(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】三次元半導体構造を可視化するコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240910BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20240910BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/66 P
H01L21/66 J
G01N21/21 Z
G01N21/27 B
(21)【出願番号】P 2022193365
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2020546171の分割
【原出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ アーロン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】イロレタ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ジウラ サディアス ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】ジェリノー アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】シュ イン
(72)【発明者】
【氏名】シュ カイウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガンデ アビィ
(72)【発明者】
【氏名】ベルドマン アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】リー リー-クァン リッチ
(72)【発明者】
【氏名】シュエイブ ホウサム
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0167862(US,A1)
【文献】特開2004-214382(JP,A)
【文献】特開2013-200180(JP,A)
【文献】特表2011-522420(JP,A)
【文献】特表2006-520948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0300965(US,A1)
【文献】特開2005-183369(JP,A)
【文献】特開2004-219343(JP,A)
【文献】特開2016-115851(JP,A)
【文献】特開2006-258516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/00
G01N 23/201
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムの1つまたは複数のプロセッサによって実行するための1つまたは複数のプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記1つまたは複数のプログラムが、
半導体ウェハのエリアであって、三次元(3D)半導体構造の複数のインスタンスが周期配列されているエリアの、半導体計量ツールによる検査にもとづき、前記3D半導体構造の個別インスタンスのモデルを生成し、
前記モデルの3D形状を示す、そのモデルの画像であって、前記3D半導体構造の前記個別インスタンスの頂面及び底面のうち少なくとも一方と、その3D半導体構造の前記個別インスタンスのユーザ選択可能な半透明断面であり前記頂面及び底面間にあるユーザ選択可能な半透明断面とを備える画像をレンダリングし、
前記画像を表示用のための装置に供給する、ための命令を含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が2次元で表示される前記モデルの投影像を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項3】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記モデルにおける前記3D形状の不確定性を示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項4】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記3D形状又はその3D形状の断面の、公称形状からのずれを示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項5】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記3D形状の連続部分を相次いで示すアニメーションを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記画像が3D立体画像であり、
前記画像を供給することがその画像を3D立体ビュワに送ることを含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項7】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記3D半導体構造の前記複数のインスタンスが、3Dメモリにおけるメモリホール群の周期配列を含み、
前記3D半導体構造の前記個別インスタンスが個別メモリホールを含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記個別メモリホールの複数の断面に関し、前記個別メモリホールの楕円形状を示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記複数の断面に関し前記個別メモリホールのヘリシティを示すものであり、そのヘリシティが前記楕円形の向きの変化を示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
