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特許7554384チオール官能性の表面配位子を有する半電導性発光ナノ粒子を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】チオール官能性の表面配位子を有する半電導性発光ナノ粒子を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/08 20060101AFI20240912BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20240912BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20240912BHJP
   C01B 25/08 20060101ALI20240912BHJP
   C08K 3/105 20180101ALI20240912BHJP
   C08K 3/11 20180101ALI20240912BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20240912BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20240912BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20240912BHJP
   C09K 11/70 20060101ALI20240912BHJP
   C09K 11/88 20060101ALI20240912BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240912BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240912BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C09K11/08 G
B82Y20/00
B82Y30/00
C01B25/08 A
C08K3/105
C08K3/11
C08L33/08
C08L33/10
C08L71/00 Z
C09K11/70 ZYW
C09K11/88
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019567741
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2018064684
(87)【国際公開番号】W WO2018224459
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】17175028.4
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】平山裕樹
(72)【発明者】
【氏名】岸本匡史
(72)【発明者】
【氏名】後藤智久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木成嘉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木照晃
【合議体】
【審判長】光本 美奈子
【審判官】村守 宏文
【審判官】弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-513508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007169(US,A1)
【文献】Ou Chen, et al., Nature Materials Author manuscript, 2014年, ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3677691/nihms467025.pdf, DOI: 10.1038/nmat3539
【文献】Mehriban Ulusoy, et al., Bioconjugate Chemistry, 2016年, 27, 414-426, https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.bioconjchem.5b00491, DOI: 10.1021/acs.bioconjchem.5b00491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11/00-11/89
H01L33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコア、任意に1つ以上のシェル層を含む、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、第1の材料、および第2の材料を含み、
コアが周期表の13族の1つの元素、および周期表の15族の1つの元素を含み、
第1の材料が、以下の化学式(I);
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化1】

【化2】

であり、ここで「#」は、Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である
で表されおよび
第2の材料が、有機発光材料、無機発光材料、電子輸送有機材料などの電荷輸送材料、散乱粒子、半電導性無機材料、およびマトリックス材料からなる群の1つ以上の要素から選択され、マトリックス材料が、ポリ-(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラートモノマー、ケイ素ポリマー、エポキシポリマーからなる群の1つ以上の要素から選択される組成物。
【請求項2】
第2の材料が、ポリ-(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラートモノマー、ケイ素ポリマー、エポキシポリマーからなる群の1つ以上の要素から選択されるマトリックス材料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
13族の元素はInであり、および15族の元素はPであり、より好ましくは、コアがInP、InPZn、InPZnS、およびInGaPからなる群から選択される、を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
シェル層の少なくとも1つが、周期表の12族の第1の元素、好ましくは第1の元素は、ZnまたはCdである、および、
周期表の16族の第2の元素、好ましくは第2の元素は、S、Se、またはTeである、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのシェル層が、以下の式(II)
ZnSSeTez、-(II)
式中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1である、で表される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
半電導性発光ナノ粒子の該シェル層がダブルシェル層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、少なくとも1つの追加の材料、好ましくは追加の材料は、有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、散乱粒子、光透過性ポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、重合開始剤、および追加の配位子からなる群から選択される、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
半電導性発光ナノ粒子の総量が、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは5wt.%から70wt.%まで、より好ましくは20wt.%から50wt.%までの範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物、
および
少なくとも1つの溶媒、好ましくはそれは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;メチルセロソルブアセタートおよびエチルセロソルブアセタートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、およびグリセリンなどのアルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナートおよびエチルラクタートなどのエステル;およびガンマブチロラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素からなる群の1つ以上の要素から選択され、好ましくは該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルであり、好ましくは溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)などのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ブチルアセタートなどのアルキルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシプロパノールなどのプロピレングリコールまたはプロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群の1つ以上の要素から選択され、より好ましくは溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタートから選択される、を含む配合物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物、または請求項10に記載の配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、バイオメディカルデバイスにおける、または、電子デバイス、光学デバイスまたはバイオメディカルデバイスを作製するための使用。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の該組成物、または請求項10に記載の配合物を少なくとも含む光学媒体。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を含む少なくとも1つの発光ナノ粒子を含む少なくとも1つの有機層を含む光学媒体であって、好ましくは、該1つの有機層は、発光層(light emitting layer)であり、より好ましくは、媒体は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、および電子注入層からなる群から選択される1つ以上の層をさらに含む、前記光学媒体。
【請求項14】
有機層が、少なくとも1つの発光ナノ粒子および請求項13に記載の第1の材料、およびホスト材料、好ましくはホスト材料は有機ホスト材料である、を含む請求項13に記載の光学媒体。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの光学媒体を含む光学デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、半電導性発光ナノ粒子を含む組成物、配合物、組成物の使用、配合物の使用、光学媒体、および光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
コアおよび少なくとも1つの配位子を含む半電導性発光ナノ粒子、および半電導性発光ナノ粒子を含む組成物は、先行技術文献において知られている。
例えば、J. Am. Chem. Soc. 9804、132、2010 に、ビス(DHLA)-PEG-OCHでキャップされたCdSe/ZnSおよびCdSe/CdZnS/ZnS QDが開示される。
J. Am. Chem. Soc. 739、126、2004に、キモトリプシン(ChT)の認識のための、チオアルキルおよびチオアルキル化されたオリゴ(エチレングリコール)配位子を有するCsSeナノ粒子が開示される。
および、Zn-DDT(1-ドデンカンチオール)ポリマーを有するQDビーズが、US 2016/0289552 A1に公開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
1.US 2016-0289552 A1
【非特許文献】
【0004】
2.J. Am. Chem. Soc. 9804、132、2010
3.J. Am. Chem. Soc. 739、126、2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、以下に列挙されるとおり、改善が所望される1つ以上の重大な問題がなおあることを新しく見出した。
【0006】
1.組成物または配合物において半電導性発光ナノ粒子の改善された分散性を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物が所望される。
2.組成物または配合物において半電導性発光ナノ粒子の改善された初期量子収率を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物が要求される。
【0007】
3.組成物または配合物において半電導性発光ナノ粒子の長期間安定性および安定な量子収率を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物が要求される。
4.励起波長でより高い光学密度(「OD」)を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物が所望される。
5.より高い濃度で半電導性発光ナノ粒子のよりよい分散性を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述の問題1~5の1つ以上を解決することを目指した。
次いで、第1の材料が、以下の化学式(I)、
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化1】

