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特許7555348硬化セメント質材料の非侵襲性修復及び改修
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】硬化セメント質材料の非侵襲性修復及び改修
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/61 20060101AFI20240913BHJP
   C04B 41/63 20060101ALI20240913BHJP
   C04B 41/68 20060101ALI20240913BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20240913BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
C04B41/61
C04B41/63
C04B41/68
C09K3/10 E
E04G23/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021559166
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2020064435
(87)【国際公開番号】W WO2020239689
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】19177178.1
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】クリスティナ バルベルデ
(72)【発明者】
【氏名】ラミロ ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ルース グラニソ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-039620(JP,A)
【文献】特開平05-140537(JP,A)
【文献】特開昭61-246255(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108101581(CN,A)
【文献】特開2000-034409(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1142035(KR,B1)
【文献】特表2011-503251(JP,A)
【文献】特表2018-529821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/00-41/72
C04B 7/00-28/36
C09K 3/10
E04G 23/00-23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化セメント質材料の修復及び/又はシーリング方法であって、水性組成物を硬化セメント質材料又はその一部分に適用し、10mmまでの幅を有する任意の亀裂を充填する工程を含み、前記水性組成物が、コロイド状シリカと、少なくとも1つのポリカルボン酸とを含み、前記少なくとも1つのポリカルボン酸が、くし形ポリマーではなく、
前記コロイド状シリカの重量平均粒径が、2nm~35nmの範囲であり、前記水性組成物の全重量に基づき、前記コロイド状シリカの含有量が、5~50重量%の範囲であり、かつ前記ポリカルボン酸の含有量が、1~50重量%の範囲である、方法
【請求項2】
乾燥基準でのポリカルボン酸に対するコロイド状シリカの重量比率が、少なくとも4である、請求項に記載の方法
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリカルボン酸が、それぞれ前記ポリカルボン酸の全組成物に基づき、少なくとも85モル%の、アクリル酸、メタクリル酸、3,3-ジメチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びソルビン酸から選択されるモノマーからなる、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
前記少なくとも1つのポリカルボン酸が、ホモポリマーである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
コロイド状シリカ、ポリカルボン酸及び水の総量が、前記水性組成物の全重量に基づき、少なくとも80重量%である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記水性組成物の全重量に基づき、水の含有量が、少なくとも15重量%である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記硬化セメント質材料が、硬化コンクリート構造物である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記水性組成物が、前記構造物の表面上への注入、移動、浸入又は塗布によって適用される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化セメント質材料が亀裂を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化セメント質材料への前記水性組成物の適用が非侵襲性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
