(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】吸収性物品の収容体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/07 20170101AFI20240917BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240917BHJP
A61F 13/551 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
B65D85/07
A61F13/15 210
A61F13/551 100
(21)【出願番号】P 2020065061
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2021-10-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花尻 武
(72)【発明者】
【氏名】柏木 加代子
(72)【発明者】
【氏名】仁野 由美子
(72)【発明者】
【氏名】原 佳子
(72)【発明者】
【氏名】森川 良樹
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006142(JP,A)
【文献】特表2004-537474(JP,A)
【文献】特開昭63-231985(JP,A)
【文献】特開平02-016079(JP,A)
【文献】特開2011-235954(JP,A)
【文献】特開2007-276194(JP,A)
【文献】特開2000-190986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
B65D 85/00-85/28
B65D 85/575
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、
前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層を有し、
前記最外層において、ベック平滑度が20秒未満である領域に、図柄の少なくとも一部が印刷されており、
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記収容部材の上端部において、前記吸収性物品を取り出す際に前記左右方向に沿った開口部が形成され、
前記収容部材には、複数の前記吸収性物品が収容されており、
複数の前記吸収性物品は、胴回り開口側と股下側とが対向するように折り畳まれておらず、且つ、前記股下側が下側に位置するように前記収容部材に収容されており、
複数の前記吸収性物品は、前記前後方向且つ前記吸収性物品の厚さ方向において並んでいる一方で、前記上下方向と前記左右方向においては並んでおらず、
前記収容部材には、外部から前記吸収性物品を視認することができる窓部が設けられており、
前記収容部材は、前記前後方向における前面と後面を有し、
前記窓部は、前記前面にのみ
設けられており、
前記図柄は、水性インクによって構成されており、
前記最外層の少なくとも一部分に、未晒パルプからなる未晒パルプ領域を有し、
前記図柄は、前記未晒パルプ領域に印刷されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記図柄は、第1部分と、前記第1部分とは異なる第2部分とを有しており、
前記前後方向において、前記第1部分と前記第2部分との位置が異なっている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記左右方向の両端部において、前記収容部材を構成する1つの面と、前記1つの面とは異なる面とが、前記前後方向に隣接し、溶着されたサイドシール部を有し、
前記第1部分は前記サイドシール部と重複しない位置に配置され、
前記第2部分は前記サイドシール部と重複する位置に配置されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記最外層の裏面側には、少なくとも一部分が樹脂で構成された最内層が積層されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記収容部材は、前記最外層の少なくとも一部が切り欠かれることによって、前記最内層が表面側に露出した部分である前記窓部を有している、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記吸収性物品の最外面の少なくとも一部には、図柄が設けられており、
前記吸収性物品の前記図柄は、前記窓部を透して前記収容部材の外側から視認可能であり、
前記収容部材の前記最外層に設けられた前記図柄の最大濃度は、前記吸収性物品の前記最外面に設けられた前記図柄の最大濃度よりも濃い、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記最外層の裏面側には、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層が積層されており、
前記収容部材の前記最内層における動摩擦係数の平均値が、前記収容部材の前記最外層の動摩擦係数の平均値よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体であって、
前記収容部材には、外部から前記吸収性物品を視認することができる前記窓部と、視認することができない非窓領域と、が設けられており、
排泄物を検知するインジケータが設けられており、
前記吸収性物品は、着用者の腹側に当接する腹部と、着用者の背側に当接する背部と、を有し、前記腹部と前記背部が対向しており、
収容状態における前記吸収性物品を前記上下方向に4等分した際の最も下側の領域である股下領域を有し、
前記インジケータは、少なくとも前記股下領域に設けられており、
前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記前後方向に見たときに、前記股下領域の全部が前記非窓領域と重複することを特徴とする吸収性物品の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容部材の内部に、複数のおむつや生理用ナプキン等の吸収性物品が収容された吸収性物品の収容体が知られている。このような吸収性物品の収容体では、収容部材に収容されている吸収性物品の種類や特長に関する情報を所定の図柄として収容部材の表面に印刷し、ユーザーが視認して確認しやすいようにすることが一般に行われている。例えば、特許文献1には、吸収性物品の収容部材(パッケージ)に着用対象者の画像を高画質で表示することにより、当該吸収性物品が対象としている着用者を認識しやすくした吸収性物品のパッケージに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境や社会に関する問題が急速に拡大しているのに応じて、サステナビリティ(持続可能性)の観点から、環境に配慮した製品が要求されている。このような要求に対して、例えば、製品のパッケージにプラスチック材を用いる代わりに紙等の天然素材を用いることで、ユーザーに対して「脱プラ」製品であることを認識させやすくすると共に、吸収性物品の柔らかい印象を想起させやすくするといった取り組みが行われている。
【0005】
しかしながら、パッケージを紙素材で構成したとしても、特許文献1のようにパッケージに高画質で鮮明な図柄が印刷されていた場合、当該画像の鮮明さに起因して、ユーザーにシャープな印象を生じさせ、紙素材の柔らかさを想起させにくくしてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ユーザーに柔らかな印象を想起させやすい紙素材の収容部材を備えた吸収性物品の収容体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、
前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層を有し、
前記最外層において、ベック平滑度が20秒未満である領域に、図柄の少なくとも一部が印刷されており、
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記収容部材の上端部において、前記吸収性物品を取り出す際に前記左右方向に沿った開口部が形成され、
前記収容部材には、複数の前記吸収性物品が収容されており、
複数の前記吸収性物品は、胴回り開口側と股下側とが対向するように折り畳まれておらず、且つ、前記股下側が下側に位置するように前記収容部材に収容されており、
複数の前記吸収性物品は、前記前後方向且つ前記吸収性物品の厚さ方向において並んでいる一方で、前記上下方向と前記左右方向においては並んでおらず、
前記収容部材には、外部から前記吸収性物品を視認することができる窓部が設けられており、
前記収容部材は、前記前後方向における前面と後面を有し、
前記窓部は、前記前面にのみ設けられており、
前記図柄は、水性インクによって構成されており、
前記最外層の少なくとも一部分に、未晒パルプからなる未晒パルプ領域を有し、
前記図柄は、前記未晒パルプ領域に印刷されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーに柔らかな印象を想起させやすい紙素材の収容部材を備えた吸収性物品の収容体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】使い捨ておむつ収容体1の正面図及び断面図である。
【
図2】
図2Aは、収容部材10を前側から見たときの平面図である。
図2Bは、収容部材10を後側から見たときの平面図である。
【
図4】収容部材10に対して吸収性物品20を出し入れする際の様子を表す図である。
【
図5】収容部材10に収容された状態における吸収性物品20を前後方向の前側から見たときの平面図である。
【
図6】吸収性物品20を展開かつ伸長させた状態の吸収性物品20の平面図及び断面図である。
【
図7】最外層11aとして使用する紙素材のシート部材(試料A~C)について、ベック平滑度を測定した値について示す表である。
【
図8】
図8Aは、収容部材10に設けられる画像15の配置について説明する図である。
図8Bは、
図8AのX-X断面について表す断面模式図である。
【