【化2】

であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0009】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0010】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0011】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される、少なくとも1つのコア、任意に1つ以上のシェル層、第1の材料、および第2の材料を含む、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子を含む、本質的にからなる、またはからなる新規の組成物が、見いだされた。
【0012】
別の側面において、本発明はまた、本発明の組成物、
および
少なくとも1つの溶媒、好ましくはそれは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;メチルセロソルブアセタートおよびエチルセロソルブアセタートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、およびグリセリンなどのアルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナートおよびエチルラクタートなどのエステル;およびガンマブチロラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素からなる群の1つ以上の要素から選択され、好ましくは該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルであり、好ましくは溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)などのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ブチルアセタートなどのアルキルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、またはメトキシプロパノールなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群の1つ以上の要素から選択され、より好ましくは溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタートから選択される、を少なくとも含む新規の配合物に関する。
【0013】
別の側面において、本発明はまた、第1の材料が、以下の化学式(I)、
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【0014】
【化3】

【化4】
【0015】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0016】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0017】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、で表される、コア、任意に1つ以上のシェル層、少なくとも1つの第1の材料、好ましくは第1の材料は、配位子として、コアの表面またはシェル層の最も外の表面に置かれる、
および
【0018】
少なくとも1つの溶媒、好ましくはそれは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;
【0019】
メチルセロソルブアセタートおよびエチルセロソルブアセタートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、およびグリセリンなどのアルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナートおよびエチルラクタートなどのエステル;およびガンマブチロラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素からなる群の1つ以上の要素から選択され、
【0020】
好ましくは該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルであり、好ましくは溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)などのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ブチルアセタートなどのアルキルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、またはメトキシプロパノールなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群の1つ以上の要素から選択され、より好ましくは溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタートから選択される、を含む、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子を含む新規の配合物にも関する。
【0021】
別の側面において、本発明は、組成物または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、バイオメディカルデバイスにおける、または、電子デバイス、光学デバイスまたはバイオメディカルデバイスを作製するための使用に関する。
【0022】
別の側面において、本発明はさらには、該組成物または配合物を含む光学媒体に関する。
【0023】
別の側面において、本発明はまた、第1の材料が、以下の化学式(I)、
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化5】

【化6】
【0024】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0025】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0026】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0027】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される、アノードおよびカソード、およびコア、任意に1つ以上のシェル層、および第1の材料を含む少なくとも1つの発光ナノ粒子を含む少なくとも1つの有機層を少なくとも含む光学媒体、または請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物にも関し、好ましくは、該1つの有機層は、発光層(light emitting layer)であり、より好ましくは、媒体は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、および電子注入層からなる群から選択される1つ以上の層をさらに含む。
【0028】
別の側面において、本発明はさらにまたは、本発明の少なくとも1つの光学媒体を含む光学デバイスにも関する。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明に従って、一態様において、組成物は、第1の材料が、以下の化学式(I)、
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化7】

