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特許7553920中継器、無線通信システム、及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】中継器、無線通信システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/22 20090101AFI20240911BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240911BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240911BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240911BHJP
【FI】
H04W40/22
H04W16/28
H04W64/00 171
H04W16/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021064769
(22)【出願日】2021-04-06
(65)【公開番号】P2022160177
(43)【公開日】2022-10-19
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 匡史
(72)【発明者】
【氏名】小川 智明
(72)【発明者】
【氏名】村上 友規
(72)【発明者】
【氏名】阪口 啓
(72)【発明者】
【氏名】米田 拓海
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/150417(WO,A1)
【文献】特開2006-180548(JP,A)
【文献】米田 拓海, 阪口 啓, 岩渕 匡史, 村上 友規,ミリ波マルチホップアナログ中継シングルユーザMIMOに関する検討,電子情報通信学会技術研究報告[online],一般社団法人電子情報通信学会,2021年02月24日,第120巻, 第406号,p.110-115,Internet<URL:https://www.ieice.org/ken/user/index.php?cmd=download&p=teQW&t=IEICE-SRW&l=23d4e04d7fff4b24dc4fed77fd399f3604175ab97108895d556b3ba81abc654a&lang=>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/14-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と無線端末との間の通信を中継する中継器であって、
制御部を備え、
前記制御部は、
前記無線端末の位置情報を少なくとも含む端末情報を取得する処理と、
前記無線端末の前記端末情報に基づいて、中継対象である対象無線端末を選択する、あるいは、中継を行わない非動作設定を選択する第1選択処理と、
前記対象無線端末の選択結果を示す通知情報を他の中継器に送信する通知処理と、
他の中継器から送信される前記通知情報を受信した場合、前記受信した通知情報で示される前記選択結果を考慮して、前記対象無線端末を選択する、あるいは、前記非動作設定を選択する第2選択処理と、
前記対象無線端末を選択した場合、前記無線基地局と前記対象無線端末との間の伝搬パスを形成し、前記無線基地局と前記対象無線端末との間の通信を中継する中継処理と
を行うように構成された
中継器。
【請求項2】
請求項1に記載の中継器であって、
検知端末群は、前記端末情報が取得されている前記無線端末の集合であり、
通知端末群は、前記受信した通知情報で示される前記無線端末の集合であり、
重複端末群は、前記検知端末群と前記通知端末群との間で重複している前記無線端末の集合であり、
前記第2選択処理において、前記制御部は、
前記受信した通知情報に基づいて前記重複端末群が存在するか否かを判定し、
前記重複端末群が存在する場合、前記重複端末群に基づいて前記対象無線端末を選択する、あるいは、前記非動作設定を選択する
中継器。
【請求項3】
請求項2に記載の中継器であって、
前記重複端末群が存在する場合、前記制御部は、前記検知端末群が前記重複端末群以外の前記無線端末を含むか否かを判定し、
前記検知端末群が前記重複端末群以外の前記無線端末を含む場合、前記制御部は、前記重複端末群以外の前記検知端末群に基づいて前記第1選択処理を行う
中継器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の中継器であって、
前記重複端末群が存在する場合、前記制御部は、前記検知端末群が前記重複端末群以外の前記無線端末を含むか否かを判定し、
前記検知端末群が前記重複端末群だけを含む場合、前記制御部は、前記重複端末群の中から前記対象無線端末を選択する、あるいは、前記非動作設定を選択する第3選択処理を行う
中継器。
【請求項5】
請求項4に記載の中継器であって、
前記第3選択処理において、前記制御部は、前記重複端末群及び前記非動作設定の中からランダムに選択を行う
中継器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の中継器であって、
前記第1選択処理は、
前記無線端末の前記端末情報に基づいて、前記中継器との距離が閾値以下である前記無線端末の中から前記対象無線端末を選択する処理と、
前記距離が前記閾値以下である前記無線端末が存在しない場合、前記非動作設定を選択する処理と
を含む
中継器。
【請求項7】
無線基地局と、
前記無線基地局と通信を行う無線端末と、
前記無線基地局と前記無線端末との間の通信を中継する中継器と
を備え、
前記中継器は、
前記無線端末の位置情報を少なくとも含む端末情報を取得する処理と、
前記無線端末の前記端末情報に基づいて、中継対象である対象無線端末を選択する、あるいは、中継を行わない非動作設定を選択する第1選択処理と、
前記対象無線端末の選択結果を示す通知情報を他の中継器に送信する通知処理と、
他の中継器から送信される前記通知情報を受信した場合、前記受信した通知情報で示される前記選択結果を考慮して、前記対象無線端末を選択する、あるいは、前記非動作設定を選択する第2選択処理と、
前記対象無線端末を選択した場合、前記無線基地局と前記対象無線端末との間の伝搬パスを形成し、前記無線基地局と前記対象無線端末との間の通信を中継する中継処理と
を行うように構成された
無線通信システム。
【請求項8】
中継器を経由して無線基地局と無線端末との間で通信を行う無線通信方法であって、
前記無線端末の位置情報を少なくとも含む端末情報を取得する処理と、
前記無線端末の前記端末情報に基づいて、前記中継器の中継対象である対象無線端末を選択する、あるいは、前記中継器の非動作設定を選択する第1選択処理と、
前記対象無線端末の選択結果を示す通知情報を前記中継器から他の中継器に送信する通知処理と、
前記中継器が他の中継器から送信される前記通知情報を受信した場合、前記受信した通知情報で示される前記選択結果を考慮して、前記対象無線端末を選択する、あるいは、前記非動作設定を選択する第2選択処理と、
前記対象無線端末を選択した場合、前記無線基地局と前記対象無線端末との間の伝搬パスを形成し、前記無線基地局と前記対象無線端末との間の通信を中継する中継処理と
を含む
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中継器を経由して無線基地局と無線端末との間で通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線アクセスの高速・大容量化を実現するため、広帯域幅を確保可能な高周波数帯を活用することが注目されている。例えば、第5世代移動通信システムでは、28GHz帯を利用して高速・大容量通信を実現している。他の例として、無線LAN規格であるIEEE802.11ad(ミリ波無線LANシステム)では、60GHz帯を利用して高速・大容量通信を実現している。
