(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】パッケージおよびセラミックス基板
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240911BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L23/02 F
(21)【出願番号】P 2022570946
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048716
(87)【国際公開番号】W WO2022137503
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 淳
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-005071(JP,A)
【文献】特開2015-069981(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098455(WO,A1)
【文献】特開2016-225957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体によって封止されることになるキャビティを有し、厚み方向に垂直な平面レイアウトにおいて、前記キャビティを囲む枠体領域と、前記枠体領域に囲まれた周辺領域と、前記周辺領域に囲まれ、固体撮像素子の少なくとも一部が配置されることになる実装領域と、を有するパッケージであって、
前記枠体領域に配置され、前記キャビティを囲み、前記蓋体が取り付けられることになる取付面を有する枠体部と、
セラミックスからなり、前記枠体領域において前記枠体部を支持し、前記周辺領域および前記実装領域において前記キャビティに面する第1面と、前記第1面と反対の第2面と、を有する基板部と、
を備え、
前記第1面は、前記厚み方向に垂直な第1基準面に対して、前記実装領域における第1凹部と、前記周辺領域における第1凸部と、を有しており、前記固体撮像素子は前記第1凹部に沿って湾曲して配置されることになり、
前記第2面は、前記厚み方向に垂直な第2基準面に対して、前記実装領域における第2凸部と、前記周辺領域における第2凹部と、を有している、パッケージ。
【請求項2】
前記第1面の前記第1凹部は、15μm以上の第1深さ寸法を有している、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記第2面の前記第2凸部は、15μm以上の第1高さ寸法を有している、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記第2面の前記第2凹部は、15μm以上の第2深さ寸法を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記第1面の前記第1凸部は、15μm以上の第2高さ寸法を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記厚み方向に関して、前記第2面の前記第2凸部が突出することによって達する位置に比して、前記第2面のうち前記枠体領域における少なくとも一部は、同程度以上に突出した位置に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記基板部は前記実装領域および前記周辺領域において均一な厚みを有している、請求項1から6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
厚み方向に垂直な平面レイアウトにおいて、囲繞領域と、前記囲繞領域に囲まれた周辺領域と、前記周辺領域に囲まれ、
固体撮像素子の少なくとも一部が配置されることになる実装領域と、を有する、枠体部が設けられない板状のセラミックス基板であって、
セラミックスからなり、前記
固体撮像素子に面することになる第1面と、前記第1面と反対の第2面と、を有する基板部と、
を備え、
前記第1面は、前記厚み方向に垂直な第1基準面に対して、前記実装領域における第1凹部と、前記周辺領域における第1凸部と、を有しており、
前記固体撮像素子は前記第1凹部に沿って湾曲して配置されることになり、
