(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】高品質3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 29/09 20060101AFI20240917BHJP
C07C 33/025 20060101ALI20240917BHJP
C07C 29/80 20060101ALI20240917BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240917BHJP
【FI】
C07C29/09
C07C33/025
C07C29/80
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2021514575
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019074486
(87)【国際公開番号】W WO2020058119
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ミンゲス,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】カマスズ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グラーラ,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー,ベルンハルト
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-500119(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103224444(CN,A)
【文献】国際公開第2015/186699(WO,A1)
【文献】特開昭57-206628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法であって、
A) トリメチルアミンを前記流れと接触させて、処理流を得るステップ、
B) 前記処理流を≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ、及び
C) 3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを前記処理流から取り出すステップ
を少なくとも含
み、
前記流れが、
a) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
b) ステップa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
c) ステップb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、
d) ステップb)からの水相及びステップc)の軽沸分を合わせ、合わせた相を≧85℃~≦105℃の範囲の温度に付して、水の全量の少なくとも70%の水を除去し、排出流を得るステップ、及び
e) ステップd)の排出流を≧85℃~≦100℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れを得るステップ
を少なくとも含む方法により得られる、方法。
【請求項2】
連続工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップA)~C)を同時に実施する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流れが、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを、前記流れの全重量に対して≧1重量%~≦25重量%の範囲の量で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ギ酸メチルをステップB)の前記処理流から連続的に除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流れが、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、前記流れの全重量に対して≧0.001重量%~≦10重量%の範囲の量で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
トリメチルアミンの沸点が≧2℃~≦130℃の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記トリメチルアミンが、前記流れの全重量に対して≧0.001~≦5.0重量%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記処理流のpHがpH7.0~9.5の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを製造するための方法であって、
aa) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、ギ酸、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
bb) ステップaa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水相とに分離するステップ、
cc) ステップbb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、及び
dd) ステップcc)で得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、請求項1から
9のいずれかに記載の方法により得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールと合わせて、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ
を少なくとも含む方法。
【請求項11】
前記合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを精製方法に付し、精製された、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップee)をさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記精製方法が蒸留である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記精製された、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールが純度≧98.0重量%を有する、請求項
11又は