【0003】
高周波数帯の電波は、低周波数帯と比較して、減衰しやすく、また、回折しづらいという特性を有する。そのため、高周波数帯における課題としては、電波減衰により伝送距離が短くなること、障害物等によって受信品質が劣化すること、等が挙げられる。
【0004】
電波減衰を補償するためには、多素子アンテナを用いたビームフォーミングが有効である。ビームフォーミング利得により、電波減衰を補償し、伝送距離を延ばすことができる。但し、ビームフォーミングの場合、受信局は、送信局から特定の方向に向けて集中的に送信された電波を主に受信する。つまり、受信局は、電力の高い1つの伝搬パスの電波を主に受信する。よって、空間多重数は1(もしくは、偏波多重により2)に留まり、また、空間ダイバーシチ効果も得られにくい。
【0005】
一方、障害物等に起因する受信品質の劣化を抑制するためには、多数の送信点を設けることが考えられる。例えば、多数の送信アンテナを異なる場所に設置することにより、見通し外環境となるエリアを小さくし、受信品質を改善することができる。また、それにより、上述のビームフォーミングにおける課題を解決することも可能である。しかしながら、多数の送信アンテナを異なる場所に設置することは、ネットワークコストや設置場所の増加を招く。
【0006】
多数の送信点を設けるという観点から言えば、より低コスト且つ設置規模の小さい中継器(リピータ、反射板、等)を利用することも有効である。特に、近年、ビーム制御が可能なリピータ(スマートリピータ)や、反射方向等の反射特性を動的に制御可能なメタサーフェス反射板、等も開発されている。そのような中継器を利用することにより、無線端末に対して複数の伝搬パスを動的に形成することが可能となる。そして、複数の伝搬パスを動的に形成することにより、高周波数帯においても通信品質や空間多重数といった通信性能を向上させることが可能となる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Y. Sugihara, and K. Sakaguchi, “mmWave Massive Analog Relay MIMO for Improvement of Channel Capacity,” 2020 IEEE Wireless Communications and Networking Conference Workshops, 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
中継器を経由して無線基地局と無線端末との間で通信を行うことを考える。中継器は、無線基地局と無線端末との間の伝搬パスを形成し、無線基地局と無線端末との間の通信を中継する。中継器の数が増えるにつれ、より多くの伝搬パスを形成することが可能となる。
【0009】
但し、単純に中継器の数を増やして伝搬パスの数を増やすことは、必ずしも効率的ではない。例えば、単一の無線端末に対して全ての中継器が伝搬パスを形成することは、過剰であり、効率的ではない。このことは、複数の無線端末が存在する場合に特に顕著となる。また、過剰な数の中継器の稼働は、システム全体の消費電力の不必要な増加を招く。このように、中継器を利用した無線通信には改善の余地がある。
【0010】
本開示の1つの目的は、中継器を経由して無線基地局と無線端末との間で通信を行う際に中継器の利用効率を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の観点は、無線基地局と無線端末との間の通信を中継する中継器に関連する。
中継器は、制御部を備える。
制御部は、
無線端末の位置情報を少なくとも含む端末情報を取得する処理と、
無線端末の端末情報に基づいて、中継対象である対象無線端末を選択する、あるいは、中継を行わない非動作設定を選択する第1選択処理と、
対象無線端末の選択結果を示す通知情報を他の中継器に送信する通知処理と、
他の中継器から送信される通知情報を受信した場合、受信した通知情報で示される選択結果を考慮して、対象無線端末を選択する、あるいは、非動作設定を選択する第2選択処理と、
対象無線端末を選択した場合、無線基地局と対象無線端末との間の伝搬パスを形成し、無線基地局と対象無線端末との間の通信を中継する中継処理と
を行うように構成される。
【0012】
第2の観点は、無線通信システムに関連する。
無線通信システムは、
無線基地局と、
無線基地局と通信を行う無線端末と、
無線基地局と無線端末との間の通信を中継する中継器と
を備える。
中継器は、
無線端末の位置情報を少なくとも含む端末情報を取得する処理と、
無線端末の端末情報に基づいて、中継対象である対象無線端末を選択する、あるいは、中継を行わない非動作設定を選択する第1選択処理と、
対象無線端末の選択結果を示す通知情報を他の中継器に送信する通知処理と、
他の中継器から送信される通知情報を受信した場合、受信した通知情報で示される選択結果を考慮して、対象無線端末を選択する、あるいは、非動作設定を選択する第2選択処理と、
対象無線端末を選択した場合、無線基地局と対象無線端末との間の伝搬パスを形成し、無線基地局と対象無線端末との間の通信を中継する中継処理と
を行うように構成される。
【0013】
第3の観点は、中継器を経由して無線基地局と無線端末との間で通信を行う無線通信方法に関連する。
無線通信方法は、
無線端末の位置情報を少なくとも含む端末情報を取得する処理と、
無線端末の端末情報に基づいて、中継器の中継対象である対象無線端末を選択する、あるいは、中継器の非動作設定を選択する第1選択処理と、
対象無線端末の選択結果を示す通知情報を中継器から他の中継器に送信する通知処理と、
中継器が他の中継器から送信される通知情報を受信した場合、受信した通知情報で示される選択結果を考慮して、対象無線端末を選択する、あるいは、非動作設定を選択する第2選択処理と、
対象無線端末を選択した場合、無線基地局と対象無線端末との間の伝搬パスを形成し、無線基地局と対象無線端末との間の通信を中継する中継処理と
を含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、中継器が、各種情報を考慮して、中継対象である対象無線端末あるいは非動作設定を選択する選択処理を行う。各種情報は、無線端末の位置情報に加えて、他の中継器における選択処理の結果を示す通知情報を含む。このような情報を用いることにより、中継器同士の連携が可能となり、それぞれの中継器が分散的に対象無線端末を選択することが可能となる。その結果、単一の無線端末に対して必要以上に多くの中継器が中継処理を行うことが抑制される。また、各中継器が全ての無線端末に対して中継処理を行うことが抑制される。つまり、伝搬パスが過剰に形成されることが抑制される。従って、中継器の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0015】
また、中継器が非動作設定を選択する場合、不必要に多い中継器の稼働が抑制される。その結果、システム全体の消費電力が抑制される。このことも、効率的な中継処理に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施の形態に係る無線通信システムの基本構成例を示す概略図である。
図2】基本的なビーム制御を説明するためのフローチャートである。
図3】基本的なビーム制御を説明するための概念図である。
図4】基本的なビーム制御を説明するためのタイミングチャートである。
