(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスク
(51)【国際特許分類】
G03F 1/54 20120101AFI20240912BHJP
G03F 1/50 20120101ALI20240912BHJP
G03F 1/26 20120101ALI20240912BHJP
【FI】
G03F1/54
G03F1/50
G03F1/26
(21)【出願番号】P 2023123420
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2022068698の分割
【原出願日】2022-04-19
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0065366
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ゴンゴン
(72)【発明者】
【氏名】シン、インキュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンユン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スクヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミンギョ
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081356(JP,A)
【文献】特開2013-083933(JP,A)
【文献】特開2019-090877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含み、
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
第1遮光層21の膜厚は、250~650Åであり、
第2遮光層22の膜厚は、30~200Åであり、
前記遮光膜をパターニングして測定したパターンエッジの損失面積は10nm
2以下であ
り、
前記遮光膜の下記式2のDo値が0.05未満である、ブランクマスク:
前記パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であり、
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線であり、
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線であり、
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点であり、
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線であ
り、
[式2]
Do=Bo-Po
前記式2において、
前記Bo値は、波長193nmの露光光を照射して測定した前記遮光膜の光学密度であり、
前記Po値は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜のパターニングにより形成された一縁から前記遮光パターン膜の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する測定領域に対して、波長193nmの露光光を照射して測定した光学密度である。
【請求項2】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含み、
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
第1遮光層21の膜厚は、250~650Åであり、
第2遮光層22の膜厚は、30~200Åであり、
前記遮光膜をパターニングして測定したパターンエッジの損失面積は10nm
2
以下であり、
塩素系ガスに対する前記遮光膜のエッチング速度は1.55Å/s以上である、
ブランクマスク:
前記パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であり、
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線であり、
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線であり、
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点であり、
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【請求項4】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含み、
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
第1遮光層21の膜厚は、250~650Åであり、
第2遮光層22の膜厚は、30~200Åであり、
前記遮光膜をパターニングして測定したパターンエッジの損失面積は10nm
2
以下であり、
前記第2遮光層は、遷移金属を50~80at%含む、
ブランクマスク:
前記パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であり、
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線であり、
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線であり、
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点であり、
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【請求項5】
前記第2遮光層の酸素又は窒素に該当する元素の含量は10~35at%である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項6】
前記第1遮光層は、遷移金属を30~60at%含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項7】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含み、
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
第1遮光層21の膜厚は、250~650Åであり、
第2遮光層22の膜厚は、30~200Åであり、
前記遮光膜をパターニングして測定したパターンエッジの損失面積は10nm
2
以下であり、
前記第1遮光層の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は40~70at%である、
ブランクマスク:
前記パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であり、
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線であり、
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線であり、
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点であり、
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【請求項8】
前記第1遮光層の膜厚に対する第2遮光層の膜厚の比率は0.05~0.3である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項9】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含み、
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
第1遮光層21の膜厚は、250~650Åであり、
第2遮光層22の膜厚は、30~200Åであり、
前記遮光パターン膜
のパターンエッジの損失面積は10nm
2以下であ
り、
前記遮光パターン膜の下記式3のPDo値は0.05未満である、フォトマスク:
前記パターンエッジの損失面積は、遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であり、
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線であり、
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線であり、
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点であり、
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線であ
り、
[式3]
PDo=PBo-PPo
前記式3において、前記PBo値は、波長193nmの露光光を照射して測定した前記遮光パターン膜の光学密度であり、
前記PPo値は、前記遮光パターン膜を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜の一縁から前記遮光パターン膜の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する測定領域に対して、波長193nmの露光光を照射して測定した光学密度の平均値である。
【請求項10】
光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含み、
前記フォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含み、
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含み、
第1遮光層21の膜厚は、250~650Åであり、
第2遮光層22の膜厚は、30~200Åであり、
前記遮光パターン膜
のパターンエッジの損失面積は10nm
2以下であ
り、
前記遮光パターン膜の下記式3のPDo値は0.05未満である、半導体素子の製造方法:
