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特許7553469アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物、および基板上に金属膜パターンを製造する方法
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  • 特許-アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物、および基板上に金属膜パターンを製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物、および基板上に金属膜パターンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20240910BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03F7/038 601
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021563363
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2020063782
(87)【国際公開番号】W WO2020234222
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】19175368.0
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】矢野 友嗣
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 朋英
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-137860(JP,A)
【文献】特開2004-117688(JP,A)
【文献】特開2008-100988(JP,A)
【文献】特開2003-162060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/038
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一もしくは複数の(A)アルカリ可溶性樹脂、および単一もしくは複数の(B)光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物であって;
ここで、
(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂および(A2)樹脂を含んでなり;
(B)光酸発生剤が、(B1)オニウム塩または(B2)スルホニル化合物のみを含んでなり;
ただし、(i)ネガ型リフトオフレジスト組成物が、単一の(A)アルカリ可溶性樹脂を含む場合、ネガ型リフトオフレジスト組成物は、複数の(B)光酸発生剤を含み、また、(ii)ネガ型リフトオフレジスト組成物が、単一の(B)光酸発生剤を含む場合、ネガ型リフトオフレジスト組成物は、複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含み;
(A1)樹脂は、下記式(A1)で表され;
【化1】
11、R12、R14、R15、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、カルボキシル、ハロゲンまたはシアノであり、
13およびR16は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲンまたはシアノであり、
19は、C1-15アルキルまたはC1-15アルコキシであり、ここで、R19のアルキル部分は、飽和環および/または不飽和環を形成していてもよく、
11は0~4の数であり、n11は1~3の数であり、m11+n11≦5であり、m12は0~5の数であり、
A1、qA1およびrA1は、繰り返し数であり、[pA1/(pA1+qA1+rA1)]は30~98%であり、[qA1/(pA1+qA1+rA1)]は5~40%であり、[rA1/(pA1+qA1+rA1)]は0~70%であり;
(A1)樹脂の重量平均分子量(Mw)が5,000~100,000であり;
(A2)樹脂は、下記式(A2)で表され;
【化2】
21、R22、R24およびR25は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、カルボキシル、ハロゲンまたはシアノであり、
23は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲンまたはシアノであり、
26は、C1-15アルキルまたはC1-15アルコキシであり、ここで、R26のアルキル部分は、飽和環および/または不飽和環を形成していてもよく、
21は0~4の数であり、n21は1~3の数であり、m21+n21≦5であり、
A2およびrA2は、繰り返し数であり、[pA2/(pA2+rA2)]は30~100%であり、[rA2/(pA2+rA2)]は0~70%であり;
(B1)オニウム塩は、下記式(B1)で表され;
[Bm+カチオン][Bm-アニオン] (B1)
m+カチオンは、下記式(B1)-C1および/または式(B1)-C2で表され、全体としてm価を有し、m=1~3であり;
【化3】
31、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシまたはC6-12アリールであり、
31、m32、m33、m34およびm35は、それぞれ独立に、0~3の数であり;
m-アニオンは、下記式(B1)-A1、(B1)-A2および/または(B1)-A3で表され;
【化4】
41、R42およびR43は、それぞれ独立に、非置換の、またはC1-6アルキルで置換されたC6-12アリール、非置換の、またはハロゲンもしくはカルボニルで置換されたC1-12アルキルであり、m41=1または2であり;
(B2)スルホニル化合物は、下記式(B2)-1または(B2-2)で表され;
【化5】
51、R52およびR53は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシまたはC6-12アリールであり、ここで、R51、R52およびR53のアルキル部分は、互いに結合してシクロアルキルまたはアリールを構成していてもよく、
52=0または1であり、
54は、非置換の、またはハロゲンで置換されたC1-6アルキルであり、
55は、それぞれ独立に、C5-12シクロアルキルまたはC6-12アリールである、
ネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項2】
(C)溶媒をさらに含んでなる、請求項1に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項3】
ネガ型リフトオフレジスト組成物の総質量に対する(A)アルカリ可溶性樹脂の質量比が5~50質量%であり;かつ、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する(B)光酸発生剤の質量比が1~20質量%である、請求項1または2に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項4】
(D)架橋剤をさらに含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物であって;ここで、(D)架橋剤が、アリール化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、チオエポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物およびアルケニル化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含んでなり;かつ、それぞれの化合物が、非置換であるか、または水酸基、メチロール基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されている、ネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項5】
(D)架橋剤をさらに含んでなる、請求項1~4のいずれか一項に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物であって、ここで、(D)架橋剤が、式(D1)で表される(D1)架橋剤および/または式(D2)で表される(D2)架橋剤を含んでなり;
【化6】
61は、C2-8アルコキシアルキルであり、R62は、C2-8アルコキシアルキルであり、
63は、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC6-10アリール、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC1-8アルキル、または-NR6162であり、
64は、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC6-10アリール、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC1-8アルキル、または-NR6162であり;
【化7】
65は、非置換の、またはC1-6アルキルで置換されたC1-20アルキルであり、
