(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】表面弾性波センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20240917BHJP
G01N 29/02 20060101ALI20240917BHJP
G01K 7/32 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G01L9/00 A
G01N29/02 501
G01K7/32 S
(21)【出願番号】P 2023521751
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021054432
(87)【国際公開番号】W WO2022081485
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-05-31
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リン, チュアンチア
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0296305(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0118929(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0231107(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0385875(US,A1)
【文献】特開2017-181248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0049714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
G01N 29/02
G01K 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアセンブリであって、
第1のRF信号を受信したことに応じて第1の環境状態を測定するよう適合された第1の表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)センサを備え、前記第1のSAWセンサが、
圧電材料の少なくとも1つの層を含む第1の基板と、
前記圧電材料上に形成された第1のインターディジタルトランスデューサ(IDT)であって、第1の配置の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含み、前記第1の配置の前記噛合い導電指が、前記第1のIDTによって受信された前記第1のRF信号の第1の信号変調を発生させ、前記第1の信号変調が前記第1のSAWセンサを特定する、第1のインターディジタルトランスデューサ(IDT)と、
を含
み、
前記第1の配置は、前記第1のIDT内において、隣接する導電指が第1の間隔で配置された第1の部分と、隣接する導電指が前記第1の間隔とは異なる第2の間隔で配置された第2の部分とを含む、センサアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のRF信号又は第2のRF信号を受信したことに応じて前記第1の環境状態を測定するよう適合された第2のSAWセンサをさらに備え、前記第2のSAWセンサが、
前記第1の基板の前記圧電材料上又は第2の基板上に形成された第2のIDTであって、第2の配置の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含み、前記第2の配置の前記噛合い導電指が、前記第2のIDTによって受信された前記第1のRF信号又は前記第2のRF信号の第2の信号変調を発生させ、前記第2の信号変調が前記第2のSAWセンサを特定する、第2のIDT
を含む、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記第2の配置
は、
前記第2のIDTの前記2つの櫛形電極のうち
の同じ櫛形電極からの少なくとも2つの
導電指
が、互いに隣接して配置された部分を含む、請求項2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のSAWセンサが、前記第1のIDTに通信可能に接続されかつ前記圧電材料上に形成された第1の複数のSAWリフレクタをさらに備え、前記第1の複数のSAWリフレクタが第1の空間的配置を有し、前記第1の空間的配置によって、前記第1の複数のSAWリフレクタから反射されて前記第1のIDTへと戻る第1のSAWが、第2の信号変調を有するようになり、前記第2の信号変調は、前記第1の信号変調と組み合わされたときに、前記第1のSAWセンサを特定する、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のRF信号又は第2のRF信号を受信したことに応じて前記第1の環境状態を測定するよう適合された第2のSAWセンサをさらに備え、前記第2のSAWセンサが、
前記第1の基板の前記圧電材料上又は第2の基板上に形成された第2のIDTと、
前記第2のIDTに通信可能に接続され、かつ前記圧電材料上に形成された第2の複数のSAWリフレクタと、
を含み、
前記第2の複数のSAWリフレクタが第2の空間的配置を有し、前記第2の空間的配置によって、前記第2の複数のSAWリフレクタから反射されて前記第2のIDTへと戻る第2のSAWが、前記第2のSAWセンサを特定する第2の信号変調を有するようになる、請求項4に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の配置が、前記第1のRF信号の少なくとも一部で位相シフトを行うことで、前記第1の信号変調を発生させる、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の配置が、前記第1のRF信号の少なくとも一部で周波数シフトを行うことで、前記第1の信号変調を発生させる、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
センサアセンブリであって、
第1のRF信号を受信したことに応じて第1の環境状態を測定するよう適合された第1の表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)センサを備え、前記第1のSAWセンサが、
圧電材料の少なくとも1つの層を含む第1の基板と、
前記圧電材料上に形成された第1のインターディジタルトランスデューサ(IDT)であって、第1の配置の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含み、前記第1の配置の前記噛合い導電指が、前記第1のIDTによって受信された前記第1のRF信号の第1の信号変調を発生させ、前記第1の信号変調が前記第1のSAWセンサを特定する、第1のインターディジタルトランスデューサ(IDT)と、
前記第1のIDT上に配置された、第1の材料又は第1の厚さの少なくと
も一方の第1の誘電体コーティング
と、
を含み、
前記第1のIDTが、第1のベース共振周波数を有し、
前記第1の厚さ又は前記第1の材料の少なくとも一方が、前記第1のベース共振周波数の第1のシフトと関連付けられ、
前記第1の誘電体コーティングを含む前記第1のIDTが、
前記第1のシフトによる第1の調整された共振周波数を有する
、センサアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のRF信号又は第2のRF信号を受信したことに応じて前記第1の環境状態を測定するよう適合された第2のSAWセンサをさらに備え、前記第2のSAWセンサが、
前記第1の基板の前記圧電材料上又は第2の基板上に形成された第2のIDTと、
前記第2のIDT上に配置された、
前記第1の厚さとは異なる第2の厚さ又は
前記第1の材料とは異なる第2の材料の少なくと
も一方の第2の誘電体コーティングと、
を含み、
前記第2のIDTが、前記第1のベース共振周波数又は第2のベース共振周波数を有し、
前記第2の厚さ又は前記第2の材料の少なくとも一方が、前記第2のベース共振周波数の第2のシフトと関連付けられ、
前記第2の誘電体コーティングを含む前記第2のIDTが、
前記第2のシフトによる第2の調整された共振周波数
であって、前記第1の調整された共振周波数とは異なる第2の調整された共振周波数を有する、請求項8に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記
第1の複数のSAWリフレクタの前記第1の空間的配置は、前記
第1の複数のSAWリフレクタのうち
の第1のSAWリフレクタからの第1の反射されたSAWと、前記
第1の複数のSAWリフレクタのうち
の第2のSAWリフレクタからの第2の反射されたSAWと、が互いに強め合う干渉をし合うように、前
記第1のSAWリフレクタ
と前記第2のSAWリフレクタ
との間の間隔を含む、請求項
4に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記
第1の複数のSAWリフレクタの前記第1の空間的配置は、
前記第1のRF信号の少なくとも一部で位相シフトを行
う、請求項
4に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記
第1の複数のSAWリフレクタの前記第1の空間的配置が、前記第1のSAWの4分の1波長又は半波長だけ隔てられた少なくとも2つのリフレクタを含む、請求項
4に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
システムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内で第1のRF信号を送信し、かつ前記処理チャンバ内から伝播した第2のRF信号を受信するための1つ以上のRFアンテナと、
前記処理チャンバ内に配置されたセンサウエハと、
を備え、前記センサウエハが、
圧電材料の少なくとも1つの層と、
第1の統合センサアセンブリと、
を含み、
前記第1の統合センサアセンブリが、
前記圧電材料の前記少なくとも1つの層上に配置された第1の表面弾性波(SAW)センサであって、前記第1のRF信号を受信したことに応じて、前記処理チャンバ内に位置する環境の第1の環境状態を測定し、測定した前記第1の環境状態と関連付けられたデータを有する前記第2のRF信号を出力するよう適合された第1のSAWセンサ
を含み、
前記第1のSAWセンサが、
前記圧電材料の第1の領域上に形成されており、第1の空間的配置で配置された噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含む第1のインターディジタルトランスデューサ(IDT)と、
前記第1のIDTに通信可能に接続され、前記圧電
材料の第2の領域上に形成された第1の複数のSAWリフレクタであって、第2の空間的配置を有する第1の複数のSAWリフレクタと、
を含み、
少なくとも前記第1の空間的配置の前記噛合い導電
指が、前記第1のRF信号及び前記第2のRF信号の第1の信号変調を発生させ、前記第1の信号変調が第1のSAWセンサを特定
