(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】オレフィンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 4/22 20060101AFI20240913BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20240913BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20240913BHJP
B01J 38/12 20060101ALI20240913BHJP
B01J 29/90 20060101ALI20240913BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20240913BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
C07C4/22
C07C11/04
C07C11/06
B01J38/12 C
B01J29/90 M
B01J29/40 M
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022543915
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2021029688
(87)【国際公開番号】W WO2022039094
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2020139554
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雄樹
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-121318(JP,A)
【文献】特開2017-137347(JP,A)
【文献】特表2019-532118(JP,A)
【文献】特表2019-504154(JP,A)
【文献】特表2016-514170(JP,A)
【文献】特表2016-513147(JP,A)
【文献】特表2010-526179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 4/
C07C 11/
B01J 38/
B01J 29/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリオレフィンと有機塩素化合物
であって、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデンのうちの少なくとも一方を含む有機塩素化合物とを含
み、塩素原子の含有量が10質量%以下である原料を、ナトリウム原子の含有量が0.1質量%未満であるゼオライト触媒の存在下で、
400℃以上700℃以下で接触分解する工程を含む、
炭素原子数2~3のオレフィンの製造方法。
【請求項2】
前記ゼオライト触媒がMFI型のゼオライト触媒である、請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項3】
前記ゼオライト触媒のSi/Al比が100以上である、請求項1または2に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項4】
前記ゼオライト触媒のSi/Al比が300以上である、請求項1または2に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項5】
前記ゼオライト触媒の前記ナトリウム原子の含有量が0.05質量%未満である、請求項1~
4のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項6】
前記接触分解する工程の前に、前記原料を熱分解する工程をさらに含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項7】
前記接触分解する工程の前に、前記原料を気化させる工程をさらに含み、前記接触分解する工程が気体状である前記原料を接触分解する工程である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項8】
前記接触分解する工程が450℃以上600℃以下で行われる、請求項1~
7のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項9】
前記ゼオライト触媒が再生触媒である、請求項1~
8のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法において用いられた使用済みゼオライト触媒を、1体積%から50体積%の酸素を含む雰囲気下で焼成し、再生触媒を得る工程を含む、触媒の再生方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の再生方法により再生した再生触媒の存在下で、ポリオレフィンを含む原料を接触分解する工程を含む、オレフィンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンの製造方法及び当該製造方法に用いられる触媒の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学工業の基幹原料は、ナフサの分解、改質で得られるエチレン、プロピレン等の低級オレフィンと、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素とである。これらを出発原料として多種多様な化学品が合成されている。中でも、プラスチックは、生産量が最も多く、軽量で耐蝕性に優れ、成形が自在である等、材料として優れた特性を有しているため、工業製品から日常製品に至るまで広く利用されている。その結果、排出される廃プラスチックも膨大な量になっている。
【0003】
非特許文献1には、ポリエチレンを石油化学原料へ効率的に分解するケミカルリサイクル技術が記載されている。具体的には、ナトリウム原子を含有するMFI型ゼオライトを用いて、ポリエチレンを接触分解して炭素原子数2~5のオレフィンを得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】月刊ファインケミカル(2017年12月号 Vol.46 No.12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、得られる炭素原子数2~3のオレフィンの収率が必ずしも十分であるとはいえない。そこで、本発明は、炭素原子数2~3のオレフィンの収率に優れるオレフィンの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]~[14]を提供する。
[1] 少なくともポリオレフィンと有機塩素化合物とを含む原料を、ナトリウムの含有量が0.1質量%未満であるゼオライト触媒の存在下で、接触分解する工程を含む、オレフィンの製造方法。
[2] 前記ゼオライト触媒がMFI型のゼオライト触媒である、[1]に記載のオレフィンの製造方法。
[3] 前記ゼオライト触媒のSi/Al比が100以上である、[1]または[2]に記載のオレフィンの製造方法。
[4] 前記ゼオライト触媒のSi/Al比が300以上である、[1]または[2]に記載のオレフィンの製造方法。
[5] 前記オレフィンが、炭素原子数2~3のオレフィンである、[1]に記載のオレフィンの製造方法。
[6] 前記ゼオライト触媒の前記ナトリウムの含有量が0.05質量%未満である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法。
[7] 前記有機塩素化合物がポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデンのうちの少なくとも一方を含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法。
[8] 前記原料中の塩素原子の含有量が10質量%以下である、[7]に記載のオレフィンの製造方法。
[9] 前記接触分解する工程の前に、前記原料を熱分解する工程をさらに含む、[1]~[8]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法。