腐食抑制剤の適用による強化の保護、反応性試薬による亀裂シーリング、又は疎水性材料による前記硬化セメント質材料の表面の防水処理から選択される、前記硬化セメント質材料の少なくとも1つの追加的な処理を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのための水性組成物、上記水性組成物を使用する硬化セメント質材料の修復及び/又はシーリングの方法、並びに上記水性組成物の相当する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のコンクリートは非常に耐久性のある構造材料であり、適切に配合し、配置した場合、通常、非常に長い実用寿命を与えるであろう。いずれにせよ、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物は、例えば不適切な製造、或いは風化作用又は機械的、物理的若しくは化学的な攻撃による他の苛酷な条件からの劣化の結果であり得る損傷を受ける。したがって、構造物の耐久性を向上させるために、硬化セメント質材料の修復及び/又はシーリングが必要となる可能性がある。セメント質材料、特にコンクリート構造物の修復及び回復に関する必要性は益々重要になっており、そして将来、構造物における長い寿命サイクルの可能性が増加するため、重要な市場である。
【0003】
損害を受けた構造物の修復又は復元のために適切な鉱物バインダーをベースとするコンクリート修復材料は別として、硬化セメント質材料を修復及び/又はシーリングするために使用される広範囲の他の材料が存在する。
【0004】
例えば、硬化強化コンクリート構造物の修復及びシーリングのために、純粋コロイド状シリカを使用することができる。しかしながら、効果は低い。
【0005】
欧州特許第3053901号明細書(Sika AG)は、コロイド状シリカ及びポリカルボキシレートエーテルを含む、硬化コンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのための水性組成物を教示する。しかしながら、そのような組成物の侵入深さは制限される可能性がある。
【0006】
米国特許出願公開第2013/281577号明細書(W.R.Grace&Co)は、シリカ及びポリカルボキシレートエーテルからなるコロイド状ナノ粒子を含む、セメント質組成物を変性するための水性添加剤組成物を記載する。しかしながら、硬化セメント質材料の修復の用途は開示されておらず、そしてその後、そのような組成物の侵入深さは最適化されない。
【0007】
欧州特許第2251376号明細書(Sika AG)は、好ましい実施形態において、とりわけ5~15重量%のくし形ポリマー、10~30重量%のヒュームドシリカ又はコロイド状シリカ、及び30~70重量%の水を含む水性ポリマー分散体を教示する。しかしながら、硬化セメント質材料の修復の用途は開示されておらず、そしてその後、そのような組成物の侵入深さは最適化されない。
【0008】
特開2014-177394号公報は、とりわけ、セメントと、ポリカルボン酸ベースのコポリマーを含む流動化剤と、非晶質シリカ微細粉末とを含むモルタル組成物である復元材料を、コンクリート構造物の一部分が除去される場所に適用する、コンクリート構造物の修復方法を記載する。しかしながら、提供される溶液は、深い亀裂に侵入することができないモルタルである。
【0009】
米国特許出願公開第2004/0077768号明細書(Akzo Nobel)は、コロイド状シリカ及び有機バインダー、例えばポリ(アクリル酸)の共分散体を開示する。しかしながら、これらの系は、コーティング材料として使用され、硬化セメント質材料の修復のためには使用されていない。
【0010】
耐水性で結晶質の防水性コンクリート混合物の商業的な例は、Sika WT-200(登録商標)シリーズ(Sika Schweiz AG)である。これは、結晶質ベースの自己回復をもたらす自己回復コンクリートのための結晶質混合物であり、ポルトランダイト(水酸化カルシウム)と反応して、水不溶性結晶を生じるものである。防水のための結晶質混合物は、Xypex Chemical Corp.によっても販売されている。
【0011】
コンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのために使用される薬剤の他の例は、細菌スパリカス(sphaericus)、硫酸亜鉛、アルミナコーティングされたシリカナノ粒子、高炉スラグ又はフライアッシュである。
【0012】
