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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】重合性化合物、重合体、光学薄膜
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/36 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
C08F20/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020106856
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001620
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】坂下 竜一
(72)【発明者】
【氏名】一條 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】西浦 利紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-106692(JP,A)
【文献】特表2007-523087(JP,A)
【文献】米国特許第05449812(US,A)
【文献】特開2004-203813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/00-20/70
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)で表される重合性化合物。
【化1】
[式(1)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、ベンゼン環又はナフタレン環(該環は、置換基を有していてもよい)を表す。
は炭素数1から20の置換されていてもよいアルキル基を表す。
Xは炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。
及びSはそれぞれ独立してスペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここで、スペーサー基としては、-CH-、-CHCH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数3から20のアルキレン基を表す。
及びPはそれぞれ独立して、水素原子、式(2-1)及び(2-2)中から選ばれる一つの重合性置換基を表し、P及びPの少なくともいずれかは式(2-1)又は(2-2)のいずれかで表される重合性置換基である。
環A上においてアミド基とXはそれぞれ隣接する炭素原子に接続し、環B上においてアミド基と水素原子はそれぞれ隣接する炭素に接続するものである。
【化2】
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基のいずれかを表す。)]
【請求項2】
以下の式(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)又は(1-6)からなる群の1種で表される重合性化合物。
【化3】
(式(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)又は(1-6)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、ベンゼン環又はナフタレン環(該環は、置換基を有していてもよい)を表わす。Rは炭素数1から20の置換されていてもよいアルキル基を表す。Xは炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。Rは水素原子又は炭素数1から5の置換されていてもよいアルキル基を表す。Xは炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。S及びSはそれぞれ独立して、スペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここでスペーサー基としては、-CH-、-CHCH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数3から20のアルキレン基を表す。環A上においてアミド基とXはそれぞれ隣接する炭素原子に接続し、環B上においてアミド基と水素原子はそれぞれ隣接する炭素に接続するものである。)
【請求項3】
式(1)中、環A及び環Bがそれぞれベンゼン環であり、Xがメトキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表し、P1またはP2の少なくともいずれかが式(2-1)又は(2-2)のいずれかで表される重合性置換基あり、Rが炭素数1から4のアルキル基である請求項1乃至いずれか一項に記載の重合性化合物。
【請求項4】
式(1)中、S又はSが炭素数1から20のアルキレン基又は単結合のいずれかである請求項1乃至いずれか一項に記載の重合性化合物。
【請求項5】
以下の式(3-1)、(3-2)又は(3-3)からなる群の1種で表される光反応性単位を含む重合体。
【化4】
(式(3-1)、(3-2)及び(3-3)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする芳香環(該環は、置換基を有していてもよい)を表わす。Rは炭素数1から20の置換されていてもよいアルキル基又は炭素数3~8の置換されていてもよいシクロアルキル基のいずれかを表す。Xは炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。S及びSはそれぞれ独立してスペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここで、スペーサー基としては、-CH-、-CHCH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数3から20のアルキレン基を表す。環A上においてアミド基とXはそれぞれ隣接する炭素原子に接続し、環B上においてアミド基と水素原子はそれぞれ隣接する炭素に接続するものである。)
【請求項6】
紫外線照射前と、反応終了まで紫外線を照射した後の波長550nmにおける屈折率の差の絶対値が0.001以上であることを特徴とする、請求項に記載の重合体。
【請求項7】
以下の式(4-1)、(4-2)又は(4-3)からなる群の1種で表される光吸収性単位を有する重合体。
【化5】
(式(4-1)、(4-2)及び(4-3)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、ベンゼン環又はナフタレン環(該環は、置換基を有していてもよい)を表わす。Rは炭素数1から20の置換されていてもよいアルキル基を表す。S及びSはそれぞれ独立して、スペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここで、スペーサー基としては、-CH-、-CHCH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数3から20のアルキレン基を表す。)
【請求項8】
請求項又はに記載の重合体を含む光学薄膜。
【請求項9】
請求項に記載の光学薄膜に紫外線を照射して製造された光学薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子に利用できる透明樹脂を形成するための重合性化合物、該化合物から得られる重合体及び該重合体を含む光学薄膜に関する。さらに詳しくは、紫外光に感光して屈折率が正に変化する重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
屈折率は光学素子を設計する上で重要な要素であり、材料の微細領域に異なる屈折率の領域を集積することで、例えば光導波路、ホログラム素子、回折格子等を設計できる。このような微細な屈折率パターンを形成するためには、例えば、ナノインプリント法、多層押出法が用いられてきた(例えば、特許文献1~2参照。)。しかし、どちらも複雑な製造装置と工程が必要となる問題があった。
【0003】
紫外光露光処理を用いて屈折率を大きく変化させられる透明高分子を用いた屈折率変換材料はこのような応用に幅広く適用可能であると考えられる(例えば、非特許文献1参照。)。このような高分子材料の例として、光二量化反応基を含む高分子材料が報告されている。例えばポリTBFNBDやポリビニルケイ皮酸は光二量化反応によって屈折率の低下を示す。しかし、共役系の切断による分極率の低下を利用している為に、屈折率を上昇させる設計はできない。また、ジアゾケトン化合物、フェニルアジド等のアジド化合物、スチリルイソシアネート等のイソシアネート化合物を添加したポリメチルメタクリレートフィルムは添加物の光分解に伴って屈折率の低下を示すことが報告されている。しかし、低分子化合物の脱離に伴う密度と分極率の低下を利用している為に、屈折率を低下させることのみが可能であり、上昇させる設計はできない。このように、紫外光を用いて屈折率変換することが可能な高分子材料の大部分はネガ型(感光部の屈折率が低下する)ものであり、ポジ型(感光部の屈折率が増加する)の例は少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-22850
【文献】特開2006-71917
【非特許文献】
【0005】
【文献】高分子論文集 60号、10巻、517-530
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、紫外線に感光して屈折率が大きく正に変化する重合体およびそれからなる光学薄膜を提供することにある。
また、前記重合体を得るための、新規な重合性化合物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する重合性化合物、及びそれから得られる特定の重合体を紫外光により感光させることで屈折率が正に変化すること、該重合体を含む薄膜が光学用途に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の式(1)で表される重合性化合物である。
【0009】
【化1】
【0010】
[式(1)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする芳香環(該環は、置換基を有していてもよい)を表わす。Rは炭素数1から20の置換されていてもよいアルキル基又は炭素数3~8の置換されていてもよいシクロアルキル基のいずれかを表す。Xは炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。S及びSはそれぞれ独立してスペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここで、スペーサー基としては、-CH-、-CHCH-、又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数1から20の置換されていてもよいアルキレン基を表す。P及びPはそれぞれ独立して水素原子、以下の式(2-1)または以下の式(2-2)から選ばれる重合性置換基を表し、P及びPの少なくともいずれかは式(2-1)又は(2-2)のいずれかで表される重合性置換基である。環A上においてアミド基とXはそれぞれ隣接する炭素に接続し、環B上においてアミド基と水素原子はそれぞれ隣接する炭素に接続するものである。
