(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】基板搬送装置、基板処理システム及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020212876
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】阪上 博充
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 俊昭
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/129102(JP,A1)
【文献】特開2017-108063(JP,A)
【文献】特開2012-064918(JP,A)
【文献】特開2000-223551(JP,A)
【文献】特開2013-149902(JP,A)
【文献】特開2002-124556(JP,A)
【文献】特開2011-009295(JP,A)
【文献】特表2011-508976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置に対して減圧雰囲気下で基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板処理装置は、前記基板を載置するステージを有し、
前記基板搬送装置は、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に設けられ、当該基板保持部に対する前記基板の位置を測定する基板測定部と
、
前記基板保持部に設けられ、当該基板保持部に対する前記ステージの位置を測定するステージ測定部と、を有する、基板搬送装置。
【請求項2】
前記基板測定部は、前記基板までの距離を測定する複数のセンサ又は前記基板を撮像する撮像部を有する、請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記基板保持部と前記基板測定部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記基板測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記基板の中心位置を算出し、
前記基板保持部で前記基板を保持する際、前記基板の中心位置に基づいて、当該基板を監視する、請求項1又は2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記ステージ測定部は、前記ステージまでの距離を測定する複数のセンサを有する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記基板保持部、前記基板測定部及び前記ステージ測定部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記ステージ測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記ステージの中心位置を算出し、
前記ステージの中心位置に基づいて、前記基板保持部の位置を補正する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記基板測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記基板の中心位置を算出し、
前記基板の中心位置と前記ステージの中心位置に基づいて、前記ステージに前記基板を載置する、請求項
5に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
基板を処理する基板処理システムであって、
減圧雰囲気下で前記基板を処理する基板処理装置と、
前記基板処理装置に対して減圧雰囲気下で前記基板を搬送する基板搬送装置と、を有し、
前記基板処理装置は、前記基板を載置するステージを有し、
前記基板搬送装置は、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に設けられ、当該基板保持部に対する前記基板の位置を測定する基板測定部と
、
前記基板保持部に設けられ、当該基板保持部に対する前記ステージの位置を測定するステージ測定部と、を有する、基板処理システム。
【請求項8】
前記基板保持部と前記基板測定部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記基板測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記基板の中心位置を算出し、
前記基板保持部で前記基板を受け取る際、前記基板の中心位置に基づいて、前記基板保持部の位置を補正する、請求項
7に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記基板保持部、前記基板測定部及び前記ステージ測定部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記ステージ測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記ステージの中心位置を算出し、
前記ステージの中心位置に基づいて、前記基板保持部の位置を補正する、請求項
7又は8に記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記基板測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記基板の中心位置を算出し、
前記基板の中心位置と前記ステージの中心位置に基づいて、前記ステージに前記基板を載置する、請求項
9に記載の基板処理システム。
【請求項11】
基板処理システムを用いて基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板処理システムは、
前記基板を載置するステージを有し、減圧雰囲気下で前記基板を処理する基板処理装置と、
前記基板処理装置に対して減圧雰囲気下で前記基板を搬送する基板搬送装置と、を有し、
前記基板処理方法において、
