(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法及び空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/32 20060101AFI20240912BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20240912BHJP
G07D 7/005 20160101ALI20240912BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H04N1/32 144
B41M3/14
G07D7/005
G06T1/00 310Z
G06T1/00 500B
(21)【出願番号】P 2021052849
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】木内 正人
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095087(JP,A)
【文献】特開2012-187738(JP,A)
【文献】特許第4635160(JP,B2)
【文献】特開2020-86889(JP,A)
【文献】特許第6503861(JP,B2)
【文献】特開2019-213107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/32
B41M 3/14
G07D 7/005
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的に配置された画線の集合模様が撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換する空間周波数画像変換ステップと、
前記空間周波数画像変換ステップで変換された前記空間周波数画像の中心座標と、前記空間周波数画像に現れる強度ピークとを用いて、前記集合模様の画線ピッチによる実空間距離と、前記集合模様の撮像時における画像傾きとを算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出される前記実空間距離及び前記画像傾きを用いてスリットパターンを生成するスリットパターン生成ステップと、
前記スリットパターン生成ステップで生成される前記スリットパターンと前記対象画像とを重ね合わせて前記集合模様に施されている不可視画像を合成する合成ステップと、
前記合成ステップで合成される前記不可視画像を表示する表示ステップとを有することを特徴とする空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法。
【請求項2】
前記集合模様には、前記不可視画像として、第1方向不可視画像及び第2方向不可視画像とが施されており、
前記算出ステップでは、
前記第1方向不可視画像に対応する第1画線ピッチによる第1実空間距離と、前記第1方向不可視画像に対応する第1画像傾きと、
前記第2方向不可視画像に対応する第2画線ピッチによる第2実空間距離と、前記第2方向不可視画像に対応する第2画像傾きとを算出し、
前記スリットパターン生成ステップでは、
前記第1実空間距離と前記第1画像傾きを用いて第1スリットパターンを生成し、
前記第2実空間距離と前記第2画像傾きを用いて第2スリットパターンを生成し、
前記合成ステップでは、
前記第1スリットパターンと前記対象画像とを重ね合わせて前記第1方向不可視画像を合成し、
前記第2スリットパターンと前記対象画像とを重ね合わせて前記第2方向不可視画像を合成し、
前記表示ステップでは、
前記第1方向不可視画像及び/又は前記第2方向不可視画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法。
【請求項3】
前記算出ステップでは、
前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと、前記中心座標との距離を逆空間距離として算出し、
前記対象画像の画像ピクセル数を用いて前記逆空間距離を逆変換することで前記実空間距離を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法。
【請求項4】
前記算出ステップでは、
前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと前記中心座標とを結ぶ仮想線と、前記対象画像に対する基準線との角度を前記画像傾きとして算出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法。
【請求項5】
規則的に配置された画線の集合模様が撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換する空間周波数画像変換ステップと、
前記空間周波数画像変換ステップで変換された前記空間周波数画像の中心座標と、前記空間周波数画像に現れる強度ピークとを用いて、前記集合模様の画線ピッチによる実空間距離と、前記集合模様の撮像時における画像傾きとを算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出される前記実空間距離及び前記画像傾きを用いてスリットパターンを生成するスリットパターン生成ステップと、
前記スリットパターン生成ステップで生成される前記スリットパターンと前記対象画像とを重ね合わせて前記集合模様に施されている不可視画像を合成する合成ステップと、