【0011】
【化2】
【0012】
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を表す。)]
【発明の効果】
【0013】
紫外線に感光して正の屈折率差を発現する重合体、それからなる光学薄膜を得ることができる。該重合体は本発明の新規な重合性化合物により提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の一態様である重合性化合物について詳細に説明する。
【0015】
本発明の重合性化合物は上記式(1)で表される。
【0016】
式(1)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする芳香環(該環は、置換基を有していてもよい)を表わす。
【0017】
式(1)中、環Aは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環が好ましく、合成が容易な点でベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることが更に好ましい。
【0018】
式(1)中、環Bは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環が好ましく、合成が容易な点でベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることが更に好ましい。
【0019】
式(1)中、Rは炭素数1から20のアルキル基又は炭素数3~8のシクロアルキル基のいずれかを表す。
【0020】
で表される炭素数1から20のアルキル基は直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、置換されていてもよい。
【0021】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、トリフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基等を例示することができる。
【0022】
で表される炭素数3~8の置換されていてもよいシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等を例示することができる。
【0023】
式(1)中、Xは炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。
【0024】
Xで表される炭素数1から5の置換されていてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、2,2-ジフルオロエチルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ基、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルオキシ基等を例示することができる。
【0025】
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。光反応性に優れるため、Xは塩素原子又は臭素原子のいずれかであることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0026】
式(1)中、S及びSはそれぞれ独立してスペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここでスペーサー基としては、-CH-、-CHCH-、又は隣接していない2個以上の-CH-が、各々独立して、-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数1から20のアルキレン基を例示することができる。
【0027】
式(1)中、P及びPはそれぞれ独立して水素原子、上記式(2-1)又は上記式(2-2)から選ばれる1つの重合性置換基を表し、P及びPの少なくともいずれかは式(2-1)又は(2-2)のいずれかで表される重合性置換基である。
【0028】
式(1)中、環A上においてアミド基とXはそれぞれ隣接する炭素に接続し、環B上においてアミド基と水素原子はそれぞれ隣接する炭素に接続するものである。
【0029】
式(1)において、環A及び環Bがそれぞれベンゼン環であり、Xがメトキシ基又くはハロゲン原子、Rが炭素数1から4のアルキル基であるであることが好ましい。
【0030】
式(2-1)又は(2-2)中、Rで表される炭素数1から5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等を例示することができる。
【0031】
以下に本発明の重合性化合物の製造方法について説明する。
【0032】
下記反応スキームに示すように、本発明の式(2-1)を含む式(1)で示される化合物は、式(6)で示される水酸基含有化合物の水酸基に、式(7)で示される重合性基を反応させることにより製造することができる。
【0033】
【化3】
【0034】
(式中、R、R、A、B、X、S、S、P及びPは、それぞれ上記の式(1)、(2-1)のR、R、A、B、X、S、S、P及びPと同義である。Rは、それぞれ独立に水素原子又は水酸基のいずれかであり、同時に水素原子ではない。Sは、S又はSと同義である。Yは脱離基を表し、塩素原子、臭素原子、水酸基からなる群の1種である。)
【0035】
当該反応は塩基性条件下に行うことができる。反応に使用する塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化テトラブチルアンモニウムなどを例示することができる。塩基性条件下に反応を行う場合には反応の促進を目的としてヨウ化カリウムを加えてもよい。
【0036】
式中のSが単結合、Yが水酸基である場合には、反応に縮合剤を用いることができる。本発明に用いる縮合剤は、上記エステル結合を形成できるものならばよく、通常用いる縮合剤を用いることができる。具体的には、縮合剤として、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩(BOP)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロりん酸(PyBOP)、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’)-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸(HBTU)などを用いることができる。
【0037】
ここで、水酸基含有化合物(6)は、式(8)で示されるアミド化合物のRをRに変換することにより製造することができる。
【0038】
【化4】
【0039】
(式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、水酸基であり、同時に水素原子ではない。Rはそれぞれ独立に水素原子、メトキシ基、メトキシメチル基、ベンジル基、水酸基を表し、同時に水素原子ではない。)
【0040】
メトキシ基の水酸基への変換法としては、三臭化ホウ素による変換、塩化アルミニウムによる変換、ピリジニウムクロリドによる変換を挙げることができる。中でも温和な条件で進行することから、三臭化ホウ素による変換がより好ましい。
【0041】
メトキシメチル基は、強酸性条件下に水酸基に変換することができる。強酸性条件下における脱保護には、トリフルオロ酢酸(TFA)や塩酸、硫酸を用いることができる。
【0042】
ベンジル基は、水素ガス雰囲気下でPd/C触媒、ラネーニッケルなどを用いて還元することで水酸基に変換することができる。
【0043】
さらに、水酸基含有化合物(8)は、式(9)で示されるカルボン酸誘導体と、式(10)で表されるアミン化合物とを縮合反応することにより製造することができる。
【0044】
【化5】
【0045】
(式中、R、A、B、X、S及びSは、それぞれ上記の式(1)、のR、R、A、B、X、S及びSと同義である。Yは脱離基を表す。)
【0046】
式中、Yがハロゲン原子である場合には、(9)と(10)を塩基性条件下に反応させることで(8)を製造することができる。反応に使用する塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化テトラブチルアンモニウムなどを例示することができる。
【0047】
また、式中のYが水酸基である場合には、反応に縮合剤を用いることができる。本発明に用いる縮合剤は、上記アミド結合を形成できるものならばよく、通常用いる縮合剤を用いることができる。具体的には、縮合剤として、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩(BOP)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロりん酸(PyBOP)、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’)-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸(HBTU)などを用いることができる。
【0048】
下記反応スキームに示すように、本発明の式(2-2)を含む式(1)で示される化合物は、式(11)で示されるハロゲン原子含有化合物をStilleカップリングさせることにより製造することができる。
【0049】
【化6】
【0050】
(式中、R、A、B、X、S、S、P及びPは、それぞれ上記の式(1)及び(2-2)のR、R、A、B、X、S、S、P及びPと同義である。式中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であり、少なくとも一方はハロゲン原子である。)
【0051】
スティルカップリングに用いる触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドなどを例示することができる。
【0052】
以下に本発明の一態様である重合体について詳細に説明する。
【0053】
本発明の一つの形態は以下の式(3-1)、(3-2)又は(3-3)からなる群の少なくとも1種で表される光反応単位を含む重合体である。
【0054】
【化7】
【0055】
(式(3-1)、(3-2)及び(3-3)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする芳香環(該環は、置換基を有していてもよい)を表わすRは炭素数1から20のアルキル基又は炭素数3~8のシクロアルキル基をのいずれかを表す。Xは炭素数1から5のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表す。S及びSはそれぞれ独立してスペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここで、スペーサー基としては、-CH-、-CHCH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数3から20のアルキレン基を表す。環A上においてアミド基と脱離基Xはそれぞれ隣接する炭素に接続し、環B上においてアミド基と水素原子はそれぞれ隣接する炭素に接続するものである。)