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドからの3-メチル-3-ブテン-1-オールの製造で得られた流れから、流れをアミン触媒で処理することにより、3-メチル-3-ブテン-1-オールを回収するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3-メチル-3-ブテン-1-オールはそのままで、ポリカルボン酸コンクリート高流動化剤を合成するための開始剤として有用である。加えて、3-メチル-3-ブテン-1-オールは、プロバイオティクス殺有害生物剤であるエチル安息香酸メチルを合成するための主原料として利用されるイソペンテニルアルコールに異性化することができる。3-メチル-3-ブテン-1-オールは、染料、医薬品、プラスチック及び香水を製造するための、特に、シトラールを製造するための出発物質でもある。
【0003】
2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドの反応からの3-メチル-3-ブテン-1-オールの合成は文献から公知である。
【0004】
英国特許第1,205,397号は、塩化スズの存在下での2-メチルプロパ-1-エンとホルムアルデヒドとの反応を記載している。この方法の欠点は、3-メチル-3-ブテン-1-オールが22%以下の選択性でしか得られないことである。
【0005】
WO02/051776は、塩基性化合物としてのホスファートの存在下でα-オレフィンとアルデヒドとを反応させることによりγ,δ-不飽和アルコールを調製する方法を記載している。
【0006】
米国特許第2,335,027号は、ホルムアルデヒド及びイソブチレンからの3-メチル-3-ブテン-1-オールの熱的合成をするための方法を開示している。
【0007】
この反応と関連する広く公知の欠点は、副生成物量のギ酸が反応中に3-メチル-3-ブテン-1-オールと反応して、所望しない3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを形成することである。また、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートでの3-メチル-3-ブテン-1-オールの汚染は、3-メチル-3-ブテン-1-オールの純度、収率及び品質を低下させる。
【0008】
上述の問題の解決法として、米国特許第9,868,681号は、tert.-ブタノールの存在下で2-メチルプロパ-1-エンをホルムアルデヒドと反応させることにより反応液が得られる、3-メチル-3-ブテン-1-オールを調製するための方法を記載している。反応液をアルカリ水溶液と共に撹拌して、pH12.8の水溶液が得られる。結果として、副生成物のギ酸及びギ酸エステルはギ酸塩に変換され、除去される。また、3-メチル-3-ブテン-1-オールがギ酸エステルのエステル部分から形成される。
【0009】
しかしながら、この合成はいくつかの欠点を有する。
【0010】
2-メチルプロパ-1-エンとホルムアルデヒドとの高圧反応では、アルデヒドの3-メチル-ブタ-2-エナール1%~3%が形成され、これも、シトラールプロセスのための価値生成物である。しかしながら、3-メチル-ブタ-2-エナールは、塩基性反応条件下で分解され、続いて、分解の結果、3-メチル-3-ブテン-1-オール及び3-メチル-ブタ-2-エナールの全収率が低下する。
【0011】
3-メチル-2-ブテン-1-オールは、水溶液中にある程度可溶であり(20℃で純水に90g/l)、したがって水性NaOH相にも可溶である。無機NaOH相中での3-メチル-2-ブテン-1-オールの損失を減らすために、3-メチル-2-ブテン-1-オールを再抽出又は蒸留するためのさらなるプロセスステップが必要である。
【0012】
米国特許第9,868,681号も、反応液とアルカリ水溶液とが接触している間の温度は10℃~90℃とすべきことを指摘している。しかしながら、工業用途では、これには、反応液を330℃の温度から90℃の温度へと冷却する大掛かりで長時間のステップが必要となると思われる。米国特許第9,868,681号に記載の方法の別の難題は、工業的規模で有機相中のNa含有不純物及び排水を除去することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術に記載の欠点を克服すること、従来技術から生じる要求を満たすこと、及び工業的に容易に実施することができ、顕著な量の塩を副生成物として発生せず、かつ3-メチル-3-ブテン-1-オール(3-methyl-butenol-ol)の高い全収率をもたらす、3-メチル-3-ブテン-1-オールを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
意外にも、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、アミン触媒の存在下で3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水及びメタノールを含む流れから回収することができ、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを製造する方法の全収率が上昇することが見出された。上記流れは、2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドからの3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールの合成で生成する。
【0015】
したがって、本発明は、一態様では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法であって、
A) 少なくとも1種のアミン触媒を流れと接触させて、処理流(treated stream)を得るステップ、
B) 処理流を≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ、及び
C) 3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを処理流から取り出すステップ
を少なくとも含む方法を対象とする。
【0016】
別の態様では、本発明は、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れを得るための方法であって、
a) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
b) ステップa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
c) ステップb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分(light boiling fraction)を3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、
d) ステップb)からの水相及びステップc)の軽沸分を合わせ、合わせた相を≧85℃~≦105℃の範囲の温度に付して、水の全量の少なくとも70%の水を除去し、排出流を得るステップ、及び
e) ステップd)の排出流を≧85℃~≦100℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れを得るステップ