D2は1、2、3または4であり、mD2は0、1または2であり、nD2は0、1または2であり、かつ、ID2+mD2+nD2≦6である、ネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項6】
(D)架橋剤が、式(D2)で表される(D2)架橋剤を含んでなる、請求項5に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項7】
D2が、1または2である、請求項5または6に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項8】
(A2)樹脂のMwが2,000~20,000である、
請求項1~7のいずれか一項に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項9】
クエンチャー、界面活性剤、染料、コントラスト増強剤、酸、ラジカル発生剤、基板への密着増強剤、塩基、表面レベリング剤および消泡剤からなる群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含んでなる、請求項1~8のいずれか一項に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のネガ型リフトオフレジスト組成物の塗膜を基板の上方に形成すること;
レジスト組成物をベークしてレジスト層を形成すること;
レジスト層を露光すること;
レジスト層を現像してレジストパターンを形成すること;
を含んでなる、レジストパターンの製造方法。
【請求項11】
露光は、波長13.5~365nmの光を用いる、請求項10に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項12】
請求項10または11に従ってレジストパターンを製造すること;
レジストパターン上に金属膜を形成すること;および
残っているレジストパターンとその上の金属膜を剥離すること;
を含んでなる、基板上への金属膜パターンの製造方法。
【請求項13】
基板上にレジストパターンまたは金属膜パターンを、請求項10~12のいずれか一項に従って製造する方法を含んでなる、素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物に関する。また、本発明は、基板上に金属膜パターンを製造する方法に関する。また、本発明は、金属膜パターンを含んでなる素子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一層微細化された高性能な機器が求められる傾向にあるため、素子(例えば、半導体素子やFPD素子)における一層微細なパターニングが要求されている。微細加工には、一般にフォトレジスト(以下、単に「レジスト」という)を用いたリソグラフィー技術が採用されている。図1に例示されるように、電極を作成するためのリフトオフ工程が知られているが、これは、パターン化されたレジスト層上の不要な電極部分を剥離することを特徴とする。対照的に、典型的な電極エッチング工程では、レジストパターンをマスクとして使用して、レジストパターンの下の電極を(典型的にはドライエッチングによって)剥離して、設計された電極パターンを得る。
【0003】
このような状況下、リフトオフパターンを形成するための特定のネガ型フォトレジスト組成物が研究されているが、これは下層膜上に塗布され、その下層膜と一緒に現像される(特許文献1)。
【0004】
逆テーパー形状での良好な高感度を実現するために、アルカリ可溶性バインダー樹脂、ハロゲンを含有する第1光酸発生剤、トリアジン系の第2光酸発生剤、アルコキシ構造を有する架橋剤、および溶媒を含んでなるネガ型フォトレジスト組成物が検討されている(特許文献2)。
【0005】
保存安定性、高感度、95%を超える膜保持性(現像後)を達成し、十分なアンダーカット形状のリフトオフレジストパターンを形成するためには、ポジ型レジストではあるが、アルカリ可溶性セルロース樹脂を含んでなるリフトオフレジスト組成物が検討されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-37414号公報
【文献】米国特許出願公開2011/0274853
【文献】米国特許出願公開2012/0129106
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、以下に列挙するように、いまだ改良が求められている1以上の課題が存在すると考えた;塗布性が不十分である;溶質の溶解性が不十分である;パターンサイズが小さい場合には、良好な形状を有する現像レジストパターンを得ることが困難であり、および/または欠陥が見られる;パターンサイズが小さい場合には、レジストパターンの剥離性が不十分である;歩留まりが不十分である;レジスト層の感度および/または解像度が不十分である;逆テーパー形状を得ることが困難である。
【0008】
そこで、本発明者らは、以下に記載される本発明がこれらの課題の少なくとも1つを解決することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、単一もしくは複数の(A)アルカリ可溶性樹脂、および単一もしくは複数の(B)光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物を提供するものであり;ここで、
(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂および/または(A2)樹脂を含んでなり;
(B)光酸発生剤が、(B1)オニウム塩および/または(B2)スルホニル化合物を含んでなり;
ただし、(i)ネガ型リフトオフレジスト組成物が、単一の(A)アルカリ可溶性樹脂を含む場合、このネガ型リフトオフレジスト組成物は、複数の(B)光酸発生剤を含み、また、(ii)ネガ型リフトオフレジスト組成物が、単一の(B)光酸発生剤を含む場合、このネガ型リフトオフレジスト組成物は、複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含み;
(A1)樹脂は、下記式(A1)で表され;
【化1】
11、R12、R14、R15、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、カルボキシル、ハロゲンまたはシアノであり、
13およびR16は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲンまたはシアノであり、
19は、C1-15アルキルまたはC1-15アルコキシであり、R19のアルキル部分は、飽和環および/または不飽和環を形成していてもよく、
11は0~4の数であり、n11は1~3の数であり、m11+n11≦5であり、m12は0~5の数であり、
A1、qA1およびrA1は、繰り返し数であり、[pA1/(pA1+qA1+rA1)]は30~98%であり、[qA1/(pA1+qA1+rA1)]は0~70%であり、[rA1/(pA1+qA1+rA1)]は0~70%であり;
(A2)樹脂は、下記式(A2)で表され;
【化2】
21、R22、R24およびR25は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、カルボキシル、ハロゲンまたはシアノであり、
23は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲンまたはシアノであり、
26は、C1-15アルキルまたはC1-15アルコキシであり、R26のアルキル部分は、飽和環および/または不飽和環を形成していてもよく、
21は0~4の数であり、n21は1~3の数であり、m21+n21≦5であり、
A2およびrA2は、繰り返し数であり、[pA2/(pA2+rA2)]は30~100%であり、[rA2/(pA2+rA2)]は0~70%であり;
(B1)オニウム塩は、下記式(B1)で表され;
[Bm+カチオン][Bm-アニオン] (B1)
m+カチオンは、下記式(B1)-C1および/または式(B1)-C2で表され、全体としてm価を有し、m=1~3であり;
【化3】
31、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシまたはC6-12アリールであり、
31、m32、m33、m34およびm35は、それぞれ独立に、0~3の数であり;
m-アニオンは、下記式(B1)-A1、(B1)-A2および/または(B1)-A3で表され;
【化4】
41、R42およびR43は、それぞれ独立に、非置換の、またはC1-6アルキルで置換されたC6-12アリール、非置換の、またはハロゲンもしくはカルボニルで置換されたC1-12アルキルであり、m41=1または2であり;
(B2)スルホニル化合物は、下記式(B2)-1または(B2-2)で表される;
【化5】
51、R52およびR53は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシまたはC6-12アリールであり、R51、R52およびR53のアルキル部分は、互いに結合してシクロアルキルまたはアリールを構成していてもよく、
52=0または1であり、
54は、非置換の、またはハロゲンで置換されたC1-6アルキルであり、
55は、それぞれ独立に、C5-12シクロアルキルまたはC6-12アリールである。
【0010】
本発明は、ネガ型リフトオフレジスト組成物の塗膜を基板の上方に形成すること;レジスト組成物をベークしてレジスト層を形成すること;レジスト層を露光すること;レジスト層を現像してレジストパターンを形成することを含んでなる、レジストパターンの製造方法を提供する。