[10] 前記接触分解する工程の前に、前記原料を気化させる工程をさらに含み、前記接触分解する工程が気体状である前記原料を接触分解する工程である、[1]~[9]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法。
[11] 前記接触分解する工程が450℃以上600℃以下で行われる、[1]~[10]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法。
[12] 前記ゼオライト触媒が再生触媒である、[1]~[11]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法。
[13] [1]~[11]のいずれか1つに記載のオレフィンの製造方法において用いられた使用済みゼオライト触媒を、1体積%から50体積%の酸素を含む雰囲気下で焼成し、再生触媒を得る工程を含む、触媒の再生方法。
[14] [13]に記載の再生方法により再生した再生触媒の存在下で、ポリオレフィンを含む原料を接触分解する工程を含む、オレフィンの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炭素原子数2~3のオレフィンの収率に優れる製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該製造方法に用いられた使用済みゼオライト触媒から、再生後の触媒性能が高い再生触媒を、簡便な方法で再生できる触媒の再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.オレフィンの製造方法
本発明にかかるオレフィンの製造方法は、少なくともポリオレフィンと有機塩素化合物とを含む原料を、ナトリウムの含有量が0.1質量%未満であるゼオライト触媒の存在下で、接触分解する工程を含む。以下、本実施形態のオレフィンの製造方法について具体的に説明する。
【0009】
<接触分解する工程(接触分解工程)>
・原料
本実施形態のオレフィンの製造方法に適用されうる原料は、少なくともポリオレフィンと有機塩素化合物とを含む。
【0010】
原料として含まれるポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、およびエチレン-α-オレフィン共重合体などのポリオレフィン系プラスチック、ならびに、それらのうちの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体が好ましい。
【0011】
原料には、上記ポリオレフィン系プラスチック以外に、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、天然ゴム、合成ゴム等のその他の成分が含まれうる。
【0012】
原料として含まれる有機塩素化合物の具体例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が挙げられる。有機塩素化合物は、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデンのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。
【0013】
本実施形態のオレフィンの製造方法においては、原料中に含まれていてもよい塩素原子の含有量の上限は、30質量%程度であり、目的とするオレフィンの収率の観点から、原料中の塩素原子の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。
【0014】
原料には、例えば、上述のポリオレフィン、有機塩素化合物、および他の成分を用いて製造された成形体などの工業製品が含まれうる。工業製品の具体例としては、容器包装リサイクル法により回収されたプラスチック製容器包装が挙げられる。
【0015】
原料は、上述の成形体のように固体状であってよい。原料は、固体状の上記工業製品を液状および/または気体状に状態を変化させて用いてもよく、例えば、上述のポリオレフィン、有機塩素化合物、および他の成分の液状および/または気体状の混合物であってもよい。
【0016】
・ゼオライト触媒
本実施形態で使用されるゼオライト触媒としては、ベータ型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、L型ゼオライト、フェリエライト型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、MFI型ゼオライトが例示され、好ましくはMFI型ゼオライトからなるゼオライト触媒である。本実施形態のゼオライト触媒は、ナトリウムの含有量が0.1質量%未満とされている。本実施形態のゼオライト触媒のナトリウムの含有量は、目的とするオレフィンの収率の観点から、0.05質量%未満であることがより好ましい。
【0017】
本実施形態で使用されるゼオライト触媒は、ナトリウム原子以外の原子として、通常、珪素原子、アルミニウム原子、酸素原子、水素原子を含有しうる。また、ゼオライト触媒は、チタン原子、クロム原子、マンガン原子、鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、銀原子、イリジウム原子、白金原子、ホウ素原子、窒素原子、マグネシウム原子、リン原子、亜鉛原子、ガリウム原子等の原子をも含みうる。
【0018】
ここで、ゼオライト触媒のアルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率(Si/Al比)は、目的とするオレフィンの収率を向上させる観点から、100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。
【0019】
ゼオライト触媒のナトリウム含有量およびSi/Al比は、従来公知のICP発光分光分析法に従ってゼオライト触媒を分析することで算出することができる。
【0020】
ここで、MFI型ゼオライトとは、IZA(国際ゼオライト学会)の構造コードでMFI構造を有する結晶性アルミノシリケートを意味する。MFI型ゼオライトの例としては、具体的には、H+-ZSM-5、NH4
+-ZSM-5、Na+-ZSM-5、Ca2+-ZSM-5が挙げられる。MFI型ゼオライトは、従来公知の任意好適な方法で調製することができ、市販のH+-ZSM-5を用いてもよい。MFI型ゼオライトであることの確認は、X線回折分析法による分析によって実施することができる。
【0021】
以下、本実施形態で使用されるゼオライト触媒の製造方法について説明する。本実施形態で使用されるゼオライト触媒は、珪素源、アルミニウム源、型剤およびアルカリ金属源を含有する混合物を調製してこれを結晶化し、ゼオライトを得る工程を含む製造方法により製造することができる。ここで、「型剤」とは、ゼオライトに細孔構造を付与するための物質をいう。
【0022】
珪素源としては、各種ゼオライトの製造に使用される従来公知の珪素源が使用できる。珪素源の具体例としては、テトラエチルオルトシリケート、コロイダルシリカ、シリカゲル乾燥粉末、シリカヒドロゲル、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。
【0023】
アルミニウム源としては、各種ゼオライトの製造に使用される従来公知のアルミニウム源が使用できる。アルミニウム源の具体例としては、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドが挙げられる。これらのアルミニウム源の中でも、硝酸アルミニウムまたはアルミン酸ナトリウムが好ましい。
【0024】
本実施形態において用いられうる型剤の種類は特に限定されない。型剤としては、ゼオライトの合成に一般的に用いられる有機アンモニウム塩やアミン類といった従来公知の型剤が使用できる。
【0025】
型剤の具体例としては、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、プロパノールアミン、エタノールアミン、n-プロピルアミン、モルフォリン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、ジプロピレンテトラミン、トリエチレンテトラミンが挙げられる。これらの型剤の中でもテトラプロピルアンモニウム塩(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド)が好ましい。
【0026】
