(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】四肢スリミング剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/17 20060101AFI20240911BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/65 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/234 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/744 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/634 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/538 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/238 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/708 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/284 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/346 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/539 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/484 20060101ALI20240911BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20240911BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240911BHJP
A61K 35/02 20150101ALI20240911BHJP
【FI】
A61K36/17
A61K36/232
A61K36/65
A61K36/234
A61K36/744
A61K36/634
A61K36/534
A61K36/538
A61K36/238
A61K36/708
A61K36/284
A61K36/346
A61K36/539
A61K36/484
A61K36/9068
A61P3/04
A61K35/02
(21)【出願番号】P 2019107417
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】赤木 淳二
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070056(JP,A)
【文献】特開2000-239138(JP,A)
【文献】特開2014-088339(JP,A)
【文献】特開2013-071913(JP,A)
【文献】特開2008-037787(JP,A)
【文献】J. Trad. Med.,2007年,Vol.24,pp.115-127
【文献】J. New Rem. & Clin.,2007年,Vol.56, No.9,pp.1624-1638
【文献】「漢方製剤 ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)」の添付文書(第9版),2018年
【文献】リハビリテーション医学,2006年,Vol.43,pp.51-62
【文献】東京体育学研究,2017年,Vol.8,pp.27-32
【文献】「漢方製剤 ツムラ大柴胡湯エキス顆粒(医療用)」の添付文書(第9版),2014年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/00-31/327
A61P
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防風通聖散エキスを含有し、経口投与され、且つ、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの周径を低減するために用いられる、四肢スリミング剤。
【請求項2】
少なくとも前記右上腕及び前記左上腕の周径を低減するために用いられる、請求項1に記載の四肢スリミング剤。
【請求項3】
少なくとも、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の周径を低減するために用いられる、請求項1に記載の四肢スリミング剤。
【請求項4】
体形改善剤である、請求項1~3のいずれかに記載の四肢スリミング剤。
【請求項5】