【0056】
また、本発明の別の形態として、以下の式(4-1)、(4-2)又は(4-3)からなる群の少なくとも1種で表される光吸収性単位を有する重合体を挙げることができる。
【0057】
【化8】
【0058】
(式(4-1)、(4-2)又は(4-3)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする芳香環(該環は、置換基を有していてもよい)を表す。Rは炭素数1から20のアルキル基又は炭素数3~8のシクロアルキル基のいずれかを表す。S及びSはそれぞれ独立してスペーサー基又は単結合のいずれかを表す。ここで、スペーサー基としては、-CH-、-CHCH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられても良い炭素数3から20のアルキレン基を表す。)
【0059】
前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体は、紫外光照射により光学素子としての応用に十分な屈折率差を発現する。そのため、紫外線照射前と、紫外線を照射した後の波長550nmにおける屈折率の差の絶対値が0.001以上、より好ましくは0.005以上である。
【0060】
J.Chem.Soc.,Chem. Commun.,1973,647―648において光縮環性を示す化合物が開示されているが、本願は該化合物とは異なる構造の化合物をおよび該化合物を重合させて得られる前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される光反応単位を有する重合体であり、かつ、重合体の状態でも紫外光に感光してより分極の大きな前記式(4-1)、(4-2)又は(4-3)で表される縮環した光吸収性単位を与えることを見出したものである。これにより屈折率の増加の効果がもたらされる。
【0061】
前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体は、前記式(1)の重合性化合物に由来する光反応生単位以外の構成単位を含んでもよい。前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体は、光応答性構造の分極変化が屈折率変化に効果的に反映されるために、前記式(1)の重合性化合物に由来する体積の当該重合体の全体積に占める割合が5%以上、より好ましくは10%以上である。前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体は、紫外光によって少なくとも一部分の屈折率を増加させることで屈折率パターンを形成させ、各種光学素子等として用いることができる。光学素子の用途は特に限定されるものではないが、光導波路、ホログラム素子、回折格子、位相差薄膜、等の光学素子が好ましい。露光パターンは紫外線を照射する際にテンプレートを直接樹脂上に置くほか、干渉光学系や縮小投影型露光装置を用いて作成してもよい。
【0062】
前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体は、発明の主旨を越えない範囲で、その他高分子、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラ-、顔料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を配合してもよい。
【0063】
以下に本発明の一態様である光学薄膜について詳細に説明する。
【0064】
前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体は薄膜の形態として使用することができる。当該重合体を含む薄膜を製造する方法については特に制限はなく、例えば、溶融製膜法、溶液キャスト法、光重合法、熱重合法等の方法が挙げられる。
【0065】
(溶融製膜法)
溶融製膜する方法は、具体的にはTダイを用いた溶融押出法、カレンダ-成形法、熱プレス法、共押出法、共溶融法、多層押出、インフレ-ション成形法等があり、特に限定されない。
【0066】
(溶液キャスト法)
溶液キャスト法は、重合体を溶媒に溶解した溶液(以下、「キャスト用ド-プ」と称する。)を支持基板上に流延した後、加熱等により溶媒を除去して本発明の光学薄膜を得る方法である。その際、キャスト用ド-プを支持基板上に流延する方法としては、Tダイ法、ドクタ-ブレ-ド法、バ-コ-タ-法、ロ-ルコ-タ-法、リップコ-タ-法、スピンコート法等が用いられる。特に工業的にはダイからキャスト用ド-プをベルト状またはドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的である。用いられる支持基板としては、例えば、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレ-ト等のフィルム等がある。
【0067】
(光重合法)
光重合法は前記一般式(1)で表される重合性化合物と光重合開始剤、溶媒を溶解した溶液(以下、「光重合用ド-プ」と称する。)を支持基板上に流延した後、加熱等により溶媒を除去し、紫外線により重合して支持基板上で本発明の光学薄膜を形成する方法である。その際、光重合用ド-プを支持基板上に流延する方法としては、Tダイ法、ドクタ-ブレ-ド法、バ-コ-タ-法、ロ-ルコ-タ-法、リップコ-タ-法、スピンコート法等が用いられる。用いられる支持基板としては、例えば、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレ-ト等のフィルム等がある。光重合用ドープに含有される光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物;ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等の分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、具体的には、BASF社製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「ダロキュア1173」、「イルガキュア907」、「イルガキュア127」、「イルガキュア369」、「イルガキュア379」、「イルガキュア819」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア1800」、「イルガキュア250」、「イルガキュア754」、「イルガキュア784」、「イルガキュアOXE01」、「イルガキュアOXE02」、「ルシリンTPO」、「ダロキュア1173」、「ダロキュアMBF」やLAMBSON社製の「エサキュア1001M」、「エサキュアKIP150」、「スピードキュアBEM」、「スピードキュアBMS」、「スピードキュアMBP」、「スピードキュアPBZ」、「スピードキュアITX」、「スピードキュアDETX」、「スピードキュアEBD」、「スピードキュアMBB」、「スピードキュアBP」や日本化薬社製の「カヤキュアDMBI」、日本シイベルヘグナー社製(現DKSH社)の「TAZ-A」、ADEKA社製の「アデカオプトマーSP-150」や「アデカオプトマーSP-152」、「アデカオプトマーSP-170」、「アデカオプトマーSP-172」、「アデカオプトマーN-1414」、「アデカオプトマーN-1606」、「アデカオプトマーN-1717」、「アデカオプトマーN-1919」、UCC社製の「サイラキュアーUVI-6990」、「サイラキュアーUVI-6974」や「サイラキュアーUVI-6992」、ローディア製の「PHOTOINITIATOR2074」、BASF社製の「イルガキュア250」、GEシリコンズ社製の 「UV-9380C」、みどり化学社製の「DTS-102」等が挙げられる。また、硬化を促進するためにメチルアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の三級アミン等を併用しても良い。光重合開始剤の使用量は全重合性化合物100重量部に対して0.1~10重量部であることが好ましく、0.5~7重量部が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもでき、また、増感剤等を添加しても良い。
【0068】
光重合開始剤を用いる場合、紫外線による重合工程と紫外線による屈折率制御の工程は別々に行ってもよいし、可能ならば兼ねて行ってもよい。別々に行う場合は、紫外線による重合工程に用いる紫外光の波長を光応答性構造の吸収端波長より長いものとすることで重合中の屈折率変化を避けることができる。
【0069】
(熱重合法)
熱重合法は重合性化合物と熱重合開始剤を、溶媒に溶解した溶液(以下、「熱重合用ド-プ」と称する。)を支持基盤上に流延した後、加熱により溶媒を除去するとともに重合を行い、支持基盤上で本発明の光学薄膜を形成する方法である。その際、熱重合用ド-プを支持基盤上に流延する方法としては、Tダイ法、ドクタ-ブレ-ド法、バ-コ-タ-法、ロ-ルコ-タ-法、リップコ-タ-法等が用いられる。用いられる支持基板としては、例えば、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレ-ト等のフィルム等がある。前記ドープに含有される熱重合開始剤としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パ-オキシジカーボネイト、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ヘキシルパ-オキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、p-ペンタハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオン-アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。具体的には、富士フイルム和光純薬株式会社製の「V-40」、「VF-096」、日油株式会社製の「パーへキシルD」、「パーへキシルI」、「パーヘキサ25O」等が挙げられる。熱重合開始剤の使用量は当該重合性化合物100重量部に対して0.1~10重量部が好ましく、0.5~5重部が特に好ましい。
【0070】
(界面活性剤)
本発明の光学薄膜は、膜厚むらを低減させるために界面活性剤を少なくとも1種類以上含有してもよい。含有することができる界面活性剤としては、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、アルキルアンモニウム塩、フルオロアルキルアンモニウム塩類等をあげることができ、特に含フッ素界面活性剤が好ましい。
【0071】
