(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ケイ素含有膜のための組成物及びその組成物を使用する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/34 20060101AFI20240912BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240912BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240912BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20240912BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240912BHJP
C07F 7/12 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C23C16/34
H01L21/31 C
H01L21/205
H01L21/312 A
C23C16/455
C07F7/12 T
(21)【出願番号】P 2021544513
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020016335
(87)【国際公開番号】W WO2020160529
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール.マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】マンチャオ シアオ
(72)【発明者】
【氏名】ミン リー
(72)【発明者】
【氏名】メイリャン ワン
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-190689(JP,A)
【文献】Wannagat, Ulrich; Schmidt, Peter; Schulze, Manfred,Reactions of hexachlorodisilazane,Angewandte Chemie, International Edition in English ,1967年,1(5),447-8
【文献】Drake, J. E.; Westwood, N. P. C.,Chlorosilylamines,Journal of the Chemical Society [Section] A: Inorganic, Physical, Theoretical,1971年,(22),3617-20
【文献】Mooser, J. P. et al,Transsilylation on disilazanes,Zeitschrift fuer Naturforschung, Teil B: Anorganische Chemie, Organische Chemie, Biochemie, Biophysik, Biologie ,1974年,29(3-4),166-73
【文献】Fleischer, Holger et al,Bis(dichlorosilyl)methylamine. Synthesis, crystal structure, and conformational analysis in the gas phase,Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie,1999年,625(2),313-320
【文献】Frenzel, Andrea et al,Synthetic and structural studies of 1-sila-2,5-diaryltetrazenes,Chemische Berichte/Recueil,1997年,130(11),1579-1583
【文献】Pinchuk, A. M. et al,Imination of compounds of trivalent phosphorus by compounds containing an N-chloro-N-(trimethylsilyl) group,Khim. Elementoorg. Soedin. ,1976年,98-102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
H01L
C23C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素含有膜を形成するための組成物であって、以下の式I:
【化1】
によって表され、式中、R
1が、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され;R
2が、水素、
メチル、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドであるシラザン前駆体を含み、かつ有機アミン、ハライドイオン、金属イオンを含有しない、組成物。
【請求項2】
シラザン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザ
ン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ケイ素含有膜を形成するための組成物であって、
(a)式I:
【化2】
によって表され、式中、R
1が、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され;R
2が、水素、
メチル、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIから選択されるハライドである少なくとも1つのシラザンと;
(b)ある沸点を有する溶媒であって、溶媒の沸点と、少なくとも1つのシラザンの沸点との差が40℃以下である溶媒と
を含み、かつ有機アミン、ハライドイオン及び金属イオンを実質的に含有しない、組成物。
【請求項4】
シラザン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザ
ン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
溶媒が、エーテル
、アルキル炭化水素
及び芳香族炭化水
素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
化学気相堆積プロセス及び原子層堆積プロセスから選択される堆積プロセスによって、基材の少なくとも1つの表面にケイ素含有膜を形成する方法であって、
基材の少なくとも1つの表面を反応チャンバー中に提供する工程と;
以下の式I:
【化3】
によって表され、式中、R
1が、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され;R
2が、水素、
メチル、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドから選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
窒素含有源を反応器中に導入する工程であって、少なくとも1つのシラザン前駆体と窒素含有源とが反応して、少なくとも1つの表面に膜を形成する工程と
を含み、シラザンが、有機アミン、ハライドイオン及び金属イオンを実質的に含有しない、方法。
【請求項7】
少なくとも1つのシラザンが、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザ
ン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
窒素含有源が、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ケイ素含有膜が、窒化ケイ素及び炭窒化ケイ素からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
プラズマ強化原子層堆積及びプラズマ強化サイクル性化学気相堆積から選択される堆積プロセスによる非晶質膜及び結晶性膜から選択されるケイ素含有膜を形成する方法であって、
1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
以下の式I:
【化4】
によって表され、式中、R
1が、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択され;R
2が、水素、
メチル、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドであり、シラザンが、有機アミン、ハライドイオン、金属イオンを実質的に含有しない少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
パージガスを用いて反応器をパージする工程と;
プラズマ源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程と;
パージガスを用いて反応器をパージする工程と
を含む、方法。
【請求項11】
プラズマ源が、水素及びアルゴンを含むプラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、アルゴンプラズマ、ヘリウムプラズマ並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのシラザンが、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザ
ン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月1日に提出された米国仮出願第62/800085号に対する優先権を主張していて、その全体の内容は、全ての可能な目的のために、それに対する参照によって、本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子装置の製造のための組成物及び方法が、本明細書において説明される。より具体的には、低誘電率(<4.0)かつ高い酸素アッシング抵抗のケイ素含有膜、例えば、以下に限定するものではないが、非晶質ケイ素、結晶性ケイ素、酸化ケイ素、酸炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素及び酸炭窒化ケイ素の堆積のための化合物並びにその化合物を含む組成物及び方法が、本明細書において説明される。
【背景技術】
【0003】
当分野において、電子産業における特定の用途のために、高い炭素含有量(例えば、X線光電子分光法(XPS)によって測定した場合に約10at%以上の炭素含有量)のドープされたケイ素含有膜を堆積するための組成物及びその組成物を使用する方法が提供される必要がある。
【0004】
米国特許第8575033号明細書は、基材表面への炭化ケイ素膜の堆積のための方法を説明している。方法は、気相カルボシラン前駆体の使用を含み、プラズマ強化原子層堆積プロセスを用いることができる。
【0005】
米国特許出願公開第2013/022496号明細書は、原子層堆積(ALD)によって、半導体基材に、Si-C結合を有する誘電体膜を形成する方法を教示している。方法は、(i)前駆体を基材の表面に吸着させる工程;(ii)吸着された前駆体と反応体ガスとを表面で反応させる工程;並びに(iii)工程(i)及び(ii)を繰り返して、少なくともSi-C結合を有する誘電体膜を基材に形成する工程を含む。
【0006】
国際公開第14/134476号は、SiCN及びSiCONを含む膜の堆積のための方法を説明している。特定の方法は、第一の及び第二の前駆体に基材表面を暴露することを含み、第一の前駆体は、式(XyH3-ySi)zCH4-z、(XyH3-ySi)(CH2)(SiXpH2-p)(CH2)(SiXyH3-y)又は(XyH3-ySi)(CH2)n(SiXyH3-y)を有し、式中、xはハロゲンであり、yは1~3の値を有し、zは1~3の値を有し、pは0~2の値を有し、nは2~5の値を有していて、第二の前駆体は還元性アミンを含む。特定の方法は、炭素ドープされた酸化ケイ素を含む膜を提供するために、酸素源への基材表面の暴露をさらに含む。
【0007】
Hirose,Y.、Mizuno,K.、Mizuno,N.、Okubo,S.、Okubo,S.、Yanagida,K.及びYanagita,K.ら、(2014)、「Method of manufacturing semiconductor device,substrate processing apparatus,and recording medium」、米国特許出願公開第2014/287596号明細書は、あるサイクルを所定の回数行うことによって、基材に、ケイ素、酸素及び炭素を含有する薄膜を形成することを含む、半導体装置を製造する方法を説明していて、サイクルは、ケイ素、炭素及びハロゲン元素を含有し、かつSi-C結合を有する前駆体ガスと、第一の触媒性ガスとを基材に供給すること;並びに酸化性ガスと第二の触媒性ガスとを基材に供給することを含む。
【0008】