を少なくとも含む方法も対象とする。
【0017】
また別の態様では、本発明はまた、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを製造するための方法であって、
aa) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
bb) ステップaa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
cc) ステップbb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、及び
dd) ステップcc)で得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、本発明による回収方法により得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールと合わせて、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ
を少なくとも含む方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、「好ましい」を用いる制限的表現を任意に選択することができ、「好ましい」を用いる制限的表現の組み合わせが、さらに好ましいと言うことができる。
【0019】
本方法で使用される出発物質は、市販されているか、又は文献で公知の方法により調製することができる。
【0020】
「本発明」、「発明」又は「本発明の方法」は、ステップA)、B)及びC)又はステップa)、b)、c)、d)、e)又はステップaa)、bb)、cc)及びdd)の1つ以上を指す。
【0021】
本発明を特定の実施形態について記載するが、この記載は、限定を意味すると理解されるべきではない。
【0022】
本発明の例示的な実施形態を詳細に記載する前に、本発明を理解するために重要な定義を示す。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「a」及び「an」の単数形は、文脈で別段に明示されていない限り、それぞれの複数形も含む。本発明の文脈で、「約」及び「ほぼ」という用語は、当業者が該当する特徴の技術的効果をまだ保証すると理解するはずの正確度区間を示す。この用語は典型的には、示されている数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、なおより好ましくは±5%の偏差を示している。「含むこと」という用語は限定的ではないことを理解されたい。本発明の目的では、「からなる」という用語は、「を含む」という用語の好ましい実施形態であると判断される。本明細書において下記で、ある群が少なくとも一定数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も包含することが意図されている。
【0023】
「第1」、「第2」、「第3」又は「A)」、「B)」、「C)」、AA)、BB)、CC)、「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などという用語が方法又は使用又はアッセイのステップに関する場合、ステップ間に時間が存在しないか、又は時間間隔干渉がなく、即ち、本明細書において上記又は下記で別段に示されていない限り、ステップは同時に実行されてもよいし、又はそのようなステップ間に秒、分、時間、日、週、月又はさらには年の時間間隔があってもよい。本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、試薬などに制限されず、これらは変わり得るということを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的としており、本発明の範囲を限定することは意図されてなく、これは、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうということを理解されたい。別段に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的及び科学的専門用語は、当業者により共通に理解される同じ意味を有する。
【0024】
本発明は、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法であって、
A) 少なくとも1種のアミン触媒を流れと接触させて、処理流を得るステップ、
B) 処理流を≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ、及び
C) 3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを処理流から取り出すステップ
を少なくとも含む方法を対象とする。
【0025】
一実施形態では、本発明は、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れを得るための方法であって、
a) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
b) ステップa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、少なくとも水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
c) ステップb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、
d) ステップb)からの水相及びステップc)の軽沸分を合わせ、合わせた相を≧85℃~≦105℃の範囲の温度に付して、水の全量の少なくとも70%の水を除去し、排出流を得るステップ、及び
e) ステップd)の排出流を≧85℃~≦100℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れを得るステップ
を少なくとも含む方法を対象とする。
【0026】
ステップa)で使用するホルムアルデヒドは気体の形態で、ポリマーの形態で、又は水溶液の形態で使用することができる。ホルムアルデヒドをそのまま使用することもできるが、溶媒に溶解されているものを使用することもできる。ホルムアルデヒドを溶解する溶媒は特に限定されないが、これは、入手が簡単であるという観点から、好ましくは水であり、即ち、ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)を使用することが好ましい。加えて、体積効率の観点から、ホルムアルデヒドの濃度は高いほど好ましい。しかしながら、ホルムアルデヒドの濃度が高すぎる場合、分解の問題が起こって、その取扱いが困難になる。したがってホルムアルデヒド溶液の濃度は好ましくは、10~70重量%、より好ましくは30~60重量%であり、まだより好ましくは、35重量%~55重量%を含有する溶液を使用する。
【0027】
また別の実施形態では、水性ホルムアルデヒドが好ましい。
【0028】