アルカリ金属源の例としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の塩化物、アルカリ金属の臭化物、アルカリ金属の硫化物が挙げられる。アルカリ金属の具体例としては、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。
【0027】
アルカリ金属がナトリウムである場合、ナトリウム源の具体例としては、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、カウンターカチオンとしてナトリウムを含む化合物が挙げられる。
【0028】
アルカリ金属がカリウムである場合、カリウム源の具体例としては、水酸化カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸カリウム、カウンターカチオンとしてカリウムを含む化合物が挙げられる。
【0029】
上記混合物における、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率(Si/Al比)は、好ましくは100以上であり、より好ましくは300以上である。当該比率は10000以下であってもよく、好ましくは2500以下である。
【0030】
また、珪素原子のモル数に対する上記混合物中の各成分のモル数の比率は、以下の要件を満たすことが好ましい。
型剤 :0.02以上、5.0以下
アルカリ金属源:0.01以上、0.2以下
水 :2以上、100以下
【0031】
さらに、珪素原子のモル数に対する上記混合物中の各成分のモル数の比率は、以下の要件を満たすことがより好ましい。
型剤 :0.05以上、2.0以下
アルカリ金属源 :0.04以上、0.3以下
水 :5以上、50以下
【0032】
以下、具体的な工程について説明する。
まず、上記の成分(混合物)を常温で1時間~48時間(例えば、18時間)攪拌した混合物を、密閉式圧力容器(オートクレーブ)内に入れ、オートクレーブにて上記混合物を、100℃~200℃の温度で、1時間~120時間をかけて処理することで、ゼオライトの前駆体を調製することができる。
【0033】
結晶化終了後、調製されたゼオライトの前駆体を含む混合物(懸濁液)を氷水等で十分に冷却し、冷却完了後、固液分離(例えば、遠心分離)して上澄みを除去し、さらに十分量の純水で洗浄して固液分離する工程を、除去された上澄み液のpHが8以下となるまで繰り返す。
【0034】
次いで、100℃~150℃の温度(例えば、120℃)で1時間~48時間(例えば、8時間)乾燥させる。その後、400℃~700℃程度の温度(例えば、550℃)で1時間~48時間(例えば、7時間)焼成を行ってもよい。
以上の工程によりゼオライト(例、MFI型ゼオライト)を得ることができる。
【0035】
上記のとおり調製されたゼオライト中には、アルカリ金属源に含まれるナトリウムあるいはカリウムが比較的大量に存在する。そのため、本実施形態で使用されるゼオライト触媒を得るためには、通常、ゼオライト中のアルカリ金属を除去することが必要である。
【0036】
ゼオライト中のアルカリ金属を除去する方法としては、ゼオライトとアンモニウム塩の水溶液とを接触させる方法が挙げられる。
【0037】
アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、ピロリン酸水素アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、および、酢酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムを用いることが好ましい。
【0038】
この工程は、具体的には、アンモニウム塩の水溶液とゼオライトとを混合し、50℃~200℃の温度で、1~48時間をかけて接触させる工程を必要に応じてさらに1回以上繰り返して行うことで、アルカリ金属の含有量(例えばナトリウム原子の含有量)を所望の含有量に調整(低減)することができる。
【0039】
次に、十分放冷して固液分離し、十分量の純水で洗浄して、60℃~150℃の任意の温度で乾燥させる。
【0040】
その後、400℃~700℃程度の温度(例えば、550℃)で1時間~48時間(例えば、5時間)焼成を行うことが好ましい。
【0041】
以上のとおり調製することで、アルカリ金属であるナトリウム原子を低減して、ナトリウムの含有量を0.1質量%未満とした本実施形態のゼオライト触媒を得ることができる。
【0042】
接触分解工程における温度(接触温度T2)は、通常、400℃~700℃であり、好ましくは、450℃~600℃(450℃以上600℃以下)である。
【0043】
接触分解工程における圧力(接触圧力P2)は、通常、0MPaG~5MPaGであり、好ましくは、0MPaG~0.5MPaGである。
【0044】
接触分解工程においては、水蒸気または窒素ガス、CO2ガスなどの不活性ガスを共存させてもよい。
【0045】
接触分解工程は、従来公知の任意好適な反応容器を用いて実施することができる。当該反応容器の材料としては、例えば、石英ガラス、炭素鋼、ステンレス鋼、インコネル合金、ハステロイ合金、インコロイ合金、モネル合金が挙げられる。
【0046】
接触分解工程で得られるオレフィンは、通常、エチレン、プロピレン、ブテン等の炭素原子数2~5のオレフィンであり、好ましくは、炭素原子数2~3のオレフィンである。
【0047】
接触分解工程において用いられるゼオライト触媒は再生触媒であってもよい(詳細については後述する。)。すなわち、本実施形態のオレフィンの製造方法は、再生触媒の存在下で、ポリオレフィンを含む原料を接触分解する工程を含んでいてもよい。
【0048】
<熱分解する工程(熱分解工程)>
本実施形態のオレフィンの製造方法においては、既に説明した接触分解工程の前に、オレフィンの収率をより向上させる観点から、原料を熱分解する工程をさらに含み、接触分解工程を、気体状、液体状またはそれらの混合状態である原料を接触分解する工程とすることが好ましい。
【0049】
本実施形態のオレフィンの製造方法における熱分解工程は、従来公知の任意好適な装置を用いて、選択された原料および原料に含まれる成分に対応した条件を採用して実施することができる。
【0050】
本実施形態の熱分解工程は、既に説明した接触分解工程が行われる容器とは別の容器を用いて実施することができる。また、本実施形態の熱分解工程と接触分解工程とは、同一の反応容器を用いて、連続的に実施してもよい。
【0051】
本実施形態の熱分解工程における熱分解温度T1と、接触分解工程における接触温度T2とは、下記式で表される条件を満たすことが好ましい。
0℃≦T2-T1≦200℃
【0052】
熱分解工程における熱分解温度T1は、通常、350℃~550℃であり、好ましくは、400℃~500℃である。
【0053】
熱分解工程における熱分解圧力P1は、通常、0MPaG~5MPaGであり、好ましくは、0MPaG~0.5MPaGである。また、熱分解圧力P1と接触圧力P2との関係は、P1≧P2であることが好ましい。
【0054】
熱分解工程においては、水蒸気または窒素ガス、CO2ガスなどの不活性ガスを共存させてもよい。
【0055】
熱分解工程は、従来公知の任意好適な反応容器を用いて実施することができる。当該反応容器の材料としては、例えば、石英ガラス、炭素鋼、ステンレス鋼、インコネル合金、ハステロイ合金、インコロイ合金、モネル合金が挙げられる。
【0056】
熱分解工程により得られる原料の熱分解物は、通常、液体状、気体状またはそれらの混合状態である炭素原子数1~50程度の炭化水素、水素等を含む。
【0057】
<原料を気化する工程(気化工程)>
本実施形態のオレフィンの製造方法においては、接触分解工程の前に、気化工程をさらに含み、接触分解工程を気体状である原料を接触分解する工程とすることが好ましい。
【0058】
本実施形態のオレフィンの製造方法における気化工程は、従来公知の任意好適な装置を用いて、選択された原料および原料に含まれる成分に対応した条件を採用して実施することができる。
【0059】
本実施形態の気化工程は、既に説明した接触分解工程が行われる容器を用いて実施することができる。また、本実施形態の気化工程と接触分解工程とは、同一の反応容器を用いて、連続的に実施してもよい。
【0060】
気化工程における温度T3は、通常、350℃~550℃であり、好ましくは、400℃~500℃である。
【0061】
気化工程における圧力P3は、通常、0MPaG~5MPaGであり、好ましくは、0MPaG~0.5MPaGである。このような範囲とすることで、原料を効率的に気体状とすることができる。