前記基板搬送装置で前記基板を搬送する際、基板保持部で前記基板を保持しながら、前記基板保持部に設けられた基板測定部を用いて、当該基板保持部に対する前記基板の位置を測定
し、
前記基板搬送装置が前記基板処理装置に進入する際、前記基板保持部に設けられたステージ測定部を用いて、当該基板保持部に対する前記ステージの位置を測定する、基板処理方法。
【請求項12】
前記基板測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記基板の中心位置を算出し、
前記基板保持部で前記基板を保持する際、前記基板の中心位置に基づいて、当該基板を監視する、請求項
11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記基板保持部で前記基板を受け取る際、前記基板保持部と前記基板が離間した状態で、前記基板測定部で前記基板の位置を測定しながら、前記基板保持部を水平方向及び鉛直方向に移動させて当該基板保持部を前記基板に接触させ、
前記基板保持部の水平方向速度と鉛直方向速度に基づいて、前記基板保持部の初期位置と接触位置との間の鉛直方向距離を算出し、
前記算出された鉛直方向距離と、予め求めておいた正常時の鉛直方向距離とを比較して、前記基板保持部の変位を検出する、請求項
11又は
12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記基板保持部で前記基板を受け取る際、前記基板に対して第1移動速度で前記基板保持部を鉛直方向に移動させた後、前記第1移動速度より遅い第2移動速度で前記基板保持部を鉛直方向に移動させ、
前記検出された基板保持部の変位に基づいて、前記第1移動速度から前記第2移動速度に変更する高さ位置を調整する、請求項
13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記基板搬送装置のティーチングを行う際、前記基板保持部と前記基板が離間した状態で、前記基板測定部で前記基板の位置を測定しながら、前記基板保持部を水平方向及び鉛直方向に移動させて当該基板保持部を前記基板に接触させ、
前記基板保持部の水平方向速度と鉛直方向速度に基づいて、前記基板保持部の初期位置と接触位置との間の鉛直方向距離を算出して、当該基板保持部の接触位置を導出する、請求項
11~
14のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記ステージ測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記ステージの中心位置を算出し、
前記ステージの中心位置に基づいて、前記基板保持部の位置を補正する、請求項
11~15のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記基板測定部の測定結果に基づいて、前記基板保持部に対する前記基板の中心位置を算出し、
前記基板の中心位置と前記ステージの中心位置に基づいて、前記ステージに前記基板を載置する、請求項
16に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送装置、基板処理システム及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハを搬送するトランスファモジュールと、ウェハに処理を行うプロセスモジュールとを備える基板処理装置が開示されている。トランスファモジュールの壁部には、トランスファモジュールの内部とプロセスモジュールの内部を連通させる連通口が設けられる。連通口には、ウェハの縁部を検出するセンサが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、減圧雰囲気下で基板を搬送する基板搬送装置において、基板の位置を常時監視可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板処理装置に対して減圧雰囲気下で基板を搬送する基板搬送装置であって、前記基板処理装置は、前記基板を載置するステージを有し、前記基板搬送装置は、前記基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に設けられ、当該基板保持部に対する前記基板の位置を測定する基板測定部と、前記基板保持部に設けられ、当該基板保持部に対する前記ステージの位置を測定するステージ測定部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、減圧雰囲気下で基板を搬送する基板搬送装置において、基板の位置を常時監視可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ウェハ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図2】ウェハ搬送装置の構成の概略を示す斜視図である。
【
図5】ステージ測定部でステージの位置を測定する様子を示す説明図である。
【
図6】ウェハ搬送装置の動作フローの一例を示す説明図である。
【
図7】ウェハ搬送装置のティーチングを行う際のフォークの動作の説明図である。
【
図8】フォークの正常状態と異常状態を示す説明図である。
【
図9】他の実施形態にかかる第3アーム及び第4アームの平面図である。
【
図10】他の実施形態にかかる第3アーム及び第4アームの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウェハ(基板;以下、「ウェハ」という。)に対して、例えば減圧雰囲気下(真空雰囲気下)で成膜処理やエッチング処理等の各種処理が行われる。これら各種処理を行う場合、内部にウェハ搬送装置を備えたトランスファモジュールの周囲に複数の処理モジュールを連結した、いわゆるクラスター型のウェハ処理システムが用いられる。そして、トランスファモジュール内のウェハ搬送装置を用いて、ウェハを各処理モジュールに向けて搬送し、ウェハに対して所望の処理を行うようになっている。
【0009】
ここで、例えば処理モジュールのステージに対してウェハが適切な位置に載置されないと、当該ウェハに所望の処理を行うことができない。したがって、ウェハ搬送装置の搬送アームにおいてウェハが適切な位置に保持され、さらに当該搬送アームからステージの所望の位置にウェハが搬送される必要がある。