【0011】
本発明は、レジストパターンを製造すること;レジストパターン上に金属膜を形成すること;および残っているレジストパターンとその上の金属膜を剥離することを含んでなる、基板上への金属膜パターンの製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、基板上にレジストパターンまたは金属膜パターンを製造する方法を含んでなる、素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
このネガ型リフトオフレジスト組成物は、良好な塗布性を示すことができる。組成物中の溶質は、溶媒への良好な溶解性を示すことができる。パターンサイズが小さい場合であっても、組成物によって形成され、現像されたレジストパターンの良好な形状を得ることができ、および/または欠陥(例えば、パターン倒れ)を減少させることができる。また、パターンサイズが小さい場合であっても、この組成物により形成されたレジストパターンの明確な剥離性が得られる。高い歩留まりを達成することができる。本発明の組成物により得られたレジスト層は、良好な感度を示すことができる。フォトレジスト層は良好な解像度を有することができる。本発明の組成物により、逆テーパー形状のレジストパターンを得ることができる。これらは、金属膜パターンを形成するためのリフトオフ工程にとって、より微細に設計されたパターンのために有利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、リフトオフ工程の模式断面図である。
図2図2は、エッチング工程の模式断面図である。
図3図3は、レジストパターニングに用いるマスク設計の説明図である。
図4図4は、レジストパターニングに用いるマスク設計の説明図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
[実施形態の説明]
上記の概要および以下の詳細は、本発明の説明のために提供されており、請求される発明を限定することを意図していない。
【0016】
定義
本明細書全体を通して、明示的に限定または記載されない限り、以下に定義される記号、単位、略号および用語は、以下の定義、説明および実施例において与えられた意味を有する。
単数形の使用は、複数のものを含み、また、単語「a」、「an」および「the」は、「少なくとも1つ」を意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」、並びに「含む(includes)」や「含まれる(included)」等の他の形の使用は、限定的ではない。また、「要素(element)」または「成分(component)」等の用語は、1つのユニットを含んでなる要素または成分と、1つより多くのユニットを含んでなる要素または成分の両方を包含する。
用語「および/または」は、単一の要素を使用することを含み、任意の前記要素の任意の組み合わせを意味する。
数値範囲が、「-」、「to」や「~」を用いて特定されている場合、その数値範囲は、「-」「to」や「~」の前後に示される数値の両方を含み、また単位は2つの数値について同じである。例えば、「5~25モル%」は「5モル%以上25モル%以下」を意味する。
本明細書で使用される「Cx-y」、「C-C」および「C」等の用語は、分子または置換基中の炭素原子の数を表す。例えば、「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル鎖(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等)を意味する。
本明細書に記載のポリマーが複数種の繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。この共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、およびこれらのいずれかの任意の組み合わせから選択されるいずれであってもよい。ポリマーや樹脂が化学構造で表される場合、括弧に付記されるn、m等は繰り返し数を意味する。
本明細書に示されている温度の単位は摂氏である。例えば、「20度」は「摂氏20度」を意味する。
【0017】
ネガ型リフトオフレジスト組成物
本発明は、単一もしくは複数の(A)アルカリ可溶性樹脂、および単一もしくは複数の(B)光酸発生剤を含んでなるネガ型リフトオフレジスト組成物を提供する。本発明のネガ型レジスト組成物は、現像されたレジスト層(レジストパターン壁)上に形成された金属膜部分を後工程で剥離して金属膜パターンを得るリフトオフ工程に有用である。本発明の組成物はネガ型レジストであるので、組成物により形成されたレジスト層は、この層の露光部が現像液による溶解に対する耐性の増大を示し、かつ、未露光部分が現像液によって溶解されるという特性を有する。
【0018】
本発明の組成物は、(i)ネガ型リフトオフレジスト組成物が、単一の(A)アルカリ可溶性樹脂を含む場合、このネガ型リフトオフレジスト組成物は、複数の(B)光酸発生剤を含み、また、(ii)ネガ型リフトオフレジスト組成物が、単一の(B)光酸発生剤を含む場合、このネガ型リフトオフレジスト組成物は、複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含むという条件を満たす。本発明の組成物は、複数の(A)アルカリ可溶性樹脂と、複数の(B)光酸発生剤とを同時に含有することは許容される。(iii)組成物中のアルカリ可溶性樹脂が単一のアルカリ可溶性樹脂からなり、かつ、(iv)組成物中の光酸発生剤が単一の光酸発生剤からなることを同時に満たす組成物は本発明の範囲から除外されるということができる。
【0019】
アルカリ可溶性樹脂
本発明の組成物は、単一もしくは複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含んでなる。この(A)アルカリ可溶性樹脂は、(A1)樹脂および/または(A2)樹脂を含んでなる。この樹脂は、好ましくは、アルカリ可溶性バインダー樹脂である。また、この樹脂は、好ましくは、ノボラック系重合体またはポリヒドロキシスチレン系重合体を含んでなる。本発明の組成物に含有される樹脂は、好ましくは、ランダム共重合体またはブロック共重合体であり、より好ましくは、ランダム共重合体である。
【0020】
例えば、(A)アルカリ可溶性樹脂は、(A2)樹脂を含まず、複数の(A1)樹脂を含んでいてもよい。
【0021】
ネガ型リフトオフレジスト組成物の総質量に対する(A)アルカリ可溶性樹脂の質量比が5~50質量%(好ましくは10~30質量%、より好ましくは10~25質量%)であることは、本発明の1つの形態である。ネガ型リフトオフレジスト組成物から形成された被膜の厚さが1.0μm以上である場合、上記質量比は、好ましくは15~30質量%(より好ましくは15~25質量%、さらに好ましくは18~22質量%)である。本発明の組成物から形成された被膜の厚さが1.0μm未満である場合、上記質量比は、好ましくは5~15質量%(より好ましくは5~14質量%、さらに好ましくは10~14質量%)である。形成されたレジスト被膜の厚さは、組成物中により多くの固体成分(主として(A)アルカリ可溶性樹脂が占めることができる)を添加することにより大きくすることができる。
【0022】
前述のように、本発明の組成物は、複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。理論に拘束されることを望まないが、レジスト層のアルカリ溶解速度は良好な感度、良好な解像度および/または良好なパターン形状を示すために適切に設定することができるので、組成物中に複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含むことが良いと考えられる。
【0023】
本出願において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。この測定の好適な例では、GPCカラムを摂氏40度に設定し;0.6mL/分のテトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し;かつ、基準として単分散ポリスチレンを用いる。
【0024】
本発明の1つの形態では、本発明の組成物の(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000~100,000であり、より好ましくは3,000~50,000であり、さらに好ましくは4,000~20,000であり、さらにより好ましくは5,000~15,000である。
【0025】
(A1)樹脂
(A1)樹脂は、下記式(A1)で表される。
【化6】
11、R12、R14、R15、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、カルボキシル、ハロゲンまたはシアノであり;好ましくは、水素またはメチルであり;より好ましくは、水素である。R17がメチルであることは本発明の1つの形態である。
13およびR16は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲンまたはシアノであり;好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチルまたはフッ素であり;より好ましくはメチルまたはt-ブチルである。
【0026】