修復及び/又はシーリングのために使用される材料は、しばしばむしろ高価であるか、又は低い性能、特に低い侵入深さを示す。多くのアプローチは、自己回復プロセスを支持しない。セメント質材料への適用は、複雑であり、時間がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の対象は、上述の従来のアプローチの不都合を克服する、硬化セメント質材料の、特にコンクリート構造物及び強化コンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのための組成物を提供することである。特に、この組成物は、比較的安価でなければならず、硬化セメント質材料への簡単且つ/又は迅速な適用を可能にしなければならず、そして高い侵入深さを示さなければならない。さらに、この組成物は、セメントの回復プロセスを開始することによる、良好な性能を示さなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、本対象は、コロイド状シリカ及びポリカルボン酸の組合せを含む水性組成物によって達成可能であった。
【0015】
したがって、本発明は、硬化セメント質材料の、特にコンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのための水性組成物であって、この水性組成物が、コロイド状シリカ及びポリカルボン酸を含み、ここで、請求項1に記載のこのポリカルボン酸は、くし形ポリマーではない水性組成物に関する。
【0016】
この組成物の主な利点は、他のアプローチと比較して低コストであること、そして適用の単純さ及び/又は迅速さである。驚くべきことに、性能の向上も達成され、組成物の侵入深さは非常に高く、好ましくは少なくとも10mm、特に少なくとも20mm又はそれ以上であり、そして新規水和セメント生成物の成長は特に亀裂の側面に沿って生じ、亀裂「回復」プロセスに寄与する。
【0017】
この水性組成物は、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物に対する非侵襲性処理を可能にし、これは既存のコンクリートマトリックスと効果的に相互作用して、セメント及び/又はSCMの第2の水和プロセスにおいて新規水和生成物を形成する。SCMは、フライアッシュ又はスラグ、例えば高炉スラグなどの補助セメント質材料の一般的な略語である。
【0018】
また本発明は、硬化セメント質材料又はその一部分に本発明による水性組成物を適用し、最高10mmまでの幅を有する任意の亀裂を充填するステップを含む、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物の修復及び/又はシーリング方法、並びに硬化セメント質材料の修復及び/又はシーリングのための水性組成物の使用にも関する。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載される。
【0019】
以下に記載の詳細は、該当する場合、水性組成物、方法及び使用に等しく適用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明による水性組成物が移動によって適用される方法の略図である。図1中、本発明の水性組成物は、修理又はシーリングされる硬化コンクリート構造物1の片側にカソライト3として配置される。水、特に蒸留水をアノライト2として他の側面に配置する。電圧供給源6(例えば12V)に接続している電極4、5を、それぞれ、アノライト及びカソライトに浸漬させる。例えば電位を、3サイクルで、すなわち、2日間接続し、1日は接続しないサイクルで適用することができる。
図2図2は、実施例に使用される亀裂試験片の略図である。図2中、モルタルプリズム1は、プリズムの直径より低い特定の深さまで延在する亀裂2を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
水性組成物は、コロイド状シリカを含む。コロイド状シリカは、液相、典型的に水中で、コロイド状態で分散するシリカ粒子を指す。コロイドは、粒子の安定な分散体である。シリカ粒子の安定な分散体又はコロイドは、シリカゾルとも呼ばれる。コロイド状シリカは、一般に非晶質シリカである。コロイド状シリカは、多数の会社から、例えばNouryonから商標名Levasilで商業的に入手可能である。例えば、コロイド状シリカの商業製品は、pH値、粒径又は濃度に関して異なることが可能である。1種類のコロイド状シリカ、又は例えば粒径が異なる2種類以上のコロイド状シリカの混合物を使用することが可能である。
【0022】
コロイド状シリカは、アニオンコロイド状シリカ又はカチオンコロイド状シリカであり得る。当業者に知られているように、コロイド状シリカの分散体は、通常、安定化のためにカチオン又はアニオンを含む。カチオンコロイド状シリカの場合、シリカ粒子は、通常、アルミナでコーティングされる。コロイド状シリカは、非表面変性シリカ又は表面変性シリカであり得、例えばシラン又はシロキサンで表面変性されていてもよい。
【0023】
コロイド状シリカの重量平均粒径は、通常、1~150nm、好ましくは2nm~35nm、より好ましくは5nm~10nmの範囲である。小さい粒径分散、例えば約5nmの重量平均粒径が特に好ましい。重量平均粒径は、本明細書で使用される場合、ISO 22412:2017に記載される力学光散乱法によって決定することができる。
【0024】
