(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】形状測定機及び形状測定機のアライメント方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/20 20060101AFI20240911BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G01B5/20 C
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2021028747
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】森山 克文
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/187191(WO,A1)
【文献】特開2018-163093(JP,A)
【文献】特開2011-174779(JP,A)
【文献】特開2016-83729(JP,A)
【文献】特開2008-70181(JP,A)
【文献】特開2002-98524(JP,A)
【文献】特開2017-161252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0161239(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00 - 5/30
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが載置されたステージを回転軸周りに回転させるステージ回転機構と、
検出方向に沿って前記ワークの表面形状を検出するプローブと、
前記プローブをプローブ回転軸周りに回転させるプローブ回転機構と、
前記プローブを直動移動方向に沿って移動させる直動機構と、
前記直動移動方向に対して垂直な母線調整方向に沿って前記プローブを移動させる母線出し機構と、
前記直動移動方向及び前記母線調整方向に沿って前記プローブを移動させ、少なくとも2つの位置における前記プローブの位置に基づいて、前記直動移動方向に対する前記プローブの検出方向の傾きを回転角度として算出する回転角度算出手段と、
前記プローブ回転機構を制御して、前記回転角度だけ前記プローブを回転させる駆動制御手段と、
を備える形状測定機。
【請求項2】
前記回転角度算出手段は、円柱又は円筒形状のジグであって、前記ステージの回転軸と前記ジグの中心軸が一致するように載置されたジグに対して、前記プローブの検出方向が同一直線
上となる少なくとも2つの位置における前記プローブの位置に基づいて、前記直動移動方向に対する前記プローブの検出方向の傾きを算出する、請求項1記載の形状測定機。
【請求項3】
前記プローブの位置を検出可能なカメラを備え、
前記駆動制御手段は、前記カメラによる検出結果に基づいて、前記直動機構及び前記母線出し機構を制御して、前記プローブを基準位置に移動させ、
前記回転角度算出手段は、円柱又は円筒形状のジグであって、前記ステージの回転軸と前記ジグの中心軸が一致するように載置されたジグを検出可能な少なくとも2つの位置及び前記プローブの位置に基づいて、前記直動移動方向に対する前記プローブの検出方向の傾きを算出する、請求項1記載の形状測定機。
【請求項4】
前記プローブの位置を検出可能なカメラを備え、
前記プローブは、前記ワークに接触して前記ワークの形状を検出する接触子であって、検出ストローク内を移動可能な接触子を備え、
前記回転角度算出手段は、前記接触子
を検出ストロークの各ストローク端に位置させた状態で、前記カメラにより検出された前記接触子の位置が前記ステージの回転軸上になるときの前記プローブの位置に基づいて、前記直動移動方向に対する前記プローブの検出方向の傾きを算出する、請求項1記載の形状測定機。
【請求項5】
検出方向に沿ってワークの表面形状を検出するプローブを、直動移動方向及び前記直動移動方向に垂直な母線調整方向に沿って移動させ、少なくとも2つの位置における前記プローブの位置に基づいて、前記直動移動方向に対する前記プローブの検出方向の傾きを回転角度として算出する工程と、
プローブ回転機構を制御して、前記回転角度だけ前記プローブを回転させる工程と、
を含む形状測定機のアライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は形状測定機及び形状測定機のアライメント方法に係り、特にワークの外面、又はワークに形成された穴の内面の形状を測定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検出器のプローブとワークとを回転軸を中心に相対的に回転させることにより、ワークの形状(真円度等)を測定する形状測定機が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような形状測定機を用いてワークの外面および内面の形状を精度よく測定するためには、回転軸とワークの中心軸とを一致させる必要がある。回転軸とワークの中心軸とが一致していない場合、測定ワークの直径が小さいほど測定の誤差は大きくなる。
【0003】
特許文献1には、回転テーブル上に載置された円筒状のワークの内周面に検出器のプローブ(接触子)を当接させてワークの内周面の内面形状を測定する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、回転軸とワークの中心軸とを一致させるために、事前に検出器のプローブをワークの外周面に当接させ、回転テーブルを回転させながら低倍率でワークの振れを見て、振れが小さくなるようにワークの載置位置を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような形状測定機を用いてワークの細穴の内面形状を測定する場合、プローブと回転軸との相対的な位置合わせ(プローブアライメント)が重要となる。このプローブアライメントでは、ワークの形状と、プローブのワーキングディスタンスとの関係によっては、回転軸及びワークの中心軸からプローブの位置をずらして配置する場合がある。
【0006】
ここで、プローブのワーキングディスタンスとは、プローブによって測定可能な距離の範囲である。接触式のプローブの場合、ワーキングディスタンスは、プローブの先端部の可動範囲に依存する。一方、非接触式(例えば、ToF(Time-of-Flight)方式)のプローブの場合、ワーキングディスタンスは、測定光の到達距離、反射光の検出精度及び外乱光の影響等に依存する。
【0007】
図41及び
図42は、ワークの形状とプローブの位置との関係を説明するための図である。
図41及び
図42では、円筒状のワークW1及びW2の中心軸(穴H1及びH2の中心軸)と回転軸Cとが一致しており、ワークW1及びW2に形成された穴H1及びH2の直径をそれぞれR
H1及びR
H2とし、プローブの接触子Pの直径をR
Pとする。
【0008】
なお、図中の矢印A1及びA2は、接触子Pの変位の検出方向を示している。接触子Pの変位の検出方向は、接触式のプローブの場合には、プローブの先端部の可動方向であり、非接触式のプローブの場合には、測定光の出射方向である。
【0009】
図41は、接触子Pによって測定可能な距離の最小値(以下、最小ワーキングディスタンス(最小WD)という。)が(R
H1-R
P)/2よりも大きい場合を示している。この場合、ワークW1に形成された穴H1の内面の形状を測定するためには、接触子Pと穴H1の内面との間の距離WDを最小WDよりも大きくする必要がある。したがって、この場合、
図41に示すように、接触子Pの位置を回転軸Cからずらす必要がある。
【0010】
図42は、接触子Pによって測定可能な距離の最大値(以下、最大ワーキングディスタンス(最大WD)という。)が(R
