(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】皮膚清拭用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20240911BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240911BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240911BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240911BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/55
A61K8/64
A61Q19/10
A61K8/60
(21)【出願番号】P 2019118267
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-05-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】山本 航平
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-183126(JP,A)
【文献】特開2013-014540(JP,A)
【文献】特開2010-229066(JP,A)
【文献】特開2014-210767(JP,A)
【文献】国際公開第2015/022944(WO,A1)
【文献】特開昭64-038018(JP,A)
【文献】特開2014-227360(JP,A)
【文献】特開2005-239563(JP,A)
【文献】日本精化 香粧品事業本部香粧品研究開発部 勝間田 祐貴・釋氏 梨沙・清水 透,特集/クレンジング技術の開発 Development of cleansing technology,フレグランスジャーナル FRAGRANCE JOURNAL ,第44巻,フレグランスジャーナル社 FRAGRANCE JOURNAL LTD. 宇野 浩一
【文献】The Scalp Shampoo,(ID#): 6446665,2019年04月,<URL:https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)リン脂質と(B)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルとを含有し、前記(A)成分の含有量が0.025~2重量%である、化粧落としとして用いられるものではない
、手、体、及び顔から選択される身体部位の皮膚の拭き取りに用いられる皮膚清拭用組成物
(但し、乳液状のものを除く)。
【請求項2】
(A)界面活性剤と(B)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルとを含有し、前記界面活性剤が、サポニン、リポペプチド、及び/又はアミノ酸系界面活性剤からなり、前記(A)成分の含有量が0.025~2重量%である、
手、体、及び顔から選択される身体部位の皮膚の拭き取りに用いられる皮膚清拭用組成物
(但し、鉄分を含有するものを除く)。
【請求項3】
前記(A)成分が、グリセロリン脂質である、請求項1に記載の皮膚清拭用組成物。
【請求項4】
前記グリセロリン脂質が、レシチン、リゾレシチン、及び水素添加レシチンからなる群より選択される、請求項3に記載の皮膚清拭用組成物。
【請求項5】
前記リポペプチドがサーファクチン及びその塩からなる群より選択される、請求項2に記載の皮膚清拭用組成物。
【請求項6】
前記ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルが、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールである、請求項1~5のいずれかに記載の皮膚清拭用組成物。
【請求項7】
入浴及び/又はシャワーが複数日制限されている人に対して適用される、請求項1~6のいずれかに記載の皮膚清拭用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚刺激低減性及び保湿性と、べたつき感抑制性と、洗浄力とが総合的に優れた皮膚清拭用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肌を清拭することで肌を快適に保つことを目的とした製品として、液体が含浸されたシートが様々に創出されている。例えば、特許文献1には、多価アルコール、ポリフェノール系消臭剤、水、所定量のポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、及び所定量のポリオキシエチレンソルビタンエステルを含有する皮膚清浄清拭剤が、低いふき取り摩擦で汚れ物質を容易に取り除くことができ、悪臭の低減も可能であることが記載されている。特許文献2には、特定の非イオン性界面活性剤を所定量と、粉体を所定量と、所定の他の非イオン性界面活性剤を所定量と、水とを含有する液状組成物を、シート状基材に含浸させてなるシート状化粧料が、適度な清涼感と肌にかさつきのないさらさら感を付与し、べたつきを抑え、さらさら感の持続性に優れ、且つ、発汗後の肌のさらさら感の持続性に優れていることが記載されている。特許文献3には、柑橘系精油を所定量と、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル又は特定のポリオキシエチレンアルケニルエーテルを所定量と、特定のグリセリル基を有する非イオン性界面活性剤を所定量と、液状の高級アルコールを所定量と、水溶性高分子を所定量と、水とを含有する液状組成物を、シート状基材に含浸させてなるシート状化粧料が、乾燥しすぎず、肌のうるおいを保ちながらも、しっかりとした角層除去能や清拭性が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-184896号公報
【文献】特開2013-116868号公報