請求項
8に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記複数の断面に関し楕円形状からのずれを示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
請求項7記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記画像が、前記個別メモリホールの傾斜を示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記3D半導体構造の前記複数のインスタンスがfinFET群の周期配列を含み、
前記3D半導体構造の前記個別インスタンスが個別finFET又は個別finFETの一部分を含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記3D半導体構造の前記複数のインスタンスがDRAMセル群のアレイを含み、
前記3D半導体構造の前記個別インスタンスが個別DRAMセル又は個別DRAMセルの一部分を含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記3D半導体構造の前記個別インスタンスのモデルを生成することが、
パラメタ化寸法を有する、前記3D半導体構造の幾何モデルを取得し、
前記検査中に収集された計測結果を用い、前記パラメタ化寸法の値を求めること、
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記3D半導体構造の前記個別インスタンスのモデルを生成することが、
前記3D半導体構造の変動インスタンスに関し計測結果の集合を取得し、それら集合に個々の寸法値でラベル付けし、
前記検査中に収集された計測結果及び前記集合を用いて機械学習を実行することで、前記個別インスタンスに係る寸法の値を決定すること、を含み、
前記モデルの生成が、前記3D半導体構造のパラメタ化幾何モデルを用いずに実行される、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記半導体ウェハのエリアを検査することが、
分光エリプソメトリ、単一波長エリプソメトリ、ビームプロファイルエリプソメトリ、ビームプロファイルリフレクトメトリ、単一波長リフレクトメトリ、角度分解リフレクトメトリ、分光リフレクトメトリ、スキャタロメトリ及びラマンスペクトロスコーピで構成されるグループから選択された光学計量技術を実行することを含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
請求項1に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記半導体ウェハのエリアを検査することが、小角X線散乱を実行することを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
コンピュータシステムの1つ又は複数のプロセッサにより実行される1つ又は複数のプログラムが格納された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり、前記1つ又は複数のプログラムが、
半導体ウェハのエリアであり、三次元(3D)半導体メモリにおけるメモリホールの周期配列を含むエリアの、半導体計量ツールによる検査にもとづき、個別メモリホールのモデルを生成し、
前記モデルの3D形状を示す前記モデルの画像をレンダリングし、
前記画像を表示のための装置に提供する、ための命令を含み、
前記画像が、前記個別メモリホールの複数の断面に関し、前記個別メモリホールの楕円形状を示すとともに、前記複数の断面に対して前記個別メモリホールのヘリシティを示し、
前記ヘリシティが前記楕円形状の向きの変更を示す、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
コンピュータシステムの1つ又は複数のプロセッサにより実行される1つ又は複数のプログラムが格納された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり、前記1つ又は複数のプログラムが、
半導体ウェハのエリアであり三次元(3D)半導体構造の複数個のインスタンスが周期配列されているエリアの、半導体計量ツールによる検査にもとづき、その3D半導体構造の個別インスタンスのモデルを生成し、
前記モデルの3D形状を示す前記モデルの画像をレンダリングし、
前記画像を表示のための装置提供する、
ための命令を含み、
前記モデルを生成することが、
前記3D半導体構造の変動インスタンスに関し計測結果の集合を取得し、それら集合に個々の寸法値でラベル付けすること、および
前記検査中に収集された計測結果及び前記集合を用いて機械学習を実行することで、前記個別インスタンスに係る寸法の値を決定すること、を含み、
前記モデルの生成が、前記3D半導体構造のパラメタ化幾何モデルを用いずに実行される、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は半導体計量に関し、より具体的には半導体構造の三次元(3D)的性状を示す可視化物の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の計量、例えば種々の光学計量及び小角X線散乱(SAXS)を用いることで、三次元半導体構造の特性を解明することができる。しかしながら、もたらされる計測結果の不適切な可視化により、データが見逃され又は十分に察知されないこととなりうる。そうしたデータは、半導体製造プロセスをデバッグし、そのプロセスの歩留まり及び信頼性を改善し、或いは半導体デバイスの性能を予測するのに重要なものでありうる。不適切な可視化により参照データ、例えば限界寸法走査型電子顕微法(CD-SEM)及び透過型電子顕微法(TEM)で得たデータとの比較も困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2009/0296073号