前記第2面は、前記厚み方向に垂直な第2基準面に対して、前記実装領域における第2凸部と、前記周辺領域における第2凹部と、を有している、セラミックス基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージおよびセラミックス基板に関し、特に、電子部品用のパッケージおよびセラミックス基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラ、その他の撮像装置には、電荷結合素子(CCD)または相補型・金属・酸化物・半導体(CMOS)などの固体撮像素子が広く用いられている。撮像装置の製造においては、通常、気密封止された固体撮像素子を有する撮像ユニット(例えば、「CMOS/CCDパッケージ」と称される電子部品)がまず準備され、そして撮像ユニットが撮像装置へ搭載される。当該ユニットは、典型的には、固体撮像素子と、固体撮像素子を収容するキャビティを有するセラミックスパッケージと、当該キャビティを封止する蓋体とを有している。
【0003】
特開2012-28620号公報(特許文献1)は固体撮像装置を開示している。固体撮像装置は、配線基板と、上記配線基板上に実装されており、上記配線基板と電気的に接続するための電極部を有する固体撮像素子と、上記固体撮像素子の受光部の周囲に形成された接着部と、上記受光部と対向するとともに受光部との間に空隙が形成されるように接着部を介して接着された透光性蓋部と、を有している。上記電極部は、上記接着部よりも外側に配置されている。上記固体撮像素子は、上記接着部よりも内側の領域が配線基板側に湾曲している。上記電極部が形成された領域が平坦である。上記配線基板における固体撮像素子の実装面に、凹部が形成されている。上記接着部よりも内側の領域が、上記凹部に沿って湾曲している。上記固体撮像素子の受光面を平面視したとき、上記受光部が上記凹部に内接し、上記接着部が上記凹部に外接している。
【0004】
上記特許文献1によれば、固体撮像素子の受光部の周囲には、固体撮像素子と透光性蓋部とを接着する接着部が形成されている。さらに、固体撮像素子の接着部よりも内側の領域が配線基板側に湾曲し、湾曲部となっている。これにより、撮像された画像の四隅に生じる不具合(ピンぼけ、またはシェーディングなど)を緩和することができる。
【0005】
国際公開第2016/098455号(特許文献2)は電子部品実装用パッケージを開示している。電子部品用パッケージは、一主面および他主面と、前記一主面に設けられ、縦断面視で弧状の凹部とを有する基体と、前記凹部に設けられ、湾曲した曲状電子部品が実装される曲状電子部品実装部とを有している。前記基体は、前記一主面の側から平面透視したときに、前記曲状電子部品実装部と重なるように前記他主面に切り欠きを有している。
【0006】
一般的に、曲状電子部品実装部が弧状の凹部となっていることで、曲状電子部品実装部と曲状電子部品実装部の周囲の平坦部との熱膨張または熱収縮における挙動、または応力の方向が異なっている。そのため、曲状電子部品実装部と曲状電子部品実装部の周囲の平坦部との境目にストレスがかかり、基体の変形、クラック、または割れの発生が懸念されている。上記特許文献2の主張によれば、電子部品実装用パッケージが熱膨張または熱収縮を起こした場合においても、切り欠きを有することで、曲状電子部品実装部からの熱膨張または熱収縮の応力を緩和、吸収させることが可能となる。よって、曲状電子部品実装部とその周囲の平坦部との境目にかかるストレスを低減させ、基体の変形、クラック、または割れを低減させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-28620号公報
【文献】国際公開第2016/098455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたパッケージにおいては、基体(基板部)の厚みが切り欠きにおいて過度に薄くなり得る。よって、熱膨張収縮に起因しての基板部の反りが懸念される。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板部の内部応力を緩和しつつ、電子部品の位置ずれを抑制することができる、パッケージおよびセラミックス基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の態様に従うパッケージは、蓋体によって封止されることになるキャビティを有しており、厚み方向に垂直な平面レイアウトにおいて、キャビティを囲む枠体領域と、枠体領域に囲まれた周辺領域と、周辺領域に囲まれ、電子部品の少なくとも一部が配置されることになる実装領域と、を有している。パッケージは、枠体部と、基板部とを有している。枠体部は、枠体領域に配置されており、キャビティを囲んでおり、蓋体が取り付けられることになる取付面を有している。基板部は、セラミックスからなり、枠体領域において枠体部を支持しており、周辺領域および実装領域においてキャビティに面する第1面と、第1面と反対の第2面と、を有している。第1面は、厚み方向に垂直な第1基準面に対して、実装領域における第1凹部と、周辺領域における第1凸部と、を有している。第2面は、厚み方向に垂直な第2基準面に対して、実装領域における第2凸部と、周辺領域における第2凹部と、を有している。