【文献】特開2016-084318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの皮膚清浄清拭剤は、非イオン性界面活性剤を用いることで一定の洗浄性が得られている一方で、洗浄性と本質的に相反する特性である皮膚への低刺激性や保湿性については犠牲にせざるを得ない。これは、清拭後に肌に残り濃縮される非イオン性界面活性剤が刺激になっていると考えられる。肌へのやさしさへの要求が年々高まりつつある現状に鑑みると、このような刺激や保湿不足を招来するこれまでの皮膚清浄清拭剤は満足できるレベルにあるとはいえない。
【0005】
また、長時間勤務、進行する高齢化、多発する災害等により、入浴やシャワーが長時間制限される人が多く存在しており、そのような人にとって、清拭による皮膚洗浄は、入浴やシャワーの制限時において皮膚を快適化する唯一の手段である。しかしながら、これまでの皮膚洗浄清拭剤は、清拭の繰り返しにより、清拭後に肌に残り濃縮される非イオン性界面活性剤を蓄積し更に強い刺激を肌に与えるため、そのような制限下にある人にとっても到底満足できるレベルにない。
【0006】
本発明者は、肌の刺激を低減させるため、界面活性剤として、天然由来の界面活性剤又はアミノ酸系界面活性剤を用いるとともに、その配合量を0.025~2重量%という極めて少量とした。しかしながら、そのように極めて少量の界面活性剤しか含まれない皮膚清拭用組成物では、洗浄力が全く満足に得られず、それどころか、肌への刺激や保湿低下さえ効果的に抑制できず、場合によってはべたつきも感じるという問題に直面した。
【0007】
そこで本発明は、皮膚刺激性や保湿不足が抑制されながらもべたつき感が抑制され且つ優れた洗浄力を有する皮膚清拭用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討の結果、皮膚清拭用組成物において、少量の天然由来界面活性剤及び/又はアミノ酸系界面活性剤に両親媒性エステルを共存させることによって、皮膚刺激性及び保湿不足が低減されながらもべたつき感が抑制され且つ優れた洗浄力を発揮できることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)天然由来界面活性剤及び/又はアミノ酸系界面活性剤と(B)両親媒性エステルとを含有し、前記(A)成分の含有量が0.025~2重量%である、皮膚清拭用組成物。
項2. 前記(B)成分が、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル、ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10よりなる群から選ばれる、項1に記載の皮膚清拭用組成物。
項3. 前記ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルが、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールである、項2に記載の皮膚清拭用組成物。
項4. 前記(A)成分が、グリセロリン脂質、サポニン、及びリポペプチドからなる群より選択される、項1~3のいずれかに記載の皮膚清拭用組成物。
項5. 前記グリセロリン脂質が、レシチン、リゾレシチン、及び水素添加レシチンからなる群より選択される、項4に記載の皮膚清拭用組成物。
項6. 前記リポペプチドがサーファクチン及びその塩からなる群より選択される、項4に記載の皮膚清拭用組成物。
項7. 入浴及び/又はシャワーが複数日制限されている人に対して適用される、項1~6のいずれかに記載の皮膚清拭用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性と、べたつき感抑制性と、洗浄力とが総合的に優れた皮膚清拭用組成物が提供される。従って、本発明の皮膚清拭用組成物は、入浴及び/又はシャワーが複数日制限されている人に対して好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の皮膚清拭用組成物は、(A)天然由来界面活性剤及び/又はアミノ酸系界面活性剤(以下、(A)成分と表記することがある)を所定量と(B)両親媒性エステル(以下、(B)成分と表記することがある)とを含有し、皮膚清拭用に用いられることを特徴とする。以下、本発明の皮膚清拭用組成物について詳述する。
【0012】
(A)天然由来界面活性剤及び/又はアミノ酸系界面活性剤
本発明の皮膚清拭用組成物は、(A)成分として天然由来界面活性剤及び/又はアミノ酸系界面活性剤を含有する。(A)成分としては、天然由来界面活性剤及びアミノ酸系界面活性剤の中のうちいずれか一方を使用してもよいし、両方を組み合わせて使用してもよい。
【0013】
天然由来界面活性剤は、生物を起源とし界面活性作用を有する物質である。本発明で用いられる天然由来界面活性剤としては特に限定されず、動物、植物又は微生物から抽出及び精製した天然物;これらの天然物を、微生物学的に培養合成したもの、遺伝子工学的に合成したもの、及び化学合成したもの;水素添加処理、水酸化処理、加水分解処理などの処理を行ったもの等が挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる天然由来界面活性剤の例としては、リン脂質、サポニン、リポペプチド、コレステロール、胆汁酸等が挙げられる。これらの天然由来界面活性剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの天然由来界面活性剤の中でも、皮膚刺激低減性及び保湿性と、べたつき感抑制性と、洗浄力とが総合的に優れている観点から、リン脂質、サポニン、リポペプチドが挙げられる。また、これらの天然由来界面活性剤の中でも、より好ましい洗浄力を得る観点から、リン脂質及びリポペプチドが挙げられ、連続使用によるさっぱり感をより好ましく得る観点からリポペプチドが挙げられ、洗浄力、べたつき感抑制性、皮膚刺激低減性、及び保湿不足抑制性をより好ましく得る観点からリン脂質が挙げられる。
【0015】
