(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】HPLCを有する自動分析装置及びその自動分析装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/32 20060101AFI20240917BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240917BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20240917BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G01N30/32 Z
G01N30/26 M
G01N30/46 E
G01N30/86 D
G01N30/86 P
(21)【出願番号】P 2023514349
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2022004376
(87)【国際公開番号】W WO2022219893
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2021068408
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】飛田 翠
(72)【発明者】
【氏名】秋枝 大介
(72)【発明者】
【氏名】野上 真
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄一郎
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-524282(JP,A)
【文献】国際公開第2020/175510(WO,A1)
【文献】特開2011-99764(JP,A)
【文献】特開2008-209334(JP,A)
【文献】特開平1-142461(JP,A)
【文献】特開平4-184167(JP,A)
【文献】特開昭57-110959(JP,A)
【文献】国際公開第2020/179001(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 - 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液装置と、この送液装置に接続された送液流路とを有し、移動相を送液する送液部と、
前記送液部から送液された前記移動相に試料を導入する試料導入部と、
前記試料導入部から前記試料が導入され、前記試料を複数の成分に分離させる分離カラムと、
前記分離カラムにより分離された前記成分を検出する検出器と、
前記送液部、前記試料導入部及び前記検出器を制御する制御部と、
を備えるHPLCを有する自動分析装置において、
表示部と、
前記送液部は、
前記送液流路の圧力を検出する圧力センサを有し、前記送液流路に接続されるパージバルブと、廃液流路と、を有し、前記送液部と前記試料導入部とは、第1分析流路を介して互いに接続され、
前記パージバルブは、前記制御部により制御され、前記送液流路を前記第1分析流路または前記廃液流路に選択的に接続し、
前記試料導入部は、前記第1分析流路から導入された前記移動相に前記試料を導入する試料導入バルブを有し、
前記制御部は、前記圧力センサが検出した前記圧力に基づいて、前記送液部による前記移動相の送液開始直後の圧力上昇率、前記送液部による前記移動相の送液を一定時間継続した後の圧縮圧力変化量及び圧力平均を算出し、前記圧力上昇率が規定上昇率値以内であり、前記圧力変化量が規定圧力変化量値以内であり、かつ、前記圧力平均が規定圧力範囲内であるか否かを判定し、前記分離カラムの平衡化の完了を判定し、前記圧力上昇率が前記規定上昇率値より大きい場合は、前記分離カラムまたは配管の交換のアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧力上昇率が前記規定上昇率値以内である場合であって、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内でない場合は、所定判定回数だけ、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内か否かを判定し、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内とはならかった場合は、流路のパージおよび洗浄のアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧力上昇率が前記規定上昇率値以内であり、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内である場合であって、前記圧力平均が前記規定圧力範囲内である場合は、前記分離カラムの平衡化の完了と判定し、前記圧力平均が規定圧力上限値より高い場合は、分離カラムまたは配管の交換のアラームを前記表示部に表示させ、前記圧力平均が規定圧力下限値より低い場合は、どの部分でリークが発生しているかを判定することを特徴とするHPLCを有する自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載のHPLCを有する自動分析装置において、
前記制御部は、