前記パターンエッジの損失面積は、遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であり、
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線であり、
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線であり、
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点であり、
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線であ
り、
[式3]
PDo=PBo-PPo
前記式3において、前記PBo値は、波長193nmの露光光を照射して測定した前記遮光パターン膜の光学密度であり、
前記PPo値は、前記遮光パターン膜を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜の一縁から前記遮光パターン膜の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する測定領域に対して、波長193nmの露光光を照射して測定した光学密度の平均値である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの高集積化により、半導体デバイスの回路パターンの微細化が求められている。これにより、ウエハの表面上にフォトマスクを用いて回路パターンを現像する技術であるリソグラフィー技術の重要性が益々高まっている。
【0003】
微細化された回路パターンを現像するためには、露光工程で用いられる露光光源の短波長化が要求される。最近用いられている露光光源としてはArFエキシマレーザー(波長193nm)などがある。
【0004】
一方、フォトマスクにはバイナリマスク(Binary mask)と位相反転マスク(Phase shift mask)などがある。
【0005】
バイナリマスクは、光透過性基板上に遮光層パターンが形成された構成を有する。バイナリマスクは、パターンが形成された面において、遮光層を含まない透過部は露光光を透過させ、遮光層を含む遮光部は露光光を遮断することによって、ウエハ表面のレジスト膜上にパターンを露光させる。但し、バイナリマスクは、パターンが微細化されるほど、露光工程で透過部の縁部で発生する光の回折により微細パターンの現像に問題が発生することがある。
【0006】
位相反転マスクとしては、レベンソン型(Levenson type)、アウトリガー型(Outrigger type)、及びハーフトーン型(Half-tone type)がある。その中でハーフトーン型位相反転マスクは、光透過性基板上に半透過膜で形成されたパターンが配置された構成を有する。ハーフトーン型位相反転マスクは、パターンが配置された面において、半透過層を含まない透過部は露光光を透過させ、半透過層を含む半透過部は減衰された露光光を透過させる。前記減衰された露光光は、透過部を通過した露光光と比較して位相差を有するようになる。これにより、透過部の縁部で発生する回折光は、半透過部を透過した露光光によって相殺され、位相反転マスクは、ウエハの表面にさらに精巧な微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-1579843号
【文献】韓国登録特許第10-1584383号
【文献】韓国登録特許第10-1207724号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
具現例の目的は、遮光膜のパターニング時にパターンの解像度の低下を効果的に抑制することができるブランクマスク及びそれを用いたフォトマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光膜とを含む。
【0010】
前記遮光膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0011】
前記遮光膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含む。
【0012】
前記遮光膜をパターニングして測定したパターンエッジの損失面積は10nm2以下である。
【0013】
前記パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積である。
【0014】
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線である。
【0015】
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線である。
【0016】
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点である。
【0017】
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【0018】
前記遮光膜の下記式2のDo値が0.05未満であってもよい。
【0019】
[式2]
Do=Bo-Po
【0020】
前記式2において、前記Bo値は、波長193nmの露光光で測定した前記遮光膜の光学密度である。
【0021】
前記Po値は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜のパターニングにより形成された一縁から前記遮光パターン膜の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する測定領域に対して、波長193nmの露光光を照射して測定した光学密度である。
【0022】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0023】
塩素系ガスに対する前記遮光膜のエッチング速度は1.55Å/s以上であってもよい。
【0024】
前記第2遮光層は、遷移金属を50~80at%含んでもよい。
【0025】
前記第2遮光層の酸素又は窒素に該当する元素の含量は10~35at%であってもよい。
【0026】
前記第1遮光層は、遷移金属を30~60at%含んでもよい。
【0027】
前記第1遮光層の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は40~70at%であってもよい。
【0028】
前記第1遮光層の膜厚に対する第2遮光層の膜厚の比率は0.05~0.3であってもよい。
【0029】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含む。
【0030】
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0031】
前記遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含む。
【0032】
前記遮光パターン膜において測定したパターンエッジの損失面積は10nm2以下である。
【0033】
前記パターンエッジの損失面積は、遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積である。
【0034】
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線である。
【0035】
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線である。
【0036】
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点である。
【0037】
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【0038】
本明細書の更に他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0039】
前記フォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含む。
【0040】
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0041】
前記遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含む。
【0042】
前記遮光パターン膜において測定したパターンエッジの損失面積は10nm2以下である。
【0043】
前記パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び前記遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積である。
【0044】
前記第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、前記遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線である。
【0045】
前記第2線は、パターン膜交差点を含み、前記光透過性基板の上面に平行に配置された延長線である。
【0046】
前記パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、前記遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点である。
【0047】
前記パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【発明の効果】
【0048】
具現例に係るブランクマスクなどは、遮光膜のパターニング時に発生し得るパターンの解像度の低下を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図2】遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のパターンエッジの損失面積を測定する方法を説明する概念図である。
【
図3】一実施例によって測定対象ブランクマスクの遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜を説明する概念図である。
【
図4】一実施例によって遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜を上面から観察した平面図である。