【文献】米国特許出願公開第2016/0350445号
【文献】米国特許出願公開第2016/0307116号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、3D半導体構造を可視化する技術の改善が求められている。そうした構造の例としては、これに限定するものではないが、3Dメモリ(例.3Dフラッシュメモリ)におけるメモリホール、finFET及びDRAMセルがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
幾つかの実施形態に係る半導体構造可視化方法では、半導体計量ツールにおいて、半導体ウェハのあるエリアを検査する。その半導体ウェハは、半導体論理回路及び半導体記憶回路のうち少なくとも一方を含むものとすることができる。検査されるエリアは、3D半導体構造の複数個のインスタンス(構成物)を有し、それらが少なくとも一次元的に周期配列されているところである。本方法では、また、1個又は複数個のプロセッサと、当該1個又は複数個のプロセッサにより実行される命令群が格納されたメモリと、を備えるコンピュータシステムにおいて、前記検査を踏まえ、その3D半導体構造の個別インスタンスのモデルを生成する。本方法では、更に、そのコンピュータシステムにおいて、そのモデルの画像でありそのモデルの3D形状を示すものをレンダリング(描画)し、その画像を表示用の装置に供給する。
【0006】
幾つかの実施形態に係る半導体検査システムは、半導体計量ツールと、コンピュータシステムとを有し、そのコンピュータシステムが、1個又は複数個のプロセッサと、当該1個又は複数個のプロセッサにより実行される1個又は複数個のプログラムが格納されたメモリと、を有する。当該1個又は複数個のプログラムには、上述した方法の全部又は一部分を実行するための命令群を含める。幾つかの実施形態に係る非一時的コンピュータ可読格納媒体は、コンピュータシステムにより実行されるよう構成された1個又は複数個のプログラムが格納されたものである。当該1個又は複数個のプログラムには、上述した方法の全部又は一部分を実行するための命令群を含める。
【0007】
記載されている様々な実施形態のより良好な理解のためには、以下の図面と併せ後掲の詳細記述を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】メモリホールのCDプロファイルの変動をその深さに沿い表したグラフである。
【
図1B】メモリホールの傾斜をその深さに沿い表したグラフである。
【
図2】幾つかの実施形態に係る半導体構造可視化方法のフローチャートである。
【
図3A】幾つかの実施形態に従い、複数個のメモリホールを有する3D半導体メモリデバイスのモデル化スライスの等角投影画像を示す図である。
【
図3B】幾つかの実施形態に従い、2個のfinFETのモデル化部分の等角投影画像を示す図である。
【
図4A】幾つかの実施形態に従い、ある視角からレンダリングされたモデル化メモリホールの画像を示す図である。
【
図4B】幾つかの実施形態に従い、別の視角からレンダリングされたモデル化メモリホールの画像を示す図である。
【
図4C】幾つかの実施形態に従い、別の視角からレンダリングされたモデル化メモリホールの画像を示す図である。
【
図4D】幾つかの実施形態に従い、別の視角からレンダリングされたモデル化メモリホールの画像を示す図である。
【
図5A】幾つかの実施形態に従い、あるモデル化メモリホールの斜視外観画像を示す図である。
【
図5B】幾つかの実施形態に従い、別のモデル化メモリホールの斜視外観画像を示す図である。
【
図6】幾つかの実施形態に従い、モデル化メモリホールの斜視外観と、様々な深さにおけるそのモデルの断面と、を含む画像を示す図である。
【
図7A】幾つかの実施形態に従い、あるモデル化メモリホールのスケルトンビューを示す図である。
【
図7B】幾つかの実施形態に従い、別のモデル化メモリホールのスケルトンビューを示す図である。
【
図7C】幾つかの実施形態に従い、別のモデル化メモリホールのスケルトンビューを示す図である。
【
図8A】幾つかの実施形態に従い、メモリホールを有する半導体におけるモデル化ボリュームの不透明画像を示す図である。
【
図8B】幾つかの実施形態に従い、メモリホールを有する半導体におけるモデル化ボリュームの半透明画像を示す図である。
【
図9】幾つかの実施形態に従い、モデル化メモリホールの底面及びユーザ可選択断面を含む画像を示す図である。
【
図10】幾つかの実施形態に係る半導体検査システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面及び明細書を通じ、類似する参照符号により対応する部分を参照する。
【0010】
以下、添付図面にその例が描かれている様々な実施形態を詳細に参照する。以下の詳細記述では、記載されている様々な実施形態の一貫理解を図るべく、多数の具体的細部が説明されている。しかしながら、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には明らかな通り、記載されている様々な実施形態を、それら具体的細部抜きで実施してもよい。その他の点としては、周知の方法、手順、部材、回路及びネットワークが詳述されていないが、これは諸実施形態の諸態様を不必要に曖昧化させないためである。
【0011】
図1Aに、メモリホールの限界寸法(CD)プロファイル(例.直径)の変動をその深さに沿い表したグラフ100を示す。メモリホールは三次元(3D)半導体メモリ構造(例.3Dフラッシュメモリ)内を通り垂直に延びるものであり、その垂直方向(他図中のz軸)が深さに相当している。CDプロファイルはナノメートル(nm)単位で計測される。グラフ100はそのメモリホールの垂直断面に相当している。