を有することを特徴とする空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラム。
【請求項6】
前記集合模様には、前記不可視画像として、第1方向不可視画像及と第2方向不可視画像とが施されており、
前記算出ステップでは、
前記第1方向不可視画像に対応する第1画線ピッチによる第1実空間距離と、前記第1方向不可視画像に対応する第1画像傾きと、
前記第2方向不可視画像に対応する第2画線ピッチによる第2実空間距離と、前記第2方向不可視画像に対応する第2画像傾きとを算出し、
前記スリットパターン生成ステップでは、
前記第1実空間距離と前記第1画像傾きを用いて第1スリットパターンを生成し、
前記第2実空間距離と前記第2画像傾きを用いて第2スリットパターンを生成し、
前記合成ステップでは、
前記第1スリットパターンと前記対象画像とを重ね合わせて前記第1方向不可視画像を合成し、
前記第2スリットパターンと前記対象画像とを重ね合わせて前記第2方向不可視画像を合成することを特徴とする請求項5に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラム。
【請求項7】
前記算出ステップでは、
前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと、前記中心座標との距離を逆空間距離として算出し、
前記対象画像の画像ピクセル数を用いて前記逆空間距離を逆変換することで前記実空間距離を算出することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラム。
【請求項8】
前記算出ステップでは、
前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと前記中心座標とを結ぶ仮想線と、前記対象画像に対する基準線との角度を前記画像傾きとして算出することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法及び空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、本発明の読取対象となる印刷画線のピッチと傾きにより潜像を現出させる偽造防止技術を出願している(例えば特許文献1)。
【0003】
この偽造防止技術は、様々な製品に付与されており、潜像を現出させるためには、判別具となるレンチキュラーレンズを印刷面に当て、潜像が現出する位置に合致するように動かすだけでよく、レンチキュラーレンズを用いて簡便に確認できる。
【0004】
しかしながら、レンチキュラーレンズは、安価ではあるものの特殊な判別具であり、一般的なユーザーが常時携帯しているものではないため、対象技術を普及させるためには、さらに利便性の高い読み取り(真偽判別)方法を提供する必要があった。
【0005】
近年では、スマートフォンが普及し、一般的なユーザーの大半がスマートフォンを所持するようになっている。スマートフォンは、ほぼすべての機種にカメラが搭載されており、さらに同様に、カメラから入力された画像を処理する画像処理ソフトウェアも搭載されている。
【0006】
撮像によって印刷物を読み取り認証を行う技術として、例えば特許文献2から特許文献4で開示されているものがある。
【0007】
特許文献2は、スマートフォン等の汎用カメラを用い、入力画像を空間周波数画像に変換して強度ピークを算出することで、線画模様から特定の線幅を有する画線を正確かつ安定して抽出及び判別できる画像処理方法を開示している。
【0008】
特許文献3は、観察条件に対応した複数の読取画像を有するカードを保持するカード保持部と、カード保持部に保持されたカードの読取画像に対して光を照射する光源部と、カードの読取画像を読み取る携帯端末を保持する端末保持部とを備え、光源部は、読取画像に対応して照射される複数の照射角度を有することで、媒体の画像を安定して読み取ることができる端末保持装置を開示している。
【0009】
特許文献4は、印刷物が有する潜像を撮像して画像データを取得し、得られた画像データに対して、一方向への平滑化処理、エッジを抽出する処理、他方向への平滑化処理を行って画像表示を行うことにより、潜像の読取りが可能な印刷物の読取検査方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第4635160号公報
【文献】特開2020-86889号公報
【文献】特許第6503861号公報
【文献】特開2019-213107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献2から特許文献4で開示されている技術では、特許文献1で開示しているような、規則的に配置された画線の集合模様であって印刷画線のピッチと傾きにより現出させる潜像を、撮像によって画面表示させることはできない。
【0012】