H2-R
P)/2よりも小さい場合を示している。この場合、ワークW2に形成された穴H2の内面の形状を測定するためには、接触子Pと穴H2の内面との間の距離WDを最大WD未満にする必要がある。したがって、この場合も、
図42に示すように、接触子Pの位置を回転軸Cからずらす必要がある。
【0011】
上記のように、接触子Pの位置を回転軸Cからずらして配置した場合、形状(真円度等)の測定精度を確保するため、接触子Pの検出方向(検出ストローク)と、接触子Pの移動方向とを平行にする必要がある。
【0012】
図43は、接触子Pの移動方向と検出方向との傾きがワークの形状の測定値に与える影響について説明するための図である。なお、
図43では、図示の便宜上、移動前後のワークW10及びW12の表面の変位を誇張して示している。
【0013】
図43に示す例では、接触子Pの移動方向A
HがX軸に平行であるのに対して、接触子Pによる変位の検出方向A
Pは、接触子Pの移動方向A
Hに対して角度θ傾斜している。ワークWを回転軸Cの周りに回転させて、位置W10から位置W12に移動した場合、接触子Pによって検出されるワークWの表面の変位は、接触子Pの検出方向A
Pに沿う表面位置の変位(測定値)D
Fとなる。
【0014】
X方向に沿う表面の変位(真値)をDTとすると、DF=DT/cosθとなる。一例としてθ=5°とすると、測定値DFは、真値DTに対して約0.4%大きな値になる。
【0015】
上記のように、接触子Pの検出方向APが接触子Pの移動方向AHに対して傾いている場合には、ワークWの表面の変位を正確に検出することが困難である。この接触子Pの検出方向APと接触子Pの移動方向AHとを平行にする必要がある。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プローブの検出方向と移動方向とを調整して変位の測定精度を向上させることが可能な形状測定機及び形状測定機のアライメント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る形状測定機は、ワークが載置されたステージを回転軸周りに回転させるステージ回転機構と、検出方向に沿ってワークの表面形状を検出するプローブと、プローブをプローブ回転軸周りに回転させるプローブ回転機構と、プローブを直動移動方向に沿って移動させる直動機構と、直動移動方向に対して垂直な母線調整方向に沿ってプローブを移動させる母線出し機構と、直動移動方向及び母線調整方向に沿ってプローブを移動させ、少なくとも2つの位置におけるプローブの位置に基づいて、直動移動方向に対するプローブの検出方向の傾きを回転角度として算出する回転角度算出手段と、プローブ回転機構を制御して、回転角度だけプローブを回転させる駆動制御手段とを備える。
【0018】
本発明の第2の態様に係る形状測定機は、第1の態様において、回転角度算出手段は、円柱又は円筒形状のジグであって、ステージの回転軸と中心軸が一致するように載置されたジグに対して、プローブの検出方向が同一直線上となる少なくとも2つの位置におけるプローブの位置に基づいて、直動移動方向に対するプローブの検出方向の傾きを算出する。
【0019】
本発明の第3の態様に係る形状測定機は、第1の態様において、プローブの位置を検出可能なカメラを備え、駆動制御手段は、カメラによる検出結果に基づいて、直動機構及び母線出し機構を制御して、プローブを基準位置に移動させ、回転角度算出手段は、円柱又は円筒形状のジグであって、ステージの回転軸と中心軸が一致するように載置されたジグを検出可能な少なくとも2つの位置及びプローブの位置に基づいて、直動移動方向に対するプローブの検出方向の傾きを算出する。
【0020】
本発明の第4の態様に係る形状測定機は、第1の態様において、プローブの位置を検出可能なカメラを備え、プローブは、ワークに接触してワークの形状を検出する接触子であって、検出ストローク内を移動可能な接触子を備え、回転角度算出手段は、接触子を検出ストロークの各ストローク端に位置させた状態で、カメラにより検出された接触子の位置がステージの回転軸上になるときのプローブの位置に基づいて、直動移動方向に対するプローブの検出方向の傾きを算出する。
【0021】
本発明の第5の態様に係る形状測定機のアライメント方法は、検出方向に沿ってワークの表面形状を検出するプローブを、直動移動方向及び直動移動方向に垂直な母線調整方向に沿って移動させ、少なくとも2つの位置におけるプローブの位置に基づいて、直動移動方向に対するプローブの検出方向の傾きを回転角度として算出する工程と、プローブ回転機構を制御して、回転角度だけプローブを回転させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プローブの検出方向とプローブの直動移動方向とを平行にすることができる。これにより、プローブの移動方向に対する検出方向の傾きが変位検出に与える影響を防止することができ、ワークの形状の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る形状測定機を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る形状測定機の制御系を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、ジグのアライメント工程を説明するための図である。
【
図5】
図5は、母線調整工程を説明するための図である。
【
図6】
図6は、直動移動工程を説明するための図である。
【
図7】
図7は、直動移動工程の後の母線調整工程を説明するための図である。
【
図8】
図8は、検出ストロークの直動移動方向に対する傾きの算出工程を説明するための図である。
【
図9】
図9は、変位検出器の回転工程を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機を示す正面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機の制御系を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、カメラによるプローブの撮影位置の一例を示した図である。
【
図13】
図13は、各撮影位置におけるカメラの撮影画像の一例を示した説明図である。
【
図14】
図14は、第1撮影画像と第3撮影画像との合成画像を示した図である。
【
図15】
図15は、第2撮影画像と第4撮影画像との合成画像を示した図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(非接触式)。
【
図17】
図17は、プローブアライメント工程を説明するための図である
【
図18】
図18は、ジグアライメント工程を説明するための図である。
【
図19】
図19は、検出方向の直動移動方向に対する傾きの算出工程を説明するための図である。
【
図20】
図20は、変位検出器の回転工程を説明するための図である。
【
図21】
図21は、変位検出器の母線調整方向移動工程を説明するための図である。
【
図22】
図22は、変形例2に係る自動母線調整を説明するための図である。
【
図23】
図23は、変形例3に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(非接触式)。
【
図24】
図24は、検出器駆動機構の回転軸とプローブの軸芯とがずれている場合を示す図である。
【
図25】
図25は、自動母線調整工程を説明するための図である。
【
図26】
図26は、自動母線調整工程を説明するための図である。
【
図27】
図27は、変形例4に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(非接触式)。
【
図28】