し、前記第1の空間的配置は、前記第1のIDT内において、隣接する導電指が第1の間隔で配置された第1の部分と、隣接する導電指が前記第1の間隔とは異なる第2の間隔で配置された第2の部分とを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の幾つかの実施形態は、概して、環境の環境状態を測定するための表面弾性波(SAW)センサアセンブリを有するセンサデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)は、弾性材料の表面に平行に進む音波である。SAWの全般的な数学的論考は、1855年にLord Rayleighによって初めて報告されたが、電子機器における応用は、1965年にWhite及びVoltmerらが圧電材料上のインターディジタルトランスデューサを利用するまで活用されなかった。SAWは、電子機器、特にRF/IFフィルタにおいて使用されている。電気エネルギーから(SAWの形態による)機械的エネルギーへの変換は、圧電材料の使用を通じて実現される。圧電材料は、機械的応力から内部で電荷を発生させたり、電界の印加に応じて機械的歪みを内部で発生させたりする能力を有する材料である。SAWトランスデューサは、圧電材料の表面上で使用されることが多く、電気エネルギーを機械的エネルギー(例えば、SAW)に変換するだけでなく、SAWを電気エネルギーに変換する。SAWデバイスは、遅延線、フィルタ、共振器、相関器、コンバータ、センサ等を含む幾つかの様々な機能を提供するために、電子部品内でSAWを使用する。SAWデバイスは、自身のそれぞれの機能を実行するためにウエハ上に配置されうる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載の幾つかの実施形態は、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板上に配置された表面弾性波(SAW)センサを有する統合センサアセンブリを備えたセンサデバイスを対象とする。SAWセンサは、着信高周波(RF:radio frequency)信号を受信したことに応じて、SAW特性の検出に基づいて環境状態を測定するよう適合されうる。SAWセンサは、圧電材料上に形成されたインターディジタルトランスデューサ(IDT)を含みうる。IDTは、着信RF信号を受信したことに応じて、環境状態に基づいてSAWを生成することができる。SAWセンサは、IDTと通信する1つ以上のSAWリフレクタを含みうる。SAWセンサは、SAW波を受信し発信RF信号を生成するための他のIDTを含みうる。SAWセンサアセンブリは、RFアンテナ及び整合回路をさらに含みうる。整合回路は、RFアンテナ及びIDTに接続されうる。SAWセンサ、RFアンテナ、及び整合回路は、圧電材料上で互いに一体化されうる。
【0004】
さらなる実施形態において、センサアセンブリが、第1のIDTからSAWを受信し、受信されたSAWの音響周波数と関連付けられた振動電位を生成する第2のIDTを含みうる。この振動電位は、圧電基板又は圧電層の表面の領域に亘る測定された環境状態と関連付けられた情報を含みうる。センサアセンブリは、振動電位と関連付けられた発信RF信号を出力するための第2のRFアンテナ及び第2の整合回路を含みうる。
【0005】
例示的な実施形態において、センサデバイスを作製するための方法が開示される。本方法は、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板上に第1の導電構造を堆積させることで、統合センサアセンブリを作製することを含むことができ、第1の導電構造が高周波(RF)アンテナを形成する。本方法は、圧電材料上に第2の導電構造を堆積させることをさらに含むことができ、第2の導電構造が、RFアンテナに接続された整合回路を形成する。本方法は、圧電材料上に第3の導電構造を堆積させることをさらに含むことができ、第3の導電構造が、RFアンテナに接続されたインターディジタルトランスデューサ(IDT)を形成し、IDTは、表面弾性波(SAW)センサの構成要素である。本方法は、圧電材料上に第4の導電構造を堆積させることをさらに含むことができ、第4の導電構造が、a)1つ以上のSAWリフレクタ又はb)第2のIDTの少なくとも一方を形成する。幾つかの実施形態において、第1の導電構造、第2の導電構造、第3の導電構造及び/又は第4の導電構造は、1回の堆積工程で一緒に形成することができる。
【0006】
幾つかの実施形態において、センサアセンブリが、着信RF信号を受信したことに応じて環境状態を測定するよう適合されたSAWセンサを含みうる。SAWセンサは、ベース基板上に配置された圧電材料の少なくとも1つの層を含みうる。SAWセンサは、圧電基板上に形成された第1のIDTをさらに含むことができ、第1のIDTは、ベース共振周波数で動作する。SAWセンサは、ベース共振周波数のシフトと関連付けられた厚さ又は材料を有する誘電体コーティングを含むことができ、誘電体コーティングを含む第1のIDTは、調整された共振周波数を有する。
【0007】
例示的な実施形態において、センサアセンブリを作製するための方法が開示される。本方法は、圧電基板上に導電層を堆積させることによりSAWセンサを作製することから始まり、ここで、導電層は、SAWセンサのインターディジタルトランスデューサ(IDT)を形成する。IDTは、例えばIDT内の指間のピッチに基づいた、ベース共振周波数を有する。本方法は、材料の厚さを有する誘電体コーティングを導電層上に堆積させることで、IDTの共振周波数を調整することにより続けられ、ここで、少なくとも厚さ又は材料が、ベース共振周波数のシフトと関連付けられ、誘電体コーティングを含むIDTが、調整された共振周波数を有する。
【0008】
他の実施形態において、センサアセンブリが、着信RF信号を受信したことに応じて環境状態を測定するよう適合された1つ以上のSAWセンサを含みうる。第1のSAWセンサは、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板と、圧電材料上に形成された第1のIDTと、を含みうる。第1のIDTは、第1の配置の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含む。第1の配置の噛合い導電指は、第1のIDTによって受信された信号の信号変調を発生させる。信号変調が、SAWセンサを特定する。
【0009】
他の実施形態において、センサアセンブリが、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板上に配置されたSAWセンサを含みうる。SAWは、着信RF信号を受信したことに応じて、環境の環境状態を測定するよう適合されうる。SAWセンサは、圧電材料上に形成されたIDTを含みうる。IDTは、着信RF信号を受信したことに応じて、環境状態に基づいてSAWを生成する。SAWセンサは、SAWリフレクタの集合をさらに含むことができ、SAWリフレクタの集合は、SAWリフレクタから反射されてSAWリフレクタから戻ってIDTへと伝播するSAWが、SAWセンサを特定する信号変調を有するようにする空間的配置を有する。
【0010】
本開示が、限定ではなく例として添付の図面に示されており、図面では、同様の構成要素が類似した参照符号で示される。本開示における「或る(an)」又は「1つの(one)」実施形態に対する言及は必ずしも同じ実施形態に対して行われておらず、そのような言及は、少なくとも1つを意味することに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の態様に係る例示的な処理システムの簡素化された上面図を示す。
【
図2】本開示の態様に係る、統合SAWセンサアセンブリを含むセンサデバイスの上面斜視図である。
【
図3A-B】本開示の態様に係る、SAWセンサアセンブリの様々な実施形態を示す。
【
図4】本開示の態様に係る、SAWセンサアセンブリを作製するための方法のフローチャートである。
【
図5A-B】本開示の態様に係る、誘電体コーティングを含むSAWセンサの様々な実施形態の上方からの透視図である。
【
図6】本開示の態様に係る、SAWセンサのベース共振周波数における周波数シフトを示すグラフである。
【
図7】本開示の態様に係る、センサデバイスの上面斜視図である。
【
図8】本開示の態様に係る、SAWセンサアセンブリを作製するための方法のフローチャートである。
【
図9A】本開示の態様に係る、SAWセンサのIDTの電極構成の一実施形態を示す。
【
図9B】本開示の態様に係る、SAWセンサのIDTの電極構成の一実施形態を示す。
【
図9C】本開示の態様に係る、SAWセンサのIDTの電極構成の一実施形態を示す。
【
図10A-B】本開示の態様に係る、SAWセンサのSAWリフレクタの様々な空間的配置を示す。
【
図11】本開示の態様に係る、センサデバイスの一実施形態の上面斜視図である。
【
図12】本開示の態様に係る、センサデバイスの一実施形態の上面斜視図である。
【
図13】本開示の態様に係る、センサデバイスの一実施形態の上面斜視図である。
【
図14】本開示の態様に係る、センサデバイスの一実施形態の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、SAWセンサアセンブリを含むセンサデバイスと、SAWセンサアセンブリを作製するための関連する方法と、を提供する。SAWセンサアセンブリは、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板上に配置された、アンテナ、回路、及び/又はインターディジタルトランスデューサ(IDT)といった導電素子を含みうる。SAWセンサアセンブリは、例えば、圧電基板上、又は圧電層が載った半導体基板といった他の種類の基板上に形成されうる。SAWセンサは、着信RF信号を受信し、或る環境(例えば、圧電基板又は圧電層の表面)の圧力及び温度といった環境状態を測定するためのSAWを生成する。開示された様々な実施形態は、環境状態を受動的に(例えば、電源といったアクティブデバイスなしで)測定する仕方、圧電基板又は圧電層の表面領域にわたって測定を行う仕方、SAWセンサを微調整する仕方、及び/又は、センサアセンブリの様々なSAWセンサを区別する仕方を提供する。
【0013】
様々な実施形態は、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板(例えば、圧電基板又は基板に載置された圧電層)の上に配置されたSAWセンサを含んでおり、かつ着信RF信号を受信したことに応じて環境の環境状態を測定するよう適合されたセンサアセンブリを有するデバイスとすることができ、又は当該デバイスを利用することができる。SAWセンサは、圧電材料の表面上に配置されたアンテナ、整合回路、及びインターディジタルトランスデューサ(IDT)を含みうる。SAWセンサは、アクティブ回路(例えば、電池で駆動するCMOSデバイス)を使用せずに、環境状態を測定するためにSAWを生成することができる。アンテナ、整合回路、及びインターディジタルトランスデューサは、圧電材料上で互いに一体化されうる。
【0014】
一例において、センサデバイスが、圧電基板上に配置されたSAWセンサを有する統合センサアセンブリを含む。SAWセンサは、着信高周波(RF)信号を受信したことに応じて、環境の環境状態を測定するよう適合されうる。SAWセンサは、圧電基板上に形成されたIDTを含みうる。IDTは、着信RF信号を受信したことに応じて、(例えば、環境状態に依存する振幅、周波数、時間遅延、位相又は波長のうちの少なくとも1つを有する)環境状態に基づいて、SAWを生成することができる。SAWセンサは、SAWを反射してIDTへと戻す1つ以上のSAWリフレクタを含みうる。IDTは、次いで、受信した反射されたSAWに基づいて、新しい発信RF信号を生成することができる。例えば、IDTは、反射されたSAWの音響周波数と関連付けられた振動電位を生成することができる。この振動電位は、圧電材料の表面の領域にわたる測定された環境状態と関連付けられた情報を含みうる。SAWセンサアセンブリは、RFアンテナ及び第1のIDFに取り付けられた整合回路をさらに含みうる。整合回路が、RFアンテナ及び第1のIDTに接続されうる。SAWセンサ、RFアンテナ、整合回路は、圧電材料上で互いに一体化されうる。