そこで本発明は、空間周波数で認証可能な偽造防止媒体を、撮像によって画面表示させることができる偽造防止媒体読取方法、偽造防止媒体読取プログラム、及びこのプログラムを備えた装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の本発明の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法は、規則的に配置された画線の集合模様6が撮像によって入力された対象画像8を、空間周波数変換によって空間周波数画像9に変換する空間周波数画像変換ステップと、前記空間周波数画像変換ステップで変換された前記空間周波数画像9の中心座標と、前記空間周波数画像9に現れる強度ピークとを用いて、前記集合模様6の画線ピッチによる実空間距離d1、d2と、前記集合模様6の撮像時における画像傾きθ1、θ2とを算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出される前記実空間距離d1、d2及び前記画像傾きθ1、θ2を用いてスリットパターンS1、S2を生成するスリットパターン生成ステップと、前記スリットパターン生成ステップで生成される前記スリットパターンS1、S2と前記対象画像8とを重ね合わせて前記集合模様6に施されている不可視画像を合成する合成ステップと、前記合成ステップで合成される前記不可視画像を表示する表示ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法において、前記集合模様6には、前記不可視画像として、第1方向不可視画像6aと第2方向不可視画像6bとが施されており、前記算出ステップでは、前記第1方向不可視画像6aに対応する第1画線ピッチD1による第1実空間距離d1と、前記第1方向不可視画像6aに対応する第1画像傾きθ1と、前記第2方向不可視画像6bに対応する第2画線ピッチD2による第2実空間距離d2と、前記第2方向不可視画像6bに対応する第2画像傾きθ2とを算出し、前記スリットパターン生成ステップでは、前記第1実空間距離d1と前記第1画像傾きθ1を用いて第1スリットパターンS1を生成し、前記第2実空間距離d2と前記第2画像傾きθ2を用いて第2スリットパターンS2を生成し、前記合成ステップでは、前記第1スリットパターンS1と前記対象画像8とを重ね合わせて前記第1方向不可視画像6aを合成し、前記第2スリットパターンS2と前記対象画像8とを重ね合わせて前記第2方向不可視画像6bを合成し、前記表示ステップでは、前記第1方向不可視画像6a及び/又は前記第2方向不可視画像6bを表示することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法において、前記算出ステップでは、前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと、前記中心座標との距離を逆空間距離qd1、qd2として算出し、前記対象画像8の画像ピクセル数を用いて前記逆空間距離qd1、qd2を逆変換することで前記実空間距離d1、d2を算出することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法において、前記算出ステップでは、前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと前記中心座標とを結ぶ仮想線M、Lと、前記対象画像8に対する基準線Vとの角度を前記画像傾きθ1、θ2として算出することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の本発明の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、規則的に配置された画線の集合模様6が撮像によって入力された対象画像8を、空間周波数変換によって空間周波数画像9に変換する空間周波数画像変換ステップと、前記空間周波数画像変換ステップで変換された前記空間周波数画像9の中心座標と、前記空間周波数画像9に現れる強度ピークとを用いて、前記集合模様6の画線ピッチによる実空間距離d1、d2と、前記集合模様6の撮像時における画像傾きθ1、θ2とを算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出される前記実空間距離d1、d2及び前記画像傾きθ1、θ2を用いてスリットパターンを生成するスリットパターン生成ステップと、前記スリットパターン生成ステップで生成される前記スリットパターンと前記対象画像8とを重ね合わせて前記集合模様6に施されている不可視画像を合成する合成ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムにおいて、前記集合模様6には、前記不可視画像として、第1方向不可視画像6aと第2方向不可視画像6bとが施されており、前記算出ステップでは、前記第1方向不可視画像6aに対応する第1画線ピッチD1による第1実空間距離d1と、前記第2方向不可視画像6bに対応する第2画線ピッチD2による第2実空間距離d2とを算出し、前記スリットパターン生成ステップでは、前記第1実空間距離d1と前記画像傾きθ1、θ2を用いて第1スリットパターンS1を生成し、前記第2実空間距離d2と前記画像傾きθ1、θ2を用いて第2スリットパターンS2を生成し、前記合成ステップでは、前記第1スリットパターンS1と前記対象画像8とを重ね合わせて前記第1方向不可視画像6aを合成し、前記第2スリットパターンS2と前記対象画像8とを重ね合わせて前記第2方向不可視画像6bを合成することを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の本発明は、請求項5又は請求項6に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムにおいて、前記算出ステップでは、前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと、前記中心座標との距離を逆空間距離