【0062】
気化工程においては、水蒸気または窒素ガス、CO2ガスなどの不活性ガスを共存させてもよい。
【0063】
気化工程は、従来公知の任意好適な反応容器を用いて実施することができる。当該反応容器の材料としては、例えば、石英ガラス、炭素鋼、ステンレス鋼、インコネル合金、ハステロイ合金、インコロイ合金、モネル合金が挙げられる。
【0064】
気化工程により得られる原料の分解物は、気体状である炭素原子数1~50程度の炭化水素、水素等を含む。
【0065】
本実施形態のオレフィンの製造方法においては、既に説明した熱分解工程、気化工程、接触分解工程を、この順で一体的に連続して実施してもよい。
【0066】
本実施形態のオレフィンの製造方法によれば、例えば、食品包装容器などのポリオレフィンを含む原料に不可避的に含まれており、従来、触媒毒となりうるため、予め除去する必要があった有機塩素化合物を含有している原料を用いる場合において、有機塩素化合物を予め除去せずとも、オレフィンを効率よく製造することができる。なお、本実施形態のオレフィンの製造方法を実施するにあたっては、有機塩素化合物を原料から予め除去しておいてもよい。
【0067】
2.触媒の再生方法
本実施形態の接触分解工程において用いられるゼオライト触媒は再生触媒であってもよい。すなわち、本実施形態のオレフィンの製造方法は、既に説明したオレフィンの製造方法において用いられた使用済みゼオライト触媒を再生した再生触媒の存在下で、ポリオレフィンを含む原料(有機塩素化合物をさらに含んでいてもよい。)を接触分解工程に適用して実施することができる。
【0068】
以下、本実施形態の触媒の再生方法について具体的に説明する。
本実施形態の触媒の再生方法は、1体積%から50体積%の酸素を含む雰囲気下で焼成し、再生触媒を得る工程を含む。
【0069】
再生触媒を得る工程は、1体積%から50体積%の範囲で酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましく、5体積%から30体積%の範囲で酸素を含む雰囲気中で行うことがより好ましい。
【0070】
再生触媒を得る工程は、例えば、空気雰囲気下、窒素ガス雰囲気下、アルゴンガス雰囲気下、二酸化炭素ガス雰囲気下およびこれらの混合ガス雰囲気下で、従来公知の任意好適な方法により雰囲気中の酸素濃度を調整しつつ実施することができる。
【0071】
再生触媒を得る工程における温度は、400℃~700℃の範囲(例えば550℃)とすることが好ましく、450℃~600℃の範囲とすることがより好ましい。
【0072】
再生触媒を得る工程における処理時間は、30分間~48時間(例えば5時間)とすることが好ましく、1時間~24時間とすることがより好ましい。
【0073】
上記触媒の再生方法によって得られた再生触媒は、本実施形態のオレフィンの製造方法に適用するにあたり、温度、処理時間、雰囲気等の条件について特段の調整を実施することなく、ポリオレフィンの接触分解反応に未使用である「ゼオライト触媒」と同様に用いることができる。
[実施例]
【0074】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0075】
<参考例1>ゼオライト触媒Aの調製
撹拌子を備えたPTFE製400mL容器に、硝酸アルミニウム9水和物(0.29g)、20.3質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液(76.8g)、水酸化ナトリウム(0.77g)およびテトラエチルオルトシリケート(64.0g)を加え、常温で18時間攪拌して混合物を得た。その後、この混合物にイオン交換水(56.6g)を加えた後、PTFE製200mL内筒容器を備えたステンレス鋼(SUS)製のオートクレーブに全量を移し替えた。
【0076】
混合物中の、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率は400であり、珪素原子のモル数に対するテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドのモル数の比率は0.56であり、珪素原子のモル数に対するナトリウム原子のモル数の比率は0.06であり、珪素原子のモル数に対する水のモル数の比率は13であった。
【0077】
混合物をオートクレーブにて170℃の温度で24時間加熱処理した後、氷水で冷却した。冷却後、円筒容器中の混合物(懸濁液)を遠心分離し、上澄み液を除くことにより、ゼオライトの前駆体を得た。
【0078】
得られたゼオライトの前駆体に水を加えて再び懸濁液とし、さらに遠心分離して上澄み液を除く操作を、上澄み液のpHが8以下になるまで繰り返して再び固体とした。
【0079】
得られた固体を120℃、8時間の条件で乾燥した。乾燥した固体を乳鉢で粉砕し、さらにマッフル炉を用いて550℃、7時間の条件で焼成することにより、ゼオライト1(14.1g)を得た。
【0080】
500mL樹脂製容器に、ゼオライト1(6.6g)および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(300mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、固体を回収した。
【0081】
フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(330mL)を加え、60℃の温度で12時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0082】
次に、フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(330mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、固体を回収した。回収した固体を水(500mL)で洗浄し、90℃、6時間の条件で乾燥して固体を得た。
【0083】
得られた固体をマッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成することにより、粉末状のゼオライト触媒A(5.1g)を得た。
【0084】
ゼオライト触媒AをICP発光分光分析法により分析した結果、ナトリウム原子の含有量は検出下限である0.01質量%未満であり、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率(Si/Al比)は349であった。
また、ゼオライト触媒AをX線回折分析法により分析した結果、MFI構造を有していることが確認された。
【0085】
<実施例1>オレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.425g)と、有機塩素化合物であるポリ塩化ビニル(PVC)(信越化学社製、商品名:信越PVCストレートポリマーTK-1000)(0.075g)との混合物である原料(重量比 LDPE:PVC=95:5)を充填し、下流側反応管にゼオライト触媒A(0.3g)を充填した。
【0086】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0087】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して、ゼオライト触媒Aの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0088】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃として実施して、熱分解された混合物である原料を得た。
【0089】
次いで、熱分解された原料を接触分解する工程を行った。この工程は、具体的には、上記のとおり得られた熱分解された原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と触媒とを接触させることで実施した。原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を、氷水で冷却された冷却トラップに回収し、さらにはガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0090】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0091】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、37.1%であった。