具体的には、「メガファック F-251」、「メガファック F-444」、「メガファック F-477」、「メガファック F-510」、「メガファック F-552」、「メガファック F-553」、「メガファック F-554」、「メガファック F-555」、「メガファック F-556」、「メガファック F-557」、「メガファック F-558」、「メガファック F-559」、「メガファック F-560」、「メガファック F-561」、「メガファック F-562」、「メガファック F-563」、「メガファック F-565」、「メガファック F-567」、「メガファック F-568」、「メガファック F-569」、「メガファック F-570」、「メガファック F-571」、「メガファック R-40」、「メガファック R-41」、「メガファック R-43」、「メガファック R-94」、「メガファック RS-72-K」、「メガファック RS-75」、「メガファック RS-76-E」、「メガファック RS-90」、(以上、DIC株式会社製)、「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェントA」、「フタージェント100A-K」、「フタージェント501」、「フタージェント300」、「フタージェント310」、「フタージェント320」、「フタージェント400SW」、「FTX-400P」、「フタージェント251」、「フタージェント215M」、「フタージェント212MH」、「フタージェント250」、「フタージェント222F」、「フタージェント212D」、「FTX-218」、「FTX-209F」、「FTX-213F」、「FTX-233F」、「フタージェント245F」、「FTX-208G」、「FTX-240G」、「FTX-206D」、「FTX-220D」、「FTX-230D」、「FTX-240D」、「FTX-207S」、「FTX-211S」、「FTX-220S」、「FTX-230S」、「FTX-750FM」、「FTX-730FM」、「FTX-730FL」、「FTX-710FS」、「FTX-710FM」、「FTX-710FL」、「FTX-750LL」、「FTX-730LS」、「FTX-730LM」、「FTX-730LL」、「FTX-710LL」(以上、株式会社ネオス製)、「BYK-300」、「BYK-302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-340」、「BYK-344」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-350」、「BYK-352」、「BYK-354」、「BYK-355」、「BYK-356」、「BYK-358N」、「BYK-361N」、「BYK-357」、「BYK-390」、「BYK-392」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-Silclean3700」(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2200N」、「TEGO Rad2250」、「TEGO Rad2300」、「TEGO Rad2500」、「TEGO Rad2600」、「TEGO Rad2700」(以上、テゴ社製)、「N215」、「N535」、「N605K」、「N935」(以上、ソルベイソレクシス社製)等の例をあげることができる。
【0072】
(重合性基を有する非感光性化合物)
本発明の光学薄膜は、重合性基を有するが感光性ではない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができる。
【0073】
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールエトキシ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルりん酸、アクリロイルモルホリン、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イロプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のモノ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクロイルオキシプロピルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、等のジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、等のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、オリゴマー型の(メタ)アクリレート、各種ウレタンアクリレート、各種マクロモノマー、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、等のエポキシ化合物、マレイミド等が挙げられる。これらは単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0074】
前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体、若しくは前記式(4-1)、(4-2)又は(4-3)で表される重合体は、紫外光により屈折率パターンを書き込み可能な光学薄膜として好適に使用することができる。
【0075】
前記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される重合体に照射する紫外線の波長は特に限定するものではないが、反応前の重合体が大きな吸収帯を持つ波長域が好ましい。安価な高圧水銀灯を用いやすいため、好ましくは200~400nm、さらに好ましくは240~370nmの範囲内とすることが望ましい。
【実施例
【0076】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
<核磁気共鳴スペクトルの測定>
核磁気共鳴装置[Bruker ASCEND III 400(400MHz;BRUKER製]を用いて、H-NMRスペクトルを測定した。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名:C0-8011(カラムGMHHR-Hを装着))を用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
<紫外線照射>
バンドパスフィルタ(313nm)を組み込んだ水銀光源(朝日分光製REX-250)を用いて薄膜に垂直光を照射した。
<屈折率測定>
分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製RC2-U)を用い、角度50、60、70度について波長範囲10~1000nmにおける反射測定と波長範囲10~1000nmにおける透過測定を行い、550nmにおける屈折率を計算した。
【0077】
[合成例1]
【0078】
【化9】
【0079】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-5-メトキシ安息香酸(5.00g,26.8mmol)のトルエン(25mL)溶液に塩化チオニル(19.4mL)を加え、100℃で1時間半撹拌した後、ディーンスターク装置(湯浴120℃)にて塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(40mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(4.61g,13.4mmol)のTHF(45mL)-水(45mL)混合溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(5.63g,67.0mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を10分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、1時間半激しく撹拌した後、濃塩酸(10mL)を加え、減圧下に濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することで2-クロロ-4’-ヒドロキシ-5-メトキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:7.07g,収率:90%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.56(brs,1H),7.15(d,J=8.8Hz,1H),7.05(d,J=8.8Hz,2H),6.86(d,J=3.0Hz,1H),6.76(dd,J=8.8,3.0Hz,1H),6.57(d,J=8.8Hz,2H),3.65(s,3H),3.29(s,3H).
【0080】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-5-メトキシ-N-メチルベンズアニリド(5.00g,17.1mmol)のジクロロメタン(175mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(68.6mL,68.6mmol)を30分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、21時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(300g)、2M塩酸(300mL)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、水(100mL)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:90)にて精製することにより、2-クロロ-4’,5-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:3.94g,収率:83%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.69(brs,1H),9.50(brs,1H),7.06-6.97(m,3H),6.61-6.54(m,4H),3.27(s,3H).
【0081】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’,5-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリド(1.22g,4.38mmol)のTHF(60mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(9.6mg,43.8μmol,0.01eq.)を加え0℃に冷却した後、トリエチルアミン(2.21g,21.9mmol,5eq.)、メタクリロイルクロリド(1.10g,10.5mmol,2.4eq.)を順次加えた。反応系を室温まで昇温させ2時間半撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、水(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=89:11~68:32)にて精製することで2-クロロ-4’,5-ビス(メタクリロイルオキシ)-N-メチルベンズアニリド(化合物1)の無色油状物(収量:1.63g,収率;90%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.20-7.14(m,3H),7.09-7.06(m,1H),7.03-6.97(m,2H),6.96-6.91(m,1H),6.32-6.27(m,2H),5.77-5.71(m,2H),3.49(s,3H),2.03(s,6H).