図9】その他の実施形態に係る、摩擦係数を説明するための図である。
【
図10】その他の実施形態に係る、摩擦係数の測定結果を示した図である。
【
図11】その他の実施形態に係る、表面粗さSMDを説明するための図である。
【
図12】その他の実施形態に係る、表面粗さSMDの測定結果を示した図である。
【
図13】その他の実施形態に係る、収容部材10の隙間に手を入れて吸収性物品20を取り出している状態を示した図である。
【
図14】その他の実施形態に係る、収容体1を上下逆様にした状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層を有し、前記最外層において、ベック平滑度が20秒未満である領域に、図柄の少なくとも一部が印刷されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0011】
このような吸収性物品の収容体によれば、最外層においてベック平滑度が20秒未満である領域の少なくとも一部と重複するように図柄を印刷することにより、当該領域に形成された図柄が擦れたように見えるようになる。これにより、収容部材や、その内部に収容されている吸収性物品についての素材感や柔らかなイメージを、ユーザーに想起させやすくすることができる。
【0012】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記図柄は、水性インクによって構成されている、ことが望ましい。
【0013】
このような吸収性物品の収容体によれば、有機溶剤等を用いた油性インクと比較して安全であり、且つ臭いも少ない水性インクを用いることにより、環境に優しい収容体とすることができる。また、被印刷媒体である最外層が紙製であるため、水性インクが固着しやすく、擦れたような図柄であっても安定して印刷することができる。
【0014】
かかる吸収性物品の収容体であって、互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向とを有し、前記図柄は、第1部分と、前記第1部分とは異なる第2部分とを有しており、前記前後方向において、前記第1部分と前記第2部分との位置が異なっている、ことが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品の収容体によれば、第1部分と第2部分との前後方向における位置が異なっていることにより、図柄が立体的に見えるようになる。したがって、図柄が平面的に見える場合と比較して、収容部材が3次元的に膨らんだ形状が強調され、ユーザーに対して、収容体の柔らかなイメージを想起させやすくすることができる。
【0016】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記左右方向の両端部において、前記収容部材を構成する1つの面と、前記1つの面とは異なる面とが、前記前後方向に隣接し、溶着されたサイドシール部を有し、前記第1部分は前記サイドシール部と重複しない位置に配置され、前記第2部分は前記サイドシール部と重複する位置に配置されている、ことが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品の収容体によれば、サイドシール部と重複する平面的な領域と、サイドシール部と重複しない曲面的な領域とに跨って図柄が配置されていることにより、図柄がより複雑で3次元的な形状に見え、ユーザーに対して収容体の柔らかなイメージをより想起させやすくすることができる。
【0018】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記最外層の裏面側には、少なくとも一部分が樹脂で構成された最内層が積層されている、ことが望ましい。
【0019】
このような吸収性物品の収容体によれば、紙製の最外層の裏面側に、防湿性の高い樹脂製の最内層を積層させることによって、収容部材の外部から内部に湿気等の水分が入り込むことを抑制することができる。また、最外層に印刷された図柄を構成するインクが、厚さ方向の表側から裏側へ浸透して、吸収性物品に接触して色移り等が生じてしまうことを抑制することができる。これにより、収容部材に収容されている吸収性物品の品質を良好な状態に保ちやすくすることができる。
【0020】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記最外層の少なくとも一部が切り欠かれることによって、前記最内層が表面側に露出した部分である窓部を有している、ことが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品の収容体によれば、ユーザーは、収容体の外側から窓部を透して、紙おむつ等の柔らかな吸収性物品を視認することができるようになる。これにより、収容体の柔らかいイメージを、ユーザーにより想起させやすくすることができる。
【0022】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品の最外面の少なくとも一部には、図柄が設けられており、前記吸収性物品の前記図柄は、前記窓部を透して前記収容部材の外側から視認可能であり、前記収容部材の前記最外層に設けられた前記図柄の最大濃度は、前記吸収性物品の前記最外面に設けられた前記図柄の最大濃度よりも濃い、ことが望ましい。
【0023】
このような吸収性物品の収容体によれば、窓部を透して視認される吸収性物品の図柄が、収容部材の図柄よりも薄く見えることにより、該吸収性物品自体の柔らかさが強調され、収容体の全体としての柔らかなイメージを高めることができる。
【0024】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記最外層の少なくとも一部分に、未晒パルプからなる未晒パルプ領域を有し、前記図柄は、前記未晒パルプ領域に印刷されている、ことが望ましい。
【0025】
このような吸収性物品の収容体によれば、染色や脱色がされておらず、また、厚みが厚く透けにくい未晒パルプからなる紙層に図柄が印刷されることにより、印刷された図柄が擦れていたとしても、視認性は悪化し難い。したがって、収容体の柔らかいイメージをユーザーに想起させつつ、図柄の視認性が悪化することを抑制することができる。
【0026】
かかる吸収性物品の収容体であって、前記最外層の裏面側には、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層が積層されており、前記収容部材の前記最内層における動摩擦係数の平均値が、前記収容部材の前記最外層の動摩擦係数の平均値よりも小さい、ことが望ましい。
【0027】
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の最外層における動摩擦係数の平均値が大きいことにより、最外層の表面形状が凹凸になりやすく、擦れた図柄が形成(印刷)されやすくなる。そして、収容部材の最内層における動摩擦係数の平均値が小さいことにより、最内層と吸収性物品との間に生じる摩擦力が低減され、吸収性物品の取り出し動作をスムーズに行いやすくすることができる。
===実施形態===
【0028】
<吸収性物品収容体1の基本構成>
本発明に係る吸収性物品の収容体として、使い捨ておむつを収容する使い捨ておむつ収容体1(以下、単に「収容体1」とも呼ぶ)を例に挙げて実施形態を説明する。但し、収容体1に収容される吸収性物品は使い捨ておむつには限られず、生理用ナプキンやパンティーライナー、軽失禁用パッド等、収容部材に収容可能なものであれば良い。
【0029】
図1は、使い捨ておむつ収容体1(収容体1)の正面図及び断面図である。収容体1は、袋状の部材である収容部材10と、該収容部材10の内部に収容される複数の吸収性物品20(使い捨ておむつ)とを有している。また、収容体1(収容部材10)は、互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向と、を有している。
図1の正面図は、収容体1を前後方向の前側から見た状態について表し、
図1の断面図は、正面図のA-A断面について表している。
【0030】
図1に示されるように、収容部材10は、上下方向における一方側(
図1では上側)から他方側(
図1では下側)に行くにしたがって、前後方向における幅が広がる、断面略三角形状の収容空間(
図1のA-A断面において斜線で示される領域)を有し、当該収容空間内に1以上の吸収性物品20を収容することが可能である。吸収性物品20は、前後方向に重ねて複数(
図1では4つ)収容され、収容部材10の上下方向における一方側(上側)に形成される開口部10E(後述)から自在に出し入れすることが可能である。
【0031】
(収容部材10)
図2Aは、収容部材10を前側から見たときの平面図であり、
図2Bは、収容部材10を後側から見たときの平面図である。
図3Aは、
図2AのB-B断面について表す断面模式図であり、
図3Bは、
図2AのC-C断面について表す断面模式図である。
【0032】
収容部材10は、前側シート部材11と、後側シート部材12と、底面シート部材13と、封止部14とを有している。
【0033】
前側シート部材11は、複数のシート部材が厚さ方向に積層されてなる積層シート部材である。本実施形態では、厚さ方向の外側(収容部材10の表面側であり、
図3Aにおいては前後方向における前側)に配置された最外層11aと、厚さ方向の内側(収容部材10の裏面側であり、
図3Aにおいては前後方向における後側)に配置された最内層11bとが接合された2層構造を有している。但し、前側シート部材11が、3層以上の層を有していても良い。
【0034】
最外層11aは、少なくとも一部分が、紙で構成されている。ここで「紙」とは、植物繊維その他を膠着させて製造したものであり、広義には、素材として合成高分子物質を用いて製造した合成紙のほか,繊維状無機材料を配合した紙も含むものとする。収容体1の最も外側に配置されている最外層11aが紙素材であることにより、当該収容体1が、石油来の材料を削減した所謂「脱プラ」製品であることをユーザーに認識させやすく、環境に優しいイメージをユーザーに与えることができる。したがって、本実施形態において最外層11aは、パルプ繊維等の植物繊維からなる「紙」によって構成されていることが望ましく、また、最外層11aの全体が紙製であることが望ましい。
【0035】