図28は、検出器駆動機構の回転軸とプローブの軸芯とがずれている場合を示す図である。
【
図29】
図29は、プローブアライメント工程を説明するための図である。
【
図30】
図30は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(接触式)。
【
図31】
図31は、接触式のプローブの検出ストロークを説明するための図である。
【
図32】
図32は、プローブアライメント工程を説明するための図である。
【
図33】
図33は、ジグアライメント工程を説明するための図である。
【
図34】
図34は、検出方向の直動移動方向に対する傾きの算出工程を説明するための図である。
【
図35】
図35は、変位検出器の回転工程及び母線調整方向移動工程を説明するための図である。
【
図36】
図36は、本発明の第3の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである。
【
図37】
図37は、プローブアライメント工程を説明するための図である。
【
図39】
図39は、検出方向の直動移動方向に対する傾きの算出工程を説明するための図である。
【
図40】
図40は、変位検出器の回転工程を説明するための図である。
【
図41】
図41は、ワークの形状とプローブ(接触子)の位置との関係を説明するための図である。
【
図42】
図42は、ワークの形状とプローブ(接触子)の位置との関係を説明するための図である。
【
図43】
図43は、プローブ(接触子)の移動方向と検出方向との傾きがワークの形状の測定値に与える影響について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明に係る形状測定機及び形状測定機のアライメント方法の実施の形態について説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
(形状測定機)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る形状測定機を示す正面図である。
【0026】
図1に示す形状測定機10-1は、ワークWの外形及び円筒状のワークWに形成された細穴Hの内面形状(真円度等)を測定可能な装置である。
図1に示す例では、細穴Hは、ワークWの中心軸に沿って形成された貫通穴である。細穴Hの内径は、極小径(例えば、内径が500μm以下)である。
図1において、X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向であり、X方向は水平方向、Y方向はX方向に直交する水平方向、Z方向は鉛直方向である。
【0027】
図1に示すように、形状測定機10-1は、本体ベース12、ステージ回転機構14、ステージ18、コラム20、キャリッジ22、アーム24、変位検出器26、検出器駆動機構28及び制御装置50-1を備える。
【0028】
ステージ回転機構(高精度回転機構)14は、ワークWを回転軸C周りに回転させるための回転機構であり、後述するステージ18をZ方向に平行な回転軸Cを中心に高精度に回転させるものである。ステージ回転機構14は、本体ベース12上に回転可能に設けられた回転体16を備えており、回転体16の上面にステージ18が支持されている。ステージ回転機構14は、回転軸Cを中心に回転体16を高精度に回転させるモータ(不図示)と、回転体16の回転角度を検出するエンコーダ(不図示)とを備える。
【0029】
ステージ18は、ワークWを載置するものである。ステージ18は、ワークWを直接支持固定するものであってもよいし、ワーク設置治具(不図示)を介してワークWを支持固定するものであってもよい。
【0030】
ステージ18は、回転体16の支持面(上面)に支持されており、回転体16と一体となって回転軸Cを中心に回転可能に構成される。これにより、ステージ18に支持固定されたワークWは、ステージ18と一体となって回転軸Cを中心に回転可能である。なお、ステージ18及び回転体16は「ステージ回転機構」の一例である。
【0031】
ステージ18は、直動機構と、傾斜機構(チルチング機構)とを備えている(いずれも不図示)。直動機構は、不図示のモータの駆動によりステージ18をX方向及びY方向に移動させて、回転軸Cに直交するXY平面(水平面)におけるステージ18の位置を調整させる。傾斜機構は、不図示のモータの駆動によりステージ18をX方向及びY方向の周りに回転させて、XY平面に対するステージ18の傾きを調整する。
【0032】
本体ベース12上には、Z方向に平行に延びるコラム(支柱)20が立設される。コラム20は、下端部が本体ベース12の上面に固定される。
【0033】
キャリッジ22は、Z方向に移動可能にコラム20に支持される。キャリッジ22は、不図示のモータの駆動によりZ方向に移動可能に構成される。
【0034】
アーム24は、XY方向に移動可能にキャリッジ22に支持される。アーム24は、直動機構70及び母線出し機構72(
図2参照)によりそれぞれ水平方向(XY方向)に移動可能に構成される。直動機構70及び母線出し機構72は、それぞれアーム24を水平方向に移動させるための駆動源(モータ等)を備えている。
【0035】
アーム24及びコラム20の側面には、それぞれX方向及びZ方向に沿ってスケールが設けられている。制御装置50-1は、このスケールの目盛を不図示のセンサを用いて読み取ることにより、プローブ30のXZ方向の位置を検出可能となっている。
【0036】
変位検出器26は、検出器駆動機構28を介してアーム24に支持される。変位検出器26はプローブ30を有する。プローブ30は、ワークWの表面(外表面又はワークWに形成された穴Hの内面)の形状を検出するものである。プローブ30は、その先端部をワークWの表面に接触させてワークWの表面形状を検出可能な接触式のプローブであってもよいし、ワークWの表面に接触することなく、ワークWの表面形状を検出可能な非接触式のプローブであってもよい。
【0037】
接触式のプローブは、ワークWの表面に接触可能な接触子を有し、ワークWの表面に接触させたときの接触子の変位を検出することにより内面形状を検出するものである。接触式のプローブとしては、例えば、LVDT(Linear Variable Differential Transformer)、干渉計、光三角測量方式、薄膜歪み測定等の各種手法が適用されたプローブを用いることができる。また、接触式のプローブとしては、共振周波数で接触式プローブの接触子を加振しておき、接触によって共振点が変化することを利用する方式を適用してもよい。
【0038】
非接触式のプローブは、ワークWの表面に接触することなく、その表面形状を検出することができるものであれば特に限定されない。非接触式のプローブとしては、例えば、レーザー干渉計、白色干渉計、SD-OCT(Spectral Domain-Optical Coherence Tomography)、SS-OCT(Swept Source-Optical Coherence Tomography)等の各種手法が適用されたプローブを用いることができる。
【0039】
検出器駆動機構28は、アーム24と変位検出器26との間に介在して設けられている。検出器駆動機構28は、直動機構と、傾斜機構とを備えている(いずれも不図示)。直動機構は、不図示のモータの駆動により変位検出器26をX方向及びY方向に移動させて、回転軸Cに直交するXY平面(水平面)におけるプローブ30の位置を調整させる。傾斜機構は、不図示のモータの駆動により変位検出器26をX方向及びY方向の周りに回転させて、XY平面に対するプローブ30の傾きを調整する。したがって、検出器駆動機構28(直動機構及び傾斜機構)によってプローブ30の水平方向(X方向及びY方向)の位置及び傾斜を調整することにより、プローブ30と回転軸Cとの相対的な位置合わせ(プローブアライメント)を行うことが可能となる。