【0015】
幾つかの実施形態において、センサアセンブリが、圧電基板又は基板上の圧電層の表面によって隔てられた2つのIDTを有するSAWセンサを含みうる。第1のIDTは、着信RF信号を受信し、SAWを生成するために使用することができ、SAWは、圧電基板又は圧電層の表面に沿って他のIDTに渡される。他のIDTは、SAWを受信し、SAWの音響周波数と関連付けられた振動電位を生成することができる。この振動電位は、測定された環境状態(例えば、温度、圧力など)と関連付けられた情報を含むことができ、ここで、環境はIDT間の領域を含む。各IDTは、整合回路を介してRFアンテナに接続されうる。
【0016】
一例において、1つ以上のリフレクタを含むことに加えて又はその代わりに、SAWセンサが、2つのIDTを含むことができる(一方がSAWを生成し、他方がSAWを受信して、それから新しい発信RF信号を生成する)。追加のIDTは、受信されたSAWの音響周波数と関連付けられた振動電位を生成することができる。この振動電位は、圧電材料(例えば、圧電基板又は圧電層)の表面の領域にわたって測定された環境状態と関連付けられた情報を含みうる。第2のIDTを含む実施形態では、SAWセンサアセンブリは、新しい発信RF信号を出力する第2のRFアンテナと、第2のRFアンテナ及び追加のIDTに接続された第2の整合回路と、をさらに含みうる。第2のRFアンテナ及び第2の整合回路は、圧電材料上のSAWセンサ、RFアンテナ、及び整合回路と互いに一体化されうる。
【0017】
例示的な実施形態において、センサデバイスを作製するための方法が開示される。本方法は、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板上に第1の導電構造を堆積させることで、統合センサアセンブリを作製することを含むことができ、第1の導電構造が高周波(RF)アンテナを形成する。本方法は、圧電材料上に第2の導電構造を堆積させることをさらに含むことができ、第2の導電構造が、RFアンテナに接続された整合回路を形成する。本方法は、圧電材料上に第3の導電構造を堆積させることをさらに含むことができ、第3の導電構造が、RFアンテナに接続されたインターディジタルトランスデューサ(IDT)を形成し、ここで、IDTは、表面弾性波(SAW)センサの構成要素である。本方法は、圧電材料上に第4の導電構造を堆積させることをさらに含むことができ、第4の導電構造が、a)1つ以上のSAWリフレクタ、又はb)第2のIDTの少なくとも一方を形成する。幾つかの実施形態において、第1の導電構造、第2の導電構造、第3の導電構造及び/又は第4の導電構造が、1回の堆積工程で一緒に形成される。代替的に、堆積工程を複数回行うことができ、各堆積工程が、第1の導電構造、第2の導電構造、第3の導電構造、及び第4の導電構造のうちの1つ以上を形成する。これらの導電構造は、実施形態では、それぞれ平面的な導体でありうる。全ての上記要素を有するセンサデバイスを1つの統合デバイスで作製することで、より小型化したセンサデバイスの使用が可能となり、これにより製造コストを削減し及び時間を短縮し、必要な製造工程数を減らすことができる。
【0018】
実施形態において、センサアセンブリは、圧電材料上に配置された第1のIDTを有しベース共振周波数で動作するSAWセンサを含む。第1のIDTは、ベース共振周波数のシフトと関連付けられた厚さ/又は材料を含む誘電体コーティングを含むことができ、誘電体コーティングを含む第1のIDTは、調整された共振周波数を有する。さらなる実施形態において、センサアセンブリは、様々なSAWセンサを含むことができ、各SAWセンサは、異なる厚さ及び/又は材料の誘電体コーティングを含むIDTを有し、これにより、各それぞれのIDTが異なる調整された共振周波数を有するようになる。それぞれの固有の周波数によって、読取り機が、異なるSAWセンサによって生成された発信RF信号を受信し、当該発信RF信号の間で区別することが可能となりうる。これにより、複数の(例えば5~20個又はそれより多い)SAWセンサが同じセンサウエハ上に配置されるセンサウエハを製造することが可能となる。センサウエハ上の各SAWセンサによって生成された信号は、読取装置によって受信されうる。その後、読取り機(又はそれに接続されたコントローラ)は、その発信RF信号の周波数に基づいて、どのSAWセンサが各特定の発信RF信号を生成したのかを決定することができる。これにより、検出器及び/又はコントローラが、センサウエハの様々な位置で、様々な環境状態を決定することが可能となる。
【0019】
例示的な実施形態において、センサアセンブリを作製するための方法が開示される。本方法は、圧電基板上に導電層を堆積させることでSAWセンサを作製することから始めることができ、ここで、導電層は、SAWセンサのインターディジタルトランスデューサ(IDT)を形成する。IDTは、例えばIDT内の指間のピッチに基づいた、ベース共振周波数を有する。本方法は、材料の厚さを有する誘電体コーティングを導電層上に堆積させることで、IDTの共振周波数を調整することにより続けられ、ここで、少なくとも厚さ又は材料が、ベース共振周波数のシフトと関連付けられ、誘電体コーティングを含むIDTが、調整された共振周波数を有する。
【0020】
幾つかの実施形態において、センサアセンブリが、IDTを含むSAWセンサを有し、IDTは、一構成の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を有している。噛合い導電指の構成によって、IDTを通過した信号の信号変調を発生させることができる。この信号変調が、SAWセンサを特定しうる。追加的又は代替的に、センサアセンブリが、SAWセンサであって、IDTと、SAWリフレクタの集合と、を含むSAWセンサを有することができ、SAWリフレクタの集合は、SAWセンサを特定する信号変調を反射されるSAWが有するようにする空間的配置を有している。
【0021】
一例において、センサアセンブリが、着信RF信号を受信したことに応じて環境状態を測定するよう適合された複数のSAWセンサを含みうる。第1のSAWセンサが、圧電基板と、圧電基板上に形成された第1のIDTと、を含みうる。第1のIDTは、第1の配置の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含みうる。第1の配置の噛合い導電指は、第1のIDTによって受信された信号の信号変調を発生させる。信号変調が、SAWセンサを特定する。第2のSAWセンサが、圧電基板(又は異なる圧電基板)上に形成された第2のIDTを含みうる。第2のIDTは、第2の配置の噛合い導電指を含む2つの櫛形電極を含みうる。第2の配置の噛合い導電指が、第2のIDTによって受信された信号の信号変調を発生させる。第2の信号変調は、第2のSAWセンサを特定する。したがって、第1のSAWセンサ及び第2のSAWセンサによって出力されたRF信号は、自身の関連付けられた信号変調に基づいて特定されうる。これにより、複数の(例えば5~20個又はそれより多い)SAWセンサが同じセンサウエハ上に配置されるセンサウエハを製造することが可能となる。センサウエハ上の各SAWセンサによって生成された信号は、読取装置によって受信されうる。その後、読取り機(又はそれに接続されたコントローラ)は、そのRF信号の周波数に基づいて、どのSAWセンサが各特定のRF信号を生成したのかを決定することができる。これにより、検出器及び/又はコントローラが、センサウエハの様々な位置で、様々な環境状態を決定することが可能となる。
【0022】
先に開示された実施形態はいずれも組み合わせることができる。例えば、センサウエハは、第1の誘電体コーティング、第1の配置によるIDTの指、及び/又は第1の配置のリフレクタを有する第1のSAWセンサと、第2の誘電体コーティング、第2の配置によるIDTの指、及び/又は第2の配置のリフレクタを有する第2のSAWセンサと、を含みうる。第1のSAWセンサ及び第2のSAWセンサはそれぞれ、任意選択的に、それぞれのアンテナ及び整合ネットワークを含むそれぞれの統合センサアセンブリの一部でありうる。幾つかの実施形態において、複数のSAWセンサの統合センサアセンブリが、共有の圧電基板上、又は圧電層が載置された他の基板上に含まれる。
【0023】
上記の実施形態及び同様の実施形態は、SAWセンサ、センサウエハ上に配置された1つ以上のSAWセンサを含むセンサウエハといった、センサアセンブリの製造及び信号処理の分野において、幾つかの利点及び改善をもたらす。このような利点として、SAWセンサアセンブリの改善が挙げられ、例えば、SAWセンサの性能向上、SAWセンサの幅広い応用、SAWセンサ間の信号の差別化の向上、並びに、SAWセンサの製造コストの削減及び製造の複雑さの低減が挙げられる。
【0024】
センサの性能は、例えば、パッシブ回路を使用するセンサアセンブリ(例えば、SAWセンサ)によって改善されうる。パッシブ回路によって、アクティブデバイスの仕様制限に制約されずに、より過酷なレベル(高温及び高圧など)の環境を測定することが可能となる。例えば、固有のアンテナに接続されたIDTを使用することで、SAWセンサのより幅広い応用が可能となる。固有のアンテナに接続されたIDTは、圧電基板の広い領域にわたって配置されたIDT間でSAWを送ることによって、より広い環境にわたって環境状態を測定するために使用することが可能である。SAWセンサ間の信号の差別化の向上は、例えば、固有の厚さ及び材料の誘電体コーティングを敷設することによって、様々な周波数で動作するよう調整されたSAWセンサを含むセンサアセンブリを作製することで実現することができる。代替的又は追加的に、SAWセンサは、各それぞれのSAWセンサを通過する信号に対して、固有の信号変調を発生させることができる。信号変調は、IDT電極の噛合い導電指の配置、及び/又はSAWリフレクタの空間的配置を利用して、発生させることができる。
【0025】
図1は、本開示の態様に係る例示的な処理システム100の簡素化された上面図を示す。処理システム100は、当該処理システム100内に基板(例えば、シリコンウエハなどのウエハ)を移送するために、複数の基板カセット102(例えば、前方開口型統一ポッド(FOUP:front opening pod)及びサイドストレージポッド(SSP:side storage pod))を結合することができるファクトリインタフェース91を含む。本明細書では、FOUP、SSP、及び他の基板カセットをまとめて収納場所と呼ぶことがある。幾つかの実施形態において、1つ以上の基板カセット102が、処理されるウエハに加えて又は当該ウエハの代わりに、SAWセンサアセンブリが配置され又は組み込まれた1つ以上のセンサウエハ110を含む。センサウエハ110のSAWセンサアセンブリは、環境の環境状態(例えば、温度、又は圧力等)を測定するために使用されうる。例えば、センサウエハ110は、1つ以上の処理チャンバ107、並びに、これから説明するような他の区画及びチャンバの内部の環境状態を測定するために使用することができる。ファクトリインタフェース91はまた、処理されるウエハ及び/又は処理されたウエハを移送するための同じ機能を使用して、センサウエハ110を処理システム100内に移送し及び処理システム100から取り出すこともできるが、これについて以下に説明する。
【0026】