リン脂質としては、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質等が挙げられる。グリセロリン脂質は、グリセロリン酸骨格を有する物質で、親油基として脂肪酸エステル、長鎖アルキルエーテル、ビニルエーテルなどを有している物質である。グリセロリン脂質の具体例としては、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールポリリン酸、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)、ホスファチジン酸、並びにこれらの水素添加処理物、水酸化処理物、及び加水分解処理物が挙げられる。スフィンゴリン脂質は、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン等の長鎖塩基又は長鎖脂肪酸の、リン酸又はホスホン酸誘導体である。スフィンゴリン脂質の具体例としては、セラミド1-リン酸誘導体(スフィンゴミエリン等)、セラミド1-ホスホン酸誘導体(セラミドアミノエチルホスホン酸等)が挙げられる。これらのリン脂質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
これらのリン脂質の中でも、好ましくはグリセロリン脂質が挙げられ、より好ましくは、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン)、水素添加レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンが挙げられ、更に好ましくは、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン等)、水素添加レシチン、リゾレシチンが挙げられる。また、洗浄力、皮膚刺激低減性、保湿低下抑止性、及びべたつき抑制性をより好ましく得る観点から、一層好ましくはリゾレシチンが挙げられる。
【0017】
サポニンは、サポゲニンと糖から構成される配糖体であり、具体的にはトリテルペンの配糖体及びステロイドの配糖体が挙げられる。サポニンの具体例としては、キラヤサポニン、ダイズサポニン、ユッカサポニン、エンジュサポニン、ビートサポニン、アズキサポニン、ニンジンサポニン、茶種サポニン、ヘチマサポニン、ツボクササポニン等が挙げられる。これらのサポニンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
リポペプチドは、脂質化されたペプチドであり、具体的には、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン及びこれらの塩等が挙げられる。これらのリポペプチドは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
これらのリポペプチドの中でも、好ましくはサーファクチン及びその塩が挙げられ、より好ましくはサーファクチンの塩が挙げられる。サーファクチンの塩は、下記式(I)で示される化合物である。
【0020】
【0021】
式(I)中、Xは、ロイシン、イソロイシン及びバリンから選択されるアミノ酸残基を示し、RはC9-18アルキル基を示し、M+はアルカリ金属イオン又は第四級アンモニウムイオンを示す。アルカリ金属イオンとしては特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオンが挙げられる。第四級アンモニウムイオンの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基;ベンジル基、メチルベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基等のアリール基等の有機基が挙げられる。これらのサーファクチン又はその塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明の皮膚清拭用組成物における(A)成分の含有量は、0.025~2重量%である。本発明においては、(B)成分と共存させることで、優れた洗浄力を発揮することができるため、本来的には有効な洗浄力を発揮できないような少量の界面活性剤量でありながら効果的に洗浄力を発揮することができる。
【0023】
アミノ酸系界面活性剤には、アミノ酸系アニオン性界面活性剤及びアミノ酸系両性界面活性剤が含まれる。アミノ酸系界面活性剤としては、アミノ酸系アニオン性界面活性剤及びアミノ酸系両性界面活性剤のうちいずれか一方を使用してもよいし、両方を組み合わせて使用してもよい。これらのアミノ酸界面活性剤の中でも、平滑感及び保湿感をより好ましく得る観点から、アミノ酸系アニオン性界面活性剤が挙げられ、柔軟感を好ましく得る観点から、アミノ酸系両性界面活性剤が好ましく用いられる。
【0024】
本発明に使用されるアミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤及びスルホン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0025】
カルボン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ココイル基等の炭素数8~24の飽和又は不飽和のN-アシル基を有するN-アシルアミノ酸が挙げられる。カルボン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤におけるN-アシルアミノ酸としては、N-アシルサルコシン、N-アシルアスパラギン酸、N-アシルグルタミン酸、N-アシル-N-メチル-β-アラニン等が挙げられる。より具体的なカルボン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、N-ラウロイルサルコシン、ココイルサルコシン、N-ラウロイルアスパラギン酸、ココイルアスパラギン酸、N-ラウロイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン、ココイルメチルアラニン等が挙げられる。
【0026】
スルホン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ココイル基等の炭素数8~24の飽和又は不飽和のN-アシル基を有するN-アシル-N-メチルタウリンが挙げられる。より具体的なスルホン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、N-ミリストイル-N-メチルタウリン、N-ラウロイル-N-メチルタウリン、ココイルメチルタウリン等が挙げられる。
【0027】
なお、これらのアミノ酸系アニオン性界面活性剤は、塩の形態であってもよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;トリエタノールアミン(TEA)塩;アンモニウム塩等の形態をとることができる。