【0012】
図1Bに、メモリホールの傾斜をその深さに沿い表したグラフ110を示す。理想的には、このグラフに真っすぐな垂直線が現れるよう、その傾斜を0とすべきである。しかしながら、現実には、その表面にある孔に対し、メモリホールのどの所与深さでもオフセットを呈することとなろう。このオフセットをナノメートル単位で計測したものが傾斜である。所与深さにおける傾斜は、メモリホールの表面上の特定点(例.その中心、その周縁上の特定点等々)と、その深さにおける対応点と、の間のオフセットを計測することで、決定することができる。
【0013】
それぞれある単一の次元に沿ってパラメタの変動を示す、というグラフ100及び110の低次元性によって、それらにより運ばれる情報が制限される。何れのグラフ100及び110でも、そのメモリホールの形状についての限定的指標しかもたらされない。よりロバストな可視化方法であり、メモリホールその他の半導体構造の3D形状感覚を提供することによりこの問題を解決する方法について、以下記述することにする。
【0014】
図2に、幾つかの実施形態に係る半導体構造可視化方法200のフローチャートを示す。本方法200では3D形状を示す画像が作成されており、それによりグラフ100及び110(
図1A及び
図1B)の短所をなくしている。
図3A~
図8Bへの参照で以て本方法200について述べ、またそれらの図で半導体構造の3D形状を示す画像の例を与えることにする(厳密にいえば、それらの画像により示されるのは半導体構造のモデルであり、後述の如くそれらのモデルは半導体計量の結果に基づき生成される)。本方法200中の諸ステップを組み合わせたり分解したりしてもよい。
【0015】
本方法200では、半導体計量ツール(例.計量ツール1032,
図10)を用い、半導体ウェハのうちあるエリアが検査される(202)。その半導体ウェハは、半導体論理回路及び半導体記憶回路のうち少なくとも一方を有するものとする。検査時点でその回路が部分的にしか作成されていなくてもよい。検査されるエリアは、3D半導体構造の複数個のインスタンスを有していて、それらが少なくとも一次元的(例.単一次元的又は二次元的)に周期配列されているエリアである。このエリアを検査するため光学計量又は小角X線散乱(SAXS)を実行してもよい(204)。実行されうる光学計量技術の例のなかには、分光エリプソメトリ(楕円偏向法)、単一波長エリプソメトリ、ビームプロファイルエリプソメトリ、ビームプロファイルリフレクトメトリ(反射計測法)、単一波長リフレクトメトリ、角度分解リフレクトメトリ、分光リフレクトメトリ、スキャタロメトリ(散乱計測法)及びラマンスペクトロスコーピ(分光法)がある。実行されうるSAXS技術の例のなかには、透過型SAXS、反射型SAXS及びかすめ入射SAXSがある。
【0016】
幾つかの実施形態では、その3D半導体構造が、3Dメモリ(例.3Dフラッシュメモリ)におけるメモリホール、フィン電界効果トランジスタ(finFET)又はその一部分、或いはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)セル又はその一部分とされる。メモリホールの検査は、それが空っぽなとき(例.エッチング後だが充填前)、充填済のとき、或いはエッチング・完全充填間の何らかの中間工程にて行えばよい。同様に、他の諸構造の検査を、その製造プロセス中の様々な工程で行うことができる。従って、被検査エリアのなかに、3Dメモリにおけるメモリホール群の周期配列、finFET群の周期配列、或いはDRAMセル群のアレイを含めることができる(206)。これに代え、他の3D半導体構造を検査してもよい。
【0017】
ステップ202、204及び/又は206に後続する諸ステップ(即ちステップ208以降)は、その計量ツールに可通信結合されたコンピュータシステム(例.半導体検査システム1000のコンピュータシステム,
図10)にて実行される。
【0018】
検査ステップ202中に収集された計測結果に基づき、その3D半導体構造の個別インスタンスのモデルが生成される(208)。幾つかの実施形態では、その個別インスタンスが、ステップ206に従い、個別メモリホール、個別finFET又はその一部分、或いは個別DRAMセル又はその一部分とされ、或いはそれを含むものとされる。
【0019】
幾つかの実施形態では、そのモデルを生成するため、その3D半導体構造の幾何モデルでありパラメタ化された寸法によるもの(即ちパラメタ化幾何モデル)が取得される(210)。その幾何モデルに、素材特性についての情報をも含めて、パラメタ化幾何/素材モデルとしてもよい。そのパラメタ化幾何モデル(例.幾何/素材モデル)は、通常、検査ステップ202より前に先行生成される。検査ステップ202中に収集された計測結果を用い、それらパラメタ化寸法の値が決定される(212)。その決定は、その幾何モデル(例.幾何/素材モデル)のパラメタ群に対する回帰を実行することで、行うことができる。例えば、そのパラメタ化幾何モデル(例.幾何/素材モデル)に関し対応するパラメタ値が決定済な実及び/又は模擬計測結果の訓練集合を用い訓練された、機械学習モデルを用いることで、その決定を行うことができる。
【0020】
他の幾つかの実施形態では、そのモデルを生成するため、その3D半導体構造の変動インスタンスに関し(実及び/又は模擬)計測結果の集合が取得される(214)。各集合がそれぞれの寸法値で以てラベル付けされる。機械学習を実行する際に、検査ステップ202中に収集された計測結果及びその集合を用いることで、その個別インスタンスに係る寸法の値を決定可能となる(216)。その3D半導体構造のパラメタ化幾何モデルは用いない。
【0021】