水性組成物は、少なくとも1つのポリカルボン酸をさらに含む。水性組成物は、1つ又はそれ以上のポリカルボン酸を含んでもよい。本発明に関連するポリカルボン酸は、少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸又はジカルボン酸のホモ-又はコポリマーである。適切なエチレン系不飽和カルボン酸又はジカルボキシル酸は、アクリル酸、メタクリル酸、3,3-ジメチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びソルビン酸からなる群から、好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸から選択される。
【0025】
前記エチレン系不飽和カルボン酸又はジカルボキシル酸のホモ-又はコポリマーは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリル又はメタクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル、塩化ビニル及びビニルピロリドンなどの少量のさらなるコモノマーを含んでもよい。しかしながら、本発明のポリカルボン酸が、それぞれポリカルボン酸の全組成物に基づき、少なくとも85モル%、好ましくは少なくとも90モル%、より好ましくは少なくとも95モル%、特に少なくとも99モル%の、エチレン系不飽和カルボン酸又はジカルボキシル酸の上記列挙から選択されるモノマーからなることが好ましい。
【0026】
上記ホモ-及びコポリマーは、直鎖であることも、又は分岐鎖であることも可能であり、且つそれらは追加的に架橋されていてもよい。コポリマーは、ランダム、ブロックコポリマーであり得るか、又は勾配を有していてもよい。
【0027】
一実施形態によると、ポリカルボン酸は、ホモポリマー、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマーである。
【0028】
本発明のポリカルボン酸は、それらのプロトン化型で、又はそれらの部分的に若しくは完全に中和された形態で使用されてもよい。
【0029】
好ましい実施形態によると、本発明のポリカルボン酸のカルボキシル基の少なくとも一部は、アルカリ又はアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物で、或いはアンモニアで中和される。
【0030】
特に好ましい実施形態によると、ポリカルボン酸は、特にそれらのナトリウム塩の形態のポリアクリレート又はポリメタクリレートである。
【0031】
ポリカルボン酸の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~150,000g/モル、より好ましくは5,000~100,000g/モル、特に5,000~10,000g/モルである。重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0032】
実施形態によると、ポリカルボン酸は、固体、好ましくは20~3000μm、好ましくは50~1000μm、より好ましくは90~850μmの粒径を有する微細粉末の形態であることが可能である。粒径分布は、ASTM C136及びASTM C117に記載の方法によって決定することができる。
【0033】
さらなる実施形態によると、ポリカルボン酸は水性調製物、特に溶液又は分散体の形態であることが可能である。水性調製物は、それぞれ水性調製物の全重量に基づき、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に少なくとも40重量%の固体含有量を有する。
【0034】
本発明のポリカルボン酸は、ポリカルボン酸主鎖に結合したポリアルキレンオキシド基をいずれも含まない。したがって、本発明のポリカルボン酸は、PCE流動化剤としても知られる、くし形ポリマーでない。
【0035】
本発明の最も好ましい実施形態によると、ポリカルボン酸は、GPCによって測定された1,000~150,000g/モル、好ましくは5,000~100,000g/モル、特に5,000~10,000g/モルの平均分子量Mwを有する、特にそれらのナトリウム塩の形態のアクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマーである。
【0036】
本発明の水性組成物は水を含有する。上記のとおり、多数のコロイド状シリカの水性分散体又はシリカゾルのそれぞれ、並びにポリカルボン酸は商業的に入手可能である。また商業的に入手可能なポリカルボン酸製品は、水との混合物であることも可能である。水性組成物は、コロイド状シリカの水性分散体又はシリカゾルのそれぞれ、及びポリカルボン酸を、例えば水性溶液又は分散体として混合することによって、容易に製造可能である。必要に応じて、さらに水を添加することによって含水量が調整されてもよい。必要に応じて、酸又は塩基の添加によってpH値が調整されてもよい。
【0037】
水性組成物は液体である。水性組成物は、好ましくは水性分散体又はソルである。水性組成物のpH値は、使用される成分の種類及び所望の用途次第で幅広い範囲で変動し得る。実施形態によると、水性組成物のpH値は、1~13、好ましくは6~12、特に7.5~11で変動し得る。