【化8】

であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0030】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり;
【0031】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり;
または
【0032】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される、コア、任意に1つ以上のシェル層、第1の材料、および第2の材料を少なくとも含む、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子を含む、本質的にからなる、またはからなる。
【0033】
好ましくは、化学式(I)で表される該第1の材料は、半電導性発光ナノ粒子の配位子として、コアの表面またはシェル層の最も外の表面に置かれる。
好ましくは、該組成物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0034】
-第2の材料
本発明のいくつかの態様において、第2の材料は、有機発光材料、無機発光材料、電子輸送有機材料などの電荷輸送材料、散乱粒子、ホスト材料、半電導性無機材料、およびマトリックス材料からなる群の1つ以上の要素から選択され、好ましくは該マトリックス材料は、ポリ-(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラートモノマー、ケイ素ポリマー、エポキシポリマーからなる群の1つ以上の要素から選択され、好ましくは該マトリックス第1の材料は、アクリラートモノマー、メタアクリラートモノマー、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラート、またはその混合物であり、より好ましくはマトリックス材料が、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラートまたはその混合物である。
【0035】
本発明の好ましい態様において、該第2の材料は、ポリ-(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラートモノマー、ケイ素ポリマー、エポキシポリマーからなる群の1つ以上の要素から選択されるマトリックス材料であり、好ましくは該マトリックス材料は、アクリラートモノマー、メタアクリラートモノマー、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラート、またはその混合物であり、より好ましくはマトリックス材料は、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラートまたはその混合物である。
【0036】
したがって、本発明のいくつかの態様において、組成物は、配位子が、以下の化学式(I)、
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは付着基は、1つまたは2つのチオール基を含み、より好ましくは、それは、
【化9】

である、または好ましくは該付着基は、
【化10】

であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0037】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0038】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0039】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
式中nは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される、コア、任意に1つ以上のシェル層、およびコアの表面またはシェル層の最も外の表面に置かれる第1の材料として少なくとも1つの配位子を少なくとも含む半電導性発光ナノ粒子、
および
【0040】
ポリ-(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラートモノマー、ケイ素ポリマー、エポキシポリマーからなる群の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つのマトリックス材料、好ましくは該マトリックス材料は、アクリラートモノマー、メタアクリラートモノマー、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラート、またはその混合物であり、より好ましくはマトリックス材料は、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラートまたはその混合物である、を含む、本質的にからなる、またはからなる。
【0041】
-マトリックス材料
本発明に従って、いくつかの態様において、組成物は、ポリ-(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラートモノマー、ケイ素ポリマー、エポキシポリマーからなる群の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つのマトリックス材料を含み、好ましくは該マトリックス材料は、アクリラートモノマー、メタアクリラートモノマー、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラート、またはその混合物であり、より好ましくはマトリックス材料は、ポリ-アクリラート、ポリ-メタアクリラートまたはその混合物である。
【0042】
本発明のいくつかの態様において、マトリックス材料は、ポリ-(メタ)アクリラートおよび/または(メタ)アクリラートモノマーを含む。
本発明に従って、用語「ポリ-(メタ)アクリラート」は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリラート、メタアクリラート、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるモノマーの重合により得られたポリマーの一般的な用語を意味する。
【0043】
好ましくは、ポリ-(メタ)アクリラートは、ポリ-アクリラート、またはポリ-メタアクリラートである。および好ましくは、(メタ)アクリラートモノマーは、アクリラートモノマーまたはメタアクリラートモノマーである。
本発明のポリ-(メタ)アクリラートは、上に記載されない別のモノマー単位を、本発明の効果をポリ-(メタ)アクリラートが表す範囲で、さらに含んでもよい。
【0044】
本発明に従って、ポリ-(メタ)アクリラートの重量平均分子量は、具体的には限定されない。
好ましくはそれは、2,000-100,000の範囲であり、より好ましくはそれは、3,000-30,000の範囲である。
ポリ-(メタ)アクリラートとして、公知の1つ以上のポリ-アクリラートまたはポリ-メタアクリラートが使用されてもよい。
【0045】
本発明の好ましい態様において、ポリシロキサンと良好な重合反応を実現するために、酸性基を含有する繰返し単位を包含する、シラン修飾されたポリ-(メタ)アクリラート、ポリ-(メタ)アクリラートが、単一でまたは混合物において使用されてもよい。
シラン修飾されたポリ-(メタ)アクリラートの例として、シロキシ基および/またはシラノール基置換されたポリ-アクリラートまたはポリ-メタアクリラート、炭素-炭素不飽和結合、シリコーンオリゴマー、またはシリコーンオイルを包含するシランカップリング剤と反応したポリアクリラートまたはポリ-メタアクリラートが好ましくは使用されてもよい。
【0046】
理論によって拘束されることは望まないが、シラン修飾されたポリ-(メタ)アクリラートは、ポリシロキサンの改善された溶解性につながり得ることが信じられている。
より好ましくは、シランカップリング剤およびポリ-(メタ)アクリラートから作られるコポリマーが使用され得る。
【0047】
本明細書において、シランカップリング剤の例として、KBM-1003、KME-1003、KBM-1403またはKBM-5103(Shinetsu.Co.から)、およびシリコーンオイルの例として、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-2475、またはX-22-1602(Shinetsu.Co.から)が好ましくは使用され得る。
【0048】
本発明に従って、不飽和結合の数は、具体的には限定されない。よりよい反応性とシロキサンとの相溶性との調和から、(メタ)アクリルポリマーにおける二重結合当量(エチレン性不飽和結合当量)価は、好ましくは10から500g/eqの範囲である。
【0049】
酸性基を含有する繰返し単位を包含する(メタ)アクリルポリマーとして、カルボキシル基、スルホ基、またはフェノールタイプのヒドロキシル基からなる群から選択される側鎖を包含する(メタ)アクリルポリマー。
酸性基を含有する繰返し単位を包含する(メタ)アクリルポリマーは、感光性組成物の非硬化部分の、展開剤(developer)へのよりよい溶解性につながり得ると信じられている。
【0050】
本発明に従って、酸性基の数は、具体的には限定されない。よりよい反応性と感光性組成物の貯蔵安定性との調和から、(メタ)アクリルポリマーの酸価は、好ましくは、1gの(メタ)アクリルポリマーに基づき、KOH50~500mgの範囲である。
【0051】
-第1の材料
本発明に従って、第1の材料、好ましくは半電導性発光ナノ粒子の配位子としては、以下の化学式(I)、
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化11】