処理システム100は、第1の真空ポート103a、103bも含むことができ、第1の真空ポート103a、103bは、例えば脱気チャンバ及び/又はロードロックでありうるそれぞれのステーション104a、104bに、ファクトリインタフェース91を結合することができる。第2の真空ポート105a、105bが、それぞれのステーション104a、104bに結合され、かつステーション104a、104bと移送チャンバ106との間に配置されており、移送チャンバ106内への基板の移送を容易にすることができる。移送チャンバ106は、当該移送チャンバ106の周囲に配置され当該移送チャンバ106に結合された複数の処理チャンバ107(プロセスチャンバとも呼ぶ)を含む。処理チャンバ107は、スリットバルブ等のそれぞれのポート108を介して移送チャンバ106に結合されている。
【0027】
処理チャンバ107は、エッチングチャンバ、堆積チャンバ(原子層堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、物理的気相堆積チャンバ、又はこれらのプラズマ強化バージョンを含む)、及び/又はアニールチャンバ等のうちの1つ以上を含みうる。処理チャンバ107は、例えば、シャワーヘッド又はチャック(例えば、静電チャック)といったチャンバ構成要素を含みうる。
【0028】
様々な実施形態において、ファクトリインタフェース91は、ファクトリインタフェースロボット111を含む。ファクトリインタフェースロボット111は、ロボットアームを含むことができ、このロボットアームは、2リンクSCARAロボット、3リンクSCARAロボット、4リンクSCARAロボット等といった、SCARA(selective compliance assembly robot arm)ロボットであってよく又は当該SACRAロボットを含んでよい。ファクトリインタフェースロボット111は、ロボットアームの末端にエンドエフェクタを含みうる。エンドエフェクタは、ウエハといった特定の物体を掴んで取り扱うよう構成されうる。ファクトリインタフェースロボット111は、基板カセット102(例えば、FOUP及び/又はSSP)と、ステーション104a、104b(例えば、ロードロックでありうる)と、の間で物体を移送するよう構成されうる。
【0029】
移送チャンバ106は、移送チャンバロボット112を含む。移送チャンバロボット112は、ロボットアームの末端にエンドエフェクタを含みうる。エンドエフェクタは、ウエハ、エッジリング、リングキット、及び/又はセンサウエハ110といった特定の物体を取り扱うよう構成されうる。移送チャンバロボット112は、SCARAロボットでありうるが、幾つかの実施形態において、ファクトリインタフェースロボット111よりもリンクが少なくてよく及び/又は自由度が低くてよい。
【0030】
処理システムは、処理チャンバ107内に1つ以上のRFアンテナ129を含みうる。RFアンテナ129は、実施形態において、処理チャンバ107の壁に載置され又は壁の内部に配置されうる。RFアンテナは、幾つかの実施形態において、チャンバの構成要素内に配置されうる。例えば、RFアンテナ129が、処理チャンバのチャック(例えば、静電チャック)内又はシャワーヘッド内に配置されうる。追加的又は代替的に、1つ以上のRFアンテナ129は、移送チャンバ106内、ロードロック(例えば、ロードロック104a、104b)内、FI101内及び/又はカセット102内に配置されうる。
【0031】
RFアンテナ129は、センサウエハ110上のSAWセンサアセンブリに通信可能に接続されうる。例えば、RF信号が、RFアンテナ129からセンサウエハ110上のSAWセンサアセンブリへと送信することができ、戻り信号が、SAWセンサアセンブリによって生成され、同じRFアンテナ又は他のRFアンテナ129によって受信されうる。戻り信号は、処理チャンバ、ロードロック、移送チャンバ等の内部の(例えば、SAWセンサアセンブリの表面上の)環境の環境状態の測定値を示す情報を含みうる。RFアンテナが、RF信号を生成する及び/又はRF信号を受信する送受信機に接続されうる。幾つかの実施形態において、処理チャンバと関連付けられた1つ以上のRFアンテナが、RF送信機に接続され、処理チャンバと関連付けられた1つ以上のRFアンテナが、RF受信機に接続される。センサウエハは、いかなる電力成分(例えば、いかなる電池)も含まなくてよく、代わりに、RFアンテナ129によって生成された受信したRF信号によって電力供給されうる。したがって、センサウエハはパッシブなデバイスでありうる。
【0032】
コントローラ109が、処理システム100の様々な態様を制御することができ、RFアンテナ129に通信可能に接続されうる。コントローラ109は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラム可能な論理制御装置(PLC:programmable logic controller)、マイクロコントローラ等といった計算装置であってよく及び/又は当該計算装置を含んでよい。コントローラ109は、マイクロプロセッサ、又は中央処理装置等といった1つ以上の処理装置を含みうる。より具体的には、処理装置は、複合命令セット演算(CISC:complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC:reduced instruction set computing)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW:very long instruction word)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は、命令セットの組み合わせを実装するプロセッサでありうる。処理装置はまた、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、又はネットワークプロセッサ等といった、1つ以上の特殊用途処理装置であってもよい。
【0033】
図示されていないが、コントローラ109は、データ記憶装置(例えば、1つ以上のディスクドライブ及び/又はソリッドステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインタフェース、及び/又は他の構成要素を含みうる。コントローラ109は、本明細書に記載された方法及び/又は実施形態のいずれか1つ以上を実行するための命令を実行することができる。命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてよく、コンピュータ可読記憶媒体は、メインメモリ、スタティックメモリ、二次記憶装置及び/又は(命令の実行中の)処理装置を含みうる。例えば、コントローラ109は命令を実行して、異なる保管場所内に位置する1つ以上のRFアンテナ129、ファクトリインタフェース91、ロードロック又はステーション104a、104b、移送チャンバ106、及び/又は任意の処理チャンバ107を作動させることができる。その後、コントローラ109は、センサウエハ110上のSAWセンサアセンブリによって生成された戻りRF信号を受信して、受信したRF信号を解析することができる。SAWセンサアセンブリのそれぞれは、圧力、温度、プラズマ出力といった特定の環境特性を測定し、特定の環境特性の測定値を示すRF信号を出力するよう構成されうる。追加的に、センサウエハ上の複数の異なるSAWセンサアセンブリが、異なる環境特性を測定するよう構成されうる。コントローラ109は、RF信号を受信し、受信したRF信号に基づいて、測定された環境特性について(例えば、振幅、位相、周波数及び/又は時間遅延の)測定値を決定することができる。
【0034】
幾つかの実施形態において、単一のセンサウエハ110は、異なる周波数に調整された、及び/又は(例えば、位相シフトを行うことによって)異なる信号変調を行うよう構成された複数のSAWセンサアセンブリを含む。各SAWセンサは、特定の変調及び/又は周波数と関連付けられうる。様々な受信されたRF信号の異なる周波数及び/又は変調は、コントローラ109によって、それぞれのRF信号を生成した特定のSAWセンサを一意に特定するために使用することができる。したがって、センサウエハは、多くの異なるSAWセンサを含むことができ、コントローラ109は、どのSAWセンサが各受信されたRF信号を生成したのかを、そのRF信号の固有のフィンガープリントに基づいて一意に決定することができる。これにより、コントローラ109は、センサウエハ110全体の環境プロファイル(例えば、センサウエハ110の局所的な圧力及び/又は温度)を決定することができる。
【0035】
図2は、本開示の態様に係る、統合SAWセンサアセンブリ210を含むセンサデバイス200(例えば、センサウエハ)の上面斜視図である。センサデバイス200は、ベース基板202と、ベース基板202の表面に組み込まれた1つ以上のSAWセンサアセンブリ210A~Dと、とを含む。SAWセンサアセンブリ210A~Dはそれぞれ、RFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及び/又はSAWセンサ204A~Dを含むことができ、これらは、統合されたデバイスの部分である。代替的に、1つ以上のSAWセンサアセンブリ210A~Dが、別個のRFアンテナ、及び別体の別個の整合回路に接続されたSAWセンサ204A~Dの統合された構成要素を含んでよく、別体の別個のアンテナに接続された統合SAWセンサ204A~D及び整合回路206A~Dを含んでよく、及び/又は、別体の別個の整合回路に接続された統合SAWセンサ204A~D及びアンテナ208A~Dを含んでよい。幾つかの実施形態において、センサウエハは、圧電材料の少なくとも1つの層を有し、当該少なくとも1つの層には、複数の統合SAWセンサ204A~Dが形成されており、任意選択的に、当該少なくとも1つの層の上には、1つ以上の統合されたアンテナ208A~D及び/又は統合された整合回路206A~Dが配置されている。これらの構成要素については、
図3A~Bを参照しながら、以下でより詳細に説明する。
【0036】
図2に示すように、ベース基板202は、平坦な表面(例えば、ウエハ)を含むディスク状の構造でありうる。他の実施形態において、ベース基板202は、処理システム(例えば、
図1の処理システム100)による移送、堆積、及び処理のために使用可能な他の平坦な形状に形成することができる。ベース基板202は、ケイ素といった従来のウエハベース基板で作製することができ、LiNbO
3、LiTaO
3、又はLa
3Ga
5SiO
14などの圧電材料を含むことができ、又は当該圧電材料によって部分的又は完全に被覆されうる。幾つかの実施形態において、ベース基板が、従来のウエハベース基板(例えば、ケイ素)を使用せずに、全体が圧電材料で作製されうる。幾つかの実施形態において、ベース基板は、圧電材料を含み又は圧電材料で構成された圧電基板を含みうる。
【0037】
図2に示すように、センサデバイス200は、ベース基板202の表面に組み込まれ、及び/又は当該表面上に堆積させられた複数のSAWセンサアセンブリ210A~Dを含む。センサデバイス200は、1つ以上のSAWセンサアセンブリ210A~Dを含みうる。一例として4つのセンサアセンブリ210A~Dが示されているが、より多くの又はより少ないセンサアセンブリが、センサデバイス200に含まれてよい。SAWセンサアセンブリ210は、センサアレイで配置することができ、ここでは、統合された各SAWセンサアセンブリ210が、ベース基板202上の様々な位置の環境状態を測定する。幾つかの実施形態において、各SAWセンサアセンブリは、共通の圧電基板上、又は(例えば、同じウエハ上の)圧電層が形成された他の基板上に形成される。代替的に、1つ以上のSAWセンサアセンブリが、別体の圧電基板又は圧電層を含む基板の上に形成されていて、別個のセンサアセンブリを形成してよい(例えば、他のSAWセンサアセンブリとともに別体の圧電基板上に形成され、その後、ダイシング及びパッケージングされて、別個のSAWセンサアセンブリを形成してよい)。その後、別個のセンサアセンブリは、ベース基板202上に取り付けることができる。このような実施形態では、ベース基板202は、圧電材料であってよく、圧電材料でなくてよい。各SAWセンサアセンブリ210A~Dが、ベース基板202上の異なる位置に取り付けられ又は配置されうる。