前記圧力平均が前記規定圧力下限値より低い場合は、前記圧縮圧力変化量が、規定圧縮圧力変化量以下か否かを判定し、前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下の場合、前記送液部内のシリンダから送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下ではなかった場合、前記パージバルブの耐圧チェックを行い、前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記パージバルブより上流側で送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記耐圧チェックの結果が異常ではない場合、前記試料導入バルブの耐圧チェックを行い、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記試料導入バルブと前記パージバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常で無い場合、前記試料導入バルブより下流に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させることを特徴とするHPLCを有する自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載のHPLCを有する自動分析装置において、
前記分離カラムは互いに並列に配置された複数の分離カラムであり、
複数の前記分離カラムと並列に配置されたバイパス流路と、
複数の前記分離カラム及び前記バイパス流路のうちのいずれかと前記試料導入バルブとを選択的に接続できると共に、複数の前記分離カラム及び前記バイパス流路のうちのいずれにも選択的に接続されていない状態を設定できる第1カラム切り替えバルブと、
複数の前記分離カラム及び前記バイパス流路のうちのいずれかと前記検出器とを選択的に接続できると共に、複数の前記分離カラム及び前記検出器のうちのいずれにも選択的に接続されていない状態を設定できる第2カラム切り替えバルブと、
を備え、
前記制御部は、
前記圧力平均が前記規定圧力下限値より低い場合は、前記圧縮圧力変化量が、規定圧縮圧力変化量以下か否かを判定し、前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下の場合、前記送液部内のシリンダから送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下ではなかった場合、前記パージバルブの耐圧チェックを行い、前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記パージバルブより上流側で送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記耐圧チェックの結果が異常ではない場合、前記試料導入バルブの耐圧チェックを行い、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記試料導入バルブと前記パージバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常で無い場合、前記第1カラム切り替えバルブの耐圧チェックを行い、前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記試料導入バルブと前記第1カラム切り替えバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記第試料1カラム切り替えバルブの前記耐圧チェックの結果が異常ではない場合、前記第2カラム切り替えバルブの耐圧チェックを行い、前記第2カラム切り替えバルブの前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記第1カラム切り替えバルブと前記第2カラム切り替えバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、前記第2カラム切り替えバルブの前記耐圧チェックの結果が異常で無い場合、前記第2カラム切り替えバルブより下流側においてリークが発生しているとのアラームを前記表示部に表示させることを特徴とするHPLCを有する自動分析装置。
【請求項6】
送液装置と、この送液装置に接続された送液流路とを有し、移動相を送液する送液部と、
前記送液部から送液された前記移動相に試料を導入する試料導入部と、
前記試料導入部から前記試料が導入され、前記試料を複数の成分に分離させる分離カラムと、
前記分離カラムにより分離された前記成分を検出する検出器と、
前記送液部、前記試料導入部及び前記検出器を制御する制御部と、
を備えるHPLCを有する自動分析装置の制御方法において、
前記送液部は、前記送液流路に接続されるパージバルブと、廃液流路と、を有し、前記送液部と前記試料導入部とは、第1分析流路を介して互いに接続され、
前記パージバルブは、前記送液流路を前記第1分析流路または前記廃液流路に選択的に接続され、
前記試料導入部は、前記第1分析流路から導入された前記移動相に前記試料を導入する試料導入バルブを有し、
前記送液流路の圧力を検出し、
検出した前記圧力に基づいて、前記送液部による前記移動相の送液開始直後の圧力上昇率、前記送液部による前記移動相の送液を一定時間継続した後の圧縮圧力変化量及び圧力平均を算出し、前記圧力上昇率が規定上昇率値以内であり、前記圧力変化量が規定圧力変化量値以内であり、かつ、前記圧力平均が規定圧力範囲内であるか否かを判定し、