【0010】
この点に関し、特許文献1に開示の基板処理装置(ウェハ処理システム)では、トランスファモジュールの内部とプロセスモジュール(処理モジュール)の内部を連通させる連通口に、ウェハの縁部を検出するセンサが配置される。そして、搬送アームに保持されたウェハが連通口を介してプロセスモジュールに搬入される際、センサによってウェハの縁部の位置が特定され、ウェハの中心位置が特定される。その後、ウェハの特定された中心位置と、ウェハの所望の中心位置とのずれに基づいてウェハの位置を修正する。こうして、プロセスモジュールのステージの所望の位置にウェハを搬送することを図っている。
【0011】
ところで、ウェハ搬送装置では、処理モジュールにウェハを搬送する以外の場合でも、例えば搬送不良等を抑制するため、搬送アームにおいてウェハを適切な位置に保持する必要がある。したがって、ウェハ搬送装置でウェハを搬送中、当該ウェハを常時監視するのが好ましい。しかしながら、特許文献1に開示の基板処理装置では、ウェハの位置を測定できるのは、ウェハが連通口を通過する際にのみであって、この連通口通過時以外にはウェハの位置を測定できない。したがって、従来のウェハの搬送装置には改善の余地がある。
【0012】
本開示にかかる技術は、減圧雰囲気下で基板を搬送する基板搬送装置において、基板の位置を常時監視可能にする。以下、本実施形態にかかる基板搬送装置としてのウェハ搬送装置、基板処理システムとしてのウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<ウェハ処理システムの構成>
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。
図1は、ウェハ処理システム1の構成の概略を示す平面図である。ウェハ処理システム1では、基板としてのウェハWに、例えば成膜処理やエッチング処理等の所望の処理を減圧雰囲気下(真空雰囲気下)で行う。なお、本開示のウェハ処理システム1の構成はこれに限られず、任意に選択され得る。
【0014】
図1に示すようにウェハ処理システム1は、常圧部10と、減圧部11とがロードロックモジュール20a、20bを介して一体に接続された構成を有している。常圧部10では、常圧雰囲気下(大気雰囲気下)において複数のウェハWを収容可能な後述のフープ31の搬入出が行われ、さらにロードロックモジュール20a、20bに対してウェハWが搬送される。減圧部11では、減圧雰囲気下(真空雰囲気下)においてウェハWに所望の処理が行われ、さらにロードロックモジュール20a、20bに対してウェハWが搬送される。
【0015】
ロードロックモジュール20aの内部には、ウェハWを載置するステージ21aが設けられている。ロードロックモジュール20aは、常圧部10の後述するローダーモジュール30から搬送されたウェハWを、減圧部11の後述するトランスファモジュール40に引き渡すため、ステージ21a上でウェハWを一時的に保持する。
【0016】
ロードロックモジュール20aは、ゲートバルブ22aを介して後述するローダーモジュール30に接続されている。また、ロードロックモジュール20aは、ゲートバルブ23aを介して後述するトランスファモジュール40に接続されている。このゲートバルブ22a、23aにより、ロードロックモジュール20aと、ローダーモジュール30及びトランスファモジュール40との間の気密性の確保と互いの連通を両立する。
【0017】
ロードロックモジュール20aにはガスを供給する給気部(図示せず)とガスを排出する排気部(図示せず)が接続され、当該給気部と排気部によって内部が常圧雰囲気と減圧雰囲気に切り替え可能に構成されている。すなわちロードロックモジュール20aは、常圧雰囲気の常圧部10と、減圧雰囲気の減圧部11との間で、適切にウェハWの受け渡しができるように構成されている。
【0018】
なお、ロードロックモジュール20bはロードロックモジュール20aと同様の構成を有している。すなわち、ロードロックモジュール20bは、ウェハWを載置するステージ21bと、ローダーモジュール30側のゲートバルブ22bと、トランスファモジュール40側のゲートバルブ23bとを有している。
【0019】
なお、ロードロックモジュール20a、20bの数や配置は、本実施形態に限定されるものではなく、任意に設定できる。
【0020】
常圧部10は、ウェハ搬送装置(図示せず)を備えたローダーモジュール30と、複数のウェハWを保管可能なフープ31を載置するロードポート32とを有している。なお、ローダーモジュール30は、EFEM(Epuipment Front End Module)とも称される。
【0021】
ローダーモジュール30は内部が矩形状の筐体からなり、筐体の内部は常圧雰囲気に維持されている。ローダーモジュール30の筐体の長辺を構成する一側面には、複数、例えば3つのロードポート32が並設されている。ローダーモジュール30の筐体の長辺を構成する他側面には、ロードロックモジュール20a、20bが並設されている。また、ローダーモジュール30は、筐体の内部においてその長手方向に移動可能なウェハ搬送装置(図示せず)を有している。ウェハ搬送装置はロードポート32に載置されたフープ31とロードロックモジュール20a、20bとの間でウェハWを搬送できる。
【0022】
なお、ロードポート32の数や配置は、本実施形態に限定されるものではなく、任意に設計できる。また、常圧部10には、常圧雰囲気下でウェハWに所望の処理を行う処理モジュール、例えばウェハWの水平方向の向きを調節するアライメント処理を行うモジュールが設けられていてもよい。
【0023】
フープ31は複数、例えば1ロット25枚のウェハWを等間隔で多段に重なるようにして収容する。また、ロードポート32に載置されたフープ31の内部は、例えば、大気や窒素ガスなどで満たされて密閉されている。
【0024】
減圧部11は、ウェハWを搬送するトランスファモジュール40と、ウェハWに所望の処理を行う基板処理装置としての処理モジュール41とを有している。トランスファモジュール40の内部及び処理モジュール41の内部は、それぞれ減圧雰囲気に維持される。トランスファモジュール40に対し、処理モジュール41は複数、例えば4つ設けられている。なお、トランスファモジュール40は、VTM(Vacuum Transfer Module)とも称される。
