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▶ バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】炭素ドープされた酸化ケイ素の堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20240910BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240910BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240910BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 C
H01L21/31 C
C23C16/455
C23C16/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021545720
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020016613
(87)【国際公開番号】W WO2020163359
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/801,248
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】メイリャン ワン
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリピン チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール.マクドナルド
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523638(JP,A)
【文献】特開2015-188087(JP,A)
【文献】特開2018-154615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0287164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0275355(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0223047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/318
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素ドープされた酸化ケイ素膜を基材に堆積するための方法であって、
a)基材を反応器中に提供する工程と;
b)式A~C:
【化1】
からなる群から選択され、式中、R1が、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C3~C10アルケニル基、C3~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基から選択され;R2が、水素、C1~C10直鎖アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群から選択され、式A又はBにおけるR1とR2とが、環状環構造を形成するように連結されているか、又は環状環構造を形成するように連結されていないかのいずれかであり;R3-9が、水素、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R10が、直鎖C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基及びC2~C10アルキニル基から選択される少なくとも1つの第一のケイ素前駆体を反応器中に導入する工程と;
c)パージガスを使用して反応器をパージして、基材に吸収されていない少なくとも1つの第一のケイ素前駆体のうち任意のものの少なくとも一部を除去する工程と;
d)酸素含有源を反応器中に導入して、少なくとも1つの第一のケイ素前駆体と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程と;
e)パージガスを使用して反応器をパージして、任意の未反応の酸素含有源の少なくとも一部を除去する工程と;
f)工程b)~e)を、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返す工程と;
g)R3 xSi(NR124-xの式を有し、式中、R1-3が上記のとおり規定され、x=1、2又は3である第二のケイ素前駆体を用いて酸化ケイ素膜を処理して、炭素ドープされた酸化ケイ素膜を形成する処理工程(ここで、第二のケイ素前駆体は、反応器中への酸素含有源の導入による酸素含有源と反応しない)と;
h)パージガスを使用して反応器をパージして、第二のケイ素前駆体を用いて酸化ケイ素膜を処理する処理工程による任意の副生成物の少なくとも一部を除去する工程と
を含み、前記方法が、20℃~300℃の範囲の1つ又は複数の温度で行われる、方法。
【請求項2】
1-2のそれぞれがC1~C4アルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1-3がメチル及びエチルからなる群からそれぞれ独立に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの第一のケイ素前駆体化合物が、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリル-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピペリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-2,5-ジメチルピペリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリル-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリル-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピペリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-2,5-ジメチルピペリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルアミノメチルシラン、ジエチルアミノメチルシラン、ジ-イソ-プロピルアミノメチルシラン、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン、シクロヘキシルメチルアミノメチルシラン及び2,6-ジメチルピペリジノメチルシランからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの第二のケイ素前駆体化合物が、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン及びトリス(ジメチルアミノ)エチルシランからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1:99のHF:水の希釈HF(0.5wt%dHF)酸の溶液において測定した場合に、2.5Å/sより小さい湿式エッチング速度と;二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定した場合に、5×1020at/ccより少ない水素不純物と;5.0以下の誘電率とからなる群から選択される特徴のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法によって堆積された、炭素ドープされた酸化ケイ素膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月5日に提出された米国仮出願62/801248号に対する優先権を主張していて、その全体の内容は、全ての可能な目的のために、その参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、炭素ドープされた酸化ケイ素膜を含むケイ素及び酸素を含有する膜を堆積するのに使用することができる有機ケイ素化合物、酸化ケイ素含有膜を堆積するためのその化合物を使用するための方法、並びにその化合物及び方法から得られる膜に関する。
【背景技術】
【0003】
原子層堆積(ALD)及びプラズマ強化原子層堆積(PEALD)は、例えば低温(<500℃)において酸化ケイ素コンフォーマル膜を堆積するのに使用されるプロセスである。ALDプロセス及びPEALDプロセスの両方において、前駆体と反応性ガス(例えば酸素又はオゾン)とは、分離して特定のサイクル数でパルスされて、それぞれのサイクルにおいて酸化ケイ素の単層を繰り返し形成する。
【0004】
有機アミノシラン及びクロロシラン前駆体は、当分野において公知であり、原子層堆積(ALD)プロセス及びプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、比較的低温(<300℃)で、比較的大きいサイクル当たりの成長速度(GPC(growth per cycle)>1.0Å/サイクル)で、ケイ素含有膜を堆積するのに使用することができる。当分野において、電子産業における特定の用途のために、高い炭素含有量(例えばX線光電子分光法(XPS)によって測定した場合に約10at%以上の炭素含有量)のケイ素含有膜を堆積するための組成物及びその組成物を使用する方法を提供する要求がある。炭素ドープされたケイ素含有膜の幾つかの重要な特徴は、湿式エッチング耐性及び疎水性である。一般的にいえば、ケイ素含有膜への炭素の導入は、湿式エッチング速度を低下させ、かつ疎水性を上昇させることを助ける。ケイ素含有膜への炭素の添加のさらなる利点は、誘電率を低下させること、及び/又は膜の他の電気的若しくは物理的特徴に対する改善を提供することを含む。
【0005】
公知の前駆体及び方法の例は、以下の刊行物、特許及び特許出願において開示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2015/087139号明細書は、熱ALDプロセス又はPEALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積するための、アミノ官能化されたカルボシランの使用を説明している。