Hirose,Y.、Mizuno,N.、Yanagita,K.及びOkubo,S.ら、(2014)、「Method of manufacturing semiconductor device, substrate processing apparatus, and recording medium」、米国特許第9343290号明細書は、あるサイクルを所定の回数行うことによって、基材に酸化物膜を形成することを含む、半導体装置を製造する方法を説明している。サイクルは、前駆体ガスを基材に供給すること;及びオゾンガスを基材に供給することを含む。前駆体ガスを供給する行為において、前駆体ガスは、触媒性ガスが基材に供給されていない状態で基材に供給され、オゾンガスを供給する行為において、オゾンガスは、アミンベースの触媒性ガスが基材に供給される状態で基材に供給される。
【0009】
米国特許第9349586号明細書は、望ましいエッチング耐性及び低い誘電率を有する薄膜を開示している。
【0010】
米国特許出願公開第2015/0044881号明細書は、高い濃度で添加された炭素を含有する膜が、高い制御性で形成される方法を説明している。半導体装置を製造する方法は、あるサイクルを所定の回数行うことによって、基材に、ケイ素、炭素及び所定の元素を含有する膜を形成することを含む。所定の元素は、窒素及び酸素のうち1つである。サイクルは、少なくとも2個のケイ素原子/1モルと、炭素と、ハロゲン元素とを含有し、かつSi-C結合を有する前駆体ガスを、基材に供給すること、並びに所定の元素を含有する改質ガスを基材に供給することを含む。
【0011】
「Highly Stable Ultrathin Carbosiloxane Films by Molecular Layer Deposition」と題された参照文献、Han,Z.ら、Journal of Physical Chemistry C、2013、117、19967は、1,2-ビス[(ジメチルアミノ)ジメチルシリル]エタン及びオゾンを使用して、カルボシロキサン膜を成長させることを教示している。熱安定性は、膜が40℃以下で安定であり、60℃でわずかな厚さ損失であることを示している。
【0012】
Liuら、Jpn.J.Appl.Phys.、1999、Vol.38、3482~3486は、スピンオン技術によって堆積されたポリシルセスキオキサンに対するH2プラズマの使用を教示している。H2プラズマは、安定した誘電率を有する膜を提供し、膜の熱安定性を改善し、O2アッシング(プラズマ)処理の間に、より少ない損傷を受けさせる。
【0013】
Kimら、Journal of the Korean Physical Society、2002、Vol.40、94は、PECVD SiOC膜に対するH2プラズマ処理が漏洩電流密度を改善し(4~5桁)、一方で誘電率を2.2から2.5に増加させることを教示している。H2プラズマの後のSiOC膜は、O2アッシングプロセスの間に、より少ない損傷を受ける。
【0014】
Possemeら、Solid State Phenomena、2005、Vol.103~104、337は、SiOC PECVD膜に対する、異なるH2/不活性プラズマ処理を教示している。誘電率kは、H2プラズマ処理の後に改善せず、バルクの改質がないことを示唆している。
【0015】
先述の特許、特許出願及び公報の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0016】
2つのSiR2X2基に連結された1つの有機アミノ基を有するシラザン化合物を含むケイ素前駆体、その前駆体を含む組成物、並びにケイ素を含有する膜を、例えば、以下に限定するものではないが、酸化ケイ素、炭素ドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素及びそれらの組み合わせを、基材の少なくとも一部に形成するための、その前駆体を使用する方法が本明細書において説明される。加えて、有機アミン、より高い分子量の種及び微量金属から選択される少なくとも1つの種を実質的に含有しないシラザンを含む組成物が本明細書において説明される。組成物は、溶媒をさらに含んでよい。処理される物体、例えば半導体ウエハに、ケイ素を含む膜又はコーティングを形成する方法もまた本明細書において開示される。本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、堆積チャンバー中で、酸化ケイ素膜又は炭素ドープされた酸化ケイ素膜を基材に生成するための条件の下で、シラザン前駆体及び酸素含有源を使用して、ケイ素及び酸素を含む膜が基材に堆積される。本明細書において説明される方法の別の実施態様において、堆積チャンバーにおいて、基材に窒化ケイ素膜を生成するための条件の下で、シラザン前駆体及び窒素含有前駆体を使用して、ケイ素及び窒素を含む膜が基材に堆積される。さらなる実施態様において、本明細書において説明されるシラザン前駆体は、金属含有膜、例えば、以下に限定するものではないが、金属酸化物膜又は金属窒化物膜のためのドーパントとしても使用することができる。本明細書において説明される組成物及び方法において、本明細書において説明される式を有するシラザンは、ケイ素含有前駆体のうち少なくとも1つとして用いられる。
【0017】
1つの態様において、本明細書において説明されるケイ素前駆体は、以下の式I:
【化1】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を含む。
【0018】
別の態様において、
(a)以下の式I:
【化2】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を含む本明細書において説明されるケイ素前駆体と;
(b)少なくとも1つの溶媒と
を含む組成物が提供される。本明細書において説明される組成物の特定の実施態様において、例示的な溶媒は、以下に限定するものではないが、エーテル、第三級アミン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素、シロキサン、第三級アミノエーテル及びそれらの組み合わせを含む。特定の実施態様において、ケイ素化合物の沸点と溶媒の沸点との差は、40℃以下、約30℃未満、幾つかの場合においては約20℃未満、最も好ましくは10℃未満である。
【0019】
別の態様において、基材の少なくとも1つの表面にケイ素含有膜を形成するための方法であって、
基材の少なくとも1つの表面を反応チャンバー中に提供する工程と;
以下の式I:
【化3】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を使用する、化学気相堆積プロセス及び原子層堆積プロセスから選択される堆積プロセスによって少なくとも1つの表面にケイ素含有膜を形成する工程と
を含む方法が提供される。
【0020】
別の態様において、原子層堆積プロセス又はALDと同様のプロセスによって酸化ケイ素膜又は炭素ドープされた酸化ケイ素膜を形成する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.以下の式I:
【化4】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器中に導入する工程と;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程と;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程と;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程と
を含み、工程b~eが、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返される方法が提供される。
【0021】
さらなる態様において、CVDプロセスを使用する、基材の少なくとも1つの表面に酸化ケイ素膜及び炭素ドープされた酸化ケイ素膜から選択される膜を形成する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.以下の式I:
【化5】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器中に導入する工程と;
c.酸素含有源を提供して、少なくとも1つの表面に膜を堆積する工程と
を含む方法が提供される。特定の実施態様において、R
1とR
2とは同じである。幾つかの他の実施態様において、R
1とR
2とは異なる。
【0022】
別の態様において、原子層堆積プロセスによって窒化ケイ素膜を形成する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.以下の式I:
【化6】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.窒素含有源を反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの窒化ケイ素膜が得られるまで繰り返される方法が提供される。特定の実施態様において、R
1とR
2とは同じである。幾つかの他の実施態様において、R
1とR
2とは異なる。
【0023】
さらなる態様において、CVDプロセスを使用する、基材の少なくとも1つの表面に窒化ケイ素膜を形成する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.以下の式I:
【化7】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器中に導入する工程と;
c.窒素含有源を提供する工程であって、少なくとも1つのシラザン前駆体と窒素含有源とが反応して、少なくとも1つの表面に膜を堆積する工程と
を含む方法が提供される。特定の実施態様において、R
1とR
2とは同じである。幾つかの他の実施態様において、R
1とR
2とは異なる。
【0024】
本明細書において説明される方法のさらなる実施態様において、基材の少なくとも1つの表面に非晶質又は結晶性のケイ素膜又は炭化ケイ素膜を形成する方法が提供される。この実施態様において、方法は、
a.1つ又は複数の基材を反応器中に配置し、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
b.以下の式I:
【化8】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
c.還元剤源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程と
を含む。還元剤は、水素、水素プラズマ及び塩化水素からなる群から選択される。CVD方法の特定の実施態様において、反応器は、導入する工程の間、10mTorr~760Torrの圧力に保たれる。上の工程は、本明細書において説明される方法のための1サイクルを規定し、工程のサイクルは、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返すことができる。幾つかの実施態様において、R
1とR
2とは同じである。他の実施態様において、R
1とR
2とは異なる。
【0025】
別の態様において、原子層堆積プロセス又はサイクル性化学気相堆積プロセスによって、非晶質若しくは結晶性のケイ素膜又は炭化ケイ素膜を堆積する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.以下の式I:
【化9】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器中に導入する工程
を含み、工程bが、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返される方法が提供される。特定の実施態様において、膜の厚さは1Å以上、1~10000Å、1~1000Å又は1~100Åである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において説明されるシラザン前駆体は、化学量論的及び非化学量論的ケイ素含有膜、例えば、以下に限定するものではないが、非晶質ケイ素、結晶性ケイ素、酸化ケイ素、酸炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素及び酸炭窒化ケイ素を形成するために使用される。これらの前駆体は、例えば金属含有膜のためのドーパントとしても使用することができる。典型的には、半導体プロセスにおいて使用されるシラザン前駆体は、気化され、堆積チャンバー又は反応器にガスとして輸送されて、半導体装置のためにCVD又はALDプロセスによってケイ素含有膜を堆積する高純度の揮発性液体化学物質である。堆積のための前駆体材料の選択は、所望の結果物のケイ素含有材料又は膜に依存する。例えば、前駆体材料は、その化学元素の含有量、その化学元素の化学量論比、及び/又はCVDの下で形成される結果物のケイ素含有膜若しくはコーティングについて選択することができる。前駆体材料は、様々な他の特徴、例えばコスト、比較的低い毒性、取り扱いの特徴、液相を室温に保つ能力、揮発性、分子量及び/又は他の考慮事項についてもまた選択することができる。特定の実施態様において、本明細書において説明される前駆体は、任意の多くの手法で、好ましくは適したバルブ及び付属器具を備える加圧可能なステンレス鋼容器を使用して、反応器システムに輸送することができ、堆積チャンバー又は反応器への液相前駆体の輸送を可能とする。