【0092】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、34.4%と計算された。結果を表1にも示す。
【0093】
最後に、反応系から使用済みのゼオライト触媒(使用済みゼオライト触媒B)を回収した。
【0094】
<実施例2>使用済みゼオライト触媒Bの再生(再生触媒Cの調製)
実施例1において回収された使用済みゼオライト触媒Bをマッフル炉を用いて空気雰囲気(酸素濃度21体積%)下、550℃の温度で5時間焼成して再生したゼオライト触媒を再生触媒Cとして得た。
【0095】
<実施例3>再生触媒Cによるオレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管にポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.0g)を原料として充填し、下流側反応管に再生触媒C(0.2g)を充填した。
【0096】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0097】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して再生触媒Cの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0098】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃として実施して、熱分解された原料を得た。
【0099】
次いで、熱分解された原料を接触分解する工程を、上記のとおり得られた熱分解された原料を温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と再生触媒Cとを接触させることで実施した。原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0100】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0101】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、39.0%であった。
【0102】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、36.8%と計算された。結果を表1にも示す。
【0103】
<参考例2>ゼオライト触媒Dの調製
撹拌子を備えたPTFE製400mL容器に、硝酸アルミニウム9水和物(1.15g)、20.3質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液(76.8g)、水酸化ナトリウム(0.77g)およびテトラエチルオルトシリケート(64.0g)を加え、常温で18時間攪拌して混合物を得た。その後、得られた混合物にイオン交換水(56.6g)を加えた後、PTFE製200mL内筒容器を備えたSUS製オートクレーブに全量を移し替えた。
【0104】
混合物中のアルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率は100であり、珪素原子のモル数に対するテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドのモル数の比率は0.56であり、珪素原子のモル数に対するナトリウム原子のモル数の比率は0.06であり、珪素原子のモル数に対する水のモル数の比率は13であった。
【0105】
混合物を、オートクレーブにて170℃の温度で24時間加熱処理した後、氷水で冷却した。冷却後、円筒容器中の混合物(懸濁液)を遠心分離し、上澄み液を除いてゼオライトの前駆体を得た。
【0106】
得られたゼオライトの前駆体に水を加えて再び懸濁液とし、遠心分離により上澄み液を除く操作を、上澄み液のpHが8以下になるまで繰り返して固体を得た。
【0107】
得られた固体を120℃、8時間の条件で乾燥した。乾燥された固体を乳鉢を用いて粉砕し、さらにマッフル炉を用いて550℃、7時間の条件で焼成して、ゼオライト2(13.6g)を得た。
【0108】
500mL樹脂製容器に、ゼオライト2(6.0g)および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(300mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0109】
フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(300mL)を加え、60℃の温度で12時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0110】
フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(300mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0111】
回収した固体を水(500mL)で洗浄し、90℃、6時間の条件で乾燥した。得られた固体をマッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、ゼオライト3(4.6g)を得た。
【0112】
冷却管を備えた2つ口500mLガラス製ナスフラスコに、得られたゼオライト3(4.5g)および0.1M硝酸ナトリウム水溶液(450mL)を加え、100℃の温度で2時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0113】
前記ナスフラスコに、回収した固体および0.1M硝酸ナトリウム水溶液(450mL)を加え、100℃の温度で2時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、固体を回収した。回収した固体を水(300mL)で洗浄し、110℃の温度で12時間乾燥した。
【0114】
得られた固体をマッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、粉末状のゼオライト触媒D(4.1g)を得た。
【0115】
ゼオライト触媒DをICP発光分光分析法で分析した結果、ナトリウム原子の含有量は0.24質量%であり、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率(Si/Al比)は85であった。
また、ゼオライト触媒DをX線回折分析法により分析した結果、MFI構造を有していることが確認された。
【0116】
<比較例1>オレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.425g)と、有機塩素化合物であるポリ塩化ビニル(PVC)(信越化学社製、商品名:信越PVCストレートポリマーTK-1000)(0.075g)との混合物である原料(重量比 LDPE:PVC=95:5)を充填し、下流側反応管にゼオライト触媒D(0.3g)を充填した。
【0117】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0118】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱してゼオライト触媒Dの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0119】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。熱分解された原料を接触分解する工程を、上記のとおり得られた熱分解された原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料とゼオライト触媒Dとを接触させることで実施した。
【0120】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0121】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0122】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、19.8%であった。