図5】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理を説明するための概念図である。
図6】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理の例を説明するためのタイミングチャートである。
図7】本開示の実施の形態に係る中継器において用いられる各種情報を示すブロック図である。
図8】本開示の実施の形態に係る中継器による処理を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)の一例を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第1選択処理(ステップS310)の第1の例を示すフローチャートである。
図11】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第1選択処理(ステップS310)の第2の例を示すフローチャートである。
図12】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第1選択処理(ステップS310)の第3の例を示すフローチャートである。
図13】本開示の実施の形態における検知端末群、通知端末群、及び重複端末群を説明するための概念図である。
図14】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第2選択処理(ステップS320)の一例を示すフローチャートである。
図15】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第3選択処理(ステップS330)の第1の例を示すフローチャートである。
図16】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第3選択処理(ステップS330)の第2の例を説明するための概念図である。
図17】本開示の実施の形態に係るユーザ選択処理(ステップS300)における第3選択処理(ステップS330)の第2の例を要約的に示すフローチャートである。
図18】本開示の実施の形態に係る中継器の構成例を示すブロック図である。
図19】本開示の実施の形態に係る中継器の中継処理部の一例を示すブロック図である。
図20】本開示の実施の形態に係る中継器の中継処理部の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0018】
1.無線通信システムの基本構成
図1は、本実施の形態に係る無線通信システム1の基本構成例を示す概略図である。無線通信システム1は、無線基地局10(アクセスポイント)、無線端末20、及び中継器100を含んでいる。典型的には、無線端末20は移動する。無線基地局10と無線端末20との間で無線通信が行われる。例えば、ミリ波帯等の高周波数帯で無線通信が行われる。高周波数帯での電波減衰を補償するためには、多素子アンテナを用いたビームフォーミングが有効である。
【0019】
中継器100は、無線基地局10と無線端末20との間の通信を中継する。具体的には、無線基地局10あるいは無線端末20は、送信ビームを形成し、送信ビームによって信号を送信する。中継器100は、無線基地局10あるいは無線端末20から送信された信号を反射する、あるいは、信号を受信して再放射する。無線端末20あるいは無線基地局10は、中継器100によって反射あるいは再放射された信号を受信する。このように、中継器100を利用することによって、中継器100を経由した無線基地局10と無線端末20との間の伝搬パスが形成される。尚、ここでの伝搬パスとは、送信側が送信した信号を受信側が一定の受信電力以上で受信することができる伝搬パスを意味する。
【0020】
中継器100としては、ビーム制御が可能なリピータ(スマートリピータ)や、反射方向等の反射特性を動的に制御可能なメタサーフェス反射板、等が例示される。すなわち、中継器100の特性(ビーム方向、ビーム形状、反射方向、等)は動的に制御可能であり、伝搬パスを動的に形成することができる。
【0021】
中継器100の数は1以上である。複数の中継器100が設置されている場合、複数の中継器100のそれぞれを経由する複数の伝搬パスが形成されてもよい。中継器100を経由した伝搬パスだけでなく、中継器100を経由しない直接伝搬パスが存在していてもよい。いずれにせよ、中継器100を利用することによって、単一の無線端末20に対して複数の伝搬パスを形成することができる。複数の伝搬パスを形成することによって、通信品質や空間多重数といった通信性能を向上させることが可能となる。
【0022】
以下、中継器100が、ビーム制御可能なリピータ(スマートリピータ)である場合を説明する。中継器100がメタサーフェス反射板である場合、以下の説明における「ビーム制御」を「反射(透過)方向制御」と読み替える。
【0023】
スマートリピータでは、信号の復調や変調等のデジタル信号処理は行われないため、アナログビームフォーミングによって利得を得る処理が行われる。アナログビームフォーミングは、特定の方向に対して強く電波を放射するアンテナ技術である。そのため、無線端末20が位置する方向を推定し、その方向に向けてアナログビームを形成することにより、無線端末20における受信電力を改善することができる。
【0024】
図2図4は、中継器100を含む無線通信システム1における基本的なビーム制御を説明するための図である。図3及び図4には、複数の中継器100-A、100-B、及び100-Cが示されている。
【0025】
ステップS10において、各中継器100は、無線基地局10側(バックホール側)のビーム(バックホールビーム)を選択(調整)する。無線基地局10及び中継器100が移動しない場合、ステップS10は、中継器100の設置時に行われてもよいし、また、必要に応じて行われてもよい。他の例として、無線基地局10が、無線基地局10の位置情報を中継器100に通知し、中継器100が、無線基地局10の位置情報に基づいて定期的にステップS10を行ってもよい。
【0026】
ステップS20において、各中継器100は、無線端末20側のビーム(アクセスビーム)を選択(調整)する。アクセスビームの選択においては、無線端末20の位置を示す端末位置情報が用いられる。具体的には、各無線端末20は、端末位置情報を少なくとも含む端末情報200を送信する。複数の中継器100が端末情報200を受信することができるように、端末情報200は、ブロードキャスト、グループキャスト、又はマルチキャストにより送信される。端末情報200を受信した中継器100は、端末情報200に含まれる端末位置情報に基づいて、無線端末20が存在する方向を推定し、その方向に対応するアクセスビームを選択する。例えば、中継器100は、予め設定されたいくつかのビームパターンの中から適切なアクセスビームを選択する。他の例として、中継器100は、推定方向に指向性を有するビームを適応的に形成してもよい。尚、端末情報200の通信は、無線基地局10と無線端末20との間の通信で用いられる通信方式により行われてもよいし、それ以外の通信方式により行われてもよい。
【0027】
中継器100におけるビーム制御が完了したのち、無線基地局10と無線端末20の各々においてビーム制御が実行される。無線基地局10及び無線端末20の各々がアナログビームフォーミングとデジタルビームフォーミングを併用する場合には、まずアナログビームの選択が行われる。
【0028】
