(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】観察補助装置、観察補助方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A01M 29/16 20110101AFI20240913BHJP
A01M 29/10 20110101ALI20240913BHJP
A01M 23/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A01M29/16
A01M29/10
A01M23/00 Z
(21)【出願番号】P 2021132652
(22)【出願日】2021-08-17
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 幸生
(72)【発明者】
【氏名】細淵 貴司
(72)【発明者】
【氏名】西野 英一
(72)【発明者】
【氏名】安田 章人
(72)【発明者】
【氏名】細谷 忠嗣
(72)【発明者】
【氏名】林 健司
(72)【発明者】
【氏名】佐々 文洋
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-040519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0125058(US,A1)
【文献】特開2021-090355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を威嚇する刺激を出力可能な威嚇装置の動作を感知するセンサからセンサ情報を取得する取得部と、
前記センサ情報に基づいて前記威嚇装置の動作状況を推定する推定部と、
推定された前記威嚇装置の動作状況を表す表示情報を生成する生成部と、
前記威嚇装置から出力される刺激の対象である動物を撮像する撮像装置によって記録可能に前記表示情報を出力する出力部と
を備える、観察補助装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記センサ情報に基づいて、前記威嚇装置の動作状況として前記威嚇装置から前記刺激が出力されたことを推定し、
前記生成部は、前記表示情報として、前記威嚇装置から前記刺激が出力されたことまたは前記威嚇装置から前記刺激が出力されたタイミングを視覚的または聴覚的に表す情報を生成する、
請求項1に記載の観察補助装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記センサ情報の周波数特性に基づいて、前記威嚇装置の動作状況として、前記威嚇装置から前記刺激が適切に出力された否かを推定し、
前記生成部は、前記威嚇装置から前記刺激が適切に出力されたか否かを表す表示情報を生成する、
請求項1に記載の観察補助装置。
【請求項4】
前記威嚇装置が動物を検知可能な第1範囲または前記威嚇装置から出力される刺激が作用可能な第2範囲と少なくとも一部が重複する第3範囲について、前記第3範囲内の動物の存在を検知可能な検知部をさらに備え、
前記取得部は、前記検知部が前記第3範囲内に前記動物の存在を検知した後所定の時間にわたって、または前記検知部が前記第3範囲内に前記動物の存在を検知している間、前記センサ情報を取得する動作を実行する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の観察補助装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記取得部が前記センサ情報を取得してから所定時間経過後に前記表示情報を出力する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の観察補助装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記威嚇装置が複数種類の刺激を出力可能な場合に、前記センサ情報に基づいて、前記威嚇装置の動作状況として、前記威嚇装置から出力された刺激の種類を推定し、
前記生成部は、前記表示情報として、前記推定部によって推定された前記刺激の種類を表す情報を生成する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の観察補助装置。
【請求項7】
動物を威嚇する刺激を出力可能な威嚇装置の動作を感知するセンサからセンサ情報を取得することと、
前記センサ情報に基づいて前記威嚇装置の動作状況を推定することと、
推定された前記威嚇装置の動作状況を表す表示情報を生成することと、
前記威嚇装置から出力される刺激の対象である動物を撮像する撮像装置によって記録可能に前記表示情報を出力することと
を備える、観察補助方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置の各部による処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、観察補助装置、観察補助方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鳥獣害対策として、動物を威嚇する威嚇装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。威嚇装置は、対象とする動物に応じて様々であるが、例えば、赤外線センサ等により動物を検知すると、音、光、または匂い薬液の噴霧など、忌避効果を有する刺激を放出することによって動物を威嚇する。
【0003】
威嚇装置が対象とする動物に対して効果を発揮するかどうかを調べるため、しばしば動物行動観察が行われる。動物行動観察が行われる環境には電源やネットワークが存在しないことが多く、そのため、観察には一般的にバッテリ駆動するセンサカメラ(またはトレイルカメラ)が使用される(例えば、非特許文献1参照)。センサカメラは、赤外線センサ等により動物を検知すると、映像(静止画または動画)を一定時間撮像し、内部メモリまたは外部メモリに保存する。
【0004】
動物行動観察では、威嚇装置とともにこのようなセンサカメラを設置し、一定期間(例えば、1~2週間)経過後にメモリ内の映像を取得し、動物が出現し威嚇装置が動作したときの動物の行動が観察される。このような観察を通じて、威嚇装置の効果の分析が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Bushnellブッシュネル日本正規公式サイト、“監視カメラ トロフィーカムXLT30MP”、[online]、2021年4月7日検索、インターネット<http://www.bushnell.jp/trophycam-xlt30mp.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、威嚇装置には様々な種類があるため、威嚇装置とセンサカメラとは独立した装置が使用されることが多い。威嚇装置とセンサカメラとがそれぞれ独立に動作するので、センサカメラによって撮像された映像から、威嚇装置の動作の詳細がわからない、またはわかりづらいことがある。例えば、威嚇装置から出力される威嚇刺激が音であるときに、センサカメラが静止画の撮像のみを行う場合やセンサカメラが音声を録音しない場合には、撮像された画像または映像から音による威嚇を実施しているか否かを判別できない。同様に、匂い薬液の噴霧等、外見上の変化または音声の変化が小さい場合、映像から動作の有無や動作タイミングを判別することが困難である。さらに、威嚇装置から放出される匂い薬液などの残量が無くなっていたとしても映像からは判別できない。威嚇装置によっては動作時にLED等が点灯するものもあるが、威嚇装置は動物の威嚇に最適な場所および向きに、センサカメラは動物行動の観察に最適な場所および向きにそれぞれ設置されるため、センサカメラの映像にLEDが映らない場合がある。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、威嚇装置の動作と動物行動とを対応付けて観察可能とする、観察補助装置、観察補助方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の第1の態様は、観察補助装置にあって、動物を威嚇する刺激を出力可能な威嚇装置の動作を感知するセンサからセンサ情報を取得する取得部と、センサ情報に基づいて威嚇装置の動作状況を推定する推定部と、推定された威嚇装置の動作状況を表す表示情報を生成する生成部と、威嚇装置から出力される刺激の対象である動物を撮像する撮像装置によって記録可能に表示情報を出力する出力部と、を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の第1の態様によれば、観察補助装置は、威嚇装置の動作を感知するセンサから取得されるセンサ情報をもとに、威嚇装置の動作状況を推定し、推定された動作状況を表す表示情報を生成し、威嚇装置の対象動物を撮像する撮像装置によって記録可能に表示情報を出力する。これにより、撮像装置は、威嚇装置の対象動物とともに威嚇装置の動作の状況を表す表示情報も記録することができる。観察者は、撮像装置によって記録された情報から威嚇装置の動作と動物行動とを対応付けて観察することができ、観察結果に基づいて威嚇装置の効果を分析することができる。