また、最外層11a(10a)が紙素材であることにより、ユーザーに対して、紙が有する柔らかいイメージを与えやすくなる。したがって、小売店等の店頭で収容体1を目にしたユーザーは、収容部材10に収容されている吸水性物品20(紙おむつ等)が柔らかい物であると想起しやすくなり、着用者の肌に優しい製品であることを直感的に理解しやすくなる。特に、着用対象者が肌の弱い新生児や乳幼児である場合には、収容体1が想起させる柔らかなイメージによって、乳幼児の保護者等(ユーザー)に安心感を与えることができる。
【0036】
最外層11aの表面側(前後方向における前側)には、所定の図柄15が設けられている。図柄15は、収容体1(吸収性物品20)に関する各種情報をユーザーに視認させるために設けられる。本実施形態では、
図2Aに示されるように、吸収性物品20の名称(商品名)や特徴(使用されている材料)、吸収性物品20をイメージさせるグラフィック(例えば、コットンの絵)、着用対象者のサイズ等に関する情報が図柄15として設けられている。また、図柄15として各種認証マークの表示(不図示)が設けられていても良い。
【0037】
最内層11bは、少なくとも一部分が、樹脂で構成されている。ここで「樹脂」とは、高分子化合物からなる合成樹脂であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂を使用できる。また、最内層11bは透明な樹脂によって構成されており、少なくとも厚さ方向において一方側(表側)から他方側(裏側)を透かして視認することが可能となっている。本実施形態では、後述する窓部16を透して収容体1の外側から、収容部材10の内部に収容された吸収性物品20を視認しやすくするために、最内層11bを構成する樹脂は無色透明であることが望ましい。
【0038】
そして、最外層11aと最内層11bとが
図3Aのように厚さ方向に積層され、接着剤等によって互いに接合される(
図3Aでは破線で表示されている)ことによって、表面側が紙製で裏面側が樹脂製の前側シート部材11が形成される。
【0039】
また、前側シート部材11には、最外層11aの一部の領域が切り欠かれた窓部16が設けられている。この窓部16では、最内層11bが外面側に露出した状態となっており、ユーザーは、収容体1の前側から、当該窓部16を透かして収容部材10の内側を視認することが可能となっている。本実施形態では、
図1や
図2に示されるように、窓部16が左右方向の一端側から他端側に亘って連続して設けられている。これにより、収容部材10の内部に収容されている吸収性物品20を視認しやすくすることができる。
【0040】
後側シート部材12は、前側シート部材11と同様の構成を有している。すなわち、後側シート部材12は、少なくとも一部分が紙で構成された最外層12aと、少なくとも一部分が樹脂で構成された最内層12bとが厚さ方向に積層され接合されることによって形成されている(
図3A参照)。また、底面シート部材13も、前側シート部材11及び後側シート部材12と同様の構成を有している。すなわち、底面シート部材13は、少なくとも一部分が紙で構成された最外層13aと、少なくとも一部分が樹脂で構成された最内層13bとが厚さ方向に積層され接合されることによって形成されている(
図3A参照)。
【0041】
本実施形態において、最外層11a,12a,13aは何れも同じ種類のシート部材(紙)によって形成されており、以下では、これらを一括して最外層10aとも呼ぶ。同様に、最内層11b,12b,13bは何れも同じ種類のシート部材(樹脂)によって形成されており、これらを一括して最内層10bとも呼ぶ。
【0042】
収容部材10を形成する際には、前側シート部材11及び後側シート部材12の最内層11b,12b同士が互いに対向するように前後に重ねられる。また、収容部材10の上下方向下端部において、最外層13a同士が対向するように上下方向に2つ折りされた底面シート部材13が、前側シート部材11と後側シート部材12との前後方向の間に配置される。そして、前後方向(厚さ方向)に隣接するシート部材同士が所定の領域にて互いに接合される。
【0043】
具体的に、
図3Aに示されるように、前側シート部材11の最内層11bと底面シート部材13の最内層13bとが、上下方向の下端部にて互いに接合される。最内層11bと最内層13bとの接合は、例えば熱溶着等の公知の溶着手段を用いて行われる。最内層11b及び最内層13bは、いずれも樹脂製のシート部材であり熱可塑性を有していることから、溶着手段を用いることにより、対向するシート部材同士を十分な強度で接合することができる。同様に、後側シート部材12の最内層12bと底面シート部材13の最内層13bとが、上下方向の下端部にて互いに接合(溶着)される。これにより、
図3Aにおいて波線で示されるボトムシール部18が形成される。このボトムシール部18により、
図2の斜線部で表示されるように、収容部材10の上下方向の下端部にて、各シート部材11,12,13が左右方向に沿って連続的に接合・シールされた状態となる。
【0044】
また、左右方向の端部では、
図3Bに示されるように、互いに対向する前側シート部材11の最内層11bと後側シート部材12の最内層12bとが接合される。最内層11bと最内層12bとの接合も、溶着手段を用いて行われる。同様に、上下方向の下端部において、前側シート部材11の最内層11bと底面シート部材13の最内層13bとが左右方向の端部にて溶着され、後側シート部材12の最内層12bと底面シート部材13の最内層13bとが左右方向の端部にて溶着される。これにより、
図3Bにおいて波線で示されるサイドシール部17が形成される。このサイドシール部17により、
図2の斜線部で表示されるように、収容部材10の左右方向の両端部にて、各シート部材11,12,13が上下方向に沿って連続的に接合・シールされた状態となる。
【0045】
なお、収容部材10の左右方向の両端部且つ上下方向の下端部では、上下方向に2つ折りされた底面シート部材13のうち、前後方向に対向する最外層13a,13a同士も接合されている。最外層13aは紙製であるため、最外層13a,13a同士の接合は接着剤を用いた接着により行われる(
図3Bでは破線で表示されている)。
【0046】
このように、収容部材10の端縁部のうち、左右方向の両端部及び上下方向の下端部は、一対のサイドシール部17,17及びボトムシール部18によって連続的に係止されている、一方、収容部材10の端縁部のうち、上下方向の上端部は係止されていない。これにより、収容部材10は、上下方向の上側に開口部10E(後述する
図4参照)を有し、底面シート部材13を底面とする袋状となる。
【0047】
収容部材10の開口部10Eは、封止部14によって封止可能となっている。封止部14は、左右方向に沿って配置された一対の樹脂製ジッパー等によって構成され、
図3Aに示されるように、前側シート部材11の最内層11bと後側シート部材12の最内層12bとにそれぞれ設けられている。一対の封止部14,14を前後方向に対向させた状態で押圧して噛み合わせることで、開口部10Eが閉じて、収容部材10の収容空間が密封される(
図1参照)。また、噛み合った状態の封止部14,14を前後方向の反対側に引き剥がすことで、再び開口部10Eが形成される。このように、収容部材10の開口部10Eは、封止部14によって自在に開閉することが可能となっている。
【0048】
図4は、収容部材10に対して吸収性物品20を出し入れする際の様子を表す図である。同
図4のように収容部材10の封止部14を引き剥がして上下方向上側に開口部10Eを形成し、当該開口部10Eから吸収性物品20を取り出したり、収容したりすることができる。そして、吸収性物品20の取り出し動作を行った後に封止部14を再封止して開口部10Eを閉じることにより、収容空間内の防湿性を維持することができる。
【0049】
(吸収性物品20)
図5は、収容部材10に収容された状態における吸収性物品20を前後方向の前側から見たときの平面図である。
図6は、吸収性物品20を展開かつ伸長させた状態の吸収性物品20の平面図及び断面図である。
図5及び
図6において、吸収性物品20は、互いに交差する縦方向と、横方向とを有している。縦方向は、伸長状態の吸収性物品の長手方向に相当し、
図1の上下方向に沿った方向である。横方向は、伸長状態の吸収性物品の短手方向に相当し、
図1の左右方向に沿った方向である。
【0050】
図5及び
図6では、収容部材10に収容される吸収性物品20の一例として、テープ型の使い捨ておむつについて示されている。吸収性物品20は、外装体21と、内装体22と、インジケータ23と、ファスニングテープ24と、を有している。
【0051】
外装体21は、吸収性物品20の最も非肌側に設けられ、内装体22を支持する外装部材である。外装体21としては、例えばSMS(スパンボンドーメルトブローン-スパンボンド)不織布等の適宜な不織布を使用することができる。また、外装体21の非肌側の面(すなわち、吸収性物品20の最外面)には、所定の図柄25が設けられていても良い。図柄25は、収容部材10に設けられた図柄15と同様に、吸収性物品20に関する情報をユーザーに視認させるために設けられている。本実施形態では、
図5に示されるように、吸収性物品20の名称(商品名)や特徴(使用されている材料)、吸収性物品20をイメージさせるグラフィック(例えば、コットンの絵)等に関する情報が図柄25として設けられている。また、着用対象者のサイズやその他の情報が表示されていても良い。
【0052】
内装体22は、排泄物を吸収する吸収性本体に相当する部材であり、吸収体22aと、吸収体22aよりも厚さ方向の肌側に配置された肌側シート22bと、吸収体22aよりも厚さ方向の非肌側に配置された非肌側シート22cとを有する。
【0053】
吸収体22aは、尿等の排泄物を吸収して保持する部材であり、液体吸収性素材を含む吸収性コアが、液透過性のコアラップシートに覆われることによって形成されている。吸収性コアを構成する液体吸収性素材としては、例えばパルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を使用することができる。またコアラップシートとしては、例えばティッシュペーパーを使用することができる。
【0054】