更に、ウエスト及び/又はヒップの周径を低減するために用いられる、請求項1~4のいずれかに記載の四肢スリミング剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本来的に痩せにくい、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの周径を低減できる四肢スリミング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食文化の欧米化に伴い、日本人の脂質摂取量は増加しており、過剰に摂取された脂質は脂肪の形で体内に蓄積され、肥満等の原因となっている。肥満は脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、様々な健康障害を合併することが知られている。特に、肥満において認められる内臓脂肪の蓄積は、メタボリックシンドロームを経て、糖尿病、脂質異常症、高血圧等の生活習慣病を引き起こし、さらに動脈硬化を進展させることで、心筋梗塞、脳卒中等の重篤疾患をも発症し得る。このため、体内に蓄積した脂肪を低減させることは重要課題として認識されている。
【0003】
近年、肥満に対する体脂肪の低減を目的として様々な経口剤が報告されている。このような経口剤の服用は、運動を要さず手軽であり継続が容易である点で広く支持されている。体脂肪低減剤としては、例えば、脂肪の蓄積を抑制し、蓄積した脂肪を分解することで内臓脂肪を低減するラクトフェリン(特許文献1)、体脂肪の燃焼の促進作用を有する茶抽出物(特許文献2)、抗肥満効果及び脂肪分解活性を有する柑橘類果実抽出物(特許文献3)等が報告されている。
【0004】
しかしながら、運動を行わずに体脂肪を低減させる場合、体幹部分であるウエストやヒップについては体脂肪低減の効果が得られやすい一方で、四肢については冷えやすく、相対的に代謝が悪いため、体脂肪低減の効果は期待できないというのが一般常識である。従って、四肢のスリミングを希望する人は、体脂肪の低減を目的とした従来の経口剤を服用するのではなく、四肢を使った運動によってスリミングを行っているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-1333号公報
【文献】特開2006-117687号公報
【文献】特開2006-321772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、四肢のスリミングが可能な剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、防風通聖散が、本来的に痩せにくい四肢を効果的にスリミングできることを新たに発見した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 防風通聖散エキスを含有し、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの周径を低減するために用いられる、四肢スリミング剤。
項2. 体形改善剤である、項1に記載の四肢スリミング剤。
項3. 更に、ウエスト及び/又はヒップの周径を低減するために用いられる、項1又は2に記載の四肢スリミング剤。
項4. 項1~3のいずれかに記載の四肢スリミング剤による四肢スリミング効果を示すプレゼンテーション方法であって、人体像またはヒト形シルエット像を用いて、上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの太さが低減する様子を経時的に示すことを含む、方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の四肢のスリミング剤によれば、四肢を効果的にスリミングさせることができる。また、本発明のスリミング時剤によって本来的に痩せにくい四肢をスリミングすることで、体形の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】防風通聖散エキスの服用前後において、ヒトの四肢の太さが低減され体形が改善される様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.四肢スリミング剤
本発明の四肢スリミング剤は、防風通聖散エキスを含有することを特徴とする。以下、本発明の四肢スリミング剤について詳述する。
【0012】
防風通聖散エキス
本発明の四肢スリミング剤において、防風通聖散エキスは、本来的に痩せにくい四肢、つまり、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの周径を低減できる。本発明における防風通聖散は筋肉量の低下を抑制することもできるため、四肢の体脂肪を低減することによってスリミングすることができる。
【0013】
防風通聖散を構成する生薬は、「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修、日薬連漢方専門委員会編集、薬業時報社発行)によれば、トウキ、シャクヤク、センキュウ、サンシシ、レンギョウ、ハッカ、ショウキョウ、ケイガイ、ボウフウ、マオウ、ダイオウ、ボウショウ、ビャクジュツ、キキョウ、オウゴン、カンゾウ、セッコウ、及びカッセキである。書簡によっては、前記生薬の内、ビャクジュツを含まないもの(例えば「経験漢方処方分量集」、大塚敬節・矢数道明監集、医道の日本社発行)や、オウゴンを含まないもの(例えば「続漢方あれこれ」大阪読売新聞社編、浪速社発行)がある。本発明で使用される防風通聖散エキスは、これらのいずれの防風通聖散から得られるものであってもよい。
【0014】