【0038】
水性組成物中のコロイド状シリカの含有量は、水性組成物の全重量に基づき、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~50重量%又は10~50重量%、さらにより好ましくは5~45重量%又は10~45重量%である。本明細書中のコロイド状シリカの重量は、通常通り、SiOの固体含有量を指す(すなわち水を含まない)。
【0039】
水性組成物中のポリカルボン酸の含有量は、水性組成物の全重量に基づき、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~50重量%又は4~50重量%、さらにより好ましくは2~25重量%又は4~25重量%である。
【0040】
好ましい実施形態において、水性組成物中のコロイド状シリカの含有量は、水性組成物の全重量に基づき、10~20重量%であり、且つ/又は水性組成物中のポリカルボン酸の含有量は、水性組成物の全重量に基づき、2~10重量%、特に2~5重量%である。
【0041】
特に好ましい実施形態によると、乾燥基準でのポリカルボン酸に対するコロイド状シリカの重量比率は、少なくとも4、好ましくは4.5である。
【0042】
水性組成物中の水の含有量は、水性組成物の全重量に基づき、例えば少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%又は少なくとも60重量%である。
【0043】
水性組成物は、1つ又はそれ以上の添加剤を任意選択的にさらに含んでもよい。添加剤は、本技術分野において一般に使用されるものであり得る。
【0044】
特に、鉱物バインダーは水と反応性であるため、水性組成物は、例えばセメントなどの水硬性鉱物バインダーを含まないことが一般に適切である。特に好ましい実施形態によると、本発明の組成物は、水硬性鉱物バインダー、特にセメントを含まない。
【0045】
水性組成物の全重量に基づく、コロイド状シリカ、ポリカルボン酸及び水の総量は、必要条件次第で変動し得、例えば少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%であり得る。
【0046】
したがって、実施形態によると、本発明の水性組成物は、(それぞれの場合において、水性組成物の全重量に基づき、)
- 1~50重量%、好ましくは5~50重量%のコロイド状シリカ、
- 1~50重量%、好ましくは2~50重量%、特に2~25重量%のポリカルボン酸、
- 少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%の水
を含み、乾燥基準でのポリカルボン酸に対するコロイド状シリカの重量比率は、少なくとも4、好ましくは4.5であり、且つコロイド状シリカ、ポリカルボン酸及び水の総量は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%である。
【0047】
さらなる実施形態によると、本発明の水性組成物は、(それぞれの場合において、水性組成物の全重量に基づき、)
- 1~50重量%、好ましくは5~50重量%のコロイド状シリカ、
- 1~50重量%、好ましくは2~50重量%、特に2~25重量%のポリカルボン酸、
- 少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%の水
からなり、乾燥基準でのポリカルボン酸に対するコロイド状シリカの重量比率は、少なくとも4、好ましくは4.5である。
【0048】
特に、本発明の水性組成物は、くし形ポリマー又はポリカルボキシレートエーテル(PCE)を含まない。含まないとは、そのようなくし形ポリマー又はポリカルボキシレートエーテル(PCE)の含有量が0.1重量%より低い、好ましくは0.01重量%より低いことを意味する。
【0049】
本発明による水性組成物は、硬化セメント質材料、特に硬化コンクリート構造物の修復及び/又はシーリング方法のために適切である。コンクリート構造物は、好ましくは硬化強化コンクリート構造物である。
【0050】
例えば、硬化コンクリート構造物又は硬化強化コンクリート構造物は、任意の土木構造物又はその一部分であり得る。土木構造物の例は、建物、橋、パイプライン、ダム、貯水池、地下構造物、例えばトンネル、ストックアンダーパス及びモニュメントである。硬化コンクリート構造物又は硬化強化コンクリート構造物は、例えば、壁、スラブ、梁、柱、ピア、ポスト、欄干、胸壁、基礎、フローリング、フレーム、縁石、敷居、副梁材、コーピング、コーニス又はコーナーであり得る。
【0051】
水に対するコンクリートの不浸透性の程度は、バインダーマトリックスの不浸透性によって決定される。硬化コンクリートは、毛管細孔の構造を通って水又は他の媒体の通過を可能にする多孔性材料である。これらの毛細管は、水和として知られる硬化のための化学反応のために必要ではないコンクリート中の過剰量の水によって作成される空隙である。
【0052】