ステップS30において、無線基地局10及び無線端末20の各々は、アナログビームの選択を行う。アナログビームの選択方法は、無線基地局10及び無線端末20が採用する無線通信方式に従う。例えば、第5世代移動通信システムでは、無線基地局10から送信される同期信号(Synchronization Signal: SS)を用いてアナログビームの選択が行われる。図4に示される例では、無線基地局10から送信されるビーム探索信号が中継器100を経由して無線端末20に到達する。無線端末20は、ビーム探索信号を測定し、無線品質が良くなるアナログビームを選択する。また、無線端末20は、選択ビームに関するレポート情報を無線基地局10にフィードバックする。無線基地局10は、無線端末20からのレポート情報に基づいて、適切なアナログビームを選択する。
【0029】
ステップS40において、無線基地局10及び無線端末20は、参照信号を用いてチャネルを推定し、デジタル信号処理によるデジタルビームフォーミングを実行する。
【0030】
このようにして、中継器100を経由した無線基地局10と無線端末20との間の伝搬パスが形成される。
【0031】
中継器100の数が増えるにつれ、より多くの伝搬パスを形成することが可能となる。但し、単純に中継器100の数を増やして伝搬パスの数を増やすことは、必ずしも効率的ではない。例えば、単一の無線端末20に対して全ての中継器100が伝搬パスを形成することは、過剰であり、効率的ではない。このことは、複数の無線端末20が存在する場合に特に顕著となる。また、過剰な数の中継器100の稼働は、システム全体の消費電力の不必要な増加を招く。
【0032】
以上の点を鑑み、本実施の形態は、中継器100の利用効率を向上させることができる技術を提案する。
【0033】
2.中継器におけるユーザ選択処理
上述の通り、中継器100は、無線基地局10と無線端末20との間の伝搬パスを形成し、無線基地局10と無線端末20との間の通信を中継する。この処理を、以下、「中継処理」と呼ぶ。
【0034】
本実施の形態によれば、中継器100は、やみくもに中継処理を行うのではなく、各種情報を考慮して、中継処理の対象となる無線端末20(ユーザ)を選択する。選択した無線端末20、すなわち、中継処理の対象となる無線端末20を、以下、「対象無線端末20T」と呼ぶ。場合によっては、中継器100は、対象無線端末20Tを選択する代わりに、中継処理を行わない「非動作(OFF)設定」を選択することもできる。このように中継器100自身が各種情報を考慮して対象無線端末20Tあるいは非動作設定を選択する処理を、以下、「ユーザ選択処理」と呼ぶ。ユーザ選択処理の結果、少なくとも一つの対象無線端末20Tを選択した場合、中継器100は、選択した対象無線端末20Tに対して中継処理を行う。以下、本実施の形態に係るユーザ選択処理について更に詳しく説明する。
【0035】
図5は、本実施の形態に係るユーザ選択処理を説明するための概念図である。図5には、複数の無線端末20-1(ユーザ#1)、20-2(ユーザ#2)と、複数の中継器100-A、100-B、100-Cが示されている。
【0036】
各無線端末20は、端末情報200を送信する。複数の中継器100が端末情報200を受信することができるように、端末情報200は、ブロードキャスト、グループキャスト、又はマルチキャストにより送信される。端末情報200は、少なくとも、無線端末20の位置を示す端末位置情報250を含んでいる。端末情報200は、無線端末20の識別情報(例:端末ID、MACアドレス、等)を含んでいてもよい。端末情報200は、無線端末20が測定した通信品質(通信速度、受信電力、その他の通信品質を示す指標)を含んでいていもよい。端末情報200は、無線端末20が所望する通信品質(通信速度、受信電力、その他の通信品質を示す指標)を含んでいてもよい。端末情報200は、無線端末20が所望する中継器100の数を含んでいてもよい。本実施の形態によれば、端末情報200は、上述のアクセスビームの選択だけでなく、「ユーザ選択処理」にも利用される。
【0037】
対象無線端末20Tを選択する手法の様々な例については、後に詳しく説明する。一例として、中継器100は、端末位置情報250を参照して、最も近い無線端末20を対象無線端末20Tとして選択してもよい。複数の中継器100のそれぞれが最も近い無線端末20を対象無線端末20Tとして選択することにより、中継器100間で対象無線端末20Tが分散される。それぞれの中継器100は、それぞれが選択した対象無線端末20Tに対してだけ中継処理を行う。その結果、単一の無線端末20に対して必要以上に多くの中継器100が中継処理を行うことが抑制される。また、各中継器100が全ての無線端末20に対して中継処理を行うことが抑制される。つまり、伝搬パスが過剰に形成されることが抑制される。従って、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0038】
中継器100は、端末情報200を参照して、中継処理を行わない非動作設定を選択してもよい。例えば、ある中継器100が全ての無線端末20から閾値距離以上離れている場合、その中継器100は、非動作設定を選択してもよい。これにより、不必要に多い中継器100の稼働が抑制される。その結果、システム全体の消費電力が抑制される。このことも、効率的な中継処理に寄与する。
【0039】
更に、本実施の形態によれば、各中継器100は、ユーザ選択処理の結果を他の中継器100に通知する。
【0040】
より詳細には、各中継器100は、ユーザ選択処理の結果、すなわち、対象無線端末20Tの選択結果を示す「通知情報500」を生成する。通知情報500は、対象無線端末20Tの有無を示す。少なくとも1つの対象無線端末20Tが選択された場合、通知情報500は、選択された対象無線端末20Tを示す。具体的には、通知情報500は、対象無線端末20Tの識別情報(例:端末ID、MACアドレス、等)を含む。通知情報500は、対象無線端末20Tに対する相対的な中継器100の位置情報(例:対象無線端末20Tを原点とした中継器100の位置座標、等)を含んでいてもよい。通知情報500は、対象無線端末20Tと中継器100との間の距離の情報を含んでいてもよい。非動作設定が選択された場合、通知情報500は、対象無線端末20Tが選択されていないことを示してもよい。
【0041】
そして、各中継器100は、生成した通知情報500を他の中継器100に送信する。通知情報500の送信先である他の中継器100は、少なくとも周辺の中継器100を含む。この通知情報500も、ブロードキャスト、グループキャスト、又はマルチキャストにより送信される。
【0042】
各中継器100は、他の中継器100から送信される通知情報500を受信する。他の中継器100から受信する通知情報500を、以下、便宜上、「受信通知情報500R」と呼ぶ。受信通知情報500Rは、他の中継器100によるユーザ選択処理の結果を示している。受信通知情報500Rにより通知される無線端末20は、他の中継器100にとっての対象無線端末20Tであり、以下、「通知無線端末20N」と呼ばれる。本実施の形態によれば、他の中継器100から受け取る受信通知情報500Rも、「ユーザ選択処理」に利用される。
【0043】
例えば、中継器100は、受信通知情報500Rで示される通知無線端末20N以外の無線端末20を対象無線端末20Tとして選択することができる。すなわち、中継器100は、他の中継器100にとっての対象無線端末20Tとは異なる対象無線端末20Tを選択することができる。これにより、中継器100間で対象無線端末20Tが分散される。それぞれの中継器100は、それぞれが選択した対象無線端末20Tに対してだけ中継処理を行う。その結果、単一の無線端末20に対して必要以上に多くの中継器100が中継処理を行うことが抑制される。また、各中継器100が全ての無線端末20に対して中継処理を行うことが抑制される。つまり、伝搬パスが過剰に形成されることが抑制される。従って、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0044】