【0007】
米国特許第9337018号明細書は、熱ALDプロセス又はPEALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積するための有機アミノジシランの使用を説明している。
【0008】
米国特許第8940648号、9005719号及び8912353号明細書は、熱ALDプロセス又はPEALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積するための有機アミノシランの使用を説明している。
【0009】
米国特許出願公開第2015/275355号明細書は、熱ALDプロセス又はPEALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積するためのモノ及びビス(有機アミノ)アルキルシランの使用を説明している。
【0010】
米国特許出願公開第2015/376211号明細書は、熱ALDプロセス又はPEALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積するためのモノ(有機アミノ)置換された、ハライド置換された、及び擬ハライド置換されたトリシリルアミンの使用を説明している。
【0011】
国際公開第15/105350号は、熱ALDプロセス又はPEALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積するための、少なくとも1つのSi-H結合を有する4員環のシクロジシラザンの使用を説明している。
【0012】
米国特許第8575033号明細書は、基材表面への炭化ケイ素膜の堆積のための方法を説明している。方法は、気相カルボシラン前駆体の使用を含み、プラズマ強化原子層堆積プロセスを用いる場合がある。
【0013】
米国特許出願公開第2013/0224964号明細書は、原子層堆積(ALD)によって、半導体基材に、Si-C結合を有する誘電体膜を形成する方法であって、(i)基材の表面に前駆体を吸着させる工程;(ii)吸着された前駆体と反応体ガスとを基材上で反応させる工程;並びに(iii)工程(i)及び(ii)を繰り返して、少なくともSi-C結合を有する誘電体膜を基材に形成する工程を含む方法を教示している。
【0014】
米国特許出願公開第2014/302688号明細書は、化学気相堆積チャンバーにおけるプラズマフリーの基材処理領域において、ケイ素及び炭素を含有する前駆体とラジカル酸素前駆体とを結合させることを含む場合がある、パターニングされた基材に誘電体層を形成するための方法を説明している。ケイ素及び炭素を含有する前駆体とラジカル酸素前駆体とが反応して、流動可能なケイ素-炭素-酸素層をパターニングされた表面に堆積する。
【0015】
米国特許出願公開第2014/302690号明細書は、低誘電率(low-k)誘電体材料を基材に形成するための方法を説明している。方法は、非励起前駆体を遠隔プラズマ領域中に流動させることによってラジカル前駆体を生成する工程と、ラジカル前駆体を気相ケイ素前駆体と反応させて、流動可能な膜を基材に堆積する工程とを含む場合がある。気相ケイ素前駆体は、少なくとも1つのケイ素及び酸素を含有する化合物と、少なくとも1つのケイ素及び炭素リンカーとを含む場合がある。流動可能な膜を硬化して、低誘電率誘電体材料を形成する場合がある。
【0016】
米国特許出願公開第2014/051264号明細書は、初期に流動可能な誘電体膜を基材に堆積する方法を説明している。方法は、基材を含有する堆積チャンバーにケイ素含有前駆体を導入することを含む。方法は、堆積チャンバーの外部に位置する遠隔プラズマシステムを用いて、少なくとも1つの励起された前駆体を、例えばラジカル窒素又は酸素前駆体を生成することをさらに含む。励起された前駆体もまた堆積チャンバーに導入され、堆積チャンバーで、反応領域においてケイ素含有前駆体と反応して、初期に流動可能な膜を基材に堆積する。流動可能な膜は、例えば蒸気環境で、処理されて、酸化ケイ素膜を形成する場合がある。
【0017】
国際公開第14/134476号明細書は、SiCN及びSiCONを含む膜の堆積のための方法を説明している。特定の方法は、基材表面を第一の前駆体及び第二の前駆体にさらす工程を含み、第一の前駆体は式(Xy3-ySi)zCH4-z、(Xy3-ySi)(CH2)(SiXp2-p)(CH2)(SiXy3-y)又は(Xy3-ySi)(CH2n(SiXy3-y)を有し、式中、Xはハロゲンであり、yは1~3の値を有し、zは1~3の値を有し、pは0~2の値を有し、nは2~5の値を有していて、第二の前駆体は還元性アミンを含む。特定の方法は、SiCONを含む膜を提供するための、基材表面を酸素源にさらす工程をさらに含む。
【0018】
「Highly Stable Ultrathin Carbosiloxane Films by Molecular Layer Deposition」と題された参照文献、Han,Z.ら、Journal of Physical Chemistry C、2013、117、19967は、1,2-ビス[(ジメチルアミノ)ジメチルシリル]エタン及びオゾンを使用するカルボシロキサン膜の成長を教示している。熱安定性は、膜が40℃以下で安定であり、60℃で厚さ損失がほぼないことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
熱原子層堆積(ALD)プロセス又はプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによる低誘電率ケイ素含有膜、例えば、以下に限定するものではないが、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素又は炭素ドープされた酸化ケイ素のための要求がある。熱原子層堆積(ALD)プロセス又はプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによる堆積されたままのケイ素含有膜、例えば、以下に限定するものではないが、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素又は炭素ドープされた酸化ケイ素は、高い水分吸収による高いk値、膜中に含有された残留Si-OH基、又は低い膜密度による低いアッシング耐性を有する場合がある。ケイ素含有膜の比誘電率(k値)を低下させる方法もまた要求される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開発は、ケイ素及び炭素を含有する前駆体を提供することによって、従来の前駆体及びプロセスに関連する問題を解決するものであり、ケイ素及び炭素を含有する前駆体は、ケイ素及び酸素を含有する膜を堆積するプロセスの一部として、前駆体単位を基材の表面に固定するように作用する少なくとも1つの有機アミノ基を有する。
【0021】
化学量論的な又は非化学量論的なケイ素及び酸素を含有する材料又は膜の、例えば、以下に限定するものではないが、酸化ケイ素膜、炭素ドープされた酸化ケイ素膜、酸窒化ケイ素の膜又は炭素ドープされた酸窒化ケイ素膜の、比較的低温度における、例えば600℃以下の1つ又は複数の温度における、酸素含有反応体源、窒素含有反応体源又はそれらの組み合わせを有するプラズマ強化ALD(PEALD)、プラズマ強化サイクル性化学気相堆積(PECCVD)、プラズマ強化ALDと類似のプロセス又はALDプロセスにおける堆積のためのプロセスが本明細書において説明される。
【0022】
1つの態様において、ケイ素及び酸素を含む膜を基材に堆積するための方法が本明細書において説明されていて、方法は、(a)基材を反応器中に提供する工程と;(b)式A、B及びC:
【化1】
からなる群から選択され、式中、R1が、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C3~C10アルケニル基、C3~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基から選択され;R2が、水素、C1~C10直鎖アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群から選択され、式A、B又はCにおけるR1とR2とが、環状環構造を形成するように連結されているか、又は環状環構造を形成するように連結されていないかのいずれかであり;R3-9が、水素、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R10が、直鎖C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基及びC2~C10アルキニル基から選択される少なくとも1つのケイ素前駆体化合物を反応器中に導入する工程と;(c)パージガスを用いて反応器をパージする工程と;(d)酸素含有源及び窒素含有源のうち少なくとも1つを反応器中に導入する工程と;(e)パージガスを用いて反応器をパージする工程と(工程b~eは、所望の厚さの結果物であるケイ素含有膜が堆積されるまで繰り返される);(f)R3 xSi(NR124-xを用いて結果物であるケイ素含有膜を処理する工程であって、式中、R1-3が、先に記載されたものと同じ、好ましくはメチル又はエチルであり、x=1、2又は3である工程とを含み、方法は、約20℃~300℃の範囲の1つ又は複数の温度で行われる。
【0023】
上の化合物を製造する方法もまた、本明細書において開示される。
【0024】
さらに、化学処理によって、堆積されたままの膜を処理する、又は膜堆積物をキャッピングする方法が、本明細書において開示される。
【0025】