加えて、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物は、例えば、熱的、機械的、化学的及び/又は物理的攻撃によって引き起こされる損傷又は欠陥を有し得る。セメント質材料の一般的な損傷又は欠陥は、例えば、亀裂、空隙又は割れ目である。もちろん、不浸透性は、そのような損傷又は欠陥によってさらに減少する。
【0053】
最高数ミリメートルの幅を有する亀裂、例えば最高2mm、5mm又は10mmの幅を有する亀裂は、本発明の水性組成物によって修復又はシーリングが可能である。0.4mm又は0.2mm未満の幅を有する亀裂は、通常、セメント質材料、特に硬化コンクリートの構造完全性に関して問題がないと考えられるが、そのような亀裂は、例えばコンクリート表面の美感を向上させるか、又は元に戻すために、本発明の水性組成物で修復又はシーリングされてもよい。
【0054】
硬化セメント質材料、特に硬化コンクリート構造物の修復又はシーリング方法は、本発明の水性組成物を、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物又はその一部分に適用するステップを含む。目的次第で、水性組成物は、硬化セメント質材料全体に、又はその一部分のみに適用されてよい。例えば、損傷又は欠陥を含むか、又は他の部分よりも過酷な条件に暴露され得る、例えば水と接触し得る硬化コンクリート構造物の一部分のみに処理が行われてもよい。
【0055】
硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物又はその一部分への水性組成物の適用は、従来手段によって実行されてよい。水性組成物は、材料が表面に浸透することができるように、例えばローラー、ブラシ、こてによって、又はスプレーによって、例えばエアガンスプレー若しくはエアレススプレーによって、セメント質材料又はその一部分の表面上に適用されてよい。輸送は、主に毛管吸引による。これを浸入又は飽和と考えることもできる。
【0056】
或いは、水性組成物は、注入によって、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物又はその一部分に適用されてもよい。手動注入デバイス又は注入ポンプなどの一般的な注入デバイスが使用されてよい。注入は亀裂の充填のために特に適切であるが、これは記載される他の方法によって達成することもできる。
【0057】
或いは、水性組成物は、移動(図1参照)によって、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物又はその一部分に適用されてもよい。移動法は、アノライト(アノード液)が、修復又はシーリングされる硬化コンクリート構造物の片側に配置され、そしてカソライト(カソード液)が反対側に配置される、当業者に既知の方法である。次いで、イオンが構造物中に移動することができるように、外部電位を硬化セメント質材料全体で適用する。本発明による移動法において、本発明の水性組成物は、1つの電解質として、好ましくはカソライトとして使用される。他の電解質、好ましくはアノライトは、例えば水、特に蒸留水である。移動は、1回又はそれ以上のサイクルの外部電位の適用で生じることが可能である。
【0058】
したがって、水性組成物は、好ましくは、注入、移動、又は毛管吸引によって、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物又はその一部分に適用される。注入及び毛管吸引は、非常に単純な適用方法である。移動法は迅速であり、時間節減である。
【0059】
本発明の方法は、非侵襲性の方法である。非侵襲性とは非破壊方法を意味し、すなわち、修復及び/又はシーリングされるセメント質材料、特にコンクリート、例えば亀裂を生じたコンクリートが除去されない。
【0060】
本発明の方法は、亀裂を含む硬化コンクリート構造物又は硬化強化コンクリート構造物に関して特に適切である。
【0061】
セメント質材料のシーリングは、進入に対する保護、すなわち、不利な薬剤、例えば水、他の液体、蒸気、気体、化学物質及び生物学的薬剤の進入を減少するか、又は防ぐものである。シーリングは、コンクリートの不浸透性を向上させる処置である。
【0062】
硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物又はその一部分に適用される本発明の水性組成物の量は、特に制限されない。
【0063】
本発明の水性組成物は、典型的に1コート、層又はステップで適用される。しかしながら、それぞれが間に待機期間を有する状態で後適用される、複数のコート、層又はステップ、例えば2又は3コート、層又はステップで、本発明の水性組成物を適用することも可能であり、そして特定の場合、それが好ましい。複数のコート、層又はステップの適用は、本発明の水性組成物の侵入深さをさらに増加させ得る。
【0064】
本発明による水性組成物の成分は、コンクリートの細孔及び毛管構造物にわたって不溶性の材料を形成することができ、コンクリートをシーリングすることができる。したがって、不浸透性が強化されるように、水及び他の液体の侵入に対する保護を改善することができる。
【0065】