【化12】

であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0052】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0053】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0054】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5であり、好ましくは1~3、より好ましくはnは2であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される。
【0055】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは該第1の材料は、半電導性発光ナノ粒子のコアの表面またはシェル層の最も外の表面に配位子として置かれる。
本発明のいくつかの態様において、コアの表面、または半電導性発光ナノ粒子の最も外の表面の1つ以上のシェル層の最も外の表面は、配位子として材料によって部分的にまたは完全に被覆されてもよい。
【0056】
本発明のいくつかの態様において、配位子として化学式(I)で表される少なくとも2つの材料は、コアの表面またはシェル層の最も外の表面に付着され、好ましくは、複数の該配位子は、コアの表面またはシェル層の最も外の表面に付着される。
本発明に従って、いくつかの態様において、該第1の材料の、好ましくは配位子としての含有率は、半電導性発光ナノ粒子の全重量に関して、1%から80重量%までの範囲、より好ましくは20%から70重量%までの範囲、なおより好ましくは、40%から65重量%までの範囲である。
【0057】
本発明の好ましい態様において、第1の材料の、好ましくは配位子としての重量平均分子量(Mw)は、200g/molから30,000g/molまでの範囲、好ましくは250g/molから2,000g/molまでの範囲、より好ましくは400g/molから1,000g/molまでの範囲である。
【0058】
分子量Mwは、ポリスチレン内部標準に対して、GPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)の手段で決定される。
好ましい態様において、好ましくは配位子として、材料は、以下の式(Ia)または(Ib)
【化13】

で表される。
【0059】
より好ましくはZは、-[(CHR-Q)]-R、ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子またはチオール原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは、2であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から700までの、より好ましくは2から350までの、なおよりより好ましくは4から200までの範囲である、である。
【0060】
好ましくはYは、以下の表1の群から選択される。
【表1】