肌側シート22bは、吸収性物品20の着用時において、着用者の肌と当接する部材であり、排泄物を厚さ方向の肌側から非肌側に透過させて吸収体22aへ移動させる、液透過性のシート部材である。肌側シート22bとしては、例えばエアスルー不織布などの柔軟なシート部材を使用することができる。非肌側シート22cは、吸収体22aによって吸収された尿等の液体が非肌側(着用者の着衣の側)に染み出すことを抑制する、液不透過性のシート部材である。非肌側シート22cとしては、例えば、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルムなど柔軟なシート部材を使用することができる。
【0055】
インジケータ23は、尿及び便の少なくとも一方を検出するための検出部であり、厚さ方向において、吸収体22aと非肌側シート22cとの間に設けられている。本実施形態のインジケータ23は、従来のおむつに採用されているpH指示薬を含むインジケータとして構成されている。例えば、排泄物のpHを反応因子として、尿または便と接触することによって所定の反応(例えば呈色反応)を呈することにより、尿または便が排出されたことを検出する。
図5では、横方向の中央部に、縦方向に沿った帯状のインジケータ23が1本設けられているが、インジケータ23の配置や数量は、検出対象とする排泄物の種類(尿または便)や排泄量等に応じて適宜変更可能である。また、吸収性物品20において、インジケータ23は必須の構成ではなく、インジケータ23が設けられていなくても良い。
【0056】
ファスニングテープ24は、外装体21の縦方向の背側端部において、横方向の両外側に延出するように一対設けられた係合部材である。ファスニングテープ24には不織布等の繊維と係合するフックを備えた面ファスナーが設けられており、吸収性物品20の着用時には、当該面ファスナーの係合力により、一対のファスニングテープ24,24が外装体21(不織布)の腹側領域にそれぞれ係合される。これにより、吸収性物品20の胴回り開口及び脚回り開口が形成され、着用者の身体(胴)に対して吸収性物品20の位置を固定することができる。
【0057】
吸収性物品20を収容部材10に収容する際には、一対のファスニングテープ24,24を横方向の内側に折り畳み、吸収性物品20の非肌側面が外側になるようにして縦方向の中央部で二つ折りにする。このように、吸収性物品20を
図5のようなコンパクトな形状に折り畳み、収容部材10の上下方向と吸収性物品20の縦方向が揃うようにして、開口部10Eから吸収性物品20を出し入れする(
図4参照)。
【0058】
<収容部材10に設けられる図柄15について>
上述したように、本実施形態の収容部材10には図柄15が設けられている(
図1及び
図2A等参照)。この図柄15は、所定の水性インクを用いてグラビア印刷やフレキソ印刷によって最外層10aの表面側に印刷されている。一般に、水性インクは溶剤として水が用いられている場合が多く、有機溶剤等を用いた油性インクと比較して安全であり、且つ臭いも少ないことから、環境に優しいインクである。一方、水性インクは、油性インクと比較して被印刷媒体への固着性が弱いため、市場に流通させる商品には使用し難い場合があった。これに対して、本実施形態では被印刷媒体である最外層10aが紙製であるため、水性インクが固着しやすく、図柄15を安定して形成することが可能である。したがって、環境配慮の観点からも、本実施形態の収容部材10に図柄15を印刷するインクとして、水性インクを用いることが好適である。
【0059】
ところで、本実施形態では収容部材10の最外層10aを紙素材とすることにより、該収容部材10に収容されている吸収性物品20の柔らかさや、環境に優しいイメージをユーザーに想起させることができる。しかしながら、最外層10aに印刷されている図柄15が鮮明である場合、紙素材の柔らかなイメージが損なわれるおそれがある。例えば、収容部材10の表面に、非常に鮮明な輪郭(エッジ)を有する図柄が設けられていた場合、当該図柄を目にしたユーザーは、柔らかなイメージとは逆にシャープで硬質なイメージを想起しやすくなるおそれがある。
【0060】
そこで、本実施形態では、最外層10a(11a)に印刷される図柄15が、過度に鮮明にならないようにすることで、ユーザーに硬質なイメージを与えてしまうことを抑制している。言い換えると、図柄15の少なくとも一部が擦れた状態となるようにすることで、収容体1の柔らかなイメージをユーザーに想起させやすくしている。
【0061】
具体的には、被印刷媒体である最外層10a(11a)として、なるべく平滑度が低いシート部材を用いて図柄15の印刷を行う。通常、シート部材の平滑度が低いほど表面の凹凸が大きくなるため、そのようなシート部材に印刷を行うと、インクの濃度にばらつきが生じやすくなり、形成される画像が部分的に擦れたように見えやすくなる。
【0062】
本実施形態では、最外層10aとしてベック平滑度が20秒未満となる領域を有する非塗工紙を用い、少なくとも図柄15の一部が当該領域と重複するように、印刷を行う。なお、ベック平滑度は、特定の条件で接触させた試験片とリング状の平面との間を、特定の初期差圧下で、一定量の大気圧空気が流れるのに必要な時間(秒)によって表される値であり、ベック平滑度が小さい(秒数が小さい)ほど、平滑度が低くなる。ベック平滑度は、JIS P 8119-1998に規定されている「紙及び板紙-ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に基づいて測定することができる。
【0063】
社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会が規定するJBMS-32-2002「電子写真式複写機・プリンタ用カット紙」の規格によると、プリンタ等に使用されるカット紙を選択する際の目安となるベック平滑度の推奨値は20~150秒である。この値は画像性能を保証するものではないが、少なくとも擦れの少ない通常の印刷を行う際の基準となる範囲である。したがって、当該推奨値の下限値である20秒よりもベック平滑度が小さい媒体に印刷を行った場合、画像に擦れが生じる可能性が高い。
【0064】
図7は、本実施形態の最外層11aとして使用する紙素材のシート部材(試料A~C)について、ベック平滑度を測定した値について示す表である。ベック平滑度の測定は、上述のJIS P 8119-1998に準拠した方法で行った。
図7に示されるように、シート部材A~Cのいずれも、ベック平滑度が5.3秒以下であり、JBMS-32-2002に規定されるベック平滑度の下限値である20秒よりも小さな値となっている。すなわち、JBMS-32-2002で推奨されている印刷用紙よりも平滑度が低くなっている。そして、実際にこれらのシート部材(試料A~C)に水性インクを用いて印刷を行うと、形成された図柄15の一部に濃度ムラが発生しやすく、図柄15が擦れたように見えることが確認された。
【0065】
したがって、収容部材10の最外層10aとして、ベック平滑度が20秒未満、望ましくは5.3秒以下の領域を有するシート部材(紙)を用いて、当該領域に図柄15印刷することにより、形成された図柄15が擦れたように見えるようになる。これにより、収容部材10や、その内部に収容されている使い捨ておむつ等の吸収性物品20が紙製であることの素材感や柔らかなイメージを、ユーザーに想起させやすくすることができる。
【0066】
なお、ベック平滑度が20秒未満となる最外層10aを構成する素材(紙)の一例として、未晒パルプからなる紙を用いることができる。仮に、最外層10aが漂白された晒パルプからなる紙によって構成されていた場合、収容されている吸収性物品20が透けてしまい、図柄15が視認し難くなるおそれがある。これに対して、一般に、未晒パルプからなる紙は、染色や脱色がされておらず、また、厚みが厚く透けにくい。そのため、未晒パルプからなる紙層に図柄15が印刷されていた場合、図柄15が擦れていたとしても、視認性は悪化し難い。したがって、未晒パルプからなる領域に擦れた図柄15が印刷されていることによって、柔らかいイメージを想起させつつ、図柄15の視認性が悪化することを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態の収容部材10は、少なくとも一部が紙によって構成された最外層10aの厚さ方向の裏面側に、少なくとも一部が樹脂によって構成された最内層10bが積層されている。最内層10bを構成する樹脂材は、最外層10aを構成する紙と比較して防湿性が高く、紙製の最外層10aの裏面側に、防湿性の高い樹脂製の最内層10bを積層させることによって、収容部材10の外部から内部の収容空間に湿気等の水分が入り込むことを抑制することができる。また、最外層10aに印刷された図柄15を構成する水性インクが、厚さ方向の表側から裏側へ浸透して、吸収性物品20に接触して色移り等が生じてしまうことを抑制することができる。これにより、収容部材10に収容された吸収性物品20の品質を良好な状態に保ちやすくすることができる。
【0068】
また、本実施形態では、収容部材10に印刷される図柄15の配置を調節することにより、ユーザーに対して収容体1の柔らかなイメージをより想起させやすくすることができる。
図8Aは、収容体1の斜視図であり、収容部材10に設けられる図柄15の配置について説明する図である。
図8Bは、
図8AのX-X断面について表す断面模式図である。
【0069】
図1や
図8Aに示すように、収容部材10の最外面には複数の図柄15,15…が設けられている。複数の図柄15のうち、
図8Aの右側端部に設けられている図柄を図柄151とする。そして、図柄151のうち左右方向の左側端に位置する部分を第1部分151A、左右方向の右側端に位置する部分を第2部分151Bとしたときに、前後方向におい第1部分151Aの位置と第2部分151Bの位置とが異なるように、図柄151が配置されている。
【0070】
吸収性物品20を収容した収容部材10は、当該吸収性物品20が収容されている領域において、前後方向に膨らんだ形状となっている。
図8Bでは、左右方向両端部のサイドシール部17において前側シート部材11と後側シート部材12とが互いに接合され、収容部材10の前後方向における厚さが最も薄くなっている。そして、左右方向の両端部から内側(中央側)に行くにしたがって、前側シート部材11及び後側シート部材12が各々湾曲しつつ、前後方向における両者の間隔が広がっている。すなわち、収容部材10の前後方向における厚さが厚くなっていく。この前側シート部材11及び後側シート部材12が湾曲した領域を湾曲領域10crとする(
図8B参照)。そして、左右方向の中央部において、収容部材10の前後方向における厚さが最も厚くなっている。