【0025】
トランスファモジュール40は内部が多角形状、図示の例では六角形状の筐体からなり、上述したようにゲートバルブ23a、23bを介してロードロックモジュール20a、20bに接続されている。すなわち、トランスファモジュール40の各側面部には、ロードロックモジュール20a、20bと4つの処理モジュール41が配置されている。そして、トランスファモジュール40は、ロードロックモジュール20aに搬入されたウェハWを一の処理モジュール41に次搬送して所望の処理を行った後、ロードロックモジュール20bを介して常圧部10に搬出する。
【0026】
トランスファモジュール40の内部には、ウェハWを処理モジュール41に搬送するウェハ搬送装置50が設けられている。このウェハ搬送装置50の詳細な構成については後述する。
【0027】
処理モジュール41の内部には、ウェハWを載置するステージ42が設けられている。処理モジュール41は、ステージ42に載置されたウェハWに対して、例えば成膜処理やエッチング処理等の所望の処理を行う。なお、処理モジュール41には、処理ガスやパージガスなどを供給する給気部(図示せず)とガスを排出する排気部(図示せず)が接続されている。
【0028】
また、処理モジュール41は、ゲートバルブ43を介して、トランスファモジュール40に接続されている。このゲートバルブ43により、トランスファモジュール40と処理モジュール41の間の気密性の確保と互いの連通を両立する。
【0029】
なお、トランスファモジュール40に設けられる処理モジュール41の数や配置、及び処理モジュール41の処理の種類は本実施形態に限定されるものではなく、任意に設定できる。
【0030】
以上のウェハ処理システム1には、制御部60が設けられている。制御部60は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部60にインストールされたものであってもよい。
【0031】
<ウェハ処理システムにおけるウェハ処理>
本実施形態にかかるウェハ処理システム1は以上のように構成されている。次に、ウェハ処理システム1におけるウェハ処理について説明する。
【0032】
先ず、複数のウェハWを収納したフープ31がロードポート32に載置される。
【0033】
次に、ウェハ搬送装置(図示せず)によって、フープ31からウェハWが取り出され、ロードロックモジュール20aに搬入される。ロードロックモジュール20aにウェハWが搬入されてステージ21aに載置されると、ゲートバルブ22aが閉じられ、ロードロックモジュール20a内が密閉され、減圧される。その後、ゲートバルブ23aが開放され、ロードロックモジュール20aの内部とトランスファモジュール40の内部が連通される。
【0034】
次に、ロードロックモジュール20aとトランスファモジュール40が連通すると、ウェハ搬送装置50によってウェハWが取り出され、ロードロックモジュール20aからトランスファモジュール40に搬入される。
【0035】
次に、ゲートバルブ43が開放され、ウェハ搬送装置50によってウェハWが処理モジュール41に搬入されてステージ42に載置される。続いて、ゲートバルブ43が閉じられ、ウェハWに対して所望の処理が行われる。処理が終了すると、ゲートバルブ43が開放され、ウェハ搬送装置50によってウェハWが処理モジュール41から搬出される。そして、ゲートバルブ43が閉じられる。
【0036】
次に、ゲートバルブ23bが開放され、ウェハ搬送装置50によってウェハWがロードロックモジュール20bに搬入される。ロードロックモジュール20b内にウェハWが搬入されてステージ21bに載置されると、ゲートバルブ23bが閉じられ、ロードロックモジュール20b内が密閉され、大気開放される。
【0037】
次に、ウェハ搬送装置(図示せず)によって、ウェハWがフープ31に戻されて収容される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0038】
なお、本実施形態では、処理前のウェハWをロードロックモジュール20aに搬送し、処理後のウェハWをロードロックモジュール20bに搬送したが、ウェハWの搬送先はいずれでもよい。例えば処理前のウェハWをロードロックモジュール20bに搬送し、処理後のウェハWをロードロックモジュール20aに搬送してもよい。あるいは、例えば処理前のウェハWをロードロックモジュール20aから搬出しつつ、処理後のウェハWをロードロックモジュール20aに搬入してもよい。
【0039】
<ウェハ搬送装置の構成>
次に、上述したウェハ搬送装置50の構成について説明する。
図2は、ウェハ搬送装置50の構成の概略を示す斜視図である。
図3は、後述する第3アーム113及び第4アーム114の平面図であり、
図4は、後述する第3アーム113及び第4アーム114の側面図である。
【0040】
図2に示すようにウェハ搬送装置50は、ウェハを保持して移動する搬送アーム100と、搬送アーム100を支持する基台101とを有している。基台101には、搬送アーム100の昇降及び回転を駆動する駆動機構(図示せず)が設けられている。この駆動機構は、搬送アーム100を昇降させる駆動力及び搬送アーム100を水平に回転させる駆動力を発生するモータ等のアクチュエータを有する。
【0041】
搬送アーム100は、多関節型のアームであり、複数、例えば4つのアーム111、112、113、114が連結されたリンクアーム構造を有している。
【0042】
第1アーム111は、基端が基台101に接続され、先端が第2アーム112に接続されている。第2アーム112は、基端が第1アーム111に接続され、先端が第3アーム113及び第4アーム114に接続されている。第3アーム113及び第4アーム114はそれぞれ、基端が第2アーム112に接続されている。第3アーム113は、第4アーム114の上方に設けられている。
【0043】