ここで、「*」は基XおよびZへの連結点を表す。
【0061】
公に入手可能なポリエチレングリコール(PEG)チオール、ポリプロピレングリコールチオール、およびその誘導体(例えばSigma-Aldrichから)が、上に記される配位子として好ましくは使用されてもよい。
-半電導性発光ナノ粒子
本発明に従って、用語「半導体」は、室温にて、伝導体(銅など)のそれと絶縁体(ガラスなど)のそれとの間の程度で電気伝導度を有する材料を意味する。好ましくは半導体は、温度に伴い電気伝導度が上昇する材料である。
用語「ナノサイズ」は、0.1nmと999nmとの間、好ましくは1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmにおけるサイズを意味する。
【0062】
かくして、本発明に従って、「半電導性発光ナノ粒子」は、サイズが0.1nmと999nmとの間、好ましくは1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmである、室温にて、伝導体(銅など)のそれと絶縁体(ガラスなど)のそれとの間の程度で電気伝導度を有する発光材料、好ましくは半導体は、温度に伴い電気伝導度は上昇し、およびサイズは0.1nmと999nmとの間、好ましくは0、5nm~150nm、より好ましくは1nm~50nmである材料を意味すると考えられる。
【0063】
本発明に従って、用語「サイズ」は、半電導性ナノサイズ発光粒子の最長軸の平均直径を意味する。
半電導性ナノサイズ発光粒子の平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeにより創られるTEM画像において、100個の半電導性発光ナノ粒子に基づき計算される。
【0064】
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズ材料である。
本発明に従って、用語「量子サイズ」は、配位子も別の表面修飾もなしの半電導性材料それ自体のサイズを意味し、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されるなどの、量子閉じ込め効果を表してもよい。
【0065】
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPZnSe、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InGaP、InGaPZn、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuS、CuSe、CuInS、CuInSe、Cu(ZnSn)S、Cu(InGa)S、TiO合金およびこれらの任意の組み合わせが使用されてもよい。
【0066】
本発明の好ましい態様において、コアは、周期表の13族の1つの元素、および周期表の15族の1つの元素、好ましくは13族の元素はInであり、および15族の元素はPであり、より好ましくは、コアがInP、InPZn、InPZnS、およびInGaPからなる群から選択される、を含む。
【0067】
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子のコアの形状および合成される半電導性発光ナノ粒子の形状のタイプは、具体的には限定されない。
例えば、球状の形状、細長い形状、星形形状、多面体形状、角錐形状、四脚形状、四面体形状、血小板形状、円錐形状、および不規則な形状のコアおよび/または半電導性発光ナノ粒子が合成されてもよい。
【0068】
本発明のいくつかの態様において、コアの平均直径は、1.5nmから3.5nmまでの範囲である。
コアの平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeにより創られるTEM画像において、100個の半電導性発光ナノ粒子に基づき計算される。
【0069】
本発明のいくつかの態様において、シェル層は、周期表の12族の第1の元素および周期表の16族の第2の元素、好ましくは第1の元素はZnまたはCdでありおよび第2の元素はS、Se、またはTeである、を含むまたはからなる。
【0070】
本発明の好ましい態様において、シェル層は、以下の式(II)
ZnSSeTez、-(II)
式(II)中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくはシェル層は、ZnSe、ZnSSe、ZnSeTeまたはZnSTeである、で表される。
本発明のいくつかの態様において、該シェル層は、合金シェル層(alloyed shell layer)または傾斜シェル層(graded shell layer)であり、好ましくは該傾斜シェル層は、ZnSSe、ZnSeTe、またはZnSTeであり、より好ましくはそれは、ZnSSeである。
【0071】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子は、第2のシェル層を該シェル層にさらに含み、好ましくは第2のシェル層は、周期表の12族の第3の元素および周期表の16族の第4の元素を含むまたはからなり、より好ましくは、第3の元素はZnでありおよび第4の元素はS、Se、またはTeであり、ただし第4の元素と第2の元素とは同じではない。
【0072】
本発明の好ましい態様において、第2のシェル層は、以下の式(II’)
ZnSSeTez、 (II’)
式(II’)中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1であり、好ましくはシェル層はZnSe、ZnSSe、ZnSeTe、またはZnSTeであり、ただしシェル層と第2のシェル層とは同じではない。
【0073】
本発明のいくつかの態様において、該第2のシェル層は、合金シェル層(alloyed shell layer)でもよい。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子は、マルチシェルとして、第2のシェル層に、1つ以上の追加のシェル層をさらに含んでもよい。
本発明に従って、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積み上げられたシェル層を表す。
【0074】
例えば、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPSZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnSまたはこれらの任意の組み合わせが使用されてもよい。好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS。
【0075】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、2以上の半電導性発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0076】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%までの、好ましくは5wt.%から70wt.%までの、より好ましくは20wt.%から50wt.%までの範囲である。
【0077】
-追加の配位子
本発明のいくつかの態様において、任意に、半電導性発光ナノ粒子は、式(I)で表される材料に加えて、異なるタイプの配位子を含み得る。
【0078】
かくして、本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子のコアまたはシェル層の最も外の表面は、所望される場合、式(I)で表される配位子とともに、1つ以上の別の配位子で被覆されてもよい。
【0079】
1つ以上の該別の配位子が、半電導性発光ナノ粒子のコアまたはシェル層(単数または複数)の最も外の表面に付着される場合、式(I)で表される配位子の量は、シェル層(単数または複数)の最も外の表面に付着される全配位子の、30wt.%から99.9wt%までの範囲、好ましくは50wt%から95wt%までの範囲であり、より好ましくはそれは、60wt.%から90wt.%までの範囲である。