本発明の実施態様は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明を説明する文脈における(とりわけ以下の特許請求の範囲の文脈における)、用語「a」、「an」及び「the」並びに同様の指示語の使用は、他に本明細書において指示されない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方をカバーすると解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、他に記載されない限り、オープンエンドの用語(すなわち「含む(including)が、それらに限定されない」を意味する)として解釈される。本明細書における値の範囲の詳述は、本明細書において他に指示されない限り、その範囲内にあるそれぞれの個々の値を個別に参照する略記法として作用することを単に意図され、それぞれの個々の値は、それが個別に本明細書において詳述されたのと同様に、本明細書中に組み込まれる。本明細書において説明される全ての方法は、本明細書において他に支持されない限り、又は他に文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の適した順序で行うことができる。本明細書において提供される任意の及び全ての例又は例示的な語(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、他に主張されない限り、単に本発明をより良く明らかにすることが意図されていて、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書におけるいかなる語も、任意の主張されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈されるべきでない。
【0027】
約300℃以下又は約25℃~約300℃の、幾つかの実施態様においては、25℃~約300℃の1つ又は複数の温度での、化学量論的な又は非化学量論的なケイ素及び酸素を含む膜又は材料の、例えば、以下に限定するものではないが、酸化ケイ素膜、炭素ドープされた酸化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜、炭素ドープされた酸窒化ケイ素膜、又はそれらの組み合わせの形成に関連する組成物及び方法が本明細書において説明される。本明細書において説明される膜は、原子層堆積(ALD)などの堆積プロセスにおいて、又は以下に限定するものではないが、プラズマ強化ALD(PEALD)プロセス若しくはプラズマ強化サイクル性化学気相堆積プロセス(PECCVD)などのALDと類似のプロセスにおいて堆積される。本明細書において説明される低温(例えば、約周囲温度~600℃の範囲の1つ又は複数の堆積温度)堆積方法は、以下の利点:少ない化学不純物、熱原子層堆積、プラズマ強化原子層堆積(ALD)プロセス若しくはプラズマ強化ALDと類似のプロセスにおける高いコンフォーマル性、得られる膜における炭素含有量を調節する能力;及び/又は膜が、0.5wt%の希釈HFにおいて測定したときに、5オングストローム/秒(Å/sec)以下のエッチング速度を有することのうち少なくとも1つ又は複数を示す膜又は材料を提供する。炭素ドープされた酸化ケイ素膜について、他の特徴に加えて、例えば、以下に限定するものではないが、約1.4g/cc以上、約1.8g/cc以上又は約2.0g/cc以上の密度に加えて、0.5wt%の希釈HFにおいてエッチング速度を2Å/秒より小さい値に調節するために、1%より多い炭素が所望される。
【0028】
本明細書において開示される方法は、当分野において公知である設備を使用して行うことができる。例えば、方法は、半導体製造分野において従来型である反応器を用いることができる。
【0029】
いかなる理論又は説明によって拘束されることを望むものではないが、本明細書において開示される前駆体組成物の有効性は、ケイ素原子の数と、特にケイ素原子結合の数とに応じて変えることができると考えられる。典型的には、本明細書において開示される前駆体は、3~5個のケイ素原子と、5~8個のケイ素-酸素結合とを有する。
【0030】
本明細書において開示される前駆体は、当分野において公知であるものとは異なる構造を有し、従来のケイ素含有前駆体よりも良好に働いて、比較的大きいGPCを提供することができ、より高品質の膜をもたらすか、より好ましい湿式エッチング速度を有するか、又はより少ない元素汚染を有する。
【0031】
気相堆積プロセスを使用して炭素ドープされた酸化ケイ素膜を堆積するための方法であって、組成物が、式A、B又はC:
【化2】
を有し、式中、R1が、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C3~C10アルケニル基、C3~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基から選択され;R2が、水素、C1~C10直鎖アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群から選択され、式A又はBにおけるR1及びR2が、環状環構造を形成するように連結されているか、又は環状環構造を形成するように連結されていないかのいずれかであり;R3-9が、水素、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R10が、直鎖C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基及びC2~C10アルキニル基から選択される化合物を含む方法が本明細書において開示される。
【0032】
好ましい実施態様において、上の条件に従って、式A及びBについて、好ましい実施態様は、R1-9のそれぞれが水素又はメチルである化合物を含み、式Cについて、好ましい実施態様は、R1-2のそれぞれがC3~C4アルキルであり、R10がメチルである化合物を含む。
【0033】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「オリゴシロキサン」は、環状構造中に少なくとも3つの繰り返し-Si-O-シロキサン単位を含む化合物を意味する。
【0034】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アルキル」は、1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の官能基を意味する。例示的な直鎖アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基を含むが、それらに限定されない。例示的な分岐鎖アルキル基は、イソ-プロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、イソ-ヘキシル及びネオ-ヘキシルを含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、アルキル基は、アルキル基に結合された1つ又は複数の官能基を、例えば、以下に限定するものではないが、アルキル基に結合されたアルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はそれらの組み合わせを有してよい。他の実施態様において、アルキル基は、アルキル基に結合された1つ又は複数の官能基を有しない。アルキル基は、飽和であるか、又は代わりに不飽和であってよい。
【0035】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「環状アルキル」は、3~10個の炭素原子を有する環状官能基を意味する。例示的な環状アルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基を含むが、それらに限定されない。
【0036】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アルケニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有し、かつ2~10個又は2~6個の炭素原子を有する基を意味する。
【0037】
本明細書において説明される式において、及び本明細書を通じて、用語「ジアルキルアミノ」基、「アルキルアミノ」基又は「有機アミノ」基は、ある窒素原子に結合された2つのアルキル基又はある窒素原子に結合された1つのアルキルを有し、かつ1~10個、2~6個又は2~4個の炭素原子を有する基を意味する。その例は、HNMe、HNBut、NMe2、NMeEt、NEt2及びNPri 2を含むが、それらに限定されない。
【0038】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アリール」は、4~10個の炭素原子、5~10個の炭素原子又は6~10個の炭素原子を有する芳香族環状官能基を意味する。例示的なアリール基は、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル、o-キシリル、1,2,3-トリアゾリル、ピロリル及びフラニルを含むが、それらに限定されない。
【0039】
本明細書を通じて、用語「アルキル炭化水素」は、直鎖又は分岐鎖のC1~C20炭化水素、環状C6~C20炭化水素をいう。例示的な炭化水素は、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロオクタン、シクロノナン及びシクロデカンを含むが、それらに限定されない。
【0040】
本明細書を通じて、用語「アルコキシ」は、C1~C10の-OR1基をいい、R1は上で画定される。例示的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、イソ-プロポキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ及びフェノキシドを含むが、それらに限定されない。
【0041】
本明細書を通じて、用語「アッシング」は、酸素源を含むプラズマを使用して、例えばO2/不活性ガスプラズマ、O2プラズマ、CO2プラズマ、COプラズマ、H2/O2プラズマ又はそれらの組み合わせを使用して、半導体製造プロセスにおいて、フォトレジスト又は炭素ハードマスクを除去するプロセスをいう。
【0042】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「複素環」は、約3~約10個の環原子、好ましくは約5~約10個の環原子の非芳香族の飽和の単環式の又は多環式の環系を意味し、環系において、原子のうち1つ又は複数は炭素以外の元素、例えば窒素、酸素又は硫黄である。好ましい複素環は、約5~約6個の環原子を含有する。複素環の前の接頭語アザ、オキソ又はチオは、それぞれ、少なくとも1つの窒素、酸素又は硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。複素環基は、任意選択で置換されている。