19は、C1-15アルキルまたはC1-15アルコキシである。R19のアルキル部分は、飽和環および/または不飽和環を形成していてもよい。R19がC1-15アルキルであることは、本発明の1つの形態である。R19のアルキル部分は、好ましくは分岐状もしくは環状構造であり、より好ましくは分岐状構造である。R19は、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、メチルアダマンチルまたはエチルアダマンチルであり;より好ましくは、t-ブチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシルまたはエチルアダマンチルであり;さらに好ましくは、t-ブチルである。
【0027】
11は0~4の数である。(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A2)樹脂を含まず、2つの(A1)樹脂をそれぞれ1/2ずつを含んでなり;1つの(A1)樹脂においてpA1=100%、m11=1であり;および別の(A1)樹脂においてpA1=100%、m11=2であることは、本発明の1つの形態でありうる。この場合、m11=1.5である。特段の記載がない限り、以下において同様である。
11は、好ましくは0、1、2、3または4であり;より好ましくは0、1または2であり;さらに好ましくは0である。
11は1~3の数であり;より好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。
11+n11≦5である。
12は0~5の数であり;好ましくは0、1、2、3または4であり;より好ましくは0、1または2であり;さらに好ましくは0である。
【0028】
A1、qA1およびrA1は、繰り返し数である。
[pA1/(pA1+qA1+rA1)]は30~98%であり;好ましくは50~95%であり;より好ましくは70~95%であり;さらに好ましくは70~90%である。
[qA1/(pA1+qA1+rA1)]は0~70%であり;好ましくは0~40%であり;より好ましくは5~40%であり;さらに好ましくは10~40%である。
[rA1/(pA1+qA1+rA1)]は0~70%であり、好ましくは0~40%である。
A1とrA1が同時に0%とならないことが好ましい。[rA1/(pA1+qA1+rA1)]=0%であることは、本発明の1つの好ましい形態である。
【0029】
本発明の(A1)樹脂は、式(A1)で表され、上記で定義された単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明の組成物の(A1)樹脂が、式(A1)で表され、上記で定義された単位以外の繰り返し単位を含まないことは、好ましい形態である。
【0030】
(A1)樹脂の具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化7】
【0031】
本発明の1つの形態では、本発明の組成物の(A1)樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~20,000であり、さらにより好ましくは8,000~15,000である。
【0032】
(A)アルカリ可溶性樹脂の合計に対する(A1)樹脂の質量比は、好ましくは30~100質量%であり、より好ましくは40~100質量%であり、さらに好ましくは40~80質量%である。(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A2)樹脂を含まず、(A1)樹脂を含有することは、本発明の1つの形態である。
【0033】
(A2)樹脂
(A2)樹脂は、下記式(A2)で表される。
【化8】
21、R22、R24およびR25は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、カルボキシル、ハロゲンまたはシアノであり;好ましくは水素またはメチルであり、より好ましくは水素である。R24がメチルであることは、本発明の1つの形態である。
23は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲンまたはシアノであり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチルまたはフッ素であり;より好ましくはメチルまたはt-ブチルである。
【0034】
26は、C1-15アルキルまたはC1-15アルコキシである。R26のアルキル部分は、飽和環および/または不飽和環を形成していてもよい。R26がC1-15アルキルであることは、本発明の1つの形態である。R26のアルキル部分は、好ましくは分岐状もしくは環状構造であり、より好ましくは分岐状構造である。R26は、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、メチルアダマンチルまたはエチルアダマンチルであり;より好ましくはt-ブチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシルまたはエチルアダマンチルであり;さらに好ましくはt-ブチルである。
【0035】
21は0~4の数であり;好ましくは0、1、2、3または4であり;より好ましくは0、1または2であり;さらに好ましくは0である。
21は1~3の数であり;より好ましくは1または2であり;さらに好ましくは1である。
21+n21≦5である。
【0036】
A2およびrA2は、繰り返し数である。
[pA2/(pA2+rA2)]は30~100%であり;好ましくは50~100%、より好ましくは60~100%であり;さらに好ましくは100%である。
[rA2/(pA2+rA2)]は0~70%であり;より好ましくは0~50%であり;より好ましくは0~40%であり;さらに好ましくは0%である。
【0037】
本発明の(A2)樹脂は、式(A2)で表され、上記で定義された単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明の組成物の(A2)樹脂が、式(A2)で表され、上記で定義された単位以外の繰り返し単位を含まないことは、好ましい形態である。
【0038】
(A2)樹脂の具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化9】
【0039】
本発明の1つの形態では、本発明の組成物の(A2)樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000~20,000であり,より好ましくは4,000~20,000であり、さらに好ましくは5,000~10,000である。
【0040】
(A)アルカリ可溶性樹脂の合計に対する(A2)樹脂の質量比は、好ましくは10~100質量%であり、より好ましくは20~100質量%であり、さらに好ましくは20~50質量%である。(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂を含まず、(A2)樹脂を含有することは、本発明の1つの形態である。
【0041】
(B)光酸発生剤
本発明の組成物は、単一もしくは複数の(B)光酸発生剤(以下、PAGと云うことがある)を含んでなる。ネガ型レジスト組成物の放射線露光部分において、PAGが放射線を受けて酸を発生し、この酸が、樹脂の、そして存在する場合の架橋剤の架橋反応を触媒する。
【0042】
(B)光酸発生剤は、(B1)オニウム塩および/または(B2)スルホニル化合物を含んでなる。例えば、(B)PAGは、(B2)スルホニル化合物を含まず、複数の(B1)オニウム塩を含んでいてもよい。
【0043】
(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する(B)光酸発生剤の質量比が1~20質量%であり;好ましくは1~15質量%であり;より好ましくは1~10質量%であることは、本発明の1つの形態である。明瞭にするために、本出願の全体を通して、本発明の組成物が複数の(A)アルカリ可溶性樹脂を含んでなる場合には、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量比は、複数の(A)アルカリ可溶性樹脂の質量比の合計を意味する。
【0044】
前述のように、本発明の組成物は、複数の(B)PAGを含んでいてもよい。理論に拘束されることを望まないが、解像度および/またはパターン形状を適切に設定することができるので、組成物中に複数の(B)PAGを含むことが良好であると考えられる。
【0045】
(B1)オニウム塩
(B1)オニウム塩は、下記式(B1)で表される。
[Bm+カチオン][Bm-アニオン] (B1)
【0046】
m+カチオンは、下記式(B1)-C1および/または式(B1)-C2で表される。
m+カチオンは、全体としてm価を有する。
m=1~3であり;好ましくは1、2または3であり;より好ましくは1または2であり;さらに好ましくは1である。
【化10】
【0047】
31、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシまたはC6-12アリールであり;好ましくはメチル、エチル、t-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、メトキシまたはエトキシであり;より好ましくはメチル、t-ブチル、1,1-ジメチルプロピルまたはメトキシであり;さらに好ましくはt-ブチルである。
【0048】
31、m32、m33、m34およびm35は、それぞれ独立に、0~3の数であり;好ましくは、それぞれ独立に、0または1であり;より好ましくは0である。m31、m32、m33、m34およびm35がそれぞれ独立に、1の数であることは、本発明の1つの形態である。