本実施の形態は、中継器100同士の連携動作を可能にしていると言うこともできる。中継器100同士が連携して動作することにより、中継器100の利用効率が向上し、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0045】
図6は、本実施の形態に係るユーザ選択処理の例を説明するためのタイミングチャートである。
【0046】
各無線端末20は、端末位置情報250を含む端末情報200をブロードキャスト、グループキャスト、又はマルチキャストにより送信する。例えば、端末情報200の送信は、定期的に行われる。あるいは、端末情報200の送信は、無線端末20が検知したイベントごとに行われてもよい。図6に示される例では、端末情報送信サイクルはTrで表されている。
【0047】
端末情報200を受信した中継器100は、少なくとも端末情報200に基づいてユーザ選択処理を行う。他の中継器100から通知情報500(受信通知情報500R)を受信している場合、中継器100は、最新の受信通知情報500Rも考慮してユーザ選択処理を行う。ユーザ選択処理の実行後、中継器100は、ユーザ選択処理の結果を示す通知情報500を他の中継器100に送信する。尚、ユーザ選択処理は、必ずしも端末情報200の受信の度に行われなくてもよい。図6に示される例では、ユーザ選択処理サイクルはTuで表されており、そのユーザ選択処理サイクルTuは端末情報送信サイクルTrよりも長く設定されている。
【0048】
ユーザ選択処理において対象無線端末20Tを選択した場合、その中継器100は、対象無線端末20Tに対するアクセスビームを選択するビーム選択処理を行う。ビーム選択処理においては、対象無線端末20Tに関する端末位置情報250が用いられる。対象無線端末20Tを選択した中継器100は、対象無線端末20Tから端末情報200(端末位置情報250)を受信するたびに、ビーム選択処理を行い、アクセスビームを適切に更新する。
【0049】
尚、中継器100は、複数の対象無線端末20Tを選択してもよい。その場合、例えば、中継器100は、複数の対象無線端末20Tに対するビームを時分割で切り替える(時分割中継方式)。あるいは、中継器100は、複数の対象無線端末20T毎に異なる周波数でビームを形成してもよい(周波数分割中継方式)。時分割中継方式の場合、中継器100と無線基地局10は、ビーム切り替えタイミングを共有し、同期をとる。また、いずれの方式においても、中継器100は、無線基地局10から無線端末20へのスケジューリング情報を取得する。無線基地局10と中継器100との間の通信は、無線通信であっても有線通信であってもよい。
【0050】
3.ユーザ選択処理に関連する処理フロー
3-1.処理フローにおいて用いられる各種情報
以下、本実施の形態に係るユーザ選択処理に関連する処理フローを説明する。まず、図7を参照して、処理フローにおいて用いられる各種情報について説明する。
【0051】
端末情報200は、少なくとも、無線端末20の位置を示す端末位置情報250を含んでいる。端末情報200は、無線端末20の識別情報(例:端末ID、MACアドレス、等)を含んでいてもよい。端末情報200は、無線端末20が測定した通信品質(通信速度、受信電力、その他の通信品質を示す指標)を含んでいていもよい。端末情報200は、無線端末20が所望する通信品質(通信速度、受信電力、その他の通信品質を示す指標)を含んでいてもよい。端末情報200は、無線端末20が所望する中継器100の数を含んでいてもよい。端末情報200は、無線端末20からブロードキャスト、グループキャスト、又はマルチキャストにより送信される。中継器100は、各無線端末20から送信される端末情報200を取得する。
【0052】
中継器情報300は、中継器100の識別情報や設置情報を含む。中継器100の設置情報は、中継器100の設置位置及び設置向きを示す。中継器情報300は、予め作成される。中継器100は、少なくとも自身の中継器情報300を保持する。中継器100は、他の中継器100の中継器情報300を保持してもよい。
【0053】
検知端末情報400は、中継器100が過去の一定期間内に検知した無線端末20に関する情報である。中継器100が検知した無線端末20とは、中継器100が端末情報200を取得した無線端末20である。つまり、検知端末情報400は、端末情報200が取得されている無線端末20に関する情報である。検知端末情報400は、検知されている各無線端末20の識別情報を含む。また、検知端末情報400は、中継器100と各無線端末20との間の距離dの情報を含む。距離dは、端末情報200に含まれる端末位置情報250と中継器情報300に含まれる設置情報から算出可能である。
【0054】
通知情報500は、中継器100によるユーザ選択処理の結果、すなわち、対象無線端末20Tの選択結果を示す。通知情報500は、対象無線端末20Tの有無を示す。少なくとも1つの対象無線端末20Tが選択された場合、通知情報500は、選択された対象無線端末20Tを示す。具体的には、通知情報500は、対象無線端末20Tの識別情報(例:端末ID、MACアドレス、等)を含む。通知情報500は、対象無線端末20Tに対する相対的な中継器100の位置情報(例:対象無線端末20Tを原点とした中継器100の位置座標、等)を含んでいてもよい。通知情報500は、対象無線端末20Tと中継器100との間の距離の情報を含んでいてもよい。非動作設定が選択された場合、通知情報500は、対象無線端末20Tが選択されていないことを示してもよい。
【0055】
受信通知情報500Rは、他の中継器100から受信する通知情報500である。
【0056】
3-2.全体フロー
図8は、本実施の形態に係る中継器100による処理を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS100において、中継器100は、各無線端末20から送信される端末情報200を取得する。
【0058】
ステップS200において、中継器100は、取得した端末情報200に基づいて、検知端末情報400を生成、更新する。具体的には、中継器100は、取得した端末情報200で示される無線端末20を検知端末情報400に登録する。また、中継器100は、端末情報200に含まれる端末位置情報250と中継器情報300に含まれる設置情報に基づいて、中継器100と各無線端末20との間の最新の距離dを算出し、最新の距離dを検知端末情報400に登録する。
【0059】
ステップS300において、中継器100は、ユーザ選択処理を行う。ユーザ選択処理において、中継器100は、中継処理の対象となる対象無線端末20Tを選択する、あるいは、中継処理を行わない非動作設定を選択する。ユーザ選択処理の詳細なフローについては後述する。
【0060】
ユーザ選択処理の結果、対象無線端末20Tが選択された場合(ステップ350;Yes)、処理は、ステップS400に進む。一方、ユーザ選択処理の結果、非動作設定が選択された場合(ステップS350;No)、処理は、ステップS600に進む。
【0061】
ステップS400において、中継器100は、対象無線端末20Tに対するアクセスビームを選択するビーム選択処理を行う。具体的には、中継器100は、対象無線端末20Tに関する端末位置情報250と中継器情報300に含まれる設置情報に基づいて、中継器100から見た対象無線端末20Tの方向を推定(算出)する。そして、中継器100は、推定した方向に対応するアクセスビームを選択する。例えば、中継器100は、予め設定されたいくつかのビームパターンの中から適切なアクセスビームを選択する。他の例として、中継器100は、推定方向に指向性を有するビームを適応的に形成してもよい。その後、処理は、ステップS500に進む。