【0027】
本明細書において説明されるシラザン前駆体は、それらのシラザン前駆体を、マイクロ電子装置の製造プロセスにおけるCVD又はALD前駆体として理想的に適したものとする反応性と安定性とのバランスを示す。反応性に関して、本発明におけるシラザンは、ALDプロセスの間にシラザン前駆体がヒドロキシル表面と反応するのを助ける2つのSiR2X2基を有する。特定の前駆体は、気化され、反応器に輸送されて、基材に膜として堆積されるのには高すぎる沸点を有する場合があり、従って、より小さい有機アミノ基並びにより小さいアルキル基を選択して、250℃以下の沸点、好ましくは200℃以下の沸点を有する前駆体を提供することが好ましい。先行技術において開示されるように、2以上の有機アミノ基を有することは沸点を有意に上昇させることを可能とし;より高い相対的な沸点を有する前駆体は、凝縮物又は粒子が、コンテナ、ライン若しくはその両方において形成することを妨げるために、所与の真空の下で、輸送コンテナ及びラインが前駆体の沸点以上に加熱される必要があることを要求する。安定性に関して、他の前駆体は、それらが分解するにつれて、シラン(SiH4)又はジシラン(Si2H6)を形成する場合がある。シランは室温で自然発火性であるか、又は自発的に燃焼する場合があり、安全性及び取り扱いの問題をもたらす。さらに、シラン又はジシラン及び他の副生成物の形成は前駆体の純度レベルを低下させ、化学純度で1~2%ほどの小さい変化は信頼性のある半導体製造のために許容できないとみなされる場合がある。特定の実施態様において、本明細書において説明される式Iを有するシラザン前駆体は、6月以上又は1年以上の期間貯蔵された後に、2wt%以下、1wt%以下、又は0.5wt%以下の不純物(例えば遊離有機アミン、X-SiR2X2種、又はより高い分子量の不均化生成物)を含み、このことは、貯蔵安定性があることを示している。先述の利点に加えて、特定の実施態様において、例えば、ALD堆積方法、ALDと同様の堆積方法、PEALD堆積方法又はCCVD堆積方法を使用する、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜又はケイ素膜の堆積のために、本明細書において説明されるシラザン前駆体は、比較的低い堆積温度で、例えば1000℃以下、800℃以下、700℃以下、500℃以下、400℃以下、300℃以下、200℃以下、100℃以下又は50℃以下で、高い密度の材料を堆積することができる。
【0028】
1つの実施態様において、本明細書において説明される式Iを有するシラザンと、少なくとも1つの溶媒とを含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物が、本明細書において説明される。特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、本明細書において説明される組成物は、現行のケイ素前駆体、例えばヘキサクロロジシラン及びジクロロシランと比較して、1つ又は複数の利点を提供することができると考えられる。これらの利点は、半導体プロセスにおけるシラザンのより良好な使用、長期間の貯蔵の間のより良好な安定性、フラッシュ気化によるより清浄な蒸発、及び/又は全体としてより安定な直接液体注入(DLI)化学気相堆積プロセスを含む。組成物中のシラザンの重量割合は1~99wt%で、残部が少なくとも1つの溶媒であってよく、少なくとも1つの溶媒はシラザンと反応せず、シラザンと近い沸点を有する。後者に関して、組成物中のシラザンと少なくとも1つの溶媒との沸点の差は、40℃以下、より好ましくは20℃以下又は10℃以下である。
【0029】
1つの態様において、以下の式I:
【化10】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体が提供される。
【0030】
式において、及び明細書を通じて、用語「アルキル」は、1~10個又は1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の官能基を意味する。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソ-ヘキシル及びネオ-ヘキシルを含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、アルキル基は、それらに結合された1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基若しくはそれらの組み合わせを有してよい。他の実施態様において、アルキル基は、それらに結合された1つ又は複数の官能基を有しない。
【0031】
式において、及び明細書を通じて、用語「環状アルキル」は、3~10個、4~10個又は5~10個の炭素原子を有する環状官能基を意味する。例示的な環状アルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基を含むが、それらに限定されない。
【0032】
式において、及び明細書を通じて、用語「アリール」は、5~12個の炭素原子又は6~10個の炭素原子を有する芳香族の環状官能基を意味する。例示的なアリール基は、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル及びo-キシリルを含むが、それらに限定されない。
【0033】
式において、及び明細書を通じて、用語「アルケニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有し、かつ3~10個、3~6個又は3~4個の炭素原子を有する基を意味する。
【0034】
式において、及び明細書を通じて、用語「アルキニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素三重結合を有し、かつ3~10個、3~6個又は3~4個の炭素原子を有する基を意味する。
【0035】
式において、及び明細書を通じて、用語「有機アミノ基」は、窒素原子に結合された1つのアルキル基を有し、かつ1~10個、2~6個又は2~4個の炭素原子を有する基を意味する。例示的な有機アミノ基は、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミン、イソ-プロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソ-ブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノを含むが、それらに限定されない。
【0036】
式において、及び明細書を通じて、用語「ジアルキルアミノ基」は、窒素原子に結合された2つのアルキル基を有する基を意味し、それぞれのアルキル基は、例えば1~10個、2~6個又は2~4個の炭素原子を有する。例示的なジアルキルアミノ基は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソ-プロピルアミノ、ジ-n-ブチルアミノ、ジ-イソ-ブチルアミノ、ジ-sec-ブチルアミノ、ジ-tert-ブチルアミノを含むが、それらに限定されない。
【0037】
本明細書において使用されるとき、用語「電子吸引性基」は、Si-N結合から電子を引き抜くように作用する原子又はその基をいう。適した電子吸引性基又は置換基の例は、ニトリル(CN)を含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、電子吸引性置換基は、式Iのうちいずれか1つにおいて、Nに隣接しているか、又はNに近接していてよい。電子吸引性基のさらなる非限定的な例は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、RSO及び/又はRSO2を含み、式中、RはC1~C10アルキル基、例えば、以下に限定するものではないが、メチル基、又は別の基であってよい。
【0038】
特定の実施態様において、式Iにおけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリール基及び/若しくは電子吸引性基のうち1つ又は複数は、置換されているか、又は例えば水素原子の位置で置換された1つ若しくは複数の原子若しくは原子の基を有してよい。例示的な置換基は、酸素、硫黄、ハロゲン原子(例えばF、Cl、I又はBr)、窒素及びリンを含むが、それらに限定されない。
【0039】
特定の実施態様において、式Iを有する少なくとも1つのシラザン前駆体は、酸素若しくは窒素原子を含む1つ又は複数の置換基を有する。
【0040】
本明細書において説明される式Iの前駆体の特有の構造は、1000℃以下、700℃以下、500℃以下、400℃以下、300℃以下、200℃以下、100℃以下又は25℃以下の堆積温度を可能とすると考えられる。
【0041】
表1は、式Iによる、2つのSiR
2X
2基に連結された1つの有機アミノ基を有するケイ素前駆体の例を列記している。
表1.2つのSiR
2X
2基を有するケイ素前駆体
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0042】
好ましくは、本発明によるシラザン前駆体、及び本発明によるシラザン前駆体を含む組成物は、有機アミン又はハライドイオンを実質的に含有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に含有しない」は、ハライドイオン(又はハライド)に、例えば塩化物、フッ素化物、臭化物及びヨウ化物に関するとき、(重量で)5ppm未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0ppmを意味する。本明細書において使用されるとき、用語「含有しない」は、ハライドイオン又は他の不純物に関するとき、0ppmを意味する。塩化物は、シラザンのための分解触媒として作用することが知られている。最終製品中の有意なレベルの塩化物は、シラザン前駆体を分解することができる。シラザンの緩やかな分解は、半導体の製造者が膜の仕様を満たすことを困難にする膜堆積プロセスに、直接的に影響を与える場合がある。加えて、貯蔵寿命又は安定性は、より高いシラザンの分解速度によって負に影響を受け、従って、1~2年の貯蔵寿命を保証することを困難にする。従って、シラザンの加速された分解は、これらの可燃性であるか、及び/又は自発的に燃焼するガス状の副生成物の形成に関する安全性及び性能の懸念をもたらす。有機アミンは、C1~C10有機アミン、有機ジアミンを含むが、それらに限定されない。好ましくは、式Iを有するケイ素前駆体化合物は、金属イオン、例えばLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Al3+、Fe2+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+を実質的に含有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に含有しない」は、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Ni、Crに関するとき、ICP-MSによって測定した場合に、(重量で)5ppm未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0.1ppm未満を意味する。幾つかの実施態様において、式Iを有するケイ素前駆体化合物は、金属イオン、例えばLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Al3+、Fe2+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+を含有しない。本明細書において使用されるとき、用語、金属不純物を「含有しない」は、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Ni、Cr、貴金属、例えば合成において使用されるルテニウム又は白金触媒に由来する揮発性のRu又はPt錯体、に関するとき、ICP-MSによって、又は金属を測定するための他の分析方法によって測定した場合、(重量で)1ppm未満、好ましくは0.1ppm未満を意味する。
【0043】