qd1、qd2として算出し、前記対象画像8の画像ピクセル数を用いて前記逆空間距離qd1、qd2を逆変換することで前記実空間距離d1、d2を算出することを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の本発明は、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムにおいて、前記算出ステップでは、前記中心座標に最も近くに現れる前記強度ピークと前記中心座標とを結ぶ仮想線M、Lと、前記対象画像8に対する基準線Vとの角度を前記画像傾きθ1、θ2として算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法及びプログラムによれば、撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換し、変換された空間周波数画像から算出される画線ピッチによる実空間距離と撮像時における画像傾きとからスリットパターンを生成することで、このスリットパターンを用いて不可視画像を合成して表示でき、スマートフォンのような撮像機能を備えた装置を用いて不可視画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例による本発明が対象とする偽造防止用印刷物1と、その印刷模様2を示す図
【
図2】本実施例による偽造防止印刷物1の画線構成を示す図
【
図3】本実施例による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法を示すフロー図
【
図5】本実施例による集合模様を形成する一つのユニットを示す図
【
図6】本実施例による印刷模様2について単純図形から成る第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bを付与した説明図
【
図7】同印刷模様2の上にレンチキュラーレンズ7を重ね合わせた図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法は、規則的に配置された画線の集合模様が撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換する空間周波数画像変換ステップと、空間周波数画像変換ステップで変換された空間周波数画像の中心座標と、空間周波数画像に現れる強度ピークとを用いて、集合模様の画線ピッチによる実空間距離と、集合模様の撮像時における画像傾きとを算出する算出ステップと、算出ステップで算出される実空間距離及び画像傾きを用いてスリットパターンを生成するスリットパターン生成ステップと、スリットパターン生成ステップで生成されるスリットパターンと対象画像とを重ね合わせて集合模様に施されている不可視画像を合成する合成ステップと、合成ステップで合成される不可視画像を表示する表示ステップとを有するものである。
【0024】
本実施の形態によれば、撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換し、変換された空間周波数画像から算出される画線ピッチによる実空間距離と撮像時における画像傾きとからスリットパターンを生成することで、このスリットパターンを用いて不可視画像を合成して表示でき、スマートフォンのような撮像機能を備えた装置を用いて不可視画像を表示することができる。
【0025】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法において、集合模様には、不可視画像として、第1方向不可視画像と第2方向不可視画像とが施されており、算出ステップでは、第1方向不可視画像に対応する第1画線ピッチによる第1実空間距離と、前記第1方向不可視画像に対応する第1画像傾きと、第2方向不可視画像に対応する第2画線ピッチによる第2実空間距離と、前記第2方向不可視画像に対応する第2画像傾きとを算出し、スリットパターン生成ステップでは、第1画線ピッチと第1画像傾きを用いて第1スリットパターンを生成し、第2画線ピッチと第2画像傾きを用いて第2スリットパターンを生成し、合成ステップでは、第1スリットパターンと対象画像とを重ね合わせて第1方向不可視画像を合成し、第2スリットパターンと対象画像とを重ね合わせて第2方向不可視画像を合成し、表示ステップでは、第1方向不可視画像及び/又は第2方向不可視画像を表示するものである。
【0026】
本実施の形態によれば、少なくとも2つの不可視画像が施されていても、それぞれの不可視画像を表示することができる。
【0027】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法において、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと、中心座標との距離を逆空間距離として算出し、対象画像の画像ピクセル数を用いて逆空間距離を逆変換することで実空間距離を算出するものである。
【0028】
本実施の形態によれば、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いることで正確な画像ピッチを算出することができる。
【0029】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法において、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと中心座標とを結ぶ仮想線と、対象画像に対する基準線との角度を画像傾きとして算出するものである。