前記圧力上昇率が前記規定上昇率値より大きい場合は、前記分離カラムまたは配管の交換のアラームを表示部に表示させ、
前記圧力上昇率が規定上昇率以内である場合であって、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内でない場合は、所定判定回数だけ、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内か否かを判定し、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内とはならかった場合は、流路のパージおよび洗浄のアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧力上昇率が規定上昇率以内であり、前記圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内である場合であって、前記圧力平均が規定圧力範囲内である場合は、前記分離カラムの平衡化の完了と判定し、前記圧力平均が規定圧力上限値より高い場合は、分離カラムまたは配管の交換のアラームを前記表示部に表示させ、前記圧力平均が規定圧力下限値より低い場合は、どの部分でリークが発生しているかを判定することを特徴とするHPLCを有する自動分析装置の制御方法。
【請求項9】
請求項6に記載のHPLCを有する自動分析装置の制御方法において、
前記圧力平均が前記規定圧力下限値より低い場合は、前記圧縮圧力変化量が、規定圧縮圧力変化量以下か否かを判定し、前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下の場合、前記送液部内のシリンダから送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下ではなかった場合、前記パージバルブの耐圧チェックを行い、前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記パージバルブより上流側で送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記耐圧チェックの結果が異常ではない場合、前記試料導入バルブの耐圧チェックを行い、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記試料導入バルブと前記パージバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常で無い場合、前記試料導入バルブより下流に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させることを特徴とするHPLCを有する自動分析装置の制御方法。
【請求項10】
請求項6に記載のHPLCを有する自動分析装置の制御方法において、
前記分離カラムは互いに並列に配置された複数の分離カラムであり
前記自動分析装置は、
複数の前記分離カラムと並列に配置されたバイパス流路と、
複数の前記分離カラム及び前記バイパス流路のうちのいずれかと前記試料導入バルブとを選択的に接続できると共に、複数の前記分離カラム及び前記バイパス流路のうちのいずれにも選択的に接続されていない状態を設定できる第1カラム切り替えバルブと、
複数の前記分離カラム及び前記バイパス流路のうちのいずれかと前記検出器とを選択的に接続できると共に、複数の前記分離カラム及び前記検出器のうちのいずれにも選択的に接続されていない状態を設定できる第2カラム切り替えバルブと、
を備え、
前記圧力平均が前記規定圧力下限値より低い場合は、前記圧縮圧力変化量が、規定圧縮圧力変化量以下か否かを判定し、前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下の場合、前記送液部内のシリンダから送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記圧縮圧力変化量が前記規定圧縮圧力変化量以下ではなかった場合、前記パージバルブの耐圧チェックを行い、前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記パージバルブより上流側で送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記耐圧チェックの結果が異常ではない場合、前記試料導入バルブの耐圧チェックを行い、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記試料導入バルブと前記パージバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、前記試料導入バルブの前記耐圧チェックの結果が異常で無い場合、前記第1カラム切り替えバルブの耐圧チェックを行い、前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記試料導入バルブと前記第1カラム切り替えバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、