【0062】
ステップS500において、中継器100は、通知処理を行う。具体的には、中継器100は、ユーザ選択処理の結果を示す通知情報500を生成し、その通知情報500を他の中継器100に送信する。この通知情報500も、ブロードキャスト、グループキャスト、又はマルチキャストにより送信される。
【0063】
ステップS600において、中継器100は、自身を非動作(OFF)に設定する。その後、処理は、ステップS500に進む。この場合、通知情報500は、対象無線端末20Tが選択されていないことを示す。
【0064】
3-3.ユーザ選択処理(ステップS300)
図9は、ユーザ選択処理(ステップS300)の一例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS305において、中継器100は、他の中継器100から通知情報500(受信通知情報500R)を受信したか否かを判定する。例えば、中継器100は、過去の一定期間内に通知情報500を受信したか否かを判定する。通知情報500を受信していない場合(ステップS305;No)、処理は、ステップS310に進む。一方、通知情報500を受信した場合(ステップS305;Yes)、処理は、ステップS320に進む。
【0066】
ステップS310において、中継器100は、受信通知情報500Rを用いることなく、「第1選択処理」を行う。第1選択処理の詳細は後述される。
【0067】
ステップS320において、中継器100は、受信通知情報500Rに基づいて、「第2選択処理」を行う。第2選択処理の詳細は後述される。
【0068】
3-3-1.第1選択処理(ステップS310)
図10は、第1選択処理(ステップS310)の第1の例を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS311において、中継器100は、検知端末情報400に基づいて、検知した無線端末20の有無を判定する。検知した無線端末20が有る場合(ステップS311;Yes)、処理は、ステップS312に進む。一方、検知した無線端末20が無い場合(ステップS311;No)、処理は、ステップS318に進む。
【0070】
ステップS312において、中継器100は、検知端末情報400に基づいて、中継器100との距離dが最も短い無線端末20を仮選択する。
【0071】
ステップS313において、中継器100は、仮選択された無線端末20と中継器100との間の最短距離dminが距離閾値dth以下であるか否かを判定する。距離閾値dthは、例えば一定値である。最短距離dminが距離閾値dth以下である場合(ステップS313;Yes)、処理は、ステップS317に進む。一方、最短距離dminが距離閾値dthを超えている場合(ステップS313;No)、処理は、ステップS318に進む。
【0072】
ステップS317において、中継器100は、ステップS312において仮選択した無線端末20を対象無線端末20Tとして選択する。複数の中継器100のそれぞれが最も近い無線端末20を対象無線端末20Tとして選択することにより、中継器100間で対象無線端末20Tが分散される。それぞれの中継器100は、それぞれが選択した対象無線端末20Tに対してだけ中継処理を行う。これにより、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0073】
ステップS318において、中継器100は、非動作(OFF)設定を選択する。これにより、不必要に多い中継器100の稼働が抑制される。その結果、システム全体の消費電力が抑制される。
【0074】
変形例として、中継器100は、距離dとは異なる基準で対象無線端末20Tを選択してもよい。少なくとも1つの対象無線端末20Tを選択することができる限り、その選択基準は一つに限定されない。
【0075】
図11は、第1選択処理(ステップS310)の第2の例を示すフローチャートである。図10で示された第1の例と重複する説明は適宜省略する。第2の例では、端末情報200は、無線端末20において測定された通信品質(通信速度、受信電力、その他の通信品質を示す指標)を含んでいる。
【0076】
最短距離dminが距離閾値dth以下である場合(ステップS313;Yes)、処理は、ステップS314に進む。ステップS314において、中継器100は、端末情報200に基づいて、仮選択された無線端末20において測定された通信品質が閾値以下であるか否かを判定する。
【0077】
測定通信品質が閾値以下である場合(ステップS314;Yes)、処理は、ステップS317に進む。ステップS317は、第1の例の場合と同様である。
【0078】
一方、測定通信品質が閾値より高い場合(ステップS314;No)、処理は、ステップS316に進む。ステップS316において、中継器100は、仮選択された無線端末20を選択候補から除外する。そして、処理は、ステップS312に戻る。
【0079】
このように、第2の例によれば、測定通信品質が閾値以上である無線端末20は、対象無線端末20Tから除外される。よって、中継器100を利用した中継処理が不必要に行われることが抑制される。つまり、単一の無線端末20に対して必要以上に多くの中継器100が中継処理を行うことが抑制される。従って、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0080】
図12は、第1選択処理(ステップS310)の第3の例を示すフローチャートである。第3の例は、第2の例の変形例である。第2の例におけるステップS314が、ステップS315に置き換えられている。第3の例では、端末情報200は、無線端末20において測定された通信品質と、無線端末20が所望する通信品質を含んでいる。ステップS315において、中継器100は、端末情報200に基づいて、仮選択された無線端末20において測定された通信品質が所望通信品質以下であるか否かを判定する。測定通信品質が所望通信品質以下である場合(ステップS315;Yes)、処理は、ステップS317に進む。一方、測定通信品質が所望通信品質より高い場合(ステップS315;No)、処理は、ステップS316に進む。この第3の例によっても、第2の例の場合と同様の効果が得られる。
【0081】
以上に説明されたように、第1選択処理において、中継器100は、検知端末情報400で示される無線端末20の中から少なくとも一つの対象無線端末20Tを選択する、あるいは、非動作設定を選択する。特に、中継器100は、中継器100との距離dが距離閾値dth以下である無線端末20の中から対象無線端末20Tを選択する。距離dが距離閾値dth以下である無線端末20が存在しない場合、中継器100は、非動作設定を選択する。
【0082】
3-3-2.第2選択処理(ステップS320)
次に、第2選択処理(ステップS320)について説明する。中継器100は、受信通知情報500Rに基づいて、第2選択処理を行う。ここでの受信通知情報500Rは、過去の一定期間内に受信した全ての通知情報500である。受信通知情報500Rは、他の中継器100によるユーザ選択処理の結果を示している。受信通知情報500Rによって通知される通知無線端末20Nは、他の中継器100にとっての対象無線端末20Tである。
【0083】
図13は、検知端末群20Gd、通知端末群20Gn、及び重複端末群20Goを説明するための概念図である。検知端末群20Gdは、検知端末情報400で示される無線端末20の集合、すなわち、端末情報200が取得されている無線端末20の集合である。通知端末群20Gnは、受信通知情報500Rで示される通知無線端末20Nの集合である。重複端末群20Goは、検知端末群20Gdと通知端末群20Gnとの間で重複している無線端末20の集合である。重複端末群20Goが空集合である場合もある。