【0040】
また、検出器駆動機構28は、回転軸(プローブ回転軸)AXの周りに回転させるための駆動源(例えば、モータ等)を備えている。検出器駆動機構28は、「プローブ回転機構」の一例である。
【0041】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る形状測定機の制御系を示すブロック図である。
【0042】
制御装置50-1は、形状測定機10-1の各部の動作(ワークWの表面形状の測定動作や後述するプローブアライメント動作などを含む)を制御する。制御装置50-1は、例えば、パーソナルコンピュータ又はマイクロコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現される。制御装置50-1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等)及び入出力インターフェース等を備えている。制御装置50-1では、ストレージデバイスに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、形状測定機10-1内の各部の機能が実現され、入出力インターフェースを介して各種の演算処理又は制御処理が実行される。なお、制御装置50-1は「駆動制御手段」及び「回転角度算出手段」の一例である。
【0043】
制御装置50-1には、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部52(例えば、キーボード及びマウス等)と、操作UI(User Interface)及び検出結果を表示するための表示部54とが設けられている。
【0044】
図2に示すように、制御装置50-1は、変位演算部56及び駆動制御部58を備えている。
【0045】
変位演算部56は、変位検出器26が検出したワークWの表面の変位の検出結果に基づいてワークWの変位を算出し、ワークWの表面の形状(例えば、ワークWの外形又は穴Hの真円度等)を測定する。
【0046】
駆動制御部58は、直動機構70、母線出し機構72、検出器駆動機構28及びステージ回転機構14を制御して、ワークWとプローブ30の相対位置を調整する。
【0047】
(アライメント方法)
次に、本発明の第1の実施形態に係る形状測定機10-1のアライメント方法について、
図3を参照して説明する。
【0048】
(ステップS10)
まず、ステージ18にジグJを載置してジグJのアライメントを実施する。ここで、ジグJは、例えば、直径が既知の円柱又は円筒形状であり、ジグJの中心軸がステージ18の回転軸Cと一致するように、チルティング及びセンタリングが実施される。ジグJとしては、例えば、直径マスタ又はピンゲージ等を用いることができる。なお、本実施形態では、後述の回転角度θ(検出ストロークAPの直動移動方向に対する傾き)の計算にジグJの直径を用いないため、ジグJの直径は既知でなくてもよい。
【0049】
図4は、ジグJのアライメント工程を説明するための図である。
図4の(a)はジグJの上面図であり、
図4の(b)はジグJの正面斜視図である。以下の説明では、接触式のプローブを用いた例について説明する。
【0050】
図4(a)の矢印A
Pは、プローブ30の検出ストロークを示している。ここで、検出ストロークA
Pは、プローブ30により形状の測定が可能な方向及び範囲を示しており、プローブ30の先端の接触子P1の変位方向及び範囲に依存する。検出ストロークA
Pの中心Pcから矢印の端部までの距離(検出ストロークA
Pの矢印の長さの2分の1)が、プローブ30のワーキングディスタンスに相当する。
【0051】
図4に示すように、プローブ30の先端の接触子P1がジグJの表面に接触するように、直動機構70及び母線出し機構72が制御され、ステージ18とプローブ30とが相対移動される。ステップS10では、後述の直動移動(ステップS16)で変位検出器26をジグJに近づけるため、接触子P1は、検出ストロークA
P内のジグJに近い側(中心Pcよりも図中左側)でジグJに接触するようにアライメントを行う。
【0052】
なお、
図4に示す例では、接触式のプローブ30を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。非接触式のプローブにおいても、ジグJの表面がプローブのワーキングディスタンスの範囲内になるようにワークWとプローブとを相対移動させることにより、同様のアライメントを行うことができる。
【0053】
(ステップS12)
次に、母線調整を実施する。母線調整とは、母線出し機構72により変位検出器26を母線調整方向に移動させ、検出距離が最小となる母線調整方向の位置を探す工程をいう。ここで、母線調整方向とは、直動機構70による変位検出器26の直動移動方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)である。
【0054】
図5に示すように、円柱又は円筒形状のジグJの場合、接触子P1を母線調整方向に移動させると、ジグJの直動移動方向の頂点で検出ストロークA
Pの中心Pcからの距離が最小になる。ステップS12では、母線調整により、接触子P1がジグJの直動移動方向の頂点に接触する位置に移動する。
【0055】
なお、非接触式のプローブの場合には、母線調整方向に走査しながら、ジグJの表面までの距離を測定し、測定した距離が最小となる位置にプローブを移動させればよい。
【0056】
(ステップS14)
次に、変位検出器26の直動移動を行う。
図6に示すように、直動機構70により変位検出器26を直動移動方向(X方向)に移動させ、プローブ30を直動移動方向に沿って所定の距離だけ移動させる(ジグJに近づける)。
【0057】
ここで、変位検出器26の直動移動方向の移動距離は、検出ストロークA
Pの長さ|A
P|の範囲内の値であり、具体的には|A
P|cosθ未満である。
図6に示す例では、接触子P1が検出ストロークA
Pの中心Pcに至らない程度、すなわち、|A
P|cosθ/2未満の距離だけ、プローブ30をジグJに近づけている。
【0058】
(ステップS16)
次に、再度母線調整を行う。すなわち、
図7に示すように、接触子P1がジグJの直動移動方向の頂点に接触するように、母線出し機構72により変位検出器26を移動させる。
【0059】
(ステップS18)
次に、検出ストロークA
Pの直動移動方向に対する傾き、すなわち、変位検出器26の回転角度θを算出する。
図8に示すように、ステップS12及びS16の母線調整後の検出ストロークA
P(S12)(点線)とA
P(S16)(実線)とは、ともにジグJの直動移動方向の頂点を通るため、同一直線
上にあり、一部が重なり合う。検出ストロークA
P(S12)及びA
P(S16)の中心Pcの位置をそれぞれPc(S12)及びPc(S16)とし、ステップS14における直動移動の距離をR、ステップS16における母線調整方向の移動距離をΔYとすると、θは下記の式(1)で表される。
【0060】
θ=arctan(ΔY/R) …(1)
(ステップS20)
次に、
図9の(a)に示すように、検出器駆動機構28により変位検出器26を回転角度θ回転させて、変位検出器26の検出ストロークA
Pと直動移動方向(X方向)とを平行にする。
【0061】
ステップS20では、変位検出器26を回転させた後に、ジグJに対して再度母線調整を行ってもよい。これにより、
図9の(a)に示すように、変位検出器26の検出ストロークA
Pと直動移動方向とが平行な状態で、接触子P1をジグJの直動移動方向の頂点に接触させることができる。
【0062】
なお、回転工程(ステップS20)の後の母線調整の工程は省略可能である。この場合、ワークWの測定を行う際に、ワークWに対して母線調整を行えばよい。
【0063】