【
図5】他の一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図6】更に他の一実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実施例について詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0051】
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で使用され、具現例の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0052】
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0053】
本明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0054】
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0055】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上にBが位置したり、それらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置したりすることができることを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0056】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0057】
本明細書において、常温とは20~25℃である。
【0058】
本明細書において、遮光パターン膜の表面プロファイルとは、TEM(Transmission Electron Microscopy)測定装備などを用いて前記遮光パターン膜の断面を観察したとき、前記断面で観察される遮光パターン膜の輪郭を意味する。
【0059】
本明細書において、遮光パターン膜の側面プロファイルとは、TEM測定装備などを用いて前記遮光パターン膜の断面を観察したとき、前記断面で観察される遮光パターン膜の側面の輪郭を意味する。
【0060】
本明細書において、遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルとは、TEM測定装備などを用いて前記遮光パターン膜の断面を観察したとき、前記断面で観察される遮光パターン膜の上部の角及びその周辺部の輪郭を意味する。
【0061】
半導体の高集積化に伴い、半導体ウエハ上にさらに微細化された回路パターンを形成することが要求される。半導体ウエハ上に現像されるパターンの線幅がさらに減少するに伴い、フォトマスクの解像度と関連する問題も増加する傾向にある。
【0062】
ブランクマスクに含まれた遮光膜は、エッチングなどを通じて遮光パターン膜として形成され得る。遮光パターン膜は、遮光膜上に配置されたレジストパターンまたはその他の薄膜パターンをマスクとし、エッチングガスをエッチャント(etchant)としてエッチングを通じて形成され得る。
【0063】
エッチングガスをエッチャントとして適用した乾式エッチング方式により遮光膜をパターニングする場合、パターニングを通じて形成された遮光パターン膜は、面内方向に不均一な光学特性を示すことがある。具体的に、エッチングガスは、レジストパターン又はエッチングマスクに沿って遮光膜の表面から遮光膜の下部に向かって遮光膜をエッチングすることができる。エッチング過程において、形成される遮光パターン膜の側面において、側面の上部領域は、側面の下部領域に比べて相対的に長い時間エッチングガスにさらされ得る。これにより、遮光パターン膜の側面の上部領域で遮光膜の面内方向に必要以上のエッチングが発生することがある。これは、ブランクマスクの解像度を低下させる要因の一つとなり得る。
【0064】
具現例の発明者らは、遮光膜に多層構造を導入し、上層が下層に比べてさらに緻密な構造を有するようにするなどの方法を通じて、ブランクマスクの解像度の低下を効果的に抑制できることを確認し、具現例を完成した。
【0065】
以下、具現例について具体的に説明する。
【0066】
図1は、本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記
図1を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0067】
ブランクマスク100は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に位置する遮光膜20とを含む。
【0068】
光透過性基板10の素材は、露光光に対する光透過性を有し、ブランクマスク100に適用できる素材であれば制限されない。具体的には、光透過性基板10の波長193nmの露光光に対する透過率は85%以上であってもよい。前記透過率は87%以上であってもよい。前記透過率は99.99%以下であってもよい。例示的に、光透過性基板10は合成石英基板が適用されてもよい。このような場合、光透過性基板10は、前記光透過性基板10を透過する光の減衰(attenuated)を抑制することができる。
【0069】
また、光透過性基板10は、平坦度及び粗さなどの表面特性を調節して光学歪みの発生を抑制することができる。
【0070】
遮光膜20は、光透過性基板10の上面(top side)上に位置することができる。
【0071】
遮光膜20は、光透過性基板10の下面(bottom side)側に入射する露光光を少なくとも一定部分遮断する特性を有することができる。また、光透過性基板10と遮光膜20との間に位相反転膜30(
図5参照)などが位置することができる。このような場合、遮光膜20は、前記位相反転膜30などをパターンの形状通りにエッチングする工程でエッチングマスクとして使用され得る。
【0072】
遮光膜20は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0073】
遮光膜20は、第1遮光層21と、前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22とを含む。
【0074】
遮光膜のパターンエッジの損失面積
【0075】
遮光膜をパターニングして測定したパターンエッジの損失面積は10nm2以下である。
【0076】
パターンエッジの損失面積は、前記遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜のTEM(Transmission Electron Microscopy)イメージを測定し、前記TEMイメージを観察したとき、第1線、第2線及び遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積である。
【0077】
第1線は、前記遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点と、40%の高さに位置する第2点とを結ぶ延長線である。
【0078】
第2線は、パターン膜交差点を含み、光透過性基板の上面に平行に配置された延長線である。
【0079】
パターン膜交差点は、パターン膜中心線と、遮光パターン膜の上面プロファイルとが交わる地点である。
【0080】
パターン膜中心線は、前記遮光パターン膜の底面の中心点であるパターン膜中心点を通り、前記光透過性基板の上面と垂直をなす延長線である。
【0081】
遮光膜20上に配置されたレジストパターン又はエッチングマスク膜を通じて遮光膜20をエッチングすることができる。エッチング後に形成された遮光パターン膜の側面プロファイルは、遮光パターン膜の下に配置された光透過性基板10の表面と垂直に近く形成されるほど、フォトマスク200の解像度が向上することができる。遮光パターン膜の側面プロファイルが精密に制御されないと、半導体ウエハ上に現像されたパターンのCD(Critical Dimension)偏差がさらに大きくなり得る。
【0082】
具現例は、遮光膜20のパターンエッジの損失面積を調節することによって、パターニング時に形成される遮光パターン膜の側面プロファイルを精密に制御できる遮光膜20を提供することができる。
【0083】
図2は、遮光膜のパターンエッジの損失面積を測定する方法を説明する概念図である。以下、
図2を参照して具現例を説明する。
【0084】
遮光膜をパターニングして遮光パターン膜23を形成する。
【0085】
以降、前記遮光パターン膜23を含む基板を横15mm、縦15mmの大きさに加工して試験片を準備する。前記試験片の表面をFIB(Focused Ion Beam)処理した後、TEMイメージ測定装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定する。
【0086】
例示的に、TEMイメージは、日本電子(JEOL LTD)社のJEM-2100F HRモデルを通じて測定することができる。
【0087】
以降、前記TEMイメージで観察される遮光パターン膜23の側面プロファイルにおいて、遮光パターン膜23の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する第1点p1、及び40%の高さに位置する第2点p2を特定し、前記両地点を結ぶ延長線を特定する。前記延長線は、第1線L1と定義する。
【0088】
前記TEMイメージで観察される遮光パターン膜23の底面の中心点であるパターン膜中心点pcを通り、光透過性基板10と垂直をなすパターン膜中心線L0と、上面プロファイルとが交わる地点であるパターン膜交差点piを特定する。前記パターン膜交差点piを含み、光透過性基板10に平行に配置された延長線を特定する。前記延長線は、第2線L2と定義する。
【0089】
パターンエッジの損失面積Apは、第1線L1、第2線L2及び遮光パターン膜23のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積として定義する。前記TEMイメージからパターンエッジの損失面積Apを測定する。
【0090】