【0043】
式A~Cを有する例示的なケイ素化合物が、表1a及び1bに記載される。
表1a.式A又はBを有する例示的なケイ素化合物
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
表1b.式Cを有する例示的なケイ素化合物
【表2】
好ましくは、本発明による式A、B又はCを有するケイ素前駆体化合物、及び本発明による式A又はBを有するケイ素前駆体化合物を含む組成物は、ハライドイオンを実質的に含有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に含有しない」は、ハライドイオン(又はハライド)、例えば塩化物(すなわち塩化物含有種、例えばHCl、又は少なくとも1つのSi-Cl結合を有するケイ素化合物)、フッ化物、臭化物及びヨウ化物に関するとき、ICP-MSによって測定した場合に(重量で)5ppmより少ないことを、好ましくはICP-MSによって測定した場合に3ppmより少ないことを、より好ましくはICP-MSによって測定した場合に1ppmより少ないことを、最も好ましくはICP-MSによって測定した場合に0ppmであることを意味する。塩化物は、式A~Cを有するケイ素前駆体化合物のための分解触媒として作用することが知られている。最終生成物中の有意なレベルの塩化物は、ケイ素前駆体化合物を分解させることができる。ケイ素前駆体化合物の緩やかな分解は、半導体製造者が膜の仕様を満たすことを困難にする膜堆積プロセスに直接的に影響を及ぼすことができる。加えて、貯蔵寿命又は安定性は、ケイ素前駆体化合物のより大きい分解速度によって負に影響を及ぼされ、それによって、1~2年の貯蔵寿命を保証することを困難にする。従って、ケイ素前駆体化合物の加速された分解は、これらの可燃性及び/又は自然発火性のガス状副生成物の形成に関連する安全性及び性能の懸念をもたらす。好ましくは、式A又はBを有するケイ素前駆体化合物は、金属イオン、例えばLi+、Mg2+、Al3+、Fe2+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+を実質的に含有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に含有しない」は、Li、Al、Fe、Ni、Crに関するとき、ICP-MSによって測定した場合に、(重量で)5ppmより少ないことを、好ましくは3ppmより少ないことを、より好ましくは1ppmより少ないことを、最も好ましくは0.1ppmより少ないことを意味する。幾つかの実施態様において、式Aを有するケイ素前駆体化合物は、金属イオン、例えばLi+、Mg2+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+を含有しない。本明細書において使用されるとき、用語、金属不純物を「含有しない」は、Li、Mg、Al、Fe、Ni、Cr、貴金属、例えば合成において使用されるルテニウム又は白金触媒に由来する揮発性Ru又はPt錯体に関するとき、ICP-MS又は金属を測定するための他の分析方法によって測定した場合に、(重量で)1ppmより少ないことを、好ましくは0.1ppmより少ないことを意味する。
【0044】
本発明の1つの実施態様において、炭素ドープされたケイ素及び酸素を含有する膜を、基材の少なくとも1つの表面に、20℃~300℃の温度で堆積するための方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.本明細書において説明される式A~Cを有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程と;
c.パージガスを用いて反応器をパージして、未吸収の前駆体の少なくとも一部を除去する工程と;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程と;
e.パージガスを用いて反応器をパージして、未反応の酸素含有源の少なくとも一部を除去する工程と;
f.工程b~eを、所望の厚さのケイ素含有膜が堆積されるまで繰り返す工程と;
g.R3 xSi(NR124-xの式を有し、式中、R1-3が、水素、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C3~C10アルケニル基、C3~C10アルキニル基、好ましくはメチル又はエチルからそれぞれ独立に選択され、x=1、2又は3であるケイ素前駆体によって、得られたケイ素含有膜を処理する工程と;
h.パージガスを用いて反応器をパージして、ケイ素含有膜上の表面ヒドロキシルと、R3 xSi(NR124-xの式を有するケイ素前駆体との反応による任意の副生成物の少なくとも一部を除去する工程と
を含む方法が、本明細書において説明される。
【0045】
特定の実施態様において、堆積プロセスの間に、工程b~fによって堆積されたままの膜は、工程g~hを使用して処理され、工程g~hは、例えば1回のALDサイクル、2回のALDサイクル、5回のALDサイクル又は10回以上のALDサイクルによって、全ての反応性ヒドロキシルが消費されるまで行われて、誘電率を5以下、好ましくは4以下、最も好ましくは3以下に減少させることができる。R3 xSi(NR124-xの式を有する例示的なケイ素前駆体は、以下に限定するものではないが、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン及びそれらの混合物を含む。幾つかの実施態様において、工程g~hは、所望の厚さについて工程b~fを行った後に、300℃~550℃の温度で行うことができる。
【0046】
別の特定の実施態様において、本明細書において説明される方法は、2つのケイ素含有膜を含むケイ素及び酸素を含有する膜を、基材に、20℃~300℃の温度で堆積する。方法は、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.本明細書において説明される式A~Cを有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程と;
c.パージガスを用いて反応器をパージして、未吸収の前駆体の少なくとも一部を除去する工程と;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程と;
e.パージガスを用いて反応器をパージして、未反応の酸素含有源の少なくとも一部を除去する工程と;
f.工程b~eを、所望の厚さの第一のケイ素含有膜が堆積されるまで繰り返す工程と;
g.式R3 xSi(NR124-xを有し、式中、R1-3が、水素、直鎖C1~C10アルキル基、分岐鎖C3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10複素環基、C3~C10アルケニル基及びC3~C10アルキニル基、好ましくはメチル又はエチルからそれぞれ独立に選択され、x=1、2、3である少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程と;
h.パージガスを用いて反応器をパージして、未吸収の前駆体の少なくとも一部を除去する工程と;
i.酸素含有源を反応器中に導入する工程と;
j.パージガスを用いて反応器をパージして、未反応の酸素含有源の少なくとも一部を除去する工程と:
k.工程g~jを、所望の厚さの第二のケイ素含有膜が堆積されるまで繰り返す工程と
を含む。
【0047】
1つの特定の実施態様において、堆積プロセスの間に、工程b~fによる第一のケイ素含有膜の所望の厚さは、10Å~500Å、10Å~100Å又は10Å~50Åである。工程g~kによる第二のケイ素含有膜の所望の厚さは、1Å~50Å、2Å~40Å、2Å~30Å、2Å~20Å又は2Å~10Åである。第二のケイ素含有膜は、第一のケイ素含有膜に対して、より高い密度及びより少ない炭素含有量を有し、従って、半導体製造プロセスの間の酸素アッシング耐性を提供し、第一のケイ素含有膜へのより少ない損傷をもたらす。式R3 xSi(NR124-x(式中、R3は水素であり、R2-3は、水素、直鎖C1~C5アルキル基、分岐鎖C3~C5アルキル基からそれぞれ独立に選択され、x=1、2である)を有する、この実施態様における例示的なケイ素前駆体は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン及びそれらの混合物を含む。幾つかの実施態様において、工程b~fは、20℃~150℃のより低い温度で行われて、炭素ドープされた酸化ケイ素中に残留する炭素含有量を最大化し、一方で、工程g~kは、200℃~300℃のより高い温度で行われて、より少ない炭素含有量を有する、より高密度の酸化ケイ素を提供して、第二のケイ素含有膜を、より良好なアッシング耐性にすることができる。特定の実施態様において、工程d及びiにおける酸素含有源は同じである。代わりの実施態様において、工程d及びiにおける酸素含有源は異なる。幾つかの実施態様において、工程g~hは、工程b~fが所望の厚さについて行われた後に、300℃~550℃の温度で行うことができる。
【0048】
本明細書において開示される方法は、以下の特徴:少なくとも約1.4g/cc以上、約1.8g/cc以上又は約2.1g/cc以上の密度と;1:100のHF:水の希釈HF(0.5wt% dHF)酸の溶液において測定した場合に、約2.5Å/sより小さい湿式エッチング速度と;二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定した場合に、約5×1020at/ccより少ない水素不純物とのうち少なくとも1つを備える炭素ドープされた酸化ケイ素膜を形成する。
【0049】