ケイ素含有膜又はコーティングを形成するために使用される方法は、堆積プロセスである。本明細書において開示される方法のための適した堆積プロセスの例は、サイクル性CVD(CCVD)、MOCVD(金属有機CVD)、熱化学気相堆積、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、高密度PECVD、光子支援(photon assisted)CVD、プラズマ-光子支援(plasma-photon assisted)(PPECVD)、低温化学気相堆積、化学支援気相堆積(chemical assisted vapor deposition)、ホットフィラメント化学気相堆積、液体ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体からの堆積及び低エネルギーCVD(LECVD)を含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、金属含有膜は、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD(PEALD)又はプラズマ強化サイクル性CVD(PECCVD)プロセスによって堆積される。本明細書において使用されるとき、用語「化学気相堆積プロセス」は、基材が、基材表面で反応及び/又は分解して所望の堆積物を生成する1つ又は複数の揮発性の前駆体にさらされる任意のプロセスをいう。本明細書において使用されるとき、用語「原子層堆積プロセス」は、種々の組成物の基材に材料の膜を堆積する、自己制限的な(例えば、それぞれの反応サイクルにおいて堆積される膜材料の量が一定である)、連続的な表面化学反応をいう。本明細書において使用される前駆体、試剤及び供給源は、時には「ガス状」と説明される場合があるが、前駆体は、直接的な気化、バブリング又は昇華によって、不活性ガスを伴ってか、又は伴わずに、反応器中に輸送される液体又は固体のいずれかであってよいと理解される。幾つかの場合において、気化された前駆体は、プラズマ発生器を通過してよい。1つの実施態様において、ケイ素含有膜は、ALDプロセスを使用して堆積される。別の実施態様において、ケイ素含有膜は、CCVDプロセスを使用して堆積される。さらなる実施態様において、ケイ素含有膜は、熱CVDプロセスを使用して堆積される。本明細書において使用される用語「反応器」は、反応チャンバー又は堆積チャンバーを含むが、それらに限定されない。
【0044】
特定の実施態様において、本明細書において開示される方法は、反応器への導入の前及び/若しくは間に前駆体を分離するALD又はCCVD方法を使用することによって、前駆体の予備反応を回避する。このことに関して、堆積技術、例えばALD又はCCVDプロセスは、ケイ素含有膜を堆積するために使用される。1つの実施態様において、膜は、基材表面を、1つあるいは複数のケイ素含有前駆体に対して代わりに、酸素含有源、窒素含有源又は他の前駆体若しくは試剤にさらすことによって、ALDプロセスによって堆積される。膜の成長は、表面反応、それぞれの前駆体又は試剤のパルス長さ及び堆積温度の自己制限的な制御によって進行する。しかし、一度基材の表面が飽和すると、膜の成長は停止する。
【0045】
特定の実施態様において、本明細書において説明される方法は、上の式Iを有するシラザン前駆体以外の、1つ又は複数のさらなるケイ素含有前駆体をさらに含む。さらなるケイ素含有前駆体の例は、モノアミノシラン(例えばジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、フェニルメチルアミノシラン);有機ケイ素化合物、例えばトリシリルアミン(TSA);モノアミノシラン(ジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、フェニルメチルアミノシラン);シロキサン(例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ジメチルシロキサン(DMSO)及びヘキサクロロジシロキサン(HCDSO));有機シラン(例えばメチルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ビニルトリメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン、ジシリルメタン、2,4-ジシラペンタン、1,4-ジシラブタン、2,5-ジシラヘキサン、2,2-ジシリルプロパン、1,3,5-トリシラシクロヘキサン、及びこれらの化合物のフッ素化された誘導体);フェニル含有有機ケイ素化合物(例えばジメチルフェニルシラン及びジフェニルメチルシラン);酸素含有有機ケイ素化合物、例えばジメチルジメトキシシラン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラシラ-4-オキソ-ヘプタン、2,4,6,8-テトラシラ-3,7-ジオキソ-ノナン、2,2-ジメチル-2,4,6,8-テトラシラ-3,7-ジオキソ-ノナン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、[1,3,5,7,9]-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7-テトラシラ-2,6-ジオキソ-シクロオクタン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、1,3-ジメチルジシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、及びこれらの化合物のフッ素化された誘導体、を含むが、それらに限定されない。
【0046】
特定の実施態様において、堆積方法に応じて、1つ又は複数のケイ素含有前駆体は、所定のモル体積で、又は約0.1~約1000マイクロモルで、反応器中に導入することができる。この実施態様又は他の実施態様において、ケイ素含有前駆体及び/又はシラザン前駆体は、所定の期間の間に、反応器中に導入することができる。特定の実施態様において、期間は、約0.001~約500秒である。
【0047】
特定の実施態様において、本明細書において説明される方法を使用して堆積されたケイ素含有膜は、酸素含有源、酸素を含む試剤又は前駆体を使用して、酸素の存在の下で形成される。酸素含有源は、少なくとも1つの酸素含有源の形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付随的に存在していてよい。適した酸素含有源ガスは、例えば水(H2O)(例えば脱イオン水、精製水及び/又は蒸留水)、酸素(O2)、酸素プラズマ、オゾン(O3)、NO、N2O、NO2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)並びにそれらの組み合わせを含んでよい。特定の実施態様において、酸素含有源は、約1~約2000平方立方センチメートル(sccm)又は約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入される酸素含有源ガスを含む。酸素含有源は、約0.1~約100秒の範囲である時間の間に導入することができる。1つの特定の実施態様において、酸素含有源は、10℃以上の温度を有する水を含む。ALD又はサイクル性CVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは、0.01秒より長いパルス期間を有してよく、酸素含有源は、0.01秒より短いパルス期間を有してよく、一方で水パルス期間は、0.01秒より短いパルス期間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ期間は、0秒程度に短くあってよく、又は間にパージを伴わずに連続的にパルスされる。少なくとも幾らかの炭素が、堆積されたままのケイ素含有膜中に保持されるように、酸素含有源又は試剤は、ケイ素前駆体に対して1:1の比より少ない分子の量で提供される。
【0048】
特定の実施態様において、ケイ素含有膜は、ケイ素及び窒素を含む。これらの実施態様において、本明細書において説明される方法を使用して堆積されるケイ素含有膜は、窒素含有源の存在の下で形成される。窒素含有源は、少なくとも1つの窒素含有源の形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付随的に存在していてよい。適した窒素含有源ガスは、例えばアンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ及びそれらの混合物を含んでよい。特定の実施態様において、窒素含有源は、約1~約2000平方立方センチメートル(sccm)若しくは約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入されるアンモニアプラズマ又は水素/窒素プラズマ源ガスを含む。窒素含有源は、約0.1~約100秒の範囲である時間の間に導入することができる。ALD又はサイクル性CVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは、0.01秒より長いパルス期間を有してよく、窒素含有源は、0.01秒より短いパルス期間を有してよく、一方で水パルス期間は、0.01秒より短いパルス期間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ期間は、0秒程度に短くあってよく、又は間にパージを伴わずに連続的にパルスされる。
【0049】
本明細書において開示される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを含むことができる。未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージするのに使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン、水素(H2)及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、パージガス、例えばArは、約10~約2000sccmの流速で、約0.1~1000秒の間に、反応器中に供給され、従って、反応器中に残存している場合がある未反応の材料及び任意の副生成物をパージする。
【0050】
前駆体、酸素含有源、窒素含有源及び/又は他の前駆体、供給源ガス及び/又は試剤を供給するそれぞれの工程を、それらを供給するための時間を変えて行って、得られるケイ素含有膜の化学量論的な組成を変えることができる。
【0051】
反応を誘起して、基材にケイ素含有膜又はコーティングを形成するために、前駆体、窒素含有源、還元剤、他の前駆体又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つにエネルギーが適用される。このようなエネルギーは、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子線、光子、遠隔プラズマの方法、及びそれらの組み合わせによって提供することができるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、二次無線周波数源(secondary RF frequency source)を使用して、基材表面におけるプラズマ特性を改質することができる。堆積がプラズマを含む実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマが反応器中で直接的に発生される直接プラズマ発生プロセス、又は代わりに、プラズマが反応器の外部で発生されて反応器中に供給される遠隔プラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0052】
シラザン前駆体及び/又は他のケイ素含有前駆体は、様々な手法で、反応チャンバーに、例えばCVD又はALD反応器に輸送することができる。1つの実施態様において、液体輸送システムを利用することができる。代わりの実施態様において、液体輸送プロセスとフラッシュ気化プロセスとが組み合わせられたユニット、例えばMSP Corporation of Shoreview,MNによって製造されたターボ気化器を用いることができ、低揮発性材料が容量分析的に輸送されることを可能とし、このことは前駆体の熱分解を伴わない再現性のある輸送及び堆積をもたらす。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、ほぼ液体の形態で輸送することができるか、又は代わりに、その前駆体を含む溶媒配合物若しくは組成物で用いることができる。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、基材に膜を形成する所与の最終使用用途において望ましくかつ有利であることができる、適した特性の少なくとも1つの溶媒成分を含んでよい。
【0053】
溶媒と、本明細書において説明される式Iを有する少なくとも1つのシラザン前駆体とを含む組成物において式Iを有する前駆体が使用される実施態様について、選択される溶媒又はそれらの混合物は、シラザンと反応しない。溶媒の量は、組成物における重量割合で、0.5wt%~99.5wt%又は10wt%~75wt%である。この実施態様又は他の実施態様において、溶媒は、式Iのシラザンの沸点(b.p.)に近いb.p.を有するか、又は溶媒のb.p.と式Iの有機アミノシランのb.p.との差は、40℃以下、30℃以下、20℃以下若しくは10℃である。代わりに、沸点の間の差は、以下の端点:0、10、20、30若しくは40℃のうち任意の1つ又は複数を端点とする範囲である。b.p.の差の適した範囲の例は、0℃~40℃、20℃~30℃又は10℃~30℃を含むが、それらに限定されない。組成物における適した溶媒の例は、以下に限定するものではないが、エーテル(例えば1,4-ジオキサン、ジブチルエーテル)、第三級アミン(例えばピリジン、1-メチルピペリジン、1-エチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)、ニトリル(例えばベンゾニトリル)、アルキル炭化水素(例えばオクタン、ノナン、ドデカン、エチルシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、メシチレン)、第三級アミノエーテル(例えばビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル)又はそれらの混合物を含む。