遮光膜20のパターンエッジの損失面積Apは10nm2以下であってもよい。遮光膜20のパターンエッジの損失面積Apは8nm2以下であってもよい。遮光膜20のパターンエッジの損失面積Apは6nm2以下であってもよい。遮光膜20のパターンエッジの損失面積Apは0.5nm2以上であってもよい。このような場合、ブランクマスク100から解像度の低下が効果的に抑制されたフォトマスク200を実現することができる。
【0091】
遮光膜の層別の緻密度
遮光膜20の下記式1のRd値が0.4~0.8である。
【0092】
【0093】
前記式1において、前記er1値は、アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層21のエッチング速度である。
【0094】
前記er2値は、アルゴンガスでエッチングして測定した前記第2遮光層22のエッチング速度である。
【0095】
遮光膜20をパターニングする過程において、遮光パターン膜の側面の上部側は、下部側に比べてエッチングガスに相対的に長くさらされ得る。そして、遮光パターン膜の側面の上部領域において遮光膜20の面内方向に必要以上のエッチングが発生し得る。これにより、遮光パターン膜の側面が光透過性基板10の表面と垂直に近い角度を形成することが難しくなり得る。
【0096】
前記のような問題を解決するために、第2遮光層22の遷移金属の含量が、第1遮光層21に比べて相対的にさらに大きい値を有するように調節して、エッチャントによる第2遮光層22のエッチング速度が、第1遮光層21に比べてさらに低い値を有するように制御する方法を考慮することができる。但し、このような方法を適用して、第2遮光層22の縁部に形成される損傷の程度を減少させるとしても、要求されるパターンの線幅がますます微細化される傾向により、前記縁部に形成される損傷は、依然としてフォトマスクの解像度に関連する問題を発生させることがある。また、遮光パターン膜の側面プロファイルの精巧な制御のみを考慮して第2遮光層22に含まれた遷移金属の含量を調節する場合、遮光膜のエッチング速度の低下及びクロムマイグレーション(Cr migration)による欠陥などが発生することがある。すなわち、遮光膜の層別の組成含量を調節することに加え、各層の緻密さの程度などをはじめとする他の特性を調節して、パターニング過程を通じて形成された遮光パターン膜の側面プロファイルをさらに精巧に制御する必要がある。
【0097】
一方、遮光膜20のパターニングに用いられるエッチングガスは、遮光膜20との化学反応を伴う。したがって、エッチングガスを介して測定した遮光膜20内の各層のエッチング速度は、各層を構成する元素とエッチングガスとの反応性などに大きな影響を受け得る。具現例の発明者らは、エッチングガスにより測定された値は、各層の緻密さの程度を直接的に反映することが難しいと判断した。
【0098】
反面、アルゴンガスを通じたエッチングは、エッチング対象である遮光膜20と実質的に化学反応を伴わない物理的エッチングに該当する。したがって、他の条件を全て同一にし、アルゴンガスでエッチングして測定したエッチング速度は、遮光膜20内の各層の組成、化学反応性などと独立しており、遮光膜20内の各層の緻密さの程度を効果的に反映できるパラメータであると考えられる。
【0099】
そこで、具現例の発明者らは、第1遮光層21及び第2遮光層22が緻密に形成された程度を反映できるRd値を制御することによって、遮光膜20のパターニング時に形成される遮光パターン膜の側面プロファイルをさらに精巧に制御できることを確認した。
【0100】
er1値、er2値及びRd値は、種々の要素によって制御され得る。具体的に、前記値は、遮光層の密度、遮光層に含まれた元素の結晶化の程度、遮光層内の非金属元素の含量、遮光層内での各構成元素の配置などの様々な要素によって影響を受け得る。特に、遮光膜20内の各層の成膜時に、マグネットの回転速度をはじめとする工程条件、成膜後の冷却処理などの後処理工程の条件などによって前記値が変わり得る。Rd値の制御手段についての具体的な説明は、以下の内容と重複するので省略する。
【0101】
遮光膜20のRd値を測定する方法は、以下の通りである。
【0102】
まず、TEM(Transmission Electron Microscopy)を用いて第1遮光層21及び第2遮光層22の厚さを測定する。測定対象であるブランクマスク100を横15mm、縦15mmの大きさに加工して試験片を準備する。前記試験片の表面をFIB(Focussed Ion Beam)処理した後、TEMイメージ測定装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定する。前記TEMイメージから第1遮光層21及び第2遮光層22の厚さを算出する。
【0103】
例示的に、TEMイメージは、日本電子(JEOL LTD)社のJEM-2100F HRモデルを通じて測定することができる。
【0104】
以降、前記試験片をアルゴンガスでエッチングして第1遮光層21及び第2遮光層22のエッチング時間を測定する。前記試験片をXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)測定装備内に配置し、前記試験片の中央部に位置する横4mm、縦2mmの領域をアルゴンガスでエッチングして、各層別のエッチング時間を測定する。各層別のエッチング時間の測定時に、測定装備内の真空度は1.0×10-8mbar、X線ソース(Source)はMonochromator Al Kα(1486.6eV)、アノード電力は72W、アノード電圧は12kV、アルゴンイオンビームの電圧は1kVを適用する。
【0105】
例示的に、XPS測定装備は、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-Alphaモデルを適用することができる。
【0106】
測定された第1遮光層21及び第2遮光層22の厚さ及びエッチング速度からer1値、er2値及びRd値を算出する。
【0107】
遮光膜20のRd値は0.4~0.8であってもよい。遮光膜20のRd値は0.5~0.77であってもよい。遮光膜20のRd値は0.6~0.8であってもよい。遮光膜20のRd値は0.6~0.7であってもよい。このような場合、遮光膜がパターン化された遮光パターン膜の側面プロファイルをさらに精巧に制御することができる。
【0108】
遮光膜20のer2値は0.4~0.5Å/sであってもよい。遮光膜20のer2値は0.4~0.47Å/sであってもよい。遮光膜20のer2値は0.42~0.45Å/sであってもよい。このような場合、遮光膜20のRd値を具現例で予め設定した範囲内にさらに容易に制御することができ、以下で詳述するスパッタリング粒子の再蒸着(Redeposition)によるパーティクルの形成を効果的に抑制することができる。
【0109】
遮光膜20のer1値は0.51Å/s以上であってもよい。遮光膜20のer1値は0.55Å/s以上であってもよい。遮光膜20のer1値は0.6Å/s以上であってもよい。遮光膜20のer1値は1.0Å/s以下であってもよい。遮光膜20のer1値は0.8Å/s以下であってもよい。遮光膜20のer1値は0.7Å/s以下であってもよい。このような場合、遮光膜のRd値をさらに容易に調節できると同時に、遮光膜のエッチングをさらに効率的に行うことができる。
【0110】
遮光膜の光学特性
遮光膜20の下記式2のDo値が0.05未満であってもよい。
【0111】
[式2]
Do=Bo-Po
【0112】
前記式2において、前記Bo値は、波長193nmの露光光を照射して測定した前記遮光膜20の光学密度である。
【0113】
前記Po値は、前記遮光膜20をパターニングして形成した遮光パターン膜を上面から観察したとき、遮光パターン膜のパターニングにより形成された一縁(Le)(
図3参照)から前記遮光パターン膜の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する測定領域に対して、波長193nmの露光光を照射して測定した光学密度である。
【0114】
図3は、測定対象ブランクマスクの遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜を説明する概念図である。以下、前記
図3を参照して具現例を説明する。
【0115】
遮光パターン膜23は、遮光膜をパターニングして形成される。遮光パターン膜23の側面(遮光パターン膜のyz面)は、ブランクマスク自体の側面でない限り、通常、エッチングを通じて形成される。前記エッチングを通じて形成された側面の上部領域(遮光パターン膜のyz面においてz軸方向に上に位置した領域)は、エッチャントにさらされる時間が長い方であるため、前記側面の下部領域(遮光パターン膜のyz面においてz軸方向に下に位置した領域)に比べてさらに多くのエッチングが発生し得る。これにより、遮光パターン膜23の両末端(x軸方向に位置した遮光パターン膜の縁)に隣接する部分は、遮光パターン膜23の中心部(x軸方向に遮光パターン膜の中心に位置した部分)に比べて相対的に薄い厚さで形成され得る。これにより、遮光パターン膜23の面内方向への消光特性のばらつきが発生し得る。具現例は、遮光膜のDo値を制御して、パターニングによる解像度の低下を効果的に抑制したブランクマスクを提供することができる。
【0116】
遮光膜20のDo値を制御するためには、遮光膜20内の各層の他の条件と共に、遮光膜に含まれる層自体の緻密さに差が発生するように制御することが必要である。そして、この緻密さは、組成だけでなく、スパッタリング時の工程条件、スパッタリング後の冷却ステップをはじめとする後処理工程の条件などに影響を受け得る。前記制御手段についての説明は、以下の内容と重複するので、その記載を省略する。
【0117】
図4は、遮光膜をパターニングして形成した遮光パターン膜を上面から観察した平面図である。以下、前記
図4を参照して具現例を説明する。
【0118】
Bo値は、パターニングする前の遮光膜の表面から波長193nmの露光光を照射して測定する。遮光膜上に他の薄膜(例示的にハードマスク)が成膜された場合、エッチングを通じて前記他の薄膜を除去した後、Bo値を測定する。遮光膜上に形成された他の薄膜をエッチングする場合、エッチングを行う前の遮光膜の厚さと、エッチングを行った後の遮光膜の厚さとの差値は3nm以内とする。
【0119】