一実施形態では、好ましくは2-メチルプロパ-1-エン1.0~60.0mol、より好ましくは2.0~30.0mol、まだより好ましくは3.0~30.0mol、最も好ましくは2.0~15.0mol、特に3.0~15.0molを、ホルムアルデヒド1.0molに対して使用する。
【0029】
別の実施形態では、ステップa)を溶媒の存在又は非存在下で実施することができる。好ましくは、ステップa)をいずれの溶媒も非存在下で実施する。
【0030】
また別の実施形態では、ステップa)をアミンの存在又は非存在下で実施することができる。
【0031】
また別の実施形態では、ステップa)を好ましくは、アミンの存在下で実施する。また別の実施形態では、アミンは、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、1-プロピルアミン、ブタン-2-アミン、メチルプロパン-2-アミン、エタン-1,2-ジアミン、ウロトロピン、ピリジン及びピペリジンからなる群から選択される。また別の実施形態では、アミンは好ましくは、ウロトロピン、トリエチルアミン及びトリメチルアミンからなる群から選択される。好ましくは、アミンはウロトロピンである。
【0032】
また別の実施形態では、ステップa)での反応温度は好ましくは、180℃~350℃の範囲、より好ましくは220℃~300℃の範囲、まだより好ましくは240℃~280℃の範囲である。
【0033】
また別の実施形態では、ステップa)での反応圧力は好ましくは、30bar~300barの範囲、より好ましくは50bar~280barの範囲、まだより好ましくは100bar~280barの範囲、最も好ましくは150bar~250barの範囲である。
【0034】
また別の実施形態では、ステップa)の反応を好ましくは、バッチ方式、セミバッチ方式又は連続方式で実施する。ステップa)をより好ましくは、連続方式で実施する。
【0035】
好ましくは、2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒド水溶液を所定の比で含有する混合溶液を、所定の温度に加熱されている反応容器に供給する。反応圧力を制御し、所定の圧力で維持する。上述の混合溶液を約0.025時間~約5.0時間、好ましくは0.05時間~約2.0時間、より好ましくは約0.05時間~約1.5時間の所定の時間、反応容器内に保持して、反応混合物を得る。反応混合物を冷却する。
【0036】
また別の実施形態では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物をステップa)から得る。ステップa)から得られる混合物の凝縮物は、2つの相、即ち上部有機相及び下部水相からなる。
【0037】
また別の実施形態では、ステップa)から得られる混合物をステップb)で、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、少なくとも水、及び水相の全重量に対して3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離する。
【0038】
また別の実施形態では、ステップb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離する。また別の実施形態では、ステップb)で得られた少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を、≧50~≦300mbarの範囲の圧力の蒸留塔内で、≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付す。
【0039】
別の実施形態では、ステップb)で得られた水相は、少なくとも水、及び水相の全重量に対して3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む。また別の実施形態では、ステップb)からの水相をステップc)の水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分と合わせる。
【0040】
また別の実施形態では、合わせた相を≧85℃~≦105℃の範囲の温度に付して、水の全量の少なくとも70%の水を除去し、排出流を得る。
【0041】
また別の実施形態では、ステップd)の排出流を≧85℃~≦100℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、好ましくは3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート≧1重量%~≦25重量%、水≧0.01重量%~≦10重量%、好ましくは水≧3重量%~≦8重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%、好ましくはメタノール≧55重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れを得る。
【0042】
また別の実施形態では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れはさらに、残留アミンを含み、即ち、少なくとも1種のアミンが、2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを合成するために使用される残留アミンである。
【0043】
一実施形態では、本発明は、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法であって、
A) 少なくとも1種のアミン触媒を流れと接触させて、処理流を得るステップ、
B) 処理流を≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ、及び
C) 3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを処理流から取り出すステップ
を少なくとも含む方法を提供する。
【0044】
別の実施形態では、流れは、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを、流れの全重量に対して≧1重量%~≦25重量%、好ましくは≧5重量%~≦25重量%の範囲の量で含む。
【0045】
また別の実施形態では、流れは、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、流れの全重量に対して≧0.001重量%~≦10重量%の範囲の量で含む。また別の実施形態では、流れは、2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを合成するために使用される少なくとも1種の残留アミンを含む。
【0046】
また別の実施形態では、流れは、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、好ましくは3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート≧1重量%~≦25重量%、水≧0.01重量%~≦10重量%、好ましくは水≧3重量%~≦8重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%、好ましくはメタノール≧55重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む。