【0011】
すなわちこの発明の各態様によれば、威嚇装置の動作と動物行動とを対応付けて観察可能とする、観察補助装置、観察補助方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る観察補助装置を備えたシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る観察補助装置の表示情報生成ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る観察補助装置の表示制御ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る観察補助装置の表示情報生成ユニットによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る観察補助装置の推定部が使用可能な推定アルゴリズムの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る観察補助装置の生成部が使用可能な表示パタンの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る観察補助装置の表示制御ユニットによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る観察補助装置を備えたシステムの構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る観察補助装置の表示情報生成ユニットによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0014】
[第1実施形態]
(1)構成
図1は、この発明の第1実施形態に係る観察補助装置を備える動物行動観察システムの全体構成の一例を示す。
動物行動観察システムは、動物の行動を観察するためのシステムであり、例えば、鳥獣害対策に用いられる威嚇装置の効果を分析するために使用される。
図1に示す動物行動観察システムは、威嚇装置7と、センサカメラ8と、第1実施形態に係る観察補助装置100と、を備える。
【0015】
威嚇装置7は、対象動物TGを威嚇する刺激を出力可能な装置である。威嚇装置7は、赤外線センサ等のセンサを備えており、センサによって対象動物TGを検知すると(D1)、威嚇刺激STを出力する。威嚇刺激STは、様々な種類の刺激を含んでよく、例えば、音の刺激、光の刺激、または匂いの刺激を含む。威嚇装置7は、使用される刺激の種類に応じて、威嚇刺激STの出力部、例えば、音を発するスピーカ、光を発する発光器、または匂い薬液を噴霧する噴霧器など、を備える。威嚇装置7は、複数の種類の威嚇刺激STの出力部を備えてよい。
【0016】
センサカメラ8は、動物を検知して撮像することが可能な自動撮像カメラである。センサカメラ8は、赤外線センサ等のセンサを備えており、センサによって対象動物TGを検知すると(D2)、撮像を開始する。センサカメラ8は、静止画または動画を撮像する。センサカメラ8はまた、音声を記録可能であってよい。センサカメラ8は、トレイルカメラと言い換えられてもよい。センサカメラ8は、威嚇装置7から出力される威嚇刺激STの対象である動物TGを撮像可能な撮像装置の一例である。撮像装置としてセンサカメラ8以外のカメラが使用されてもよい。例えば、一定時間連続して撮像可能なカメラが使用されてよい。センサカメラ8はまた、後述するように、観察補助装置100から出力される表示情報を記録する(D5、D6)。
【0017】
撮像装置としてセンサカメラ8が使用される場合、威嚇装置7から出力される威嚇刺激STの効果を観察できるよう、センサカメラ8が対象動物TGを検知可能な範囲と威嚇装置7が対象動物TGを検知可能な範囲とは、少なくとも一部が重複するように配置される。撮像装置として一定時間連続で撮像可能なカメラ等が使用される場合、撮像装置の撮像範囲が、威嚇装置7が対象動物TGを検知可能な範囲を含むように、または撮像範囲と威嚇装置7の検知範囲とが少なくとも一部重複するように設置されてもよい。
【0018】
一般に、センサカメラ8のセンサが対象動物TGを検知可能な範囲は、センサカメラ8の撮像部が撮像可能な範囲よりも小さい。そこで、一例として、センサカメラ8は、想定される威嚇位置(威嚇刺激STが出力されるときの対象動物TGの位置)でセンサカメラ8のセンサが対象動物TGを検知し、かつ想定される威嚇位置で対象動物TGがセンサカメラ8の撮像範囲に含まれるように設置される。これにより、センサカメラ8が対象動物TGを検知して撮像を開始するタイミングと、威嚇装置7が対象動物TGを検知して威嚇刺激STを出力するタイミングとが、概ね同時になる。威嚇装置7が対象動物TGを検知してから威嚇刺激STを出力するまでに所定の遅延時間が設けられてもよい。遅延時間を設けることで、より確実に、威嚇装置7から威嚇刺激STが出力されるときの対象動物TGの行動をセンサカメラ8で撮像して観察することができる。1つの威嚇装置7について、複数のセンサカメラ8が設置されてもよい。またセンサカメラ8の撮像範囲に必ずしも威嚇装置7が含まれなくてもよい。
【0019】
なお、
図1では対象動物TGとしてイノシシが示されているが、これは一例にすぎない。威嚇装置7による検知および刺激出力の対象動物、ならびにセンサカメラ8の撮像対象動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫類、魚類など、あらゆる種類の動物であり得る。例えば、対象動物TGは害獣および害鳥を含む。害獣は、例えば、イノシシ、シカ、サル、またはハクビシン等である。害鳥は、例えば、カラス、スズメ、またはムクドリ等である。同様に、観察補助システムは、あらゆる種類の動物に適用可能である。
【0020】
第1実施形態に係る観察補助装置100は、威嚇装置7の動作状況を表す表示情報を生成し、対象動物TGを撮像するセンサカメラ8等の撮像装置によって記録可能に表示情報を出力する。観察補助装置100は、表示情報生成ユニット1と、光センサ2と、音センサ3と、表示制御ユニット4と、ディスプレイ5と、スピーカ6と、を備える。
【0021】
光センサ2は、光を感知して電気信号に変換するセンサである。光センサ2は、威嚇装置7の動作に伴う光の変化を感知することができる(D3)。例えば、光センサ2は、威嚇装置7から発せられる光刺激、またはLEDパイロットランプのような威嚇装置7の動作状況を示す電灯の点灯等を感知する。
【0022】
音センサ3は、音を感知して電気信号に変換するセンサである。音センサ3は、威嚇装置7の動作に伴って発せられる音を感知することができる(D4)。例えば、音センサ3は、威嚇装置7から発せられる音刺激、または威嚇装置7の動作音等を感知する。音センサ3は、マイクロホンまたはマイクと言い換えられてもよい。
【0023】