以降、遮光膜をパターニングして形成された遮光パターン膜23でPoを測定する。前記遮光パターン膜23を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜23のパターニングにより形成された一縁(Le)から前記遮光パターン膜23の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する領域を測定領域(Am)として定義する。前記測定領域(Am)に対して波長193nmの露光光を照射してPo値を測定する。
【0120】
前記測定したBo値及びPo値からDo値を算出する。
【0121】
前記Bo値及びPo値は、エリプソメータ(ellipsometer)で測定することができる。前記Bo値及びPo値は、例示的に、ナノビュー社のMG Proモデルを用いて測定することができる。
【0122】
遮光膜20のDo値は0.05未満であってもよい。遮光膜20のDo値は0.04以下であってもよい。遮光膜20のDo値は0.03以下であってもよい。遮光膜20のDo値は0.02以下であってもよい。遮光膜20のDo値は0.01以上であってもよい。このような場合、遮光膜20のパターニングによるブランクマスク100の解像度の低下を効果的に抑制することができる。
【0123】
遮光膜20のBo値は1.8以上であってもよい。遮光膜20のBo値は1.85以上であってもよい。遮光膜20のBo値は3以下であってもよい。このような場合、遮光膜20を含む薄膜積層体は、露光光の透過を効果的に遮断することができる。
【0124】
遮光膜20のPo値は1.8以上であってもよい。遮光膜20のPo値は1.82以上であってもよい。遮光膜20のPo値は3以下であってもよい。遮光膜20のPo値は2以下であってもよい。遮光膜20のPo値は1.9以下であってもよい。このような場合、ブランクマスク100の解像度の低下の抑制を効果的に助けることができる。
【0125】
波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は1%以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は1.3%以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は1.4%以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率は2%以下であってもよい。このような場合、遮光膜20を含む薄膜は、露光光の透過を効果的に抑制することができる。
【0126】
遮光膜のエッチング特性
塩素系ガスに対する前記遮光膜20のエッチング速度は1.55Å/s以上であってもよい。
【0127】
ブランクマスク100の解像度を向上させるために、遮光膜20上に配置されるレジスト膜又はエッチングマスク膜の薄膜化が要求され得る。遮光膜20のパターニング時に、エッチャントに対する遮光膜20のエッチング速度を制御することによって、前記遮光膜20上に相対的に薄い厚さのレジスト膜などを形成しても遮光膜20のパターニングが可能なようにすることができる。
【0128】
遮光膜20のエッチャントとして塩素系ガスを含むことができる。塩素系ガスは、塩素気体(Cl2)及び酸素気体(O2)を含むことができる。
【0129】
塩素系ガスに対する遮光膜20のエッチング特性は、遮光膜20の層別の緻密度、遮光膜20の厚さ方向への元素別の含量分布、遮光膜20の成膜時の工程条件、成膜後の冷却速度などによって制御され得る。
【0130】
塩素系ガスに対する遮光膜20のエッチング速度を測定する方法は、以下の通りである。
【0131】
まず、遮光膜20のTEMイメージを測定して遮光膜20の厚さを測定する。測定対象であるブランクマスク100を横15mm、縦15mmの大きさに加工して試験片を準備する。前記試験片の表面をFIB(Focussed Ion Beam)処理した後、TEMイメージ測定装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定する。前記TEMイメージから遮光膜20の厚さを算出する。
【0132】
例示的に、TEMイメージは、日本電子(JEOL LTD)社のJEM-2100F HRモデルを通じて測定することができる。
【0133】
以降、塩素系ガスに対する遮光膜20のエッチング時間を測定する。前記塩素系ガスとして、塩素気体を90~95体積比%、酸素気体を5~10体積比%含むガスを適用する。前記遮光膜20の厚さ及び遮光膜20のエッチング時間から、塩素系ガスに対する遮光膜20のエッチング速度を算出する。
【0134】
塩素系ガスに対する遮光膜20のエッチング速度は1.55Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度は1.6Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度は1.7Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度は3Å/s以下であってもよい。このような場合、遮光膜20上に配置されるレジスト膜を薄膜化して、ブランクマスク100の解像度の低下を効果的に抑制するのに寄与することができる。
【0135】
遮光膜の組成及び膜厚
遮光膜20は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含むことができる。
【0136】
遮光膜20は、第1遮光層21と、前記第1遮光層21上に位置する第2遮光層22とを含むことができる。
【0137】
具現例は、第2遮光層22に含まれた元素別の含量を制御することによって、遮光膜20が目的とする消光特性を示すように助けることができ、遮光膜20のパターニング時に、遮光パターン膜23の側面プロファイルが光透過性基板と垂直に近い角度を形成するようにすることができる。
【0138】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含むことができる。第2遮光層22は遷移金属を50~80at%含むことができる。第2遮光層22は遷移金属を55~75at%含むことができる。第2遮光層22は遷移金属を60~70at%含むことができる。
【0139】
第2遮光層22の酸素又は窒素に該当する元素の含量は10~35at%であってもよい。第2遮光層22の酸素又は窒素に該当する元素の含量は15~25at%であってもよい。
【0140】
第2遮光層22は窒素を5~20at%含むことができる。第2遮光層22は窒素を7~13at%含むことができる。
【0141】
このような場合、第2遮光層22は、遮光膜20が優れた消光特性を有することを助けることができる。また、遮光膜20をパターニングして形成される遮光パターン膜の側面プロファイルをさらに精巧に制御することができる。
【0142】
第1遮光層21は、遷移金属と、酸素及び窒素を含むことができる。第1遮光層21は遷移金属を30~60at%含むことができる。第1遮光層21は遷移金属を35~55at%含むことができる。第1遮光層21は遷移金属を40~50at%含むことができる。
【0143】
第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は40~70at%であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は45~65at%であってもよい。第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は50~60at%であってもよい。
【0144】
第1遮光層21は酸素を20~40at%含むことができる。第1遮光層21は酸素を23~33at%含むことができる。第1遮光層21は酸素を25~30at%含むことができる。
【0145】
第1遮光層21は窒素を5~20at%含むことができる。第1遮光層21は窒素を7~17at%含むことができる。第1遮光層21は窒素を10~15at%含むことができる。
【0146】
このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が優れた消光特性を有するように助けることができ、遮光膜20のエッチング速度の向上を助けることができる。
【0147】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。前記遷移金属はCrであってもよい。
【0148】
第1遮光層21の膜厚は250~650Åであってもよい。第1遮光層21の膜厚は350~600Åであってもよい。第1遮光層21の膜厚は400~550Åであってもよい。このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が露光光を効果的に遮断することを助けることができる。
【0149】
第2遮光層22の膜厚は30~200Åであってもよい。第2遮光層22の膜厚は30~100Åであってもよい。第2遮光層22の膜厚は40~80Åであってもよい。このような場合、第2遮光層22は、遮光膜20の消光特性を向上させ、遮光パターン膜の側面プロファイルをさらに精巧に制御することを助けることができる。
【0150】
第1遮光層21の膜厚に対する第2遮光層22の膜厚の比率は0.05~0.3であってもよい。前記膜厚の比率は0.07~0.25であってもよい。前記膜厚の比率は0.1~0.2であってもよい。このような場合、遮光膜20は、十分な消光特性を有しながらも、パターニング時に光透過性基板の表面から垂直に近い側面プロファイルを形成することができる。
【0151】
その他の薄膜
図5は、本明細書の他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記
図5を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0152】
位相反転膜30は、光透過性基板10と遮光膜20との間に位置することができる。位相反転膜30は、前記位相反転膜30を透過する露光光の光強度を減衰し、位相差を調節して、パターンの縁部に発生する回折光を実質的に抑制する薄膜である。
【0153】
位相反転膜30は、波長193nmの光に対する位相差が170~190°であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する位相差が175~185°であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する透過率が3~10%であってもよい。位相反転膜30は、波長193nmの光に対する透過率が4~8%であってもよい。このような場合、前記位相反転膜30が含まれたフォトマスク200の解像度が向上することができる。