そのモデルの画像でありそのモデルの3D形状を示すものがレンダリングされる(218)。その画像が、例えば、1個又は複数個の表面及び/又は側面が隠され又は省略され、及び/又は、その画像に含める断面の個数が制約された結果、そのモデルの部分3D形状を示すものとなっていてもよい。或いは、その画像が、例えば拡張現実又は仮想現実(AR/VR)或いはホログラフィを用い、そのモデルのフル3D形状を示すものであってもよい。そのモデル及び画像をボクセル化することで、それらがボクセル(画素の3D等価物たる立体要素)を用い構築されるようにしてもよい。その画像が表示用の装置に供給される(224)。ある例では、その画像が、ステップ208~224を実行するコンピュータシステムの表示画面(例.ディスプレイ1008,
図10)へと供給される。別の例では、その画像が、別の電子デバイス(例.クライアントコンピュータ又はモバイル電子デバイスでありディスプレイ、AR/VRビュワ、3D立体ビュワ、ホログラフィック表示システム等々を有するもの)へと表示のため伝送される。更に別の例によれば、その画像を3Dプリンタへと伝送し、そこでそのモデルの形状を有する物体を付加的に製造することで、そのモデルの3D形状を提示することができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、その画像が、二次元(2D)表示用の投影像を含むものとされる(220)。例えば、その投影像を、そのモデルの複数個の側面を示す軸測投影像(例.等角投影像、二等角投影像又は不等角投影像)とすることができる。即ち、その投影像の諸次元が共通スケールを共有するのでも異なるスケールを有するのでもよい。その投影像は、2D的に表示されつつ、そのモデルの3D形状を示すものとなる(但し、幾つかの側面及び/又は表面が目に見える側面及び/又は表面により遮られうるため、実施形態によっては3D形状全体にならない)。
【0023】
図3Aに、幾つかの実施形態に従い、複数個のメモリホール302-1~302-7を有する3D半導体メモリデバイス(例.3Dフラッシュメモリ)のモデル化スライス(断片)304の等角投影画像300を示す。スライス304は、複数個の層(例.一連の交番する酸化物(SiO
2)層及び窒化物(Si
3N
4)層)を備え、それらを貫きメモリホール302が垂直に延びるものと、することができる。画像300では、専ら、メモリホール302-1、302-4及び302-7の2D頂面が示される一方、メモリホール302-2、302-3、302-5及び302-6の破断描像が示されている。メモリホール302-3及び302-6の破断描像には、それらを断片化している平面に対し後方半分の3D形状が示されている。画像300は、従って、ステップ220の画像の一例となる。メモリホール302-3及び302-6の3D形状は、輪郭線(
図3Aの如きそれ)、シェーディング(陰影付け)、カラーリング(着色)その他、3D物体の2D投影に適するグラフィカル技術を用い示せばよい。
【0024】
図3Bに、幾つかの実施形態に従い、2個のfinFETのモデル化部分の等角投影画像350を示す。1個目のfinFETはチャネル352-1、2個目のfinFETはチャネル352-2を有している。それらチャネル352をギャップ354により仕切ることで、それら2個のfinFETが分離されている。
図3Aのメモリホール302-3及び302-6でそうであったように、それら構造の3D形状を、輪郭線(
図3Bの如きそれ)、シェーディング、カラーリングその他、適切なグラフィカル技術を用い示すことができる。画像350はステップ220の画像の別例である。
【0025】
画像300及び350に示す通り、ステップ218及び224の画像により、半導体構造又はその諸部分の複数個のインスタンス(例.メモリホール302又はチャネル352の複数個のインスタンス)の3D形状を示すことができる。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、ユーザ入力226に応じ画像の視角を変化させることができる。
図4Aに、幾つかの実施形態に従い、第1視角からレンダリングされたモデル化メモリホールの画像400Aを示す。第1視角からの画像400Aには、そのメモリホールの頂面402及び前表面404が現れる。輪郭線(又はシェーディング、カラーリング等々)の使用によりそのメモリホールの3D形状が示されるところ、画像400Aには前表面404の3D湾曲が示されている。このメモリホールの底面406及び後表面は、この視角では遮られている。視角変更を明示したユーザ入力226の受領に応じ、方法200を実行するコンピュータシステムが、変更後の視角からの新たな画像400B、400C又は400Dをレンダリングし(218)、その新規画像400B、400C又は400Dをユーザの装置へと表示のため供給する(224)(これに代え、ユーザ入力226に先立ちその新規画像をレンダリング及び格納しておき、そのユーザ入力226に応じ供給するのでもよい)。このプロセスを反復的に実行することで、ユーザが複数通りの視角からそのメモリホールを見ること(例.ひいては画像400B、400C及び/又は400Dを見ること)が可能となる。例えば、ユーザが指定方向に沿いメモリホールの描像を回すことができる。画像400Bは側面描像であり、前表面404の3D湾曲が示されているが頂面402、底面406及び後表面は示されていない。画像400Cは底面描像であり、底面406のみが示されている。画像400Dは頂面描像であり、頂面402のみが示されている。画像400C及び400Dは、3D形状を示すものではないためステップ218の画像の例とはならないが、僅かに回して側表面又はその一部を見せればそうなるであろう。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、画像がレンダリングされる視角を変化させるのに代え、モデルそれ自体をユーザ入力226に応じ変化させること(例.「ユーザ入力226」と付記されている矢印線の先端がステップ218ではなくステップ208に戻るようにすること)ができる。例えば、ユーザ入力226により、その個別インスタンスのモデルの一通り又は複数通りの寸法(例.距離)又は角度に対する変更を、明示することができる。モデルがそのユーザ入力226に応じ更新され、ステップ202の検査中に収集された計測結果にはもはや相当しなくなる。そして、その更新されたモデルの画像がレンダリングされ、表示のためユーザの装置へと送られる。この修正により、ユーザが、破損点に達するまで(例.近隣導電構造が短絡するまで)のマージンがその半導体構造にどの程度あるかを、調べることが可能となる。その更新されたモデルの画像に注釈を付すことで、そのモデルに対する(複数の)更新について表示(例.その寸法変更、一通り又は不複数通りの角度に対する変更等々について表示)してもよい。注釈はユーザ駆動とすればよい(例.ユーザ入力226に従い、明示された距離又は角度を表示すればよい)。