前記第試料1カラム切り替えバルブの前記耐圧チェックの結果が異常ではない場合、前記第2カラム切り替えバルブの耐圧チェックを行い、前記第2カラム切り替えバルブの前記耐圧チェックの結果が異常な場合、前記第1カラム切り替えバルブと前記第2カラム切り替えバルブとの間に送液のリークが発生していることのアラームを前記表示部に表示させ、前記第2カラム切り替えバルブの前記耐圧チェックの結果が異常で無い場合、前記第2カラム切り替えバルブより下流側においてリークが発生しているとのアラームを前記表示部に表示させることを特徴とするHPLCを有する自動分析装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HPLCを有する自動分析装置及び自動分析装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HPLC(高速液体クロマトグラフ)は、試料を分離する分離カラムに送出される移動相として液体を用いたクロマトグラムである液体クロマトグラフにおいて、分析時間の短縮や分離性能の向上を目的として、分離カラムの充填剤の粒子径を小さくし、送液装置により高圧で圧縮された液体を用いて分析を行う分析装置である。
【0003】
注入部から分析流路に導入される分析対象を含む液体試料は、移動相によって分離カラムまで送液される。HPLCを有する自動分析装置による成分検出方法は、分離カラムに充填された固定相と移動相との親和性の差を用いて、液体試料が複数の成分に分離され、分離された各成分を、検出器を用いて検出する方法である。
【0004】
HPLCの測定データは、試料の保持時間と、検出器の信号強度の関係を示すピークで表示される。保持時間はピークトップの時間であり、分析条件が同一であれば試料成分毎にほぼ同一の値を示す。このため、保持時間は、分離成分を同定するための情報として使用される。
【0005】
HPLCの分析を始める際、測定の準備として、分析に用いる初期溶媒を送液し、カラム平衡化を行う。カラム平衡化はカラム容積の10倍以上の溶媒を送液することが一般的であり、平衡化の完了は圧力変動、検出器のベースラインの安定などを目安としてユーザが判断する。
【0006】
測定開始後、送液圧力や分析対象成分の検出時間が一方向に変動する場合や、まだ平衡化が十分でなかったとユーザが判断し、再測定をする場合がある。
【0007】
また、HPLC分析における送液は高圧で行われている。
【0008】
特許文献1には、ポンプの通常圧力の上下限値をモニタし、例えば、上限を超える圧力である場合、圧力異常であることのアラームを発し、ユーザがチェックを行う技術が記載されている。圧力異常である場合は、即座に送液を停止し、送液ポンプの破損を防止するとともに、流路の詰まりがないかを確認する必要がある。
【0009】
また、下限を下回る場合、送液ポンプの異常や配管接続部からのリークがないかを確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、上述したように、圧力異常である場合は、即座に送液を停止し、送液ポンプの破損を防止するとともに、流路の詰まりがないかを確認する必要がある。
【0012】
また、下限を下回る場合、送液ポンプの異常や配管接続部からのリークがないかを確認する必要がある。
【0013】
これらの確認はユーザによる配管の付け外し、リーク箇所の特定などの煩雑な作業を伴い、溶媒の消費が増大してしまっていた。また、カラムの平衡化の完了をユーザが判断しなければならず、ユーザの負担が増加していた。
【0014】
本発明の目的は、測定の準備動作として行う、カラム平衡化に関して自動で完了の判定を行い、同時に平衡化過程においてエラーが発生した場合、エラー箇所の特定をすることを可能にしたHPLCを有する自動分析装置およびその自動分析装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0016】
送液装置と、この送液装置に接続された送液流路とを有し、移動相を送液する送液部と、送液部から送液された移動相に試料を導入する試料導入部と、試料導入部から試料が導入され、試料を複数の成分に分離させる分離カラムと、分離カラムにより分離された前記成分を検出する検出器と、送液部、試料導入部及び検出器を制御する制御部と、を備えるHPLCを有する自動分析装置において、送液部は、送液流路の圧力を検出する圧力センサを有し、制御部は、圧力センサが検出した圧力に基づいて、送液部による移動相の送液開始直後の圧力上昇率、送液部による移動相の送液を一定時間継続した後の圧縮圧力変化量及び圧力平均を算出し、分離カラムの平衡化の完了を判定する。
【0017】
また、送液装置と、送液装置に接続された送液流路とを有し、移動相を送液する送液部と、移動相に試料を導入する試料導入部と、試料を複数の成分に分離させる分離カラムと、分離された前記成分を検出する検出器と、送液部、試料導入部及び検出器を制御する制御部と、を備えるHPLCを有する自動分析装置の制御方法において、送液流路の圧力を検出し、検出した圧力に基づいて、送液部による移動相の送液開始直後の圧力上昇率、送液部による移動相の送液を一定時間継続した後の圧縮圧力変化量及び圧力平均を算出し、分離カラムの平衡化の完了を判定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測定の準備動作として行う、カラム平衡化に関して自動で完了の判定を行い、同時に平衡化過程においてエラーが発生した場合、エラー箇所の特定をすることを可能にしたHPLCを有する自動分析装置およびその自動分析装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1に係るHPLCを有する自動分析装置の概略構成図である。