【0049】
m+カチオンの具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化11】
【0050】
m-アニオンは、下記式(B1)-A1、(B1)-A2および/または(B1)-A3で表される。
【化12】
【0051】
41、R42およびR43は、それぞれ独立に、非置換の、またはC1-6アルキルで置換されたC6-12アリール、非置換の、またはハロゲンもしくはカルボニルで置換されたC1-12アルキルであり;好ましくは、非置換の、またはハロゲンで置換されたC1-6アルキルであり;より好ましくは、ハロゲンで置換されたC1-4アルキルであり;さらに好ましくは、ハロゲンで置換された、CもしくはCアルキルである。ここで、ハロゲンは、好ましくはフッ素である。本発明の1つの形態では、R41、R42またはR43のアルキル部分は、内部的にまたは相互に結合して飽和環状炭化水素環を形成していてもよい。好ましい形態では、R41、R42またはR43のアルキル部分は、内部的にまたは相互に結合して飽和環状炭化水素環を形成しない。C1-6アルキル中の全ての水素がハロゲンで置換されていることは、好ましい形態である。
【0052】
41=1または2であり:好ましくは1である。m41=2の場合、R41は2価のリンカーである。
【0053】
m-アニオンの具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化13】
【0054】
例えば、下記のオニウム塩は、式(B1)の一例である。Bm+カチオンは、(B1)-C1で表され、全体としてm=2価を有する。Bm-アニオンは、式(B1)-A1で表され、全体としてm=2価を有する。m41=2である。m41は、フッ素で置換されたCアルキレンである。
【化14】
【0055】
(B2)スルホニル化合物
(B2)スルホニル化合物は、下記式(B2)-1または(B2-2)で表される。
【化15】
【0056】
51、R52およびR53は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシまたはC6-12アリールであり;好ましくはC1-6アルキルである。R51、R52およびR53のアルキル部分は、互いに結合してシクロアルキルまたはアリールを構成していてもよく、
52=0または1であり;好ましくは0である。m52=1であることは、本発明の好ましい形態である。
54は、非置換の、またはハロゲンで置換されたC1-6アルキルであり;好ましくは、フッ素で置換されたC1-4アルキルである。
55は、それぞれ独立に、C5-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり;好ましくはC5-12シクロアルキルであり;より好ましくはCシクロアルキルである。
【0057】
(B2)スルホニル化合物の具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化16】
【0058】
(C)溶媒
本発明の組成物は、(C)溶媒を含んでいてもよい。(C)溶媒が、例えば、水および有機溶媒を含んでなることは、本発明の1つの形態である。(C)溶媒が、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、モノアルコール溶媒、ポリオール溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、窒素含有溶媒、硫黄含有溶媒およびこれらのいずれかの任意の組み合わせからなる群から選択されることは、本発明の好ましい形態である。
【0059】
(C)溶媒としては、例えば、n-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、i-プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびi-ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチルヘプタノール-4、n-デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、およびクレゾール等のモノアルコール溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、およびグリセリン等のポリオール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn-ブチルケトン、ジエチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、およびフェンコン等のケトン系溶剤;エチルエーテル、i-プロピルエーテル、n-ブチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、および2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、プロピオン酸n-ブチル、乳酸メチル、エチル乳酸(EL)、γ-ブチロラクトン、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエステル溶剤;N-メチルホルムアミド等の窒素含有溶媒;および硫化ジメチル等の硫黄含有溶剤が挙げられる。これらのいずれかの溶媒の任意の混合物も使用できる。
【0060】
特に、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル、およびこれらのいずれかの任意の混合物が、溶液の保存安定性の観点から好ましい。
【0061】
塗布性および/または溶質の溶解性の点で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、乳酸エチル、およびそれらから選択される任意の2つの溶媒の混合物が好ましい。この目的のために、(C)溶媒として、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテートがより好ましい。
【0062】
(C)溶媒は、好ましくは有機溶媒を含んでなり、組成物中の水の量は、好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下である。別の層または被膜との関係から、(C)溶媒は水を含まないことが好ましい。本発明の1つの形態では、組成物中の水の量は、好ましくは0.00質量%である。
【0063】
本発明の1つの形態では、ネガ型リフトオフレジスト組成物の総質量に対する(C)溶媒の質量比は、30~94質量%であり;好ましくは50~94質量%であり;より好ましくは70~94質量%であり;さらに好ましくは75~90質量%である。
【0064】
(D)架橋剤
本発明の組成物は、(D)架橋剤(以下、Xリンカーと云うことがある)を含んでいてもよい。ネガ型レジスト中で、樹脂および架橋剤は、例えば露光後ベークの熱によって架橋反応を引き起こす。そして、レジスト層の露光部分の溶解度が変化する。
【0065】
本発明の1つの形態では、(D)架橋剤は、アリール化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、尿素化合物 エポキシ化合物、チオエポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物およびアルケニル化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含んでなり;かつ、それぞれの化合物が、非置換であるか、または水酸基、メチロール基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されている。
【0066】
本発明の1つの形態では、本発明の組成物は、単一もしくは複数の(D)架橋剤を含んでいてもよい。組成物が複数の(D)架橋剤を含んでなる、例えば、2種の(D)架橋剤を含んでなる。
【0067】
本発明の1つの形態では、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する(D)架橋剤の質量比が1~20質量%であり、好ましくは3~20質量%であり、より好ましくは5~15質量%である。
【0068】
本発明の(D)架橋剤は、式(D1)で表される(D1)架橋剤および/または式(D2)で表される(D2)架橋剤を含んでいてもよい。本発明の1つの形態では、本発明の組成物は、他の架橋剤を含有せず、単一の(D2)架橋剤を含んでなる。
【0069】
式(D1)または(D2)で表される、後述の具体例に加えて、以下に記載する化合物は他の具体例であるが、例示的な目的のみのためのものである。
【化17】
【0070】
(D1)架橋剤
(D1)架橋剤は、式(D1)で表される。
【化18】
【0071】
61は、C2-8アルコキシアルキルであり;好ましくはC2-4メトキシルアルキルであり;より好ましくは-CH-O-CHである。
62は、C2-8アルコキシアルキルであり;好ましくはC2-4メトキシルアルキルであり;より好ましくは-CH-O-CHである。