【0080】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
好ましくは、該添加剤は、該別の配位子からなる群から選択される。
【0081】
理論によって拘束されることは望まないが、かかる表面配位子は、ナノサイズ蛍光材料を溶媒に、より容易に分散させることにつながると信じられている。
【0082】
一般的な使用における表面配位子は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などのホスフィンおよびホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸;オレイルアミン、デデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)などのアミン、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などのメルカプトカルボン酸;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸;酢酸などのカルボン酸、およびまた、これらの任意の組み合わせを包含する。ポリエチレンイミン(PEI)もまた、好ましくは使用されてもよい。
【0083】
表面配位子の例は、例えば、国際特許出願公報No. WO 2012/059931Aに記載される。
【0084】
-追加の材料
本発明のいくつかの態様において、該組成物は、少なくとも1つの追加の材料、好ましくは追加の材料は、有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、散乱粒子、光透過性ポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、重合開始剤、および追加の配位子からなる群から選択される、をさらに含んでもよい。
【0085】
例えば、該アクチベーターは、Sc3+,Y3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Bi3+、Pb2+、Mn2+、Yb2+、Sm2+、Eu2+、Dy2+、Ho2+およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよく、および、該無機蛍光材料は、スルフィド、チオガレート、ニトリド、オキシニトリド、シリケート、アルミネート、アパタイト、ボレート、酸化物、ホスフェート、ハロホスフェート、スルフェート、タングステネート、タンタレート、バナデート、モリブデート、ニオベート、チタネート、ゲルマネート、ハロゲン化物に基づく蛍光体、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0086】
かかる好適な、上に記載の無機蛍光材料は、ナノサイズ蛍光体、蛍光体ハンドブック第2版(CRC Press、2006)、pp.155-pp.338(W.M.Yen、S.ShionoyaおよびH.Yamamoto)、WO2011/147517A、WO2012/034625A、およびWO2010/095140Aなどに記述の量子サイズ材料を包含する周知の蛍光体でもよい。
【0087】
本発明に従って、該有機発光材料、電荷輸送材料として、任意の公知のタイプの材料が好ましくは使用されてもよい。例えば、周知の有機蛍光材料、有機ホスト材料、有機染料、有機電子輸送材料、有機金属錯体、および有機ホール輸送材料。
【0088】
散乱粒子の例として、SiO、SnO、CuO、CoO、Al TiO、Fe、Y、ZnO、MgOなどの無機酸化物の小粒子;重合されたポリスチレン、重合されたPMMAなどの有機粒子;中空シリカなどの無機中空酸化物、またはこれらの任意の組み合わせが好ましくは使用されてもよい。
-透明なポリマー
本発明に従って、幅広い様々な公知の、光学デバイスに好適な透明なポリマーが好ましくは使用されてもよい。
本発明に従って、用語「透明な」は、少なくともほぼ60%の入射光が、光学媒体において使用される厚さで、および光学媒体の操作の間に使用される波長または波長範囲で透過することを意味する。好ましくはそれは、70%より大きく、より好ましくは75%より大きく、最も好ましくはそれは、80%より大きい。
【0089】
本発明の好ましい態様において、例えばWO 2016/134820Aに記載される公知の透明なポリマーの任意のタイプが使用されてもよい。
本発明に従って、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有する、および重量平均分子量(Mw)1000g/mol以上を有する材料を意味する。
【0090】
分子量Mwは、ポリスチレン内部標準に対して、GPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)の手段で決定される。
本発明のいくつかの態様において、透明なポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上および250℃以下である。
【0091】
Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm;Rickey J Seyler、Assignment of the Glass Transition、ASTM刊行物コードナンバー(PCN)04-012490-50に記載されるなどの、示差走査熱量測定において観測される熱容量の変化に基づき測定される。
例えば、透明なマトリックス材料のための透明なポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが好ましくは使用されてもよい。
【0092】
本発明の好ましい態様において、透明なマトリクス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまでの範囲、より好ましくはそれは10,000から250,000g/molまでである。
【0093】
-配合物
別の側面において、本発明は、少なくとも組成物、
および
少なくとも1つの溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;メチルセロソルブアセタートおよびエチルセロソルブアセタートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、およびグリセリンなどのアルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナートおよびエチルラクタートなどのエステル;およびガンマブチロラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素からなる群の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの溶媒、好ましくは該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルであり、好ましくは溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)などのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ブチルアセタートなどのアルキルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、またはメトキシプロパノールなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群の1つ以上の要素から選択され、より好ましくは溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタートから選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物に関する。
【0094】
別の側面において、本発明はまた、第1の材料が、以下の化学式(I);
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化14】