光センサ2および音センサ3は、信号ケーブルを介して観察補助装置100の信号入力部(例えば後述する取得部11)に接続される。光センサ2および音センサ3は、それぞれ、威嚇装置7の観察しようとする動作の状況が分かりやすい場所に設置されてよい。例えば、光センサ2は、威嚇装置7の動作LEDに貼り付けられてよい。光センサ2および音センサ3は、観察補助装置100に一体的に組み込まれてもよい。光センサ2および音センサ3は、観察補助装置100の筐体表面に固定されてもよいし、観察補助装置100の筐体表面に角度調整可能に配置されてもよい。観察補助装置100は、光センサ2および音センサ3の両方を備える必要はなく、光センサ2または音センサ3のいずれか一方だけを備えてもよい。光センサ2および音センサ3は、威嚇装置7の動作を感知するセンサの一例である。光センサ2または音センサ3は、それぞれ、威嚇装置7の動作を感知可能な他の種類のセンサに置き換えられてもよい。
【0024】
表示情報生成ユニット1は、観察補助装置100の本体ユニットである。表示情報生成ユニット1は、取得部11と、推定部12と、生成部13と、設定部14と、記憶部15と、通信部16と、を備える。
【0025】
取得部11は、信号入力部として、光センサ2および音センサ3から電気信号を受信し、威嚇装置7の動作状況に対応するセンサ情報を取得する。センサ情報は、例えば、光センサ2が感知した光量または光の変動パタン、音センサ3が感知した音量または音の周波数情報等を含む。取得部11は、例えば、光センサ2および音センサ3からの入力信号を監視し、信号強度が所定の閾値を超えたら、一定時間にわたって信号を取得し、所定の信号処理を行ったのち、センサ情報として推定部12に渡す。
【0026】
推定部12は、光センサ2または音センサ3の一方または両方から得られたセンサ情報に基づいて威嚇装置7の動作状況を推定する。ここでは、動作状況とは、威嚇装置7の動作に関するあらゆる状況を言う。例えば、動作状況は、威嚇装置7が動作したか否か、威嚇装置7が威嚇刺激STを適切に出力したか否か、威嚇装置7の動作に異常があるか否か、等を含み得る。推定部12は、あらかじめ指定された推定アルゴリズムを用いて動作状況の推定を行う。例えば推定部12は、取得部11から受け取った光量または音量があらかじめ設定された閾値を超えたら威嚇装置7が動作したと推定する。推定部12は、推定結果を生成部13に渡す。推定アルゴリズムの例については後述する。
【0027】
生成部13は、推定部12から受け取った推定結果に基づいて、威嚇装置7の動作状況を表す表示情報を生成する。表示情報は、センサカメラ8によって記録可能な視覚的表示または聴覚的表示を実現するための情報であり、視覚的情報または聴覚的情報の一方または両方を含む。例えば、表示情報は、音の出力パタンを指示する情報、光の出力パタンを指示する情報、または再生すべき音声ファイルまたは画像ファイルを指示する情報を含む。生成部13は、推定部12から受け取った推定結果に基づいて、あらかじめ指定された表示パタンにしたがって表示情報を生成する。例えば、生成部13は、威嚇装置7が動作したと推定される場合、所定の音声を再生させる指示を含む表示情報を生成する。表示パタンの例については後述する。生成部13は、生成した表示情報を通信部16に渡す。
【0028】
設定部14は、取得部11、推定部12、および生成部13の動作条件を設定する。設定部14は、例えば、操作ボタン、操作画面、または設定ファイル等を介して、観察補助装置100のユーザにより入力された設定情報を受け付ける。ユーザは、例えば、使用される威嚇装置7の特徴、使用されるセンサカメラ8の特徴、対象動物TGの性質、または観察環境もしくは天候等に応じて、任意の設定値を選択し、設定情報として入力することができる。設定部14は、受け付けた設定情報に基づき、取得部11、推定部12、および生成部13の動作条件を設定する。
【0029】
例えば、設定部14は、取得部11について、推定部12に通知すべきセンサの信号強度の閾値および信号の取得時間に関する設定情報を受け付け、取得部11に設定する。これにより、取得部11は、観察に適したセンサ情報を取得することができる。
【0030】
例えば、設定部14は、推定部12について、どのような推定アルゴリズムを使用すべきか、または推定アルゴリズムの切替えに関する設定情報を受け付け、推定部12に設定する。あるいは、設定部14は、推定部12に対し、光センサ2からのセンサ情報のみを用いるべきか、音センサ3からのセンサ情報のみを用いるべきか、または光センサ2と音センサ3の両方からのセンサ情報を用いるべきか、を設定する、と言い換えることもできる。これにより、推定部12は、観察に適した推定を実行することができる。
【0031】
例えば、設定部14は、生成部13について、どの表示パタンを使用すべきか、または表示パタンの切替えに関する設定情報を受け付け、生成部13に設定する。あるいは、設定部14は、生成部13に対し、表示情報の生成において、聴覚的情報(例えば、音)のみを用いるべきか、視覚的情報(例えば、光または画像)のみを用いるべきか、聴覚的情報と視覚的情報の両方を用いるべきか、を設定する、と言い換えることもできる。あるいは設定部14は、生成部13に対し、表示情報の出力にディスプレイ5のみを用いるべきか、スピーカ6のみを用いるべきか、またはディスプレイ5とスピーカ6の両方を用いるべきか、を設定すると言い換えることもできる。これにより、生成部13は、観察に適した表示情報を出力することができる。
【0032】
記憶部15は、表示情報生成ユニット1によって使用される情報および表示情報生成ユニット1によって生成される情報等を記憶する。記憶部15は、例えば、推定部12によって使用される推定アルゴリズムおよび生成部13によって使用される生成パタンを記憶する。
【0033】
通信部16は、表示情報生成ユニット1と表示制御ユニット4との間の通信を可能にする。通信部16は、生成部13から表示情報を受け取り、表示制御ユニット4に送信する。
【0034】
表示制御ユニット4は、表示情報の出力を制御するユニットである。表示制御ユニット4は、通信部41と、出力部42と、記憶部43と、を備える。
【0035】
通信部41は、表示情報生成ユニット1と表示制御ユニット4との間の通信を可能にする。通信部41は、通信部16から表示情報を受信し、出力部42に渡す。通信部16と通信部41との間の通信は、任意の通信プロトコルに従って実現されてよい。通信部16と通信部41との間は、信号ケーブルを介して有線で接続されてもよいし、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により無線接続されてもよい。
【0036】
出力部42は、通信部41から表示情報を受け取り、記憶部43から必要なデータを読み出してディスプレイ5またはスピーカ6の一方または両方に表示させる。出力部42は、威嚇装置7から出力される刺激の対象である動物を撮像する撮像装置8によって記録可能に表示情報を出力する出力部の一例である。
【0037】
記憶部43は、表示制御ユニット4によって使用される情報および表示制御ユニット4によって生成される情報等を記憶する。記憶部43は、例えば、表示情報に応じて出力部42によって読み出される、音声ファイルまたは画像ファイル等を記憶する。音声ファイルは、例えば、動作状況を表示可能なメロディまたは音声メッセージ等を含み得る。画像ファイルは、例えば、動作状況を表示可能な言語情報および非言語情報を含み得る。
【0038】
ディスプレイ5は、表示情報を視覚的情報として出力する。ディスプレイ5は、単一のLED(Light Emitting Diode)であってもよい。ディスプレイ5は、複数のLEDを組み合わせたディスプレイであってもよい。ディスプレイ5は、赤外光LEDを含んでもよい。ディスプレイ5は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)であってもよい。ディスプレイ5は、センサカメラ8によって記録可能な視覚的情報を出力する(D5)。ディスプレイ5は、例えば、センサカメラ8の撮像範囲内に設置される。
【0039】