【0030】
本実施の形態によれば、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いることで正確な画像傾きを算出することができる。
【0031】
本発明の第5の実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、規則的に配置された画線の集合模様が撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換する空間周波数画像変換ステップと、空間周波数画像変換ステップで変換された空間周波数画像の中心座標と、空間周波数画像に現れる強度ピークとを用いて、集合模様の画線ピッチによる実空間距離と、集合模様の撮像時における画像傾きとを算出する算出ステップと、算出ステップで算出される実空間距離及び画像傾きを用いてスリットパターンを生成するスリットパターン生成ステップと、スリットパターン生成ステップで生成されるスリットパターンと対象画像とを重ね合わせて集合模様に施されている不可視画像を合成する合成ステップとを有するものである。
【0032】
本実施の形態によれば、撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換し、変換された空間周波数画像から算出される画線ピッチによる実空間距離と撮像時における画像傾きとからスリットパターンを生成することで、このスリットパターンを用いて不可視画像を合成することができ、スマートフォンのような撮像機能を備えた装置を用いて不可視画像を表示することができる。
【0033】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムにおいて、集合模様には、不可視画像として、第1方向不可視画像と第2方向不可視画像とが施されており、算出ステップでは、第1方向不可視画像に対応する第1画線ピッチによる第1実空間距離と、前記第1方向不可視画像に対応する第1画像傾きと、第2方向不可視画像に対応する第2画線ピッチによる第2実空間距離と、前記第2方向不可視画像に対応する第2画像傾きとを算出し、スリットパターン生成ステップでは、第1画線ピッチと第1画像傾きを用いて第1スリットパターンを生成し、第2画線ピッチと第2画像傾きを用いて第2スリットパターンを生成し、合成ステップでは、第1スリットパターンと対象画像とを重ね合わせて第1方向不可視画像を合成し、第2スリットパターンと対象画像とを重ね合わせて第2方向不可視画像を合成するものである。
【0034】
本実施の形態によれば、少なくとも2つの不可視画像が施されていても、それぞれの不可視画像を合成し、表示する不可視画像を選択することができる。
【0035】
本発明の第7の実施の形態は、第5又は第6の実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムにおいて、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと、中心座標との距離を逆空間距離として算出し、対象画像の画像ピクセル数を用いて逆空間距離を逆変換することで実空間距離を算出するものである。
【0036】
本実施の形態によれば、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いることで正確な実空間距離を算出することができる。
【0037】
本発明の第8の実施の形態は、第5から第7のいずれかの実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムにおいて、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと中心座標とを結ぶ仮想線と、対象画像に対する基準線との角度を画像傾きとして算出するものである。
【0038】
本実施の形態によれば、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いることで正確な画像傾きを算出することができる。
【0039】
本発明の第9の実施の形態による装置は、第5から第8のいずれかの実施の形態による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムを備えた装置であって、対象画像を撮像する撮像手段と、不可視画像を表示する表示手段とを備えたものである。
【0040】
本実施の形態によれば、スマートフォンのような撮像機能を備えた装置を用いて不可視画像を表示することができる。
【実施例】
【0041】
本発明の一実施例による偽造防止媒体読取方法について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0042】
図1は、本発明が対象とする偽造防止用印刷物1と、その印刷模様2を示している。
図1(a)に示すように印刷模様2は可視画像4を備え、通常の肉眼視T1においては可視画像4が観察される。一方、カメラ(撮像手段)5aと表示画面(表示手段)5bとを備えた多機能端末(装置)3を用いて偽造防止用印刷物1を撮像し、画像処理した画像を表示画面5bで表示し肉眼視T2すると、
図1(b)に示すように、通常の肉眼視T1において確認できなかった第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bが顕像となり可視にて確認できる。
【0043】