【0038】
図2に示すように、SAWセンサアセンブリ210A~Dはそれぞれ、RFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及びSAWセンサ204A~Dを含む。RFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及びSAWセンサ204A~Dは、それぞれ平面的な導体を含みうる。例えば、RFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及びSAWセンサ204A~Dはそれぞれ、導電要素ごとに単一の導電層(例えば、IDT及び/又はリフレクタに対して一層、アンテナに対して一層、及び整合ネットワークに対して一層)を堆積することによって、形成することができる。幾つかの実施形態において、RFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及び(例えば、1つ以上のIDT及び/又は1つ以上のリフレクタを含む)SAWセンサ204A~Dは、単一の導電層を形成することができ、ここで、各要素を堆積させることが、1回のリソグラフィステップで一緒に実施されうる。単一のSAWセンサアセンブリ120A~DのRFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及び/又はSAWセンサ204A~Dは、ベース基板202上(又は別の圧電基板又は材料上)で互いに一体化されうる。さらに、幾つかの実施形態において、SAWセンサアセンブリ120A~D(これらのSAWセンサ、整合ネットワーク及びアンテナを含む)の一部又は全部が、ベース基板202上に一緒に統合されている。RFアンテナ208A~D、整合回路206A~D、及びSAWセンサ204A~Dは、本明細書の他の実施形態で記載するように、様々な材料及び構成を含みうる。
【0039】
幾つかの実施形態において、センサデバイス200が、1つ以上のSAWセンサアセンブリ210の上に配置された保護コーティング又は層を含みうる。保護コーティングは、高温に対する耐性(例えば、300~1000℃)を有しうる誘電材料を含むことができる。使用しうる誘電体コーティングの例には、Al2O3、AlN、Y2O3、Y3Al5O12、イットリウム系酸化物、フッ化物及び/又はオキシフルオリド等が含まれる。
【0040】
幾つかの実施形態において、センサデバイス200が、SAWセンサアセンブリ210とは反対側のベース基板202の裏面上に層を含む。裏面上の上記層は、金属層を含んでよく又は金属層であってよい。金属層は、他の信号(例えば、他のチャンバ内の
図1のRFアンテナ129)からの干渉を最小に抑えるために使用することができ、任意選択的に、チャック(例えば、静電チャック)によってセンサデバイス200を保持するための向上した支持を提供することができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、センサデバイス200は、SAWセンサ204又はその一部分の上に、ベース基板の或る領域に亘って配置された遮蔽構造を含みうる。遮蔽構造は、ベース基板202の上記領域の上方に凹部を含むことができ、ベース基板202の表面にわたるSAWの伝播を可能にする。遮蔽構造は、高温に対する耐性及び/又は耐圧性を有する材料を含みうる。幾つかの実施形態において、材料は、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金といった金属である。幾つかの実施形態において、材料がセラミックであり、これは誘電材料でありうる。幾つかの実施形態において、遮蔽構造が、ベース基板202のより大きな部分にわたって配置される。例えば、遮蔽構造は、センサデバイス200を完全に包み込むカバーを含みうる。
【0042】
幾つかの実施形態において、
図2に示すように、SAWセンサアセンブリ210A~Dは、基板の同じ側(例えば、表側)に配置されうる。しかしながら、他の実施形態において、SAWセンサアセンブリ210A~Dは、基板の表側と裏側の両方に配置されてよい。例えば、(第1の共振周波数で動作しうる)第1のセットのSAWセンサアセンブリが、ベース基板202の第1の側に配置されてよく、(第2の共振周波数で動作しうる)第2のセットのSAWセンサが、ベース基板202の第2の側に配置されてよい。
【0043】
幾つかの実施形態において、SAWセンサアセンブリ210A~Dが、互いに近接して配置されうる。幾つかの実施形態において、SAWセンサアセンブリが、共同敷設され得(co-located)、又は、構成要素を共有することができる(例えば、第1のSAWセンサアセンブリのRFアンテナ208A、整合回路206A、及び/又はSAWセンサが、他のSAWセンサアセンブリの一部でありうる)。一実施形態において、第1のIDTが、第2のIDTに隣接してよい。第1のIDTはSAWを生成することができ、このSAWは、リフレクタによって反射されて第2のIDTに戻る。一実施形態において、SAWセンサ(例えば204A)のSAWリフレクタが、第2のSAWセンサアセンブリからのSAWを反射するために使用されうる。他の例において、2つのSAWセンサアセンブリが、SAWを生成して基板202の同じ領域にわたって伝播させうるSAWセンサを含みうる。他の例において、SAWセンサアセンブリは、SAWセンサ204のIDTが互いに隣接して配置されかつ2つの異なる方向にSAWを伝播させるように、形成されうる。
【0044】
図3A~Bは、本開示の態様に係る、SAWセンサアセンブリ300A~Bの様々な実施形態を示している。SAWセンサアセンブリ300は、RFアンテナ306A~B、整合回路304A~B、及びSAWセンサ302A~Bを含みうる。SAWセンサアセンブリは、例えば、
図2のセンサデバイス200上で使用されうる。
【0045】
RFアンテナ306A~Bは、RF信号を受信及び/又は送信するために一緒に結合された平面的な導体又は複数の導電層を含みうる。本明細書では、一緒に結合される構成要素は、直接的に結合されてよく、又は間接的に結合されてよい。例えば、アンテナに結合されるIDTは、アンテナに直接的に結合されてよく、又は、IDTとアンテナの間にある整合ネットワークを介してアンテナに間接的に結合されてよい。RFアンテナ306A~Bは、特定のRF範囲と関連付けられたフィルタとして動作することができる。RFアンテナ306A~Bは、共振器アンテナ(例えば、誘電体共振器アンテナなど)、フラクタルアンテナ、又は何らかの他の種類のアンテナを含みうる。RFアンテナ306A~Bは、平坦な構造をしていてよく、又は、基板の表面に対して概ね平坦又は同一平面となるよう形成されうる(例えば、平面的な導体でありうる)。整合回路304A~Bは、RFアンテナ306A~B、及びSAWセンサ302A~Bに結合されている。整合回路304A~Bは、RFアンテナ306A~Bのインピーダンス及び/又は負荷を整合させるために、抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタといった回路構成要素の組合せを含みうる。整合回路304A~Bは、実施形態において、RFアンテナ306A~BとSAWセンサ302A~Bとの間の信号反射を最小に抑えるよう設計されうる。各SAWセンサ302A~Bは、それぞれの整合回路304A~Bを介してそれぞれのRFアンテナ306A~Bに結合されている。
図3A~Bに示すように、SAWセンサ302A~Bは、インターディジタルトランスデューサ(IDT)310A~Bを含みうる。IDT310A~Bは、互いに噛合った2つの櫛形電極を含む。IDT310A~Bは、圧電材料(例えば、
図2のベース基板202)上に配置されうる。IDTは、整合回路304から入力信号(例えば、交流(AC)信号)を受け取り、その信号に基づいて、電極の導電指間の間隙に電界を発生させる。この電界により、圧電材料の表面上にSAWが発生する。
【0046】
図3Aに示すように、SAWセンサ302Aは、SAWリフレクタ312A~Bを含みうる。IDT310によって生成されたSAWは、圧電材料の表面に沿って、SAWリフレクタ312A~Bまで伝播する。SAWリフレクタ312A~Bは、IDT310Aによって生成された入射SAWの一部を反射するよう設計された導電材料(例えば、平面的な導体)のストリップを含みうる。SAWの上記反射された部分は、反射されてIDT310Aに戻りうる。IDT310Aは、複数のリフレクタ312A~Bによって反射されたSAWを一緒に合わせて、振動電位を発生させることができる。振動電位は、RFアンテナ306に送られうる。RFアンテナ306は、振動電位と関連付けられた発信RF信号を出力し、この発信RF信号は、RF信号受信装置(例えば、
図1のRFアンテナ129)によって受信されうる。IDT310Aによって生成された振動電位は、IDT310とSAWリフレクタ312との間に配置された環境の状態を示す情報を含む。環境状態は、SAWセンサアセンブリ300に送信されたRF信号と、返送されて受信されたRF信号と、の周波数の変化によって示すことができる。返送されて受信された信号は、環境状態を示す情報を含みうる。例えば、所与の温度又は圧力の場合、圧電材料の長さが強くなったり縮んだりして、信号のピッチ、位相、全体的な遅延が変化し、これらのことは、特定の温度又は圧力に較正されうる。幾つかの実施形態において、リフレクタは、RF信号間の周波数の変化が環境状態の変化(例えば、温度又は圧力の変化)と関連付けられるように、空間的に配置され較正されうる。
【0047】
幾つかの実施形態において、SAWリフレクタ312A~Bが、
図3Aに示すように、IDT310Aの1の側又は複数の側に配置されうる。SAWリフレクタは、幾つかの実施形態において、互いの間の距離、及び厚さが変わりうる。代替的に、SAWリフレクタは、厚さ及び/又は間隔が均一でありうる。
【0048】
図3Bに示すように、SAWセンサ302Bは、一連の遅延線314A~Cを含む。IDT310によって生成されたSAWが、圧電材料の表面に沿って遅延線314A~Cまで伝播する。遅延線314A~Cは、IDT310によって生成されたSAWを反射し及び/又は遅延させるよう設計された導電材料(例えば、平面的な導体)のストリップを含みうる。遅延させられた反射されたSAWが、IDT310に戻って一緒に合成される。反射されたSAWの相対遅延が、強め合うように及び弱め合うように互いに干渉し、その結果、測定された環境状態を示す振動電位が得られる。振動電位はRFアンテナ306に送られ、さらに、他の装置(例えば、
図1のRFアンテナ129)に送られうる。振動電位は、IDT310と遅延線314との間の環境の状態を示す情報を含む。環境状態は、RFアンテナ306によって送信された戻りRF信号の周波数の変化、又は反射されたSAWの相対遅延によって示されうる。幾つかの実施形態において、リフレクタ314A~Cは、第1のセットの遅延線(例えば、314A)と第2のセットの遅延線(例えば、314B)との間の相対遅延が、温度又は圧力といった測定された環境状態と関連付けられるように、空間的に配置され較正されうる。
【0049】