【0082】
[合成例2]
【0083】
【化10】
【0084】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(5.00g,26.8mmol)のトルエン(25mL)溶液に塩化チオニル(15.5mL)及びDMF(250μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(45mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0085】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(4.61g,13.4mmol)のTHF(45mL)-水(45mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(5.63g,67.0mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、1時間半激しく撹拌した後、濃塩酸(10mL)を加え、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することで粗固体を得た。これを更に再沈殿(ヘキサン:50mL,酢酸エチル:5mL,エタノール:3mL)によって精製することにより、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-4-メトキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:6.42g,収率:82%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.50(brs,1H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),6.99(d,J=8.7Hz,2H),6.85(d,J=2.4Hz,1H),6.73(dd,J=8.6,2.4Hz,1H),6.56(d,J=8.7Hz,2H),3.69(s,3H),3.28(s,3H).
【0086】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-4-メトキシ-N-メチルベンズアニリド(5.00g,17.1mmol)のジクロロメタン(170mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(68.4mL,68.4mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、13時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(400g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、酢酸エチル(200mL×3)にて抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製した後、減圧下乾燥(120℃,真空ポンプ)することにより、2-クロロ-4,4’-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:3.67g,収率:77%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ10.4-9.15(br,2H),7.02(m,1H),6.95(d,J=8.5Hz,2H),6.61(m,1H),6.56(d,J=8.5Hz,2H),6.53(m,1H),3.27(s,3H).
【0087】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4,4’-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリド(3.00g,10.8mmol)のTHF(110mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(23.8mg,108μmol)を加え0℃に冷却した後、トリエチルアミン(5.46g,54.0mmol)、メタクリロイルクロリド(2.71g,25.9mmol)を順次加えた。反応系を室温まで昇温させ17時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、水(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=79:21~58:42)にて精製することにより、2-クロロ-4,4’-ビス(メタクリロイルオキシ)-N-メチルベンズアニリド(化合物2)の無色油状物(収量:3.26g,収率:73%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.17(m,1H),7.14(d,J=8.7Hz,2H),7.07(m,1H),6.99(m,J=8.7Hz,2H),6.93(m,1H),6.33-6.27(m,2H),5.80-5.68(m,2H),3.50(s,3H),2.04-1.98(m,6H).
【0088】
[合成例3]
【0089】
【化11】
【0090】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-3-メトキシ安息香酸(4.00g,21.4mmol)のトルエン(20mL)溶液に塩化チオニル(15.5mL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、ディーンスターク装置(油浴温度:120℃)にて塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(40mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0091】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(3.69g,10.72mmol)のTHF(36mL)-水(36mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(4.49g,53.5mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、1時間激しく撹拌した後、濃塩酸(8mL)を加え、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することにより、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-3-メトキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:6.11g,収率:98%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.48(brs,1H),7.12(dd,J=8.3,7.7Hz,1H),7.01(d,J=8.8Hz,2H),6.93(dd,J=8.3,1.3Hz,1H),6.82(dd,J=7.7,1.3Hz,1H),6.55(d,J=8.8Hz,2H),3.76(s,3H),3.28(s,3H).
【0092】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-3-メトキシ-N-メチルベンズアニリド(500mg,1.71mmol)のジクロロメタン(18mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(6.84mL,6.84mol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、1時間半撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(50g)、2M塩酸(30mL)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、酢酸エチル(20mL×3)にて抽出し、飽和食塩水(20mL)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製した後、減圧下乾燥(120℃,真空ポンプ)することにより、2-クロロ-3,4’-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:330mg,収率:70%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ10.2(brs,1H),9.50(brs,1H),7.00(d,J=8.8Hz,2H),6.94(t,J=7.8Hz,1H),6.74(dd,J=8.1,1.3Hz,1H),6.64(m,1H),6.55(d,J=8.8Hz,2H),3.27(s,3H).
【0093】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-3,4’-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリド(1.50g,5.40mmol)のTHF(60mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(11.9mg,54.0μmol)を加え0℃に冷却した後、トリエチルアミン(2.77g,27.4mmol)、メタクリロイルクロリド(1.41g,13.5mmol)を順次加えた。反応系を室温まで昇温させ3時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、水(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0~94:6)にて精製することで2-クロロ-3,4’-ビス(メタクリロイルオキシ)-N-メチルベンズアニリド(化合物3)の無色油状物(収量:1.61g,収率:72%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.19-6.91(m,7H),6.39(m,1H),6.29(m,1H),5.79(m,1H),5.74(m,1H),3.51(s,3H),2.07-2.04(m,3H),2.03-2.00(m,3H).
【0094】
[合成例4]
【0095】
【化12】
【0096】
N-ヨードスクシンイミド(10.4g,46.2mmol)のDMF溶液(10mL)に、0℃下でN-メチルアニリン(5.0g,46.2mmol)をゆっくりと加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、この懸濁液に蒸留水(50mL)を加え、混合物を酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。合一した有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することにより黒紫色溶液の4-ヨード-N-メチルアニリン(収量:9.91g,粗収率:91%)の粗生成物を得た。この粗生成物は、そのまま次の反応に使用した。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.42(d,J=8.8Hz,2H),6.34(d,J=8.8Hz,2H),2.80(s,3H).
【0097】
アルゴン雰囲気下で4-ヨード-N-メチルアニリン(3.57g,15.2mmol)のTHF溶液(15mL)に、トリエチルアミン(3.05g,30.1mmol)、2-ブロモベンゾイルクロリド(3.28g,14.9mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)を加え、酢酸エチル(80mL×4)で抽出した。合一した有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)、飽和食塩水(80mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=81:19~60:40)にて精製した後、得られた残渣をヘキサンで十分に洗浄することにより、2-ブロモ-N-(4-ヨードフェニル)-N-メチルベンズアミドの薄赤色粉末(収量:3.19g,収率:50%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.50(d,J=8.4Hz,2H),7.40(m,1H),7.16-7.06(m,3H),6.89(d,J=8.4Hz,2H),3.48(s,3H).
【0098】
アルゴン雰囲気下で2-ブロモ-N-(4-ヨードフェニル)-N-メチルベンズアミド(7.00g,16.8mmol)、BHT(0.37g,1.69mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.97g,0.84mmol)のDMF溶液(35mL)に、トリブチルビニルスズ(5.35g,16.9mmol)を加え、80℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却し、飽和ふっ化カリウム水溶液(60mL)を加え、同温で一晩撹拌した。反応終了後、セライトろ過することにより不溶物を除去し、ろ液を酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。合一した有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)にて精製することにより、2-ブロモ-N-メチル-N-(4-ビニルフェニル)ベンズアミド(化合物4)の褐色油状液体(収量:3.79g,収率:71%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.39(m,1H),7.22-7.21(m,2H),7.16-7.08(m,4H),7.03(m,1H),6.58(dd,J=17.6,10.9Hz,1H),5.65(d,J=17.6Hz,1H),5.22(d,J=10.9Hz,1H),3.50(s,3H).