加えて、水性組成物は、セメント質材料の自己回復特性を強化することによって、そして亀裂などの損傷又は欠陥を回復させる能力を向上させることによって、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物の損傷又は欠陥を修復することもできる。
【0066】
水性組成物の成分、特にコロイド状シリカは、セメント質材料、特にコンクリートの既存のセメント質マトリックスと効果的に相互作用し、セメント及び/又はSCMの第2の水和プロセスにおいて、新規水和セメント生成物を形成する。新規水和セメント生成物の成長は、特に亀裂回復プロセスに関与する亀裂側面においても生じる。したがって、セメント質材料の復元を生じることが可能である。
【0067】
コロイド状シリカ及びポリカルボン酸を含む本発明の水性組成物は、コロイド状シリカ単独の使用、又はコロイド状シリカ及びPCEの組み合わせられた使用と比較して、有意に向上した性能、特に改善された侵入深さを有する。したがって、本発明の方法によって、適用された水性組成物は、場合によっては1.0未満のCa/Si比で亀裂の側面において新規水和生成物の形成を可能にし、本方法の効果を実証する。Portland CSH相の通常の値は、SEM特徴決定においてCa/Si=1.4~2.0であるが、新規化学的及び物理的回復は、0.5~1のCa/Si比を有する(ポルトランダイトではない)異なる相に基づく。
【0068】
本発明の方法は、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物のシーリングのために適切である。本方法は、前記硬化セメント質材料、特にコンクリート中の最高10mmの幅を有する亀裂を充填するために特に適切である。この処理によって、セメント質材料の不浸透性を向上させることができる。したがって、本発明の方法は、セメント質材料、特にコンクリート構造物を改修するために適切である。本発明の方法は、回復又は復元を達成することができるように、それが新規水和セメント生成物の成長を誘導するため、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物の修復のためにも適切である。もちろん、本方法は、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物を同時に修復及びシーリングするためにも適切である。
【0069】
本発明の方法は、任意選択的にさらなるステップを含んでもよい。そのようなさらなるステップは、特に処理、例えばクリーニング、除塵、乾燥、湿潤及び/又プライマーの適用がなされる表面の調製である。
【0070】
本発明の方法は、セメント質材料の少なくとも1つの追加的な処理と、任意選択的に組み合わせられてもよい。追加的な処理は、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物の従来の処理、例えば、腐食抑制剤の適用による強化コンクリートの強化の保護、反応性試薬、例えばエポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂による亀裂シーリング、或いは疎水性材料によるコンクリート構造物の表面の防水処理(疎水性飽和)の少なくとも1つから選択され得る。
【0071】
したがって、本発明の水性組成物は、硬化セメント質材料、特にコンクリート構造物、好ましくは硬化強化コンクリート構造物を修理及び/又はシーリングするために適切である。特に、本発明の水性組成物は、硬化セメント質材料、特にコンクリート中の最高10mmの幅を有する亀裂を充填するために適切である。
【実施例
【0072】
侵入深さと亀裂充填能力の試験
【0073】
【表1】
【0074】
Ex.1は本発明の水性組成物である。Ref.1及びRef.2は参照例である。
【0075】
0.33のセメント/砂比及び0.5の水/セメント比で普通ポルトランドセメント(CEM I R/SR)及びケイ砂をベースとするモルタルから製造された4×4×16cmのモルタルプリズム上に、組成物Ref.1、Ref.2及びEx.1を適用した。長さ12mmのモノフィラメントポリプロピレン繊維600g/mを添加した。繊維の添加は、亀裂の導入時の試験片の完全な破砕を防止するために必要であった。モルタルプリズムを21℃/相対湿度95%で完全硬化した。次いで、三点曲げによって、モルタルプリズムあたり1つの229~326μmの幅を有する亀裂を導入した。
【0076】
組成物Ref.1、Ref.2及びEx.1の適用は、2ステップ手順によって21℃/相対湿度60%で実行した。第1ステップにおいて、それぞれの組成物を24時間、自由に亀裂の全領域に侵入させ、次いで表面を2日間乾燥させ、次いで自由侵入をさらに24時間繰り返した。第2ステップにおいて、24時間、試験片全体で電界(12V)を適用した。
【0077】
侵入深さは、後方散乱モードで、走査電子顕微鏡(SEM)によって、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によって、亀裂中の材料組成物の分析によって、亀裂側面に沿って測定した。SiO、CaO、Al、KO及びSOの相対的存在量は、23℃/相対湿度50%での硬化の28日後、処理された試験片の断面上で亀裂に沿って種々の深さにおいて決定された。適用された組成物がケイ酸カルシウム水和物(CSH-ゲル)のゲルを形成するため、その後、侵入深さを評価するために、これらのゲルのCaO/SiO比を算出した。CaO/SiO比<1のCSH-相は、組成物Ref.1、Ref.2、Ex.1の1つから誘導されるCSH-ゲルであるが、CaO/SiO>1のCSH-相は、周囲モルタルの相である。