第1アーム111の基端と基台101の間には、第1関節121が設けられている。第2アーム112の基端と第1アーム111の先端の間には、第2関節122が設けられている。第3アーム113の基端と第2アーム112の先端の間には、第3関節123が設けられている。第4アーム114の基端と第2アーム112の先端の間には、第4関節124が設けられている。第3関節123と第4関節124は平面視において同じ位置に設けられている。これら関節121、122、123、124の内部にはそれぞれ、駆動機構(図示せず)が設けられている。この駆動機構により、各アーム111、112、113、114はそれぞれ、関節121、122、123、124を中心に回動自在(旋回自在)に構成されている。
【0044】
第1アーム111及び第2アーム112のそれぞれの内部には、常圧雰囲気の中空部が形成されている。各中空部には、種々の部品が収容される。例えば、後述するウェハ測定部132、142に接続されるケーブル(図示せず)やステージ測定部133、143に接続されるケーブル(図示せず)が収容される。また例えば、上述した関節121、122、123、124の駆動機構を駆動させるためのモータ(図示せず)や、当該モータに接続されるケーブル(図示せず)が収容される。また例えば、搬送アーム100の振動を測定する振動計(図示せず)や、搬送アーム100の温度を測定する温度計(図示せず)が収容される。さらに例えば、第1アーム111及び第2アーム112の中空部にクリーンドライエアを供給するエア供給部(図示せず)が収容される。これら部品は、アーム外部に露出しない。このため、各部品が腐食性雰囲気によって損耗することを防ぐためにこれらを覆うケーブルダクトなどをウェハ搬送装置50の外部に別途用意する必要がない。
【0045】
第3アーム113は、基板保持部としてのフォーク130(エンドエフェクタ)と、フォーク130を支持するハンド131とを有している。フォーク130は、第3アーム113の先端側に設けられ、基端がハンド131に取り付けられる。フォーク130は、その先端が2本部分岐して、2股形状を有している。フォーク130の上面には複数のパッド(図示せず)が設けられ、フォーク130はこれら複数のパッドでウェハWを吸着保持する。ハンド131は、第3アーム113の基端側に設けられ、第3関節123に取り付けられる。なお、フォーク130の形状は本実施形態に限定されるものではなく、例えば平板形状であってもよい。
【0046】
フォーク130には、ウェハWの位置を測定するための、基板測定部としてのウェハ測定部132が設けられている。ウェハ測定部132には、例えばCMOSラインセンサが用いられ、当該ウェハ測定部132からウェハWまでの距離を測定する。ウェハ測定部132は、フォーク130の上面において複数、例えば3つ設けられている。これら3つのウェハ測定部132の配置は特に限定されるものではないが、図示の例では、2つのウェハ測定部132がフォーク130の分岐部の基端に設けられ、1つのウェハ測定部132がフォーク130の分岐部の先端近傍に設けられている。3つのウェハ測定部132の測定結果は、例えば無線通信又は有線通信により制御部60に出力される。制御部60では、3つのウェハ測定部132の測定結果に基づいて、フォーク130に対するウェハWの中心位置を算出する。また、制御部60では、3つのウェハ測定部132の測定結果に基づいて、フォーク130におけるウェハWの有無も検出することができる。
【0047】
ウェハ測定部132に接続されるケーブル(図示せず)は、上述したように第1アーム111の中空部及び第2アーム112の中空部に配設され、さらに第3アーム113の内部に埋設される。したがって、ケーブルはアーム外部に露出しない。
【0048】
なお、ウェハ測定部132の数は本実施形態に限定されない。例えばウェハWの径が予め分かっている場合、ウェハ測定部132は2つであってもよい。かかる場合、制御部60では、2つのウェハ測定部132の測定結果と、ウェハWの径とに基づいて、ウェハWの中心位置を算出することができる。
【0049】
また、例えば常圧部10において、ウェハWの水平方向の向きを調節するアライメント処理を行わない場合には、ウェハ測定部132は4つあってもよい。アライメント処理を行わない場合、ウェハ測定部132がウェハWのノッチ部にかかり、当該ウェハ測定部132にてウェハWを検出できないおそれがある。そこで、このような場合には、ウェハ測定部132は4つあってもよい。
【0050】
フォーク130には、ロードロックモジュール20a、20bのステージ21a、21b、及び処理モジュール41のステージ42の位置を測定するためのステージ測定部133が設けられている。ステージ測定部133には、例えば白色共焦点変位センサが用いられ、当該ステージ測定部133からステージ21a、21b、42までの距離を測定する。ステージ測定部133は、フォーク130において2本の分岐部の先端に2つ設けられている。
【0051】
ステージ測定部133に接続されるケーブル(図示せず)は、上述したように第1アーム111の中空部及び第2アーム112の中空部に配設され、さらに第3アーム113の内部に埋設される。したがって、ケーブルはアーム外部に露出しない。
【0052】
図5は、ステージ測定部133でステージ42の位置を測定する様子を示す説明図である。2つのステージ測定部133a、133bは、ステージ42の上面において4点の測定点M1~M4のステージ42までの距離を測定する。測定点M1、M2はステージ測定部133aの移動方向に並べて設けられた測定点であり、測定点M3、M4はステージ測定部133bの移動方向上に並べて設けられた測定点である。そして、フォーク130をステージ42に対して移動させながら、ステージ測定部133aでは測定点M1、M2におけるステージ42までの距離を順次測定し、ステージ測定部133bでは測定点M3、M4におけるステージ42までの距離を順次測定する。これらステージ測定部133a、133bの測定結果は、例えば無線通信又は有線通信により制御部60に出力される。制御部60では、ステージ測定部133a、133bの測定結果に基づいて、フォーク130に対するステージ42の中心位置を算出する。
【0053】
なお、ステージ42の測定点の数は本実施形態に限定されない。例えば測定点が3点であっても、制御部60においてステージ42の中心位置を算出できる。但し、測定点が4点あった方が、より正確にステージ42の中心位置を算出することができる。
【0054】