【化15】

【化16】

であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0095】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0096】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0097】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される、コア、任意に1つ以上のシェル層、少なくとも1つの第1の材料を含む、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、好ましくは第1の材料は、配位子として、コアの表面またはシェル層の最も外の表面に置かれる、
【0098】
および
少なくとも1つの溶媒、好ましくはそれは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;メチルセロソルブアセタートおよびエチルセロソルブアセタートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、およびグリセリンなどのアルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナートおよびエチルラクタートなどのエステル;およびガンマブチロラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素からなる群の1つ以上の要素から選択され、好ましくは該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルであり、好ましくは溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)などのプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ブチルアセタートなどのアルキルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、またはメトキシプロパノールなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群の1つ以上の要素から選択され、より好ましくは溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタートから選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物にも関する。
【0099】
半電導性発光ナノ粒子、および好ましくは配位子としての、第1の材料の詳細は、「半電導性発光ナノ粒子」および「第1の材料」のセクションに記載される。
【0100】
いくつかの態様において、配合物は、追加の材料をさらに含んでもよい。追加の材料の詳細は、「追加の材料」のセクションに記載される。
【0101】
-使用
別の側面において、本発明は、組成物または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、バイオメディカルデバイスにおける、または、電子デバイス、光学デバイスまたはバイオメディカルデバイスを作製するための使用に関する。
【0102】
-光学媒体
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1つの組成物または配合物を含む光学媒体に関し、好ましくは、光学媒体は少なくとも1つの組成物を含む。
【0103】
本発明のいくつかの態様において、光学媒体は、光学シート、例えば、カラーフィルター、カラー変換フィルム、リモート蛍光テープ、または別のフィルムまたはフィルターであってもよい。
本発明に従って、用語「シート」は、構造化された媒体などの、フィルムおよび/または層を包含する。
【0104】
別の側面において、本発明はまた、第1の材料が、以下の化学式(I);
XYZ - (I)
式中、Xは、1つまたは2つのS原子を含む付着基(attaching group)を表し、好ましくは該付着基は、
【化17】