スピーカ6は、電気信号を音に変換して出力することにより、表示情報をセンサカメラ8によって記録可能な聴覚的情報として出力する(D6)。スピーカは、必ずしもセンサカメラの撮像範囲内に設置されなくてもよい。
【0040】
ディスプレイ5およびスピーカ6は、信号ケーブルを介して観察補助装置100の信号出力部(出力部42)に接続される。ディスプレイ5およびスピーカ6は、それぞれ、センサカメラ8によって表示情報を記録しやすい場所に設置されてよい。例えば、ディスプレイ5は、センサカメラ8から所定の距離内でその表示部をセンサカメラ8に向けて設置される。ディスプレイ5およびスピーカ6は、観察補助装置100の筐体表面に固定されてもよいし、観察補助装置100の筐体表面に角度調整可能に配置されてもよい。観察補助装置100は、ディスプレイ5およびスピーカ6の両方を備える必要はなく、ディスプレイ5またはスピーカ6のいずれか一方だけを備えてもよい。ディスプレイ5およびスピーカ6は、表示情報を出力する出力装置の一例である。ディスプレイ5およびスピーカ6は、表示情報を出力可能な他の装置に置き換えられてもよい。
【0041】
なお、ここでは表示情報生成ユニット1と表示制御ユニット4とが別体のユニットであるものとして説明するが、これに限られない。表示情報生成ユニット1と表示制御ユニット4とは一体のユニットとして構成されてもよい。表示情報生成ユニット1および表示制御ユニット4が一体のユニットとして構成される場合、通信部16および通信部41は省略されてもよい。この場合、生成部13は、出力部42に表示情報を直接渡すことができる。
【0042】
図2は、表示情報生成ユニット1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2の例では、表示情報生成ユニット1は、制御部101と、記憶装置102と、センサ103と、入力装置104と、出力装置105と、通信インタフェース(通信I/F)106と、バッテリ107と、を備える。制御部101、記憶装置102、センサ103、入力装置104、出力装置105、通信インタフェース106、およびバッテリ107は電気的に接続される。
【0043】
制御部101は、表示情報生成ユニット1の全体の動作を制御する。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)1011、ROM(Read Only Memory)1012、RAM(Random Access Memory)1013等を含む。CPU1011は、プロセッサの一例である。ROM1012は、プログラムおよびデータを非一時的に記憶する。RAM1013はワーキングメモリとしてCPU1011に使用される。RAM1013は、例えば揮発性の半導体メモリである。ROM1012に記憶されている各プログラムはコンピュータ実行可能命令を含む。プログラム(コンピュータ実行可能命令)は、CPU1011により実行されると、CPU1011に、上記の取得部11、推定部12、生成部13、および設定部14として機能させる。
【0044】
記憶装置102は、いわゆる補助記憶装置であり、例えば、内蔵または外付けのフラッシュメモリなどの半導体メモリであり得る。記憶装置102は、制御部101によって使用されるデータおよび制御部101によって生成されるデータ等を記憶する。記憶装置102は、上記記憶部15を含む。プログラムの一部は記憶装置102に記憶されてよい。
【0045】
センサ103は、上述の光センサ2および音センサ3を含む。
入力装置104は、ユーザ入力を受け付けるための装置であり、例えば、キーボード、タッチスクリーン、およびボタン等を含む。
出力装置105は、出力を行うための装置であり、ディスプレイまたはスピーカ等を含む。
【0046】
通信インタフェース(通信I/F)106は、外部装置と通信するための通信モジュールを含む。通信モジュールは、有線通信用のモジュールまたは無線通信用のモジュールを含む。通信インタフェース106は、上述の通信部16として表示制御ユニット4に表示情報を送信する。通信インタフェース106は、USB(Universal Serial Bus)コネクタ等の端子を備えていてもよい。
【0047】
バッテリ107は、表示情報生成ユニット1の電源電圧を供給する。バッテリ107は、交換可能であってもよい。表示情報生成ユニット1は、外部電源から電源供給を受けてもよい。この場合バッテリ107は省略されてもよい。
【0048】
図3は、表示制御ユニット4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3の例では、表示制御ユニット4は、制御部401と、記憶装置402と、入力装置403と、出力装置404と、通信インタフェース(通信I/F)405と、バッテリ406と、を備える。制御部401、記憶装置402、入力装置403、出力装置404、通信インタフェース405、およびバッテリ406は電気的に接続される。
【0049】
制御部401は、表示制御ユニット4の全体の動作を制御する。制御部401は、CPU4011、ROM4012、RAM4013等を含む。CPU4011は、プロセッサの一例である。ROM4012は、プログラムおよびデータを非一時的に記憶する。RAM4013はワーキングメモリとしてCPU4011に使用される。RAM4013は、例えば揮発性の半導体メモリである。ROM4012に記憶されている各プログラムはコンピュータ実行可能命令を含む。プログラム(コンピュータ実行可能命令)は、CPU4011により実行されると、CPU4011に、上記の出力部42として機能させる。
【0050】
記憶装置402は、いわゆる補助記憶装置であり、例えば、内蔵または外付けのフラッシュメモリなどの半導体メモリであり得る。記憶装置402は、制御部401によって使用されるデータおよび制御部401によって生成されるデータ等を記憶する。記憶装置402は、上記記憶部43を含む。プログラムの一部は記憶装置402に記憶されてよい。
【0051】
入力装置403は、ユーザ入力を受け付けるための装置であり、例えば、キーボード、タッチスクリーン、およびボタン等を含む。
出力装置404は、出力を行うための装置であり、上述のディスプレイ5およびスピーカ6を含む。
【0052】
通信インタフェース(通信I/F)405は、外部装置と通信するための通信モジュールを含む。通信モジュールは、有線通信用のモジュールまたは無線通信用のモジュールを含む。通信インタフェース405は、上述の通信部41として、表示情報生成ユニット1の通信部16から表示情報を受信する。通信インタフェース405は、USBコネクタ等の端子を備えていてもよい。
【0053】
バッテリ406は、表示制御ユニット4の電源電圧を供給する。バッテリ406は、交換可能であってよい。表示制御ユニット4は、外部電源から電源供給を受けてもよい。この場合バッテリ406は省略されてもよい。
【0054】
なお、表示情報生成ユニット1および表示制御ユニット4の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部101は、複数のプロセッサを含んでもよい。制御部101および制御部401は、それぞれ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(field-programmable gate array)などの集積回路を含む、他の多様な形式で実現されてもよい。
【0055】
上述したように、表示情報生成ユニット1と表示制御ユニット4とは別体の装置であってもよいし、一体化された装置であってもよい。一体化された装置である場合、例えば、制御部101と制御部401、記憶装置102と記憶装置402、入力装置104と入力装置403、出力装置105と出力装置404、およびバッテリ107とバッテリ406は一体化されてもよく、通信インタフェース106または405は省略されてもよい。
【0056】
(2)動作
次に、以上のように構成された観察補助装置100による観察補助動作について説明する。
図4は、第1実施形態に係る観察補助装置100の表示情報生成ユニット1による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0057】