【0071】
図8Bに示されるように、図柄151の第1部分151Aは湾曲領域10crと重複する位置に配置され、第2部分151Bはサイドシール部17と重複する位置に配置されている。このように、図柄151の第1部分151Aと第2部分151Bとの前後方向における位置が異なっていることにより、図柄151は前後方向に立体感を持って見えるようになる。そのため、図柄151が平面的に見える場合と比較して、収容部材10が3次元的に膨らんだ形状が強調され、収容体1の全体として柔らかなイメージを生じさせやすくなる。特に、図柄151は、収容部材10の湾曲領域10crと広く重複するように配置されていることから、図柄が丸みを帯びた曲面に見えるため、ユーザーにより柔らかな印象を与えることができる。
【0072】
さらに、図柄151は、サイドシール部17に跨って配置されている。すなわち、図柄151の或る部分(
図8Bでは第1部分151A)がサイドシール部17と重複しない位置に配置されており、図柄151の他の部分(
図8Bでは第2部分151B)がサイドシール部17と重複する位置に配置されている。したがって、図柄151はサイドシール部17と重複する平面的な領域と、サイドシール部17と重複しない(湾曲領域10crと重複する)曲面的な領域との両方を有して構成される。これにより、図柄151がより複雑で3次元的な形状に見え、ユーザーに対して収容体1の柔らかなイメージをより想起させやすくすることができる。
【0073】
また、収容部材10の前側面(前側シート部材11)には窓部16が設けられ、収容体1の外側から、収容部材10の内部に収容されている吸収性物品20を視認することが可能となっている。すなわち、ユーザーは、収容部材10の内部に、柔らかな吸収性物品20(紙おむつ等)が収容されているのを視認することができる。これにより、ユーザーに対して収容体1の柔らかいイメージを、より想起させやすくすることができる。
【0074】
このとき、当該窓部16を透かして視認できる吸収性物品20の最外面(外装体21)に設けられた図柄25の平均濃度よりも、収容部材10の最外層10aに設けられた図柄15の平均濃度の方が濃いことが望ましい。窓部16を透して視認される吸収性物品20の図柄25が、収容部材の図柄15よりも薄く見えることにより、該吸収性物品20自体の柔らかさが強調され、収容体1の全体としての柔らかなイメージを高めることができる。
【0075】
なお、図柄の濃度は、以下のようにして測定することができる。まず、収容部材10に設けられた図柄15と、吸収性物品20に設けられた図柄25をそれぞれ同じ撮影条件においてデジタルカメラで複数回撮影し、複数の画像データを得る。次いで、これらの画像データをパソコンに取り込み、モノクロ変換後に、256階調のグレースケールに変換して、図柄15と図柄25でそれぞれ最も高い階調値を検出し、複数の画像データについての最高階調値を平均して、それぞれの図柄の最大濃度とする。
【0076】
また、収容部材10では、最内層10bにおける動摩擦係数の平均値が、最外層10aにおける動摩擦係数の平均値よりも小さくなっていることが望ましい。上述したように、最外層10aは、ベック平滑度が20秒未満となるように構成されているため、表面に凹凸を有しており、動摩擦係数も大きくなり易い。一方、最内層10bの動摩擦係数は、なるべく小さいほうが良い。
図4のように収容部材10の開口部10Eから、内部に収容されている吸収性物品20を取り出す際には、吸収性物品20の最外面が収容部材10の最内面(最内層10b)と擦れながら取り出される。したがって、仮に、収容部材10において最内層10bの動摩擦係数が、最外層10aの動摩擦係数以上であるとした場合、収容部材10の最内面(最内層10b)に吸収性物品20が引っ掛かりやすくなり、取り出し動作が妨げられやすくなるおそれがある。これに対して、収容部材10の最内層10bにおける動摩擦係数の平均値を、最外層10aの動摩擦係数の平均値よりも小さくすることにより、最外層10aに擦れた図柄15を形成すると共に、吸収性物品20の取り出し動作をスムーズに行いやすくすることができる。
【0077】
なお、動摩擦係数の測定は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、測定対象部分である最外層10a及び最内層10bを所定の大きさ(例えば、長さ10cm、幅20cm程度)に切り出し、これを複数片(例えば10片)ずつ用意してサンプルとする。次いで、各サンプルについて、自動化表面試験機(カトーテック株式会社製 KESFB4-AUTO-A)の摩擦力検出機能を用いて摩擦力を測定する。測定条件は、摩擦子の接触面積が5mm×5mm(0.25cm2)とし、荷重Wが摩擦子の重さを含めて垂直方向に50gf(約0.5N)とする。そして、20cmのサンプル幅に対して400gの張力を掛けてサンプルを自動化表面試験機にセットして上記摩擦子を荷重Wでサンプルに接触させ、摩擦子の移動速度を1mm/secとして摩擦力Fの測定を行い、動摩擦係数の平均値を算出する。
【0078】
<収容体1のその他の態様について>
収容体1については、上述の態様以外にも、以下のような態様が可能である。
図9は、その他の実施形態に係る、摩擦係数を説明するための図である。
図10は、その他の実施形態に係る、摩擦係数の測定結果を示した図である。
図11は、その他の実施形態に係る、表面粗さSMDを説明するための図である。
図12は、その他の実施形態に係る、表面粗さSMDの測定結果を示した図である。
図13は、その他の実施形態に係る、収容部材10の隙間に手を入れて吸収性物品20を取り出している状態を示した図である。
図14は、その他の実施形態に係る、収容体1を上下逆様にした状態の正面図である。
(態様1)
吸収性物品20と、前記吸収性物品を収容する収容部材10とを備え、前記収容部材10は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層10aと、少なくとも一部分が、前記紙よりも透湿性の低い材料で構成された最内層10bとを有し、前記収容部材10の質量のうち、前記最外層10aを構成する前記紙の質量が占める割合が50%を超える、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0079】
このような吸収性物品の収容体によれば、紙だけでなく、内側に紙よりも透湿性の低い材料で構成された層を有することで収容部材の内部に湿気が入ること抑制し、良好な防湿性を担保することができる。さらに、紙の質量が占める割合が50%を超えることで「紙製容器包装」識別マークの対象となるため、環境に配慮した収容体を提供できる。
【0080】
(態様2)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記収容部材10は、前記左右方向の両端部において、前記上下方向に沿って接合された一対のサイドシール部17と、前記上下方向の下端部において、前記左右方向に沿って接合されたボトムシール部18とを有し、前記一対のサイドシール部17及び前記ボトムシール部18では、前記収容部材10を構成する1つの面の前記最内層10bに設けられた前記透湿性の低い材料と、前記1つの面とは異なる面の前記最内層10bに設けられた前記透湿性の低い材料とが、前記前後方向に隣接し、溶着されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0081】
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の全てのシール部において、最内層に設けられた透湿性の低い材料同士が溶着されていることで、収容体に湿気が入りにくくなる。
(態様3)
前記吸収性物品を取り出すための開口部10Eを有し、前記開口部10Eは、開閉可能な封止部14を有する、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0082】
このような吸収性物品の収容体によれば、一度開封しても、使用の度に封止部によって収容部材を再封止でき、湿気が入ることを防ぐことができる。
【0083】
(態様4)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記最外層10a、及び、前記最内層10bに設けられた前記透湿性の低い材料が、前記上下方向において、前記封止部14よりも上側及び下側に設けられている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0084】
このような吸収性物品の収容体によれば、封止部の上側は、収容部材を開けるときに掴む部分であり、当該上側には最外層のみならず透湿性の低い材料が設けられているため、該掴む部分が破れ難くなる。
【0085】
(態様5)
前記透湿性の低い材料は、樹脂シートである、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0086】
このような吸収性物品の収容体によれば、樹脂シートを透湿性の低い材料として最内層の少なくとも一部に備えることで、湿気を吸い難い収容体を提供できる。
【0087】
(態様6)
前記収容部材10は、少なくとも一部分が、樹脂シートのみからなる窓部16と、前記紙と前記樹脂シートとが重複する非窓領域19とを有しており、前記窓部16の表面積が、前記非窓領域19の表面積よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0088】
このような吸収性物品の収容体によれば、窓部により収容体内の吸収性物品を確認でき、また、窓部を最小限にすることで、収容部材の内部に湿気が入りうる可能性を低減できる。
【0089】
(態様7)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記窓部16は、前記左右方向に沿って前記左右方向の一端から他端まで連続して設けられている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0090】
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域を幅方向(左右方向)端部まで設けていることで、消費者は開封せずとも内部の吸収性物品を視認しやすくなり、確認等のための開封頻度を低減できる。それにより、収容体の内部に湿気が入る可能性を低減できる。