本実施形態によれば、プローブ30の検出ストロークAPとプローブ30の直動移動方向とを平行にすることができる。これにより、接触子P1の移動方向に対する検出ストロークAPの傾きが変位検出に与える影響を防止することができ、ワークWの形状の測定精度を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、直動移動(ステップS16)において、変位検出器26をジグJに近づけるようにしたが、本発明はこれに限定されない。直動移動(ステップS16)において、変位検出器26をジグJから遠ざけて母線調整を行った場合でも、上記と同様の手順で回転角度θを算出することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、カメラ32で撮影した画像を用いてプローブ30のアライメントを行う。以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0066】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機を示す正面図であり、
図11は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機の制御系を示すブロック図である。
【0067】
図10及び
図11に示すように、本実施形態に係る形状測定機10-2は、カメラ32及び撮影制御部60を備えている。
【0068】
カメラ32は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどのエリアセンサカメラ(2次元センサカメラ)である。カメラ32は、カメラ用ブラケット34を介して回転体16に連結(支持)されている。カメラ32は、その撮影方向が回転軸Cに直交し且つ回転軸C側(回転中心側)を向くように配置されている。また、カメラ32の焦点が回転軸Cに合うように調整されている。これにより、カメラ32は、回転体16と一体となって回転軸C周りに回転可能であると共に、その回転軸Cを中心とした回転軌道K上の任意の撮影位置(周方向位置)においてカメラ32によるプローブ30の撮影が可能となっている。
【0069】
撮影制御部60は、カメラ32により撮影した画像を処理して、プローブ30の位置を検出する。撮影制御部60は、ステージ回転機構14を制御して、回転体16と一体となって回転軸C周りにカメラ32を回転させることにより、プローブ30に対するカメラ32の撮影位置(周方向位置)を回転軸Cを中心とした周方向に変化させる。これにより、回転軸Cを中心とするカメラ32の回転軌道K(
図10参照)上の任意の撮影位置からカメラ32によるプローブ30の撮影が可能になる。
【0070】
ここで、本実施形態の前提となるプローブ30の基本アライメントの概要について説明する。この基本アライメントは、カメラ32を用いてプローブ30と回転軸Cとの相対的な位置合わせを行うものである。
図12は、カメラ32によるプローブ30の撮影位置の一例を示した図である。
図12に示す例では、回転軸Cを中心とするカメラ32の回転軌道K上において互いに90度ずつずれた4つの撮影位置P1~P4で、カメラ32によるプローブ30の撮影が行われる。
【0071】
本実施形態において、4つの撮影位置P1~P4からカメラ32によりプローブ30を撮影する方向はX方向またはY方向であり、検出器駆動機構28においてプローブ30を直動又は傾斜させる制御方向(移動軸方向)と同一方向となっている。すなわち、第1撮影位置P1と第3撮影位置P3は第1方向(Y方向)において互いに対向する位置同士である。また、第2撮影位置P2と第4撮影位置P4は第2方向(X方向)において互いに対向する位置同士である。
【0072】
図13は、各撮影位置P1~P4においてカメラ32により撮影された撮影画像の一例を示した図である。なお、
図13において、第1撮影画像100A~第4撮影画像100Dは第1撮影位置P1~第4撮影位置P4でそれぞれ撮影された撮影画像である。
【0073】
プローブ30と回転軸Cとの相対ずれが存在する場合、例えば、
図13に示すように、各撮影位置P1~P4でカメラ32により撮影された撮影画像100A~100Dにおいて、撮影位置(すなわち、カメラ32によるプローブ30の撮影方向)の違いに応じて、プローブ30の姿勢(位置及び傾き)が異なる。
【0074】
例えば、第1方向(Y方向)において互いに対向する2つの撮影位置(第1撮影位置P1及び第3撮影位置P3)のうち、一方の撮影位置(第1撮影位置P1)から撮影した第1撮影画像100Aでは、プローブ30Aは第2方向(X方向)の一方側に傾いているのに対して、他方の撮影位置(第3撮影位置P3)から撮影した第3撮影画像100Cでは、プローブ30Cは第2方向(X方向)の他方側に傾いている。また、第2方向(X方向)の位置についても互いに反対側に向かってずれている。
【0075】
第2方向(X方向)において互いに対向する2つの撮影位置(第2撮影位置P2及び第4撮影位置P4)においてそれぞれ第2撮影画像100Bと第4撮影画像100Dについても同様であり、プローブ30B、30Dの位置及び傾きが互いに反対側にずれている。
【0076】
図14は、第1方向(Y方向)において互いに対向する2つの撮影位置(第1撮影位置P1及び第3撮影位置P3)から撮影した第1撮影画像100Aと第3撮影画像100Cとを合成した第1合成画像102Aを示した図である。
【0077】
図14に示すように、第1撮影画像100Aと第3撮影画像100Cとを合成した第1合成画像102Aにおいて、第1撮影画像100Aにおけるプローブ30Aの中心軸(第1プローブ中心軸)L1と、第3撮影画像100Cにおけるプローブ30Cの中心軸(第3プローブ中心軸)L3との間の第1中線ML1が、XZ平面内における回転軸Cの位置(すなわち、第1方向(Y方向)からプローブ30を見た場合の回転軸Cの位置)を示している。なお、第1中線ML1とは、第1合成画像102Aにおいて、第1プローブ中心軸L1及び第3プローブ中心軸L3の横方向(X方向)の中央を縦方向(Z方向)に通る直線をいう。換言すれば、第1合成画像102Aにおいて、第1プローブ中心軸L1と第3プローブ中心軸L3との間を左右(X方向)に2等分する直線を第1中線ML1という。
【0078】
第1合成画像102Aにおける第1中線ML1は、回転軸Cの位置を示している。すなわち、第1中線ML1は、第1合成画像102A(XZ平面内)においてプローブ30の移動目標となる線を示しており、プローブ30が第1中線ML1に一致するようにプローブ30の姿勢(位置Dx及び傾きα)を調整することで、XZ平面内における回転軸Cとプローブ30との相対ずれをなくすことが可能となる。
【0079】
図15は、第2方向(X方向)において互いに対向する2つの撮影位置(第2撮影位置P2及び第4撮影位置P4)から撮影した第2撮影画像100Bと第4撮影画像100Dとを合成した合成画像102Bを示した図である。
【0080】
図15に示すように、第2撮影画像100Bと第4撮影画像100Dとを合成した第2合成画像102Bにおいて、第2撮影画像100Bにおけるプローブ30Bの中心軸(第2プローブ中心軸)L2と、第4撮影画像100Dにおけるプローブ30Dの中心軸(第4プローブ中心軸)L4との間の第2中線ML2が、YZ平面内における回転軸Cの位置(すなわち、第2方向(X方向)からプローブ30を見た場合の回転軸Cの位置)を示している。なお、第2中線ML2とは、第2合成画像102Bにおいて、第2プローブ中心軸L2及び第4プローブ中心軸L4の横方向(X方向)の中央を縦方向(Z方向)に通る直線をいう。換言すれば、第2合成画像102Bにおいて、第2プローブ中心軸L2と第4プローブ中心軸L4との間を左右(X方向)に2等分する直線を第2中線ML2という。
【0081】