【0028】
これらのアミノ酸系アニオン性界面活性剤の中でも、洗浄力、皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、及び/又はべたつき感抑制性を好ましく得る観点から、好ましくはN-ラウロイルアスパラギン酸、ココイルグルタミン酸、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン、ココイルメチルアラニン、ココイルメチルタウリンが挙げられ、より好ましくは、N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウムが挙げられる。洗浄力をより一層好ましく得る観点から、更に好ましくは、ココイルメチルタウリンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムが挙げられる。皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性をより一層好ましく得る観点から、更に好ましくは、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ココイルメチルタウリンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウムが挙げられる。
【0029】
アミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、上述のカルボン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤及びスルホン酸型アミノ酸系アニオン性界面活性剤の中から1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
これらのアミノ酸系アニオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
本発明に使用されるアミノ酸系両性界面活性剤としては、例えば、アミドベタイン型両性界面活性剤およびアルキルベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。アミノ酸系両性界面活性剤としては、皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、べたつき感抑制性、及び/又は洗浄力をより一層好ましく得る観点から、好ましくはアミドベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0032】
アミドベタイン型両性界面活性剤は、一般式R1CO-NH-(CH2)n-N+(CH3)2CH2CO2
-(式中、R1CO-基は、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ココイル基等の炭素数8~24の飽和又は不飽和のN-アシル基を表し、nは2~8の整数を表す。)で表される化合物であり、洗浄力、皮膚刺激低減性、保湿感及び/又は柔軟感を好ましく得る観点から、好ましくは、コカミドプロピルベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン等が挙げられ、より好ましくは、コカミドプロピルベタインが挙げられる。
【0033】
アルキルベタイン型両性界面活性剤は、一般式R2-N+(CH3)2CH2CO2
-(式中、R2基は、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ヤシ油脂肪酸アルキル基等の炭素数8~24の飽和又は不飽和アルキル基を表す。)で表される化合物であり、洗浄力、皮膚刺激低減性、保湿感及び/又は柔軟感を好ましく得る観点から、好ましくは、ラウリルジメチル酢酸ベタイン、テトラデセルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0034】
これらのアミノ酸系両性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
(A)成分の好ましい含有量としては、例えば、より一層優れた洗浄力及びべたつき抑制性を得る観点から、0.1~2重量%、より好ましくは0.2~2重量%、さらに好ましくは0.3~2重量%が挙げられ、更に、より一層優れた皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性を得る観点から、0.3~1重量%、より好ましくは0.3~0.5重量%が挙げられる。
【0036】
(B)両親媒性エステル
本発明の皮膚清拭用組成物は、(B)成分として両親媒性エステルを含有する。(B)成分は単独で洗浄作用を示さないが、0.025~2重量%の(A)成分と共存させることによって、皮膚清拭用組成物の皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性を向上し、べたつき感を抑制し、且つ洗浄力も向上させることができる。
【0037】
本発明において、両親媒性エステルは、日本薬局方一般試験法に定められた方法による測定で、導電率70~110μs/mに調整されたイオン交換水に常温で2質量%以上溶解し、かつ、油剤であるイソノナン酸イソトリデシル(日清オイリオグループ社製、サラコス913)にも常温(25℃)で10質量%以上溶解するものであり、エステル系界面活性剤は除かれる。
【0038】
両親媒性エステルとしては特に限定されないが、皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、べたつき抑制性、及び洗浄力をより良好に得る観点から、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル、ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10よりなる群から選ばれるものであることが好ましい。両親媒性エステルとしては、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル、ジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10の中からいずれかを単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの両親媒性エステルの中でも、皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、べたつき抑制性、及び洗浄力をより良好に得る観点から、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルがより好ましい。