【0091】
(態様8)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性物品10の最外面の少なくとも一部には、図柄25が設けられており、未晒パルプ領域に設けられている図柄15を収容部材側図柄15とし、吸収性物品20に設けられている図柄25を吸収性物品側図柄25としたとき、吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、収容部材側図柄15と吸収性物品側図柄25とが、前後方向に見たときに、重複している部分を有することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0092】
そうすると、未晒パルプ領域は厚みが厚く、且つ、茶褐色又は暗褐色等であるため、該未晒パルプ領域の図柄15と吸収性物品20の図柄25とが重複しても、吸収性物品20の図柄15が透けて見えることはなく、未晒パルプ領域に設けられている図柄15の視認性を維持できる。
【0093】
(態様9)
吸収性物品20と、吸収性物品20を収容する収容部材10とを備え、収容部材10は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層10aと、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層10bとを有し、最内層10bを構成する樹脂にはバイオマスプラスチックが含まれていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0094】
そうすると、収容部材10の表面(最外層10a)を紙製とすることで、収容体1が環境に配慮した製品であることをユーザーに想起させやすくすることができる。一方、収容部材10の裏面(最内層10b)を樹脂製とすることにより防湿性を高め、内部に収容された吸収性物品20が湿ってしまうことを抑制することができる。さらに、最内層10bを構成する樹脂がバイオマスプラスチックを含んでいることにより、従来品と比較して石油由来の物質の含有割合を低くすることができる。これらにより、防湿性に優れ、且つ環境に優しい吸収性物品20の収容体1を提供することができる。
【0095】
(態様10)
最内層10aを構成する樹脂に含まれているバイオマスプラスチックの重量は、収容部材10の重量の10%以上であることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0096】
そうすると、一般社団法人日本有機資源協会が定める「バイオマスマーク制度」に規定されるバイオマスプラスチックの含有割合の基準(バイオマス度が10%以上)を満たすことができる。これにより、当該制度の認証マーク(バイオマスマーク10%)を表示することが可能となり、収容体が環境に配慮した製品であることを、ユーザーにより認識させやすくすることができる。
【0097】
(態様11)
吸収性物品20を構成する部材の少なくとも一部に、バイオマスプラスチックが含まれていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0098】
そうすると、吸収性物品20にもバイオマスプラスチックが含まれることにより、環境に配慮した製品であることをよりユーザーにより認識させやすくすると共に、ユーザーが安心して吸収性物品20を使用することができるようになる。
【0099】
(態様12)
吸収性物品20の重量に対する、吸収性物品20に含まれるバイオマスプラスチックの重量の割合よりも、収容部材10の重量に対する、収容部材10に含まれるバイオマスプラスチックの重量の割合の方が大きいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0100】
そうすると、収容部材10におけるバイオマスプラスチックの含有率を、吸収性物品20におけるバイオマスプラスチックの含有率よりも高めることで、その分、収容部材10における石油由来原料の含有率を低くすることができる。したがって、石油由来原料の使用量を削減し、より環境に優しい吸収性物品20の収容体1を実現することができる。
【0101】
(態様13)
最外面の少なくとも一部が紙で構成された収容部材10と、収容部材10により収容され、最外面の少なくとも一部が不織布で構成された吸収性物品20と、を備える吸収性物品20の収容体1であって、収容部材10の最内面(最内層)10bにおける動摩擦係数MIUの最小値が、紙で構成された収容部材10の最外面(最外層)10aの動摩擦係数MIUよりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0102】
そうすると、収容体1の外観を紙として維持しつつ、最内面10bの動摩擦係数MIUが最外面10aの動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20の取出し時における不織布の毛羽立ちを抑制することができる。
【0103】
(態様14)
吸収性物品20の最外面10aの少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、前記収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値が、前記対向面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0104】
そうすると、最内面の動摩擦係数MIUが吸収性物品20の対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20の取出し時における不織布の毛羽立ちを抑制することができる。
【0105】
(態様15)
紙の最外面10aの動摩擦係数MIUが、吸収性物品20の最外面10aにおける動摩擦係数MIUの最大値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0106】
そうすると、最外面10aの動摩擦係数MIUが吸収性物品20の対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20を取り出した後の収容部材10と吸収性物品20の接触による不織布の毛羽立ちを抑制することができる。
【0107】
(態様16)
吸収性物品20の最外面10aの少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、吸収性物品20の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値が、対向面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0108】
そうすると、吸収性物品20の最も肌側の動摩擦係数MIUが対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、着用時に吸収性物品20が擦れた際に、着用者が違和感を覚えにくい。また、最内面と対向面が擦れた際に、最も肌側の面同士が滑りやすいので、対向面が最内面につられて動きやすく、毛羽立ちを抑制することができる。
【0109】
(態様17)
吸収性物品20の最外面10aの少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、対向面における動摩擦係数MIUの最小値が、吸収性物品20の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0110】
そうすると、吸収性物品20の対向面の動摩擦係数MIUが最も肌側の面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、吸収性物品20を収容部材10から取出しやすい。
【0111】
(態様18)
前記収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値が、前記紙で構成された前記収容部材10の最外面10aにおける表面粗さSMDよりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0112】
そうすると、収容部材10の最内面においては、表面粗さSMDが小さいので擦れによる吸収性物品20の損傷が抑制され、最外面10aにおいては、表面粗さSMDが大きいので指に引っ掛かりやすく収容体1が持ちやすくなる。
【0113】
(態様19)
吸収性物品20の最外面10aの少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値が、対向面における表面粗さSMDの最小値よりも、小さいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0114】
そうすると、収容部材10の最内面においては、表面粗さSMDが小さいので擦れによる吸収性物品20の損傷が抑制され、吸収性物品20の対向面においては、表面粗さSMDが大きいので指に引っ掛かりやすく吸収性物品20を収容部材10から取出しやすくなる。
【0115】
(態様20)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10の上端部には、吸収性物品20を取り出す際に開封する開口部10Eが設けられており、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、吸収性物品20と開口部10Eの間に隙間が設けられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0116】
そうすると、隙間に手を入れることができるので、手指によって収容部材10を広げやすくなり、取り出す際に吸収性物品20が擦れにくくなる。
【0117】
なお、
図1に示す収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態における吸収性物品20は、吸収性物品20の自重により収容部材10の底部13に当接し、左右方向においては中央に位置している。かかる状態とするには、例えば、収容部材10の上端部を掴んで持ち上げ、軽く上下に振った後に、ゆっくりと収容体1を直立させることで実現することができる。また、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態においてインジケータ23の少なくとも一部が非窓領域19と重複する場合、吸収性物品20は内部空間において移動させることができる。つまり、吸収性物品20を収容部材10の底部13と当接させ、左右方向においては内部空間において任意の位置に位置することができる。