また、ステージ測定部133の数は本実施形態に限定されない。例えばステージ42の径が予め分かっている場合、ステージ測定部133は1つであってもよい。かかる場合、制御部60では、1つのステージ測定部133によるステージ42の2点の測定結果と、ステージ42の径とに基づいて、ステージ42の中心位置を算出することができる。
【0055】
また、ステージ測定部133の配置は本実施形態に限定されない。例えばステージ測定部133は、フォーク130において2本の分岐部の基端に設けられていてもよい。かかる場合、分岐部の長さを短くすることができる。そして、ステージ42の測定点が2点になっても、上述したようにステージ42の径が予め分かっていれば、ステージ42の中心位置を算出することができる。
【0056】
第4アーム114も、第3アーム113と同様の構成を有している。すなわち、第4アーム114は、基板保持部としてのフォーク140とハンド141とを有している。また、フォーク140には、3つのウェハ測定部142と2つのステージ測定部143が設けられている。
【0057】
<ウェハ搬送装置の動作>
本実施形態にかかるウェハ搬送装置50は以上のように構成されている。次に、ウェハ搬送装置50の動作について説明する。
図6は、ウェハ搬送装置50の動作フローの一例を示す説明図である。なお、
図6中、「LLM20a」はロードロックモジュール20aを示し、「VTM40」はトランスファモジュール40を示し、「PM41」は処理モジュール41を示す。
【0058】
本例では、ロードロックモジュール20aにウェハWを搬入出し、処理モジュール41にウェハWを搬入出する場合について説明する。なお、上述したようにウェハ測定部132、142を用いてウェハWまでの距離を測定し、制御部60においてウェハWの中心位置を算出するが、以下では説明を簡略化するため、ウェハ測定部132、142でウェハWの中心位置を測定すると記載する。また同様に、
図5に示したようにステージ測定部133、143を用いてステージ21a、21b、42までの距離を測定し、制御部60においてステージ21a、21b、42の中心位置を算出するが、以下では説明を簡略化するため、ステージ測定部133、143でステージ21a、21b、42の中心位置を測定すると記載する。
【0059】
[ステップS1]
先ず、ウェハWを保持していないフォーク130でロードロックモジュール20aから処理前のウェハWを受け取る。すなわち、フォーク130をロードロックモジュール20aに進入させる。この際、ステージ測定部133を用いて、ステージ21aの中心位置を測定する。また、フォーク140には、処理後のウェハWが保持されている。そして、ウェハ測定部142を用いて、ウェハWの有無が確認されるとともに、ウェハWの中心位置が測定され、当該ウェハWが監視される。
[ステップS2]
次に、測定されたステージ21aの中心位置に基づいて、フォーク130の位置を補正して、当該フォーク130をステージ21aに対して所望の位置に配置する。
[ステップS3]
次に、ステージ21aからフォーク130でウェハWを受け取る。この際、ステージ21aに対してフォーク130が所望の位置に配置されているので、フォーク130の適切な位置でウェハWを保持することができる。そして、ウェハ測定部132を用いて、ウェハWの有無が確認されるとともに、ウェハWの中心位置が測定され、当該ウェハWの監視が開始される。
[ステップS4]
次に、ウェハWを保持したフォーク130をロードロックモジュール20aから退出させる。
[ステップS5]
次に、トランスファモジュール40において、フォーク130の動作をフォーク140の動作に変更し、フォーク140に保持された処理後のウェハWをロードロックモジュール20aに搬送する。
[ステップS6]
次に、フォーク140をロードロックモジュール20aに進入させる。この際、ステージ測定部143を用いて、ステージ21aの中心位置を測定する。
[ステップS7]
次に、測定されたステージ21aの中心位置に基づいて、フォーク140の位置を補正して、当該フォーク140をステージ21aに対して所望の位置に配置する。
[ステップS8]
次に、フォーク140からステージ21aにウェハWを載置する。この際、ステップS1から継続して、上述したようにウェハ測定部142を用いてウェハWの中心位置が測定されている。そして、ウェハWの中心位置とステージ21aの中心位置が合致するように、フォーク140からステージ21aにウェハWを載置する。
[ステップS9]
次に、ウェハWを保持していないフォーク140をロードロックモジュール20aから退出させる。
【0060】
[ステップS10]
次に、トランスファモジュール40において、ロードロックモジュール20aへのウェハWの搬入出から、処理モジュール41へのウェハWの搬入出に、ウェハ搬送装置50の動作の動作を切り替える。
【0061】
[ステップS11]
先ず、ウェハWを保持していないフォーク140で処理モジュール41から処理後のウェハWを受け取る。すなわち、フォーク140を処理モジュール41に進入させる。この際、ステージ測定部143を用いて、ステージ42の中心位置を測定する。
[ステップS12]
次に、測定されたステージ42の中心位置に基づいて、フォーク140の位置を補正して、当該フォーク140をステージ42に対して所望の位置に配置する。
[ステップS13]
次に、ステージ42からフォーク140でウェハWを受け取る。この際、ステージ42に対してフォーク140が所望の位置に配置されているので、フォーク140の適切な位置でウェハWを保持することができる。そして、ウェハ測定部142を用いて、ウェハWの有無が確認されるとともに、ウェハWの中心位置が測定され、当該ウェハWの監視が開始される。
[ステップS14]
次に、ウェハWを保持したフォーク140を処理モジュール41から退出させる。
[ステップS15]
次に、トランスファモジュール40において、フォーク140の動作をフォーク130の動作に変更し、フォーク130に保持された処理前のウェハWを処理モジュール41に搬送する。
[ステップS16]
次に、フォーク130を処理モジュール41に進入させる。この際、ステージ測定部133を用いて、ステージ42の中心位置を測定する。
[ステップS17]
次に、測定されたステージ42の中心位置に基づいて、フォーク130の位置を補正して、当該フォーク130をステージ42に対して所望の位置に配置する。