【0123】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、25.2%と計算された。結果を表1にも示す。
【0124】
最後に、使用済みのゼオライト触媒(使用済みゼオライト触媒E)を回収した。
【0125】
<比較例2>使用済みゼオライト触媒Eの再生(再生触媒Fの調製)
使用済みゼオライト触媒Eを、マッフル炉を用いて空気雰囲気下、55
0℃の温度で5時間焼成して、再生触媒Fを得た。
【0126】
<比較例3>再生触媒Fによるオレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学製、商品名:スミカセンG201F)(1.0g)を原料として充填し、下流側反応管に再生触媒F(0.2g)を充填した。
【0127】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0128】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して再生触媒Fの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。原料を熱分解する工程を、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。熱分解された原料を接触分解する工程は、上記のとおり得られた原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と再生触媒Fとを接触させることで実施した。
【0129】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0130】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0131】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、26.2%であった。
【0132】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、30.8%と計算された。結果を表1にも示す。
【0133】
<参考例3>ゼオライト触媒Gの調製
撹拌子を備えたPTFE製400mL容器に、硝酸アルミニウム9水和物(0.30g)、22.3質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液(76.8g)、水酸化ナトリウム(0.79g)およびテトラエチルオルトシリケート(63.4g)を加え、常温で18時間攪拌して混合物を得た。その後、この混合物にイオン交換水(56.4g)を加えた後、PTFE製200mL内筒容器を備えたステンレス鋼(SUS)製のオートクレーブに全量を移し替えた。
【0134】
混合物中の、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率は400であり、珪素原子のモル数に対するテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドのモル数の比率は0.56であり、珪素原子のモル数に対するナトリウム原子のモル数の比率は0.06であり、珪素原子のモル数に対する水のモル数の比率は13であった。
【0135】
混合物をオートクレーブにて170℃の温度で24時間加熱処理した後、氷水で冷却した。冷却後、円筒容器中の混合物(懸濁液)を遠心分離し、上澄み液を除くことにより、ゼオライトの前駆体を得た。
【0136】
得られたゼオライトの前駆体に水を加えて再び懸濁液とし、さらに遠心分離して上澄み液を除く操作を、上澄み液のpHが8以下になるまで繰り返して再び固体とした。
【0137】
得られた固体を120℃、8時間の条件で乾燥した。乾燥した固体を乳鉢で粉砕し、さらにマッフル炉を用いて550℃、6時間の条件で焼成することにより、ゼオライト4(12.5g)を得た。
【0138】
500mL樹脂製容器に、ゼオライト4(10.0g)および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(500mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、固体を回収した。
【0139】
フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(500mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0140】
次に、フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(500mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、固体を回収した。回収した固体を水(750mL)で洗浄し、90℃、12時間の条件で乾燥して固体を得た。
【0141】
得られた固体をマッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成することにより、粉末状のゼオライト触媒G(7.3g)を得た。
【0142】
ゼオライト触媒GをICP発光分光分析法により分析した結果、ナトリウム原子の含有量は0.03質量%であり、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率(Si/Al比)は576であった。
また、ゼオライト触媒GをX線回折分析法により分析した結果、MFI構造を有していることが確認された。
【0143】
<実施例4>オレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.425g)と、有機塩素化合物であるポリ塩化ビニル(PVC)(信越化学社製、商品名:信越PVCストレートポリマーTK-1000)(0.075g)との混合物である原料(重量比 LDPE:PVC=95:5)を充填し、下流側反応管にゼオライト触媒G(0.3g)を充填した。
【0144】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0145】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱してゼオライト触媒Gの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0146】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。熱分解された原料を接触分解する工程を、上記のとおり得られた熱分解された原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料とゼオライト触媒Gとを接触させることで実施した。
【0147】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0148】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0149】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、37.0%であった。
【0150】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、38.8%と計算された。結果を表1にも示す。
【0151】
最後に、使用済みのゼオライト触媒(使用済みゼオライト触媒H)を回収した。
【0152】
<実施例5>使用済みゼオライト触媒Hの再生(再生触媒Iの調製)
使用済みゼオライト触媒Hを、マッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、再生触媒Iを得た。
【0153】
<実施例6>再生触媒Iによるオレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.0g)を原料として充填し、下流側反応管に再生触媒I(0.2g)を充填した。
【0154】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0155】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して再生触媒Iの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。原料を熱分解する工程を、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。