第2合成画像102Bにおける第2中線ML2は、回転軸Cの位置を示している。すなわち、第2中線ML2は、第2合成画像102B(YZ平面内)においてプローブ30の移動目標となる線を示しており、プローブ30が第2中線ML2に一致するようにプローブ30の姿勢(位置Dy及び傾きβ)を調整することで、YZ平面内における回転軸Cとプローブ30との相対ずれをなくすことが可能となる。
【0082】
したがって、回転軸Cを中心とするカメラ32の回転軌道K上において互いに90度ずつずれた4つの撮影位置P1~P4においてカメラ32が撮影した撮影画像に基づき、上述した2つの中線ML1、ML2を算出することで、プローブ30の移動目標となる回転軸C(回転中心)を検出することができ、回転軸Cとプローブ30との相対ずれを各方向(X方向及びY方向)独立して調整することが可能となる。
【0083】
本実施形態におけるプローブ30の基本アライメントでは、撮影制御部60は、
図14に示した第1合成画像102Aにおいて、2つのプローブ30のうちいずれか一方のプローブを基準プローブ(本例では第1撮影画像100Aにおけるプローブ30A)とした場合、第1中線ML1に対して基準プローブのプローブ中心軸を平行とするための傾斜角(Y方向を中心とする回転角)を傾斜移動量αとして検出する。また、撮影制御部60は、基準プローブのプローブ中心軸を傾斜移動量αだけ傾斜させて第1中線ML1と平行にした場合に、基準プローブのプローブ中心軸を第1中線ML1に一致させるために必要なX方向の移動距離を直動移動量Dxとして検出する。なお、直動移動量Dxは、検出器駆動機構28におけるX方向の移動軸に沿った方向の距離に相当する(
図14参照)。
【0084】
また、撮影制御部60は、
図15に示した第2合成画像102Bにおいて、2つのプローブ30のうちいずれか一方のプローブを基準プローブ(本例では第2撮影画像100Bにおけるプローブ30B)とした場合、第2中線ML2に対して基準プローブのプローブ中心軸を平行とするための傾斜角(X方向を中心とする回転角)を傾斜移動量βとして検出する。また、撮影制御部60は、基準プローブのプローブ中心軸を傾斜移動量βだけ傾斜させて第2中線ML2と平行にした場合に、基準プローブのプローブ中心軸を第2中線ML2に一致させるために必要なY方向の移動距離を直動移動量Dyとして検出する。なお、直動移動量Dyは、検出器駆動機構28におけるY方向の移動軸に沿った方向の距離に相当する(
図15参照)。
【0085】
なお、撮影制御部60は、エッジ抽出等の公知の画像処理により、各合成画像102A、102Bから、プローブ中心軸C1~C4、中線ML1、ML2、直動移動量Dx、Dy、傾斜移動量α、βを算出することが可能である。
【0086】
このようにして、撮影制御部60が、各撮影位置でカメラ32が撮影した撮影画像に基づき、プローブ30と回転軸Cとの相対ずれを各方向独立して検出すると、駆動制御部58が、撮影制御部60が検出した結果に基づき、検出器駆動機構28を制御する。具体的には、駆動制御部58は、検出器駆動機構28を制御して、プローブ30を、X方向に直動移動量Dxだけ移動させると共にY方向に直動移動量Dyだけ移動させ、かつ、X方向を中心に傾斜移動量βだけ傾斜させると共にY方向を中心に傾斜移動量αだけ傾斜させる。なお、検出器駆動機構28を移動又は傾斜させる方向(向き)は、
図14及び
図15に示した合成画像102A、102Bにおいて、どのプローブを基準プローブとするかに応じて定められる。
【0087】
以上のようにして、駆動制御部58が、撮影制御部60が検出した結果に基づき、検出器駆動機構28を制御してプローブ30の姿勢を変化させると、三次元空間内においてプローブ30と回転軸Cとの相対ずれがなくなる。以上により、プローブ30の基本アライメントが完了する。
【0088】
なお、カメラ32の撮影位置は、必ずしも上記の態様に限定されるものではない。例えば、カメラ32の回転軌道K上の少なくとも3つの撮影位置からカメラ32によりプローブ30を撮影するものであってもよい。また、カメラ32の撮影方向が検出器駆動機構28の制御方向(X方向及びY方向)と一致している態様を示したが、必ずしもこの態様に限定されず、例えば、カメラ32の撮影方向が検出器駆動機構28の制御方向とは異なる方向であってもよい。
【0089】
(非接触式のプローブの場合)
まず、非接触式のプローブ30のアライメントを行う例について説明する。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(非接触式)。
【0090】
(ステップS30)
まず、カメラ32によりプローブ30を撮影して先端部P2(測定光Lを出射する部分)の位置を検出しながら、プローブ30のアライメントを行う。具体的には、上記基本アライメントにより、回転軸Cを中心とするカメラ32の回転軌道K上において互いに90度ずつずれた4つの撮影位置P1~P4においてカメラ32が撮影した撮影画像に基づき、プローブ30と回転軸Cとの相対ずれを検出して、検出器駆動機構28によりプローブ30と回転軸Cとの相対的な位置合わせを行う。
【0091】
図17は、プローブアライメント工程を説明するための図である。
図17に示すように、ステップS30では、上記基本アライメントにより、プローブ30の軸芯(回転軸AX)とステージ18の回転軸Cとが一致するように位置合わせを行う。これにより、プローブ30の先端部P2の中心
とステージ18の回転軸Cが一致する。なお、
図17では、プローブ30の先端部P2の大きさを誇張して図示している(
図18以下も同様)。
【0092】
(ステップS32)
次に、プローブ30を直動移動方向(X方向)及びZ方向に所定の距離だけ移動させる。ステップS32では、円柱又は円筒形状のジグJの直径及び高さに基づいて、ジグJの位置を検出可能な距離だけプローブ30を移動させる。具体的には、
図18に示すように、X方向にはプローブ30が回転軸CからジグJの半径より遠い位置になるように、かつ、Z方向にはジグJの高さよりもプローブ30の先端部P2が低い位置になるように、プローブ30を移動させる。なお、プローブ30の直動移動方向の移動は直動機構70により行う。
【0093】
なお、本実施形態では、プローブ30の軸芯がステージ18の回転軸Cと一致する位置を起点としてプローブ30を移動させて、ジグJの検出を行うようにしたが、上記以外の基準位置を起点としてもよい。
【0094】
(ステップS34)
次に、プローブ30によりジグJの位置を検出して、ジグJのアライメントを行う。
図18では、アライメント前のジグJの位置を点線、アライメント後のジグJの位置を実線で示している。ステップS34では、ジグJの中心軸がステージ18の回転軸Cと一致するように、チルティング及びセンタリングが実施される。
【0095】
(ステップS36)
次に、母線出し機構72により変位検出器26を母線調整方向(Y方向)に移動させて、自動母線調整を行う。
【0096】
図19では、自動母線調整前後のプローブ30の先端部P2の位置をそれぞれP2(S34)(点線)及びP2(S36)(実線)として示している。
図19に示すように、円柱又は円筒形状のジグJの場合、プローブ30の先端部P2を母線調整方向に移動させると、ジグJの直動移動方向の頂点で、ジグJの表面と先端部P2との間の直動移動方向に沿う距離が最小になる。ステップS36では、プローブ30の先端部P2により、ジグJの表面上の直動移動方向の頂点が検出可能な位置P2(S36)に、プローブ30を移動させる。
【0097】
(ステップS38)
次に、変位検出器26の検出方向の直動移動方向に対する傾き、すなわち、変位検出器26の回転角度θを算出する。
図19に示すように、ジグJの直径をD、ステップS32におけるX方向の直動移動の距離をR、ステップS36における母線調整方向の移動距離をΔYとすると、θは下記の式(2)で表される。
【0098】
θ=arctan{ΔY/(R-D/2)} …(2)