【0084】
図14は、第2選択処理(ステップS320)の一例を示すフローチャートである。
【0085】
ステップS321において、中継器100は、検知端末情報400と受信通知情報500Rに基づいて、重複端末群20Goを探索する。つまり、中継器100は、重複端末群20Goが存在するか否かを判定する。重複端末群20Goが存在しない場合(ステップS321;No)、中継器100は、上述の第1選択処理(ステップS310)を行う。一方、重複端末群20Goが存在する場合(ステップS321;Yes)、処理は、ステップS322に進む。
【0086】
ステップS322において、中継器100は、検知端末群20Gdが重複端末群20Goだけを含むか否かを判定する。言い換えれば、中継器100は、検知端末群20Gdが重複端末群20Go以外の無線端末20を含むか否かを判定する。
【0087】
検知端末群20Gdが重複端末群20Go以外の無線端末20を含む場合(ステップS322;No)、処理は、ステップS323に進む。ステップS323において、中継器100は、重複端末群20Go以外の検知端末群20Gdを抽出する。そして、中継器100は、ステップS323において抽出された検知端末群20Gdに基づいて第1選択処理(ステップS310)を行う。この場合、中継器100は、重複端末群20Go以外の検知端末群20Gdの中から対象無線端末20Tを選択することができる。すなわち、中継器100は、他の中継器100にとっての対象無線端末20Tとは異なる対象無線端末20Tを選択することができる。これにより、中継器100間で対象無線端末20Tが分散される。従って、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0088】
一方、検知端末群20Gdが重複端末群20Goだけを含む場合(ステップS322;Yes)、処理は、ステップS330に進む。ステップS330において、中継器100は、重複端末群20Goに基づいて「第3選択処理」を行う。
【0089】
3-3-3.第3選択処理(ステップS330)
第3選択処理において、中継器100は、重複端末群20Goの中から対象無線端末20Tを選択する、あるいは、非動作設定を選択する。
【0090】
図15は、第3選択処理(ステップS330)の第1の例を示すフローチャートである。ステップS331において、中継器100は、重複端末群20Go及び非動作設定の中からランダムに選択を行う。これにより、中継器100間で対象無線端末20Tが分散される。従って、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。また、非動作設定が選択された場合、システム全体の消費電力が抑制される。
【0091】
変形例として、ステップS331において、非動作設定は選択肢から除外されてもよい。この場合、中継器100は、重複端末群20Goの中から少なくとも一つの対象無線端末20Tをランダムに選択する。
【0092】
図16は、第3選択処理(ステップS330)の第2の例を説明するための概念図である。ここでは、一例として、4台の中継器100-A、100-B、100-C、100-Dと、2台の無線端末20-1、20-2について考える。つまり、重複端末群20Goは、無線端末20-1、20-2からなる。
【0093】
現在、中継器100-A、100-B、100-Cは無線端末20-1を選択しており、中継器100-Dは無線端末20-2を選択している。言い換えれば、無線端末20-1には中継器100-A、100-B、100-Cが割り当てられており、無線端末20-2には中継器100-Dが割り当てられている。各無線端末20に現在割り当てられている中継器100の数を、便宜上、「現在中継器数Nc」と呼ぶ。図16に示される例では、無線端末20-1に関する現在中継器数Ncは3であり、無線端末20-2に関する現在中継器数Ncは1である。
【0094】
各中継器100は、他の中継器100から受け取る受信通知情報500Rに基づいて、他の中継器100が選択中の対象無線端末20Tを知ることができる。従って、各中継器100は、受信通知情報500Rに基づいて、各無線端末20に関する現在中継器数Ncを把握することができる。
【0095】
また、各中継器100は、各無線端末20に関する「目標中継器数Nt」を算出する。目標中継器数Ntは、無線端末20に割り当てられる中継器100の数の目標値である。例えば、重複端末群20Goに含まれる無線端末20の総数がXであり、中継器100の総数がYである場合、目標中継器数Ntは、次の式(1)で表される。式(1)において、余剰は切り捨てても切り上げてもよい。
【0096】
式(1):Nt=Y/X
【0097】
別の例として、無線端末20毎に重みが考慮されてもよい。具体的には、無線端末20に関する目標中継器数Ntは、次の式(2)で表される。尚、添え字iは、各無線端末20を表す(i=1~X)。
【0098】
式(2):Nt=W×Y
【0099】
式(2)において、Wは、無線端末20に対する重みを表す。例えば、重みWは、各無線端末20が所望する通信品質に応じて設定される。この場合、端末情報200は、無線端末20が所望する通信品質を含み、各中継器100は、端末情報200に基づいて重みWを設定する。例えば、無線端末20-1が所望する通信品質がαであり、無線端末20-2が所望する通信品質がβであるとする。通信品質が、大きい値が望ましいパラメータ(例:スループット、受信電力)である場合、各無線端末20に対する重みWは、次の式(3)で表される。
【0100】
式(3):
=α/(α+β)
=β/(α+β)
【0101】
通信品質が、小さい値が望ましいパラメータ(例:遅延、誤り率)である場合、各無線端末20に対する重みWは、次の式(4)で表される。
【0102】
式(4):
=1-α/(α+β)
=1-β/(α+β)
【0103】
端末情報200は、無線端末20が所望する中継器100の数を含んでいてもよい。この場合、無線端末20が所望する中継器100の数が、目標中継器数Ntとして用いられてもよい。
【0104】
図16に示される例において、無線端末20-1、20-2に関する目標中継器数Ntは共に2であるとする。無線端末20-1に関する現在中継器数Ncは目標中継器数Ntをオーバーしており、無線端末20-2に関する現在中継器数Ncは目標中継器数Ntに達していない。すなわち、目標中継器数Ntに対して現在中継器数Ncの過不足が発生している。過不足が発生している場合、少なくとも一部の中継器100は、過不足が緩和されるように対象無線端末20Tの選択を調整する。
【0105】
例えば、受信通知情報500Rは、対象無線端末20Tの識別情報に加えて、対象無線端末20Tに対する相対的な中継器100の位置情報を含んでいる。あるいは、受信通知情報500Rは、対象無線端末20Tの識別情報に加えて、対象無線端末20Tと中継器100との間の距離dの情報を含んでいてもよい。そのような受信通知情報500Rと検知端末情報400を参照することによって、各中継器100は、全ての中継器100に関する(a)対象無線端末20T、及び(b)中継器100と対象無線端末20Tとの間の距離dを把握する。現在中継器数Ncが目標中継器数Ntをオーバーしている無線端末20-1については、現在、中継器100-A~100-Cがその無線端末20-1を選択している。それら中継器100-A~100-Cの中では、中継器100-Cと無線端末20-1との間の距離dが最も大きい。この場合、中継器100-Cが、無線端末20-1を選択候補から除外し、新たな対象無線端末20Tを再選択する。その結果、中継器100-Cは、無線端末20-2を選択する。このようにして、過不足が緩和される。