【0154】
位相反転膜30は、遷移金属及び珪素を含むことができる。位相反転膜30は、遷移金属、珪素、酸素及び窒素を含むことができる。前記遷移金属はモリブデンであってもよい。
【0155】
光透過性基板10及び遮光膜20についての説明は、それぞれ上述の内容と重複するので省略する。
【0156】
遮光膜20上にハードマスク(図示せず)が位置することができる。ハードマスクは、遮光膜20のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。ハードマスクは、珪素、窒素及び酸素を含むことができる。
【0157】
フォトマスク
図6は、本明細書の他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。前記
図6を参照して具現例のフォトマスクを説明する。
【0158】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスク200は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に位置する遮光パターン膜25とを含む。
【0159】
遮光パターン膜25は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0160】
遮光パターン膜25は、第1遮光層21と、前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22とを含む。
【0161】
遮光パターン膜25の下記式1のRd値が0.4~0.8である。
【0162】
【0163】
前記式1において、前記er1値は、アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層21のエッチング速度である。
【0164】
前記er2値は、アルゴンガスでエッチングして測定した前記第2遮光層22のエッチング速度である。
【0165】
遮光パターン膜25は、上述したブランクマスク100の遮光膜20をパターニングして形成され得る。
【0166】
遮光パターン膜25のRd値を測定する方法は、ブランクマスク100において遮光膜20のRd値を測定する方法と同一である。
【0167】
遮光パターン膜25のパターンエッジの損失面積は10nm2以下であってもよい。
【0168】
遮光パターン膜25のパターンエッジの損失面積を測定する方法は、遮光膜20をパターニングする過程を省略する点を除いては、遮光膜20のパターンエッジの損失面積を測定する方法と同一である。
【0169】
遮光パターン膜25の下記式3のPDo値は0.05未満であってもよい。
【0170】
[式3]
PDo=PBo-PPo
【0171】
前記式3において、前記PBo値は、波長193nmの露光光を照射して測定した前記遮光パターン膜25の光学密度である。
【0172】
前記PPo値は、前記遮光パターン膜25を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜25の一縁から前記遮光パターン膜25の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する測定領域に対して、波長193nmの露光光を照射して測定した光学密度の平均値である。
【0173】
前記一縁は、遮光パターン膜25の縁のうちエッチングによって形成されたものを意味する。
【0174】
遮光パターン膜25のPDo値、PBo値及びPPo値を測定する方法は、それぞれ遮光膜20のDo値、Bo値及びPo値を測定する方法と同一である。但し、遮光パターン膜25のPDo値、PBo値及びPPo値を測定する際に、遮光膜をパターニングする過程は省略する。また、PBo値の測定時に、測定対象の表面は、パターニング前の遮光膜ではなく遮光パターン膜25の表面を適用する。
【0175】
遮光パターン膜25の物性、組成及び構造などについての説明は、ブランクマスクの遮光膜についての説明と重複するので省略する。
【0176】
遮光膜の製造方法
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、スパッタリングチャンバ内に光透過性基板、スパッタリングターゲット及びマグネットを設置する準備ステップ;を含むことができる。
【0177】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、スパッタリングチャンバ内に雰囲気ガスを注入し、マグネットの回転速度を制御し、スパッタリングターゲットに電力を加えて、光透過性基板上に遮光膜を成膜する成膜ステップ;を含むことができる。
【0178】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、150~330℃で5~30分間熱処理する熱処理ステップ;を含むことができる。
【0179】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、前記熱処理ステップを経た遮光膜を冷却させる冷却ステップ;を含むことができる。
【0180】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、冷却ステップを経たブランクマスクを30~50℃で1~5分間安定化させる安定化ステップ;を含むことができる。
【0181】
成膜ステップは、光透過性基板上に第1遮光層を成膜する第1遮光層成膜過程と;前記第1遮光層上に第2遮光層を成膜する第2遮光層成膜過程と;を含む。
【0182】
準備ステップにおいて、遮光膜の組成を考慮して、遮光膜を成膜する際のターゲットを選択することができる。スパッタリングターゲットは、遷移金属を含有する一つのターゲットを適用してもよい。スパッタリングターゲットは、遷移金属を含有する一つのターゲットを含めて2以上のターゲットを適用してもよい。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を90at%以上含むことができる。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を95at%以上含むことができる。遷移金属を含有するターゲットは、遷移金属を99at%含むことができる。
【0183】
遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。遷移金属はCrを含むことができる。
【0184】
スパッタリングチャンバ内に配置される光透過性基板については、上述した内容と重複するので省略する。
【0185】
準備ステップにおいて、スパッタリングチャンバ内にマグネットを配置することができる。マグネットは、スパッタリングターゲットにおいてスパッタリングが発生する一面に対向する面に配置され得る。
【0186】
遮光膜の成膜ステップにおいて、遮光膜に含まれた各層別の成膜時に成膜工程の条件を異なって適用することができる。特に、遮光膜の消光特性及びエッチング特性などを考慮して、雰囲気ガスの組成、チャンバ内の圧力、スパッタリングターゲットに加える電力、マグネットの回転速度、成膜時間、基板の回転速度などの各種工程条件を各層別に異なって適用することができる。
【0187】
雰囲気ガスは、不活性ガス、反応性ガス及びスパッタリングガスを含むことができる。不活性ガスは、成膜される薄膜を構成しない元素を含むガスである。反応性ガスは、成膜される薄膜を構成する元素を含むガスである。スパッタリングガスは、プラズマ雰囲気でイオン化してターゲットと衝突するガスである。不活性ガスはヘリウムを含むことができる。反応性ガスは、窒素を含むガスを含むことができる。前記窒素を含むガスは、例示的にN2、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。反応性ガスは、酸素を含むガスを含むことができる。前記酸素を含むガスは、例示的にO2、CO2などであってもよい。反応性ガスは、窒素を含むガス及び酸素を含むガスを含むことができる。前記反応性ガスは、窒素と酸素をいずれも含むガスを含むことができる。前記窒素と酸素をいずれも含むガスは、例示的にNO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。
【0188】
スパッタリングガスは、アルゴン(Ar)ガスであってもよい。
【0189】
スパッタリングターゲットに電力を加える電源は、DC電源を使用してもよく、またはRF電源を使用してもよい。
【0190】
遮光膜の成膜ステップにおいて、マグネットの回転速度を調節することができる。マグネットの回転速度は、スパッタリングチャンバ内に形成されるプラズマ分布領域に影響を及ぼし得る。具体的に、プラズマは、マグネットの回転速度が速いほど、スパッタリングターゲットの周辺に形成され、マグネットの回転速度が遅いほど、光透過性基板の周辺に形成される傾向を示す。
【0191】
スパッタリングチャンバ内に形成されるプラズマの位置によって、成膜される薄膜の緻密度などが異なり得る。プラズマがスパッタリングターゲットの周辺の近くに形成されるほど、アルゴンイオンとスパッタリングターゲットの一面との衝突回数が相対的に増加し、薄膜が相対的に緻密に成膜される傾向がある。このようなプラズマの特性を考慮してマグネットの回転速度を制御する場合、遮光膜内に成膜される第1遮光層及び第2遮光層の緻密度などを相対的に容易にそれぞれ制御することができる。
【0192】
第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5~2.5kWとして適用してもよい。第1遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.6~2kWとして適用してもよい。
【0193】
第1遮光層の成膜過程において、雰囲気ガスの不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は1.5~3であってもよい。前記流量の比率は1.8~2.7であってもよい。前記流量の比率は2~2.5であってもよい。
【0194】