【0054】
別の実施態様において、式Iを有する1つ又は複数のシラザン前駆体を含むケイ素含有膜を堆積するための容器が、本明細書において説明される。1つの特定の実施態様において、容器は、CVD又はALDプロセスのための反応器への1つ又は複数の前駆体の輸送を可能とする適したバルブ及び取り付け具を備える少なくとも1つの加圧可能な(好ましくはステンレス鋼製の)容器を含む。この実施態様又は他の実施態様において、式Iを有するシラザン前駆体は、ステンレス鋼で構成された加圧可能な容器中に提供され、前駆体の純度は、多くの半導体用途のために適している98wt%以上又は99.5wt%以上である。特定の実施態様において、所望される場合には、このような容器は、前駆体を1つ又は複数のさらなる前駆体と混合するための手段を有してもよい。これらの実施態様又は他の実施態様において、容器の内容物は、さらなる前駆体と予備混合することができる。代わりに、シラザン前駆体及び/又は他の前駆体は、別々の容器中に、又は貯蔵の間にシラザン前駆体と他の前駆体とを分離して保持するための分離手段を有する単一の容器中に保持することができる。
【0055】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、サイクル性の堆積プロセス、例えばCCVD、ALD又はPEALDを用いることができ、本明細書において説明される式を有するシラザン前駆体から選択される少なくとも1つのケイ素含有前駆体と、任意選択で、例えばアンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマなどの窒素含有源とが用いられる。
【0056】
特定の実施態様において、前駆体キャニスタから反応チャンバーへと連結するガスラインは、プロセスの要求に応じた1つ又は複数の温度に加熱され、本明細書において説明される式Iを有するシラザン前駆体のコンテナは、バブリングのための1つ又は複数の温度に保たれる。他の実施態様において、本明細書において説明される式を有する少なくとも1つのケイ素含有前駆体を含む溶液は、直接液体注入のための1つ又は複数の温度に保たれた気化器中に注入される。
【0057】
アルゴン及び/又は他のガスの流れをキャリアガスとして用いて、前駆体パルスの間に少なくとも1つのシラザン前駆体の気相を反応チャンバーへと輸送するのを促進することができる。特定の実施態様において、反応チャンバープロセスの圧力は、約10Torr以下である。別の実施態様において、反応チャンバープロセスの圧力は、約5Torr以下である。
【0058】
典型的なALD又はCCVDプロセスにおいて、基材は、例えば、以下に限定するものではないが、酸化ケイ素、炭素ドープされた酸化ケイ素、フレキシブル基材又は金属窒化物基材は、初期にケイ素含有前駆体にさらされる反応チャンバー中の加熱器ステージで加熱されて、シラザンを基材の表面に化学的に吸着させる。パージガスは、例えば窒素、アルゴン又は他の不活性ガスは、未吸収の余剰のシラザンをプロセスチャンバーからパージする。十分なパージの後、酸素含有源は、反応チャンバー中に導入されて、吸収された表面と反応することができ、次いで別のガスパージがされて、チャンバーから反応副生成物を除去する。プロセスのサイクルを繰り返して、所望の膜厚を達成することができる。他の実施態様において、真空の下でのポンピングを使用して、未吸収の余剰のシラザンをプロセスチャンバーから除去することができ、ポンピングの下での十分な排気の後、酸素含有源は、反応チャンバー中に導入されて、吸収された表面と反応することができ、次いで別のポンピングパージがされて、反応副生成物をチャンバーから除去する。さらに別の実施態様において、シラザン及び酸素含有源は、反応チャンバー中に共に流されて、基材表面で反応して、酸化ケイ素、炭素ドープされた酸化ケイ素を堆積することができる。サイクル性CVDの特定の実施態様において、パージステップは使用されない。
【0059】
この実施態様又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、順次に又は同時に(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)、及びそれらの任意の組み合わせで行うことができると考えられる。前駆体及び窒素含有源ガスを供給するそれぞれの工程は、それらを供給するための期間を変えて行って、得られるケイ素含有膜の化学量論的な組成を変えることができる。
【0060】
本明細書において開示される方法の別の実施態様において、ケイ素及び窒素の両方を含有する膜が、
a.基材をALD反応器中に提供する工程と;
b.以下の式I:
【化11】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体をALD反応器中に導入して、少なくとも1つのシラザン前駆体を基材に化学吸着する工程と;
c.パージガスを使用して、任意の未反応の少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器からパージする工程と;
d.窒素含有源を反応器中に提供して、化学吸着された少なくとも1つのシラザン前駆体と反応させる工程と;
e.任意選択で、任意の未反応の窒素含有源をパージ又はポンピングする工程と
を含むALD、PEALD、CCVD又はPECCVD堆積方法を使用して形成される。工程b~eは、ケイ素及び窒素の両方を含有する膜の所望の厚さに到達するまで繰り返される。上の発明の1つの特定の実施態様において、窒化ケイ素又は炭素ドープされた窒化ケイ素の高温堆積について、基材温度は、600℃~850℃、650℃~800℃又は700℃~800℃である。別の実施態様において、窒化ケイ素又は炭素ドープされた窒化ケイ素の低温堆積について、とりわけX=Iについて、基材温度は、20℃~500℃、20℃~400℃又は50℃~400℃である。
【0061】
別の態様において、PEALD又はPECCVD堆積プロセスによって、酸化ケイ素膜及び炭素ドープされた酸化ケイ素膜から選択される膜を形成する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.以下の式I:
【化12】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体とともに、酸素を反応器中に導入する工程と;
c.酸素とともにパージガスを用いて、反応器をパージする工程と;
d.酸素含有プラズマを導入する工程と;
e.パージガスを用いて反応器をパージするか、又は反応器をポンピングする工程と
を含み、工程b~eが、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返される方法が提供される。本発明の幾つかの実施態様において、酸化ケイ素の低温堆積のために、基材温度は20℃~500℃、20℃~400℃又は50℃~400℃である。
【0062】
本明細書において開示される方法の別の実施態様において、ケイ素含有膜は、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.以下の式I:
【化13】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を反応器中に導入して、少なくとも1つのシラザン前駆体を基材に化学吸着する工程と;
c.パージガスを使用して、未反応の少なくとも1つのシラザン前駆体をパージする工程と;
d.酸素含有源を、加熱された基材にあるシラザン前駆体に提供して、化学吸着された少なくとも1つのシラザン前駆体と反応させる工程と;
e.任意選択で、任意の未反応の酸素含有源をパージ又はポンピングする工程と
を含むALD堆積方法を使用して形成される。
【0063】
別の実施態様において、PEALD又はPECCVDプロセスによって窒化ケイ素膜又は炭窒化ケイ素膜を形成する方法であって、
a.基材を反応器中に提供する工程と;
b.窒素含有源と、以下の式I:
【化14】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体とを反応器中に導入する工程と;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程と;
d.窒素含有プラズマを導入する工程と;
e.パージガスを用いて反応器をパージするか、又は反応器をポンピングする工程と
を含み、工程b~eが、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返される方法が提供される。上の発明の1つの特定の実施態様において、窒化ケイ素又は酸炭窒化ケイ素の低温堆積について、とりわけX=Iについて、基材温度は、20℃~500℃、20℃~400℃又は50℃~400℃である。
【0064】
上の工程は、本明細書において説明される方法のための1サイクルを規定し;サイクルは、所望の厚さのケイ素含有膜が得られるまで繰り返すことができる。この実施態様又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、順次に又は同時に(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)、及びそれらの任意の組み合わせで行うことができると考えられる。前駆体及び酸素含有源を供給するそれぞれの工程は、それらを供給するための期間を変えて行って、得られるケイ素含有膜の化学量論的な組成を変えることができるが、常に、利用可能なケイ素に対する化学量論的な量より少ない量で酸素を使用する。
【0065】
多成分のケイ素含有膜のために、他の前駆体、例えばケイ素含有前駆体、窒素含有前駆体、還元剤又は他の試剤を、反応器チャンバー中に交代で導入することができる。
【0066】
本明細書において説明される方法のさらなる実施態様において、ケイ素含有膜は、熱CVDプロセスを使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
b.以下の式I:
【化15】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
c.酸素含有源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程と
を含む。CVD方法の特定の実施態様において、導入する工程の間に、反応器は、10mTorr~760Torrの圧力に保持される。上の工程は、本明細書において説明される方法のための1サイクルを規定し;サイクルは、所望の厚さのケイ素含有膜が得られるまで繰り返すことができる。この実施態様又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、順次に又は同時に(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)、及びそれらの任意の組み合わせで行うことができると考えられる。前駆体及び酸素含有源を供給するそれぞれの工程は、それらを供給するための期間を変えて行って、得られるケイ素含有膜の化学量論的な組成を変えることができるが、常に、利用可能なケイ素に対する化学量論的な量より少ない量で酸素を使用する。
【0067】
本明細書において説明される方法のさらなる実施態様において、非晶質又は結晶性ケイ素膜が、本明細書において説明される式Iの前駆体を使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
b.以下の式I:
【化16】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
c.還元剤源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程であって、還元剤が、水素、水素プラズマ、塩化水素からなる群から選択される工程と
を含む。CVD方法の特定の実施態様において、導入する工程の間に、反応器は、10mTorr~760Torrの圧力に保持される。上の工程は、本明細書において説明される方法のための1サイクルを規定し;サイクルは、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返すことができる。
【0068】
多成分のケイ素含有膜のために、他の前駆体、例えばケイ素含有前駆体、窒素含有前駆体、酸素含有源、還元剤及び/又は他の試剤を、反応器チャンバー中に交代で導入することができる。
【0069】
本明細書において説明される方法のさらなる実施態様において、ケイ素含有膜が、熱CVDプロセスを使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
b.以下の式I:
【化17】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
d.窒素含有源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程と