本明細書において説明される方法及び組成物の特定の実施態様において、ケイ素含有誘電体材料の層は、例えば、反応チャンバーを用いる化学気相堆積(CVD)プロセスによって基材の少なくとも一部に堆積される。適した基材は、以下に限定するものではないが、半導体材料、例えばヒ化ガリウム(GaAs)、ケイ素、及びケイ素を含有する組成物、例えば結晶性ケイ素、ポリシリコン、非晶質ケイ素、エピタキシャルシリコン、二酸化ケイ素(SiO2)、ケイ素ガラス、窒化ケイ素、溶融シリカ、ガラス、石英、ホウケイ酸塩ガラス、並びにそれらの組み合わせを含む。他の適した材料は、クロム、モリブデン、並びに半導体、集積回路、フラットパネルディスプレイ及びフレキシブルディスプレイ用途において一般に用いられる他の金属を含む。基材は、さらなる層を、例えば、ケイ素、SiO2、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、フッ素化ケイ酸塩ガラス(FSG)、炭窒化ホウ素、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化炭窒化ケイ素、窒化ホウ素、有機-無機複合材料、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔質の有機及び無機の材料及び複合体、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム及び酸化ゲルマニウムを有することができる。さらなる層は、ゲルマノシリケート、アルミノシリケート、銅及びアルミニウム、並びに拡散バリア材料、例えば、以下に限定するものではないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W又はWNであってもよい。
【0050】
本明細書において開示される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを含むことができる。未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージするのに使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスは、以下に限定するものではないが、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン、水素(H2)及びそれらの混合物を含む。特定の実施態様において、パージガス、例えばArは、約10~約2000sccmの流速で、約0.1~1000秒の間に反応器中に供給されて、それによって、反応器中に残存する場合がある未反応の材料及び任意の副生成物をパージする。
【0051】
パージガス、例えばアルゴンは、プロセスチャンバーから未吸収の余剰の複合体をパージする。十分なパージの後、酸素源を反応チャンバー中に導入して、吸収された表面と反応させて、次いで別のガスパージをして、チャンバーから反応副生成物を除去することができる。プロセスのサイクルを繰り返して、所望の膜厚を達成することができる。幾つかの場合において、ポンピングは、不活性ガスを用いたパージに代わることができるか、又は両方を用いて未反応のケイ素前駆体を除去することができる。
【0052】
本明細書を通じて、用語「ALD又はALDと類似」は、以下に限定するものではないが、以下のプロセス:a)ケイ素前駆体及び反応性ガスを含むそれぞれの反応体を、反応器中に、例えばシングルウエハALD反応器、セミバッチALD反応器又はバッチ炉ALD反応器中に連続して導入するプロセス;b)基材を、反応器の異なる区画に移動又は回転させることによって、ケイ素前駆体及び反応性ガスを含むそれぞれの反応体を基材にさらすプロセスであって、それぞれの区画が不活性ガスカーテンによって分離されている、すなわち空間的ALD反応器又はロールツーロールALD反応器であるプロセスを含むプロセスをいう。
【0053】
本発明の方法は、酸素含有源、例えばオゾン、過酸化水素、又はプラズマを含む酸素含有源を使用するALDプロセスによって行われ、プラズマは、不活性ガスをさらに含むことができ、例えば以下:不活性ガスを伴う又は伴わない酸素プラズマ、不活性ガスを伴う又は伴わない水蒸気プラズマ、不活性ガスを伴う又は伴わない窒素酸化物(例えばN2O、NO、NO2若しくはそれらの組み合わせ)プラズマ、不活性ガスを伴う又は伴わない炭素酸化物(例えばCO2、CO若しくはそれらの組み合わせ)プラズマ、及びそれらの組み合わせのうち1つ又は複数である。特定の実施態様において、酸素含有プラズマ源は、不活性ガスをさらに含む。これらの実施態様において、不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。代わりの実施態様において、酸素含有プラズマ源は、不活性ガスを含まない。
【0054】
酸素含有プラズマ源は、インサイチュで、又は代わりに遠隔で発生させることができる。1つの特定の実施態様において、酸素含有源は、酸素を含み、方法の工程b~dの間に、他の試剤とともに、例えば、以下に限定するものではないが、少なくとも1つのケイ素前駆体と、任意選択で不活性ガスとともに、流れるか、又は導入される。
【0055】
特定の実施態様において、本明細書において説明される-及び開示される方法において用いられる-組成物は、溶媒をさらに含む。例示的な溶媒は、以下に限定するものではないが、エーテル、第三級アミン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素、第三級アミノエーテル及びそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施態様において、ケイ素前駆体の沸点と溶媒の沸点との差は、40℃以下である。幾つかの実施態様において、組成物は、直接液体注入によって、ケイ素含有膜のための反応器チャンバー中に輸送することができる。
【0056】
式A~Cを有する少なくとも1つのケイ素前駆体を、溶媒を含む組成物において使用する実施態様について、選択される溶媒又はそれらの混合物は、ケイ素前駆体と反応しない。組成物中の溶媒の量は、重量割合で、0.5wt%~99.5wt%又は10wt%~75wt%である。この実施態様又は他の実施態様において、溶媒は、式A~Cのケイ素前駆体の沸点(b.p.)に近いb.p.を有するか、又は溶媒のb.p.と式A~Cのケイ素前駆体のb.p.との差は、40℃以下、30℃以下、20℃以下又は10℃である。代わりに、沸点の差は、以下の端点:0、10、20、30又は40℃のうち任意の1つ又は複数を端点とする範囲である。b.p.の差の適した範囲の例は、0℃~40℃、20℃~30℃又は10℃~30℃を含むが、それらに限定されない。組成物における適した溶媒の例は、以下に限定するものではないが、エーテル(例えば1,4-ジオキサン、ジブチルエーテル)、第三級アミン(例えばピリジン、1-メチルピペリジン、1-エチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)、ニトリル(例えばベンゾニトリル)、アルキル炭化水素(例えばオクタン、ノナン、ドデカン、エチルシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、メシチレン)、第三級アミノエーテル(例えばビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル)又はそれらの混合物を含む。
【0057】
特定の実施態様において、本明細書において説明される方法を使用して堆積される酸化ケイ素膜又は炭素ドープされた酸化ケイ素膜は、オゾン、水(H2O)(例えば脱イオン水、精製水及び/又は蒸留水)、酸素(O2)、酸素プラズマ、NO、N2O、NO2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)並びにそれらの組み合わせを含む酸素含有源の存在の下で形成される。酸素含有源は、例えばインサイチュ又は遠隔のいずれかのプラズマ発生器を通過して、酸素を含む酸素含有プラズマ源を、例えば酸素プラズマ、酸素及びアルゴンを含むプラズマ、酸素及びヘリウムを含むプラズマ、オゾンプラズマ、水プラズマ、亜酸化窒素プラズマ又は二酸化炭素プラズマを提供する。特定の実施態様において、酸素含有プラズマ源は、約1~約2000標準立方センチメートル(sccm)又は約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入される酸素源ガスを含む。酸素含有プラズマ源は、約0.1~約100秒の範囲の時間の間に導入することができる。1つの特定の実施態様において酸素含有プラズマ源は、10℃以上の温度を有する水を含む。PEALDプロセス又はプラズマ強化サイクル性CVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、ALD反応器の容積に応じて、前駆体パルスは、0.01秒より長いパルス期間(例えば約0.01~約0.1秒、約0.1~約0.5秒、約0.5~約10秒、約0.5~約20秒、約1~約100秒)を有してよく、酸素含有プラズマ源は、0.01秒より短いパルス期間(例えば約0.001~約0.01秒)を有してよい。
【0058】
前駆体、酸素源及び/又は他の前駆体、供給源ガス、及び/又は試剤を供給するそれぞれの工程は、それらを供給するための時間を変えて行って、得られる誘電体膜の化学量論的な組成を変えることができる。
【0059】
式A~Cのケイ素前駆体、酸素含有源又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つにエネルギーを適用して、反応を誘起して、誘電体膜又はコーティングを基材に形成する。このようなエネルギーは、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子線、フォトン、遠隔プラズマの方法、及びそれらの組み合わせによって提供することができるが、それらに限定されない。特定の実施態様において、二次無線周波数源(secondary RF frequency source)を使用して、基材表面におけるプラズマ特徴を改質することができる。堆積がプラズマを含む実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマが反応器中で直接的に発生される直接プラズマ発生プロセス、又は代わりに、プラズマが反応器の外部で発生されて反応器中に供給される遠隔プラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0060】