【0047】
また別の実施形態では、流れは、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート≧1重量%~≦25重量%、水≧0.01重量%~≦10重量%、メタノール≧50重量%~≦70重量%、ギ酸≧0.001重量%~≦1重量%、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≧0重量%~≦10重量%、及び3-メチル-ブタ-2-エナール<0.5重量%を含み、この際、重量%の量は、流れの全重量に対し、かつ合計すると100重量%になる。
【0048】
また別の実施形態では、流れは、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート≧5重量%~≦25重量%、水≧0.01重量%~≦10重量%、メタノール≧50重量%~≦70重量%、ギ酸≧0.001重量%~≦1重量%、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≧0.001重量%~≦10重量%、並びに2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを合成するために使用される少なくとも1種の残留アミンを含み、この際、重量%の量は、流れの全重量に対し、かつ合計すると100重量%になる。
【0049】
一実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒をステップA)で、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れと接触させて、処理流を得る。
【0050】
別の実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒をステップA)で、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、好ましくは3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート≧1重量%~≦25重量%、水≧0.01重量%~≦10重量%、好ましくは水≧3重量%~≦8重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%、好ましくはメタノール≧55重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れに接触させる。
【0051】
別の実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒をステップA)で、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、好ましくは3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート≧1重量%~≦25重量%、水≧0.01重量%~≦10重量%、好ましくは水≧3重量%~≦8重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%、好ましくはメタノール≧55重量%~≦70重量%、並びに2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを合成するために使用される少なくとも1種の残留アミンを、それぞれ流れの全重量に対して含む流れに接触させる。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒を、蒸留塔内で、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れに接触させる。別の実施形態では、追加のメタノールを、蒸留塔内で、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れに添加しない。
【0053】
処理流のpHがpH7.0~9.5の範囲、好ましくはpH7.5~9.5の範囲、より好ましくはpH7.5~9.0の範囲、まだより好ましくはpH8.0~9.5の範囲、まだより好ましくはpH8.0~9.0の範囲、最も好ましくはpH8.5~9.0の範囲、最も好ましくはpH8.5~9.0の範囲、特にpH8.5~9.5の範囲であるように、少なくとも1種のアミン触媒を、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れに添加する。
【0054】
また別の実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒の沸点は、≧2℃~≦130℃の範囲である。
【0055】
別の実施形態では、ステップA)の少なくとも1種のアミン触媒は、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、1-プロピルアミン、ブタン-2-アミン、メチルプロパン-2-アミン、エタン-1,2-ジアミン、ピリジン及びピペリジンからなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1種のアミンは、トリメチルアミン又はトリエチルアミンである。
【0056】
別の実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒は、流れの全重量に対して≧0.001~≦5.0重量%、好ましくは、流れの全重量に対して≧0.01~≦4.0重量%、より好ましくは≧0.05~≦4.0重量%、なおより好ましくは≧0.1~≦4.0重量%、まだより好ましくは≧0.5~≦4.0重量%、最も好ましくは≧1.0~≦4.0重量%の範囲の量で存在する。
【0057】
一実施形態では、ステップA)の処理流を、≧40℃~≦120℃の範囲、好ましくは≧60℃~≦110℃の範囲の温度に付す。別の実施形態では、ステップA)の処理流を蒸留塔で、≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得る。こうして得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを蒸留塔の側面抜取り部(side draw)を介して取り出す。
【0058】
別の実施形態では、ステップA)の処理流を蒸留塔で≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、さらに少なくともメチルホルマート、メタノール及び少なくとも1種のアミンを得る。少なくともメチルホルマート、メタノール及び少なくとも1種のアミンを留出物、即ち、蒸留塔の頂部流(head stream)と共に取り出す。
【0059】
一実施形態では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法を反応蒸留で行う。
【0060】
一実施形態では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法のステップA)~C)を反応蒸留で行う。