を含む。CVD方法の特定の実施態様において、導入する工程の間に、反応器は、10mTorr~760Torrの圧力に保持される。
【0070】
本明細書において説明される方法のさらなる実施態様において、非晶質又は結晶性であってよく、1つの実施態様においては炭窒化ケイ素膜であるケイ素含有膜が、本明細書において説明される式Iの前駆体を使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
b.以下の式I:
【化18】
によって表され、式中、R
1が、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
10アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6~C
10アリール基からなる群から選択され;R
2が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
10アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3~C
6アルキニル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
2~C
6ジアルキルアミノ基、C
6~C
10アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1~C
6フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4~C
10アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである、2つのSiR
2X
2基に連結された1つのみの有機アミノ基を含む、以下の1つのシラザン前駆体によって表される少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程と;
d.プラズマ源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程と;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程と
を含む。
【0071】
上で説明される方法において、ステップb~eは1サイクルを規定し、サイクルは、所望の厚さの膜が得られるまで繰り返すことができる。膜の厚さは、約0.1Å~約1000Å、約0.1Å~約100Å又は約0.1Å~約10Åである。プラズマ源は、水素及びアルゴンを含むプラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、アルゴンプラズマ、ヘリウムプラズマ、他の希ガス(例えばネオン(Ne)、クリプトン(Kr)及びキセノン(Xe))プラズマ、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。方法の1つの特定の実施態様において、ケイ素含有膜は、炭窒化ケイ素を含む。
【0072】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、酸窒化ケイ素膜又は酸炭窒化ケイ素膜は、熱ALDプロセスを使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.表面特徴を備える1つ又は複数の基材をALD反応器中に配置して、約600℃~約800℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100Torr以下の圧力に反応器を保持する工程と;
b.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される少なくとも1つのシラザンを反応器中に導入する工程と;
c.不活性ガスを用いて反応器をパージして、それによって未反応のケイ素前駆体を除去し、パージガス及びケイ素前駆体を含む組成物を形成する工程と;
d.窒素源を反応器中に提供して、表面と反応させて、炭窒化ケイ素膜を形成する工程と;
e.不活性ガスを用いてパージして、反応副生成物を除去する工程と;
f.酸素含有源を反応器中に提供する工程と;
g.不活性ガスを用いてパージして、反応副生成物を除去する工程と
を含む。工程b~gを繰り返して、所望の厚さの酸窒化ケイ素又は酸炭窒化ケイ素を提供する。
【0073】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、0at%~20at%の炭素含有量を有する炭素ドープされた酸化ケイ素膜又は酸化ケイ素膜が、膜の特性を改善するために熱ALDプロセスと水素を含むプラズマとを使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
h.表面特徴を備える1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約550℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100Torr以下の圧力に反応器を保持する工程と;
i.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される少なくとも1つのシラザンを反応器中に導入する工程と;
j.不活性ガスを用いて反応器をパージして、それによって未反応のケイ素前駆体を除去し、パージガス及びケイ素前駆体を含む組成物を形成する工程と;
k.窒素源を反応器中に提供して、表面と反応させて、炭窒化ケイ素膜を形成する工程と;
l.不活性ガスを用いてパージして、反応副生成物を除去する工程と;
m.工程c~fを繰り返して、所望の厚さの炭素ドープされた窒化ケイ素を提供する工程と;
n.インサイチュで、又は別のチャンバー中でのいずれかで、ほぼ周囲温度~1000℃又は約100℃~400℃の範囲の1つ又は複数の温度で、酸素源を用いた炭素ドープされた窒化ケイ素膜の後堆積処理を提供して、炭素ドープされた窒化ケイ素膜を炭素ドープされた酸化ケイ素膜に変換する工程と;
o.炭素ドープされた酸化ケイ素膜の、水素を含むプラズマへの後堆積暴露を提供して、膜の特性を改善し、膜の特性のうち少なくとも1つを改善する工程と;
p.任意選択で、400~1000℃の温度におけるスパイクアニール、又はUV光源を用いて炭素ドープされた酸化ケイ素膜を後堆積処理する工程と
を含む。この実施態様又は他の実施態様において、UV暴露工程は、膜堆積の間か、又は堆積が完了した後のいずれかで行うことができる。
【0074】
1つの実施態様において、基材は、1:9以上のアスペクト比、180nm以下の開口を有するパターントレンチを含む少なくとも1つの特徴を備える。
【0075】
本明細書において説明される方法のある実施態様において、0at%~30at%の炭素含有量を有する炭素ドープされた酸化ケイ素膜が、膜の特性を改善するために熱ALDプロセスと水素を含むプラズマとを使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.表面特徴を備える1つ又は複数の基材を反応器中に(例えば従来型のALD反応器中に)配置する工程と;
b.周囲温度~約550℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100Torr以下の圧力に反応器を保持する工程と;
c.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される少なくとも1つのシラザンを反応器中に導入する工程と;
d.不活性ガスを用いて反応器をパージする工程と;
e.窒素源を反応器中に提供して、表面と反応させて、炭素ドープされた窒化ケイ素膜を形成する工程と;
f.不活性ガスを用いて反応器をパージして、反応副生成物を除去する工程と;
g.工程c~fを繰り返して、所望の厚さの炭素ドープされた窒化ケイ素を提供する工程と;
h.インサイチュで、又は別のチャンバー中でのいずれかで、ほぼ周囲温度~1000℃又は約100℃~400℃の範囲の1つ又は複数の温度で、酸素源を用いた炭素ドープされた窒化ケイ素膜の後堆積処理を提供して、炭素ドープされた窒化ケイ素膜を炭素ドープされた酸化ケイ素膜に変換する工程と;
i.炭素ドープされた酸化ケイ素膜の、水素を含むプラズマへの後堆積暴露を提供して、膜の物理的特性のうち少なくとも1つを改善する工程と;
j.任意選択で、400~1000℃の温度における熱アニール、又はUV光源を用いて炭素ドープされた酸化ケイ素膜を後堆積処理する工程と
を含む。この実施態様又は他の実施態様において、UV暴露工程は、膜堆積の間か、又は堆積が完了した後のいずれかで行うことができる。
【0076】
本明細書において説明される方法のさらに別のさらなる実施態様において、ケイ素含有膜が、アンモニア又は有機アミンを含む触媒を用いた熱ALDプロセスを使用して堆積される。この実施態様において、方法は、
a.表面特徴を備える1つ又は複数の基材を反応器中に配置する工程と;
b.周囲温度~約150℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100Torr以下の圧力に反応器を保持する工程と;
c.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される少なくとも1つのシラザン、並びに触媒を反応器中に導入する工程と;
d.不活性ガスを用いて反応器をパージする工程と;
e.水の蒸気を反応器中に提供して、前駆体並びに触媒と反応させて、炭素ドープされた酸化ケイ素の堆積されたままの膜を形成する工程と;
f.不活性ガスを用いて反応器をパージして、反応副生成物を除去する工程と;
g.工程c~fを繰り返して、所望の厚さの炭素ドープされた酸化ケイ素を提供する工程と;
h.処理された膜の、水素を含むプラズマへの後堆積暴露を提供して、膜の特性を改善して、膜の特性のうち少なくとも1つを改善する工程と;
i.任意選択で、400~1000℃の温度におけるスパイクアニール、又はUV光源を用いて、炭素ドープされた酸化ケイ素膜を後堆積処理する工程と
を含む。この実施態様又は他の実施態様において、UV暴露工程は、膜堆積の間か、又は堆積が完了した後のいずれかで行うことができる。
【0077】
この実施態様又は他の実施態様において、触媒は、ルイス塩基、例えばピリジン、ピペラジン、アンモニア、トリエチルアミン又は他の有機アミンから選択される。ルイス塩基蒸気の量は、工程cの間のケイ素前駆体蒸気の量に対して、少なくとも1当量である。
【0078】
膜がプラズマで処理されるある実施態様において、プラズマ源は、水素プラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、並びに水素及びアルゴンを含むプラズマからなる群から選択される。水素プラズマは、膜の誘電率を低下させ、次ぐプラズマアッシングプロセスに対する損傷抵抗を向上させ、一方でさらに、バルク中の炭素含有量をほぼ不変に保つ。
【0079】
本明細書を通じて、用語「ALD又はALDと同様」は、以下のプロセス:a)ケイ素前駆体及び反応性ガスを含むそれぞれの反応体を、反応器中に、例えばシングルウエハALD反応器、セミバッチALD反応器又はバッチ炉ALD反応器中に、順次に導入すること;b)基材を反応器の異なる区画に移動又は回転させることによって、ケイ素前駆体及び反応性ガスを含むそれぞれの反応体を基材に暴露することであって、それぞれの区画が、不活性ガスカーテンによって分離されている、すなわち空間的ALD反応器又はロールツーロールALD反応器である、を含むプロセスをいうが、それらに限定されない。
【0080】
本明細書を通じて、用語「アッシング」は、酸素源を含むプラズマ、例えばO2/不活性ガスプラズマ、O2プラズマ、CO2プラズマ、COプラズマ、H2/O2プラズマ又はそれらの組み合わせを使用する、半導体製造プロセスにおいてフォトレジスト又は炭素ハードマスクを除去するプロセスをいう。
【0081】
本明細書を通じて、用語「損傷抵抗」は、酸素アッシングプロセスの後の膜の特性をいう。良好な又は高い損傷抵抗は、酸素アッシングの後の以下の膜の特性:4.5より低い膜の誘電率;バルク(膜中に50Å超の深さ)における炭素含有量が、アッシング前に対して5at%以内であること;表面近くの膜(50Å未満の深さ)とバルク(50Å超の深さ)との間の希釈HFエッチング速度における差によって観測して、50Å未満の膜が損傷されていること、として定義される。
【0082】