幾つかの実施形態において、SAWセンサ302A~Bが、第2のIDT(図示せず)を含む。第1のIDT310A~Bは、着信した電気信号を取り込んで、当該着信信号と関連付けられたSAWを生成することができる。SAWは、圧電材料を横切って進むことができ、第2のIDTによって受信されうる。幾つかの実施形態において、SAWが、圧電材料の表面上の導電要素(例えば、遅延線314)を通過してから、第2のIDTに到達することができる。第2のIDTは、受信されたSAWと関連付けられた振動電位を生成することができる。振動電位は、第2のIDTに接続された整合回路を介して、その整合回路に取り付けられたRFアンテナに伝送されうる。受信されたRF信号に基づく第1の振動電位と、受信されたSAWに基づきIDTが生成した第2の振動電位と、の間の変化が、測定された環境状態を示しうる。幾つかの実施形態において、複数のIDTが、共通のRFアンテナ及び/又は整合ネットワークを共有しうる。
【0050】
幾つかの実施形態において、RFアンテナ306A~Bと、整合回路304A~Bと、IDT310A~Bを含むSAWセンサ302A~Bと、のすべてが、共通の圧電材料上に一緒に統合されている。他の実施形態でさらに述べるように、SAWセンサアセンブリ300A~Bは、圧電材料に完全に統合されうる。このことによって、SAWセンサアセンブリ300A~B全体を、複数の組立ステップ及び別々の部品作製ステップにおいて一緒に部品ごとに作製する代わりに、基板(例えば、ウエハ)上に一緒に製作することが可能となる。上記構成要素の全てを有するセンサデバイスを1つの統合デバイスで作製することで、より小型化したセンサデバイスの使用が可能となり、製造コストを削減し、時間を短縮し、必要な製造工程数を減らすことができる。また、単一のデバイスを作製することで、製作される部品同士で互換性を持たせることができる。また、部品の仕様を合わせるという非効率も解消されうる。
【0051】
図4は、本開示の態様に係る、SAWセンサアセンブリを作製するための方法400のフローチャートである。方法400は、実施形態において、センサデバイス(例えば、
図1のセンサアセンブリ110)を製造するために実行されうる。
【0052】
図4を参照すると、ブロック410において、導電構造が、圧電材料の少なくとも1つの層が載置された基板上に形成され、圧電材料上にRFアンテナを形成する。RFアンテナは、前述したRFアンテナのいずれかに対応しうる。圧電材料は、前述した圧電材料のいずれであってよい。第1の導電構造を形成することが、圧電材料上にフォトレジストを堆積させるためのフォトレジスト堆積工程を実施することと、フォトレジストの選択的な部分を硬化させるための(例えば、リソグラフィ装置を用いた)パターニング工程を実施することと、フォトレジストの硬化部分又は未硬化部分のいずれかをエッチング除去するためのエッチング工程を(例えば、エッチングチャンバ内で)実施することと、を含みうる。次いで、堆積プロセス(例えば、原子層堆積、物理的気相堆積、化学気相堆積など)が、導電層(例えば、金属層)を、圧電材料及びその上に形成されたフォトレジストの上に堆積させるために、(例えば、堆積チャンバ内で)実施されうる。その後、(例えば、エッチングチャンバ内で)選択的なエッチングプロセスを実施して、フォトレジスト及びその上に形成された導電材料を除去して、第1の導電構造を残すことができる。
【0053】
ブロック420において、第2の導電構造が、圧電構造上に形成されて整合回路を形成し、この整合回路は、RFアンテナを構成する第1の導電構造への電気的接続を有しうる(例えば、RFアンテナに接続されうる)。整合回路は、前述した整合回路に対応しうる。第2の導電構造を形成することが、圧電材料上にフォトレジストを堆積させるためのフォトレジスト堆積工程を実施することと、フォトレジストの選択的な部分を硬化させるための(例えば、リソグラフィ装置を用いた)パターニング工程を実施することと、フォトレジストの硬化部分又は未硬化部分のいずれかをエッチング除去するためのエッチング工程を(例えば、エッチングチャンバ内で)実施することと、を含みうる。次いで、堆積プロセス(例えば、原子層堆積、物理的気相堆積、化学気相堆積など)が、導電層(例えば、金属層)を、圧電材料及びその上に形成されたフォトレジストの上に堆積させるために、(例えば、堆積チャンバ内で)実施されうる。その後、(例えば、エッチングチャンバ内で)選択的なエッチングプロセスを実施して、フォトレジスト及びその上に形成された導電材料を除去して、第2の導電構造を残すことができる。第2の導電構造は、第1の導電構造と同時に形成されうる。したがって、一連の工程(例えば、フォトレジスト堆積、リソグラフィ、エッチング、金属堆積、エッチングなどのプロセス)を実行して、第1の導電構造及び第2の導電構造の両方を同時に又は並行して形成することができる。
【0054】
ブロック430において、第3の導電構造が圧電構造上に形成されて、圧電材料上にインターディジタルトランスデユーサ(IDT)を形成する。IDTは、整合回路を介してRFアンテナに接続されうる。IDTは、本開示の他の実施形態で開示されたIDT(例えば、
図3のIDT310)の特徴及び構成を含みうる。第3の導電構造を形成することが、圧電材料上にフォトレジストを堆積させるためのフォトレジスト堆積工程を実施することと、フォトレジストの選択的な部分を硬化させるための(例えば、リソグラフィ装置を用いた)パターニング工程を実施することと、フォトレジストの硬化部分又は未硬化部分のいずれかをエッチング除去するためのエッチング工程を(例えば、エッチングチャンバ内で)実施することと、を含みうる。次いで、堆積プロセス(例えば、原子層堆積、物理的気相堆積、化学気相堆積など)が、導電層(例えば、金属層)を、圧電材料及びその上に形成されたフォトレジストの上に堆積させるために、(例えば、堆積チャンバ内で)実施されうる。その後、(例えば、エッチングチャンバ内で)選択的なエッチングプロセスを実施して、フォトレジスト及びその上に形成された導電材料を除去して、第3の導電構造を残すことができる。第3の導電構造は、第1の導電構造及び/又は第2の導電構造と同時に形成されうる。したがって、一連の工程(例えば、フォトレジスト堆積、リソグラフィ、エッチング、金属堆積、エッチングなどのプロセス)を実行して、第1の導電構造、第2の導電構造、及び第3の導電構造を同時に又は並行して形成することができる。
【0055】
ブロック440において、第4の導電構造が圧電材料上に形成され、a)1つ以上のSAWリフレクタ、又はb)第2のIDT電極、のうちの少なくとも1つを形成する。SAWリフレクタ及び第2のIDTは、SAWが伝播しうる圧電材料のスパン(span)によって、上記IDTから隔てられうる。これにより、第2のIDT及び/又はリフレクタは、SAWを介して第1のIDTに通信可能に接続されうる。SAWリフレクタは、本開示の他の箇所に開示されたSAWレフレクタ(例えば、
図3のSAWレフレクタ312)の特徴及び構成を含みうる。第2のIDTは、本開示の他の実施形態で開示されたIDT(例えば、
図3のIDT310)の特徴及び構成を含みうる。第4の導電構造を形成することが、圧電材料上にフォトレジストを堆積させるためのフォトレジスト堆積工程を実施することと、フォトレジストの選択的な部分を硬化させるための(例えば、リソグラフィ装置を用いた)パターニング工程を実施することと、フォトレジストの硬化部分又は未硬化部分のいずれかをエッチング除去するためのエッチング工程を(例えば、エッチングチャンバ内で)実施することと、を含みうる。次いで、堆積プロセス(例えば、原子層堆積、物理的気相堆積、化学気相堆積など)が、導電層(例えば、金属層)を、圧電材料及びその上に形成されたフォトレジストの上に堆積させるために、(例えば、堆積チャンバ内で)実施されうる。その後、(例えば、エッチングチャンバ内で)選択的なエッチングプロセスを実施して、フォトレジスト及びその上に形成された導電材料を除去して、第4の導電構造を残すことができる。第4の導電構造は、第1の導電構造、第2の導電構造、及び/又は第3の導電構造と同時に形成されうる。したがって、一連の工程(例えば、フォトレジスト堆積、リソグラフィ、エッチング、金属堆積、エッチングなどのプロセス)を実行して、第1の導電構造、第2の導電構造、第3の導電構造、及び第4の導電構造を同時に又は並行して形成することができる。
【0056】
ブロック450において、任意選択的に、第5の導電構造が圧電材料上に形成され、IDT間に1つ以上の導波路を形成する。第5の導電構造を形成することが、圧電材料上にフォトレジストを堆積させるためのフォトレジスト堆積工程を実施することと、フォトレジストの選択的な部分を硬化させるための(例えば、リソグラフィ装置を用いた)パターニング工程を実施することと、フォトレジストの硬化部分又は未硬化部分のいずれかをエッチング除去するためのエッチング工程を(例えば、エッチングチャンバ内で)実施することと、含みうる。次いで、堆積プロセス(例えば、原子層堆積、物理的気相堆積、化学気相堆積など)が、導電層(例えば、金属層)を、圧電材料及びその上に形成されたフォトレジストの上に堆積させるために、(例えば、堆積チャンバ内で)実施されうる。その後、(例えば、エッチングチャンバ内で)選択的なエッチングプロセスを実施して、フォトレジスト及びその上に形成された導電材料を除去して、第5の導電構造を残すことができる。第5の導電構造は、第1の導電構造、第2の導電構造、第3の導電構造及び/又は第4の導電構造と同時に形成されうる。したがって、一連の工程(例えば、フォトレジスト堆積、リソグラフィ、エッチング、金属堆積、エッチングなどのプロセス)を実行して、第1の導電構造、第2の導電構造、第3の導電構造、第4の導電構造、及び第5の導電構造を同時に又は並行して形成することができる。
【0057】
幾つかの実施形態において、RFアンテナ、整合回路、IDT、SAWリフレクタ及び/又は導波路を形成する導電構造が、単一の導電層を形成する。ブロック410、420、430、440及び/又は450の工程は、各導電構造が一緒に堆積されるよう、一緒に実行することができる。代替的に、1つ以上の層が別々に形成されうる。
【0058】
幾つかの実施形態において、方法400は、RFアンテナ及び/又は整合回路の上に保護コーティングを堆積させることをさらに含みうる。保護コーティングは、プラズマに対する耐性を有し、高温に対して耐性を有し、及び/又は高圧に対する耐性を有しうる誘電材料を含みうる。使用しうる誘電体コーティングの例には、Al2O3、AlN、Y2O3、Y3Al5O12、イットリウム系酸化物、フッ化物及び/又はオキシフルオリド等が含まれる。
【0059】
幾つかの実施形態において、保護層又は保護コーティングを堆積させることが、原子層堆積、化学気相堆積、物理的気相堆積、又はこれらのプラズマ強化バージョンを使用して実施されうる。
【0060】
図5A~Bは、本開示の態様に係る、誘電体コーティング530、540が載置されたSAWセンサ500の様々な実施形態の上方からの透視図である。SAWセンサ500A~Bは、2つの櫛形の噛合った電極を有するIDT520を含み、上記2つの電極は、圧電材料の少なくとも1つの層を有するベース基板510上に配置されている。SAWセンサは、IDT520及びベース基板510の上に配置された誘電体コーティング530をさらに含む。SAWセンサ500A~Bは、追加的に、ベース基板510上のIDT520から間隔を置いて配置された1つ以上の追加のIDT及び/又はリフレクタを含むことができる。誘電体コーティング530は、追加のIDT(複数可)及び/又リフレクタ、及び/又は、IDTと、追加のIDT及び/又はリフレクタと、の間のベース基板510の領域を追加的にコーティングすることができる。統合SAWセンサアセンブリがRFアンテナ及び整合ネットワークも含む実施形態では、RFアンテナ及び整合ネットワークも、誘電体コーティング530によってコーティングされうる。
【0061】