表示情報生成ユニット1は、あらかじめユーザから設定情報を受け付け、設定部14を介して各部の設定を完了しているものとする。
【0058】
ステップS101において、表示情報生成ユニット1は、取得部11により、威嚇装置7の動作状況を表すセンサ情報を取得する。取得部11は、光センサ2および音センサ3からの入力信号を監視し、信号強度が所定の閾値を超えたら、一定時間にわたって信号を取得する。取得部11において使用される信号強度の閾値および信号取得時間は、あらかじめ設定部14を介して設定される。取得部11は、取得した信号に対し、例えば、雑音除去、増幅、AD変換等を含む所定の信号処理を行ったのち、センサ情報として推定部12に渡す。取得部11は、光センサ2からの入力信号と音センサ3からの入力信号とをそれぞれの閾値と比較し、それぞれ別個に取得してもよい。取得部11は、光センサ2からの入力信号が閾値を超えた場合に、一定時間にわたって光センサ2および音センサ3の両方からの入力信号を取得してもよい。あるいは取得部11は、音センサ3からの入力信号が閾値を超えた場合に、一定時間にわたって光センサ2および音センサ3の両方からの入力信号を取得してもよい。取得部11は、設定部14から受け付けた設定にしたがい、光センサ2または音センサ3の一方の信号のみを取得してもよい。
【0059】
ステップS102において、表示情報生成ユニット1は、推定部12により、センサ情報に基づいて威嚇装置7の動作状況を推定する。推定部12は、設定部14により設定された推定アルゴリズムを用いて推定を行う。
【0060】
図5は、第1実施形態に係る観察補助装置100の推定部12が使用可能な推定アルゴリズムの一例を示す。
図5では、5つの推定アルゴリズム(EA1~EA5)が例示される。例えば設定部14は、あらかじめユーザにより入力された設定情報にしたがって、推定アルゴリズムEA1~EA5のいずれを使用すべきかを推定部12に設定する。ユーザは、例えば、威嚇装置7の特性、対象動物TGの特性、光センサ2または音センサ3の特性、あるいは観察環境等を考慮して、任意の設定を採用することができる。
【0061】
推定アルゴリズムEA1によれば、推定部12は、光センサ2から取得されたセンサ情報の入力に基づき、光量が一定値を超えたら、威嚇装置7の動作状況を「動作」と推定する。「動作」は、威嚇装置7が威嚇刺激STを出力する動作を含む。
【0062】
推定アルゴリズムEA2によれば、推定部12は、光センサ2から取得されたセンサ情報の入力に基づき、光量が一定の変動パタンとなったら、威嚇装置7の動作状況を「動作」と推定する。例えば、信号値がゼロと一定値とを一定時間間隔で繰り返すなど、センサ情報が光の点滅を表す場合、推定部12は、「動作」と推定する。光量の変動パタンの解析には、一般的な方法が用いられてよい。
【0063】
推定アルゴリズムEA3によれば、推定部12は、音センサ3から取得されたセンサ情報の入力に基づき、音量が一定値を超えたら、威嚇装置7の動作状況を「動作」と推定する。
【0064】
推定アルゴリズムEA4によれば、推定部12は、音センサ3から取得されたセンサ情報の入力に基づき、音の周波数解析により動作状況を推定する。一例として、推定アルゴリズムEA4は、フーリエ変換により得られる周波数スペクトルからピーク周波数を検出し、ピーク周波数があらかじめ設定された周波数に該当するか否かに基づいて、威嚇装置7の動作状況を「動作」または「動作したが残量無し」と推定する。「残量無し」は、例えば匂い薬液など、威嚇装置7から出力されるべき物質の残量が十分でなく適切な刺激を出力できないこと、または当該物質を補充すべきであることを表す。推定アルゴリズムEA4において、「動作」は、威嚇装置7が「刺激を適切に出力した」または「薬液を適切に吐出した」等と言い換えることができる。推定アルゴリズムEA4において、「動作したが残量無し」は、威嚇装置7が「刺激を適切に出力しなかった」または「薬液を適切に吐出しなかった」等と言い換えることができる。各動作状況に対応するピーク周波数は、例えば、あらかじめ「噴霧あり(薬液を適切に吐出した)」および「空噴霧(薬液を適切に吐出しなかった)」を含む動作状況ごとに威嚇装置7の動作音を録音し、フーリエ変換により動作音から各動作状況を区別するピーク周波数を抽出することによって得られる。一例として、2kHz以上の周波数帯域に存在するピーク周波数が8kHzよりも小さい場合には「空噴霧」、8kHzよりも大きい場合には「噴霧あり」等と判定される。これら、「2kHz」、「8kHz」、「空噴霧」、「噴霧あり」等の情報は、あらかじめユーザによって入力され、設定部14を介して事前に設定され得る。「噴霧あり」または「空噴霧」以外の動作状況についても同様にピーク周波数を得ることができる。推定アルゴリズムEA4によれば、推定部12は、周波数特性に基づいて、威嚇装置7から刺激が適切に出力されたか否かを推定することができる。
【0065】
代替的に、推定アルゴリズムEA4において、推定部12は、機械学習により動作状況の推定を行ってもよい。例えば、推定部12は、サポートベクターマシンを用いてあらかじめ取得された動作状況ごとの周波数スペクトルと動作状況のラベル(分類)とを学習させ、推定を行うことができる。学習には、周波数スペクトル画像が用いてもよいし、フーリエ変換により得られる特徴量(例えばピーク周波数)が用いられてもよい。機械学習のアルゴリズムとしては、サポートベクターマシンに限られず、転移学習を実装した畳み込みニューラルネットワークなど、様々なアルゴリズムが使用されてよい。
【0066】
推定アルゴリズムEA5によれば、推定部12は、推定アルゴリズムEA1~EA4をAND条件またはOR条件で使用して、「動作」を推定する。推定アルゴリズムEA5において、どの推定アルゴリズムをどのような論理条件で組み合わせて使用すべきかは、設定部14を介して設定される。推定アルゴリズムEA5は、設定内容に応じて、光センサ2または音センサ3のいずれか一方または両方から取得されたセンサ情報を用いて推定を行う。一例として、推定部12は、推定アルゴリズムEA1と推定アルゴリズムEA3とをAND条件で使用し、光量が一定値を超え、かつ音量が一定値を超える場合に、「動作」と推定する。
【0067】
図5の推定アルゴリズムEA1~EA5は一例にすぎず、推定部12は、例示した推定アルゴリズムEA1~EA5以外のアルゴリズムを使用してよい。例えば、推定部12は、光センサ2からの入力信号の周波数解析により、威嚇装置7の動作状況を推定してもよい。
【0068】
推定部12は、推定結果を生成部13に通知する。推定結果は、例えば、威嚇装置7が動作したと推定されることを示す情報、威嚇装置7が動作したが薬液の残量が無いと推定されることを示す情報、または威嚇装置7が動作したが動作が正常でない(異常な動作)と推定されることを示す情報、等を含む。なお、推定結果における「動作」という表現は一例にすぎない。推定結果における「動作」は、「音」(音刺激(威嚇音)の出力あり)、「光」(光刺激(閃光)の出力あり)、または「噴霧」(匂い刺激(薬液)の出力あり)等、威嚇装置7の動作によって出力された具体的な刺激を表す表現を含む、多種多様な表現に置き換えられてよい。
【0069】
次いでステップS103において、表示情報生成ユニット1は、生成部13により、推定結果を表す情報に基づいて威嚇装置7の動作状況を表す表示情報を生成する。生成部13は、設定部14により設定された表示パタンを用いて表示情報を生成する。
【0070】
図6は、第1実施形態に係る観察補助装置100の生成部13が使用可能な表示パタンの一例を示す。
図6では、4つの表示パタン(PP1~PP4)が例示される。例えば設定部14は、あらかじめユーザにより入力された設定情報にしたがって、表示パタンPP1~PP4のいずれを使用すべきかを設定部13に設定する。ユーザは、例えば、対象動物TGの特性、センサカメラ8の特性、ディスプレイ5またはスピーカ6の特性、あるいは観察環境等を考慮して、任意の設定を採用することができる。
【0071】