特定の実施態様において、本明細書において説明される式Iを有するシラザン前駆体を、金属含有膜、例えば、以下に限定するものではないが、金属酸化物膜又は金属窒化物膜のためのドーパントとして使用することもできる。これらの実施態様において、金属含有膜は、ALD又はCVDプロセス、例えば、金属アルコキシド、金属アミド又は揮発性有機金属前駆体を使用する、本明細書において説明されるALD又はCVDプロセスを使用して堆積される。本明細書において開示される方法とともに使用することができる適した金属アルコキシド前駆体の例は、以下に限定するものではないが、第3~6族金属アルコキシド、アルコキシ及びアルキル置換シクロペンタジエニル配位子の両方を有する第3~6族金属錯体、アルコキシ及びアルキル置換ピロリル配位子の両方を有する第3~6族金属錯体、アルコキシ及びジケトネート配位子の両方を有する第3~6族金属錯体、アルコキシ及びケトエステル配位子の両方を有する第3~6族金属錯体を含む。本明細書において開示される方法とともに使用することができる適した金属アミド前駆体の例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert-ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert-ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert-ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert-アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert-アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert-アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン及びそれらの組み合わせを含む。本明細書において開示される方法とともに使用することができる適した有機金属前駆体の例は、以下に限定するものではないが、第3族金属シクロペンタジエニル又はアルキルシクロペンタジエニルを含む。本明細書における例示的な第3~6族金属は、以下に限定するものではないが、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Er、Yb、Lu、Ti、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWを含む。
【0083】
特定の実施態様において、得られるケイ素含有膜又はコーティングに、後堆積処理を、例えば、以下に限定するものではないが、プラズマ処理、化学処理、紫外光暴露、電子線暴露及び/又は膜の1つ若しくは複数の特性に影響を与える他の処理を受けさせることができる。
【0084】
特定の実施態様において、本明細書において説明されるケイ素含有膜は、6以下の誘電率を有する。これらの実施態様又は他の実施態様において、膜は、約5以下、約4以下又は約3.5以下の誘電率を有することができる。しかし、膜の所望の最終用途に応じて、(例えばより高い又はより低い)他の誘電率を有する膜を形成することができると考えられる。本明細書において説明されるシラザン前駆体及びプロセスを使用して形成されるケイ素含有膜又はケイ素含有膜の例は式SixOyCzNvHwを有し、例えばXPS又は他の手法によって測定した場合に、Siは約10%~約40%の範囲であり;Oは約0%~約65%の範囲であり;Cは約0%~約75%又は約0%~約50%の範囲であり;Nは約0%~約75%又は約0%~50%の範囲であり;かつHは約0%~約50%原子パーセント重量%の範囲であり、x+y+z+v+w=100原子重量パーセントである。本明細書において説明されるシラザン前駆体及びプロセスを使用して形成されるケイ素含有膜の別の例は炭窒化ケイ素であり、XPSによって測定した場合に、炭素含有量は1at%~80at%である。本明細書において説明されるシラザン前駆体及びプロセスを使用して形成されるケイ素含有膜のさらに別の例は非晶質ケイ素であり、XPSによって測定した場合に、窒素含有量及び炭素含有量の両方の合計は、10at%未満、好ましくは5at%未満、最も好ましくは1at%未満である。
【0085】
先に記載されるように、本明細書において説明される方法は、基材の少なくとも一部にケイ素含有膜を堆積するために使用することができる。適した基材の例は、ケイ素、ゲルマニウムドープされたケイ素、ゲルマニウム、SiO2、Si3N4、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化された炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化された窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化された炭窒化ケイ素、窒化ホウ素、反射防止コーティング、フォトレジスト、フレキシブル基材、有機ポリマー、多孔質の有機及び無機材料、金属、例えば銅及びアルミニウム、並びに拡散バリア層、例えば、以下に限定するものではないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W又はWNを含むが、それらに限定されない。膜は、様々な続く処理工程、例えば化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスと適合する。
【0086】
堆積された膜は、以下に限定するものではないが、コンピュータチップ、光学装置、磁気情報記憶装置、支持材料又は基材へのコーティング、微小電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、IGZO及び液晶ディスプレイ(LCD)を含む用途を有する。
【0087】
以下の実施例は、シラザン前駆体を調製するための、並びに本明細書において説明されるケイ素含有膜を堆積するための方法を例示していて、決してそれを限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0088】
実施例1a.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンの合成
【0089】
100mLのガラスボトル中で、ヘプタメチルジシラザン(20g、0.11mol)と、四塩化ケイ素(155g、0.91mol)と、ピリジン(0.45g、0.0057mol)とを組み合わせて、70~80℃で5日の間撹拌した。ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)によって混合物を分析したとき、所望の生成物、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンを、以下の質量ピーク:m/z=296(M+)、261、212、175、162、135、126、98、63で特定した。
【0090】
実施例1b.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンの代替的な合成
【0091】
0.4molの四塩化ケイ素と、0.22molのトリエチルアミンと、300mLのヘキサンとの撹拌した混合物を含有する1Lの三つ口丸底フラスコに、メチルアミンの溶液(THF中の100mLの1.0M溶液、0.1mol)を-20℃で滴下する。得たスラリーを撹拌し、一方で室温に昇温し、ろ過して白色の固形分を除去する。減圧蒸留によってろ液を精製して、所望の生成物、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンを得る。
【0092】
実施例2.1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンの合成
【0093】
500mLの丸底フラスコ中で、ヘプタメチルジシラザン(88.7g、0.506mol)と、トリクロロメチルシラン(302g、2.02mol)とを、1週の間、室温で撹拌した。この混合物に、HCl溶液(Et2O中の85mLの1.0M溶液、0.085mol)を添加し、反応混合物を、5日の間、約50℃に加熱した。半透明の混合物をろ過して、減圧蒸留によって精製して、48gの精製した1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンを得た。示差走査熱量測定(DSC)によって、沸点を199℃と測定した。GC-MSは以下のピーク:m/z=256(M+)、242、220、212、204、190、177、142、126、113、106、92、79、63を示した。
【0094】
実施例2b.1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンの代替的な合成
【0095】
トリクロロメチルシラン(0.4mol)と、トリエチルアミン(0.22mol)と、ヘキサン(300mL)との撹拌した混合物を含有する1Lの三つ口丸底フラスコに、メチルアミンの溶液(THF中の100mLの1.0M溶液、0.1mol)を-20℃で滴下する。得たスラリーを撹拌して、一方で室温に昇温し、ろ過して白色の固形分を除去する。減圧蒸留によってろ液を精製して、所望の生成物、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンを得る。
【0096】
実施例3.1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンの熱安定性
【0097】
精製した1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンの2つの1mLサンプルを、密封した3.8mLステンレス鋼チューブ中で、80℃で、7日の間加熱した。加熱したサンプルを室温に冷却して、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンの分析結果は95.72%から平均95.69%へと低下し、このことは、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンが優れた熱安定性を有し、かつ気相堆積プロセスのための前駆体として適していることを示している。
【0098】
実施例3a.1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザンの合成
【0099】
500mLの丸底フラスコ中で、ヘプタメチルジシラザン(0.5mol)と、トリクロロシラン(2mol)とを、1週の間、室温又は上昇した温度のいずれかで撹拌する。任意選択で、ピリジン又はHCl(Et2O中で1.0M)を反応混合物に添加して、完全な変換を促進する。半透明の混合物をろ過して、減圧蒸留によって精製して、精製した1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザンを提供する。
【0100】
実施例3b.1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザンの代替的な合成
【0101】
トリクロロシラン(0.4mol)と、トリエチルアミン(0.22mol)と、ヘキサン(300mL)との撹拌した混合物を含有する1Lの3つ口丸底フラスコに、メチルアミンの溶液(THF中の100mLの1.0M溶液、0.1mol)を-20℃で滴下する。得たスラリーを撹拌し、一方で室温に昇温し、ろ過して白色の固形分を除去する。ろ液を減圧蒸留によって精製して、所望の生成物、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザンを得る。
【0102】
実施例4.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-ジシラザンに対する1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンの前駆体熱安定性
【0103】
シラザン前駆体としての1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-ジシラザンと、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンとを以下の工程:(a)ケイ素前駆体を10秒の間に導入する工程;(b)窒素を用いてパージする工程、でALDチャンバー中に導入した。ステップ(a)及び(b)を300サイクル繰り返す。膜の厚さ及び屈折率(RI)を、FilmTek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを既定の物理モデル(例えばLorentz Oscillatorモデル)に合わせることによって測定した。表2は、それぞれ650℃及び700℃の基材温度における、シラザン前駆体の熱堆積によって形成した膜を要約していて、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンが、より少ない分解を有し、従って高温ALD用途のためのより良好な前駆体であることを示している。
【0104】
【0105】
実施例5.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンを使用する、窒化ケイ素の高温ALD
【0106】