また、防風通聖散を構成する各生薬の分量は、「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修、日薬連漢方専門委員会編集、薬業時報社発行)、「第十七改正日本薬局方」等によれば、トウキ1.2重量部、シャクヤク1.2重量部、センキュウ1.2重量部、サンシシ1.2重量部、レンギョウ1.2重量部、ハッカ1.2重量部、ショウキョウ0.3~1.2重量部、ケイガイ1.2重量部、ボウフウ1.2重量部またはハマボウフウ1.2重量部、マオウ1.2重量部、ダイオウ1.5重量部、ボウショウ(硫酸ナトリウム無水物換算量)0.6~1.5重量部、ビャクジュツ2重量部、キキョウ2重量部、オウゴン2重量部、カンゾウ2重量部、セッコウ2~3重量部、及びカッセキ3~5重量部である。また、書簡によっては、前記分量中、1.2重量部を全て1.5重量部としているものもある(例えば「明解漢方処方」、西岡一夫、高橋真太郎共著、浪速社発行)。
【0015】
防風通聖散エキスの製造に供される生薬調合物における各生薬の分量については、特に制限されず、前記で例示した書簡に示されている各生薬の分量で使用してもよいが、好適な例として、トウキ1.2重量部、シャクヤク1.2重量部、センキュウ1.2重量部、サンシシ1.2重量部、レンギョウ1.2重量部、ハッカ1.2重量部、ケイガイ1.2重量部、ボウフウ1.2重量部、マオウ1.2重量部、ダイオウ1.5重量部、ボウショウ(硫酸ナトリウム無水物換算量)0.6~1.5重量部、ビャクジュツ2重量部、キキョウ2重量部、オウゴン2重量部、カンゾウ2重量部、セッコウ2~3重量部(好ましくは2重量部)、及びカッセキ3~5重量部(好ましくは3重量部)であり、且つショウキョウが0.3~1.5重量部、好ましくは0.3~1.2重量部、更に好ましくは0.3~0.4重量部、特に好ましくは0.3重量部であるものが挙げられる。防風通聖散エキスの製造に供される生薬調合物におけるショウキョウの分量を上記の範囲に調節することによって、四肢スリミング効果をより好ましく向上させることができる。
【0016】
また、ボウショウの分量は、硫酸ナトリウム無水物換算で、好ましくは0.6~1重量部、更に好ましくは0.6~0.75重量部、特に好ましくは0.7重量部を充足することによって、錠剤として成形された場合に、錠剤の硬度及び崩壊性を向上させることができる。
【0017】
なお、本発明において、「防風通聖散エキスの製造に供される生薬調合物」とは、防風通聖散エキスの製造において、抽出に供される原料調合物、即ち、防風通聖散を構成する所定量の生薬を含む調合物である。また、ボウショウの硫酸ナトリウム無水物換算とは、ボウショウとして硫酸ナトリウムの水和物を使用する場合には、当該水和物を無水物重量に換算することを指す。なお、ボウショウとしては、硫酸ナトリウムの水和物(例えば、10水和物)及び/又は硫酸ナトリウム無水物が使用され、錠剤として成形された場合において錠剤の硬度及び崩壊性を向上させる観点からは、硫酸ナトリウム無水物が好ましく使用される。
【0018】
本発明で使用される防風通聖散エキスの製造に供される生薬調合物の好適な例として、当該生薬調合物の全量100重量部当たり、ショウキョウが1~5重量部、より好ましくは1~4重量部、更に好ましくは1~3重量部、特に好ましくは1~2重量部含まれているものが挙げられる。このようにショウキョウの比率が低い生薬調合物から防風通聖散エキスを得ることによって、内臓脂肪細胞分解効果をより好ましく向上させることが可能になる。このようにショウキョウの比率が高い生薬調合物から防風通聖散エキスを得ることによって、四肢スリミング効果をより好ましく向上させることが可能になる。
【0019】
また、本発明で使用される防風通聖散エキスの製造に供される生薬調合物の好適な例として、当該生薬調合物の全量100重量部当たり、ボウショウが硫酸ナトリウム無水物換算で2~6重量部、好ましくは2~4重量部、更に好ましくは2~3重量部、特に好ましくは2~2.5重量部含まれているものが挙げられる。用量及び製剤形態等にもよるが、このような比率で生薬調合物中にボウショウが含まれることによって、錠剤として成形された場合において、錠剤の硬度及び崩壊性を向上させることが可能になる。
【0020】
本発明で使用される防風通聖散エキスは、前記生薬調合物を公知の手法で抽出することによって得ることができる。前記生薬調合物を抽出する方法については、従来の防風通聖散エキスの抽出法と同様の方法で行えばよく、例えば、前記生薬調合物に対して、約10~20倍量の水を加え、80~100℃程度で1~3時間程度撹拌して抽出する方法が挙げられる。抽出後に、遠心分離、濾過等の固液分離に供して固形分を除去し、必要に応じて、濃縮処理や乾燥処理に供することによって防風通聖散エキスが得られる。
【0021】
防風通聖散エキスをエキス末として得るには、固形分を除去した抽出液を、必要に応じて濃縮した後に、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理に供すればよい。また、乾燥処理(特に、スプレードライによる乾燥処理)に供する際に、必要に応じて抽出液に、デキストリン等の賦形剤を添加してもよい。このように賦形剤を添加することにより、乾燥時間を短縮することが可能になる。添加される賦形剤の種類や添加量については、一般的な漢方エキス末を製造する場合と同様である。