表示パタンPP1によれば、出力は音(聴覚的情報)のみを含み、生成部13は、あらかじめ録音された音声(推定結果に対応する音声ファイル)を再生させる指示を含む表示情報を生成する。音声ファイルは、例えば、表示制御ユニット4の記憶部43にあらかじめ格納される。複数の動作状況を区別可能なように、動作状況ごとに異なる音声ファイルがあらかじめ用意されてよい。動作状況の推定結果が「動作」または「動作なし」の2種類の場合、生成部13は、「動作」と推定された場合にのみ、所定の音声ファイルの再生を指示する表示情報を生成することができる。動作状況の推定結果が「動作」、「動作なし」、または「動作したが残量無し」など、3種類以上を含む場合、生成部13は、「動作」と「動作したが残量無し」を区別可能なあらかじめ保存された2つの音声ファイルのうち、推定結果に対応する音声ファイルの再生を指示する表示情報を生成することができる。再生される音声ファイルは、例えば「動作しました」または「残量がありません」などの音声メッセージを含む。
【0072】
表示パタンPP2によれば、出力は音のみを含み、生成部13は、あらかじめ設定された周波数(推定結果に対応する周波数)でビープ音を再生するよう指示する表示情報を生成する。周波数もあらかじめ設定部14を介して設定される。周波数は、例えば、可聴域から超音波域にわたる周波数である。複数の動作状況を区別可能なように、推定され得る動作状況ごとに異なる周波数があらかじめ設定されてよい。周波数は固定とし、ビープ音のリズム、再生時間または再生回数等により動作状況を区別可能としてもよい。
【0073】
表示パタンPP3によれば、出力は光のみを含み、生成部13は、あらかじめ設定された点灯パタンでLEDを点灯させ、または所定の表示画像を再生するよう指示する表示情報を生成する。表示パタンPP3による表示は、単一のLEDの単純な点灯であってもよいし、複数のLEDまたは液晶ディスプレイを用いた文字表示を含んでもよい。文字表示は、例えば、「動作しました」または「残量がありません」等の文字を含む。複数の動作状況を区別可能なように、推定され得る動作状況ごとに異なる点灯パタンまたは表示画像があらかじめ設定されてよい。これらもあらかじめ設定部14を介して設定される。単一のLEDであれば、点灯時間、点滅間隔、または点滅リズムなどにより動作状況を区別可能としてもよい。表示画像は、言語情報(例えば文字など)または非言語情報(例えば色や形状)により動作状況を区別可能としてもよい。さらに現在時刻を表示させてもよい。赤外光LEDを備える場合、追加的にまたは代替的に赤外光LEDによる表示が使用されてもよい。
【0074】
表示パタンPP4によれば、生成部13は、表示パタンPP1~PP3を組み合わせて表示情報を生成する。表示パタンPP4において、どの表示パタンをどのように組み合わせて使用すべきかは、設定部14によって設定される。表示パタンPP4では、設定に応じて、音のみまたは音と光の組合せが出力される。例えば、生成部13は、「動作」を表示する場合、LEDを一定時間点灯させるとともに、所定の第1周波数のビープ音を一定時間連続的に再生させる表示情報を生成し、「動作したが残量無し」を表示する場合、LEDを一定時間点滅させるとともに、第1周波数とは異なる第2周波数のビープ音を一定時間断続的に再生させる表示情報を生成することができる。
【0075】
図6の表示パタンPP1~PP4は一例にすぎず、生成部13は、例示した表示パタンPP1~PP4以外の表示パタンを使用してよい。あるいは、生成部13は、動作状況を表す音声ファイルまたは画像ファイル等を表示情報に含めてもよい。この場合、記憶部15にあらかじめ音声ファイルまたは画像ファイルを格納しておき、生成部13が、推定結果に対応するファイルを記憶部15から読み出すことができる。なお、推定結果に関して説明したのと同様に、表示パタンまたは表示情報における「動作」という表現も一例にすぎない。表示パタンまたは表示情報における「動作」は、「音」(音刺激(威嚇音)の出力あり)、「光」(光刺激(閃光)の出力あり)、または「噴霧」(匂い刺激(薬液)の出力あり)等、威嚇装置7の動作によって出力された具体的な刺激を表す表現を含む、多種多様な表現に置き換えられてよい。
【0076】
ステップS104において、表示情報生成ユニット1は、生成部13により、生成した表示情報を通信部16に出力する。通信部16は、表示情報を通信部41に送信する。
【0077】
図7は、第1実施形態に係る観察補助装置の表示制御ユニット4による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0078】
ステップS105において、表示制御ユニット4は、通信部41が通信部16から受信した表示情報を出力部42に渡す。
【0079】
ステップS106において、表示制御ユニット4は、出力部42により、受け取った表示情報にしたがって、必要なファイルを記憶部43から読み出し、ディスプレイ5またはスピーカ6に表示を出力させる。
図6の例に示した表示パタンPP1またはPP2が使用される場合、スピーカ6のみに表示情報が出力されてよい。表示パタンPP3が使用される場合、ディスプレイ5のみに表示情報が出力されてよい。表示パタンPP4が使用される場合、視覚的情報はディスプレイ5に出力され、聴覚的情報はスピーカ6に出力されてよい。
【0080】
ディスプレイ5から出力された視覚的情報またはスピーカ6から出力された聴覚的情報またはその両方は、センサカメラ8によって記録される。上述したように、センサカメラ8は、例えば、威嚇装置7の想定される威嚇位置で対象動物TGを検知かつ撮像可能なように設置される。センサカメラ8は、赤外線センサ等で対象動物TGを検知すると撮像を開始する。センサカメラ8が撮像を開始する前後のタイミングで、威嚇装置7が当該対象動物TGを検知して動作し、観察補助装置100が威嚇装置7の動作状況を推定して表示情報を出力する。センサカメラ8は、威嚇装置7から威嚇刺激STが出力されるときの対象動物TGの行動を撮像するとともに、ディスプレイ5またはスピーカ6から出力される、威嚇装置7の動作状況を表す表示情報を記録することができる。
【0081】
(3)効果
以上のように、この発明の第1実施形態によれば、観察補助装置100は、威嚇装置7の動作を感知するセンサからセンサ情報を取得し、センサ情報に基づいて威嚇装置7の動作状況を推定し、推定された威嚇装置の動作状況を表す表示情報を生成し、威嚇装置7から出力される刺激の対象である動物TGを撮像するセンサカメラ8によって記録可能に表示情報を出力する。表示情報は、センサカメラ8による記録に適した形、例えば、音または光として出力される。これにより、威嚇装置7とセンサカメラ8の事実上の連動を可能にし、センサカメラ8によって記録された映像を分析する際に、対象動物TGの行動とそのときの威嚇装置7の動作の状況とを対応付けて観察することができる。
【0082】
威嚇装置7の動作状況を感知するセンサからのセンサ情報の取得条件、センサ情報の解析条件、および表示情報の生成条件等は、あらかじめ設定部14によって設定することができる。観察補助装置100のユーザは、例えば、複数の威嚇装置7を評価する場合、複数の環境を対象とする場合、または威嚇装置7が複数の種類の刺激を出力可能な場合など、観察状況に応じて動作条件を切り替えて、観察補助装置100を様々な動物行動観察に柔軟に適応させることができる。観察補助装置100のユーザは、また、対象動物TGを変更する場合や複数の種類の対象動物TGを観察する場合など、動物の特性、例えば、赤外線視力または超音波可聴力等に応じて、対象動物TGに与える影響を最小限に抑える動作条件を設定することができる。
【0083】
威嚇装置7からセンサカメラ8までを一連の巨大なシステムとして構築することができれば、観察はより容易になる。しかし、鳥獣害対策分野においては、山中等の環境条件(電源やネットワークが不達等)に応じて、バッテリ駆動する小規模な装置を組み合わせて観察に使用する必要がある。また、環境や対象動物に応じて威嚇装置7やセンサカメラ8を頻繁に交換または設定変更する必要がある場合も多い。この発明の第1実施形態によれば、威嚇装置7またはセンサカメラ8の改造のための費用や労力を要することなく、威嚇装置の動作とセンサカメラで撮像される動物行動とを対応付けて観察可能とする観察補助装置、観察補助方法およびプログラムが提供される。