【0106】
図17は、第3選択処理(ステップS330)の第2の例を要約的に示すフローチャートである。ステップS332において、各中継器100は、検知端末情報400と受信通知情報500Rに基づいて、目標中継器数Ntを算出する。ステップS333において、各中継器100は、目標中継器数Ntに対して現在中継器数Ncの過不足が発生しているか否かを判定する。過不足が発生していない場合(ステップS333;No)、ステップS330は終了する。一方、過不足が発生している場合(ステップS333;Yes)、処理は、ステップS334に進む。
【0107】
ステップS334において、少なくとも一部の中継器100は、過不足が緩和されるように対象無線端末20Tの選択を調整する。例えば、対象無線端末20Tとの距離dが最も大きい中継器100が、現在の対象無線端末20Tを選択候補から除外して、新たな対象無線端末20Tを再選択する。これにより、過不足が緩和される。
【0108】
4.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、中継器100は、ユーザ選択処理を行う。ユーザ選択処理では、中継器100自身が各種情報を考慮して対象無線端末20Tあるいは非動作設定を選択する。各種情報は、無線端末20の端末位置情報250に加えて、他の中継器100におけるユーザ選択処理の結果を示す通知情報500を含む。このような情報を用いることにより、中継器100同士の連携が可能となり、それぞれの中継器100が分散的に対象無線端末20Tを選択することが可能となる。その結果、単一の無線端末20に対して必要以上に多くの中継器100が中継処理を行うことが抑制される。また、各中継器100が全ての無線端末20に対して中継処理を行うことが抑制される。つまり、伝搬パスが過剰に形成されることが抑制される。従って、中継器100の利用効率を向上させ、中継処理を効率的に行うことが可能となる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、中継器100は、中継処理を行わない非動作(OFF)設定を選択することもできる。これにより、不必要に多い中継器100の稼働が抑制される。その結果、システム全体の消費電力が抑制される。このことも、効率的な中継処理に寄与する。
【0110】
5.中継器の構成例
図18は、本実施の形態に係る中継器100の構成例を示すブロック図である。中継器100は、情報通信部110、制御部120、及び中継処理部130を備えている。
【0111】
情報通信部110は、無線基地局10、無線端末20、及び他の中継器100と通信を行う。
【0112】
制御部120は、中継器100の制御を行う。例えば、制御部120は、1又は複数のプロセッサ121(以下、単に「プロセッサ121」と呼ぶ)及び1又は複数の記憶装置122(以下、単に「記憶装置122」と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ121は、各種情報処理を行う。プロセッサ121は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置122は、各種情報(図7参照)を格納する。記憶装置122としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。プロセッサ121が、コンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、制御部120の機能が実現される。制御プログラムは、記憶装置122に格納される。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。制御プログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。更に他の例として、制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0113】
制御部120は、情報取得/通知処理を行う。具体的には、制御部120は、情報通信部110を介して、無線端末20から端末情報200を受信する。また、制御部120は、情報通信部110を介して、他の中継器100に通知情報500を送信する。更に、制御部120は、情報通信部110を介して、他の中継器100から通知情報500(受信通知情報500R)を受信する。
【0114】
また、制御部120は、図7で示された各種情報に基づいて、図8で示された各種処理を実行する。また、制御部120は、ユーザ選択処理やビーム選択処理の結果に応じたビーム制御及び中継処理を行う。具体的には、制御部120は、中継処理部130を制御することによってビーム制御及び中継処理を行う。
【0115】
図19は、中継処理部130の一例を示している。中継処理部130は、第1RFアンテナ部131と第2RFアンテナ部132を含んでいる。第1RFアンテナ部131は、無線基地局10との通信において用いられる。第2RFアンテナ部132は、無線端末20との通信において用いられる。第1RFアンテナ部131と第2RFアンテナ部132の一方が電波を受信し、電波の電力を増幅し、第1RFアンテナ部131と第2RFアンテナ部132の他方が電波を送信(再放射)する。
【0116】
また、第1RFアンテナ部131及び第2RFアンテナ部132の各々は、アナログビームフォーミングを行う。アナログビームフォーミングは、例えば、可変位相器を用いた位相制御により実現される。他の例として、アナログビームフォーミングは、レンズアンテナ、リフレクトアレーアンテナ、その他のビーム方向を可変制御できるアンテナを用いて実現されてもよい。
【0117】
第1RFアンテナ部131及び第2RFアンテナ部132の各々におけるアナログビームフォーミング及び信号増幅は、制御部120からの指示によりON/OFF制御可能である。制御部120は、第1RFアンテナ部131及び第2RFアンテナ部132を制御することによって、ユーザ選択処理やビーム選択処理の結果に応じたビーム制御を行う。
【0118】
中継器100がメタサーフェス反射板である場合、「ビーム制御」を「反射(透過)方向制御」と読み替える。
【0119】
図20は、中継器100がメタサーフェス反射板である場合の中継処理部130の例を示している。中継処理部130は、反射部133と位相変換部134を含んでいる。反射部133は、複数の反射素子を含んでいる。反射部133に入射した信号は、位相変換部134を経由して反射される。位相変換部134は、反射素子毎に可変移相器を有しており、所望の反射方向が実現されるように反射信号の位相を変換する。複数の反射素子をグループ分けすることによって、複数の反射方向を実現することもできる。
【0120】
制御部120は、所望の中継器特性が実現されるように、使用する反射素子、反射素子のグループ分け、各グループに対する反射方向の割り当て、等を決定する。例えば、使用する反射素子は、所望のビーム幅やビーム形状に基づいて決定される。更に、制御部120は、所望の反射方向が実現されるように、各反射素子に対する可変移相器における位相量を算出する。そして、制御部120は、算出した位相量を位相変換部134に通知する。位相変換部134は、通知された位相量に従って反射信号の位相を変換する。
【符号の説明】
【0121】
1 無線通信システム
10 無線基地局
20 無線端末
20T 対象無線端末
100 中継器
110 情報通信部
120 制御部
130 中継処理部
200 端末情報
250 端末位置情報
300 中継器情報
400 検知端末情報
500 通知情報
500R 受信通知情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20