【0011】
第1面の第1凹部は、15μm以上の第1深さ寸法を有していてよい。第2面の第2凸部は、15μm以上の第1高さ寸法を有していてよい。第2面の第2凹部は、15μm以上の第2深さ寸法を有していてよい。第1面の第1凸部は、15μm以上の第2高さ寸法を有していてよい。
【0012】
厚み方向に関して、第2面の第2凸部が突出することによって達する位置に比して、第2面のうち枠体領域における少なくとも一部は、同程度以上に突出した位置に配置されていてよい。
【0013】
基板部は実装領域および周辺領域において均一な厚みを有していてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の態様によれば、実装領域における第1面の第1凹部上で電子部品を支持することができる。さらに、周辺領域において第2面が第2凹部を有することによって、基板部の内部応力を緩和することができる。さらに、基板部の厚みに関して、第1凹部および第2凹部のそれぞれの影響を、第2凸部および第1凸部が、少なくともある程度相殺する。これにより、基板部が局所的に過度に薄い部分を有することが避けられる。よって、熱膨張収縮に起因しての、過度に薄い部分での基板部の反りが抑制される。よって、反りに起因しての電子部品の位置ずれを抑制することができる。以上から、基板部の内部応力を緩和しつつ、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
【0015】
厚み方向に関して、第2面の第2凸部が突出することによって達する位置に比して、第2面のうち枠体領域における少なくとも一部は、同程度以上に突出した位置に配置されていてよい。この場合、パッケージが他の部材上に搭載される際に、第2面の枠体領域が、第2面の第2凸部によって阻害されることなく安定的に支持される。
【0016】
基板部は実装領域および周辺領域において均一な厚みを有していてよい。この場合、熱膨張収縮に起因しての基板部の反りを、より十分に抑制することができる。
【0017】
この発明の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態における電子装置の構成を概略的に示す模式図である。
【
図2】
図1の電子装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図2の電子装置が有するパッケージの構成を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図3のパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
【
図5】
図4のパッケージが有する基板部の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、
図2~
図5において、図面間での方向の関係を理解しやすくするために、XYZ直交座標系が示されている。
【0020】
図1は、本実施の形態における電子装置900の構成を概略的に示す模式図である。電子装置900(
図1)は、キャビティCVを有するパッケージ800と、キャビティCV内に封止された電子部品902と、ボンディングワイヤ901(接続部材)と、蓋体907とを含む。なお変形例として、ボンディングワイヤ901と共に、またはそれに代わって、他の接続部材が用いられてもよい。
【0021】
電子部品902は固体撮像素子であってよい。固体撮像素子は、例えば、
図1に示されているようにCMOSである。一眼レフ、一部の監視用カメラ、および産業用カメラ等に求められるような大きな撮像部を有する固体撮像素子としては、一般に、CMOSが特に優れている。
【0022】
蓋体907は、枠体部820の取付面SF上に取り付けられており、これによりパッケージ800のキャビティCVが封止されている。この取付は、例えば、接着層906を用いて行われてよい。接着層906は、例えば、樹脂接着剤からなる。電子部品902が固体撮像素子である場合、蓋体907の少なくとも一部は、撮像される光に関して実質的に透明であり、典型的には蓋体907の全体が、撮像される光に関して実質的に透明である。
【0023】