シラザン前駆体としての1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-ジシラザンと、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンとを、以下の工程:(a)ケイ素前駆体を10秒の間に導入する工程;(b)窒素を用いてパージする工程;(c)アンモニアを24sの間に導入する工程;(d)窒素を用いてパージする工程、でALDチャンバー中に導入した。工程(a)~(d)を複数サイクル繰り返して、分析のために十分に厚い膜を得る。膜の厚さ及び屈折率(RI)を、FilmTek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを既定の物理モデル(例えばLorentz Oscillatorモデル)に合わせることによって測定した。湿式エッチング速度を、脱イオン水中の49%フッ化水素(HF)酸の1%溶液(約0.5wt%HF)を使用して行った。それぞれのバッチについて、参照として熱酸化物ウエハを使用して、溶液濃度を確認した。脱イオン水溶液における、0.5wt%HFについての典型的な熱酸化物ウエハの湿式エッチング速度(WER)は0.5Å/sである。エッチングの前又は後の膜厚を使用して、湿式エッチング速度を計算した。表3にサイクル毎の成長速度(GPC)を記載していて、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンが、650℃より高い温度におけるALD窒化ケイ素のために適していて、一方でN-H基を有する1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-ジシラザンが、700℃における化学気相堆積に耐える、すなわちGPCが3.0Å/サイクルより大きい、ことを示している。
【0107】
表3.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン及び1,1,1,3.3.3-ヘキサクロロ-ジシラザンを使用する窒化ケイ素の成長速度の比較
【表3】
【0108】
実施例6.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンを使用する酸窒化ケイ素の高温ALD
【0109】
シラザン前駆体としての1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンを以下の工程:(a)ケイ素前駆体を10秒の間に導入する工程;(b)窒素を用いてパージする工程;(c)アンモニアを24sの間に導入する工程;(d)窒素を用いてパージする工程;(e)水蒸気を2又は5秒の間に導入する工程;(f)窒素を用いてパージする工程、でALDチャンバー中に導入した。工程(a)~(f)を200サイクル繰り返す。結果を表4に記載していて、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンが、700℃より高い温度におけるALD酸窒化ケイ素のために適していることを示している。
【0110】
表4.1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザンを使用する酸窒化ケイ素の成長速度及び幾つかの物理的特性
【表4】
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
以下の式I:
【化19】
によって表され、式中、R
1
が、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6
~C
10
アリール基からなる群から選択され;R
2
が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
6
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
2
~C
6
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、C
6
~C
10
アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
6
フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4
~C
10
アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドであるシラザン前駆体を含み、かつ有機アミン、ハライドイオン、金属イオンを含有しない、組成物。
(付記2)
シラザン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される、付記1に記載の組成物。
(付記3)
(a)式I:
【化20】
によって表され、式中、R
1
が、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6
~C
10
アリール基からなる群から選択され;R
2
が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
6
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
6
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、C
6
~C
10
アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
6
フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4
~C
10
アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIから選択されるハライドである少なくとも1つのシラザンと;
(b)ある沸点を有する溶媒であって、溶媒の沸点と、少なくとも1つのシラザンの沸点との差が40℃以下である溶媒と
を含み、かつ有機アミン、ハライドイオン及び金属イオンを実質的に含有しない、組成物。
(付記4)
シラザン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、付記3に記載の組成物。
(付記5)
溶媒が、エーテル、第三級アミン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素及び第三級アミノエーテルからなる群から選択される少なくとも1つを含む、付記3に記載の組成物。
(付記6)
化学気相堆積プロセス及び原子層堆積プロセスから選択される堆積プロセスによって、基材の少なくとも1つの表面にケイ素含有膜を形成する方法であって、
基材の少なくとも1つの表面を反応チャンバー中に提供する工程と;
以下の式I:
【化21】
によって表され、式中、R
1
が、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6
~C
10
アリール基からなる群から選択され;R
2
が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2
~C
6
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
6
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、C
6
~C
10
アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
6
フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4
~C
10
アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドから選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドである少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
窒素含有源を反応器中に導入する工程であって、少なくとも1つのシラザン前駆体と窒素含有源とが反応して、少なくとも1つの表面に膜を形成する工程と
を含み、シラザンが、有機アミン、ハライドイオン及び金属イオンを実質的に含有しない、方法。
(付記7)
少なくとも1つのシラザンが、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される、付記6に記載の方法。
(付記8)
窒素含有源が、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記6に記載の方法。
(付記9)
ケイ素含有膜が、窒化ケイ素及び炭窒化ケイ素からなる群から選択される、付記6に記載の方法。
(付記10)
プラズマ強化原子層堆積及びプラズマ強化サイクル性化学気相堆積から選択される堆積プロセスによる非晶質膜及び結晶性膜から選択されるケイ素含有膜を形成する方法であって、
1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱する工程と;
以下の式I:
【化22】
によって表され、式中、R
1
が、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
10
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、電子吸引性基及びC
6
~C
10
アリール基からなる群から選択され;R
2
が、水素、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
10
アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
2
~C
6
アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
3
~C
6
アルキニル基、C
3
~C
10
環状アルキル基、C
2
~C
6
ジアルキルアミノ基、C
6
~C
10
アリール基、直鎖又は分岐鎖のC
1
~C
6
フッ素化アルキル基、電子吸引性基、C
4
~C
10
アリール基、並びにCl、Br及びIからなる群から選択されるハライドからなる群から選択され;Xが、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハライドであり、シラザンが、有機アミン、ハライドイオン、金属イオンを実質的に含有しない少なくとも1つのシラザン前駆体を導入する工程と;
パージガスを用いて反応器をパージする工程と;
プラズマ源を反応器中に提供して、少なくとも1つのシラザン前駆体と少なくとも部分的に反応させて、1つ又は複数の基材にケイ素含有膜を堆積する工程と;
パージガスを用いて反応器をパージする工程と
を含む、方法。
(付記11)
プラズマ源が、水素及びアルゴンを含むプラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、アルゴンプラズマ、ヘリウムプラズマ並びにそれらの混合物からなる群から選択される、付記6に記載の方法。
(付記12)
少なくとも1つのシラザンが、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-エチル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-n-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-イソ-プロピル-3-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ブロモ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサヨード-2-メチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-エチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-n-ブチルジシラザン、1,3,3-テトラクロロ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラブロモ-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-メチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-エチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-n-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-プロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-n-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-イソ-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-sec-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラヨード-2-tert-ブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロペンチルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-2-シクロヘキシルジシラザン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロペンチルジシラザン、及び1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジメチル-2-シクロヘキシルジシラザンからなる群から選択される、付記10に記載の方法。