【0039】
本発明に使用されるジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルは、ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのジエステル化合物である。ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルのジエステル化合物を構成するジカルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ペメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセトンジカルボン酸、フタル酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸などが挙げられる。また、ジエステル化合物を構成するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルなどが挙げられ、より具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
これらのジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルの中でも、皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、べたつき抑制性、及び洗浄力をより良好に得る観点から、好ましくは、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸とジエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステル化合物、具体的には、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版,第1巻,CTFA,2010年,p.331):BIS-ETHOXYDIGLYCOL CYCLOHEXANE 1,4-DICARBOXYLATEで表記される、シクロへキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールと称される化合物、及びコハク酸とジエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステル化合物、具体的には、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版,第1巻,CTFA,2010年,p.331-332):BIS-ETHOXYDIGLYCOL SUCCINATEで表記される、コハク酸ビスエトキシジグリコールと称される化合物が挙げられ、より好ましくは、シクロへキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールが挙げられる。
【0041】
また、本発明において、前記シクロへキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの具体例としては、例えば、日本精化株式会社製の「Neosolue-Aqulio(商品名)」等が挙げられる。また、前記コハク酸ビスエトキシジグリコールの具体例としては、例えば、高級アルコール工業株式会社製の「ハイアクオスター DCS(商品名)」等が挙げられる。
【0042】
これらのジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本発明に使用されるジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステルは、ジカルボン酸とアルコキシアルコールとのジエステル化合物である。ジカルボン酸ジアルコキシアルキルのジエステル化合物を構成するジカルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ペメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセトンジカルボン酸、フタル酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸などが挙げられる。また、ジエステル化合物を構成するアルコキシアルコールとしては、例えば、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールなどが挙げられる。
【0044】
これらのジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル中でも、本発明の効果をより良好に得る観点から、好ましくは、コハク酸と2-エトキシエタノールとのジエステル化合物、具体的には、コハク酸ジエトキシエチルが挙げられる。
【0045】
これらのジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステル、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
本発明に使用される(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10としては、特に限定されないが、例えば、日本精化株式会社製の「Neosolue-Aqua(商品名)」、「Neosolue-AquaS(商品名)」等が挙げられる。
【0047】
本発明の皮膚清拭用組成物における(B)成分の含有量としては特に限定されないが、例えば0.1重量%以上が挙げられる。皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、べたつき抑制性、及び/又は洗浄力をより一層良好に得る観点から、(B)成分の含有量としては好ましくは0.5重量%以上が挙げられる。(B)成分の含有量の範囲の上限は特に限定されないが、皮膚清拭用組成物の安定性等の観点から、例えば5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下が挙げられる。