(ステップS40)
次に、
図20に示すように、検出器駆動機構28により変位検出器26を回転角度θ回転させて、変位検出器26の検出方向と直動移動方向(X方向)とを平行にする。
【0099】
(ステップS42)
次に、
図21に示すように、変位検出器26を母線調整方向に、ステップS32における移動距離ΔYだけ移動させる。
図21では、母線調整前後のプローブ30の先端部P2の位置をそれぞれP2(S40)(点線)及びP2(S42)(実線)として示している。これにより、直動機構70による直動移動方向と、プローブ30の検出方向とが一致する。
【0100】
なお、回転工程(ステップS40)の後の母線調整の工程(ステップS42)は省略可能である。この場合、ワークWの測定を行う際に、ワークWに対して母線調整を行えばよい。
【0101】
本実施形態によれば、プローブ30による検出方向とプローブ30の直動移動方向とを平行にすることができる。これにより、プローブ30の移動方向に対する検出方向の傾きが変位検出に与える影響を防止することができ、ワークWの形状の測定精度を向上させることができる。
【0102】
(変形例1)
図16に示す例では、プローブアライメント工程の後にジグアライメント工程を行ったが、プローブアライメント工程の前にジグアライメント工程を行ってもよい。例えば、ジグJの設置位置が回転軸Cから大きくずれている場合、直動移動工程(ステップS32)において、プローブ30がジグJに接触して破損することが考えられる。このため、例えば、接触式のプローブ30等を用いてあらかじめジグJのアライメントを行っておき、その後、非接触式のプローブ30に交換して、ステップS30、S34からS42を行ってもよい。
【0103】
(変形例2)
図16の自動母線調整(ステップS36)では、ジグJの表面と先端部P2との間の直動移動方向に沿う距離に基づいて、プローブ30の母線調整方向の移動を行ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、プローブ30の先端部P2から出射した測定光Lの反射光の信号強度に基づいて、プローブ30の母線調整方向の移動を行うことも可能である。
【0104】
図22は、変形例2に係る自動母線調整を説明するための図である。
図22に示す例では、プローブ30の先端部P2から出射した測定光Lの反射光の信号強度は、測定光LがジグJの表面に対して垂直に入射するときに最大となる。この場合、ステップS32における直動移動の距離をR、ステップS36における母線調整方向の移動距離をΔY2とすると、θは下記の式(3)で表される。
【0105】
θ=arctan(ΔY2/R) …(3)
変形例2によれば、回転角度θがジグJの直径Dに依存しないので、式(2)の場合より少ないパラメータにより回転角度θを算出することができる。
【0106】
(変形例3)
図24に示す例では、検出器駆動機構28の回転軸AXとプローブ30の軸芯とがずれている。この場合、ステップS40において、プローブ30
を回転させたときにも、プローブ30はY方向に移動する。このため、ステップS42において、変位検出器26を母線調整方向に、ステップS32における移動距離ΔY移動させても、直動機構70による直動移動方向と、プローブ30の検出方向とが一致しないことになる。このため、変形例3では、プローブ30をさらに母線調整方向に移動させることにより、直動機構70による直動移動方向と、プローブ30の検出方向とを一致させる。
【0107】
図23は、変形例3に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(非接触式)。
図23に示すように、変形例3では、ステップS42の後に自動母線調整工程(ステップS44)が追加されている。
【0108】
検出器駆動機構28の回転軸AXとプローブ30の軸芯とがずれている場合、ステップS40において、プローブ30を回転させたときのプローブ30のY方向の移動距離をΔYpとする。この場合、
図25に示すように、ステップS42の母線調整方向移動を行っても、直動機構70による直動移動方向と、プローブ30の検出方向とがY方向にΔYpずれてしまう。
【0109】
このため、
図26に示すように、ステップS44において、プローブ30をさらに母線調整方向に移動させることにより、直動機構70による直動移動方向と、プローブ30の検出方向とを一致させる。これにより、プローブ30をさらに母線調整方向に移動させることにより、直動機構70による直動移動方向と、プローブ30の検出方向とを一致させることができる。
【0110】
(変形例4)
また、検出器駆動機構28の回転軸AXとプローブ30の軸芯とがずれている場合、
図28に示すように、ステップS40において、プローブ30の回転によりプローブ30はX方向にも移動する。このときのX方向の移動距離をRpとすると、プローブ30の軸芯と回転軸Cとの間の距離がRpずれてしまう。
【0111】
ジグJの表面までの距離の差分を検出するタイプのプローブ30であれば、このX方向の移動距離Rpの影響を受けることはないが、ジグJの表面までの距離の絶対値を検出するタイプのプローブ30の場合、移動距離Rpのために測定値に誤差が生じ得る。このため、変形例4では、プローブアライメントをさらに行うことにより、この移動距離Rpをキャンセルする。
【0112】
図27は、変形例4に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(非接触式)。
図27に示すように、変形例4では、ステップS42の後に自動母線調整工程(ステップS44)と、プローブアライメント工程(ステップS46からS50)が追加されている。
【0113】
プローブアライメント工程では、まず、
図29に示すように、変位検出器26をX方向及びZ方向に直動移動させて、プローブ30をジグJの真上に移動させる(ステップS46)。次に、プローブ30の軸芯と回転軸Cとを一致させる(位置P2(S48)、ステップS48)。そして、ステップS32と同様に、変位検出器26をX方向に所定の距離Rだけ直動移動させ、Z方向の位置を調整して、ジグJを検出可能な位置P2(S50)に移動させる。これにより、検出器駆動機構28の回転軸AXとプローブ30の軸芯とがずれにより生じた移動距離Rpをキャンセルすることができる。
【0114】
なお、変形例4では、プローブアライメントと同時に自動母線調整を行うことにより、自動母線調整工程(ステップS44)を省略することも可能である。
【0115】
(接触式のプローブの場合)
次に、接触式のプローブ30のアライメントを行う例について説明する。
図30は、本発明の第2の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである(接触式)。
【0116】
(ステップS60)
図31に示すように、接触式のプローブ30は、ワークWに接触するときの測定力をコントロールするための測定力コントロール機能(リトラクト機構)を有している。接触子P1は、リトラクト機構により、接触子P1が検出ストロークA
Pのストローク端に位置する通常状態、ワークWの表面に接触して押し込まれているリトラクト状態、及び検出ストロークA
Pの中心Pcに位置するストローク中心状態(中立位置、測定力がゼロとなる位置)に設定可能となっている。
【0117】
図31に示すように、ステップS60では、プローブ30のリトラクト機構により接触子P1を検出ストロークA
Pの中心Pcに移動させる。
【0118】
(ステップS62)
次に、カメラ32によりプローブ30を撮影して接触子P1の位置を検出しながら、プローブ30のアライメントを行う。
図32に示すように、ステップS62では、上記基本アライメントにより、プローブ30の軸芯とステージ18の回転軸Cとが一致するように位置合わせを行う。これにより、プローブ30の接触子P1の中心がステージ18の回転軸Cが一致する。
