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特許7554750吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法、及び吸水性樹脂粒子を製造する方法
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  • 特許-吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法、及び吸水性樹脂粒子を製造する方法 図1
  • 特許-吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法、及び吸水性樹脂粒子を製造する方法 図2
  • 特許-吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法、及び吸水性樹脂粒子を製造する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法、及び吸水性樹脂粒子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20240912BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240912BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240912BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240912BHJP
   B29B 9/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CEY
A61F13/15 320
B01J20/26 D
B01J20/30
B29B9/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021530649
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025849
(87)【国際公開番号】W WO2021006153
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2019126335
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 萌
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-094379(JP,A)
【文献】特開2005-015995(JP,A)
【文献】特開2006-168324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00- 3/28、 99/00
A61F 13/15、 13/53
B01J 20/00- 20/28、 20/30- 20/34
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
B29B 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸水性樹脂粒子を含む粉体全体に荷重を加えながら、前記粉体を振とうする工程を含む、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法であって、前記荷重下吸水量が、前記吸水性樹脂粒子からなる粉体に4.14kPaの圧力が加わる荷重下で測定される荷重下吸水量である、方法
【請求項2】
振とうされる間に前記粉体が受ける加速度の最大値が0.050~4.0Gである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉体を振とうする時間が合計で10分以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記荷重が、前記粉体全体に1.0~20.0kPaの圧力が加わるように、前記粉体に加えられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によって吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる工程を含み、前記荷重下吸水量が、前記吸水性樹脂粒子からなる粉体に4.14kPaの圧力が加わる荷重下で測定される荷重下吸水量である、吸水性樹脂粒子を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法、及び吸水性樹脂粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂粒子は、衛生材料等の分野において広く用いられている。吸水性樹脂粒子には、荷重下又は加圧下でも大きな吸水量を維持することが求められることがある(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-212301号公報
【文献】特開2011-231255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を容易に向上させることができる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、複数の吸水性樹脂粒子を含む粉体に荷重を加えながら、粉体を振とうする工程を含む、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる方法に関する。
【0006】