【0156】
熱分解された原料を接触分解する工程は、上記のとおり得られた原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と再生触媒Iとを接触させることで実施した。
【0157】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0158】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣の重量は、天秤を用いて測定した。
【0159】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、37.5%であった。
【0160】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、38.6%と計算された。結果を表1にも示す。
【0161】
<参考例4>ゼオライト触媒Jの調製
撹拌子を備えたPTFE製400mL容器に、硝酸アルミニウム9水和物(0.122g)、20.3質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液(76.8g)、水酸化ナトリウム(0.77g)およびテトラエチルオルトシリケート(64.0g)を加え、常温で18時間攪拌して混合物を得た。その後、この混合物にイオン交換水(56.6g)を加えた後、PTFE製200mL内筒容器を備えたステンレス鋼(SUS)製のオートクレーブに全量を移し替えた。
【0162】
混合物中の、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率は1000であり、珪素原子のモル数に対するテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドのモル数の比率は0.56であり、珪素原子のモル数に対するナトリウム原子のモル数の比率は0.06であり、珪素原子のモル数に対する水のモル数の比率は13であった。
【0163】
混合物をオートクレーブにて170℃の温度で24時間加熱処理した後、氷水で冷却した。冷却後、円筒容器中の混合物(懸濁液)を遠心分離し、上澄み液を除くことにより、ゼオライトの前駆体を得た。
【0164】
得られたゼオライトの前駆体に水を加えて再び懸濁液とし、さらに遠心分離して上澄み液を除く操作を、上澄み液のpHが8以下になるまで繰り返して再び固体とした。
【0165】
得られた固体を120℃、8時間の条件で乾燥した。乾燥した固体を乳鉢で粉砕し、さらにマッフル炉を用いて550℃、7時間の条件で焼成することにより、ゼオライト5(14.2g)を得た。
【0166】
500mL樹脂製容器に、ゼオライト5(6.6g)および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(300mL)を加え、60℃の温度で5時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、回収した固体を90℃、1時間乾燥させた。
【0167】
フラスコに、乾燥した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(330mL)を加え、60℃の温度で6時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し固体を回収した。
【0168】
次に、フラスコに、回収した固体および0.5M硝酸アンモニウム水溶液(330mL)を加え、60℃の温度で12時間静置した。その後、得られた混合物を、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、固体を回収した。回収した固体を水(500mL)で洗浄し、90℃、6時間の条件で乾燥して固体を得た。
【0169】
得られた固体をマッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、粉末状のゼオライト触媒J(5.5g)を得た。
【0170】
ゼオライト触媒JをICP発光分光分析法により分析した結果、ナトリウム原子の含有量は検出下限である0.01質量%未満であり、アルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比率(Si/Al比)は1249であった。
また、ゼオライト触媒JをX線回折分析法により分析した結果、MFI構造を有していることが確認された。
【0171】
<実施例7>オレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.425g)と、有機塩素化合物であるポリ塩化ビニル(PVC)(信越化学社製、商品名:信越PVCストレートポリマーTK-1000)(0.075g)との混合物である原料(重量比 LDPE:PVC=95:5)を充填し、下流側反応管にゼオライト触媒J(0.3g)を充填した。
【0172】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0173】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱してゼオライト触媒Jの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0174】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。熱分解された原料を接触分解する工程を、上記のとおり得られた熱分解された原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料とゼオライト触媒Jとを接触させることで実施した。
【0175】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0176】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0177】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、31.2%であった。
【0178】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、34.5%と計算された。結果を表1にも示す。
【0179】
最後に、使用済みのゼオライト触媒(使用済みゼオライト触媒K)を回収した。
【0180】
<実施例8>使用済みゼオライト触媒Kの再生(再生触媒Lの調製)
使用済みゼオライト触媒Kを、マッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、再生触媒Lを得た。
【0181】
<実施例9>再生触媒Lによるオレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.0g)を原料として充填し、下流側反応管に再生触媒L(0.2g)を充填した。
【0182】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0183】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して再生触媒Lの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。原料を熱分解する工程を、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。
【0184】
熱分解された原料を接触分解する工程は、上記のとおり得られた原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と再生触媒Lとを接触させることで実施した。
【0185】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0186】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0187】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、29.8%であった。
【0188】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるようにガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、33.2%と計算された。結果を表1にも示す。