【化18】
【0105】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「*」は、半電導性発光ナノ粒子の、コアの表面またはシェル層の最も外の表面への連結点を表し、
【0106】
Yは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、
【0107】
Zは、-[CH(R)-CH(R)-Q]-Rであり、
ここでRは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲であり、
または
【0108】
Zは、-[(CHR-Q)]-Rであり、
ここでnは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、Rは、Hまたはメチル基であり、Rは、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは2であり、xは、整数、好ましくはxは、1から300までの、より好ましくは2から200までの、なおより好ましくは4から100までの範囲である、
で表される、アノードおよびカソード、および少なくとも1つのコア、任意に1つ以上のシェル層、および第1の材料を含む少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子を含む少なくとも1つの有機層を含む光学媒体、または請求項1~9に記載の組成物にも関し、好ましくは、該1つの有機層は、発光層(light emitting layer)であり、より好ましくは、媒体は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、および電子注入層からなる群から選択される1つ以上の層をさらに含む。
【0109】
本発明のいくつかの態様において、有機層は、少なくとも1つの発光ナノ粒子、第1の材料、およびホスト材料を含み、好ましくはホスト材料は、有機ホスト材料である。
好ましい態様において、有機層は、複数の発光ナノ粒子および第1の材料を含む。
【0110】
-光学デバイス
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1つの本発明の光学媒体を含む光学デバイスに関する。
本発明のいくつかの態様において、光学デバイスは、液晶ディスプレイデバイス(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、光学ディスプレイのためのバックライトユニット、発光ダイオードデバイス(LED)、微小電気機械システム(以下「MEMS」)、エレクトロウェッティングディスプレイ、または電気泳動ディスプレイ、発光デバイス、および/または太陽電池であってもよい。
用語「放射」は、原子および分子の電子遷移による電磁波の放射を意味する。
【0111】
本発明の技術効果
1.本発明は、組成物または配合物において半電導性発光ナノ粒子の改善された分散性を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物を提供する。
2.本発明は、組成物または配合物において半電導性発光ナノ粒子の改善された初期量子収率を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物を提供する。
【0112】
3.本発明は、組成物または配合物において半電導性発光ナノ粒子の長期間安定性および安定な量子収率を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物を提供する。
4.本発明は、励起波長でより高い光学密度(「OD」)を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物を提供する。
5.本発明は、より高い濃度で半電導性発光ナノ粒子のよりよい分散性を表す、1つ以上の半電導性発光ナノ粒子を含む、新規の組成物または配合物を提供する。
【0113】
以下の実施例1-2は、本発明の記載ならびにその作製の詳細な記載を提供する。
【0114】
実施例
実施例1:半電導性発光ナノ粒子を含む組成物の作製
トルエン中、赤いInPに基づく量子材料(以下「QM」)を、U.S. 7,588,828 Bに記載されるとおり調製する。
【0115】
-配位子交換
0.5gの赤いInPに基づく量子材料の8.3mLトルエン溶液をフラスコに入れ、およびトルエンを減圧下蒸発させる。
次いで、QMを17mLの無水テトラヒドロフラン(以下「THF」)に分散させる。および得られた分散体を、反応槽中の17mLのTHFに溶解させた1gのメトキシ-PEGチオール(Sigma Aldrichから)と混合する。次いで、得られた混合物を、N雰囲気において85℃で19時間還流させる。19時間の撹拌後、THFを減圧下蒸発させる。次いで、5mLのPGMEAを、生じる混合物に添加し、および得られた溶液をN雰囲気において150℃で4.5時間還流させる。
【0116】
-QMとメトキシ-PEGチオールの溶液からの単離
配位子交換プロセスにおいて得られたQMを、4.5mLのオクタンを添加することにより沈殿させる。遠心分離の後、生じる堆積物を、5mLのPGMEAに分散させる。
次いで、得られたQMを、6mLのオクタンを添加することにより沈殿させ、および遠心させる。生じる堆積物を5mLのPGMEAに再度分散させ、次いで7mLのオクタンを添加し、およびそれを遠心させる。
【0117】
遠心分離の後、生じる堆積物を減圧下乾燥させる。最後に、0.61gの暗赤色材料、それはメトキシ-PEGチオール配位子を有するQMである、を得る。
【0118】
-メトキシ-PEGチオール配位子を有するQMを含む組成物の調製
得られたメトキシ-PEGチオール配位子で安定化されたQMを、組成物の総量に基づき30wt.%の濃度でPGMEAに分散させ、およびそれをQY測定のため、5℃でN雰囲気下、貯蔵する。次いで試料1をQY測定する。メトキシ-PEGチオール配位子で安定化されたQMは、PGMEAに均一に分散する。
【0119】
比較例1:半電導性発光ナノ粒子を含む組成物の作製
トルエン中、赤いInPに基づく量子材料(以下「QM」)をU.S. 7,588,828 Bに記載される同じやり方で調製する。
【0120】
-配位子交換
0.1gの赤いInPに基づく量子材料の1.7mLトルエン溶液を、フラスコに入れ、およびトルエンを減圧下蒸発させる。
次いで、QMを2.5mLのクロロホルムに分散させ、およびそれを5mLのクロロホルムに溶解させた0.27gのDisperbyk-170(登録商標)(BYK Japan KKから)と混合させる。
得られた混合物をN雰囲気において80℃で2時間撹拌させた。
次いでそれを室温まで冷却させる。
【0121】
-QMを含む組成物の調製
室温まで冷却後、0.4gのPGMEAを添加し、およびクロロホルムを真空下蒸発させる。
得られたDisperbyk-170(登録商標)で安定化されたQMのPGMEA溶液中の濃度は、組成物の総量に基づき30wt.%であり、およびそれをQY測定のため、5℃でN雰囲気下、貯蔵する。次いで試料2および3をQY測定する。
【0122】
実施例2
量子収率計算
実施例1および比較例1において得られた試料の絶対量子収率は、相対的な技法を経てHamamatsu機器により測定される。
【0123】
試料1~3の量子収率を、絶対PL量子収率測定システムC9920-02 (Hamamatsu)で評価し、および以下の式を使用する。
量子収率(QY)=試料から放出された光子の数/吸収された試料の光子の数
表2および表3は、QY測定の結果を表す。
【0124】
【表2】