【0061】
また別の実施形態では、ステップA)~C)を好ましくは、バッチ方式、セミバッチ方式及び連続方式で実施する。ステップA)~C)をより好ましくは連続方式で実施する。
【0062】
また別の実施形態では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法は連続工程である。
【0063】
また別の実施形態では、ステップA)~C)を同時に実施する。
【0064】
別の実施形態では、ステップA)、B)及びC)を反応蒸留で、蒸留塔の側面抜取り部を介して3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを取り出し、かつメチルホルマート、メタノール及び少なくとも1種のアミンを留出物、即ち蒸留塔の頂部流と共に取り出すことにより、連続的に行う。
【0065】
別の実施形態では、少なくとも1種のアミン触媒の存在下での3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートとメタノールとの反応を≧40℃~≦120℃の範囲の温度で反応蒸留で行う。少なくとも1種のアミン触媒は、エステル交換触媒として作用する。方法では、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールに変換し、同時に、メタノールをギ酸メチルに変換する。
【0066】
別の実施形態では、ギ酸メチルは、反応混合物から、留出物、即ち、蒸留塔の頂部流と共に容易に分離される。
【0067】
一実施形態では、本発明はまた、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを製造するための方法であって、
aa) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、ギ酸、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
bb) ステップaa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
cc) ステップbb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、及び
dd) ステップcc)で得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、本発明による回収方法により得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールと合わせて、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ
を少なくとも含む方法を提供する。
【0068】
一実施形態では、ステップC)で回収される3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、ステップcc)から得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールと合わせる。合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを精製方法に付し、精製された、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得る。
【0069】
別の実施形態では、精製方法は、濾過、蒸発、蒸留及びクロマトグラフィーから選択され、好ましくは精製方法は蒸留である。
【0070】
また別の実施形態では、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを精製するための蒸留を≧120℃~≦160℃の範囲の温度で実施して、精製された3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得る。
【0071】
また別の実施形態では、精製された3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールは≧98.0重量%の純度を有する。
【0072】
次に、本開示をさらに例示するために実施形態のリストを示すが、下記に列挙する具体的な実施形態に本開示を限定することは意図していない。
1.3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法であって、
A)少なくとも1種のアミン触媒を流れと接触させて、処理流を得るステップ、
B)処理流を≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ、及び
C)3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを処理流から取り出すステップ
を少なくとも含む方法。
2.連続工程である、実施形態1に記載の方法。
3.ステップA)~C)を同時に実施する、実施形態1又は2に記載の方法。
4.流れが3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを、流れの全重量に対して≧1重量%~≦25重量%の範囲の量で含む、実施形態1に記載の方法。
5.ギ酸メチルをステップB)の処理流から連続的に除去する、実施形態1に記載の方法。
6.流れが、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、流れの全重量に対して≧0.001重量%~≦10重量%の範囲の量で含む、実施形態1に記載の方法。
7.少なくとも1種のアミン触媒の沸点が≧2℃~≦130℃の範囲である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
8.少なくとも1種のアミン触媒が、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、1-プロピルアミン、ブタン-2-アミン、メチルプロパン-2-アミン、エタン-1,2-ジアミン、ピリジン及びピペリジンからなる群から選択される、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
9.少なくとも1種のアミン触媒がトリメチルアミン又はトリエチルアミンである、実施形態8に記載の方法。
10.少なくとも1種のアミン触媒が、流れの全重量に対して≧0.001~≦5.0重量%の範囲の量で存在する、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
11.処理流のpHがpH7.0~9.5の範囲である、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
12.3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む実施形態1の流れを提供するための方法であって、
a)2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
b)ステップa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