少なくとも1つのケイ素前駆体は、種々の手段で、反応チャンバーに、例えばプラズマ強化サイクル性CVD反応器、PEALD反応器又はバッチ炉型反応器に輸送することができる。1つの実施態様において、液体輸送システムが利用される。代わりの実施態様において、液体輸送プロセスとフラッシュ気化プロセスとが結合された装置を、例えばMSP Corporation of Shoreview,MNによって製造されたターボ気化器を用いて、低揮発性材料が容量測定を伴って輸送されることを可能とし、このことは、前駆体の熱分解を伴わない再現性のある輸送及び堆積をもたらす。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、ほぼ液体の形態で輸送されるか、又は代わりに、前駆体を含む溶媒配合物又は組成物で用いられてよい。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、膜を基材に形成するために所与の最終使用用途で望ましくかつ有利であることができるように、適した特徴の少なくとも1つの溶媒成分を含むことができる。
【0061】
先に記載されるように、少なくとも1つのケイ素前駆体の純度レベルは、信頼性のある半導体製造のために許容可能であるために十分に高い。特定の実施態様において、本明細書において説明される少なくとも1つのケイ素前駆体は、2wt%より少ない、1wt%より少ない、又は0.5wt%より少ない、以下の不純物のうち1つ又は複数:遊離アミン、遊離ハライド又はハロゲンイオンのうち1つ又は複数と、より高い分子量の種とを含む。本明細書において説明されるケイ素前駆体のより高い純度レベルは、以下のプロセス:精製、吸着及び/又は蒸留のうち1つ又は複数を通じて得ることができる。
【0062】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、プラズマ強化サイクル性堆積プロセスを、例えばPEALDと類似のプロセス又はPEALDプロセスを使用することができ、堆積は、少なくとも1つのケイ素前駆体及び酸素プラズマ源を使用して行われる。PEALDと類似のプロセスは、プラズマ強化サイクル性CVDプロセスとして定義されるが、しかし、高いコンフォーマル性のケイ素及び酸素を含有する膜を提供する。
【0063】
式A~Bを有し、式中、R3-9の幾つかが水素ではなくメチルである、有機アミノ官能化された環状オリゴシロキサン前駆体が、この方法のために好ましいと考えられ、その理由は、それらの前駆体がSi-H基を全く含まないか、又はSi-H基の数が限定的であるかのいずれかであり、Si-H基は600℃より高い温度で分解する場合があり、所望していない化学気相堆積を潜在的に引き起こす場合があることである。しかし、特定の条件において、例えば短い前駆体パルス又は低い反応器圧力を使用する条件において、この方法は、式A~Bを有し、式中、R3-9の幾つかが水素である、有機アミノ官能化された環状オリゴシロキサン前駆体を使用して、600℃より高い温度で、有意な望ましくない化学気相堆積を伴わずに、行うこともできる。
【0064】
様々な商業的なALD反応器を、例えばシングルウエハ反応器、セミバッチ反応器、バッチ炉反応器又はロールツーロール反応器を、固体の酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープされた酸窒化ケイ素又は炭素ドープされた酸化ケイ素を堆積するために用いることができる。
【0065】
本明細書において説明される方法のためのプロセス温度は、端点として、以下の温度:0℃、25℃、50℃、75℃、100℃、125℃、150℃、175℃、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃のうち1つ又は複数を使用する。例示的な温度範囲は、以下:約0℃~約300℃;約25℃~約300℃;約50℃~約290℃;約25℃~約250℃;又は約25℃~約200℃を含むが、それらに限定されない。
【0066】
特定の実施態様において、酸素源は、水蒸気、水プラズマ、オゾン、酸素、酸素プラズマ、酸素/ヘリウムプラズマ、酸素/アルゴンプラズマ、窒素酸化物プラズマ、二酸化炭素プラズマ、過酸化水素、有機過酸化物及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0067】
本明細書において説明される方法のさらなる実施態様において、ALD、ALDと類似のもの、PEALD又はPEALDと類似のものから堆積される膜又は堆積されたままの膜は、処理工程(後堆積処理)を受ける。処理工程は、堆積工程の少なくとも一部の間、堆積工程の後及びそれらの組み合わせで行うことができる。例示的な処理工程は、以下に限定するものではないが、500℃~1200℃、600℃~800℃、550℃~750℃、600℃~750℃又は600℃~700℃の範囲の温度における高温熱アニールによる処理;例えばヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマなどのプラズマ処理;紫外(UV)光処理;レーザー;電子線処理及びそれらの組み合わせを含み、膜の1つ又は複数の特性に影響を与える。
【0068】
別の実施態様において、ケイ素含有膜を堆積するための容器又はコンテナは、本明細書において説明される1つ又は複数のケイ素前駆体化合物を含む。1つの特定の実施態様において、容器は、少なくとも1つの(好ましくは、例えば、米国特許第7334595号;6077356号;5069244号;及び5465766号において開示される設計を有するステンレス鋼製の)加圧可能な容器を含み、それらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。コンテナは、ガラス(ホウケイ酸塩若しくは石英ガラス)又は316、316L、304若しくは304L系ステンレス鋼合金(UNSの呼称でS31600、S31603、S30400、S30403)のいずれかを含んでよく、CVD又はALDプロセスのための反応器への1つ又は複数の前駆体の輸送を可能とする適したバルブ及び取り付け具を備える。この実施態様又は他の実施態様において、ケイ素前駆体は、ステンレス鋼で構成される加圧可能な容器中に提供され、前駆体の純度は、98wt%以上又は99.5wt%以上であり、これは多くの半導体用途のために適している。容器又はコンテナの上部空間は、ヘリウム、アルゴン、窒素及びそれらの組み合わせから選択される不活性ガスで満たされる。
【0069】
特定の実施態様において、前駆体キャニスタから反応チャンバーへと接続するガスラインは、プロセスの要求に応じて1つ又は複数の温度に加熱され、少なくとも1つのケイ素前駆体のコンテナは、バブリングのための1つ又は複数の温度に保たれる。他の実施態様において、少なくとも1つのケイ素前駆体を含む溶液は、直接液体注入のための1つ又は複数の温度に保たれた気化器中に注入される。
【0070】
アルゴン及び/又は他のガスの流をキャリアガスとして用いて、前駆体のパルスの間に、少なくとも1つのケイ素前駆体の蒸気を反応チャンバーへと輸送することを促進できる。特定の実施態様において、反応チャンバーのプロセス圧力は、約50mTorr~10Torrである。他の実施態様において、反応チャンバーのプロセス圧力は、760Torr以下(例えば約50mTorr~約100Torr)であってよい。
【0071】
典型的なPEALDプロセス又はPEALDと類似のプロセス、例えばPECCVDプロセスにおいて、基材、例えば酸化ケイ素基材は、ケイ素前駆体にさらされる反応チャンバー中の加熱器ステージで加熱されて、初めに錯体を基材の表面に化学吸着させる。
【0072】
本明細書において説明される式A~Cを有するケイ素前駆体を用いて堆積される膜は、先に開示されたケイ素前駆体を用いて同じ条件で堆積された膜と比較したとき、改善された特性を、例えば、以下に限定するものではないが、処理工程の前の膜の湿式エッチング速度より小さい湿式エッチング速度、又は処理工程の前の密度より高い密度を有する。1つの特定の実施態様において、堆積プロセスの間に、堆積されたままの膜は断続的に処理される。これらの断続的な又は堆積の中間の処理は、例えば、それぞれのALDサイクルの後に、特定の回数のALDサイクル毎の後に、例えば、以下に限定するものではないが、1回のALDサイクル、2回のALDサイクル、5回のALDサイクル毎の後に、又は10回以上のALDサイクル毎の後に行うことができる。
【0073】
式A~Cの前駆体は、1.0Å/サイクル以上、好ましくは1.5Å/サイクル以上、最も好ましくは2.0Å/サイクル以上の成長速度を示す。
【0074】
高温アニール工程によって膜が処理される実施態様において、アニール温度は、堆積温度よりも少なくとも100℃以上高い。この実施態様又は他の実施態様において、アニール温度は、約400℃~約1000℃である。この実施態様又は他の実施態様において、アニール処理は、真空(<760Torr)中で、不活性環境中で、又は酸素含有環境(例えばH2O、N2O、NO2若しくはO2)中で行うことができる。
【0075】
UV処理によって膜が処理される実施態様において、膜は、広帯域のUV、又は代わりに、約150ナノメートル(nm)~約400nmの波長を有するUV源にさらされる。1つの特定の実施態様において、堆積されたままの膜は、所望の膜厚に到達した後に、堆積チャンバーとは異なるチャンバーにおいてUVにさらされる。
【0076】
プラズマによって膜が処理される実施態様において、不動態層、例えばSiO2又は炭素ドープされたSiO2が堆積されて、塩素及び窒素の汚染物質が、続くプラズマ処理において膜中に侵入することを妨げる。不動態層は、原子層堆積又はサイクル性化学気相堆積を使用して堆積することができる。
【0077】
プラズマによって膜が処理される実施態様において、プラズマ源は、水素プラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、水素及びアルゴンを含むプラズマからなる群から選択される。水素プラズマは、膜の誘電率を低下させ、プラズマアッシングプロセスによる損傷抵抗を上昇させ、さらに一方でバルクにおける炭素含有量をほぼ不変に保つ。
【0078】
特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、上で画定される式A~Cによって表される化学構造を有するケイ素前駆体化合物は、有機アミノ基を、基材表面のヒドロキシルと反応させることによって固定して、前駆体の分子毎に複数のSi-O-Siフラグメントを提供することができ、従って、従来のケイ素前駆体、例えば、1つのみのケイ素原子を有するビス(tert-ブチルアミノ)シラン又はビス(ジエチルアミノ)シランと比較して、酸化ケイ素又は炭素ドープされた酸化ケイ素の成長速度を上昇させると考えられる。
【0079】