63は、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC6-10アリール、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC1-8アルキル、または-NR6162である。R63のC6-10アリールは、好ましくはフェニルまたはナフチルであり、より好ましくはフェニルである。R63のC1-8アルキルは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり、より好ましくはメチルまたはブチルである。C6-10アリールを置換するC1-8アルキル、またはR63のC1-8アルキルは、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはブチルであり、より好ましくはメチルである。R63の、非置換のC6-10アリールおよびC1-8アルキルがさらに好ましい。さらにより好ましくは、R63は-NR6162である。R61およびR62の定義および好ましい形態は、それぞれ独立に上記と同じである。
64は、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC6-10アリール、非置換の、もしくはC1-6アルキルで置換されたC1-8アルキル、または-NR6162である。R64のC6-10アリールは、好ましくはフェニルまたはナフチルであり、より好ましくはフェニルである。R64のC1-8アルキルは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり、より好ましくはメチルまたはブチルである。C6-10アリールを置換するC1-8アルキル、またはR64のC1-8アルキルは、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはブチルであり、より好ましくはメチルである。R64の、非置換のC6-10アリールおよびC1-8アルキルがさらに好ましい。さらにより好ましくは、R64は-NR6162である。R61およびR62の定義および好ましい形態は、それぞれ独立に上記と同じである。
【0072】
式(D1)で表される(D1)架橋剤の具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化19】
【0073】
本発明の1つの形態では、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する(D1)架橋剤の質量比は好ましくは0.10~8質量%であり;より好ましくは0.5~5質量%であり;さらに好ましくは0.5~3質量%である。
【0074】
(D2)架橋剤
(D2)架橋剤は、式(D2)で表される。
【化20】
【0075】
65は、非置換の、またはC1-6アルキルで置換されたC1-20アルキルである。R65のC1-20アルキルは、直鎖アルキルまたは分岐状アルキルであってもよい。R65のC1-20アルキルは、好ましくはC1-10アルキルであり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、または-C(CH-CH-C(CHであり、さらに好ましくは-C(CH-CH-C(CHである。R65の、C1-20アルキルを置換するC1-6アルキルは、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはブチルであり、より好ましくはメチルである。R65の、非置換のC1-20アルキルがさらに好ましい。
D2は1、2、3または4であり;好ましくは2または3であり;より好ましくは2である。
D2は0、1または2であり;好ましくは0または1であり;より好ましくは1である。
D2は0、1または2であり;好ましくは1である。
D2+mD2+nD2≦6である。
【0076】
式(D2)で表される(D2)架橋剤の具体例を以下に記載するが、例示的な目的のみのためのものである。
【化21】
【0077】
本発明の1つの形態では、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する(D2)架橋剤の質量比は、好ましくは0.50~40質量%であり;より好ましくは1~20質量%であり;さらに好ましくは5~15質量%である。
【0078】
本発明の1つの形態では、上記量の架橋剤のいずれか1つを用いて本発明の組成物により形成されたレジスト被膜は、良好なパターン形状および剥離性を示すことができる。
【0079】
添加剤
本発明の組成物はさらに別の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤は、クエンチャー、界面活性剤、染料、コントラスト増強剤、酸、ラジカル発生剤、基板への密着増強剤、塩基、表面レベリング剤および消泡剤からなる群より選択することができる。
【0080】
本発明の1つの形態では、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する前記別の添加剤の質量比は、好ましくは0.05~10質量%であり;より好ましくは0.10~5質量%であり;さらに好ましくは0.10~2質量%である。後記において具体的に述べない限り、本発明の1つの形態では、本発明の組成物がこれらの添加剤のいずれをも含有していない(0質量%)。
【0081】
染料としては、単量体染料およびアゾ染料が本発明の形態であってもよい。国際公開2001/61410号に記載されている染料は、他の形態である。染料としては、9-アントラセンメタノールが本発明の好ましい形態である。
【0082】
クエンチャー
レジストパターン形状や長期安定性(レジスト層のパターン露光により形成される潜像の露光後安定性)等の特性を改善するために、本発明の組成物にクエンチャーを添加してもよい。クエンチャーとしては、アミンが好ましく、より好ましくは、二級脂肪族アミンまたは三級脂肪族アミンを用いることができる。ここで、脂肪族アミンとは、C2-9アルキルまたはC2-9アルキルアルコールアミンをいう。そのアルキル部分中の単一または複数のアルキレンは、エーテルリンカーによって置換されていてもよい。C3-6アルキルアルコールを有する三級脂肪族アミンがより好ましい。
【0083】
クエンチャーの具体例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリオクチルアミン、ジエタノールアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、トリエタノールアミンおよびトリス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]アミンが挙げられる。トリエタノールアミンおよびトリス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]アミンがより好ましい。
【0084】
本発明の1つの形態では、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対するクエンチャーの質量比が、好ましくは0.05~5質量%であり;より好ましくは0.10~2質量%であり;さらに好ましくは0.10~1質量%である。
【0085】
界面活性剤
本発明の組成物は、界面活性剤を含んでいてもよく、この界面活性剤は、被膜中のピンホールまたは条痕を減少させるため、および組成物の塗布性および/または溶解性を増加させるために有用である。
【0086】
本発明の1つの態様では、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量に対する界面活性剤の質量比が、好ましくは0.01~10質量%であり;より好ましくは0.05~5質量%であり;さらに好ましくは0.05~2質量%である。
【0087】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、およびポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、およびポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル化合物;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー化合物;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、およびソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル化合物;そして、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物が挙げられる。界面活性剤の他の例としては、エフトップ(商品名)EF301、EF303およびEF352(トーケムプロダクト(株))、メガフェイス(商品名)F171、F173、R-08、R-30およびR-2011(DIC(株))、フロラードFC430およびFC431(住友スリーエム(株))、アサヒガード(商品名)AG710(旭硝子(株))、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105およびSC106(旭硝子(株))等のフッ素系界面活性剤;およびKP341(信越化学工業(株))等のオルガノシロキサンポリマーが挙げられる。
【0088】
リフトオフ工程
リフトオフパターニング工程の1つの例示的な工程の形態を、図1の模式断面図に示す。(a)に示されるように、基板を用意し、次いで、基板上にレジスト組成物を塗布し、((b)に示される)レジスト層として得る。次に、(c)に示されるように、設計されたマスクを介する光放射線による露光。その後、レジスト層を現像し、(d)に示されるようにレジストパターンを形成する。レジストパターンは壁とトレンチを有する。
【0089】