【0099】
[合成例5]
【0100】
【化13】
【0101】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(10.1g,29.3mmol)のTHF(50mL)溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、0℃に冷却した後、2-メトキシベンゾイルクロリド(10.0g,58.6mmol)のTHF(50mL)溶液を5分間で全量滴下した。この混合液を室温まで昇温させた後、室温で終夜撹拌した。反応終了後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水(100mL)に懸濁させた。この混合物を0℃に冷却した後、激しく撹拌しながら濃塩酸(50mL)をゆっくりと加えた。系中に生じた固体をろ取し、水(200mL)及び少量のエタノールで洗浄することで、N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メトキシベンズアミドの褐色固体(収量:10.6g,収率:70%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.42(brs,1H),7.15(m,1H),7.07(m,1H),6.89(d,J=8.7Hz,2H),6.81-6.73(m,2H),6.51(d,J=8.7Hz,2H),3.61(s,3H),3.25(s,3H).
【0102】
N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メトキシベンズアミド(5.00g,19.4mmol)、炭酸カリウム(5.36g,38.8mmol)、ヨウ化カリウム(32.2mg,194μmol)のDMF(20mL)懸濁液にメタクリル酸6-クロロヘキシル(5.96g,29.1mmol)のDMF(10mL)溶液を加え、120℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、蒸留水(50mL)を加え5分間撹拌することにより固形分を溶解させた後、混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した。合一した有機層を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、エバポレーターにて減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20~60:40)にて精製することでN-メチル-N-(4-[6-(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]フェニル)-2-メトキシベンズアミド(化合物5)の茶褐色油状物(収量:4.24g,収率:51%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.17-7.10(m,2H),6.98-6.91(m,2H),6.78(m,1H),6.66-6.60(m,3H),6.08(m,1H),5.54(m,1H),4.14(t,J=6.6Hz,2H),3.87(t,J=6.4Hz,2H),3.67(s,3H),3.43(s,3H),1.93(s,3H),1.77-1.64(m,4H),1.53-1.36(m,4H).
【0103】
[合成例6]
【0104】
【化14】
【0105】
アルゴン雰囲気下、N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メトキシベンズアミド(3.00g,11.7mmol)のTHF(20mL)溶液にトリエチルアミン(2.37g,23.4mmol)を加えた後、氷冷下でメタクリロイルクロリド(1.29g,12.3mmol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させ3時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物に水(100mL)を加え、酢酸エチル(150mL×3)にて抽出した後、水(150mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて洗浄した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25~50:50)にて精製することにより、N-メチル-N-[4-(メタクリロイルオキシ)フェニル]-2-メトキシベンズアミド(化合物6)の褐色粘性物(収量:2.32g,収率:61%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.29-6.58(m,8H),6.28(brs,1H),5.72(brs,1H),3.61(brs,3H),3.48(brs,3H),2.01(brs,3H).
【0106】
[合成例7]
【0107】
【化15】
【0108】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(5.23g,15.2mmol)のTHF(30mL)-水(30mL)混合溶液を0℃に冷却した後、50%水酸化ナトリウム水溶液(4mL,ca.76mmol)を加えた。次いで2-クロロベンゾイルクロリド(5.32g,30.4mmol)を5分間で滴下した。反応系を0℃で1時間撹拌した後、濃塩酸(5mL)をゆっくりと加えた。減圧下濃縮後、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出し、水(50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮することで2-クロロ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミドの褐色固体(収量:4.82g,収率:61%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.30-7.24(m,2H),7.23-7.14(m,2H),7.02(d,J=8.8Hz,2H),6.55(d,J=8.8Hz,2H),3.30(s,3H).
【0109】
2-クロロ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(4.87g,18.6mmol)、炭酸カリウム(5.14g,37.2mmol)、ヨウ化カリウム(30.9mg,186μmol)のDMF(20mL)懸濁液にメタクリル酸6-クロロヘキシル(5.71g,27.9mmol)のDMF(10mL)溶液を加え、120℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、蒸留水(100mL)を加え5分間撹拌することにより固形分を溶解させた後、混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した。合一した有機層を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、エバポレーターにて減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=73:27~52:48)にて精製することで2-クロロ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(化合物7)の黄色油状物(収量:3.05g,収率;38%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.22-7.05(m,4H),7.03(d,J=8.9Hz,2H),6.66(d,J=8.9Hz,2H),6.08(m.1H),5.54(m,1H),4.14(t,J=6.6Hz,2H),3.83(t,J=6.4Hz,2H),3.46(s,3H),1.94(m,3H),1.78-1.63(m,4H),1.54-1.36(m,4H).
【0110】
[合成例8]
【0111】
【化16】
【0112】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-N-メチルアニリン(3.71g,19.9mmol)のTHF溶液(40mL)に、トリエチルアミン(3.63g,35.9mmol)、2-メトキシベンゾイルクロリド(3.36g,19.7mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え、THFを減圧留去し、得られた残渣から酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合一した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた白色粉末をヘキサンで十分に洗浄することでN-(4-ブロモフェニル)-2-メトキシ-N-メチルベンズアミドの白色粉末(収量:5.57g,収率:87%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.28-7.18(m,4H),6.94-6.88(m,2H),6.84(m,1H),6.65(m,1H),3.63(s,3H),3.45(s,3H).
【0113】
アルゴン雰囲気下、N-(4-ブロモフェニル)-2-メトキシ-N-メチルベンズアミド(4.73g,14.8mmol)、BHT(0.33g,1.49mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.86g,0.74mmol)のDMF溶液(100mL)に、トリブチルビニルスズ(5.66g,17.84mmol)を加え、80℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却し、飽和ふっ化カリウム水溶液(50mL)を加え、同温で一晩撹拌した。反応終了後、セライトろ過することにより不溶物を除去し、ろ液を酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。合一した有機層を、飽和食塩水(100mL)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=67:33~46:54)にて精製することにより、2-メトキシ-N-メチル-N-(4-ビニルフェニル)ベンズアミド(化合物8)の黄色油状物(収量:3.00g,収率:76%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.24-7.12(m,4H),7.04-6.94(m,2H),6.81(m,1H),6.64-6.54(m,2H),5.64(m,1H),5.20(m,1H),3.63(s,3H),3.47(s,3H).
【0114】
[合成例9]
【0115】
【化17】
【0116】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-N-メチルアニリン(4.74g,25.5mmol)のTHF溶液(30mL)に、トリエチルアミン(5.22g,51.7mmol)、2-クロロベンゾイルクロリド(4.31g,25.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)を加え、THFを減圧留去し、得られた残渣から酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。合一した有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、飽和食塩水(80mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた白色粉末をヘキサンで洗浄することにより、N-(4-ブロモフェニル)-2-クロロベンズアミドの白色粉末(収量:6.62g,収率:81%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.30(d,J=8.5Hz,2H),7.21(m,1H),7.17-7.08(m,3H),6.99(d,J=8.4Hz,2H),3.48(s,3H).
【0117】
アルゴン雰囲気下、N-(4-ブロモフェニル)-2-クロロベンズアミド(5.11g,15.7mmol)、BHT(0.35g,1.59mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.91g,0.79mmol)のDMF溶液(30mL)に、トリブチルビニルスズ(5.98g,18.8mmol)を加え、100℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却し、飽和ふっ化カリウム水溶液(100mL)を加え、同温で一晩撹拌した。反応終了後、セライトろ過することにより不溶物を除去し、ろ液を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合一した有機層を、飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=79:21~58:42)にて精製することにより、2-クロロ-N-メチル-N-(4-ビニルフェニル)ベンズアミド(化合物9)の黄色油状物(収量:3.06g,収率:71%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.22-7.19(m,3H),7.16-7.10(m,2H),7.09-7.05(m,3H),6.58(dd,J=17.6,10.9Hz,1H),5.65(d,J=17.6Hz,1H),5.23(d,J=10.9Hz,1H),3.50(s,3H).