本発明の別の一側面は、上記方法によって吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる工程を含む、吸水性樹脂粒子を製造する方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面によれば、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】吸水性樹脂粒子を含む粉体を振とうする工程の一実施形態を示す模式図である。
図2】吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を測定する方法を示す模式図である。
図3】荷重下吸水量と、吸水性樹脂粒子を含む粉体に加わる圧力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本明細書において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの両方を意味する。「アクリレート」及び「メタクリレート」も同様に「(メタ)アクリレート」と表記する。他の類似の用語も同様である。「(ポリ)」とは、「ポリ」の接頭語がある場合及びない場合の双方を意味するものとする。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。本明細書に例示する材料は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。「生理食塩水」とは、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液をいう。
【0011】
図1は、複数の吸水性樹脂粒子を含む粉体を振とうする工程の一実施形態を示す模式図である。図1の方法では、容器3に収容された粉体1が振とうされる。容器3は支持体5上に配置されており、支持体5が振動することによって、容器3内の粉体1を振とうすることができる。振とうの間、容器3の上部に配置された重り7によって粉体1全体に荷重が加えられる。荷重を加えながら粉体1を振とうすることによって、より大きな荷重下吸水量を示す吸水性樹脂粒子が得られる。粉体1は、典型的には、実質的に吸水性樹脂粒子のみから構成されるが、その他の粒子が粉体1に含まれていてもよい。粉体1の全量に対する吸水性樹脂粒子の割合は、80~100質量%、90~100質量%、又は95~100質量%であってもよい。
【0012】
容器3は、粉体1を収容可能で、粉体1に荷重を加えることが可能なものであれば、特に限定されない。容器3は、例えば木箱、段ボール箱、プラスチック袋、又は布袋であってもよい。容器3がプラスチック袋又は布袋のような柔軟性の袋であると、容器3に重り7を載せることによって粉体1に対して特に容易に荷重を加えることができる。容器3が開閉可能な蓋部を有していてもよい。その場合、蓋部が閉じた状態、すなわち容器3に粉体1が封入された状態で、粉体1を振とうしてもよい。粉体1が収容された容器3を運搬しながら、粉体1を振とうしてもよい。
【0013】
重り7によって粉体1に加えられる荷重の大きさは、特に制限されないが、例えば、粉体1全体に1.0~20.0kPaの圧力が加わるような大きさであってもよい。粉体1に加わる圧力がこの範囲内にあると、粉体1を構成する吸水性樹脂粒子の損傷を抑制しつつ、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を特に効果的に向上させることができる。同様の観点から、粉体1全体に加わる圧力が2.5~15.0kPa、又は5.0~12.0kPaであってもよい。例えば容器3が柔軟性の袋で、容器3上に載せられた重り7によって粉体1全体に荷重が加えられる場合のように、容器3に収容された状態の粉体1の水平投影面積を、重り7による荷重が粉体1に加わる作用面積とみなすことができるときは、下記式によって圧力を計算することができる。
圧力=重り質量/粉体の水平投影面積
【0014】
吸水性樹脂粒子を含む粉体に荷重を加える方法は、容器の上部に重りを載せる方法に限られない。例えば、吸水性樹脂粒子を含む粉体を収容した別の容器を重ねる方法によって、吸水性樹脂粒子を含む粉体に荷重を加えてもよい。
【0015】
粉体1が容器3を完全に充填してもよいし、粉体1に適切に荷重を加えられる限り、粉体1の量が容器3の容量よりもある程度少なくてもよい。
【0016】
吸水性樹脂粒子を含む粉体が振とうのために収容される容器の容積は、特に制限されないが、例えば10mL~2000Lであってもよい。振とうされる粉体の総質量は、特に制限されないが、例えば10g~2000kgであってもよい。
【0017】
振とうされる粉体が受ける加速度の最大値が、0.050~4.0Gであってもよい。加速度がこの範囲内にあると、荷重下吸水量がより顕著に向上する傾向がある。同様の観点から、加速度の最大値は、0.10~3.0G、0.30~2.5G、0.5~2.5G、又は1.0G~2.5Gであってもよい。加速度の最大値は、振とうのための振動の振幅及び周波数に基づいて計算することができる。
【0018】
吸水性樹脂粒子を含む粉体を振とうする時間(振とう時間)は、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量が向上する長さであればよいが、例えば10分以上、20分以上又は30分以上であってもよく、24時間以下であってもよい。容器内に収容された粉体を、連続的に振とうし続ける必要はなく、途中で振とうを1回以上停止しながら、粉体を断続的に振とうしてもよい。吸水性樹脂粒子を断続的に振とうする場合、振とう時間の合計が上記範囲であればよい。
【0019】
振とう後の吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は、例えば15~30g/gであってもよい。振とう前の吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量に対する、振とう後の吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量の割合が、103%以上、105%以上、又は110%以上であってもよく、150%以下であってもよい。ここでの荷重下吸水量は、後述の実施例に記載の方法によって測定される値である。