【0118】
(態様21)
開口部10Eは、収容部材10の上端よりも下側に位置することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0119】
そうすると、収容部材10の上端に開口部10Eがある場合に比べて、さらに隙間が形成されるので(隙間+開口部10Eから上端まで部分)、手指によって収容部材10がより一層広げやすくなり、取り出す際に吸収性物品20がより一層擦れにくくなる。
【0120】
(態様22)
前記収容体には、複数の前記吸収性物品20が収容されており、前記吸収性物品20が、前記前後方向において並んでいる一方で、前記上下方向と前記左右方向においては並んでいないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0121】
そうすると、列の数が2列以上の場合に比べて、列と列が接触することがないので、列の形状が崩れることを抑制することができる。
【0122】
(態様23)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓部16の上端及び下端が、吸収性物品20と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0123】
そうすると、窓部16と非窓領域19の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、上端と下端が吸収性物品20と重複することにより、かかる部分で折り曲がりにくくなる。
【0124】
(態様24)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、窓部16の上端が、収容状態における吸収性物品20の上下方向における中心よりも上側に位置することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0125】
そうすると、窓部16と非窓領域19の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、例えば、使用済み品の吸収性物品20を上下方向に2つ折りにして収容体1に入れて廃棄する際に、収容体1をコンパクトにしやすくなる。
【0126】
(態様25)
かかる吸収性物品20の収容体であって、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、前面(前側シート部材)11と、後面(後側シート部材)12と、底面13とを有し、前面11の下端部と後面12の下端部の間には、底面13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられていないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0127】
そうすると、下端部は広げることができないので、予め襠を設けて収容部材10の下側を広くすることにより、吸収性物品20を取り出す際に収容部材10と吸収性物品20が擦れることを抑制することができる。
【0128】
(態様26)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、吸収性物品20の股下側が収容体1の上側に位置するように、吸収性物品20が収容部材10に入れられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0129】
そうすると、吸収性物品20の股下側は剛性が高いので、収容時において下側を上側にすることにより、取出し時に吸収性物品20を引っ張りやすくなる。
【0130】
(態様27)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10と、収容部材10により収容され、排泄物を検知するインジケータ23を有する吸収性物品20と、を備えた吸収性物品20の収容体であって、収容部材10には、外部から吸収性物品20を視認することができる窓部16と、視認することができない非窓領域19と、が設けられており、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域19と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0131】
そうすると、外部から内部の吸収性物品20を視認することができ、かつ、陳列時等に非窓領域19と重複するインジケータ23は、紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0132】
なお、「収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域19と重複する」とは、吸収性物品20が収容部材10の内部で左右方向に動いたときに、そのどの位置でも「前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域19と重複する」を満たしていることを意味するのではなく、どこか1つの位置で満たしていれば足りることを意味する。
【0133】
(態様28)
吸収性物品20には、製品図柄25が印刷されており、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、収容部材10の外部から窓部16を通して製品図柄25の少なくとも一部が視認できることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0134】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20の製品図柄25を確認することができる。
【0135】
(態様29)
製品図柄25には、吸収性物品20が製造された国名、吸収性物品20を製造又は販売する会社名のロゴ、吸収性物品20の商品名のロゴ、及び吸収性物品20に使用されている材料の少なくともいずれか1つの標記が含まれていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0136】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20の製造国、製造会社名のロゴ、商品名のロゴ、及び使用されている材料の少なくともいずれか1つを確認することができる。
【0137】
(態様30)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、腹部26又は背部27が窓領域と対向することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0138】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20(おむつ)の側面に比べて面積の大きい正面又は背面を確認することができる。
【0139】
(態様31)
吸収性物品20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、吸収性物品20は、吸収性物品20の股下側が収容体1の下側に位置するように収容され、収容状態における吸収性物品20を上下方向に4等分した際の最も下側の領域である股下領域を有し、収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、股下領域の少なくとも一部が非窓領域19と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0140】
そうすると、インジケータ23は股下領域に特に必要とされるので、股下領域と非窓領域19が重複することにより、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0141】
(態様32)
前記吸収性物品20は、インジケータ23として、腹部26に位置する部分と背部27に位置する部分とを有しており、腹部26及び背部27の一方が窓部16と対向しており、インジケータ23のうちの一方に位置する部分よりも、インジケータ23のうちの他方に位置する部分の方が、上下方向の上側に長く延びていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0142】
そうすると、長さの長いインジケータ23の部分を窓部16と対向させた場合に比べて、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制される(窓部16と重複するインジケータ23が少なくなる)ので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0143】
(態様33)
吸収性物品20は、インジケータ23として、腹部26に位置する部分と背部27に位置する部分とを有しており、腹部26及び背部27の一方が窓部16と対向しており、インジケータ23のうちの一方に位置する部分は、インジケータ23のうちの他方に位置する部分よりも、上下方向の上側に長く延びていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0144】
そうすると、長さの短いインジケータ23の部分を窓部16と対向させた場合に比べて、非窓領域19において股下領域の劣化を抑制しつつ、陳列時等に消費者が外部からインジケータ23を視認しやすい。
【0145】
(態様34)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、一方に位置する部分と非窓領域19とが重複する重複部分の上下方向における長さが、一方に位置する部分と窓部16とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも、長いことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0146】