【
図2】実施例1におけるカラム平衡化完了を判定するフローチャートである。
【
図3A】
図2において、圧力上昇率が規定値以内である場合のグラフである。
【
図3B】
図2において、圧力上昇率が規定値外である場合のグラフである。
【
図4】実施例1におけるリーク箇所の特定プロセスを実施するフローチャートである。
【
図5】実施例2に係るHPLCを有する自動分析装置の概略構成図である。
【
図6】実施例2におけるリーク箇所の特定プロセスを実施するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
本発明による自動分析装置のワークフローについて説明する。電源をオンとした後に、自動分析装置を立ち上げ、分析部と制御部の通信確認、各センサおよび各消耗品の状態確認を実施する「立ち上げ工程」、ユーザまたはサービスパーソンがメンテナンス項目を選択し実施する「測定前準備工程」、キャリブレーション測定、分析の品質維持のために用いられるQC(Quality control)測定および検体測定を実施する「本測定工程」、本測定工程後に待機する「待機工程」、自動分析装置をオフとするための準備を実施する「測定後準備工程」および自動分析装置をオフとする「立下げ工程」の各工程から構成される。
【0022】
本発明は上記に示すワークフローの「測定前準備工程」に実施するものである。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係るHPLCを有する自動分析装置100の概略構成図である。
【0024】
図1において、HPLCを有する自動分析装置100は、移動相タンク101と、送液ユニット102(送液部)と、試料導入ユニット103(試料導入部)と、カラム温度調整ユニット(カラム温度調整部)104と、検出器105と、統括制御部114と、操作部118と、表示部119とから大略構成されている。
【0025】
送液ユニット102(送液部)と試料導入ユニット103(試料導入部)とは、分析流路C1(第1分析流路)を介して接続され、移動相が試料導入ユニット103に導入される。
【0026】
送液ユニット102は、一例として、送液装置106と、圧力検出器107と、パージバルブ108と、送液流路C0と、分析流路C1(第1分析流路)と、廃液流路C2とを備える。送液装置106は、試料の搬送や分離に使用される移動相を、移動相タンク101から吸引し、高圧圧縮して吐出する機能を有する。
【0027】
この送液ユニット102は、一例として、1台の送液装置106から1つ又は複数の移動相を送液することが可能なHPLCシステムとして構成することができる。
【0028】
圧力検出器107は、送液ユニット102の移動相を送液する送液流路C0、および検出器105までの配管内の圧力を検出する(モニタする)センサ装置(圧力センサ)である。パージバルブ108は送液装置106の下流側に接続され、送液流路C0を、試料導入ユニット103へと接続された分析流路C1、または廃液流路C2に選択的に接続する機能を有する。
【0029】
また、パージバルブ108は、耐圧試験を実施する場合、分析流路C1および廃液流路C2のいずれにも接続されない密栓状態を形成可能に構成される。
【0030】
試料導入ユニット103は、試料導入バルブ109と、試料計量ポンプ110と、ニードル111とから大略構成される。試料導入バルブ109は、前述の分析流路C1と接続されて、移動相を下流の分析流路C3(第2分析流路)に導入するための切り替え機能を有している。試料導入バルブ109は、試料を導入するための試料導入口112を備えている。試料計量ポンプ110は、この試料導入口112に対し、ニードル111を介して分析対象の試料を吐出する機能を有する。試料計量ポンプ110から試料導入バルブ109に導入された試料は、移動相と混合されて分析流路C3へ吐出される。試料導入バルブ109は、廃液流路C4にも接続されている。
【0031】
カラム温度調整ユニット104は、分離カラム113が収納可能であり、分離カラム113は、試料導入ユニット103と分析流路C3を介して接続され、試料導入ユニット103から移動相により導入された試料を複数の成分に分離させる。検出器105は、カラム温度調整ユニット104の下流に分析流路C5(第3分析流路)を介して接続され、分離カラム113において分離された試料の各成分を検出する機能を有する。
【0032】
統括制御部114は、送液ユニット102、試料導入ユニット103、カラム温度調整ユニット104、および検出器105を制御して、HPLCデータの取得をするための制御部である。
【0033】
統括制御部114は、一例として、前述した送液ユニット102、試料導入ユニット103及びカラム温度調整ユニット104を制御するための分析条件を設定する分析条件設定部115、検出器105により出力された分析結果を解析するデータ処理部116、および各分析の開始タイミング等を各ユニット102-104に出力させる分析制御部117を有する。
【0034】
統括制御部114は、圧力センサ107が検出した圧力に基づいて、送液ユニット(送液部)102による移動相の送液開始直後の圧力上昇率、送液を一定時間継続後の圧縮圧力変化量及び圧力平均を算出し、分離カラム113の平衡化の完了を自動で判定する。