【0048】
本発明の皮膚清拭用組成物において、(A)成分と(B)成分との比率は特に限定されず、上記の各含有量により定まるが、皮膚刺激低減性、保湿不足抑制性、べたつき抑制性、及び/又は洗浄力をより良好に得る観点から、(A)成分1重量部に対して(B)成分が例えば0.1~100重量部、好ましくは0.1~20重量部、より好ましくは0.1~10重量部、更に好ましくは0.1~5重量部、特に好ましくは0.1~3重量部が挙げられる。
【0049】
他の成分
本発明の皮膚清拭用組成物には、前記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、製剤化等に必要とされる他の基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水、炭素数1~5の低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、及び多価アルコール(エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール(1,3-BG)、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)等の水性基剤;防腐剤(フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8-シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、粘稠剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、架橋型アクリル酸重合体、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム(クエン酸三ナトリウム)、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、湿潤剤(dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D-ソルビトール液、マクロゴール等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、DL-アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。これらの基材や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの基材や添加剤の含有量は、製剤形態等に応じて適宜設定することができる。
【0050】
本発明の皮膚清拭用組成物には、前記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、ビタミン類(ビタミンA類、ビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB5類、ビタミンB6類、ビタミンB12類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンK類、ナイアシン類、葉酸、ビオチン、リコペン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等)、局所麻酔剤(プロカイン、テトラカイン、ブピバカイン、メピバカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ水、ハッカ油等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸、カチオン化ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ジヒドロキシプロピルトリモニウム等)等)等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの薬理成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0051】
形態
本発明の皮膚清拭用組成物の形態については特に制限されず、液状、クリーム状、ジェル状等が挙げられるが、好ましくは常温で液状又はジェル状である。本発明の皮膚清拭用組成物が液状又はジェル状である場合の粘度としては、20℃において10000mPa・s以下、好ましくは5000mPa・s以下が挙げられる。なお、粘度は、BL粘度計(ロ-ターNo3、6rpm、20℃)によって測定される値である。
【0052】
本発明の皮膚清拭用組成物は、皮膚清拭用組成物が清拭具に含浸させられた形態であってもよい。清拭具としては、本発明の皮膚清拭用組成物を含浸させることが可能な吸収性基材であれば特に制限されない。具体的には、繊維基材が挙げられる。繊維基材としては、織布及び不織布のいずれであってもよい。
【0053】
繊維基材の材料としては、植物又は動物由来の天然繊維及び化学繊維が挙げられる。植物由来の天然繊維としては、綿、パルプ等が挙げられ、動物由来の天然繊維としては、シルク、キチン、コラーゲン繊維等が挙げられる。化学繊維としては、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリルが挙げられる。これらの繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの繊維基材の材料は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)で強化されていてもよい。
【0054】
本発明の皮膚清拭用組成物が清拭具に含浸させられた形態である場合、本発明の皮膚清拭用組成物を含浸した清拭具は、適当な容器に収容される。容器としては特に制限されず、包装袋、箱状容器等が挙げられる。
【0055】
用途