【0084】
[第2実施形態]
この発明の第2実施形態に係る観察補助装置は、観察対象の動物を検知する補助センサをさらに備え、補助センサが動物を検知したときにのみ一定時間起動する。以下では、主に第1実施形態との相違箇所について説明する。
【0085】
(1)構成
図8は、この発明の第2実施形態に係る観察補助装置を備える動物行動観察システムの全体構成の一例を示す。
動物行動観察システムは、第1実施形態に関して説明したのと同様、動物の行動を観察するためのシステムであり、例えば、鳥獣害対策に用いられる威嚇装置の効果を分析するために使用される。
図8に示す動物行動観察システムは、威嚇装置7と、センサカメラ8と、第2実施形態に係る観察補助装置100と、を備える。
【0086】
威嚇装置7は、第1実施形態に関して説明したのと同様に、対象動物TGを威嚇する刺激を出力可能な装置である。威嚇装置7は、赤外線センサ等のセンサを備えており、センサによって対象動物TGを検知すると(D1)、威嚇刺激STを出力する。
【0087】
センサカメラ8は、第1実施形態に関して説明したのと同様に、動物を検知して撮像可能な自動撮像カメラである。センサカメラ8は、赤外線センサ等のセンサを備えており、センサによって対象動物TGを検知すると(D2)、撮像を開始する。センサカメラ8はまた、ディスプレイ5またはスピーカ6を介して、観察補助装置100から出力される表示情報を記録する(D5、D6)。
【0088】
第2実施形態に係る観察補助装置100は、第1実施形態に関して説明したのと同様に、威嚇装置7の動作状況を表す表示情報を生成し、対象動物TGを撮像するセンサカメラ8等の撮像装置によって記録可能に表示情報を出力する。
【0089】
第2実施形態に係る観察補助装置100は、表示情報生成ユニット1と、光センサ2と、音センサ3と、表示制御ユニット4と、ディスプレイ5と、スピーカ6と、補助センサ9と、を備える。光センサ2、音センサ3、表示制御ユニット4、ディスプレイ5、およびスピーカ6は、第1実施形態に関して説明したのと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0090】
補助センサ9は、対象動物TGを検知可能なセンサである。補助センサ9は、例えば赤外線センサであり、検知範囲内にいる動物から放出される赤外線を感知(D7)して電気信号に変換する。補助センサ9は、他の種類のセンサであってもよい。補助センサ9は、信号ケーブル等を介して観察補助装置100の第2の信号入力部(例えば後述する検知部17)に接続される。補助センサ9は、対象動物TGを検知しやすい場所に設置されてよい。補助センサ9は、観察補助装置100に一体的に組み込まれてもよい。補助センサ9は、観察補助装置100の筐体表面に固定されてもよいし、観察補助装置100の筐体表面に角度調整可能に配置されてもよい。
【0091】
表示情報生成ユニット1は、観察補助装置100の本体ユニットである。表示情報生成ユニット1は、取得部11と、推定部12と、生成部13と、設定部14と、記憶部15と、通信部16と、検知部17と、を備える。取得部11、推定部12、生成部13、設定部14、記憶部15および通信部16は、第1実施形態に関して説明したのと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0092】
検知部17は、第2の信号入力部として、補助センサ9から電気信号を受信し、受信信号に基づいて補助センサ9の検知範囲内の対象動物TGの存在を検知する。補助センサ9の検知範囲(第3範囲)は、威嚇装置7が対象動物TGを検知可能な第1範囲または威嚇装置7から出力される刺激が作用可能な第2範囲と少なくとも一部が重複するように設置される。補助センサ9の検知範囲は、さらに、センサカメラ8が対象動物TGを検知可能な範囲と重複するように設置されてもよい。検知部17は、例えば、補助センサ9からの信号強度が所定の閾値を超えたら対象動物TGが検知されたと判定し、取得部11に通知する。検知部17に関する種々の動作条件も、あらかじめ設定部14を介して設定されてよい。
【0093】
取得部11は、検知部17から通知を受け取った後所定の時間にわたって、または検知部17から通知を受け取っている間、光センサ2および音センサ3からセンサ情報を取得する。取得部11が検知部17から通知を受け取った場合にどのような動作をすべきかは、設定部14を介して設定されてよい。
【0094】
言い換えれば、第2実施形態に係る観察補助装置100は、補助センサ9が動作したとき(動物を検知したとき)にのみ取得部11を起動し、光センサ2および音センサ3からの入力信号の監視、センサ情報の取得、動作状況の推定、および表示情報の生成を開始させるように構成される。
【0095】
第2実施形態に係る観察補助装置100の表示情報生成ユニット1および表示制御ユニット4は、第1実施形態に関して
図2および
図3を参照して説明したのと同様のハードウェア構成を備えることができる。検知部17もまた、ROM1012または記憶装置102に記憶されたプログラム(コンピュータ実行可能命令)がCPU1011により実行されることにより、CPU1011によって実現される。
【0096】
(2)動作
図9は、第2実施形態に係る観察補助装置100の表示情報生成ユニット1による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0097】
表示情報生成ユニット1は、あらかじめユーザから設定情報を受け付け、設定部14を介して各部の設定を完了しているものとする。また、
図9のフロー開始前、表示情報生成ユニット1のうち、検知部17はアクティブな状態で入力信号を監視しており、取得部11、推定部12および生成部13は待機状態にあるものとする。
【0098】
まずステップS201において、表示情報生成ユニット1は、検知部17により、補助センサ9からの入力信号を監視する。検知部17は、補助センサ9からの信号強度が閾値以下であれば動物は非検知と判定し(NO)、入力信号の監視を継続する。ステップS201において、検知部17は、補助センサ9からの信号強度が閾値を超えたら動物が検知されたと判定し(YES)、ステップS202に進む。
【0099】
ステップS202において、検知部17は、動物が検知されたことを取得部11に通知し、取得部11を起動する。その後、処理はステップS101に進む。
【0100】
図9のフローチャートにおいて、以降のステップS101~ステップS104は、第1実施形態において
図4を参照して説明したステップS101~ステップS104の処理と同様の処理である。ステップS101において、表示情報生成ユニット1は、取得部11により、威嚇装置7の動作状況を表すセンサ情報を取得する。ステップS102において、表示情報生成ユニット1は、推定部12により、センサ情報に基づき、指定された推定アルゴリズムを用いて威嚇装置7の動作状況を推定する。ステップS103において、表示情報生成ユニット1は、生成部13により、設定された表示パタンを用いて、威嚇装置7の動作状況を表す表示情報を生成する。ステップS104において、表示情報生成ユニット1は、生成部13により、生成した表示情報を通信部16に出力する。通信部16は、表示情報を通信部41に送信する。
【0101】
その後の表示制御ユニット4による処理は、
図7を参照して第1実施形態に関して説明したのと同様であるので、説明を省略する。
【0102】
(3)効果
以上のように、この発明の第2実施形態によれば、観察補助装置100は、動物を検知可能な検知部17をさらに備え、検知部17によって所定範囲内に対象動物TGが検知されたときにのみ取得部11を起動させ、威嚇装置7の動作状況を表すセンサ情報の取得を開始させる。これによって、対象動物TGが検知されていないときに取得部11が光センサ2または音センサ3からの入力信号を監視するのに要していた電力を節約することができ、バッテリの電力消費を抑制することができる。
【0103】