後の剥離工程に対しては、逆テーパー形状のレジストパターンが好ましい。例えば、レジストパターンは、基板とレジストパターンの壁の側面が好ましくは90度未満(より好ましくは55度以上90度未満、さらに好ましくは55~80度)の角度を形成するような良好な逆テーパー形状を有する。角度はSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて断面写真で測定できる。
【0090】
次いで、(e)に示されるように、レジストパターン上に金属を適用して(好ましくは、蒸着させて)金属膜を形成する。金属膜は、好ましくは電極である。金属膜は、レジストパターンの壁とトレンチの上に形成される。レジスト層が、壁上の金属膜とトレンチとの間に隙間を作るのに十分な厚さを有し、それにより、レジスト層剥離液がその隙間を通して侵入できることが好ましい。
【0091】
そして、(f)に示されるように、レジストパターンとその上の金属膜を剥離し(好ましくは、レジスト層剥離液で剥離し)、基板上に金属膜パターンを得る。ここでは、レジストパターンの壁の上に形成された金属膜を剥離することにより、レジストパターンのトレンチ上に形成された、設計された金属膜パターンが残る。
【0092】
比較のために、図2の模式断面図に示されるレジストエッチング工程を以下に簡単に説明する。(a’)は基板を用意することを示す。(b’)は金属膜(例えば、電極)の形成を示し、(c’)は金属膜上へのレジスト層の形成を示す。(d’)はマスクを介した露光を示し、(e’)はレジストパターンを形成するための現像を示す。(f’)は露出した金属膜部分を剥離するためのドライエッチングを示し、(g’)は残っている金属膜部分の上に残っているレジストパターンの剥離を示す。
【0093】
レジスト層の形成
本発明の組成物を基板の上方に塗布する。この塗布の前に、基板表面を、例えば、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン溶液で前処理してもよい。本発明の組成物は、照射下で反応を起こし、その照射部分は、現像液による溶解に対する耐性が増大する。塗布には、既知の方法、例えばスピンコート法を用いることができる。そして、塗布されたレジスト組成物をベークして組成物中の溶剤を除去し、レジスト層を形成する。ベーキングの温度は、使用する組成物により異なるが、好ましくは70~150℃(より好ましくは90~150℃、さらに好ましくは100~140℃)である。これは、ホットプレート上での場合は10~180秒間、好ましくは、30~90秒間、あるいは熱ガス雰囲気中(例えば、クリーンオーブン中)の場合は1~30分間行うことができる。
形成されたレジスト層の厚さは、好ましくは0.40~5.00μm(より好ましくは0.40~3.00μm、さらに好ましくは0.50~2.00μm)である。
【0094】
本発明のレジストパターンを製造する方法においては、基板とレジスト膜が互いに直接接触しないように、基板とレジスト膜の間に下層膜を介在させてもよい。下層膜としては、例えば、下層反射防止膜(BARC層)、無機ハードマスク下層膜(例えば、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、または酸窒化ケイ素膜等)、および密着膜が挙げられる。下層膜は、単層または複数の層からなっていてもよい。本発明によるレジスト層は良好な剥離性を有するので、レジスト被膜が下層膜のない基板上に形成されることが好ましい形態であり、そして、これは、プロセス制御を難しくすることのあるレジスト現像中に下層膜(例えば、BARC)が溶解するという、意図しないリスクを低減することができる。
他の層(例えば、上層反射防止膜、TARC)をレジスト膜上に形成してもよい。
【0095】
レジストのパターニング
レジスト膜に、所定のマスクを介して露光する。露光に使用する光の波長は特に限定されない。露光は、13.5~365nm(好ましくは、13.5~248nm)の波長を有する光で行われる。KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、または極端紫外光(13.5nm)が好ましい形態であり;KrFエキシマレーザーがより好ましい。これらの波長は、±1%以内の変化が許容される。本発明による組成物によって作成されたレジストパターンは、良好な形状を形成することができ、良好な剥離性を示し得るため、一層微細に設計されたマスクを使用できる。例えば、好ましくは1.0μm以下のライン-スペース幅を有するマスクが使用でき、また、より好ましくは1.0μm未満のライン-スペース幅を有するマスクが使用できる。
【0096】
必要に応じて、露光の後に露光後ベークを行うことができる。露光後ベークの温度は、80~150℃、好ましくは90~140℃の範囲から選択され、また、露光後ベークの加熱時間は、0.3~5分間、好ましくは0.5~2分間の範囲から選択される。
【0097】
次に、現像液を用いて現像を行う。本発明のレジスト層の未露光部分は、現像により剥離され、レジストパターンが形成される。レジストパターン形成における現像に使用される現像液としては、2.38質量%(±1%の濃度変化を許容)のTMAH水溶液が好ましい。界面活性剤等の添加剤を現像液に加えてもよい。現像液の温度は一般に、5~50℃、好ましくは25~40℃の範囲から選択され、現像時間は一般に、10~300秒間、好ましくは30~90秒間の範囲から選択される。現像方法としては、パドル現像などの公知の方法を用いることができる。レジスト層が効果的に剥離され、レジストパターンのトレンチ部分には残らないことが好ましい。
【0098】
現像後、現像液を水および/または洗浄液に置き換えるようにレジストパターンを水または洗浄液で洗浄することができる。次に、基板を、例えば、スピンドライ法により乾燥させることができる。
【0099】
基板上への金属膜パターンの製造
レジストパターン上に金属を適用し、金属膜を形成する。既知の方法を使用できる。蒸着および塗布が好ましい(気相蒸着がより好ましい)。本明細書において、金属には金属酸化物が含まれる。金属膜は、良好な導電性を有することが好ましい。単一の、もしくは複数混合した金属を使用することができる。形成された金属膜の厚さは、レジストパターン壁の厚さよりも有効的に小さいこと(好ましくは、厚さの-80~-20%、より好ましくは厚さの-70~-30%)が、レジスト層剥離液が侵入してレジストパターンの壁に到達できる隙間を作るために好ましい。
【0100】
レジストパターンとその上の金属膜を剥離して、基板上に金属膜パターンを得る(狭義には、この工程を「リフトオフ」と呼ぶことができる)。レジストパターンの壁の上に形成された金属膜が剥離され、レジストパターンのトレンチ上に形成された、設計された金属膜パターンが残る。この剥離には、既知の方法、例えばレジスト層剥離液を使用することができる。レジスト層剥離液の1つの形態は、AZリムーバー700(メルクパフォーマンスマテリアルズ(株))である。パターン化された金属膜は、好ましくは、基板上の電極であり、これは後の工程で素子を作成するために使用することができる。
【0101】
素子の製造
その後、必要に応じて、基板をさらに加工して素子を形成する。そのようなさらなる加工は、既知の方法を使用して行うことができる。素子の形成後、必要に応じて、基板をチップに切断し、これをリードフレームに接続して樹脂でパッケージングする。好ましくは、素子は、半導体素子、高周波モジュール、太陽電池チップ、有機発光ダイオードおよび無機発光ダイオードである。本発明の素子の1つの好ましい形態は、半導体素子である。本発明の素子の他の好ましい形態は、送信機(ICチップを含んでいる)と受信機で作ることができる、高周波モジュールである。
【0102】
実施例
以下、実施例により本発明を説明する。これらの実施例は、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。なお、以下の説明において「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0103】
実施組成物1の調製例1
以下に記載する各成分を用意する。
【化22】
界面活性剤:メガファックR2011、DIC(株)
溶媒としては、PGMEAが用いられる。
【0104】
各成分を溶媒に添加する。単一または複数のポリマーの合計を100質量%として比較すると、架橋剤A1、PAG A、PAG B、クエンチャーおよび界面活性剤のそれぞれの比率は、10.66、3.37、0.62、0.39および0.10質量%である。この100質量%のポリマーは、固形成分量に基づく。
【0105】
次に、溶液を攪拌し、全ての成分が溶解されていることを確認する。この溶液を混合し、全固体成分濃度が23.0質量%になるまで溶媒を添加する。得られた溶液を0.1μmのカプセルフィルターで濾過する。
【0106】
得られた実施組成物を下記の表1-1において組成物1とする。
【0107】
実施組成物2~15の調製例2~15
成分および/または量を下記の表1-1に記載されるように変更することを除いて、調製例1と同様の方法で調製を実施する。
実施組成物2~15が得られる。
【0108】
【表1-1】
表1-1において、「組成」は「組成物」を意味する。以下の表において同様である。
【0109】
実施組成物1の評価用基板を調製する実施例