幾つかの実施形態において、IDT520は、電気信号(例えば、交流信号)を受信し、圧電材料の表面にわたってSAWを発生させる。発生したSAWは、伝搬速度及び共振周波数を含む。誘電体コーティング530を敷設することで、SAWセンサの共振周波数を調整することが可能である。誘電体コーティング530は、SAWの伝搬速度を調整することができ、その結果共振周波数が下げられる。誘電体コーティング530は、薄い均一な誘電体層を含みうる。使用しうる誘電体コーティングの例には、Al2O3、AlN、Y2O3、Y3Al5O12、イットリウム系酸化物、フッ化物及び/又はオキシフルオリド等が含まれる。
【0062】
幾つかの実施形態において、目標共振周波数は、第1の周波数シフトが適用されたベース周波数が結果的に目標共振周波数となるように、SAWセンサのベース共振周波数を決定し、第1の周波数シフトと関連付けられたSAWセンサの表面をコーティングするための厚さ及び/又は材料を決定することによって、実現することが可能である。幾つかの実施形態において、例えば
図5Aに示すように、単一の誘電体層(又は第1の材料及び/又は厚さの誘電体層)が、SAWセンサに敷設されうる。しかしながら、他の実施形態において、例えば
図5Bに示すように、同じ又は異なる材料及び/又は厚さの複数の誘電体層が、IDT520の共振周波数を調整するために敷設されうる。例えば、図示のように、誘電体コーティング530は第1の層であり、誘電体コーティング540は第2の層である。代替的に、(1つの層を含む)単一の誘電体コーティングが使用されてよく、この単一の誘電体コーティングは、
図5Aで使用された誘電体コーティング530とは異なる厚さ及び/又は材料を有しうる。
【0063】
幾つかの実施形態において、SAWセンサ500A~Bは、
図4の方法400及び/又は
図8の方法800に従って作製されうる。
【0064】
幾つかの実施形態において、センサデータの処理及び解析、画像処理アルゴリズム、1つ以上の訓練済み機械学習モデルを生成する機械学習(ML:machine learning)アルゴリズム、ディープMLアルゴリズム、及び/又は、SAWセンサデータを解析するための他の信号処理アルゴリズムを使用して、SAWセンサのIDTの上に様々な材料及び厚さの任意の数の誘電体コーティングを敷設した結果としての、SAWセンサの共鳴周波数シフトを決定することができる。これらのモデル、解析、及び/又はアルゴリズムを使用して、所与のSAWセンサについて、誘電材料と厚さの組み合わせ、及び得られる共振周波数シフトを計算、予測、及び評価することができる。追加的又は代替的に、このような技術をSAWセンサデータと共に使用して、複数のSAWセンサであって、当該SAWセンサの信号が混同されずに近接して一緒に動作可能な複数のSAWセンサを設計することができる。幾つかの実施形態において、MLモデルを訓練するための訓練データを、走査装置又は他の種類のセンサ又はカメラを使用して撮像することで取得して、指定された材料及び厚さの誘電材料によって以前にコーティングされたSAWセンサの共振周波数シフトを測定することができる。
【0065】
使用できる機械学習モデルの1つのタイプは、ディープニューラルネットワークといった、人工ニューラルネットワークである。人工ニューラルネットワークは、一般に、特徴を所望の出力空間にマッピングする分類器又は回帰層を含む特徴表現要素を含む。例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)は、畳み込みフィルタの複数層のホストとして機能する(host)。より下層では、プーリング(pooling)が行われ、非線形性に対処することができ、その上には、多層パーセプトロンが一般的に付け足され、畳み込み層によって抽出された上層の特徴が、決定(例えば、分類出力)にマッピングされる。ディープラーニングは、特徴抽出と変換のために非線形処理ユニットの複数層のカスケードを使用する或るクラスの機械学習アルゴリズムである。連続する各層は、前の層からの出力を入力として使用する。ディープニューラルネットワークは、教師あり(例えば、分類)及び/又は教師なし(例えば、パターン解析)の形態で学習することができる。ディープニューラルネットワークには層の階層があり、ここでは、様々な層が、様々な抽象度に対応する様々なレベルの表現を学習する。ディープラーニングにおいて、各レベルは、自身の入力データを、僅かにより抽象的で複雑な表現に変換することを学習する。例えば、画像認識アプリケーションでは、生の入力は、画素の行列とすることができ、即ち、第1の表現層が、画素を抽象化しエッジを符号化することができ、第2の層が、エッジの配置を構成して符号化することができ、第3の層が、より高いレベルの形状(例えば、歯、唇、歯肉など)を符号化することができ、第4の層が、画像が顔を含むことを認識することができ、又は画像内の歯の周りの境界ボックスを定めることができる。特に、ディープラーニングプロセスは、どの特徴をどのレベルに配置するのが最適かを自ら学習することが可能である。「ディープラーニング(deep learning)」の「ディープ(deep)」とは、データを変換する層の数を指す。より正確には、ディープラーニングシステムは、実質的なCAP(credit assignment path)の深さを有する。CAPとは、入力から出力への変換の連鎖のことである。CAPは、入力と出力の間の潜在的な因果関係を記述する。フィードフォワード(feedforward)ニューラルネットワークの場合、CAPの深さはネットワークの深さであり、隠れ層の数+1とすることができる。リカレントニューラルネットワークの場合、信号が1つの層を複数回伝播することがあるため、CAPの深さが無制限になりうる。
【0066】
一実施形態において、ニューラルネットワークが、複数のデータ点を含む訓練データセットを使用して訓練され、ここで、各データ点は、(例えば、特定の指構成及び/又はリフレクタの特定の構成を備えたIDTを含む)SAWセンサ構成を含み、かつ、特定の圧電材料、及び/又は、既知の材料及び/又は厚さを有する誘電コーティングを含みうる。各訓練データ点は、SAW周波数、位相、時間遅延等といったSAWの属性を追加的に含むことができ、又は、当該属性と関連付けることができる。ニューラルネットワークは、SAWセンサ構成及び目標SAW属性の入力を受け取り、SAWセンサの上に堆積されたときに、SAWセンサに目標SAW属性を有するSAWを生成させる特定の材料及び/又は厚さを有する誘電体コーティングの提案を出力するように、訓練データセットを使用して訓練されうる。
【0067】
図6は、本開示の態様に係る、SAWセンサのベース共振周波数における周波数シフト610を示すグラフ600である。第1のピーク606は、第1の共振周波数を有する誘電体コーティングが無いIDTを示している。第2のピーク608は、第2の共振周波数を有する誘電体コーティングを有するIDTを示している。ピーク間の距離が、誘電体コーティングを敷設した結果である周波数シフト610を表している。誘電体コーティングを使用して、共振周波数を調整することが可能である。誘電体コーティングの厚さが増すにつれて、周波数シフト610の大きさが増大する。幾つかの実施形態において、誘電体コーティングはまた、SAWセンサを極端な環境状態から(例えば、プラズマ環境から、腐食性の化学環境からなど)保護することができる。
図6に示されるように、誘電体コーティングから結果的にもたらされた信号強度の低下612が存在する。誘電体コーティングはまた、実施形態において、SAWセンサを過度な露出から護り、環境からの信号飽和を防ぐことができる。
【0068】
図7は、本開示の態様に係る、センサデバイス700の上面斜視図である。センサデバイス700は、ベース基板702を有し、ベース基板702に配置されたSAWセンサアセンブリ704A~Bを含む。SAWセンサアセンブリ704A~Bは、RFアンテナ710、整合回路708、及びSAWセンサ706A~Bを含む。RFアンテナ710、整合回路708、及びSAWセンサ706A~Bを含むSAWセンサアセンブリ704A~Bは、本明細書の他の箇所に開示されたSAWセンサ(例えば、
図2のベース基板202及びSAWセンサセンブリ210、
図3のSAWセンサセンブリ300)の特徴及び構成を含みうる。
【0069】
図7に示されるように、SAWセンサ706A~706Bは、ベース基板702の圧電材料上に配置することができ、上記圧電材料はベース基板702上に貼り付けられ又は堆積されうる。例えば、SAWセンサ706A~Bの圧電基板は、シリコンウエハに貼り付けることができる。他の実施形態において、SAWセンサアセンブリが、ベース基板702に完全に組み込まれうる。例えば、ベース基板702は、共通の圧電材料を含み、1つ以上のSAWセンサアセンブリ704A~BのRFアンテナ710、整合回路708、及びSAWセンサ706A~Bが、共通の圧電材料上に互いに組み込まれうる。代替的に、RFアンテナ710又は整合回路708のうちの1つ以上が、ベース基板702に組み込まれていない別個のデバイスであってよい。
【0070】
図7に示すように、SAWセンサ706A~Bはそれぞれ、圧電材料上に配置されたIDTと、IDTを覆う誘電体コーティングと、を含みうる。幾つかの実施形態において、各SAWセンサアセンブリ706A~Bの誘電体コーティングが、同じ厚さ及び材料を含みうる。他の実施形態において、誘電体コーティングの厚さ及び/又は材料が、SAWセンサアセンブリ704ごとに固有であってよい。様々なSAWセンサアセンブリの固有の共振周波数を使用して、環境状態を測定し、特定のSAWセンサに対して、したがってベース基板702上の位置に対して測定値をマッピングすることができる。
【0071】
幾つかの実施形態において、誘電体コーティングが、SAWセンサ706A~Bを有するSAWセンサアセンブリ704の一部分を覆いうる。しかしながら、他の実施形態において、誘電体コーティングは、RFアンテナ710、及び整合回路708を含む各SAWセンサアセンブリ704全体を覆いうる。
【0072】
幾つかの実施形態において、各センサアセンブリが、同じベース共振周波数を有するSAWセンサ706A~Bを備えたSAWセンサアセンブリ704を含みうる。SAWセンサ706A~Bは、異なる厚さ及び/又は材料の誘電体コーティングを各SAWセンサ7086A~Bに敷設することで、異なる共振周波数シフトを発生させることによって、音響周波数が様々なSAWを生成するよう調整されうる。例えば、第1のSAWセンサ706Aは、第1の厚さを有する第1の誘電体コーティングを有することができ、第2のSAWセンサ706Bは、第2の厚さを有する第2の誘電体コーティングを有することができる。
【0073】
幾つかの実施形態において、誘電体コーティングを含むSAWセンサアセンブリ及び/又は誘電体コーティングを含まないSAWセンサアセンブリ(図示せず)の組み合わせを、誘電体コーティングを含むSAWセンサアセンブリ704と同じベース基板702上で組み合わせることができる。
【0074】
図8は、本開示の態様に係る、SAWセンサアセンブリを作製するための方法800のフローチャートである。
【0075】
図8を参照すると、ブロック810において、処理システムは、SAWセンサの現在のRF共振周波数範囲を決定することができる。SAWセンサは、本明細書の他の箇所に開示されたSAWセンサ(例えば、
図5のSAWセンサ500)の特徴及び構成を含みうる。
【0076】
ブロック820において、処理システムは、SAWセンサの目標RF共振周波数範囲を決定することができる。
【0077】