【0020】
吸水性樹脂粒子は、特に限定されないが、エチレン性不飽和単量体を単量体単位として含む重合体を含む粒子であってもよい。エチレン性不飽和単量体は、水溶性の単量体であってもよく、その例としては、(メタ)アクリル酸及びその塩、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、並びにジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。エチレン性不飽和単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。エチレン性不飽和単量体がカルボキシル基、アミノ基等の官能基を有する場合、それらは重合体を架橋させる官能基として機能し得る。吸水性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸の塩のうち少なくとも一方を単量体単位として含む重合体を含む粒子であってもよい。
【0021】
吸水性樹脂粒子を構成する重合体は、架橋重合体であってもよい。この場合、重合体は、自己架橋、架橋剤との反応による架橋、又はこれらの両方によって架橋されていてもよい。吸水性樹脂粒子が、少なくともその表層部分の重合体を架橋剤で架橋することによって表面架橋されていてもよい。表面架橋された吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は、振とうによってより大きく向上し得る。表面架橋のための架橋剤を表面架橋剤ということがある。
【0022】
架橋剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等の2個以上のエポキシ基を有する化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、及びα-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等の2個以上のイソシアネート基を有する化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;並びに、ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物が挙げられる。架橋剤が、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物を含んでいてもよい。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0023】
吸水性樹脂粒子は、エチレン性不飽和単量体の重合体に加えて、各種の追加の成分を含んでいてもよい。追加の成分の例としては、ゲル安定剤、金属キレート剤、及び流動性向上剤(滑剤)が挙げられる。追加の成分は、重合体を含む重合体粒子の内部、重合体粒子の表面上、又はそれらの両方に配置され得る。追加の成分は、流動性向上剤(滑剤)であってもよい。流動性向上剤は、無機粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。
【0024】
吸水性樹脂粒子の形状は、特に限定されず、例えば略球状、破砕状、又は顆粒状であってもよく、これらの形状を有する一次粒子が凝集した粒子が形成されていてもよい。吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、250~850μm、300~700μm、又は、300~600μmであってよい。
【0025】
吸水性樹脂粒子は、例えば、エチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合することを含む方法によって、エチレン性不飽和単量体を単量体単位として含む重合体を含む吸水性樹脂粒子を得る工程と、上述の実施形態に係る方法によって吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる工程とを含む方法によって、製造することができる。単量体の重合方法は、例えば、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、バルク重合法、及び沈殿重合法から選択され得る。吸水性樹脂粒子の良好な吸水特性の確保、及び、重合反応の容易な制御の観点から、逆相懸濁重合法又は水溶液重合法を採用してもよい。重合中又は重合後の架橋反応、粉砕による粒子形成、乾燥等の工程は、必要により通常の方法によって実施することができる。重合及び乾燥後の粒子と表面架橋剤との反応によって、表面架橋された吸水性樹脂粒子を得ることができる。
【0026】
荷重下吸水量を向上させた吸水性樹脂粒子を用いて、おむつ等の各種の吸収性物品を製造することができる。
【実施例
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
1.測定方法
1-1.吸水性樹脂粒子からなる粉体の固めかさ密度
粉体特性評価装置(ホソカワミクロン株式会社製、型番:PT-X)を用いて、吸水性樹脂粒子からなる粉体の固めかさ密度を以下の手順で測定した。固めかさ密度の測定は室温(25℃±2℃)、湿度50%±10%の条件で行った。