以下の評価に用いる基板を次に示すように調製する。シリコン基板((株)SUMCO、8インチ)の表面を、90℃で60秒間、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン溶液で処理する。実施組成物1をその上にスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークを行い、基板上に厚さ1.30μmのレジスト層を形成する。これに、FPA-3000EX5(キャノン)を用いて、マスクを介して露光する。使用されたマスクは、複数の1.0μmのラインとライン:スペース=1:1の領域を有している。そして、マスクは徐々に狭めたラインアンドスペースの領域を有している。これらのラインの幅は、1.0μm、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm、0.5μm、0.45μm、0.40μm、0.38μm、0.36μm、0.34μm、0.32μm、0.30μm、0.28μm、0.26μm、0.24μm、0.22μm、0.20μm、0.18μm、0.16μm、0.14μm、0.12μm、および0.10μmである。マスクには複数の同じ幅のラインがあり、各ライン:スペースの比は1:1である。より良い理解のために、マスク設計を図3に記載するが、これは本発明の範囲を限定するためではなく、説明の目的のためのものである。図3では、より良い理解のために、不正確な縮尺が使用されている。
【0110】
また、使用されたマスクは、複数の1.0μmのラインとライン:スペース=1:5の領域(孤立領域)を有している。そして、マスクは徐々に狭めたラインアンドスペースの領域を有している。これらのラインの幅は、1.0μm、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm、0.5μm、0.45μm、0.40μm、0.38μm、0.36μm、0.34μm、0.32μm、0.30μm、0.28μm、0.26μm、0.24μm、0.22μm、0.20μm、0.18μm、0.16μm、0.14μm、0.12μm、および0.10μmである。マスクには複数の同じ幅のラインがあり、各ライン:スペースの比は1:5である。より良い理解のために、マスク設計を図4に記載するが、これは本発明の範囲を限定するためではなく、説明の目的のためのものである。図4では、より良い理解のために、不正確な縮尺が使用されている。
【0111】
この基板を110℃で60秒間露光後ベーク(PEB)する。その後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いて、レジスト層を60秒間パドル現像する。パドル現像液が基板上に液盛りされている状態で、基板上に純水を流し始める。そして、基板を回転させながら、パドル現像液を純水に置き換える。その後、基板を2,000rpmで回転させ、スピン乾燥させる。
【0112】
実施組成物2~15の評価用基板を調製する実施例
実施組成物1を実施組成物2~15に変更することを除いて、上記と同じ方法で各基板の調製を行なう。
【0113】
レジストパターン形状の評価例
各々上記基板上の、密領域(ライン:スペース=1:1)中の0.5μmのスペースを通して露光されたレジストパターンの形状を、SEM装置SU8230((株)日立ハイテクノロジー)で評価する。評価基準は以下の通りである。
A:レジストパターン倒れが見られない
B:レジストパターン倒れが見られる
評価結果を下記の表1-2に示す。
【0114】
解像度の評価例
露光は、400nmスリット(ライン)で400nmパターンを再現することができる露光量で行われる。断面SEMを観察して、パターン形状が400nmのパターンからより狭いパターンに連続的であることを確認する。ここで、解像度とは、パターンが倒れるかギャップが埋まるかするスペース幅の直前のスペース幅である。
【0115】
評価基準は以下の通りである。
X:密領域において、解像度が340nm以下である
Y:密領域において、解像度が340nmより大である
X:孤立領域において、解像度が300nm以下である
Y:孤立領域において、解像度が300nmより大である
【0116】
総合評価は、以下のように区分される。
A:密領域と孤立領域の両方の評価がXである
B:密および孤立領域の評価の少なくとも1つがYである
【0117】
評価結果を以下の表1-2に示す。
【表1-2】
【0118】
実施組成物16~20の調製例16~20および参照組成物1の参照調製例1
成分および/または量を下記の表2-1に記載されるように変更することを除いて、調製実施例1と同じ方法で調製を実施し、全固形分濃度は13.0質量%になる。
【0119】
実施組成物16~20および参照組成物1が得られる。
【化23】
【表2-1】
表2-1において、「参照(ref.)」は「参照(reference)」を意味する。以下の表において同様である。
【0120】
実施組成物16の評価用基板を調製する実施例
以下の評価に用いられる基板を下記の通り調製する。BARC(下層反射防止膜)組成物AZ KrF-17B(メルクパフォーマンスマテリアルズ(株)、以下、MPM(株)と記す)を、シリコン基板((株)SUMCO、8インチ)の表面にスピンコートし、180℃で60秒間ベークして、厚さ38nmのBARC被膜を得る。
その上に実施組成物16をスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークすることにより、基板上に0.50μmの厚さのレジスト層を形成する。
【0121】
露光と後処理を、密領域のみを有するマスクに変更することを除いて、実施組成物1の評価用の基板を調製する実施例1に記載したのと同じ方法で実施する。次に、実施組成物16の評価用の基板を得る。
【0122】
実施組成物17~20および参照組成物1の評価用基板を調製する実施例
実施組成物16を、実施組成物17~20および参照組成物1に変更することを除いて、実施組成物16の評価用の基板を調製する実施例と同じ方法で各基板の調達を実施する。
【0123】
レジストパターン形状の評価例
実施組成物17~20および参照組成物1の各基板上の、密領域(ライン:スペース=1:1)中の0.25μmのスペースを通して露光されたレジストパターンの形状を、SEM装置SU8230で評価する。
【0124】
評価基準は以下の通りである。
A:レジストパターン倒れが見られない
B:レジストパターン倒れが見られる
評価結果を下記の表2-2に示す。
【0125】
解像度の評価例
露光は、300nmスリット(ライン)で300nmパターンを再現することができる露光量で行われる。断面SEMを観察して、パターン形状が400nmのパターンからより狭いパターンに連続的であることを確認する。ここで、解像度とは、スペースが崩れるスペース幅の直前のスペース幅である。
【0126】
評価基準は以下の通りである。
A:解像度が260nm以下である
B:解像度が260nmより大である
【0127】
【表2-2】
実施組成物から製造されたレジスト層は、参照組成物から製造されたものよりも良好な解像度を示す。
【0128】
実施組成物21~24の調製例21~24
成分および/または量を下記の表3-1に記載されるように変更することを除いて、調製実施例1と同じ方法で調製を実施し、全固形分濃度は24.0質量%になる。
実施組成物21~24が得られる。
【化24】
【表3-1】
【0129】
実施組成物21~24の評価用基板を調製する実施例
実施組成物1を実施組成物21~24に変更すること、密領域のみを有するマスクを用いること、および厚さ1.50μmのレジスト層を基板上に形成することを除いて、実施組成物1の評価用基板を調製する実施例と同じ方法で各基板の調達を実施する。
【0130】
レジストパターン形状の評価例
実施組成物21~24の各基板上の、密領域(ライン:スペース=1:1)中の0.7μmのスペースを通して露光されたレジストパターンの形状を、SEM装置SU8230で評価する。評価基準は以下の通りである。
A:レジストパターン倒れが見られない
B:レジストパターン倒れが見られる
評価結果を下記の表3-2に示す。
【0131】
剥離性の評価例
実施組成物21~24の各基板から切り出した20mm×20mmの切片を用意する。これらの切片を110℃で90秒間ベークする。各切片をシャーレ上に、皿の中心から十分離して置く。レジスト層剥離液(AZリムーバー700、MPM(株))をシャーレ中にゆっくりと加える。攪拌機で混合しながら、溶液を70℃まで加熱する。溶液を10分間混合した後、切片を取り出す。そして、レジスト層剥離液を十分な純水で洗い流す。そして、切片をNガススプレーによって乾燥させる。
【0132】
1.0μmのライン-スペースの露光したものから徐々に狭いものまで、剥離される前にレジストパターンがあった位置を光学顕微鏡で観察する。評価基準は以下の通りで。
A:0.7μm以下のライン-スペースの、露光されたレジストパターンが明確に剥離される
B:0.7μmより大きいライン-スペースの、露光されたレジストパターンが明確に剥離される
【0133】
評価結果を上記の表3-2に示す。
【表3-2】
【0134】
実施組成物から製造されたレジストパターンは、明確に剥離することができる。
【符号一覧】
【0135】
1.基板
2.レジスト層
3.マスク
4.放射線
5.金属膜
6.基板
7.金属膜
8.レジスト層
9.マスク
10.放射線
11.1.0μm幅のライン
12.1.0μm幅のスペース
13.1.0μm幅のラインとライン:スペース=1:1を有する領域
14.0.9μm幅のライン
15.0.9μm幅のスペース
16.0.9μm幅のラインとライン:スペース=1:1を有する領域
17.1.0μm幅のライン
18.5.0μm幅のスペース
19.1.0μm幅のラインとライン:スペース=1:5を有する領域
20.0.9μm幅のライン
21.4.5μm幅のスペース
22.0.9μm幅のラインとライン:スペース=1:5を有する領域
図1
図2
図3
図4