パッケージ800には、キャビティCV内に設けられた内部端子831と、キャビティCV外に設けられた外部端子832と、内部端子831と外部端子832とを互いに接続する貫通配線830と、を有している。当該接続を得るために、貫通配線830はパッケージ800をキャビティCV内とキャビティCV外との間で貫通している。電子部品902は電極端子902Pを有している。ボンディングワイヤ901は、パッケージ800の内部端子831と、電子部品902の電極端子902Pと、を互いに接続している。
【0024】
図2は、本実施の形態における電子装置900の構成を概略的に示す断面図である。
図3および
図4のそれぞれは、電子装置900(
図2)が有するパッケージ800の構成を概略的に示す断面図および平面図であり、
図3の断面は線III-III(
図4)に沿っている。
図5は、パッケージ800(
図4)が有する基板部810の構成を概略的に示す平面図である。
【0025】
パッケージ800は、蓋体907によって封止されることになるキャビティCVを有している。パッケージ800は、厚み方向(Z方向)に垂直な平面レイアウト(XY面レイアウト)において、キャビティCVを囲む枠体領域R3と、枠体領域R3に囲まれた周辺領域R2と、周辺領域R2に囲まれた実装領域R1とを有している。パッケージ800は、枠体部820と、セラミックスからなる基板部810とを有している。枠体部820もセラミックスからなっていてよく、その場合、基板部810と枠体部820との境界は、仮想的なものであってよい。枠体部820の材料は特に限定されず、セラミックス、樹脂、金属、またはこれらの2つ以上の複合材料であってよい。なお、
図2以降においては、貫通配線830(
図1)、内部端子831(
図1)、および外部端子832(
図1)の図示は省略されている。貫通配線830(
図1)は、基板部810および枠体部820を含む構成を貫通しており、例えば、内部電極層およびビア配線の少なくともいずれかによって構成され得る。
【0026】
枠体部820は、枠体領域R3に配置されており、キャビティCVを囲んでいる。枠体部820は、蓋体907が取り付けられることになる取付面SFを有している。
【0027】
基板部810は、枠体領域R3において枠体部820を支持している。基板部810は、周辺領域R2および実装領域R1においてキャビティCVに面する第1面S1と、第1面S1と反対の第2面S2と、を有している。
【0028】
実装領域R1は、電子部品902の少なくとも一部が配置されることになる領域である。
図2に示された例においては、電子部品902は、実装領域R1と、周辺領域R2の一部と、にわたって配置されている。
【0029】
電子部品902(
図2)は、基板部810の第1面S1(
図3)上に取り付けられることになる。この取付は、例えば、接着層(図示せず)を用いて行われてよい。当該接着層は、例えば、樹脂接着剤からなる。電子部品902の電極端子902P(
図2において不図示、
図1参照)と、パッケージ800の内部端子831(
図2において不図示、
図1参照)とは、ボンディングワイヤ901(
図2)によって接続される。
図2に示された例においては、パッケージ800の内部端子831(
図2において不図示、
図1参照)は、枠体部820に設けられた段部SB上に配置されている。段部SBは、厚み方向(Z方向)における枠体部820の途中部分に設けられている。
【0030】
電子部品902の平面レイアウト(XY面レイアウト)は、10mm以上の長辺を有する長方形を包含するサイズを有していてよく、例えば、10mm以上の辺を有する正方形を包含するサイズを有している。電子部品902が固体撮像素子の場合、撮像性能上、上記のように比較的大きなサイズがしばしば必要とされる。ただし、電子部品902のサイズおよび種類は、特に限定されるものではない。このような、電子部品902の典型的な大きさに対応して、周辺領域R2の外縁は、10mm以上の長辺を有する長方形を包含する大きさを有していることが好ましい。例えば、周辺領域R2の外縁は、10mm以上の長辺を有する長方形である。当該外縁は、10mm以上の辺を有する正方形を包含する大きさを有していてもよい。なお正方形は、幾何学における定義上、長方形の一種である。
【0031】