反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は1.5~4であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は2~3であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は2.2~2.7であってもよい。
【0195】
このような場合、第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有することを助けることができる。また、第1遮光層のエッチング特性が制御されることで、パターニング後に遮光パターン膜の側面プロファイルが光透過性基板の表面から垂直に近い形状を有するように助けることができる。
【0196】
第1遮光層の成膜過程において、マグネットの回転速度を90~140rpmとして適用してもよい。第1遮光層の成膜過程において、マグネットの回転速度を100~120rpmとして適用してもよい。このような場合、第1遮光層のエッチング速度を向上させることを助けることができる。
【0197】
第1遮光層の成膜時間は200~300秒間行ってもよい。第1遮光層の成膜時間は210~240秒間行ってもよい。このような場合、第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有するように助けることができる。
【0198】
第2遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1~2kWとして適用してもよい。第2遮光層の成膜過程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.2~1.7kWとして適用してもよい。このような場合、第2遮光層が予め設定した範囲の緻密度を有するのに寄与することができる。
【0199】
第2遮光層の成膜過程において、雰囲気ガスの不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は0.3~0.8であってもよい。前記流量の比率は0.4~0.6であってもよい。
【0200】
第2遮光層の成膜過程において、反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.3以下であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.1以下であってもよい。反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.001以上であってもよい。
【0201】
このような場合、第2遮光層の緻密度などが制御されることで、パターニングを通じて形成された遮光パターン膜の側面が光透過性基板の表面から相対的に垂直に近いプロファイルを有することができる。
【0202】
第2遮光層の成膜過程において、マグネットの回転速度を調節することができる。遮光膜のパターニング時に遮光パターン膜内の第2遮光層の側面に発生し得る必要以上のエッチングを抑制する観点のみを考慮してマグネットの回転速度を制御する場合、スパッタリングターゲットから発生したスパッタリング粒子が成膜対象の表面に蒸着せずに前記スパッタリングターゲットの表面に再蒸着(redeposition)することがある。再蒸着されたスパッタリング粒子はパーティクルソース(source)として作用して、ブランクマスクの解像度の低下を誘発することがある。具現例は、第2遮光層の成膜過程でマグネットの回転速度を予め設定した範囲内に制御して、遮光膜のパターニング時に遮光パターン膜の側面プロファイルを精巧に制御することができ、パーティクルの形成を効果的に抑制することができる。
【0203】
第2遮光層の成膜過程において、マグネットの回転速度を100~150rpmとして適用してもよい。第2遮光層の成膜過程において、マグネットの回転速度を110~140rpmとして適用してもよい。このような場合、遮光膜のパターニング時に、遮光パターン膜の側面プロファイルを精巧に制御することができ、パーティクルによるパターンの解像度の低下を抑制することができる。
【0204】
第2遮光層の成膜時間は10~30秒間行ってもよい。第2遮光層の成膜時間は15~25秒間行ってもよい。このような場合、第2遮光層は、パターニングされた遮光膜の側面が光透過性基板の表面と垂直に近い角度を形成するように助けることができる。
【0205】
熱処理ステップにおいて、成膜ステップを終えた遮光膜を熱処理することができる。具体的に、前記遮光膜の成膜を終えた基板を熱処理チャンバ内に配置した後、熱処理を行うことができる。
【0206】
熱処理ステップにおいて、雰囲気温度は150~300℃であってもよい。前記雰囲気温度は170~280℃であってもよい。前記雰囲気温度は200~250℃であってもよい。
【0207】
熱処理ステップにおいて、熱処理時間は5~25分であってもよい。前記熱処理時間は10~20分であってもよい。このような場合、遮光膜内に形成された応力を効果的に減少させることができる。
【0208】
ブランクマスクは、熱処理ステップを終えた後、2分内に冷却ステップを適用することができる。このような場合、加熱による遮光膜内に含まれた遷移金属の粒子の成長を抑制することができる。
【0209】
冷却ステップにおいて、冷却プレートを用いて遮光膜を冷却させることができる。具体的に、熱処理ステップを終えたブランクマスクの基板側に、予め設定した冷却温度に調節された冷却プレートを配置してブランクマスクを冷却させることができる。冷却ステップにおいて、ブランクマスクと冷却プレートとの間隔を調節してブランクマスクの冷却速度を制御することができる。
【0210】
冷却ステップにおいて、冷却プレートに適用された冷却温度は10~40℃であってもよい。前記冷却温度は20~30℃であってもよい。
【0211】
冷却ステップは5~20分間行われてもよい。冷却ステップは10~15分間行われてもよい。
【0212】
冷却ステップにおいて、ブランクマスクと冷却プレートとの離隔距離は0.01~30mmであってもよい。前記離隔距離は0.05~5mmであってもよい。前記離隔距離は0.1~2mmであってもよい。
【0213】
冷却ステップにおいて、ブランクマスクの冷却速度は0.45~1℃/sであってもよい。前記冷却速度は0.5~0.8℃/sであってもよい。
【0214】
このような場合、冷却による遮光膜の損傷を実質的に抑制し、熱処理後の、遮光膜に含まれた遷移金属の粒子の成長による遮光膜内の各層、特に第2遮光層の緻密度の低下を効果的に抑制することができる。
【0215】
安定化ステップにおいて、冷却ステップを経たブランクマスクを安定化させることができる。冷却ステップを経たブランクマスクの場合、急激な温度変化によりブランクマスクに相当の損傷(damage)が加えられることがある。これを防止するために、安定化ステップが必要となり得る。
【0216】
冷却ステップを経たブランクマスクを安定化させる方法は様々であり得る。一例として、冷却ステップを経たブランクマスクを冷却プレートから分離した後、常温の大気中に所定時間放置してもよい。他の一例として、冷却ステップを経たブランクマスクを冷却プレートから分離した後、30~50℃で1~5分間安定化させてもよい。このとき、ブランクマスクを20~50rpmで1~5分間回転させることができる。更に他の一例として、冷却ステップを経たブランクマスクにブランクマスクと反応しない気体を5~10L/minの流量で1~5分間噴射してもよい。このとき、ブランクマスクと反応しない気体は、20~40℃の温度を有することができる。
【0217】
半導体素子の製造方法
本明細書の他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0218】
フォトマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜とを含む。
【0219】
遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0220】
遮光パターン膜は、第1遮光層と、前記第1遮光層上に配置される第2遮光層とを含む。
【0221】
遮光パターン膜の下記式1のRd値は0.4~0.8である。
【0222】
【0223】
前記式1において、前記er1値は、アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層のエッチング速度である。
【0224】
前記er2値は、アルゴンガスでエッチングして測定した前記第2遮光層のエッチング速度である。
【0225】
準備ステップにおいて、光源は、短波長の露光光を発生させることができる装置である。露光光は、波長200nm以下の光であってもよい。露光光は、波長193nmであるArF光であってもよい。
【0226】
フォトマスクと半導体ウエハとの間にレンズがさらに配置されてもよい。レンズは、フォトマスク上の回路パターンの形状を縮小して半導体ウエハ上に転写する機能を有する。レンズは、ArF半導体ウエハ露光工程に一般に適用できるものであれば限定されない。例示的に、前記レンズは、フッ化カルシウム(CaF2)で構成されたレンズを適用できる。
【0227】
露光ステップにおいて、フォトマスクを介して、半導体ウエハ上に露光光を選択的に透過させることができる。このような場合、レジスト膜中の露光光が入射した部分で化学的変性が発生することができる。
【0228】
現像ステップにおいて、露光ステップを終えた半導体ウエハを現像溶液で処理して半導体ウエハ上にパターンを現像することができる。塗布されたレジスト膜がポジティブレジスト(positive resist)である場合、レジスト膜中の露光光が入射した部分が現像溶液によって溶解され得る。塗布されたレジスト膜がネガティブレジスト(negative resist)である場合、レジスト膜中の露光光が入射していない部分が現像溶液によって溶解され得る。現像溶液の処理によって、レジスト膜はレジストパターンとして形成される。前記レジストパターンをマスクとして半導体ウエハ上にパターンを形成することができる。
【0229】
フォトマスクについての説明は、上述の内容と重複するので省略する。
【0230】
以下、具体的な実施例についてより詳細に説明する。
【0231】
製造例:遮光膜の成膜
実施例1:DCスパッタリング装備のチャンバ内に、横6インチ、縦6インチ、厚さ0.25インチの石英素材の光透過性基板を配置した。T/S距離が255mm、基板とターゲットとの間の角度が25°をなすようにクロムターゲットをチャンバ内に配置した。前記クロムターゲットの後面にマグネットを設置した。