c)ステップb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、
d) ステップb)からの水相及びステップc)の軽沸分を合わせ、合わせた相を≧85℃~≦105℃の範囲の温度に付して、水の全量の少なくとも70%の水を除去し、排出流を得るステップ、及び
e)ステップd)の排出流を≧85℃~≦100℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む実施形態1に記載の流れを得るステップ
を少なくとも含む方法。
13.ステップa)において、温度が≧150℃~≦350℃の範囲である、実施形態12に記載の方法。
14.ステップa)において、温度が≧200℃~≦300℃の範囲である、実施形態13に記載の方法。
15.ステップa)において、圧力が≧150bar~≦350barの範囲、好ましくは≧200bar~≦270barの範囲である、実施形態12に記載の方法。
16.ステップc)において、圧力が≧50~≦300mbarの範囲である、実施形態12に記載の方法。
17.3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを製造するための方法であって、
aa)2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、ギ酸、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
bb) ステップaa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水相とに分離するステップ、
cc)ステップbb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、及び
dd)ステップcc)で得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、実施形態1から11のいずれかに記載の方法により得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールと合わせて、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ
を少なくとも含む方法。
18.合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを精製方法に付し、精製された、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップee)をさらに含む、実施形態17に記載の方法。
19.精製方法が蒸留である、実施形態18に記載の方法。
20.合わせた精製3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールが純度≧98.0重量%を有する、実施形態18又は19に記載の方法。
本発明は、例えば以下の実施形態も提供する:
[実施形態1]3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む流れから、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを回収するための方法であって、
A) 少なくとも1種のアミン触媒を前記流れと接触させて、処理流を得るステップ、
B) 前記処理流を≧40℃~≦120℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ、及び
C) 3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを前記処理流から取り出すステップ
を少なくとも含む方法。
[実施形態2]連続工程である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]前記ステップA)~C)を同時に実施する、実施形態1又は2に記載の方法。
[実施形態4]前記流れが、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを、前記流れの全重量に対して≧1重量%~≦25重量%の範囲の量で含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]ギ酸メチルをステップB)の前記処理流から連続的に除去する、実施形態1に記載の方法。
[実施形態6]前記流れが、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、前記流れの全重量に対して≧0.001重量%~≦10重量%の範囲の量で含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態7]少なくとも1種のアミン触媒の沸点が≧2℃~≦130℃の範囲である、実施形態1から6のいずれかに記載の方法。
[実施形態8]前記少なくとも1種のアミン触媒が、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、1-プロピルアミン、ブタン-2-アミン、メチルプロパン-2-アミン、エタン-1,2-ジアミン、ピリジン、及びピペリジンからなる群から選択される、実施形態1から7のいずれかに記載の方法。
[実施形態9]前記少なくとも1種のアミン触媒がトリメチルアミン又はトリエチルアミンである、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]前記少なくとも1種のアミン触媒が、前記流れの全重量に対して≧0.001~≦5.0重量%の範囲の量で存在する、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
[実施形態11]前記処理流のpHがpH7.0~9.5の範囲である、実施形態1から10のいずれかに記載の方法。
[実施形態12]実施形態1に記載の流れが、
a) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
b) ステップa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≦10重量%を含む水相とに分離するステップ、
c) ステップb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、
d) ステップb)からの水相及びステップc)の軽沸分を合わせ、合わせた相を≧85℃~≦105℃の範囲の温度に付して、水の全量の少なくとも70%の水を除去し、排出流を得るステップ、及び
e) ステップd)の排出流を≧85℃~≦100℃の範囲の温度に付して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%をそれぞれ流れの全重量に対して含む実施形態1に記載の流れを得るステップ
を少なくとも含む方法により得られる、実施形態1に記載の方法。
[実施形態13]3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを製造するための方法であって、