【0022】
また、防風通聖散エキスを軟エキスとして得るには、形分を除去した抽出液を、減圧濃縮等によって濃縮すればよい。また、軟エキスに、適当な吸着剤(例えば無水ケイ酸、デンプン等)を加えて吸着末としてもよい。
【0023】
本発明で使用される防風通聖散エキスは、エキス末又は軟エキスのいずれであってもよく、本発明の四肢スリミング剤の形態に応じて、エキス末又は軟エキスを適宜選択すればよい。また、錠剤として成形される場合においては、硬度及び崩壊性に優れた錠剤を得る観点から、エキス末であることが好ましい。
【0024】
その他の成分
本発明の四肢スリミング剤は、防風通聖散エキス単独からなるものであってもよく、製剤形態に応じた添加剤や基剤を含んでいてもよい。このような添加剤及び基剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加剤及び基剤の含有量については、使用する添加剤及び基剤の種類、筋肉量低下抑制剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。
【0025】
添加剤及び基剤としては、デンプン、カルメロースカルシウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ハイドロタルサイト、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドンが挙げられ、好ましくは、カルメロースカルシウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、及び合成ケイ酸アルミニウムが挙げられる。これらの添加剤及び基剤の含有量は、使用する添加剤及び基剤の種類に応じて適宜設定される。
【0026】
また、本発明の四肢スリミング剤は、防風通聖散エキスの他に、必要に応じて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、抗炎症剤、収れん剤、鎮吐剤、鎮咳剤、去痰剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、カフェイン類、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、生薬エキス、ビタミン類、メントール類等が挙げられる。これらの栄養成分や薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類、四肢スリミング剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。
【0027】
製剤形態
本発明の四肢スリミング剤の製剤形態については、経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤(ドライシロップを含む)、錠剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)等の固形状製剤;ゼリー剤等の半固形状製剤;液剤、懸濁剤、シロップ剤等の液状製剤が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、含有成分の安定性や携帯性等の観点から、好ましくは固形状製剤が挙げられる。
【0028】
製造方法
本発明の四肢スリミング剤を前記製剤形態に調製するには、防風通聖散エキス、及び必要に応じて添加される添加剤、基剤、及び薬理成分を用いて、医薬分野で採用されている通常の製剤化手法に従って製剤化すればよい。錠剤として製剤する場合においては、好ましくは、本発明の四肢スリミング剤の製造方法は、防風通聖散エキス、又は必要に応じ添加剤、基材、他の栄養成分、及び/又は他の薬理成分と混合した防風通聖散エキス混合物を造粒する造粒工程、及び造粒物を打錠する打錠工程を含む。
【0029】
用途
本発明の四肢スリミング剤は、四肢、つまり、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの周径を低減する目的で使用される。ウエストやヒップなどの体幹部分が痩せることができても、四肢は本来的に痩せにくく、これによって四肢が太い体形となりやすいところ、本発明の四肢スリミング剤によって四肢をスリミングすることで、四肢が太い体形を改善することができる。従って、本発明の四肢スリミング剤は、体形改善を目的としても使用される。
【0030】
また、本発明の四肢スリミング剤は、四肢を効果的にスリミングすることができるため、ウエスト及び/又はヒップの周径を低減する目的でなくても用いることができる。従って、他の脂肪低減剤やダイエットによりウエストやヒップの体脂肪を低減できた一方で四肢が依然として痩せていない対象や、肥満症でなくても下肢から太り始めたことを自覚している対象等に対しても好ましく適用される。なお、本発明の四肢スリミング剤は、四肢以外の皮下脂肪や内臓脂肪に対しても優れた脂肪量低減効果を有するため、四肢に加えて、ウエスト及び/又はヒップの周径を低減する目的で用いても構わない。
【0031】