【0119】
(ステップS64)
次に、プローブ30を直動移動方向(X方向)及びZ方向に所定の距離だけ移動させる。ステップS64では、円柱又は円筒形状のジグJの直径及び高さに基づいて、プローブ30の接触子P1によりジグJの位置を検出可能となるように、プローブ30を移動させる。具体的には、
図33に示すように、X方向にはプローブ30が回転軸CからジグJの半径より遠い位置になるように、かつ、Z方向にはジグJの高さよりもプローブ30の接触子P1が低い位置になるように、プローブ30を移動させる。なお、プローブ30の直動移動方向の移動は直動機構70により行う。
【0120】
(ステップS66)
次に、接触子P1のストローク制限を解除して、検出ストロークAP内で接触子P1を移動可能とする。
【0121】
(ステップS68)
次に、プローブ30によりジグJの位置を検出して、ジグJのアライメントを行う。
図33では、アライメント前のジグJの位置を点線、アライメント後のジグJの位置を実線で示している。ステップS34では、ジグJの中心軸がステージ18の回転軸Cと一致するように、チルティング及びセンタリングが実施される。
【0122】
(ステップS70)
次に、母線出し機構72により変位検出器26を母線調整方向(Y方向)に移動させて、自動母線調整を行う。
図34に示すように、ステップS70では、接触子P1がジグJの直動移動方向の頂点に接触するように、プローブ30を移動させる。
【0123】
(ステップS72)
次に、変位検出器26の検出ストロークA
Pの直動移動方向に対する傾き、すなわち、変位検出器26の回転角度θを算出する。
図34に示すように、ジグJの直径をD、ステップS64におけるX方向の直動移動の距離をR、ステップS70における母線調整方向の移動距離をΔYとすると、θは下記の式(4)で表される。
【0124】
θ=arctan{ΔY/(R-D/2)} …(4)
(ステップS74)
次に、
図35に示すように、検出器駆動機構28により変位検出器26を回転角度θ回転させて、変位検出器26の検出ストロークA
Pと直動移動方向(X方向)とを平行にする。
【0125】
(ステップS76)
次に、
図35に示すように、母線出し機構72により変位検出器26を母線調整方向に、ステップS32における移動距離ΔYだけ移動させる。これにより、直動機構70による直動移動方向と、変位検出器26の検出ストロークA
Pとが一致する。
【0126】
なお、回転工程(ステップS74)の後の母線調整の工程(ステップS76)は省略可能である。この場合、ワークWの測定を行う際に、ワークWに対して母線調整を行えばよい。
【0127】
本実施形態によれば、プローブ30の検出ストロークAPとプローブ30の直動移動方向とを平行にすることができる。これにより、プローブ30の移動方向に対する検出ストロークAPの傾きが変位検出に与える影響を防止することができ、ワークWの形状の測定精度を向上させることができる。
【0128】
なお、
図30の例においても、変形例1のように、プローブアライメント工程の前に、ジグJのアライメントを行うことが可能である。また、接触式のプローブの場合にも、変形例3及び4で説明した自動母線調整及びプローブアライメント工程を行うことが可能である。
【0129】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態と同様の形状測定機10-2(
図10及び
図11参照)が用いられ、第2の実施形態と同様に、カメラ32で撮影した画像を用いてプローブ30のアライメントを行う。以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0130】
図36は、本発明の第3の実施形態に係る形状測定機のアライメント方法を示すフローチャートである。なお、
図36に示す例では、上記基本アライメントによりプローブ30の中立位置におけるプローブ30の軸芯とステージ18の回転軸Cとの位置合わせが既に行われているものとする。
【0131】
(ステップS80)
まず、カメラ32によりプローブ30を撮影して接触子P1の位置を検出しながら、プローブ30のアライメントを行う。具体的には、
図37の(a)及び(b)に示すように、ステップS80では、プローブ30の接触子P1を検出ストロークA
Pのストローク端に固定した状態で、接触子P1がステージ18の回転軸Cと一致するように位置合わせを行う。この時点での接触子P1の検出ストロークA
Pは、
図39の(a)のA
P(S80)の位置になる。なお、ステップ
S80では、上記基本アライメントと同様の原理を利用して、回転軸Cを中心とするカメラ32の回転軌道K上において互いに90度ずつずれた4つの撮影位置P1~P4においてカメラ32が撮影した撮影画像に基づき、プローブ30の接触子P1と回転軸Cとの相対ずれを検出して、その検出結果に基づき、直動機構70及び母線出し機構72によりプローブ30の接触子P1と回転軸Cとの相対的な位置合わせを行う(後述するステップS86も同様)。
【0132】
(ステップS82)
次に、
図38に示すように、直動機構70により変位検出器26を直動移動方向(X方向)に移動させる。この時点での接触子P1の検出ストロークA
Pは、
図39の(a)のA
P(S82)の位置になる。
【0133】
(ステップS84)
次に、
図39に示すように、プローブ30の接触子P1を検出ストロークA
Pの反対側のストローク端に移動させて固定する。
【0134】
(ステップS86)
次に、カメラ32によりプローブ30を撮影して接触子P1の位置を検出しながら、プローブ30のアライメントを行う。具体的には、ステップS80と同様に上記基本アライメントと同様の原理を利用して、
図39に示すように、直動機構70及び母線出し機構72によりプローブ30の接触子P1を検出ストロークA
Pの反対側のストローク端に固定した状態で接触子P1がステージ18の回転軸Cと一致するように位置合わせを行う。この時点での接触子P1の検出ストロークA
Pは、
図39の(a)のA
P(S86)の位置になる。
図39(a)に示すように、A
P(S80)とA
P(S86)とは同一直線
上に位置している。
【0135】
(ステップS88)
次に、変位検出器26の検出ストロークA
Pの直動移動方向に対する傾き、すなわち、変位検出器26の回転角度θを算出する。
図39に示すように、A
P(S80)とA
P(S86)における中心PcのX方向の距離(直動移動の距離)をR、A
P(S80)とA
P(S86)における母線調整方向の移動距離をΔYとすると、θは下記の式(5)で表される。
【0136】
θ=arctan(ΔY/R) …(5)
(ステップS90)
次に、
図40に示すように、検出器駆動機構28により変位検出器26を回転角度θ回転させて、変位検出器26の検出ストロークA
Pと直動移動方向(X方向)とを平行にする。なお、母線調整については、ワークWの測定を行う際に実施すればよい。
【0137】
本実施形態によれば、プローブ30の検出ストロークAPとプローブ30の直動移動方向とを平行にすることができる。これにより、プローブ30の移動方向に対する検出ストロークAPの傾きが変位検出に与える影響を防止することができ、ワークWの形状の測定精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0138】
10-1、10-2…形状測定機、12…本体ベース、14…ステージ回転機構、16…回転体、18…ステージ、20…コラム、22…キャリッジ、24…アーム、26…変位検出器、28…検出器駆動機構、30…プローブ、32…カメラ、34…カメラ用ブラケット、50-1、50-2…制御装置、52…操作部、54…表示部、56…変位演算部、58…駆動制御部、60…撮影制御部、70…直動機構、72…母線出し機構