図3を参照して、第1面S1は、第1基準面PL1に対して、実装領域R1における第1凹部C1と、周辺領域R2における第1凸部V1と、を有している。第2面S2は、第2基準面PL2に対して、実装領域R1における第2凸部V2と、周辺領域R2における第2凹部C2と、を有している。第1基準面PL1および第2基準面PL2の各々は、厚み方向(Z方向)にほぼ垂直である。言い換えれば、第1基準面PL1および第2基準面PL2の各々は、水平面(XY面)にほぼ平行である。第1凹部C1および第1凸部V1の各々は、第1基準面PL1に達する一方端および他方端(図中、左端および右端)を有している。また、第2凸部V2および第2凹部C2の各々は、第2基準面PL2に達する一方端および他方端(図中、左端および右端)を有している。平面レイアウト(XY面レイアウト)において、第1凹部C1は、第2凸部V2と少なくとも部分的に重なっており、好ましくは包含されている。平面レイアウト(XY面レイアウト)において、第2凹部C2は、第1凸部V1と少なくとも部分的に重なっており、好ましくは包含されている。
【0032】
第1基準面PL1は、実装領域R1と周辺領域R2とにおける第1面S1ついての近似平面に平行な面である。当該近似平面は、実装領域R1および周辺領域R2における第1面S1の表面プロファイルへ平面をフィッテイングすることによって算出されてよい。表面プロファイルの測定は光学的に行われてよい。なお、第1基準面PL1の高さ位置(Z方向における位置)は、上述した第1凹部C1および第1凸部V1が定義可能となるように適宜選択されてよい。
【0033】
第2基準面PL2は、実装領域R1と周辺領域R2と枠体領域R3とにおける第2面S2についての近似平面に平行な面である。当該近似平面は、実装領域R1と周辺領域R2と枠体領域R3とにおける第2面S2の表面プロファイルへ平面をフィッテイングすることによって算出されてよい。表面プロファイルの測定は光学的に行われてよい。なお、第2基準面PL2の高さ位置(Z方向における位置)は、上述した第2凹部C2および第2凸部V2が定義可能となるように適宜選択されてよい。
【0034】
基板部810は、第1凹部C1、第1凸部V1、第2凸部V2および第2凹部C2を、線CS1~CS3(
図5)の少なくともいずれかに沿った表面プロファイルにおいて有している。
図5に示された例においては、平面レイアウト(XY面レイアウト)において基板部810は長方形の形状を有しており、線CS1は長辺に平行であり、線CS2は短辺に平行であり、線CS3は対角線に平行である。線CS1~CS3の各々は上記長方形の中心を通っていることが好ましい。好ましくは、基板部810は、第1凹部C1、第1凸部V1、第2凸部V2および第2凹部C2を、少なくとも線CS1および線CS3の少なくともいずれかに沿った表面プロファイルにおいて有している。基板部810が、第1凹部C1、第1凸部V1、第2凸部V2および第2凹部C2を、線CS1に沿った表面プロファイルにおいて有している構成は、長辺方向に沿っての応力緩和に適している。基板部810が、第1凹部C1、第1凸部V1、第2凸部V2および第2凹部C2を、線CS2に沿った表面プロファイルにおいて有している構成は、短辺方向に沿っての応力緩和に適している。基板部810が、第1凹部C1、第1凸部V1、第2凸部V2および第2凹部C2を、線CS3に沿った表面プロファイルにおいて有している構成は、対角線方向に沿っての応力緩和に適している。なお、平面レイアウト(XY面レイアウト)において基板部810が正方形の形状を有している場合、上記説明は、長辺を一辺と読み替えて解される。
【0035】
第1面S1の第1凹部C1は、15μm以上の第1深さ寸法を有している。第2面S2の第2凸部V2は、15μm以上の第1高さ寸法を有している。第2面S2の第2凹部C2は、15μm以上の第2深さ寸法を有している。第1面S1の第1凸部V1は、15μm以上の第2高さ寸法を有している。第1面S1の第1凹部C1は、80μm以下の第1深さ寸法を有していることが好ましい。第2面S2の第2凸部V2は、80μm以下の第1高さ寸法を有していることが好ましい。第2面S2の第2凹部C2は、80μm以下の第2深さ寸法を有していることが好ましい。第1面S1の第1凸部V1は、80μm以下の第2高さ寸法を有していることが好ましい。
【0036】
厚み方向(Z方向)に関して、第2面S2の第2凸部V2が突出することによって達する位置に比して、第2面S2のうち枠体領域R3における少なくとも一部は、同程度以上に突出した位置に配置されていることが好ましい。言い換えれば、Z方向(
図3における縦方向)に関して、第2面S2の第2凸部V2が-Z方向(
図3における下方向)へ突出することによって達する位置に比して、第2面S2のうち枠体領域R3における少なくとも一部は、同程度以上に突出した位置に配置されていることが好ましい。
【0037】
特に
図3に例示された構成においては、厚み方向(Z方向)に関して、第2面S2の第2凸部V2が突出することによって達する位置を基準として、第2面S2は枠体領域R3において、同程度に突出した位置に配置された部分を有しており、かつ、より突出した位置に配置された部分は有していない。具体的には、第2面S2の第2凸部V2が突出することによって達する位置を基準として、第2面S2は枠体領域R3において、同程度に突出した位置に配置された面からなり、この面は水平面であってよい。