【0035】
操作部118は、例えばキーボード、テンキー、マウス等の入力装置を含み、統括制御部114における制御に関する各種の指示をユーザから入力するための装置である。
【0036】
表示部119は、分析条件や分析結果を表示させるための装置であり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどから構成され得る。
【0037】
次に、
図2に示したフローチャートを参照して、実施例1におけるHPLCを有する自動分析装置100におけるカラム平衡化完了の判定を行う手順の一例を説明する。カラム平衡化完了の判定は統括制御部114が実行する。
【0038】
測定の準備動作としての送液開始後、たとえば分離カラム113や配管が詰まっている場合、圧力上昇率が大きくなる。そのまま送液を継続すると圧力リミットで送液を停止しても大幅に圧力オーバーし、自動分析装置100内の部品に悪影響を与えることがある。
【0039】
そこで、ステップS201における送液開始直後に、統括制御部(単に制御部ともいう)114は、圧力検出器107が検出した圧力の上昇率を算出し、ステップS202において、圧力上昇率が規定上昇率値以内であるか否かを判定する。
圧力上昇率が規定上昇率値より大きい場合、ステップS206に進み、アラーム1(分離カラムまたは配管の交換のアラーム)を表示部119に表示し、即座に送液を停止することで、自動分析装置100へのダメージを最小限に抑えることができる。
【0040】
図3Aは、通常の送液時の圧力変化を示すグラフであり、
図3Bは、異常時の圧力変化を示すグラフである。圧力と時間(P/T)をモニタすることで異常な圧力上昇を瞬時に判定し、送液を停止させることが可能である。規定値は用いる分離カラム113や配管系、流路系により異なり、実験的に決定される。圧力上昇率が規定値より大きい場合は、上述したように、アラーム1を発生し、ユーザに分離カラムまたは配管の交換を促す。
【0041】
ステップS202において、圧力上昇率が規定値以内であれば、送液を継続し、ステップS203に進み、圧力変化量が規定圧力変化量値以内となるまで送液を継続する。
【0042】
つまり、ステップS203において、圧力変化量が規定圧力変化量値以内であるか否かを判定し、規定値以内でなければ、ステップS207に進み、リトライ回数がN回(所定判定回数)未満か否かを判定し、N回未満であれば、ステップS203に戻る。
【0043】
ステップS207において、リトライ回数がN回であれば、圧力変化量が前記規定圧力変化量値以内とはならかったと判定し、その場合は、ステップS210に進み、アラーム2(流路のパージおよび洗浄のアラーム)を表示部119に表示する。
【0044】
送液を継続させる時間については、使用するカラム容量や溶媒によって異なり、ユーザが送液を継続させる時間を設定することが可能である。また、設定した時間内に圧力変化量が規定圧力変化量値以内とならなかった場合、再び設定時間を経過するまで送液を続けること(リトライ)が可能であり、リトライ回数Nをユーザが設定することができる。
【0045】
ステップ203において、圧力変化量が設定した時間内に規定値以内となったら、ステップS204に進み、圧力平均が規定圧力範囲内であるか否かを判定する。例えば、通常60MPaで使用する分離カラム113を用い、ユーザが55MPa-65MPaを規定値と設定する場合、その規定圧力範囲内であれば平衡化の完了と判定する。
【0046】
そして、ステップS205に進み、平衡化を完了する。
【0047】
ステップS204において、圧力平均が規定圧力範囲内でなければ、ステップS208に進み、規定圧力範囲より高いか否かを判定する。ステップS208において、圧力平均が規定圧力上限値(例えば、65MPa)より高い場合、ステップS209に進み、アラーム3(分離カラムまたは配管の交換のアラーム)を表示部119に表示し、ユーザにカラムおよび配管の交換を促す。
【0048】
ステップS208において、圧力平均が規定圧力下限値(例えば、55MPa)より低い場合、配管接続部などからのリークを疑い、ステップS211に進み、リーク確認フローである
図4に示すワークフローに従い、配管のどの部分でリークが起こっているか(発生しているか)を判定する。
【0049】
図2に示したステップS211に示されたリーク確認フローを示す
図4を参照する。
【0050】
図4のステップS401において、送液装置106の圧縮区間の圧縮圧力変化量kが、一定値(規定圧縮圧力変化量)以下か否かを判定する。圧縮圧力変化量kが一定値以下の場合、ステップS405に進み、送液装置106内のシリンダからのリークが発生している部分があると判定し、アラーム4(送液装置106内のシリンダから送液のリークが発生していることのアラーム)を表示部119に表示する。
【0051】
この場合、ユーザは送液装置106のシリンダ内のプランジャシールなどの消耗部品の交換を実施する必要がある。
【0052】
ステップS401において、圧縮圧力変化量kが一定値(規定圧縮圧力変化量)以下ではなく、異常がなかった場合、ステップS402に進み、パージバルブ108を密栓状態にして耐圧チェックを行い、正常か否かを判定する。パージバルブ108は、上述したように、どの流路にも接続しないポジションへ移動させることで密栓状態とすることが可能である。
【0053】