【0118】
[合成例10]
【0119】
【化18】
【0120】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(5.00g,19.1mmol)のTHF(200mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(42.1mg,191μmol)、トリエチルアミン(3.87g,38.2mmol)を加えた後、氷冷下でメタクリロイルクロリド(2.20g,21.0mmol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させ15時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物に水(100mL)を加え、酢酸エチル(150mL×3)にて抽出した後、水(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて洗浄した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0~87:13)にて精製することで2-クロロ-N-メチル-N-[4-(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンズアミド(化合物10)の白色固体(収量:3.00g,収率:48%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.25-7.04(m,6H),6.95(d,J=8.7Hz,2H),6.28(brs,1H),5.73(brs,1H),3.50(s,3H),2.01(s,3H).
【0121】
[合成例11]
【0122】
【化19】
【0123】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(4.92g,14.3mmol)のTHF/水=1/1(80mL)溶液に、炭酸水素ナトリウム(5.99g,71.3mol)を加え、2,6-ジクロロベンゾイルクロリド(5.98g,28.5mmol)を滴下した。この混合液を室温で10分撹拌した。反応終了後、0℃に冷却し、撹拌しながら濃塩酸(3mL)をゆっくりと加えた。溶媒をエバポレーターにて留去し、系中に生じた固体をろ取し、水(400mL)で洗浄することで、2,6-ジクロロ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミドの白色固体(収量:6.34g,収率:75%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.21(d,J=8.8Hz,2H),7.14-7.01(m,3H),6.64(d,J=8.8Hz,2H),3.45(s,3H).
【0124】
アルゴン雰囲気下、2,6-ジクロロ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(3.00g,10.1mmol)のTHF(100mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(22.2mg,101μmol)、トリエチルアミン(2.56g,25.3mmol)を加えた後、氷冷下でメタクリロイルクロリド(1.26g,12.1mmol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させ14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、水(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10~65:35)にて精製することにより、2,6-ジクロロ-N-メチル-N-[4-(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンズアミド(化合物11)の白色固体(収量:2.27g,収率:62%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.36(d,J=8.9Hz,2H),7.15-7.03(m,3H),6.98(d,J=8.9Hz,2H),6.29(m,1H),5.74(m,1H),3.50(s,3H),2.03-2.00(m,3H).
【0125】
[合成例12]
【0126】
【化20】
【0127】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(7.99g,23.2mmol)のTHF(80mL)-水(80mL)混合溶液に炭酸水素ナトリウム(9.75g,116mmol)を加え、2-ブロモベンゾイルクロリド(10.2g,46.4mmol)を滴下し室温で10分撹拌した後、氷冷下にて濃塩酸を加えpH1-2に調整した。反応混合物を減圧下濃縮した後、生じた固体をろ取し、大量の水で洗浄することで2-ブロモ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミドの無色結晶(収量:12.2g,収率:86%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.37(m,1H),7.13-7.03(m,3H),7.02(d,J=8.8Hz,2H),6.62(d,J=8.8Hz,2H),5.44(brs,1H),3.45(s,3H).
【0128】
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-N-メチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(3.00g,9.80mmol)のTHF(100mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(21.6mg,98.0μmol)、トリエチルアミン(2.48g,24.5mmol)を加えた後、氷冷下でメタクリロイルクロリド(1.23g,11.8mmol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させ14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、水(50mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=24:76~45:55)にて精製することにより、2-ブロモ-N-メチル-N-[4-(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンズアミド(化合物12)の白色固体(収量:2.39g,収率:66%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.39(m,1H),7.17(d,J=8.8Hz,2H),7.14-7.09(m,2H),7.05(m,1H),6.96(d,J=8.8Hz,2H),6.28(m,1H),5.73(m,1H),3.50(s,3H),2.03-1.99(m,3H).
【0129】
[合成例13]
【0130】
【化21】
【0131】
4-ニトロフェノール(10.0g、71.9mmol)のTHF(50mL)溶液にDIPEA(23.3g、180mmol)を加え、反応系を0℃に冷却した後、クロロメチルメチルエーテル(14.5g、180mmol)を滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、15分間撹拌し、水(160mL)を加え、減圧下にてTHFを留去した。得られた混合物を酢酸エチル(160mL×3)にて抽出した後、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターにて減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0~80:20)にて精製することにより、4-(メトキシメトキシ)ニトロベンゼンの淡黄色油状物(収量:13.1g,収率:99%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.20(d,J=9.3Hz,2H),7.11(d,J=9.3Hz,2H),5.26(s,2H),3.50(s,3H).
【0132】
アルゴン雰囲気下、4-(メトキシメトキシ)ニトロベンゼン(13.2g,72.1mmol)のメタノール(140mL)溶液に10%パラジウム炭素(1.53g,1.44mmol)を加え後、水素雰囲気下、室温で3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物をメタノールで洗浄しながら、セライト濾過した。得られた母液を減圧下濃縮し、4-(メトキシメトキシ)アニリンの褐色油状物(収量:9.40g,収率:85%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ6.87(d,J=8.8Hz,2H),6.63(d,J=8.8Hz,2H),5.08(s,2H),3.47(s,3H),3.46(brs,2H).
【0133】
アルゴン雰囲気下、4-(メトキシメトキシ)アニリン(5.00g,32.6mmol)のTHF(60mL)溶液に、トリエチルアミン(6.60g,65.2mmol)、2-メトキシベンゾイルクロリド(5.56g,32.6mmol)を加え、0℃で10分間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした。エバポレーターで溶媒を留去後、酢酸エチルにて抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を減圧下濃縮し、N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]-2-メトキシベンズアミドの褐色油状物(収量:9.17g,収率:定量的)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.16-7.07(m,3H),6.98-6.94(m,2H),6.82-6.73(m,3H),6.63(m,1H),5.07(s,2H),3.69(s,3H),3.42(s,3H).
【0134】
アルゴン雰囲気下、4-(メトキシメトキシ)-2-メトキシベンズアミド(3.00g,10.4mmol)のDMF(20mL)溶液に55%水素化ナトリウム(772mg,17.7mmol)、ヨウ化ブチル(2.87g,15.6mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した後、氷冷下で塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えた。混合物を酢酸エチル(150mL×3)で抽出した後、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を減圧下濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0~50:50)で精製することにより、N-ブチル-N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]-2-メトキシベンズアミドを白色固体(収量:2.64g,収率:77%)として得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.16-7.08(m,2H),7.00-6.89(m,2H),6.83-6.73(m,3H),6.62(m,1H),5.06(s,2H),3.86(t,J=7.5Hz,2H),3.68(s,3H),3.42(s,3H),1.58(quintet,J=7.5Hz,2H),1.39(sextet,J=7.5Hz,2H),0.93(t,J=7.5Hz,3H).