【0232】
以降、Ar21体積比%、N211体積比%、CO232体積比%、He36体積比%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.85kW、マグネットの回転速度を113rpmとして適用して、250秒間スパッタリング工程を行って第1遮光層を成膜した。
【0233】
第1遮光層の成膜を終えた後、第1遮光層上に、Ar57体積比%とN243体積比%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kW、マグネットの回転速度を113rpmとして適用して、25秒間スパッタリング工程を行って第2遮光層を成膜したブランクマスク試験片を製造した。
【0234】
第2遮光層の成膜を終えた試験片を熱処理チャンバ内に配置した。以降、雰囲気温度を250℃として適用して15分間熱処理を行った。熱処理を終えたブランクマスクを熱処理チャンバから取り出し、40℃の雰囲気で30rpmで2分間回転させることによって安定化させた。
【0235】
安定化を経たブランクマスクの基板側に、冷却温度が10~40℃として適用された冷却プレートを設置した。ブランクマスクの基板と冷却プレートとの離隔距離は0.1mmとして適用した。冷却ステップは5~20分間行った。
【0236】
実施例2:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、第1遮光層の成膜時に、雰囲気ガスとしてAr19体積比%、N211体積比%、CO236体積比%、He34体積比%が混合されたガスを適用した。
【0237】
実施例3:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、第1遮光層の成膜時に、雰囲気ガスとしてAr17体積比%、N224体積比%、CO229体積比%、He30体積比%が混合されたガスを適用した。また、ブランクマスク試験片の冷却時に、ブランクマスクの基板の表面と冷却プレートとの離隔距離は2mmとして適用した。
【0238】
実施例4:実施例2と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、第2遮光層の成膜時に、マグネットの回転速度を127rpmとして適用した。また、ブランクマスク試験片の冷却時に、ブランクマスクの基板と冷却プレートとの離隔距離は2mmとして適用した。
【0239】
実施例5:実施例4と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、第1遮光層の成膜時に、マグネットの回転速度を131rpmとして適用した。
【0240】
実施例6:実施例2と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、ブランクマスク試験片の冷却時に、ブランクマスクの基板の表面と冷却プレートとの離隔距離は5mmとして適用した。
【0241】
比較例1:実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、第2遮光層の成膜時に、雰囲気ガスとしてAr44体積比%、N256体積比%を適用した。
【0242】
比較例2:実施例2と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、第2遮光層の成膜時に、マグネットの回転速度を89rpmとして適用した。
【0243】
比較例3:実施例2と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、ブランクマスク試験片の冷却時に、ブランクマスクの基板の表面と冷却プレートとの離隔距離は10mmとして適用した。
【0244】
比較例4:実施例2と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。但し、ブランクマスク試験片の冷却時に、ブランクマスクの基板の表面と冷却プレートとの離隔距離は20mmとして適用した。
【0245】
実施例及び比較例別の成膜、熱処理及び冷却条件について、下記の表1に記載した。
【0246】
評価例:遮光膜のRd値の測定
実施例及び比較例別の試験片を横15mm、縦15mmの大きさに加工した。加工した試験片の表面をFIB(Focussed Ion Beam)処理した後、日本電子(JEOL LTD)社のJEM-2100F HRモデルの装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定した。前記TEMイメージから第1遮光層及び第2遮光層の厚さを算出した。
【0247】
以降、前記試験片をアルゴンガスでエッチングして、第1遮光層及び第2遮光層のエッチング時間を測定した。前記試験片をサーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-Alphaモデル内に配置し、前記試験片の中央部に位置する横4mm、縦2mmの領域をアルゴンガスでエッチングして、各層別のエッチング時間を測定した。各層別のエッチング時間の測定時に、測定装備内の真空度は1.0×10-8mbar、X線ソース(Source)はMonochromator Al Kα(1486.6eV)、アノード電力は72W、アノード電圧は12kV、アルゴンイオンビームの電圧は1kVを適用した。
【0248】
測定された第1遮光層及び第2遮光層の厚さ及びエッチング速度からer1値、er2値及びRd値を算出した。実施例及び比較例別に測定されたer1値、er2値及びRd値は、下記の表2に記載した。
【0249】
評価例:遮光膜の光学特性の測定
実施例及び比較例別の試験片の遮光膜の表面から、ナノビュー社のMG-Proモデルを用いて、波長193nmの露光光に対する光学密度であるBo値及び透過率を測定した。
【0250】
以降、遮光膜をパターニングして遮光パターン膜を形成した。前記遮光パターン膜を上面から観察したとき、前記遮光パターン膜のパターニングにより形成された一縁から始まって、前記一縁から前記遮光パターン膜の内側方向に4nm離隔した位置までの領域に対応する領域である測定領域で、ナノビュー社のMG-Proモデルを用いて波長193nmの露光光を通じてPo値を測定した。
【0251】
測定したBo値及びPo値からDo値を算出した。
【0252】
実施例及び比較例別に測定したDo値、Bo値、Po値、及び波長193nmの光に対する透過率は、下記の表2に記載した。
【0253】
評価例:遮光膜のエッチング特性の測定
実施例及び比較例別の試験片に含まれた遮光膜のTEMイメージを測定して遮光膜の厚さを測定した。試験片を横15mm、縦15mmの大きさに加工した。前記加工された試験片の表面をFIB(Focussed Ion Beam)処理した後、日本電子(JEOL LTD)社のJEM-2100F HRモデルの装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定した。前記TEMイメージから遮光膜の厚さを算出した。
【0254】
以降、塩素系ガスに対する遮光膜のエッチング時間を測定した。前記塩素系ガスとして、塩素気体を90~95体積比%、酸素気体を5~10体積比%で含むガスを適用した。前記遮光膜の厚さ及び遮光膜のエッチング時間から、塩素系ガスに対する遮光膜のエッチング速度を算出した。
【0255】
実施例及び比較例別のエッチング速度の測定値は、下記の表2に記載した。
【0256】
評価例:遮光膜のパターンエッジの損失面積の測定
実施例及び比較例別の試験片の遮光膜をパターニングして遮光パターン膜を形成した。以降、前記遮光パターン膜を含む基板を横15mm、縦15mmの大きさに加工した。前記試験片の表面をFIB(Focussed Ion Beam)処理した後、日本電子(JEOL LTD)社のJEM-2100F HRモデルの装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定した。
【0257】
以降、前記TEMイメージで観察される遮光パターン膜の側面プロファイルにおいて、遮光パターン膜の全体高さを100%とするとき、20%の高さに位置する地点、及び40%の高さに位置する地点を特定し、前記両地点を結ぶ延長線である第1線を特定した。
【0258】
前記TEMイメージで観察される遮光パターン膜の中心部を通る直線と、上面プロファイルとの交差点を特定し、前記交差点を含み、光透過性基板に平行に配置された延長線である第2線を特定した。
【0259】
前記TEMイメージから、第1線、第2線及び遮光パターン膜のパターンエッジプロファイルで取り囲まれた面積であるパターンエッジの損失面積を測定した。
【0260】
実施例及び比較例別に測定したパターンエッジの損失面積は、下記の表2に記載した。
【0261】
【0262】
【0263】
前記表2において、実施例1~6のRd値が0.4~0.8の値を示す反面、比較例1及び2のRd値が0.4未満または0.8超の値を示した。
【0264】
Do値において、実施例1~6は0.05未満の値を示す反面、全ての比較例は0.05以上の値を示した。
【0265】
透過率において、実施例1~6は1.55%以下の値を示す反面、比較例2は1.7%以上の値を示した。
【0266】
エッチング速度において、全ての実施例及び比較例は1.6Å/s以上の値を示した。
【0267】
パターンエッジの損失面積において、実施例1~6は8nm2以下の値を示す反面、全ての比較例は8.5nm2以上の値を示した。
【0268】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している具現例の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0269】
100 ブランクマスク
10 光透過性基板
20 遮光膜
21 第1遮光層
22 第2遮光層
30 位相反転膜
150 測定対象ブランクマスクの遮光膜をパターニングして形成したマスク
23 測定対象ブランクマスクの遮光膜をパターニングして得られた遮光パターン膜
200 フォトマスク
25 遮光パターン膜
Le 遮光パターン膜においてパターニングにより形成された一縁
L1 第1線
L2 第2線
L0 パターン膜中心線
p1 第1点
p2 第2点
pc パターン膜中心点
pi パターン膜交差点
Ap パターンエッジの損失面積
Am 測定領域