[ステップS18]
次に、フォーク130からステージ42にウェハWを載置する。この際、ステップS3から継続して、上述したようにウェハ測定部132を用いてウェハWの中心位置が測定されている。そして、ウェハWの中心位置とステージ42の中心位置が合致するように、フォーク130からステージ42にウェハWを載置する。
[ステップS19]
次に、ウェハWを保持していないフォーク130を処理モジュール41から退出させる。
【0062】
[ステップS20]
次に、トランスファモジュール40において、処理モジュール41へのウェハWの搬入出から、ロードロックモジュール20bへのウェハWの搬入出に、ウェハ搬送装置50の動作の動作を切り替える。
【0063】
以上の実施形態によれば、ステップS3~S17でフォーク130がウェハWを保持する際、ウェハ測定部132を用いてウェハWの有無が確認されるとともに、ウェハWの中心位置が測定され、当該ウェハWが常時監視される。同様にステップS1~S7及びS13~S20でフォーク140がウェハWを保持する際にも、ウェハWが常時監視される。したがって、フォーク130、140は常にウェハWを適切に保持することができる。
【0064】
ここで、例えば処理モジュール41におけるプロセスによっては、ウェハWが加熱される場合があり、かかる場合、ウェハWは熱膨張する。また、ウェハWの周縁部が除去されていたり、ウェハWの上面が成膜されている場合もある。このようにウェハWの径が変わる場合があるため、ウェハWの中心位置を常時監視することは有用である。
【0065】
また、本実施形態によれば、ステップS2でステージ21aの中心位置に基づいて、フォーク130の位置を補正する。同様に、ステップS12でステージ42の中心位置に基づいて、フォーク140の位置を補正する。したがって、ステージ21a、42からフォーク130、140の適切な位置でウェハWを受け取ることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、ステップS7でステージ21aの中心位置に基づいて、フォーク140の位置を補正し、さらにステップS8でウェハWの中心位置とステージ21aの中心位置が合致するように、フォーク140からステージ21aにウェハWを載置する。同様に、ステップS17でステージ42の中心位置に基づいて、フォーク130の位置を補正し、さらにステップS18でウェハWの中心位置とステージ42の中心位置が合致するように、フォーク130からステージ42にウェハWを載置する。このようにウェハ測定部132、142の測定結果とステージ測定部133、143の測定結果とを両方用いることで、フォーク140、130からステージ21a、42の適切な位置に高精度にウェハWを載置することができる。
【0067】
ここで、例えば処理モジュール41におけるプロセスによっては、加熱処理が行われる場合があり、その結果、ステージ42の外形が変わったり、ステージ42が移動するおそれがある。かかる場合でも、本実施形態によれば、ステージ42の中心位置を測定するので、ステージ42の適切な位置にウェハWを載置することができる。
【0068】
なお、本実施形態におけるステップS2、S7、S12、S17におけるフォーク130、140の位置の補正は、例えばステージ21a、42に対するフォーク130、140の位置ずれが予め定められた許容範囲に収まっている場合には省略してもよい。かかる場合、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0069】
<ウェハ搬送装置の動作に関する他の実施形態>
次に、ウェハ搬送装置50の動作に関する他の実施形態について説明する。
【0070】
[ウェハ搬送装置のティーチング]
図7は、ウェハ搬送装置50のティーチングを行う際の、フォーク130の動作の説明図である。
図7中のZ方向は鉛直方向を示し、R方向はフォーク130の水平方向における移動方向を示す。ウェハ搬送装置50のティーチングでは、フォーク130がウェハWを受け取る際に、当該フォーク130がウェハWと接触する位置(接触位置)を記憶する。
【0071】
従来のティーチングでは、例えばフォークの中心位置とウェハの中心位置を合致させるため、フォークにウェハ保持用のマークを付しておき、当該マークにウェハが保持される際のフォークの動作を記憶していた。しかしながら、このティーチングではフォークを鉛直方向に移動させる際、フォークの初期位置からウェハとの接触位置までの鉛直方向距離を把握することが困難であった。
【0072】
そこで本実施形態では、ウェハ測定部132を用いて、フォーク130とウェハWとの接触位置を把握する。先ず、
図7に示すように搬送アーム100を最長まで伸ばした状態で、フォーク130とウェハWを離間させ、フォーク130をウェハWの下方の初期位置P1に配置する。続いて、フォーク130を水平方向及び鉛直方向に移動させ、接触位置P2においてフォーク130をウェハWに接触させる。この際、フォーク130の移動動作として、例えば2つ挙げられる。
【0073】
1つ目の移動動作C1は、
図7の点線矢印に示すように、フォーク130の水平方向の移動速度と鉛直方向の移動速度を同一で一定にする。そして、ウェハ測定部132でウェハWの中心位置を測定しながら、フォーク130を水平方向及び鉛直方向に移動させる。かかる場合、フォーク130の中心位置とウェハWの中心位置を合致させつつ、フォーク130とウェハWを接触させることができ、フォーク130がウェハWを適切な位置で受け取る動作を再現することができる。本例では、フォーク130の水平方向の移動速度と鉛直方向の移動速度が同じであり、水平方向の移動距離と鉛直方向の移動距離が同じである。そうすると、水平方向移動距離から、フォーク130の初期位置P1から接触位置P2までの鉛直方向距離Hを算出することができ、フォーク130の接触位置P2を導出することができる。
【0074】
なお、1つ目の移動動作C1において、フォーク130の水平方向の移動速度と鉛直方向の移動速度は一定の比率であればよく、同一でなくてもよい。当該比率から、フォーク130の鉛直方向距離Hを算出することができる。
【0075】
2つ目の移動動作C2は、