さらに、本発明の四肢スリミング剤は、体脂肪を低減する一方で筋肉量の低下を抑制できるため、四肢のスリミングにおいては、筋肉量の低下を抑制しながら体脂肪を低減することができる。このため、本発明の四肢スリミング剤は、運動を行わない対象、及び食事制限を行っている対象に対しても好ましく適用される。
【0032】
用量・用法
本発明の四肢スリミング剤は経口投与によって使用される。本発明の四肢スリミング剤の用量については、投与対象者の年齢、性別、体質等に応じて適宜設定されるが、例えば、ヒト1人に対して1日当たり、防風通聖散エキスの生薬由来成分の総量が1~10g程度、好ましくは1.5~8g程度、より好ましくは1.5~6g程度となる量で、1日1~3回、好ましくは2又は3回の頻度で服用すればよい。服用タイミングについては、特に制限されず、食前、食後、又は食間のいずれであってもよいが、食前(食事の30分前)又は食間(食後2時間後)が好ましい。
【0033】
また、本発明の四肢スリミング剤による四肢スリミング効果は、継続的な服用によって奏されるので、本発明の四肢スリミング剤は、継続的な服用(具体的には4週間以上の継続的な服用、好ましくは12週間以上の継続的な服用)を行うことが好ましい。
【0034】
2.四肢スリミング効果を示すプレゼンテーション方法
上述のとおり、本発明の四肢スリミング剤は、四肢、つまり、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの周径を低減する。従って、本発明は、更に、上述の本発明の四肢スリミング剤による四肢スリミング効果を示すプレゼンテーション方法であって、人体像またはヒト形シルエット像を用いて、上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの太さが低減する様子を経時的に示すことを含む方法も提供する。これによって、本発明の四肢スリミング剤による優れた効果を視覚的にわかりやすく説明することができる。
【0035】
具体的なプレゼンテーション方法の例を
図1に示す。
図1においては、本発明の四肢スリミング剤の服用前のヒト形シルエットと、服用後のヒト形シルエットとを対比できるように示しており、服用によって少なくとも四肢の太さが低減している様子を示している。つまり、
図1によると、本発明の四肢スリミング剤の服用によって、上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の少なくともいずれかの太さが低減する様子を経時的に示している。なお、
図1においては、四肢に加え、ウエスト及びヒップも低減している様子を示している。
【0036】
本発明のプレゼンテーション方法は、上述の本発明の四肢スリミング剤の効能を説明するいかなる手段においても用いることができる。そのような手段としては、当該四肢スリミング剤に関するコマーシャルメッセージ、ウェブサイト、商品パッケージ等が挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
防風通聖散エキスの製造
表1に示す各生薬を細切して、所定の分量を混合し、細切して生薬調合物を得た。生薬調合物に、重量比で20倍量の水を加えて、約100℃で1時間撹拌しながら抽出を行った。その後、遠心分離にて抽出液を回収し、減圧濃縮した後に、スプレードライヤーを用いて乾燥させ、防風通聖散エキス末を得た。
【0039】
なお、ショウキョウは1~8mm角に細切したものを使用した。また、スプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の熱風を供給することにより行った。
【0040】
【0041】
試験例1:四肢スリミング効果の評価
服用開始前において、30歳第代~40歳代(男性14名、女性9名)を対象とし、上記製造例1の組成を有する防風通聖散エキス錠を、1日当たり、防風通聖散エキスの生薬由来成分の総量が2.5gとなるよう、1日3回食前または食間に1回4錠を服用させた。なお、試験期間中において、特別な運動負荷は実施せず、食事制限も行わなかった。
【0042】
服用前及び服用後において、身体計測(服用前、服用2週、4週、8週及び12週後)、及び身体各部サイズの計測を行った。なお、身体計測においては、体組成分析装置InBody3.2(株式会社バイオスペース)を用い、体重、BMI、体脂肪量、体脂肪率、筋肉量、筋肉率を記録した。
【0043】
身体計測結果、及び身体各部サイズ測定結果を下記表に示す。下記表における測定結果は、すべて平均値±標準偏差で示した。
【0044】
【0045】
【0046】
表2に示すとおり、防風通聖散エキス錠の服用により、体重、BMI、体脂肪量、及び体脂肪率のいずれについても有意な減少が認められた一方で、筋肉量が減少しておらず、筋肉率の向上が認められた。また、表4に示すとおり、右上腕、左上腕、右太股、左太股、右脹脛、及び左脹脛の周径全てがおいて有意に低減しており、四肢の効果的なスリミングが確認できた。また、表2の結果において筋肉量が減少していないことに鑑みると、表4で確認された四肢のスリミングは、四肢の体脂肪が低減されたことによるものであると推認できる。また、表3に示すとおり、ウエストやヒップの周径も優位に低減されていた。このように、本来痩せにくい四肢がスリミングされたことにより、全体として体形が改善されたことが分かった。