特定の実施態様において、本明細書において説明されるケイ素含有膜は、6以下、5以下、4以下、及び3以下の誘電率を有する。これらの実施態様又は他の実施態様において、膜は、約5以下、約4以下又は約3.5以下の誘電率を有することができる。しかし、他の誘電率(例えば、より高い又はより低い誘電率)を有する膜もまた、膜の所望の最終用途に応じて形成することができると考えられる。本明細書において説明される式A~Cを有するケイ素前駆体及びプロセスを使用して形成されるケイ素含有膜の例は、式Sixyzvwを有し、式中、例えばXPS又は他の手段によって測定した場合に、原子パーセントwt%で、Siは約10%~約40%であり;Oは約0%~約65%であり;Cは約0%~約75%又は約0%~約50%であり;Nは約0%~約75%又は約0%~約50%であり;かつHは約0%~約50%であり、x+y+z+v+w=100原子wt%である。本明細書において説明される式A~Cのケイ素前駆体及びプロセスを使用して形成されるケイ素含有膜の別の例は、炭酸窒化ケイ素であり、XPSによって測定した場合に、炭素含有量は1at%~80at%である。本明細書において説明される式A~Cを有するケイ素前駆体及びプロセスを使用して形成されるケイ素含有膜のさらに別の例は、非晶質ケイ素であり、窒素含有量及び炭素含有量の両方の合計は、XPSによって測定した場合に、10at%未満、好ましくは5at%未満、最も好ましくは1at%未満である。
【0080】
先述のように、本明細書において説明される方法を使用して、ケイ素含有膜を基材の少なくとも一部に堆積することができる。適した基材の例は、ケイ素、SiO2、Si34、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化酸炭化ケイ素、水素化酸窒化ケイ素、炭酸窒化ケイ素、水素化炭酸窒化ケイ素、反射防止コーティング、フォトレジスト、ゲルマニウム、ゲルマニウム含有、ホウ素含有、Ga/As、フレキシブル基材、有機ポリマー、多孔質の有機及び無機材料、例えば銅及びアルミニウムなどの金属、並びに例えば、以下に限定するものではないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W又はWNなどの拡散バリア層を含むが、それらに限定されない。膜は、様々な続く処理工程、例えば化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスと適合する。
【0081】
堆積された膜は、以下に限定するものではないが、コンピュータチップ、光学装置、磁気情報記憶装置、支持材料又は基材へのコーティング、微小電気化学システム(MEMS)、ナノ電気化学システム、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、IGZO及び液晶ディスプレイ(LCD)を含む用途を有する。得られた固体の酸化ケイ素又は炭素ドープされた酸化ケイ素の潜在的な用途は、シャロ―トレンチ絶縁体、中間層誘電体、不動態層、エッチング停止層、デュアルスペーサの一部及びパターニングのための犠牲層を含むが、それらに限定されない。
【0082】
特定の実施態様において、本明細書において説明される式A~Cを有する1つ又は複数のケイ素前駆体を使用して、固体であり、かつ多孔質でないか、又はポアを実質的に有しないケイ素及び酸素を含有する膜を形成することができる。
【0083】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示するために提供され、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0084】
実験室規模のALD処理ツールで、酸化ケイ素膜の熱原子層堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積領域に入れる前に、全てのガス(例えばパージガス及び反応体ガス又は前駆体及び酸素源)を100℃に予備加熱した。ALDダイヤフラムバルブによって、高速動作で、ガス及び前駆体の流速を制御した。堆積において使用した基材は、12インチ長さのケイ素ストリップであった。熱電対をサンプルホルダーに取り付けて、基材温度を確認した。酸素源ガスとしてオゾンを使用して堆積を行った。通常の堆積プロセス及びパラメータを表2に示す。
【0085】
表2.実験室規模のALD処理ツールでの、酸素源としてオゾンを用いる、酸化ケイ素膜の熱原子層堆積のためのプロセス
【表3】
【0086】
堆積の後に、同じ実験室規模のALD処理ツール中で、サンプルに対して前駆体処理を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積領域に入れる前に、前駆体蒸気を100℃に予備加熱した。ALDダイヤフラムバルブによって、高速動作で、ガス及び前駆体の流速を制御した。
【0087】
1:99の希釈されたフッ化水素(HF)酸溶液を使用することによって、湿式エッチング速度(WER)測定を行った。実験のそれぞれの組について、熱酸化物ウエハを標準として使用して、エッチング溶液の働きを確認した。バルク膜のWERを収集し始める前に、サンプルを、15秒で、全てエッチングして、任意の表面層を除去した。この手順に従って、1:99の希釈HF水溶液についての典型的な熱酸化物ウエハの湿式エッチング速度は0.5Å/sであった。X線反射率(XRR)法によって、全ての密度測定を行った。二次イオン質量分析法(D-SIMS)又はX線光電子分光法(XPS)を使用して、組成分析を行った。熱酸化物標準によって校正したMaterials Development Corporation(MDC)の水銀探針(モデル802B)を使用して、誘電率(k)の測定を行った。
【0088】
実施例1:式Bを有し、式中、R1=R2=R3=R4=R6=R8=メチルであり、R5=R7=R9=水素である2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンから堆積したケイ素含有膜の熱原子層堆積における化学処理
【0089】
以下の前駆体:2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用して、ケイ素及び酸素を含有する膜の原子層堆積を行った。実験室規模のALD処理ツールで、堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積のプロセス及びパラメータを表2に提供する。工程1~6を、所望の厚さに到達するまで繰り返す。堆積プロセスの温度、オゾン濃度及びGPCを表3aに提供し、膜の特性を3bに提供する。低温(100℃)において、異なるオゾン濃度で、炭素ドープされた酸化ケイ素膜を得た。
【0090】
表3a.オゾンプロセスでの、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンの熱ALD堆積温度、オゾン濃度及びGPC
【表4】
【0091】
表3b.オゾンプロセスでの、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンの熱ALD堆積温度、オゾン濃度及び膜の特性
【表5】
【0092】
100℃で堆積した膜(サンプルA~C)を、300℃で、5分の間に、0.3Torrの前駆体チャンバー圧力で、ケイ素前駆体N,N-ジメチルトリメチルシリルアミン(DMATMS)を用いてか、又は450℃で、5分の間に、0.3Torrで、ケイ素前駆体N,N-ジエチルアミノトリメチルシリルアミン(DEATMS)を用いてのいずれかで処理した。処理の前及び後の膜のk値と、処理の後のWERとを表4に示す。
【0093】
表4.300℃においてDMATMSを用いた、又は450℃においてDEATMSを用いた化学処理の前及び後のSiOC膜のk値及びWER
【表6】
【0094】
実施例2:式Cを有し、式中、R1及びR2がエチルであり、R10=メチルであるジエチルアミノメチルシランを使用する炭素ドープされた酸化ケイ素膜の熱原子層堆積における化学処理
【0095】
以下の前駆体:ジエチルアミノメチルシランを使用して、酸化ケイ素膜の原子層堆積を行った。実験室規模のALD処理ツールで、堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積のプロセス及びパラメータを表2に提供する。工程1~6を、所望の厚さに到達するまで繰り返した。基材の温度は100℃であった。堆積温度、オゾン濃度、GPC及び膜の特性を表5に提供する。
【0096】
表5.オゾンプロセスでの、ジエチルアミノメチルシランの熱ALD堆積温度、GPC
【表7】
【0097】
100℃で堆積した膜を、300℃で、5分及び25分の間に、ケイ素前駆体N,N-ジエチルアミノトリメチルシリルアミン(DEATMS)を用いて処理するか、300℃で、5分及び10分の間に、ケイ素前駆体ジ-イソ-プロピルアミノシラン(DIPAS)を用いて処理するか、又は化学処理なしに、300℃でアニールした。異なる処理の前及び後の膜のk値を表6に示す。
【0098】
表6.300℃においてDEATMSを用いた、又は300℃においてDIPASを用いた化学処理の前及び後の炭素ドープされた酸化ケイ素膜のk値
【表8】
【0099】
本開示は、特定の好ましい実施態様の参照とともに説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更をすることができ、それらの要素を等価物で置き換えることができると、当業者によって理解される。加えて、本発明の不可欠な範囲から逸脱することなく、多くの修正をして、本発明の教示に、特定の状況又は材料を適合させることができる。従って、本発明は特定の実施態様に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲の範囲内にある全ての実施態様を含むことが意図される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
炭素ドープされた酸化ケイ素膜を基材に堆積するための方法であって、
a)基材を反応器中に提供する工程と;
b)式A~C:
【化3】