カップ状の容器(容積100mL、内径約50mm、高さ約50mm)の空状態での質量W0を測定した。次に、容器の上部に、円筒状のキャップ(内径51mm、高さ51mm)を取り付けた。キャップの上方開口部から、100gの粉体を、装置附属のスコップによって容器に入れた。続いて、容器をタッピングリフトバー(タッピング装置)に載せ、ストローク18mmの180回のタッピングによって、容器内の粉体に衝撃を加えた。その後、キャップを外してから、容器の上方開口部から盛り上がった部分の粉体を、ブレードで擦り切ることにより除去した。続いて、粉体を含む容器の質量W1を測定した。質量W0及び質量W1に基づき、下記式より固めかさ密度を求めた。固めかさ密度を計3回測定し、その平均値を吸水性樹脂粒子からなる粉体の固めかさ密度D[g/mL]として記録した。
固めかさ密度[g/mL]=(W1[g]-W0[g])/100[mL]
【0029】
1-2.理論充填率
吸水性樹脂粒子からなる粉体をチャック付きポリエチレン袋に入れたときの理論充填率を、下記式により求めた。
理論充填率[%]={(X[g]/D[g/mL])/V[mL]}×100
式中、Xは粉体の質量、Dは粉体の固めかさ密度、Vはポリエチレン袋の容量である。ポリエチレン袋にチャックを閉じた状態で充填可能な最大量の純水の体積を測定し、これをポリエチレン袋の最大容積とみなした。
【0030】
1-3.荷重下吸水量(荷重:4.14kPa)
荷重下吸水量の測定は室温(25℃±2℃)、湿度50%±10%の条件行った。図2は、荷重下吸水量を測定する方法を示す模式図である。内径12cmのシャーレ17内にガラスフィルター19(直径9cm、厚み7mm、規格:ISO4793、P-250)を置いた。続いてシャーレ17に生理食塩水20をガラスフィルター19の高さまで入れた。質量X[g]の吸水性樹脂粒子からなる粉体1を、端部に255メッシュのボルティングクロス(ナイロンメッシュ)13を装着したシリンダー11(内径2.0cm:外径3.0cm:高さ5.0cm)内に均一に入れた。ここでのXは、0.1000±0.0005gとした。シリンダー内の粉体1の上に、粉体1に4.14kPaの圧力が加わる質量を有する円筒状の重り15を置いた。重り15はシリンダー内径よりわずかに小さい外径を有しており、シリンダ内を上下方向にスムーズに動ける。この状態で全体の質量W1[g](粉体1、シリンダー11、ボルティングクロス13及び重り15の合計質量)を測定した。粉体1及び重り15が収容されたシリンダー11を、シャーレ17内のガラスフィルター19上に置き、1時間かけて粉体1を生理食塩水20で膨潤させた。膨潤後の粉体1、シリンダー11、ボルティングクロス13及び重り15の合計質量W2[g]を測定した。吸水性樹脂粒子からなる粉体の乾燥滅量A[%]も後述の方法により別途測定した。下式により荷重下吸水量を算出した。
荷重下吸水量[g/g]=(W2-W1)/{X×(100-A)/100}
荷重下吸水量を5回測定し、得られた測定値の平均値を、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量として記録した。この方法によれば、荷重下吸水量は、乾燥減量の変化による測定値への影響を除去して測定される。そのため、乾燥減量が増加又は減少する場合においても荷重下吸水量の数値を比較することができる。
【0031】
1-4.乾燥減量
吸水性樹脂粒子からなる粉体2.0gを、あらかじめ恒量(W3(g))としたアルミホイールケース(8号)にとり、その質量W4(g)を精秤した。精秤された粉体を、内温を105℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製、型式:FV-320)で2時間乾燥させた。粉体をデシケーター中で放冷した後、その質量W5(g)を乾燥質量として測定した。以下の式から、吸水性樹脂粒子の乾燥減量を算出した。
乾燥減量(質量%)=[{(W4-W3)-(W5-W3)}/(W4-W3)]×100
【0032】
2.吸水性樹脂粒子
住友精化株式製のアクアキープSA60SXII(商品名、ポリアクリル酸ナトリウムを含む粒子)を吸水性樹脂粒子として準備した。この吸水性樹脂粒子からなる粉体の固めかさ密度は0.83g/mLであった。
【0033】
3.振とう試験
吸水性樹脂粒子からなる粉体を、チャック付のポリエチレン袋(チャック内側のサイズ:70mm×50mm、厚さ0.04mm、容量35mL)に充填した。充填される粉体の量は29.05gであり、これは100%の理論充填率に相当する量であった。
粉体が充填されたポリエチレン袋を、JIS Z 8801用受け皿の上に、チャック部分が側方に位置する向きで置いた。受け皿に置かれたポリエチレン袋の上に、1.0kg、2.0kg、3.5kg、又は5.0kgの重り(底面:10×10cm)を載せ、重りをポリエチレン袋に粘着テープで固定した。受け皿に置かれたポリエチレン袋の水平投影面積を、重りから粉体に荷重が加わる作用面積とみなし、下記式によって吸水性樹脂粒子の粉体全体に加わる圧力を見積もった。
圧力[kPa]=重り質量[kg]/3500[mm]×9.81×10
次いでこの受け皿を、振動強度を1又は7に設定した、電磁振動式ふるい振とう機オクタゴン200(endecotts社製)を用いて30分間、垂直運動を含む振動を与えることにより、粉体を30分間又は300分間振とうした。粉体が受ける加速度の計算値は、振動強度1のときに最大で0.1Gで、振動強度7のときに最大で2.2Gである。振とう後の吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を測定した。比較のため、振とう前の吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量も測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に荷重下吸水量の測定結果が示される。図3は、荷重下吸水量と、粉体に加わる圧力との関係を示すグラフである。荷重を加えた状態で吸水性樹脂粒子の粉体を振とうすることによって、振とう前と比較して荷重下吸水量が明らかに向上することが確認された。
【符号の説明】
【0036】
1…吸水性樹脂粒子を含む粉体、3…容器、5…支持体、7…重り。
図1
図2
図3