本発明の皮膚清拭用組成物は、皮膚の油脂や、汗等の体液といった汚れを清拭によって除去する(拭き取る)ために用いられるものであり、化粧落とし(クレンジング)として用いられるものではない。本発明の皮膚清拭用組成物は、洗浄力に優れているため、入浴やシャワーの代わりに肌を清拭することで、皮膚を快適に保つことができる。また、本発明の皮膚清拭用組成物は清拭用途に特化しているため清拭後の肌に不可避的に残存するが、べたつき感抑制性にも優れているため、皮膚をより一層快適に保つことができる。
【0056】
更に、本発明の皮膚清拭用組成物は、皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性にも優れているため、清拭後の肌に残存するにも関わらず、肌が敏感な人に適用しても、肌への負担を抑制しながら皮膚を快適に保つことができる。また、入浴やシャワーが制限されている間に複数回清拭することで肌に残存する皮膚清拭用組成物の量が増えたとしても、依然として、べたつき感を抑制し、皮膚刺激が低減されており、保湿不足を抑制することができる。このため、入浴及び/又はシャワーが複数日(例えば2~10日、好ましくは2~7日)制限されている人に対して、入浴やシャワーの代わりに用いることができる。入浴及び/又はシャワーが複数日制限されている人としては、長時間勤務中の人、入院患者、高齢者、災害時の避難者等が挙げられる。
【0057】
本発明の皮膚清拭用組成物はあらゆる身体部位の洗浄を可能にするため、その適用対象部位としては特に制限されず、例えば、手、髪、頭皮、体、顔等が挙げられる。。
【0058】
製造方法
本発明の皮膚清拭用組成物は、前述する(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて配合される他の成分等を混合して、所定の形態に調製することによって製造される。必要に応じ、清拭具に含浸させ、容器に収容した態様で製造することができる。
【実施例】
【0059】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
表1~2に示す組成の皮膚清拭用組成物を調製した。表1~2に示す各成分の詳細は以下の通りである。なお、表1~2に示す皮膚清拭用組成物は液状であり、20℃における粘度(BL粘度計(ブルックフィールド社製B型粘度計)ロ-ターNo3、6rpmによって測定)は、いずれも5000mPa・s以下の範囲にあった。
(A)天然由来界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤
・リゾレシチン(協和発酵バイオ株式会社製「リゾレシチン協和(商品名)」)
・レシチン(日清オイリオ社製「ベイシス LP-20(商品名)」)
・水素添加レシチン(日清オイリオ社製「ベイシス LP-20H(商品名)」)
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製「キラヤ抽出液BG」、サポニン含量5重量%)
・ソープナッツエキスパウダー(一丸ファルコス社製「ソープナッツエキスパウダー(商品名)」、サポニン含量20重量%)
・サーファクチンナトリウム(カネカ社製「カネカ・サーファクチン(商品名)」)
・コカミドプロピルベタイン(川研ファインケミカル株式会社製「ソフタゾリンCPB(商品名)」)
・ココイルグルタミン酸TEA(味の素株式会社製「アミソフトCT-12S(商品名)」)
・ココイルメチルタウリンNa(日油株式会社製「ダイヤポンK-SF(商品名)」)
・N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム(日油株式会社製「ソフティルトAS-L(商品名)」)
・N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム液(20重量%)(旭化成ファインケミカル株式会社製「アミノフォーマー FLDS-L(商品名)」)
(a)他の界面活性剤
・PEG-60水添ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;日光ケミカルズ株式会社製 「NIKKOL HCO-60(商品名)」)
・ラウリン酸ナトリウム(日油株式会社製「ノンサールLN-1(商品名)」
・コカミドDEA(川研ファインケミカル株式会社製「アミゾールCDE-G(商品名)」)
【0061】
調製した皮膚清拭用組成物について、被験者15名が、洗浄力と、べたつき感抑制性と、皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性とについて評価を行った。具体的には、各皮膚清拭用組成物を使い捨てタオル(不織布)に含浸し、被験者が1日1回、7日に亘って体全体を清拭し、1回清拭後(初日使用後)と、7回清拭後(7日連用後)とにおける、洗浄力(汚れ落ち感)、清拭後の肌のベタツキべたつき感抑制性と、皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性とについて、「良い」か「良くない」かについて回答を得た。なお、被験者は、頭髪以外の部位については入浴及びシャワーを行わず、各皮膚清拭用組成物による清拭のみ行った。「良い」の回答数を以下の基準に基づいて分類し、それぞれの特性の評価を行った。結果を表1~2に示す。
【0062】
◎:良いと回答した人数が13人以上
○:良いと回答した人数が9~12人
△:良いと回答した人数が6~8人
×:良いと回答した人数が3~5人
××:良いと回答した人数が2人以下
【0063】
表1~2に示すとおり、天然由来界面活性剤及びアミノ酸系界面活性剤以外の界面活性剤を0.025~2重量%の濃度で含む皮膚清拭用組成物(比較例2~5)では皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性が十分に認められず、天然由来界面活性剤及びアミノ酸系界面活性剤を0.025~2重量%の濃度で含む皮膚清拭用組成物(比較例6~11)では洗浄力が認められず、比較例10の皮膚清拭用組成物ではべたつき感も顕著であった。これに対し、単独では洗浄力及びべたつき感抑制性を示さず皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性もない両親媒性エステル(比較例1)を0.025~2重量%の天然由来界面活性剤及びアミノ酸系界面活性剤とともに含む皮膚清拭用組成物(実施例1~18)では、洗浄力の向上とともに、皮膚刺激低減性及び保湿不足抑制性の向上し、べたつき感抑制性も良好であった。
【0064】
【0065】