図2は偽造防止印刷物1の画線構成を示している。印刷模様2は、例えば特許文献1で開示している偽造防止模様であり、拡大円で表されたように縦ピッチ(第1画線ピッチ)D1と横ピッチ(第2画線ピッチ)D2で微細な画線群がマトリックス状に配置されている。それぞれ配置されている画線には所望の形状が備わっており、この画線形状によって潜像化された第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bが付与されている。第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bは、規則的に配置された画線の集合模様6である。
【0044】
図5は、集合模様を形成する一つのユニットを示している。
【0045】
図5に示すように、一つのユニットは、縦ピッチD1と横ピッチD2の四角形で構成されている。なお、ユニットは、三角形や他の多角形でも構成することができる。
【0046】
図5(a)に、画線A、B、C、D、E、a、bで示すように、一つのユニットは、少なくとも七つ以上の画線要素で構成されている。
【0047】
図5(b)に示すように、画線Aと画線A’とは、対を成して第1方向不可視画像6aを形成し、画線Aと画線A’とは、それぞれユニットの中心に対して上下対称に配置されている。
【0048】
図5(c)に示すように、画線Bと画線B’とは、対を成して第2方向不可視画像6bを形成し、画線Bと画線B’とは、それぞれユニットの中心に対して左右対称に配置されている。
図5(d)に示す画線Cと、
図5(e)に示す画線Dとは、
図1に示す任意の図形及び文字から成る可視画像4を構成する画線であり、画線Cはユニットの中心部に、画線Dはユニットの四隅に配置されている。
【0049】
図5(f)に示す画線aと、
図5(g)に示す画線bと、
図5(h)に示す画線Eとは、それぞれ肉眼視T1での濃度の不均衡を緩和するために設けられている。
【0050】
図6は、印刷模様2について単純図形から成る第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bを付与した説明図である。
印刷模様2は、縦ピッチD1と横ピッチD2から成るユニットがマトリックス状に配置され、それぞれのユニットには特許文献1に記載された画線設計で構成された画線が施されている。
【0051】
図7は印刷模様2の上にレンチキュラーレンズ7を重ね合わせたものである。レンチキュラーレンズ7のレンズのピッチは、印刷模様2に配置されたユニットの縦ピッチD1及び横ピッチD2と同じである。
図7(a)のようにレンチキュラーレンズ7を横目で重ね合わせると、画線Aと画線A’の位相差によって構成された潜像「A」が現出し、レンチキュラーレンズ7を縦目で重ね合わせると、画線Bと画線B’の位相差によって構成された潜像「B」が現出する。本発明では、レンチキュラーレンズ7に相当するフィルタをスリットパターンS1、S2として生成するものである。よって、従来は、偽造防止用印刷物1を所有していても、判別具であるレンチキュラーレンズ7を所有していなければ、潜像を確認することができなかったが、本発明の読取方法を用いることで、簡易に潜像を確認することが可能となる。さらに、従来とは異なり、撮像によって入力された対象画像から撮像時の画像の傾きと画線ピッチを算出して、スリットパターンS1、S2を生成する。よって、撮像条件に依存することなく、ユーザーは単純な撮像行為のみで潜像を表示することが可能となる。
【0052】
図3は本発明の一実施例による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取方法を示すフロー図、
図4は
図3に示すフローに沿ったイメージ図である。
【0053】
本発明は、
図3に示す偽造防止印刷物の読み取り処理フローを、任意のプログラム言語によって、任意のオペレーションシステムにて動作するアプリケーションソフトであり、空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、
図1に示す多機能端末3の内部メモリに格納されている。
【0054】
先ず、Step1にて、多機能端末3に備わったカメラ5aを用いて偽造防止用印刷物1を撮像し、規則的に配置された画線の集合模様6が対象画像として入力され、
図4に示す対象画像8を得る。
【0055】
次にStep2にて、対象画像8を空間周波数変換によって空間周波数画像に変換し、
図4に示す空間周波数画像9を得る。空間周波数画像の変換には、FFT(fast Fourier transform)が適しているが、他の空間周波数変換であっても良い。Step2は、空間周波数画像変換ステップである。
【0056】
空間周波数画像9には、
図2の印刷模様2に示す縦ピッチD1と横ピッチD2の周波数特性が顕著に表れる。縦ピッチD1及び横ピッチD2は、共に中心座標から最も近い座標に強度ピークが現れる。これにより、Step3において、縦ピッチD1の強度ピークにおける中心座標からの逆空間距離q
d1を算出する。
【0057】
一方、Step4において、横ピッチD2の強度ピークにおける中心座標からの逆空間距離qd2を算出する。FFTの場合は、空間周波数画像9における実空間距離d1、d2の算出は下記式によって得ることができる。
実空間距離d1、d2=画像ピクセル数/逆空間距離qd1、qd2
【0058】