また例えば、木漏れ日、風、雨、雷など、光センサ2または音センサ3が威嚇装置7の動作以外の現象に反応して強い信号強度の信号を出力する場合など、取得部11が威嚇装置7の動作状況を表さない誤ったセンサ情報を取得し、その結果、推定部12が誤った推定を行う可能性がある。第2実施形態によれば、検知部17によって所定範囲内に対象動物TGが検知されたときにのみ取得部11を起動させるので、このような誤った推定を行う可能性を低減し、推定精度を向上させることができる。
【0104】
[他の実施形態]
この発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態または第2実施形態に係る観察補助装置100は、さらに以下のオプショナルな機能または構成の1または複数の組合せを備えることができる。
【0105】
(I)オプショナルな機能または構成1
表示制御ユニット4から出力される表示情報の表示タイミングを一定時間ディレイ(遅延または待機)させる機能または構成。例えば、表示制御ユニット4の出力部42が、表示情報生成ユニット1の取得部11がセンサ情報を取得したタイミングから一定時間経過後に表示情報を出力するように構成される。この機能または構成を備えることにより、観察補助装置100は、威嚇装置7の刺激と、表示情報の出力の効果とを分離することができ、センサカメラ8による動物行動の観察に表示情報が及ぼす影響を低減することができる。
【0106】
(II)オプショナルな機能または構成2
推定部12が「動作」の推定結果(「動作」と推定された回数)をカウントし、カウントされた回数を表示情報とともに表示制御ユニット4から出力する機能または構成。または、「動作」と推定された回数が一定回数を超えたら表示情報を出力する機能または構成。例えば、表示制御ユニット4の出力部42が、設置後の通算動作の推定回数(例えば「3回目」)を動作状況の推定結果(例えば「噴霧」)を表す表示情報とともに出力し、ディスプレイ5に数字「3」の表示および「噴霧」を表すLEDの点滅を行わせる。これにより、センサカメラ8は「3回目噴霧」という情報を記録可能となる。威嚇装置7により威嚇刺激として匂い薬液が噴霧される場合、薬液が無くなったタイミング(「動作したが残量無し」)が何回目の噴霧であったか、また薬液が無くなったタイミングの前後の動物行動の変化は、動物行動観察において関心の高い情報である。観察補助装置100が通算動作回数を表示情報とともに表示することによって、ユーザは、撮像された画像から通算動作回数を数える必要なしに、センサカメラ8によって記録された情報から容易に確認することができる。これにより、その後の分析が容易になり、またその結果を踏まえた運用(薬液残量の調整、噴霧量の調整、またはセンサカメラ8のメモリの交換タイミングの調整等)も容易になる。また例えば50回動作後に薬液残量が無くなることがわかった場合には51回目以降の記録をはじめから分析対象外とするなど、分析の手間を省くことができる。この例は推定アルゴリズムEA4における「動作したが残量無し」の変形例とも言える。薬液以外の威嚇刺激の場合でも、ユーザが目視で数えるまたは回数を別途管理する必要なしに、刺激出力の通算回数をひと目で確認できるので、分析の負担を軽減することができる。
【0107】
(III)オプショナルな機能または構成3
威嚇装置7が複数種類の刺激を出力可能な場合に、または異なる種類の刺激をそれぞれ出力可能な複数の威嚇装置7が設置されている場合に、威嚇装置7のLEDの点滅パタンもしくは色の相違または威嚇装置7の動作音の相違に基づいて、出力された刺激の種別を推定し、推定された刺激の種別を識別可能な表示パタンで表示情報を出力する機能または構成。例えば、威嚇装置7により閃光の刺激と音の刺激が組み合わせて出力される場合、観察補助装置100は、光センサ2のセンサ情報から閃光の刺激が出力されたことを推定し、音センサ3のセンサ情報から音の刺激が出力されたことを推定し、閃光の刺激が出力されたことを表すLEDの点滅と、音の刺激が出力されたことを表すビープ音とを組み合わせる表示情報を出力する。この機能または構成を備えることにより、観察補助装置100は、複雑な威嚇刺激が出力される動作環境においても、威嚇装置7の動作の有無に加えて刺激の種別を表示することができ、動物行動の観察を支援することができる。
【0108】
(IV)オプショナルな機能または構成4
観察補助装置100が時計または温湿度計を備え、追加的に時刻、温度または湿度等の情報を特定の表示パタンで表示する機能。例えば、観察補助装置100は、表示タイミングとして、時刻、温度または湿度等の情報を常時表示してもよいし、定期的に表示してもよいし、威嚇装置7の動作時に動作状況を表す表示情報とともに表示してもよい。この機能または構成を備えることにより、観察補助装置100は、センサカメラ8が時計または温湿度計を備えていない場合にも、時刻、温度または湿度等を考慮した観察を可能にする。
【0109】
(V)オプショナルな機能または構成5
1または複数の威嚇装置7から出力される刺激が時系列で変化する場合、その変化も推定し、識別可能な表示パタンで表示する機能または構成。例えば、観察補助装置100は、所定の時間枠ごとに動作状況を推定し、推定された動作状況を時系列順に表示させるよう、表示情報を生成し出力することができる。この機能または構成を備えることにより、観察補助装置100は、例えば、(t1)準備動作、(t2)刺激Aの出力、(t3)刺激Bの出力、(t4)事後動作、といった時系列動作を識別可能に出力することができ、時系列変化も考慮した動物行動の観察を可能にすることができる。
【0110】
なお、観察補助装置100は、センサカメラ8などの撮像装置が動画を撮像する場合にも静止画を撮像する場合にも適用可能である。単一の静止画が撮像される場合、例えば、一定期間における出現率の変動の分析等に使用することができる。
【0111】
第1実施形態または第2実施形態において、観察補助装置100が備える各機能部を、複数の装置に分散配置し、これらの装置が互いに連携することにより処理を行うようにしてもよい。また各機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0112】
さらに、以上で説明した各処理の流れは、説明した手順に限定されるものではなく、いくつかのステップの順序が入れ替えられてもよいし、いくつかのステップが同時並行で実施されてもよい。また、以上で説明した一連の処理は、時間的に連続して実行される必要はなく、各ステップは任意のタイミングで実行されてもよい。
【0113】
以上で記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウェア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体(記憶媒体)に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブル、データ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。上記装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0114】
その他、威嚇装置7の動作を感知可能なセンサからのセンサ情報に基づく動作状況の推定方法および動作状況を表す表示情報の生成方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0115】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0116】
100…観察補助装置、1…表示情報生成ユニット、2…光センサ、3…音センサ、4…表示制御ユニット、5…ディスプレイ、6…スピーカ、7…威嚇装置、8…センサカメラ、9…補助センサ、11…取得部、12…推定部、13…生成部、14…設定部、15…記憶部、16…通信部、17…検知部、41…通信部、42…出力部、43…記憶部、101…制御部、102…記憶装置、103…センサ、104…入力装置、105…出力装置、106…通信インタフェース、107…バッテリ、401…制御部、402…記憶装置、403…入力装置、404…出力装置、405…通信インタフェース、406…バッテリ。