【0028】
図5Aに、幾つかの実施形態に従い、あるモデル化メモリホールの斜視外観画像500を示す。画像400A(
図4A)と同様、画像500には、そのメモリホールの頂面502と、前表面504の3D湾曲とが示されている。しかし、画像400Aのメモリホールが傾斜していなかった(即ちその傾斜が実質的に0でありそのメモリホールが垂直方向に沿い実質的に真っすぐであった)のとは違い、画像500には傾斜も現れている。画像500におけるメモリホールの上部はある斜め角で下方に傾いているが、それはそのメモリホールの中部にある曲がり目506までであり、そこでそのメモリホールは曲がって垂直方向に向かっている。そして、このメモリホールの下部は、実質的な傾き無しで下方に延びている。
図1Bに関し論じた通り、傾斜が頂面に対するオフセットとして定義されているのであれば、その曲がり目506より下にある下部の傾斜は実質的に一定となる。
【0029】
図5Bに、幾つかの実施形態に従い、別のモデル化メモリホールの斜視外観画像550を示す。画像400A(
図4A)及び500(
図5)と同様、画像550には、そのメモリホールの頂面552と、前表面554の3D湾曲とが示されている。画像550には、その頂面552が楕円形であることが示されている。前表面554の形状が示唆している通り、このメモリホールはその楕円形を保ちつつ下方に延びている。
【0030】
3D半導体構造の個別インスタンスが個別メモリホールである幾つかの実施形態では、その画像により、その個別メモリホールが楕円形であることが、そのメモリホールの複数個の断面(例.水平断面)に関し示される。その画像によって、その個別メモリホールのヘリシティ及び/又はそのメモリホールの傾斜を、それら複数個の断面に関し示すこともできる。ヘリシティ(螺旋度・螺旋性)はその楕円形の向きの変化を示すものであり、その頂面に対するその楕円の長軸(或いは等価なことに短軸)の回動度合い(例.度又はラジアン単位で測ったそれ)として、定義することができる。例えば、
図6には、幾つかの実施形態に従い、モデル化メモリホールの斜視描像(ここでは側面描像602)と、様々な深さにおけるそのメモリホールの断面606-1~606-6と、を含む画像600が示されている。側面描像602と個別の断面606との間の矢印線604は、その個別断面606に係る深さを示している。それら断面606により、様々な深さにおけるそのメモリホールのサイズ(例.CD)及び楕円的な形状が示されている。それら断面606は、様々な深さにおけるそのメモリホールのヘリシティも示しており、深さが増すにつれ断面606の楕円も回っている。
図6中のメモリホールは実質的に無傾斜であるが、仮に傾斜があれば断面606により傾斜をも示すこと、例えばそれらの周りにある長方形内での位置・姿勢を変化させて頂面に対するオフセットを明示することでそうすることができよう。
【0031】
幾つかの実施形態では、その画像により、楕円形からの逸脱具合が、それら複数個の断面に関し表示例えばハイライトされる。例えば、ある特定の断面606が精密には楕円でないことがありうる。その断面のうち楕円から逸脱している(例.楕円外にはみ出し又は楕円の縁に達し損ねている)部分を、(例.ある特定の色、形状又は塗りつぶしパターンで以て示し)ハイライトすることができる。より一般的には、その画像により、公称形状からのその3D形状又はその一部分(例.断面)の逸脱具合を、表示例えばハイライトすることができる。メモリホール及び楕円はその逸脱具合が表示されうる個別構造及び公称形状の一例に過ぎない。他の例もありうる。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、ある軸(例.深さ相当のz軸)沿いに並んで見えるよう諸断面を示すこと、またその軸が紙面に対し斜めに(即ちある斜め角で)交差して見えるようにすることができる。この配列によれば、それら断面を部分的に重ね合わせる(例.個別断面で後続の諸断面を部分的に遮る)ことができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、その画像がそのモデルのスケルトンビュー、即ち複数個の断面を輪郭線によりつないだもの(例.それら輪郭線が各断面の周縁上の対応する点に交わるもの)を、含むものとされる。スケルトンビューは、(断面及び輪郭線の個数制約故に3D形状全体ではないが)そのモデルの3D形状を示すものであり、それでいて2D的に表示することができる。
図7A~
図7Cに、幾つかの実施形態に従い、モデル化メモリホールのスケルトンビュー画像700、720及び740を示す。
【0034】
画像700では、断面702-1~702-5が輪郭線704-1及び704-2によりつながれている。それら断面702は楕円形であり、そのことがそれら断面702に係る楕円の長軸及び短軸により示されている。そのメモリホールの楕円的な形状、即ちその楕円率(例.長軸及び短軸の長さの比)により定量されるそれが、メモリホールのCDひいてはそのサイズがそうであるように、深さとの関係で一定に保たれている。このメモリホールはらせん状ではなく、諸断面702の楕円が深さとの関係で回っていない。しかしながら、メモリホールはまさに傾斜しており、輪郭線704-1及び704-2の湾曲により示す如く、その傾斜が深さとの関係で変動している。
【0035】