aa) 2-メチルプロパ-1-エン及びホルムアルデヒドを反応させて、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、ギ酸、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む混合物を得るステップ、
bb) ステップaa)で得られた混合物を、少なくとも3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む有機相と、水相とに分離するステップ、
cc) ステップbb)で得られた有機相を≧120℃~≦160℃の範囲の温度に付して、水、メタノール及び3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマートを含む軽沸分を、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールから分離するステップ、及び
dd) ステップcc)で得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを、実施形態1から11のいずれかに記載の方法により得られた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールと合わせて、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップ
を少なくとも含む方法。
[実施形態14]前記合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを精製方法に付し、精製された、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを得るステップee)をさらに含む、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]前記精製方法が蒸留である、実施形態14に記載の方法。
[実施形態16]前記精製された、合わせた3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールが純度≧98.0重量%を有する、実施形態14又は15に記載の方法。
【0073】
本発明を記載してきたが、例示のみを目的として本明細書に示されているいくつかの具体的な実施例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。実施例は、別段に指定されていない限り、限定的であることを意図したものではない。
【実施例】
【0074】
実施例それぞれでのガスクロマトグラフィー分析を次の条件下で行った。
装置:Agilent 7890B
使用塔:DB Wax 30m、内径(inner diameter)0.32 mm、フィルム厚0.25μm
分析条件: 50℃、5分等温 - 加熱速度6℃/分で230℃に - 230℃、30分等温
【0075】
[実施例1]
2-メチルプロパ-1-エン(2053g)、ホルムアルデヒド水溶液(200g、50重量%)及びウロトロピン1.4gをオートクレーブに入れた。オートクレーブを密閉し、撹拌し、270℃に加熱すると、内部圧力が100barに上昇した。オートクレーブを窒素で250barに加圧した。反応混合物を270℃及び250barで1時間撹拌した。反応混合物を25℃に冷却し、圧力を放出した。2-メチルプロパ-1-エンを収集し、循環させた。液体反応混合物を秤量し、分析した。
有機上部相:370g
69%=3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール255g
0.9%=ホルムアルデヒド3.3g
20.8%=水77g
2%=メタノール7.4g
1.1%=3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート4.1g
1.2%=3-メチル-ブタ-2-エナール4.4
5%=副生成物5.5g
水性下部相:29g
8%=3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール2.3g
4%=メタノール1.16g
2%=副生成物0.56g
86%=水24.9g
【0076】
3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを精製するための一般方法
蒸留1:連続蒸留塔を使用し、反応の有機上部相を1013mbarの圧力で、≦135℃の液溜め(sump)温度及び≦101℃の頂部温度で蒸留した。留出物流での還流比を5:1に調整した。水、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、メタノール及び他の低沸点物質を留出物頂部流と共に取り出した。
【0077】
蒸留2:3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール、3-メチル-ブタ-2-エナール及び副生成物を含む蒸留1の液溜め流を蒸留塔2で精製して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール≧98.0%及び3-メチル-ブタ-2-エナール≦1.5%を得た。
【0078】
蒸留3:水、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、メタノール及び他の低沸点物質の頂部流を反応の水性下部相と合わせ、2相混合物を蒸留塔3に供給した。
【0079】
蒸留塔を圧力1023mbarで、100℃の液溜め温度及び25:1の還流比で運転した。塔のストリッピング部分での温度を95℃~100℃で維持した。有機成分(メタノール、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを含む)を取り出し、有機化合物<1%の含有率を有する排水を塔の液溜めで取り出した。
【0080】
塔の整流部分の温度を80℃~95℃で維持し、水を除去して、3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、それぞれが流れの全重量に対して、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%の流れを得た。
【0081】
3-メチル-ブタ-3-エン-1-イルホルマート、それぞれが流れの全重量に対して、水≧0.01重量%~≦10重量%、及びメタノール≧50重量%~≦70重量%の流れを、表2~5に示されているとおりのアミン触媒の存在下でエステル交換した。反応を、撹拌機、窒素ストリッピングのためのガス注入パイプ及び蒸留塔を備えた250mlフラスコ内で行った。反応物を外部油浴で加熱した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターし、pH値を制御し、pH電極でモニターした。
【0082】
回収された3-メチル-ブタ-3-エン-1-オールを蒸留塔1に送った。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
本発明の範囲外の例
【0087】
【0088】
【0089】