【0135】
N-ブチル-N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]-2-メトキシベンズアミド(2.64g、7.67mmol)のTHF溶液(15mL)に2M塩酸を15mL加え、室温で4時間攪拌した後、減圧下濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(30mL×3)と水で抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を減圧下濃縮した後、生じた固体をヘキサンで洗浄することにより、N-ブチル-N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メトキシベンズアミドの白色固体(収量:1.96g,収率:85%)として得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.17-7.06(m,2H),6.89(d,J=8.8Hz,2H),6.79-6.73(m,1H),6.63-6.59(m,1H),5.57(d,J=8.8Hz,2H),5.28(brs,1H),3.85(t,J=7.6Hz,2H),3.66(s,3H),1.63-1.51(m,2H),1.44-1.32(m,2H),0.92(t,J=7.3Hz,3H).
【0136】
アルゴン雰囲気下、N-ブチル-2-クロロ-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(1.11g,3.71mmol)のTHF(37mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(8.18mg,37.1μmol)、トリエチルアミン(939mg,9.28mmol)を加えた後、氷冷下でメタクリロイルクロリド(465mg,4.45mmol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、13時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、水(50mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20~65:35)にて精製することにより、N-ブチル-2-メトキシ-N-[4-(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンズアミド(化合物13)の白色固体(収量:1.11g,収率:82%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.22-7.09(m,2H),7.04(d,J=8.6Hz,2H),6.90(d,J=8.6Hz,2H),6.80(m,1H),6.61(d,1H),6.28(m,1H),5.73(m,1H),3.91(m,2H),3.64(s,3H),2.04-1.98(m,3H),1.64-1.58(m,2H),1.42-1.36(m,2H),0.93(t,J=7.3Hz,3H).
【0137】
[合成例14]
【0138】
【化22】
【0139】
アルゴン雰囲気下、4-(メトキシメトキシ)アニリン(5.00g,32.6mmol)のTHF(60mL)溶液に、トリエチルアミン(6.60g,65.2mmol)、2-クロロベンゾイルクロリド(5.71g,32.6mmol)を加え、0℃で10分間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした。エバポレーターで溶媒を留去後、酢酸エチルにて抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧下に濃縮することにより、2-クロロ-N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]ベンズアミドの白色固体(収量:6.61g,収率:70%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.82-7.73(m,2H),7.56(d,J=9.0Hz,2H),7.48-7.34(m,3H),7.06(d,J=9.0Hz,2H),5.17(s,2H),3.49(s,3H).
【0140】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]ベンズアミド(5.00g、17.1mmol)のDMF(35mL)溶液に55%水素化ナトリウム(1.27g、29.1mmol)、ヨウ化ブチル(4.73g,25.7mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。混合物を酢酸エチル(400mL×3)で抽出した後、有機層を飽和食塩水(30mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧下濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0~65:35)で精製しN-ブチル-2-クロロ-N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]ベンズアミドを白色固体(収量:5.63g,収率:95%)として得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.18(m,1H),7.12-7.01(m,5H),6.82(m,2H),5.07(s,2H),3.88(t,J=7.4Hz,2H),3.42(s,3H),1.61(quintet,J=7.4Hz,2H),1.41(sextet,J=7.4Hz,2H),0.94(t,J=7.4Hz,3H).
【0141】
N-ブチル-2-クロロ-N-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]ベンズアミド(5.5g、15.8mmol)のTHF溶液(30mL)に2M塩酸(30mL)を加え、60℃で1時間撹拌した後、減圧下に濃縮した。析出した固体を、ろ取し、水(500mL)で洗浄することにより、N-ブチル-2-クロロ-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミドを白色固体(収量:4.40g,収率:92%)として得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.17(m,1H),7.11-7.01(m,3H),6.98(d,J=8.8Hz,2H),6.61(d,J=8.8Hz,2H),5.34(brs,1H),3.87(t,J=7.4Hz,2H),1.59(quintet,J=7.4Hz,2H),1.40(sextet,J=7.4Hz,2H),0.93(t,J=7.3Hz,3H).
【0142】
アルゴン雰囲気下、N-ブチル-2-クロロ-N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンズアミド(2.00g,6.58mmol)のTHF(60mL)溶液に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(14.5mg,65.8μmol)、トリエチルアミン(1.67g,16.5mmol)を加えた後、氷冷下でメタクリロイルクロリド(826mg,7.90mmol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させ3時間半撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)を加え、減圧下濃縮した。得られた混合物を酢酸エチル(150mL×3)にて抽出した後、水(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=94:6~73:27)にて精製することにより、2-クロロ-N-ブチル-N-[4-(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンズアミド(化合物14)の白色固体(収量:1.94g,収率:79%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.20(m,1H),7.15(d,J=8.8Hz,2H),7.12-7.03(m,3H),6.96(d,J=8.8Hz,2H),6.28(m,1H),5.73(m,1H),3.92(t,J=7.4Hz,2H),2.02-2.00(m,3H),1.63(quintet,J=7.4Hz,2H),1.42(sextet,J=7.4Hz,2H),0.94(t,J=7.4Hz,3H).
【0143】
[実施例1]
合成例1で得られた化合物1を10質量部、熱重合開始剤tert-ブチルパーオキシピバレート0.1質量部をクロロホルム90質量部へ溶解した。これを石英基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートし、セパラブルフラスコに入れて窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で密封した。オーブン中110℃で60分重合させ薄膜を得た。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量4000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0144】
[実施例2]
化合物1を、合成例2で得られた化合物2に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量4000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0145】
[実施例3]
化合物1を、合成例3で得られた化合物3に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0146】
[実施例4]
化合物1を、合成例4で得られた化合物4に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0147】
[実施例5]
化合物1を、合成例5で得られた化合物5に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量4000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0148】
[実施例6]
化合物1を、合成例6で得られた化合物6に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0149】
[実施例7]
化合物1を、合成例7で得られた化合物7に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0150】
[実施例8]
化合物1を、合成例8で得られた化合物8に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量4000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0151】
[実施例9]
化合物1を、合成例9で得られた化合物9に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0152】
[実施例10]
化合物1を、合成例10で得られた化合物10に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0153】
[実施例11]
化合物1を、合成例11で得られた化合物11に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0154】
[実施例12]
化合物1を、合成例12で得られた化合物12に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0155】
[実施例13]
化合物1を、合成例13で得られた化合物13に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量4000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0156】
[実施例14]
化合物1を、合成例14で得られた化合物14に代えた以外は実施例1と同様の方法で熱重合、製膜を行った。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、絶対屈折率が増加した。屈折率差を表1に示す。
【0157】
[比較例1]
市販のポリメチルメタクリレート(富士フイルム和光純薬株式会社製、分子量Mw=9.0×10)10質量部をトルエン90質量部に溶解し、これを石英基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートした。オーブン中90℃で30分乾燥させ薄膜を得た。得られた薄膜に313nmの紫外光を積算光量8000mJ/cm照射したところ、分解により絶対屈折率が減少した。屈折率差を表1に示す。
【0158】
【表1】