添加し、混合物をSpeedmixer(FA Hauschild)で60秒間混合した。その後、反応混合物を20×30×0.4cm又は20×30×0.2cmの金型中に流し込み、ドクターブレードで余分な樹脂を除去し、80℃で1時間、次いで120℃で2時間硬化させた。室温で1週間保存した後,材料から試験試料を粉砕した。
【0251】
参考例2-フィラメント巻き付けプロセスを使用した、コンパクトなポリウレタン及びガラス繊維からの繊維複合材の製造
抽出システムを備えたハウジングの中に設置している従来のフィラメント巻き付けユニットを使用した。加湿器を使用して、ハウジング内の所望の大気湿度を設定した。ハウジング内に取り付けられた連続ガラス繊維を有するボビンを使用した。ガラス繊維は、まだ充填されていない含浸槽に導かれた後、敷設ヘッドを介してマンドレルに敷設された。マンドレルの両端を回転装置に取り付けた。キャリッジに含浸槽及び敷設ヘッドを設置しており、キャリッジによってマンドレルの長さに合わせて繊維を敷設することができる。キャリッジの動き、マンドレルの回転、及びマンドレル上の繊維の意図された敷設角度を時間の関数としてプログラムし、次に巻取りソフトウェアで制御した。使用したガラス繊維は、3BからのSE3030ガラス繊維(ホウ素を含まないガラス繊維、フィラメント径が17μmで、テックスが2400(g/km)である)であった。選択した巻き付けパターンは、2つの円周プライ、1つのプライ+/-45°、及び2つの円周プライであった。25℃の温度、及び85%の大気湿度で、試験を行った。
【0252】
試験開始時に、イソシアネート以外のすべての出発材料(典型的なバッチサイズ:100gのポリオール成分)を室温で混合した。その後、イソシアネートを添加し、混合物をSpeedmixer(FA Hauschild)で60秒間混合した。その後、材料を含浸槽中に充填した。その後、樹脂を含浸させたロービングをマンドレルに敷き詰めて固定できるまで、手動でロービングを引き伸ばした。その後、巻き付けプログラムを開始し、ポリウレタンを含浸させたガラス繊維の複数のプライをマンドレルに敷き詰めた。巻き付けプロセス終了後、ガラス繊維を切断し、材料を室温で1時間硬化させた。その後、80℃で1時間、120℃で2時間、硬化させた。
【0253】
部品表面の品質を目視で評価した:
1:微小気泡のない滑らかな表面、
2:少量の微小気泡を有する比較的滑らかな表面、
3:大量の微小気泡、
4:粗い、泡状の要素表面、
5:1mm超の直径を有する気泡が多く、白い、泡状の要素表面。
【0254】
実施例1~3-プロポキシル化のためのフッ化ボラン触媒を用いて製造した、TMP開始ポリオールをベースとするコンパクトなポリウレタンの製造
試験試料及び巻きポリウレタンを含浸させたガラス繊維を、参考例1及び参考例2の手順に従って製造したが、いずれの場合も、プロポキシル化のためのフッ素化ボラン触媒を用いて製造したTMP開始ポリオールを使用した。表1は、出発材料及びその量、及びまた個別に得られたポリウレタン及び得られた繊維複合材の特性を示している。
【0255】
比較例1~3-プロポキシル化のための触媒としてKOHを用いて製造した、TMP開始ポリオールをベースとするコンパクトなポリウレタンの製造
試験試料及び巻きポリウレタンを含浸させたガラス繊維を、参考例1及び参考例2の手順に従って製造したが、いずれの場合も、プロポキシル化のための触媒としてKOHを用いて製造したTMP開始ポリオールを使用した。表1は、出発材料及びその量、及びまた比較例1~3の個別に得られたポリウレタン及び対応して得られた繊維複合材の特性を示している。
【0256】
【表2】
【0257】
ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランによる触媒作用下で、トリオール、特にTMPからプロポキシル化によって製造されたポリオールを使用すると、60超、特に70超の改善された耐衝撃性を有するコンパクトなポリウレタンが得られることが見出された。さらに、ショアD硬度は、KOHの触媒作用で製造された異なるポリオールを使用して製造されたポリウレタンの硬度と同等であった。驚いたことには、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランによる触媒作用下で、トリオール、特にTMPからプロポキシル化によって製造されたポリオールを使用して製造されたコンパクトなポリウレタンは、80MPa超の顕著に改善された引張強度を有していた。
【0258】
巻き付け試験では、ホウ素ベースのフッ素含有ルイス酸触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランによる触媒作用下で、トリオール、特にTMPからプロポキシル化によって製造されたポリオールを使用して製造されたコンパクトなポリウレタンを使用すると、望ましくない気泡の形成の回避に関して著しく良好な結果が得られることが見出された:巻き付け試験では、85%の高い大気湿度にもかかわらず、コンパクトなポリウレタンは、あったとしてもごくわずかな気泡の形成を示した一方、KOHの触媒作用で製造されたポリオールを使用した場合は、発泡、すなわち望ましくない気泡を形成した。触媒作用なしで合成された類似のポリオールは、経済的に調製することができない。
【0259】
引用文献
- Guenter Oertel,Polyurethane Handbook:Chemistry-Raw Materials-Processing-Application-Properties-1.1994年1月
- US 3,464,935 A
- T.Miyajimaら,Polymer Journal(2015年)47,771~778頁
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- US 6,531,566 B1
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- JP 2014-167105 A
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- M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,第17.1章
- M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,67~75頁
- Thomas Brock,Michael Groteklaes,Peter Mischke:Lehrbuch der Lacktechnologie[Textbook of Paint Technology].Ed.:Ulrich Zorll,第2版,Vincentz Verlag,Hanover 2000年,ISBN 978-3-87870-569-7,第2.4.2.1章,Entschaeumer und Entluefter[Defoamers and Deaerators],p.169 f.
- Kunststoffhandbuch,Band 7,Polyurethane,Carl Hanser Verlag,第3版,1993年,第3.1章
- 「Kunststoffhandbuch,Band 7,Polyurethane」,Carl Hanser Verlag,第3版,1993年,第3.4.4及び3.4.6~3.4.11章
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- EP 1 803 756 A1
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- M.Ionescu,Chemistry and Technology of Polyols,Rapra,2005年,245~247頁