画像720では、断面722-1~722-5が輪郭線724-1及び724-2によりつながれている。その楕円的な形状、ひいては楕円率が深さとの関係で変化しており、短軸の長さが増して長軸になるに至っている。メモリホールのサイズ、ひいてはそのCDが、深さとの関係で激変している。とはいえそれら楕円は回っておらず、ヘリシティの欠如を示している。
【0036】
画像740では、断面742-1~742-4が輪郭線744-1及び744-2によりつながれている。それら断面742の楕円率及びCDは一定に保たれているが、メモリホールはヘリシティを呈しており、深さが増すにつれ諸断面742の楕円が回っている。それら楕円の軸が回っていることを看取できる。
【0037】
このように、複数個の断面の使用により、
図6及び
図7A~
図7Cに示した如く、3D形状に関する広範な情報を提供することができる。
【0038】
図8A及び
図8Bに、幾つかの実施形態に従い、半導体におけるモデル化ボリューム(立体)802の画像800及び810を示す。このボリューム802内にはメモリホール804-1、804-2及び804-3があり、それらを以てメモリホール群の周期的2D配列の一部分とすることができる。画像800ではボリューム802が不透明なものとして示されている。画像800には、メモリホール804-1の頂面、メモリホール804-2の頂面のうち一部分、並びにメモリホール804-3の頂面のうち一部分が、メモリホール804-3の垂直断面プロファイルと共に示されている。画像810ではボリューム802が半透明であり、3個あるメモリホール804-1、804-2及び804-3全ての3D形状が見えている。従って、どちらの画像800及び810にも、少なくとも1個の半導体構造の少なくとも部分的な3D形状が(ステップ208にてモデル化された通り)示されているが、画像810には、画像800よりもかなり多くの3D情報が示されている。
【0039】
幾つかの実施形態では、その画像が、その3D半導体構造のモデル化個別インスタンスの頂面及び底面のうち少なくとも一方を含むものとされ、またその頂面・底面間にその3D半導体構造のモデル化個別インスタンスのユーザ可選択断面(例.垂直なz軸に対し垂直な水平断面)を含むものとされる。例えば、
図9には、幾つかの実施形態に従い、モデル化メモリホールの底面902及びユーザ可選択断面904を含む画像900が示されている。ユーザ可選択断面904は半透明なものとすることができる。そのユーザ可選択断面904の垂直方向位置を、ユーザ入力226に基づき変更することができる(例.新たな垂直方向位置を明示してのユーザ入力226に応じ、方法200を実行するコンピュータにてステップ218及び220を反復することで、ユーザ可選択断面904がその新規明示垂直方向位置にある新たな画像をレンダリングし提示することができる)。複数個の断面(即ち頂面及び/又は底面並びにユーザ可選択断面)を提示することで、その画像を、(断面及び輪郭線の個数制約故に3D形状全体ではないが)そのモデルの3D形状を示すものとしつつ、2D表示向けの画像とすることができる。幾つかの実施形態によれば、この画像を、複数個のユーザ可選択断面を含むものとし、そのうち1個又は複数個(例.全て)を半透明なものとすることができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、その画像がAR/VR画像又は3D立体画像とされ、或いはそれを含むものとされる(222)。ステップ224にてその画像が供給される装置を、従って、AR/VR看取装置(例.AR/VRゴーグル、ARグラス)又は3D立体ビュワとすることができる。
【0041】
例えば、そのAR/VR画像を、そのモデルを第1視角からレンダリングした第1AR/VR画像とする。本方法200では、更に、その第1AR/VR画像を表示のためAR/VR看取装置に送った後に、視角の変化を求めるユーザ入力226を受け付けるようにしている。そのユーザ入力に応じステップ222を反復することで、そのモデルの第2AR/VR画像を第2視角からレンダリングすることができる。その第2AR/VR画像が、ステップ224にて、表示のためAR/VR看取装置に送られる。このようにすることで、ユーザは、AR/VRにて画像の周りを有効に巡ることができる。
【0042】
また例えば、そのAR/VR画像を、そのモデルの第1AR/VR画像であり、そのモデルのパラメタ値に対応した外見を有し、そのパラメタ値がステップ202の検査中に収集された計測結果に基づき決定されている画像とする。本方法200では、更に、その第1AR/VR画像を表示のためAR/VR看取装置に送った後に、そのパラメタ値に対する変更を求めるユーザ入力226を受け付けるようにしている。そのユーザ入力に応じ、そのモデルに係るパラメタ値が変更され、ステップ222にて、そのモデルの第2AR/VR画像が、その変更後の値に対応する外見で以てレンダリングされる。その第2AR/VR画像が、ステップ224にて、表示のためAR/VR看取装置に送られる。このようにすることで、ユーザは、その半導体構造の3D形状の潜在的変動を調べる(例.破損点に達するまでのマージンがその半導体構造にどの程度あるかを調べる)ことができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、本方法200に従い生成される画像により、ステップ218のモデルに従いその3D形状に係る不確定性が示される(例.ハイライトされる)。例えば、そのCDに不確定度がある限りにおいて、関連するモデル化半導体構造インスタンスの辺(例.メモリホールの壁沿い)における不確定性領域を、当該関連モデル化半導体構造インスタンスの残りとは異なる色、陰影又は塗りつぶしパターンにて示すことで、その辺の精密な所在個所にその不確定性を表示することができる。ぼかし(例.縁のそれ)又はドットを用い不確定性を表示してもよい。その不確定性に従いアニメーションを表示させることで、その3D形状がある見込み範囲内で変化しうる(例.エッジの位置が変化しうる)ことを示してもよい。他の例もありうる。