例えば、対象画像8の縦横ピクセル数が1024ピクセルの正方形であり、強度ピークにおける中心座標からの逆空間距離qd1が205ピクセルとすると、Step5において算出される第1実空間距離d1は約5ピクセルとなる。すなわち、印刷模様2の縦ピッチD1は、対象画像8では、約5ピクセルの第1実空間距離d1となっている。
【0059】
一方、強度ピークにおける中心座標からの逆空間距離qd2も同じく205ピクセルとすると、Step6において算出された第2実空間距離d2は約5ピクセルとなる。すなわち、印刷模様2の横ピッチD2は、対象画像8では、約5ピクセルの第2実空間距離d2となっている。
【0060】
空間周波数画像9の中心座標と逆空間距離qd1で示される強度ピークとを結ぶ仮想線Lと対象画像8に対する基準線Vとの角度が93度であれば、Step7において、中心座標からの逆空間距離qd1を結ぶ仮想線Lの垂直角となる3度を画像傾きθ1として算出し、第1実空間距離d1を約5ピクセル、画像傾きθ1を3度とする平行万線の第1スリットパターンS1が生成される。
【0061】
一方、空間周波数画像9の中心座標と逆空間距離qd2で示される強度ピークとを結ぶ仮想線Mと対象画像8に対する基準線Vとの角度が3度であれば、Step8において、中心座標からの逆空間距離qd2を結ぶ仮想線Mの垂直角となる93度を画像傾きθ2として算出し、第2実空間距離d2を約5ピクセル、画像傾きθ2を93度とする平行万線の第2スリットパターンS2が生成される。
【0062】
なお、スリットパターンS1、S2の生成については平行万線を描画できる画像処理であれば何ら限定するものではない。
【0063】
このように、空間周波数画像変換ステップ(Step2)で変換された空間周波数画像の中心座標と、空間周波数画像に現れる強度ピークとを用いて、集合模様6の画線ピッチD1、D2による実空間距離d1、d2と、集合模様6の撮像時における画像傾きθ1、θ2とを算出することができ(算出ステップ)、算出ステップで算出される実空間距離d1、d2及び画像傾きθ1、θ2を用いてスリットパターンS1、S2を生成することができる(スリットパターン生成ステップ)。
【0064】
Step3、Step4、Step5、及びStep6は、算出ステップであり、Step7及びStep8は、スリットパターン生成ステップである。
【0065】
また、本実施例のように、集合模様6に、不可視画像として第1方向不可視画像6aと第2方向不可視画像6bとが施されている場合には、算出ステップでは、第1方向不可視画像6aに対応する第1画線ピッチD1による第1実空間距離d1と、第1方向不可視画像6aに対応する第1画像傾きθ1と、第2方向不可視画像6bに対応する第2画線ピッチD2による第2実空間距離d2と、第2方向不可視画像6bに対応する第2画像傾きθ2とを算出し、スリットパターン生成ステップでは、第1画線ピッチD1と第1画像傾きθ1を用いて第1スリットパターンS1を生成し、第2画線ピッチD2と第2画像傾きθ2を用いて第2スリットパターンS2を生成する。
【0066】
なお、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと、中心座標との距離を逆空間距離qd1、qd2として算出し、対象画像の画像ピクセル数を用いて逆空間距離qd1、qd2を逆変換することで実空間距離d1、d2を算出することで、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いるために正確な実空間距離d1、d2を算出することができる。
【0067】
また、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと中心座標とを結ぶ仮想線L、Mと、対象画像に対する基準線Vとの角度を画像傾きとして算出することで、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いるために正確な画像傾きを算出することができる。
【0068】
さらに、Step9において対象画像8と第1スリットパターンS1とを合成することにより、印刷模様2に施されていた第1方向不可視画像6aが顕在化された合成画像10aが得られる。一方、Step10において対象画像8と第2スリットパターンS2とを合成することにより、印刷模様2に施されていた第2方向不可視画像6bが顕在化された合成画像10bが得られる。
【0069】
Step9及びStep10は合成ステップであり、合成ステップでは、スリットパターン生成ステップで生成されるスリットパターンS1、S2と対象画像とを重ね合わせて集合模様に施されている不可視画像を合成することができる。
【0070】
なお、第1方向不可視画像6aは、第1スリットパターンS1と対象画像とを重ね合わせて合成し、第2方向不可視画像6bは、第2スリットパターンS2と対象画像とを重ね合わせて合成する。
【0071】
Step11にて、
図1に示す多機能端末3の表示画面5bにおいて、合成画像10aが第1方向不可視画像6aとなって表示され、同時に合成画像10bが第2方向不可視画像6bとなって表示される。これにより、
図1(b)に示すように、通常の肉眼視T1において確認できなかった第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bが顕像となり可視にて確認できる。
【0072】
なお、合成画像10a及び合成画像10bそのままを表示画面5bに表示させてもよいが、画像処理を行い、スリットパターンS1、S2を表示させずに不可視画像のみを表示させることもできる。
【0073】