【0038】
なお、
図3の構成の変形例として、厚み方向(Z方向)に関して、第2面S2の第2凸部V2が突出することによって達する位置に比して、第2面S2のうち枠体領域R3における少なくとも一部は、より突出した位置に配置されていてよい。言い換えれば、Z方向(
図3における縦方向)に関して、第2面S2の第2凸部V2が-Z方向(
図3における下方向)へ突出することによって達する位置に比して、第2面S2のうち枠体領域R3における少なくとも一部は、より突出した位置に配置されていてよい。
【0039】
基板部810の厚みは、例えば1mm程度である。基板部810は、上記のように第1凹部C1、第1凸部V1、第2凸部V2および第2凹部C2が見られる断面位置で、実装領域R1および周辺領域R2において均一な厚みを有していてよい。この場合、厚み方向(Z方向)における第1基準面PL1と第2基準面PL2との間の距離が上記の均一な厚みと同じになるように、第1基準面PL1と第2基準面PL2とを定義することができる。当該定義の下、平面レイアウト(XY面レイアウト)において、第1凹部C1と第2凹部C2とは、互いに重ならないように配置されていることが好ましい。なお本明細書において、「均一な厚み」の文言は、セラミックス部品の製造における通常のばらつきを勘案して、±5%の厚み分布を許容するものとして定義される。基板部810の厚み測定は、マイクロメーターを用いて行われてよい。
【0040】
本実施の形態によれば、
図3を参照して、実装領域R1における第1面S1の第1凹部C1上で電子部品902を支持することができる。さらに、周辺領域R2において第2面S2が第2凹部C2を有することによって、基板部810の内部応力を緩和することができる。さらに、基板部810の厚みに関して、第1凹部C1および第2凹部C2のそれぞれの影響を、第2凸部V2および第1凸部V1が、少なくともある程度相殺する。これにより、基板部810が局所的に過度に薄い部分を有することが避けられる。よって、熱膨張収縮に起因しての、過度に薄い部分での基板部810の反りが抑制される。よって、反りに起因しての電子部品902の位置ずれを抑制することができる。以上から、基板部810の内部応力を緩和しつつ、電子部品902の位置ずれを抑制することができる。特に、電子部品902が固体撮像素子の場合、このような位置ずれは光学的に好ましくない。
【0041】
厚み方向(Z方向)に関して、第2面S2の第2凸部V2が突出することによって達する位置に比して、第2面S2のうち枠体領域R3における少なくとも一部は、同程度以上に突出した位置に配置されていてよい。この場合、パッケージ800が他の部材上に搭載される際に、第2面S2の枠体領域R3が、第2面S2の第2凸部V2によって阻害されることなく安定的に支持される。
【0042】
基板部810は実装領域R1および周辺領域R2において均一な厚みを有していてよい。この場合、熱膨張収縮に起因しての基板部810の反りを、より十分に抑制することができる。また、基板部810を形成する工程が簡素化される。
【0043】
なお上記の実施の形態においては、基板部810および枠体部820の両方を有するパッケージ800(
図3)について詳述したが、変形例として、電子部品用のセラミックス基板を、枠体部820なしに基板部810が構成してよい。この場合、枠体領域R3には枠体部820が設けられないので、枠体領域は、周辺領域を囲む囲繞領域として理解される。当該セラミックス基板によっても、上記の実施の形態において説明された理由により、内部応力を緩和しつつ、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
【0044】
上述した実施の形態および変形例は、互いに自由に組み合わされてよい。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0045】
800 :パッケージ
810 :基板部
820 :枠体部
830 :貫通配線
831 :内部端子
832 :外部端子
900 :電子装置
901 :ボンディングワイヤ
902 :電子部品
902P :電極端子
906 :接着層
907 :蓋体
C1 :第1凹部
C2 :第2凹部
CV :キャビティ
PL1 :第1基準面
PL2 :第2基準面
R1 :実装領域
R2 :周辺領域
R3 :枠体領域
S1 :第1面
S2 :第2面
SB :段部
SF :取付面
V1 :第1凸部
V2 :第2凸部