【0044】
上述の指標、例えば傾斜、楕円率、公称形状(例.楕円形)からの逸脱具合及びヘリシティは、本方法200を用い生成される画像中に示しうる指標の例に過ぎない。それと併せ又は代えて他の指標(例.導関数指標、フーリエ変換を用い生成された指標等々)を示してもよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、本方法200に従い生成される画像が、その3D形状の継起的諸部分を相次いで示すアニメーションを、含むものとされる。例えば、そのアニメーションによって、継起する諸断面、例えば深さが増し又は減っていく諸断面を、相次いで示すことができる。また例えば、そのアニメーションによって、継起する諸部分が視野内に入りそこから出ていく態で、その3D形状の回転が示される。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、そのモデルに係るデータを、そのモデルの画像上に重ね合わせることで、ステップ224にてユーザの装置に供給される画像に、その重ね合わせデータを含めることができる。そのデータに、そのモデルに係る1個又は複数個のパラメタ/指標の値を明示する数値を、含めることができる。そのデータに、電界又は歪を明示するベクトルを、含めることができる。他の例もありうる。
【0047】
図3A~
図8Bに示した画像は、本方法200にて用いられうる3D可視化技術の例に過ぎない。他の例もありうる。幾つかの実施形態によれば、本方法200により作成された画像を用い、半導体デバイスの性能を予測することができる。幾つかの実施形態によれば、本方法200により作成された画像を用い、参照画像(例.CD-SEM又はTEM画像)との比較を行うことができる。幾つかの実施形態によれば、本方法200により作成された画像を用い、プロセス又はデザインの変更を識別することができる。
【0048】
図10は、幾つかの実施形態に係る半導体検査システム1000のブロック図である。本半導体検査システム1000は半導体計量ツール1032及びコンピュータシステムを有しており、そのコンピュータシステムが、1個又は複数個のプロセッサ1002(例.CPU及び/又はGPU)、随意的なユーザインタフェース1006、メモリ1010、並びにそれら部材間を接続する及び1本又は複数本の通信バス1004を有している。そのコンピュータシステムを、1個又は複数個のネットワーク1030を介し計量ツール1032に可通信結合させることができる。そのコンピュータシステムは、更に、計量ツール1032及び/又はリモートコンピュータシステム群との通信用に1個又は複数個のネットワークインタフェース(有線及び/又は無線,図示せず)を有するものとすることができる。幾つかの実施形態では、その計量ツール1032により光学計量及び/又はSAXSが実行される。
【0049】
ユーザインタフェース1006は、ディスプレイ1008、及び/又は、1個又は複数個の入力デバイス(例.キーボード、マウス、ディスプレイ1008のタッチ感応面等々)を、有するものとすることができる。そのディスプレイ1008により、幾つかの実施形態に係る方法200の画像を表示することができる。
【0050】
メモリ1010は揮発性及び/又は不揮発性メモリを有している。メモリ1010(例.メモリ1010内の不揮発性メモリ)は、非一時的コンピュータ可読格納媒体を有している。メモリ1010は、必須ではないが、プロセッサ1002に対し遠隔配置された1個又は複数個の格納デバイス、及び/又は、そのコンピュータシステム内に可除挿入される非一時的コンピュータ可読格納媒体を、有している。幾つかの実施形態では、様々な基本システムサービスを取り扱う手順及びハードウェア依存タスクを実行する手順を内包するオペレーティングシステム1012、モデル生成モジュール1014、モデル更新モジュール1016、画像レンダリングモジュール1018、画像伝送モジュール1020、並びに計量ツール1032から収集された計測結果のデータベース1022、といったモジュール及びデータ或いはそのサブセット又はスーパーセットが、メモリ1010(例.メモリ1010の非一時的コンピュータ可読格納媒体)に格納される。
【0051】
従って、メモリ1010(例.メモリ1010の非一時的コンピュータ可読格納媒体)内には、計量ツール1032と連携し方法200(
図2)を実行するための命令群がある。メモリ1010内に格納されているモジュールは、それぞれ、本願記載の1個又は複数個の機能を実行するための命令群の集合に相当している。個別のモジュールが別々のソフトウェアプログラムとして実施される必要はない。それらモジュール、並びにそれらモジュールの様々なサブセットを、再配列例えば結合させてもよい。幾つかの実施形態では、先に指摘したモジュール群及び/又はデータ構造群のサブセット又はスーパーセットがメモリ1010に格納される。
【0052】
図10は、構造図式よりも、半導体検査システムに内在しうる様々な特徴の機能的記述を企図している。例えば、本半導体検査システム1000におけるコンピュータシステムの機能を複数個のデバイス間で分かち合ってもよい。メモリ1010内に格納されているモジュール群の一部分を、そうするのに代えて、1個又は複数個のネットワークを介し本半導体検査システム1000のコンピュータシステムと可通信結合されている1個又は複数個のコンピュータシステム内に、格納してもよい。
【0053】
上掲の記述では、説明を目的として、具体的諸実施形態を参照して述べている。しかしながら、上掲の例証的議論は排除的な意図のものではなく、開示されている諸形態そのものへと諸請求項の技術的範囲を限定する意図もない。上掲の開示の範囲内で、様々な修正及び改変をなしうる。諸実施形態は、諸請求項の下地をなす諸原理及びそれらの実際的用途を最も好適に説明すること、ひいては想定されている特定の諸用途に見合う様々な修正付きでいわゆる当業者がそれら実施形態を好適に用いうるようにすることを、目的として選択されている。