また、一度、配管を取り外して密栓を取り付ける、またはパージバルブ108に密栓を取り付けたポートを用意しておくことでパージバルブ108を密栓状態としてもよい。
【0054】
ステップS402において、パージバルブ108の耐圧チェック結果が異常な場合、ステップS406に進み、アラーム5(パージバルブ108より上流側に送液のリーク有りのアラーム)を表示部119に表示し、パージバルブ108より上流側の流路配管においてリークが発生している部分があると判定し、部品等の交換をユーザに促す。
【0055】
ステップS402において、パージバルブ108の耐圧チェック結果が正常な場合、ステップS403に進み、引き続き試料導入バルブ(インジェクションバルブ)109の耐圧チェックを実施する。ステップS403において、試料導入バルブ109の耐圧チェック結果が異常な場合は、ステップS407に進み、アラーム6(試料導入バルブ109とパージバルブ108との間に送液のリークが発生していることのアラーム)を表示部119に表示し、試料導入バルブ109とパージバルブ108との間の流路配管においてリークが発生している部分があると判定し、ユーザに交換を促す。
【0056】
ステップS403において、試料導入バルブ109の耐圧チェック結果が正常な場合、試料導入バルブ109より下流に送液のリークが発生してる部分があると判定し、ステップS404に進み、アラーム7(試料導入バルブ109より下流にリーク有りのアラーム)を表示部119に表示し、ユーザに交換を促す。
【0057】
図2のステップS208において、明らかに圧力が低い場合は、目視できるほどのリークが確認できるが、わずかに圧力が低い場合には、目視できないわずかなスローリークが生じていることがあり、
図4に示すワークフローの実行は、リーク箇所を発見するのに有用である。
【0058】
以上のように、本発明の実施例1によれば、測定の準備動作として行う、カラム平衡化に関して自動で完了の判定を行い、同時に平衡化過程においてエラーが発生した場合、エラー箇所を特定してアラーム1~7を表示部119に表示する。
【0059】
よって、カラム平衡化に関して自動で完了の判定を行い、同時に平衡化過程においてエラーが発生した場合、エラー箇所の特定をすることを可能にしたHPLCを有する自動分析装置およびその自動分析装置の制御方法を提供することができる。
【0060】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、説明する。
【0061】
図5は、実施例2に係るHPLCを有する自動分析装置100Aの概略構成図である。
図5において、実施例1と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、以下において重複する説明は省略する。
【0062】
実施例2に係るHPLCを有する自動分析装置100Aにおいて、実施例1と異なる点は、送液ユニット102に2台の送液装置106A(第1送液装置)及び106B(第2送液装置)を備えており、2台の送液装置106A及び106Bは、それぞれ異なる移動相タンク101A(第1移動相タンク)と、101B(第2移動相タンク)とに接続される。
【0063】
送液装置106A及び106Bの吐出口に接続される送液流路C01及びC02には、それぞれ圧力検出器107A及び107Bが接続されている。また、2台の送液装置106A及び106Bの下流側には、分析流路と廃液流路を選択的に切り替えるためのパージバルブ108Aが設けられている。パージバルブ108Aから吐出された移動相は、合流部Q1を介して試料導入ユニット103に導入される。
【0064】
試料導入ユニット103の構成は、実施例1と同一である。なお、
図5に示した例では、合流部Q1はパージバルブ108Aの下流側に設置されているが、パージバルブ108Aの上流側に合流部Q1を設置することも可能である。その場合、送液装置106A及び106Bの共有の圧力検出器を、合流部Q1の下流で且つパージバルブ108Aの上流に配置することができる。
【0065】
一方、カラム温度調整ユニット104は、互いに並列に配置された複数の分離カラム113A、113B、113C、113D及び113Eを収納可能に構成されている。複数の分離カラム113A-113Eは、互いに異なる性質の充填剤を含んでいる。加えて、カラム温度調整ユニット104は、分離カラム113A-113Eを経由せずに移動相を検出器105へ導入させるバイパス流路120を備えている。
【0066】
このバイパス流路120は、カラム温度調整ユニット104において、複数の分離カラム113A-113Eと並列に配置される。
【0067】
カラム温度調整ユニット104は、任意の分離カラム113A-113Eまたはバイパス流路120を選択的に分析流路に接続するためのカラム切り替えバルブ(第1カラム切り替えバルブ)121及びカラム切り替えバルブ122(第2カラム切り替えバルブ)を、分離カラム113A-113Eの上流側と下流側に備えている。
【0068】
カラム切り替えバルブ121及び122は、分離カラム113A-113Eおよびバイパス流路120に接続される複数の第1の配管接続部と、分析流路(分析流路C3、カラム切り替えバルブ122と検出器105とを結ぶ分析流路)に接続される第2の配管接続部と、第1および第2の配管接続部を選択的に接続するための可動流路とを備えている。
【0069】
可動流路の一端が第1の配管接続部のいずれかに接続されるように第2の配管接続部の一端部を中心として回転することで、複数ある分離カラム113A-113E、またはバイパス流路120のいずれかを分析流路に接続することができる。