図7の一点鎖線矢印に示すように、フォーク130を水平方向と鉛直方向に交互に階段状に移動させる。例えば1回の水平方向の移動距離と1回の鉛直移動方向の移動距離は同一にする。そして、ウェハ測定部132でウェハWの中心位置を測定しながら、フォーク130を水平方向及び鉛直方向に繰り返し移動させる。かかる場合、フォーク130の中心位置とウェハWの中心位置を合致させつつ、フォーク130とウェハWを接触させることができ、フォーク130がウェハWを適切な位置で受け取る動作を再現することができる。本例では、フォーク130の水平方向の移動距離と鉛直方向の移動距離は同じである。そうすると、水平方向移動距離から、フォーク130の初期位置P1から接触位置P2までの鉛直方向距離Hを算出することができ、フォーク130の接触位置P2を導出することができる。
【0076】
なお、2つ目の移動動作C2において、フォーク130の1回の水平方向の移動距離と1回の鉛直方向の移動距離は一定の比率であればよく、同一でなくてもよい。当該比率から、フォーク130の鉛直方向距離Hを算出することができる。
【0077】
以上のように本実施形態によれば、ウェハ測定部132を用いて、フォーク130のウェハWとの接触位置P2を適切に把握することができる。
【0078】
[フォークの異常検知]
上述したウェハ搬送装置50のティーチング方法は、通常運用時におけるフォーク130の異常検知にも応用することができる。例えば、ウェハ搬送装置50を繰り返し使用していると、フォーク130の鉛直方向位置が経時的に変化する場合がある。このフォーク130の鉛直方向の変位が許容範囲を超えると、当該フォーク130でウェハWを適切に受け取ることができない。そこで、このようなフォーク130の異常状態を検知することは肝要である。
【0079】
図8は、フォーク130の正常状態と異常状態を示す説明図である。フォーク130の初期位置が正常位置Aである場合、ウェハWまでの鉛直方向距離Hは、上述した上記ティーチング時に導出した鉛直方向距離Hと同じ、又は鉛直方向距離Hからの許容範囲内になる。一方、フォーク130の初期位置が正常位置Aより低い異常位置B1である場合、ウェハWまでの鉛直方向距離H1は、鉛直方向距離Hの許容範囲から外れる。また、フォーク130の初期位置が正常位置Aより高い異常位置B2である場合、ウェハWまでの鉛直方向距離H2は、鉛直方向距離Hの許容範囲から外れる。
【0080】
そこで、フォーク130でウェハWを受け取る際、上記ティーチング時と同様の動作を行う。すなわち、フォーク130とウェハWを離間させた状態で、ウェハ測定部132でウェハWの中心位置を測定しながら、フォーク130を水平方向及び鉛直方向に移動させ、フォーク130をウェハWに接触させる。この際、フォーク130の移動動作は、
図7の点線矢印(移動動作C1)のようにフォーク130の水平方向の移動速度と鉛直方向の移動速度を同一で一定にしてもよいし、
図7の一点鎖線矢印(移動動作C2)のようにフォーク130を水平方向と鉛直方向に交互に階段状に移動させてもよい。そして、フォーク130の初期位置から接触位置までの鉛直方向距離を算出することで、フォーク130の鉛直方向の変位を把握することができる。その結果、フォーク130の初期位置が正常であったか異常であったかを検知することができる。
【0081】
[通常運用へのフィードバック]
上述したフォーク130の異常検知の結果は、通常運用のフォーク130の移動動作にフィードバックすることができる。
【0082】
ここで通常運用では、フォーク130でウェハWを受け取る際、フォーク130を鉛直方向に第1移動速度で移動させた後、第1移動速度より遅い第2移動速度でフォーク130を鉛直方向に移動させる場合がある。このように前半で、速い第1移動速度でフォーク130を移動させることにより、ウェハWの受け取りに要する時間を短縮することができる。一方後半で、遅い第2移動速度でフォーク130を移動させてウェハWを受け取ることにより、ウェハWの受け取り時に当該ウェハWを跳ね上げることを抑制することができる。しかしながら、このようにフォーク130の鉛直方向速度を制御しても、フォーク130の初期位置が異常であると、ウェハWを受け取る際のフォーク130の移動速度が速い第1移動速度の場合があり、ウェハの跳ね上げを抑制できないおそれがある。
【0083】
そこで、上述したようにフォーク130の初期位置から接触位置までの鉛直方向距離を算出して、フォーク130の鉛直方向の変位を把握することで、第1移動速度から第2移動速度に変更する高さ位置を調整する。具体的には、例えば
図8に示したようにフォーク130の初期位置が異常位置B1である場合、当該異常位置B1と、第1移動速度から第2移動速度に変更する高さ位置との鉛直方向距離は、正常状態より長くなる。一方、フォーク130の初期位置が異常位置B2である場合、当該異常位置B2と、第1移動速度から第2移動速度に変更する高さ位置との鉛直方向距離は、正常状態より短くなる。
【0084】
このように、フォーク130の異常検知の結果をフォーク130の移動動作にフィードバックすることで、ウェハWの受け取りに要する時間を短縮しつつ、ウェハWの跳ね上げを抑制することができる。
【0085】
<ウェハ搬送装置の構成に関する他の実施形態>
次に、ウェハ搬送装置50の構成に関する他の実施形態について説明する。上記実施形態のフォーク130、140において、ウェハ測定部132にはCMOSラインセンサが用いられたが、これに限定されない。例えば
図9に示すようにウェハ測定部132には、ウェハWを撮像する撮像部としてのカメラが用いられ、当該カメラで撮像した画像に基づいて、ウェハ測定部132からウェハWまでの距離を測定してもよい。あるいは、
図10に示すようにウェハ測定部132には、当該ウェハ測定部132からウェハWまでの距離を測定する静電容量測距センサや白色共焦点センサが用いられてもよい。いずれの場合であっても、ウェハ測定部132とウェハWとの距離を測定することで、フォーク130に対するウェハWの中心位置を測定することができる。
【0086】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 ウェハ処理システム
41 処理モジュール
50 ウェハ搬送装置
130、140 フォーク
132、142 ウェハ測定部
W ウェハ