そうすると、長さが長い一方のインジケータ23において、窓部16からインジケータ23を視認可能としつつ、非窓領域19の方が重複領域の長さが長いので、短い場合に比べてインジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0147】
(態様35)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、インジケータ233と非窓領域19とが重複する重複部分の上下方向における長さが、インジケータ23と窓部16とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも、長いことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0148】
そうすると、窓部16のほうが長い場合に比べて、陳列時にインジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0149】
(態様36)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓部16の上端が、吸収性物品20と重複しないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0150】
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品20の一端まで確認することができる。
【0151】
(態様37)
収容体1の下端が接地して収容体1が直立した状態とは上下関係が逆様となる状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域19と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0152】
そうすると、収容体1を逆様にした状態において(紙の収容部材10なので内部に隙間がある。つまり、吸収性物品20が内部で収容体1の上側へ移動した状態において)、インジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0153】
(態様38)
収容部材10は、前面11と、後面12と、底面13とを有し、前面11の下端部と後面12の下端部の間には、底面13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられておらず、収容部材10の下端部において、底面部13は、前面11及び後面12の少なくとも一方と、接合されていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0154】
そうすると、収容部材10の下端部における部材同士の接合層の数が収容部材10の上端部における部材同士の接合層の数よりも多いので、収容部材10の下端部が補強され、下端部の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
【0155】
(態様39)
吸収性物品1は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、吸収性物品20の股下側が収容体1の下側に位置するように、吸収性物品20が収容部材10に入れられていることを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0156】
そうすると、吸収性物品20は股下側が厚いので、股下側が位置する収容部材10の部分は裂けやすくなるが、股下側を収容部材10の上側とした場合に比べて、収容部材10の下端部の接合層の数が上端部の接合数の数より多いので(下端部の方がしっかりと接合されているので)、収容部材10の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる
【0157】
(態様40)
収容部材10と、収容部材10に収容され、吸収性コア22aを備える吸収性物品20と、を備えた吸収性物品20の収容体1であって、収容部材10には、図柄15が印刷されており、吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しないことを特徴とする吸収性物品の収容体。
【0158】
そうすると、収容体1が複数並べられる梱包時等において、隣り合う収容体1同士の図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0159】
なお、吸収性物品20は、収容部材10の内部空間において移動させることができるので、収容部材10の内部空間における位置によっては、吸収性物品20(吸収性コア22a)と図柄15の位置関係が成立しない場合があり得る。そのため、吸収性物品20が内部空間において取り得る任意の位置のうちのある位置(内部空間のいずれかの位置)に位置し、記載の位置関係が成立している状態について説明する。なお、吸収性物品20と図柄15の位置関係が常に成立する場合もあり、かかる場合は、内部空間における吸収性物品20の位置はいずれであってもよい。なお、「吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない」とは、吸収性物品20が収容部材10の内部で動いたときに、そのどの位置でも「吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない」を満たしていることを意味するのではなく、どこか1つの位置で満たしていれば足りることを意味する。「吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において」も同様の意味とする。
【0160】
(態様41)
吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性物品20と重複しないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0161】
そうすると、収容体1が複数並べられる梱包時等において、隣り合う収容体1同士の図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0162】
(態様42)
吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15と吸収性物品20とが重複しない領域が、図柄15と吸収性物品20とが重複する領域よりも、大きいことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0163】
そうすると、重複しない領域が小さい場合に比べて、図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0164】
(態様43)
収容部材10の最外面10aの少なくとも一部は、紙で構成され、収容部材10は、内部に内部空間を有し、内部空間は、吸収性物品20が存在する空間と、吸収性物品20が存在しない隙間空間とを有し、吸収性物品20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、隙間空間と重複することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0165】
そうすると、隙間空間には吸収性物品20が存在しないので、かかる部分と重複する図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0166】
(態様44)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、前面11と、後面12と、底面13とを有し、前面11の下端部と後面12の下端部の間には、底面13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられておらず、図柄15の少なくとも一部が、収容部材10の上部に位置することを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0167】
そうすると、左右方向の中心における前面11と後面
12の間の距離は、上部が下部より短いので、上部に図柄15を印刷することにより、隣り合う収容体1の図柄15同士の間隔を広げることができ、収容部材10の図柄15の擦れや吸収性物品20への図柄15の色移りを抑制することができる。
【0168】
(態様45)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10の上端部には、吸収性物品20を取り出す際に開封する開口部10Eが設けられており、開封部10pnには、図柄15が印刷されていないことを特徴とする吸収性物品20の収容体1。
【0169】
そうすると、吸収性物品20の開封時に触る開口部10Eに図柄15が印刷されていないので、手へのインク移り及び図柄15の擦れを抑制することができる。
===その他の実施の形態===
【0170】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0171】
上述の実施形態では、収容部材10が、前側シート部材11,後側シート部材12、及び底面シート部材13によって構成されていたが、収容部材10の構成はこれに限られない。例えば、シート部材11~13が単一のシート部材によって形成されており、当該単一のシート部材を所定位置で折り曲げることによって収容部材10が形成されるのであっても良い。すなわち、
図3の上下方向下端部において、前側シート部材11と底面シート部材13と後側シート部材12とが連続する一部材であり、これらを接合・シールするボトムシール部18が設けられていない構成であっても良い。
【符号の説明】
【0172】
1 吸収性物品の収容体(収容体)、
10 収容部材、10a 最外層、10b 最内層、
10E 開口部、10cr 湾曲領域、
11 前側シート部材、11a 最外層、11b 最内層、
12 後側シート部材、12a 最外層、12b 最内層、
13 底面シート部材、13a 最外層、13b 最内層、
14 封止部、
15 図柄、
151 図柄、151A 第1部分、151B 第2部分、
16 窓部、
17 サイドシール部、
18 ボトムシール部、
20 吸収性物品、
21 外装体、
22 内装体、22a 吸収体、22b 肌側シート、22c 非肌側シート、
23 インジケータ、
24 ファスニングテープ、
25 図柄