Step11は表示ステップであり、表示ステップでは、第1方向不可視画像6a及び第2方向不可視画像6bを両方一度に表示することができるとともに、少なくとも2つの不可視画像が集合模様6に施されていても、それぞれの不可視画像を表示することができる。
【0074】
具体的には、本実施例のように、集合模様6に、不可視画像として2つの画像である第1方向不可視画像6aと第2方向不可視画像6bとが施されている場合に、それぞれの不可視画像を同時に表示する例を説明したが、選択した不可視画像のみを表示することも可能である。例えば、第1方向不可視画像6aのみを表示する場合は、
図3に示した偽造防止印刷物の読み取り処理フローのうち、Step1から10までは行うが。Step11は表示ステップにおいて、第1不可視画像6aのみを選択して表示する。
【0075】
本発明の一実施例による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、規則的に配置された画線の集合模様が撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換する空間周波数画像変換ステップと、空間周波数画像変換ステップで変換された空間周波数画像の中心座標と、空間周波数画像に現れる強度ピークとを用いて、集合模様の画線ピッチによる実空間距離d1、d2と、集合模様の撮像時における画像傾きとを算出する算出ステップと、算出ステップで算出される実空間距離d1、d2及び画像傾きを用いてスリットパターンS1、S2を生成するスリットパターン生成ステップと、スリットパターン生成ステップで生成されるスリットパターンS1、S2と対象画像とを重ね合わせて集合模様に施されている不可視画像を合成する合成ステップと、を有するものであり、撮像によって入力された対象画像を、空間周波数変換によって空間周波数画像に変換し、変換された空間周波数画像から算出される画線ピッチによる実空間距離d1、d2と撮像時における画像傾きとからスリットパターンS1、S2を生成することで、このスリットパターンを用いて不可視画像を合成することができ、スマートフォンのような撮像機能を備えた装置3を用いて不可視画像を表示することができる。
【0076】
また、本発明の一実施例による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、集合模様には、不可視画像として、第1方向不可視画像6aと第2方向不可視画像6bとが施されており、算出ステップでは、第1方向不可視画像6aに対応する第1画線ピッチD1による第1実空間距離d1と、第1方向不可視画像6aに対応する第1画像傾きθ1と、第2方向不可視画像6bに対応する第2画線ピッチD2による第2実空間距離d2と、第2方向不可視画像6bに対応する第2画像傾きθ2とを算出し、スリットパターン生成ステップでは、第1画線ピッチD1と第1画像傾きθ1を用いて第1スリットパターンS1を生成し、第2画線ピッチD2と第2画像傾きθ2を用いて第2スリットパターンS2を生成し、合成ステップでは、第1スリットパターンS1と対象画像とを重ね合わせて第1方向不可視画像6aを合成し、第2スリットパターンS2と対象画像とを重ね合わせて第2方向不可視画像6bを合成するものであり、少なくとも2つの不可視画像が施されていても、それぞれの不可視画像を合成することができる。
【0077】
また、本発明の一実施例による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと、中心座標との距離を逆空間距離qd1、qd2として算出し、対象画像の画像ピクセル数を用いて逆空間距離qd1、qd2を逆変換することで実空間距離d1、d2を算出することで、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いることで正確な実空間距離d1、d2を算出することができる。
【0078】
また、本発明の一実施例による空間周波数で認証可能な偽造防止媒体読取プログラムは、算出ステップでは、中心座標に最も近くに現れる強度ピークと中心座標とを結ぶ仮想線L、Mと、対象画像に対する基準線Vとの角度を画像傾きとして算出することで、最も強いピークとして現れる強度ピークを用いることで正確な画像傾きを算出することができる。
【0079】
なお、本実施の形態に用いている偽造防止印刷物1の画線構成は特許文献1と同様としているが、不可視画像の埋め込みにおいて潜像部と背景部に網点または万線の位相差を原理としているものであれば不可視画像を顕在化して表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、規則的に配置された画線の集合模様であって、スマートフォンのような撮像機能を備えた装置を用いて不可視画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 偽造防止用印刷物
2 印刷模様
3 多機能端末(装置)
4 可視画像
5a カメラ(撮像手段)
5b 表示画面(表示手段)
6 集合模様
6a 第1方向不可視画像
6b 第2方向不可視画像
7 レンチキュラーレンズ
8 対象画像
9 空間周波数画像
10a、10b 合成画像
A、A’、B、B’、C、D、E、a、b 画線
D1 縦ピッチ(第1画線ピッチ)
D2 横ピッチ(第2画線ピッチ)
d1 第1実空間距離
d2 第2実空間距離
qd1、qd2 逆空間距離
M、L 仮想線
S1 第2スリットパターン
S2 第2スリットパターン
T1、T2 肉眼視
V 基準線
θ1 第1画像傾き
θ2 第2画像傾き