【0078】
以下の表2に、それぞれのCaO/SiO比と、したがって、関連侵入深さを示す。表からわかるように、本発明の試料Ex.1の侵入は、いずれの参照よりも有意に高い。
【0079】
亀裂充填度は、立体拡大鏡によって視覚的に決定された。これは、新規の水和セメント相の成長に頼る。
【0080】
以下の表2に、亀裂充填度を示す。本発明の実施例Ex.1が、表面近く、且つ最高1mmの深さのより高い亀裂充填度を有することがわかる。
【0081】
【表2】
【0082】
亀裂の効果的充填又は回復を示すために、さらなる試験を行った。この試験は充填された亀裂全体での抵抗測定に基づき、それは修復されたモルタル全体での抵抗を意味する。抵抗が低いほど、亀裂が導電材料で充填されて、効果的な処理であったことを示す。
【0083】
以下の表3からわかるように、この抵抗は、Ref.2と比較して、本発明の実施例Ex.1に関してより低く、Ex.1によって修復がより効果的であったことを意味する。
【0084】
【表3】
本開示は、下記の発明の態様を含む:
<態様1>
硬化セメント質材料の、特に硬化コンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのための水性組成物であって、コロイド状シリカと、少なくとも1つのポリカルボン酸とを含み、前記少なくとも1つのポリカルボン酸が、くし形ポリマーではない、水性組成物。
<態様2>
前記コロイド状シリカの重量平均粒径が、1nm~150nm、好ましくは2nm~35nm、より好ましくは5nm~10nmの範囲である、態様1に記載の水性組成物。
<態様3>
前記水性組成物の全重量に基づき、前記コロイド状シリカの含有量が、1~50重量%、好ましくは5~50重量%の範囲であり、かつ前記ポリカルボン酸の含有量が、1~50重量%、好ましくは2~50重量%、特に2~25重量%の範囲である、態様1又は2に記載の水性組成物。
<態様4>
乾燥基準でのポリカルボン酸に対するコロイド状シリカの重量比率が、少なくとも4、好ましくは4.5である、態様1~3のいずれかに記載の水性組成物。
<態様5>
前記少なくとも1つのポリカルボン酸が、それぞれ前記ポリカルボン酸の全組成物に基づき、少なくとも85モル%、好ましくは少なくとも90モル%、より好ましくは少なくとも95モル%、特に少なくとも99モル%の、アクリル酸、メタクリル酸、3,3-ジメチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びソルビン酸、好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸から選択されるモノマーからなる、態様1~4のいずれかに記載の水性組成物。
<態様6>
前記少なくとも1つのポリカルボン酸が、ホモポリマー、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマーである、態様5に記載の水性組成物。
<態様7>
コロイド状シリカ、ポリカルボン酸及び水の総量が、前記水性組成物の全重量に基づき、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%である、態様1~6のいずれかに記載の水性組成物。
<態様8>
前記水性組成物の全重量に基づき、水の含有量が、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%である、態様1~7のいずれかに記載の水性組成物。
<態様9>
態様1~8のいずれかに記載の水性組成物を硬化セメント質材料又はその一部分に適用し、10mmまでの幅を有する任意の亀裂を充填する工程を含む、硬化セメント質材料の修復及び/又はシーリング方法。
<態様10>
前記硬化セメント質材料が、硬化コンクリート構造物、特に硬化強化コンクリート構造物である、態様9に記載の方法。
<態様11>
前記水性組成物が、例えばブラシ、スプレー又はローラーによる前記構造物の表面上への注入、移動、浸入又は塗布によって適用される、態様9又は10に記載の方法。
<態様12>
前記硬化セメント質材料が亀裂を含む、態様9~11のいずれかに記載の方法。
<態様13>
前記硬化セメント質材料への前記水性組成物の適用が非侵襲性である、態様9~12のいずれかに記載の方法。
<態様14>
腐食抑制剤の適用による強化の保護、反応性試薬による亀裂シーリング、又は疎水性材料による前記硬化セメント質材料の表面の防水処理から選択される、前記硬化セメント質材料の少なくとも1つの追加的な処理を含む、態様9~13のいずれかに記載の方法。
<態様15>
硬化セメント質材料の、好ましくは硬化コンクリート構造物の、特に硬化強化コンクリート構造物の修復及び/又はシーリングのための、態様1~7のいずれかに記載の水性組成物の使用。
図1
図2