からなる群から選択され、式中、R 1 が、直鎖C 1 ~C 10 アルキル基、分岐鎖C 3 ~C 10 アルキル基、C 3 ~C 10 環状アルキル基、C 3 ~C 10 複素環基、C 3 ~C 10 アルケニル基、C 3 ~C 10 アルキニル基及びC 4 ~C 10 アリール基から選択され;R 2 が、水素、C 1 ~C 10 直鎖アルキル基、分岐鎖C 3 ~C 10 アルキル基、C 3 ~C 10 環状アルキル基、C 3 ~C 10 複素環基、C 2 ~C 10 アルケニル基、C 2 ~C 10 アルキニル基及びC 4 ~C 10 アリール基からなる群から選択され、式A又はBにおけるR 1 とR 2 とが、環状環構造を形成するように連結されているか、又は環状環構造を形成するように連結されていないかのいずれかであり;R 3-9 が、水素、直鎖C 1 ~C 10 アルキル基、分岐鎖C 3 ~C 10 アルキル基、C 3 ~C 10 環状アルキル基、C 2 ~C 10 アルケニル基、C 2 ~C 10 アルキニル基及びC 4 ~C 10 アリール基からそれぞれ独立に選択され;R 10 が、直鎖C 1 ~C 10 アルキル基、C 2 ~C 10 アルケニル基及びC 2 ~C 10 アルキニル基から選択される少なくとも1つの第一のケイ素前駆体を反応器中に導入する工程と;
c)パージガスを使用して反応器をパージして、基材に吸収されていない少なくとも1つの第一のケイ素前駆体のうち任意のものの少なくとも一部を除去する工程と;
d)酸素含有源を反応器中に導入して、少なくとも1つの第一のケイ素前駆体と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程と;
e)パージガスを使用して反応器をパージして、任意の未反応の酸素含有源の少なくとも一部を除去する工程と;
f)工程b)~e)を、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返す工程と;
g)R 3 x Si(NR 1 2 4-x の式を有し、式中、R 1-3 が上記のとおり規定され、x=1、2又は3である第二のケイ素前駆体を用いて酸化ケイ素膜を処理して、炭素ドープされた酸化ケイ素膜を形成する処理工程と;
h)パージガスを使用して反応器をパージして、第二のケイ素前駆体を用いて酸化ケイ素膜を処理する処理工程による任意の副生成物の少なくとも一部を除去する工程と
を含み、約20℃~300℃の範囲の1つ又は複数の温度で行われる、方法。
(付記2)
1-2 のそれぞれがC 1 ~C 4 アルキル基である、付記1に記載の方法。
(付記3)
1-3 がメチル及びエチルからなる群からそれぞれ独立に選択される、付記1に記載の方法。
(付記4)
少なくとも1つの第一のケイ素前駆体化合物が、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリル-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピペリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-2,5-ジメチルピペリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリル-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリル-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピペリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-2,5-ジメチルピペリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルアミノメチルシラン、ジエチルアミノメチルシラン、ジ-イソ-プロピルアミノメチルシラン、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン、シクロヘキシルメチルアミノメチルシラン及び2,6-ジメチルピペリジノメチルシランからなる群から選択される、付記1に記載の方法。
(付記5)
少なくとも1つの第二のケイ素前駆体化合物が、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン及びトリス(ジメチルアミノ)エチルシランからなる群から選択される、付記1に記載の方法。
(付記6)
1:99のHF:水の希釈HF(0.5wt%dHF)酸の溶液において測定した場合に、約2.5Å/sより小さい湿式エッチング速度と;二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定した場合に、約5×10 20 at/ccより少ない水素不純物と;5.0以下の誘電率とからなる群から選択される特徴のうち少なくとも1つを備える、付記1に記載の方法によって堆積された、炭素ドープされた酸化ケイ素膜。
(付記7)
炭素ドープされた酸化ケイ素膜を基材に堆積するための方法であって、
a)基材を反応器中に提供する工程と;
b)式A~C:
【化4】
からなる群から選択され、式中、R 1 が、直鎖C 1 ~C 10 アルキル基、分岐鎖C 3 ~C 10 アルキル基、C 3 ~C 10 環状アルキル基、C 3 ~C 10 複素環基、C 3 ~C 10 アルケニル基、C 3 ~C 10 アルキニル基及びC 4 ~C 10 アリール基から選択され;R 2 が、水素、C 1 ~C 10 直鎖アルキル基、分岐鎖C 3 ~C 10 アルキル基、C 3 ~C 10 環状アルキル基、C 3 ~C 10 複素環基、C 2 ~C 10 アルケニル基、C 2 ~C 10 アルキニル基及びC 4 ~C 10 アリール基からなる群から選択され、式A又はBにおけるR 1 とR 2 とが、環状環構造を形成するように連結されているか、又は環状環構造を形成するように連結されていないかのいずれかであり;R 3-9 が、水素、直鎖C 1 ~C 10 アルキル基、分岐鎖C 3 ~C 10 アルキル基、C 3 ~C 10 環状アルキル基、C 2 ~C 10 アルケニル基、C 2 ~C 10 アルキニル基及びC 4 ~C 10 アリール基からそれぞれ独立に選択され;R 10 が、直鎖C 1 ~C 10 アルキル基、C 2 ~C 10 アルケニル基及びC 2 ~C 10 アルキニル基から選択される少なくとも1つの第一の有機アミノポリシロキサン前駆体を反応器中に導入する工程と;
c)パージガスを用いて反応器をパージして、基材に吸収されていない少なくとも1つの第一のケイ素前駆体のうち任意のものの少なくとも一部を除去する工程と;
d)酸素含有プラズマ源を反応器中に導入して、少なくとも1つの第一のケイ素前駆体と反応させて、第一のケイ素含有膜を形成する工程と;
e)パージガスを使用して反応器をパージして、任意の未反応の酸素含有プラズマ源の少なくとも一部を除去する工程と;
f)工程b)~e)を、所望の厚さの第一のケイ素含有膜が堆積されるまで繰り返す工程と;
g)R 3 x Si(NR 1 2 4-x の式を有し、式中、R 1-3 が上記のとおりに規定され、x=1、2又は3である少なくとも1つの第二のケイ素前駆体を反応器中に導入する工程と;
h)パージガスを使用して反応器をパージして、第一のケイ素含有膜に吸収されていない少なくとも1つの第二のケイ素前駆体のうち任意のものの少なくとも一部を除去する工程と;
i)酸素含有源を反応器中に導入して、第二のケイ素含有膜を形成する工程と;
j)パージガスを使用して反応器をパージして、任意の未反応の酸素含有源のうち少なくとも一部を除去する工程と;
k)工程g)~j)を、所望の厚さの第二のケイ素含有膜が堆積されるまで繰り返す工程と
を含み、約20℃~300℃の範囲の1つ又は複数の温度で行われる、方法。
(付記8)
1-2 のそれぞれがC 1 ~C 4 アルキル基である、付記7に記載の方法。
(付記9)
1-3 がメチル及びエチルからなる群からそれぞれ独立に選択される、付記7に記載の方法。
(付記10)
第一のケイ素前駆体化合物が、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリル-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピペリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-2,5-ジメチルピペリジノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリル-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリル-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピペリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-2,5-ジメチルピペリジノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-フェニルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロヘキシルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-シクロペンチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルアミノメチルシラン、ジエチルアミノメチルシラン、ジ-イソ-プロピルアミノメチルシラン、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン、シクロヘキシルメチルアミノメチルシラン及び2,6-ジメチルピペリジノメチルシランからなる群から選択される、付記7に記載の方法。
(付記11)
少なくとも1つの第二のケイ素前駆体化合物が、ジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン及びビス(tert-ブチルアミノ)シランからなる群から選択される、付記7に記載の方法。
(付記12)
少なくとも約2.1g/ccの密度と;1:99のHF:水の希釈HF(0.5wt%dHF)酸の溶液において測定した場合に、約2.5Å/sより小さい湿式エッチング速度と;二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定した場合に、約5×10 20 at/ccより少ない水素不純物と;5.0以下の誘電率とからなる群から選択される少なくとも1つの特徴を備える、付記7の記載の方法によって堆積された、炭素ドープされた酸化ケイ素膜。