【0189】
<実施例10>オレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(0.9805g)と、有機塩素化合物であるポリ塩化ビニル(PVC)(信越化学社製、商品名:信越PVCストレートポリマーTK-1000)(0.0052g)との混合物である原料(重量比 LDPE:PVC=99.5:0.5)を充填し、下流側反応管にゼオライト触媒A(0.2g)を充填した。
【0190】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0191】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱してゼオライト触媒Aの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0192】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。熱分解された原料を接触分解する工程を、上記のとおり得られた熱分解された原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料とゼオライト触媒Aとを接触させることで実施した。
【0193】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0194】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0195】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、34.3%であった。
【0196】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、40.5%と計算された。結果を表1にも示す。
【0197】
最後に、使用済みのゼオライト触媒(使用済みゼオライト触媒M)を回収した。
【0198】
<実施例11>使用済みゼオライト触媒Mの再生(再生触媒Nの調製)
使用済みゼオライト触媒Mを、マッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、再生触媒Nを得た。
【0199】
<実施例12>再生触媒Nによるオレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(0.82g)を原料として充填し、下流側反応管に再生触媒N(0.16g)を充填した。
【0200】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0201】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して再生触媒Nの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。原料を熱分解する工程を、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。
【0202】
熱分解された原料を接触分解する工程は、上記のとおり得られた原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と再生触媒Nとを接触させることで実施した。
【0203】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0204】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0205】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、35.0%であった。
【0206】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、41.5%と計算された。結果を表1にも示す。
【0207】
<実施例13>オレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(0.135g)と、有機塩素化合物であるポリ塩化ビニル(PVC)(信越化学社製、商品名:信越PVCストレートポリマーTK-1000)(0.015g)との混合物である原料(重量比 LDPE:PVC=90:10)を充填し、下流側反応管にゼオライト触媒A(0.3g)を充填した。
【0208】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0209】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱してゼオライト触媒Aの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。
【0210】
原料を熱分解する工程は、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。熱分解された原料を接触分解する工程を、上記のとおり得られた熱分解された原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料とゼオライト触媒Aとを接触させることで実施した。
【0211】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0212】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣の重量は、天秤を用いて測定した。
【0213】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、30.3%であった。
【0214】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるように、ガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、39.7%と計算された。結果を表1にも示す。
【0215】
最後に、使用済みのゼオライト触媒(使用済みゼオライト触媒O)を回収した。
【0216】
<実施例14>使用済みゼオライト触媒Oの再生(再生触媒Pの調製)
使用済みゼオライト触媒Oを、マッフル炉を用いて空気雰囲気下、550℃の温度で5時間焼成して、再生触媒Pを得た。
【0217】
<実施例15>再生触媒Pによるオレフィンの製造
直列に連結した2つのガラス製反応管の上流側反応管に、ポリオレフィンであるポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、商品名:スミカセンG201F)(1.0g)を原料として充填し、下流側反応管に再生触媒P(0.2g)を充填した。
【0218】
下流側反応管のさらに下流に冷却トラップを連結し、冷却トラップの下流側には5Lガスバックを連結した。
【0219】
上流側反応管から窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させ、下流側反応管のみを550℃で1時間加熱して再生触媒Pの前処理を行った後、下流側反応管を525℃に降温した。原料を熱分解する工程を、窒素ガスを10NmL/分の流量で流通させながら、上流側反応管の電気炉温度を455℃とすることで実施して熱分解された原料を得た。
【0220】
熱分解された原料を接触分解する工程は、上記のとおり得られた原料を、温度T2を525℃とした下流側反応管に導入し、原料と再生触媒Pとを接触させることで実施した。
【0221】
原料の加熱開始から2時間後に得られた液状の接触分解物の全量を氷水で冷却された冷却トラップに回収し、ガス状の接触分解物の全量をガスバックに回収した。
【0222】
回収された液状の接触分解物と、上流側反応管および下流側反応管に付着した残渣との重量は、天秤を用いて測定した。
【0223】
回収されたガス状の接触分解物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、32.8%であった。
【0224】
また、ガス状の接触分解物、液状の接触分解物、および残渣の重量の合計が原料ポリエチレンとPVCの重量の合計となるようにガス状の接触分解物の分析値を補正した結果、炭素原子数2~3のオレフィンの収率は、仕込みポリエチレン質量基準で、42.8%と計算された。結果を表1にも示す。
【0225】