【0070】
ここで、カラム切り替えバルブ(カラムセレクタバルブ)121及び122は、複数ある分離カラム113A-113E、またはバイパス流路120のいずれかを分析流路C3又はC5に接続される状態だけでなく、分離カラム113A-113E、またはバイパス流路120のいずれにも選択的に接続されていない状態(密栓状態)を設定することもできる。
【0071】
カラムセレクタバルブ121及び122が密栓状態となることが可能な構成を有していることにより、
図6に示すフローチャートの通り、
図4中のステップS403において、試料導入バルブ109の耐圧チェック結果が正常な場合には、カラム切り替えバルブ121及び122の耐圧チェックプロセスステップS601~S605を実行することで、どの箇所にリークが起きているかを判定することができる。
図6のステップS403より前段は、
図4と同様であるので省略する。
【0072】
図6のステップS601において、カラムセレクタバルブ121を密栓状態として耐圧チェックを実施し、耐圧チェック結果が異常な場合、ステップS604に進み、アラーム6-1(試料導入バルブ(インジェクションバルブ)109とカラムセレクタバルブ121との間にリーク有りのアラーム)を表示部119に表示し、ユーザに交換を促す。
【0073】
ステップS601において、カラム切り替えバルブ121の耐圧チェック結果が正常な場合、ステップS602に進み、カラム切り替えバルブ(カラムセレクタバルブ)122の耐圧チェックを実施する。
【0074】
ここで、カラム切り替えバルブ121と122間の流路はバイパス流路である120に接続して実施する。
【0075】
カラムが設置されている流路に接続して耐圧チェックをする場合は、一度設置されているカラムを取り外し、ユニオンなどを用いて接続する、もしくは充填剤が封入されていないエンプティカラムを用いて耐圧チェックすることも可能である。
【0076】
ステップS602において、カラム切り替えバルブ122の耐圧チェック結果が異常な場合、アラーム6-2(カラム切り替えバルブ(カラムセレクタバルブ)121とカラム切り替えバルブ(カラムセレクタバルブ)122間の流路配管においてリークがあるとのアラーム)を表示部119に表示し、ユーザに交換を促す。
【0077】
ステップS602において、カラム切り替えバルブ122の耐圧チェックが正常な場合、アラーム6-3(カラム切り替えバルブ122より下流側の流路配管においてリークが発生しているとのアラーム)を表示部119に表示し、ユーザに交換を促す。
【0078】
ここで、
図5に示す表示部119を
図7に詳細に示す。
【0079】
図7に示すように、表示部119には、測定結果、エラー情報、各交換部品の使用回数、各交換部品の交換履歴、本準備動作の判定結果および圧力値の経時変化情報(トレンド)、
図5のような装置構成の模式図とともに表示することができ、トレンドから予測される危険度を模式図上に示すことができる。
【0080】
以上のプロセスを実施することで、流路内のどの箇所にリークが発生しているかを判定し、未然に水漏れ事故を防止するとともに正確に分析を実行する準備動作が可能となる。
【0081】
つまり、実施例2においても、実施例1と同様に、、測定の準備動作として行う、カラム平衡化に関して自動で完了の判定を行い、同時に平衡化過程においてエラーが発生した場合、エラー箇所の特定をすることを可能にしたHPLCを有する自動分析装置およびその自動分析装置の制御方法を提供することができる。
【0082】
さらに、実施例2においては、カラム温度調整ユニット104に、複数の分離カラム113A、113B、113C、113D及び113Eを収納可能に構成されている場合において、カラム温度調整ユニット104のどの箇所にリークが起きているかを判定することができるHPLCを有する自動分析装置およびその自動分析装置の制御方法を提供することができる。
【0083】
(本発明の変形例について)
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。つまり、実施例の構成の一部について様々な変更、追加、および省略が加えられることが可能である。
【0084】
例えば、本発明の自動分析装置の不具合検知は準備動作時の圧力センサ値チェックでなくてもよく、不具合箇所の検知を実施してもよい。加えて、準備動作時のほかにも、前記QC測定を実施した際の「保持時間の変動」、「圧力カーブの変動」、「試料のピーク強度」、「ピーク幅等の情報」等に基づき、不具合箇所の検知を実施してもよい。
【符号の説明】
【0085】
101、101A、101B・・・移動相タンク、102・・・送液ユニット、103・・・試料導入ユニット、104・・・カラム温度調整ユニット、105・・・検出器、106、106A、106B・・・送液装置、107、107A、107B・・・圧力検出器(圧力センサ)、108、108A・・・パージバルブ、109・・・インジェクションバルブ、110・・・試料計量ポンプ、111・・・ニードル、112・・・試料導入口、113、113A、113B、113C、113D、113E・・・分離カラム、114・・・統括制御部、115・・・分析条件設定部、116・・・データ処理部、117・・・分析制御部、118・・・操作部、119・・・表示部、120・・・バイパス流路、121、122・・・カラム切り替えバルブ