ブロック830において、処理システムは、信号伝播速度を調整しかつ現在のRF共振周波数範囲を目標RF共振周波数範囲に対して調整する誘電体コーティング材料又は誘電体コーティング厚さのうちの少なくとも一方を決定することができる。一実施形態において、SAWセンサの設計(及び、任意選択的に、目標SAW属性)が、訓練済みの機械学習モデルに入力され、当該機械学習モデルは、誘電体コーティングの材料及び/又は誘電体コーティングの厚さについての提案を出力する。幾つかの実施形態において、処理システムは、SAWセンサ上に堆積させる誘電材料と層の組み合わせを決定する。幾つかの実施形態において、決定された材料及び厚さが、SAWセンサの仕様(例えば、表面積、最大厚さなど)に依存する。
【0078】
ブロック840において、処理システムは、SAWセンサの上に誘電体コーティングを堆積させることができる。誘電体コーティングは、ブロック830で決定された誘電体コーティングの材料又は誘電体コーティングの厚さのうちの少なくとも一方を有しうる。
【0079】
ブロック850において、処理システムは、共振周波数が目標RF共振周波数の閾値差の範囲内にあるかどうかを判定することができる。処理システムは、現在の共振周波数を測定し、その結果をブロック820で決定された目標共振周波数と比較することができる。共振周波数が閾値差の範囲内にある場合には、方法800は完了してよい。しかしながら、共振周波数が目標周波数の閾値差の範囲内にない場合には、本方法はブロック810に戻り、他の誘電体コーティングを決定して堆積させるために本方法のステップを繰り返す。
【0080】
図9A~Cは、本開示の態様に係る、SAWセンサのIDT900A~Bの電極構成の様々な実施形態を示している。IDT900A~Cはそれぞれ、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板上に、一構成において配置された噛合い指910A~Cを有する2つの櫛形電極を含む。
【0081】
幾つかの実施形態において、IDT900A~Cは、電気信号(例えば、RF信号)を受信し、受信した電気信号と関連付けられたSAWを生成する。他の実施形態において、IDT900A~Cは、SAWを受信し、受信したSAWと関連付けられた電気信号(例えば、RF信号)を生成する。いずれの場合も、電極の噛合い指910A~Cの構成によって、IDT900A~Cを通過する任意の信号内で信号変調を発生させることができる。
【0082】
本開示の実施形態は、噛合い指910A~Cの様々な構成を含む。
図9Aに示すように、例えば、IDT900Aは、交互になった噛合い指910Aの第1の配置を含みうる。この第1の配置によって、特定の共振周波数及び/又は位相を有する変調されていない信号920Aを得ることができる。
図9Bに示すように、例えば、IDT900Bは、互いに隣接して配置された同じ電極からの少なくとも2つの指を含む噛合い指910Bの第2の配置を含みうる。この構成によって、変調された信号920Bを得ることができる。幾つかの実施形態において、変調された信号920Bは、920Aと同じ共振周波数を含みうるが、位相シフトが行われ又は信号が別様に変更されている。
図9Cで記載するように、噛合い指間のピッチ又は間隔を調整して、調整又は変調された周波数を有する変調された信号を生成することもできる。
【0083】
幾つかの実施形態において、噛合い指(例えば、910B)の構成によって、IDT(例えば、910B)を特定する信号変調を得ることができる。例えば、変調された信号(例えば、920B)は、さらなる信号処理装置(例えば、
図1のRFアンテナ129)に対して識別子として機能する固有の信号変調(例えば、位相シフト930)を含む。さらなる例では、SAWセンサによって生成された信号が、測定可能な環境状態を特定する情報と、情報を含む信号を送信したSAWセンサを特定する信号変調と、を含みうる。
【0084】
幾つかの実施形態において、噛合い指の構成によって発生する信号変調によって、元の信号の位相シフトを含む信号変調を得ることができる。例えば、
図9Bに示すように、噛合い指910Bの構成によって、変調されていない信号と同じ周波数の信号であって、当該信号全体の様々な位置で位相シフト930が行われた信号が得られる。幾つかの実施形態において、変調された信号が、変調されていない信号と同じ周波数を含む。
【0085】
図9A~Cに示されたIDT900A~Cは、本開示の様々な実施形態で使用されるIDTのサブセット又はサブセクションでありうる。例えば、IDT900Aにより示される構成を、より長いIDTのために繰り返すことができる。他の例において、
図9Bに示されたIDT900Bは、示されているよりも多くの噛合い指を含むことができ、これらの指は、様々な位相及び/又は周波数変調をもたらす様々な配置を含みうる。例えば、IDT900Bは、信号のパルスの位相シフトと関連付けることができるが、他のサブセクション(図示せず)と組み合わせたときには、複数の変調されたパルスで構成された信号の信号変調を発生させることができ、結果的に変調された信号がもたらされる。幾つかの実施形態において、IDT900A及びIDT900Bによって示された構成が、位相シフト領域と、変調が行われない領域と、の両方を有するように、組み合わせられうる。例えば、IDTは、IDT900A及びIDT900Bを含む交互のサブセクションを含むことができ、結果的に信号変調がもたらされる。追加的に、IDTは、IDT900A、IDT900B及び/又はIDT900Cを含む交互のサブセクションを含むことができ、結果的に信号変調がもたらされる。
【0086】
幾つかの実施形態において、IDT900A~Cは、センサデバイス(例えば、
図2のセンサデバイス200)のセンサアセンブリ(例えば、
図2のSAWセンサアセンブリ210)のSAWセンサ(例えば、
図2のSAWセンサ204)の一部でありうる。様々なSAWセンサアセンブリが、ベース基板(例えば、ウエハ)に亘って配置されうる。各SAWセンサアセンブリは、デジタル噛合い指の固有の構成を有するIDTを備えたSAWセンサを含みうる。各SAWセンサは、環境状態を測定し、情報を送信したSAWセンサアセンブリを特定する信号変調を有する信号で、情報を返すことができる。一意の信号変調を有することで、各センサが、重複する又は同等の共振周波数の範囲内で動作することが可能であり、さらに、他のセンサと区別されうることが分かる。例えば、測定された環境状態が、当該環境状態と関連付けられた情報を送る信号がベース基板の第1の領域内に位置するセンサを特定する信号変調も含むため、ベース基板の第1の領域にマッピングされうる。
【0087】
幾つかの実施形態において、噛合い指の構成を、本開示の他の実施形態と組み合わせて、センサを特定することができる。例えば、噛合い指910の構成を、
図10との関連で述べるように、SAWリフレクタ1004の空間的配置と組み合わせることができる。これにより、さらに変調された信号であって、SAWセンサを一意に特定する上記信号を得ることができる。他の例において、噛合い指910の構成を、
図5との関連で述べた誘電体コーディング530の敷設と組み合わせることができる。これにより、調整された周波数と組み合わされた信号変調であって、SAWセンサを一意に特定する上記信号変調を得ることができる。上記の技術の組み合わせによって、センサウエハ上に一緒に配置可能なうえに一意に特定可能なSAWセンサの密度を上げることができる。
【0088】
図10A~Bは、本開示の態様に係る、SAWセンサ1000A~BのSAWリフレクタの様々な空間的配置を示す。SAWセンサ1000A~Bは、IDT1002A~Bと、圧電基板上又は圧電層が載置された基板(例えば、半導体基板)上に、或る空間的配置で配置された1つ以上のSAWリフレクタの集合1004A~Dと、を含む。IDT1002A~Bは、電気信号を受信し、圧電基板又は圧電層の圧電材料の表面にわたって伝搬するSAWを生成するよう設計されている。生成されたSAWは、SAWリフレクタ1004A~Dによって反射されて、IDT1002A~Bに戻される。IDT1002A~Bは、反射されたSAWと関連付けられた電位を新たに生成する。SAWリフレクタは、IDT1002A~Bに戻ってくる反射されたSAW波に信号変調を適用するよう、空間的に配置されうる。
【0089】
図示のように、単一のIDT1002A~Bは、受信したRF信号に基づいてSAWを生成することと、SAWの反射を受け取ってそれから新しいRF信号を生成することと、の両方を行う。このような実施形態において、SAWの生成と反射されたSAWの受信とは、時間1にRF信号が受信され、かつ時間2に新しいRF信号が生成されるように、時間的にずれている。幾つかの実施形態(図示せず)において、2つのIDTが並置され又は互いに隣接して配置される。第1のIDTが、RF信号を受信してSAWを生成することができ、第2のIDTが、反射されたSAWを受信して新たなRF信号を生成することができる。このような構成では、第1のIDTと第2のIDTが並行して動作することができる。したがって、第2のIDTは、第1のIDTが着信RF信号を受信している間に、新しいRF信号を出力することができる。
【0090】
本開示の実施形態は、SAWリフレクタ1004A~Dの様々な空間的配置を含む。例えば、SAWリフレクタ1004A~Bに示すように、SAWセンサが、均一に分散されたSAWリフレクタの集合を含みうる。他の例では、SAWセンサが、均一には分散されておらず固有の間隔が置かれうるSAWリフレクタの集合を含みうる。他の例では、SAWリフレクタ1004C~Dに示すように、SAWセンサが、グループ化された1つ以上のSAWリフレクタの集合を含みうる。他の例では、SAWリフレクタ1004Dで示すように、SAWセンサが、様々な間隔が置かれたグループ化された1つ以上のSAWリフレクタの集合を含みうる。
【0091】
幾つかの実施形態において、SAWリフレクタ1004A~Dの空間的配置によって、SAWセンサを特定する信号変調がもたらされる。例えば、
図10A~Bに示す先に記載の各実施例は、各SAWセンサに固有の信号変調をもたらすことができる。例えば、信号変調によって、IDT1002A~Bに戻ったときの反射されたSAWの強め合う干渉及び弱め合う干渉の結果として、位相の変化、周波数の変化、及び/又は信号遅延をもたらすことができる。
【0092】
例えば、SAWリフレクタのグループ間の間隔1010A~Dによって、固有の信号変調がもたらされうる。例えば、
図10Bでは、SAWリフレクタ1004Cが、第1の群のリフレクタ1009A群と第2の群のリフレクタ1009Bとに分けられ、SAWリフレクタ1004Dが、第1の群のリフレクタ1009Cと第2の群のリフレクタ1009Dとに分けられる。第1の群1009A、1009C内の全てのリフレクタが、第1のピッチ又は間隔を有し、第2の群1009B、1009D内の全てのリフレクタも、第1のピッチ又は間隔を有する。第1のピッチ又は間隔は、例えば、おおよそSAWの1波長の間隔程度とすることができる。第1の群1009Aは、SAWの全波長でなくてよい間隙又は空間1010Dによって、第2の群の1009Bから隔てられうる。同様に、第1の群1009Cは、間隙又は空間1010Dによって第2群1009Dから隔てられうる。実施形態では、間隙又は空間1010Dは、1/4波長、1/2波長、1/4波長、1/2波長、3/4波長、1と1/4波長、1と1/2波長、1と3/4波長、2と1/4波長、2と1/2波長、2と3/4波長...といった長さを有しうる。さらなる例において、SAWリフレクタ1004A~Dの空間的分散が、SAWリフレクタ間の1/2波長及び/又は1/4波長の間隔を含みうる。幾つかの実施形態において、SAWリフレクタがグループで配置され、ここでは、第1の群のSAWリフレクタが、第2の群のSAWリフレクタから、例えば半波長又は1/4波長だけずれうる。一実施形態において、第1の群のSAWリフレクタの各SAWリフレクタが、当該群の直近の1つ以上のSAWリフレクタから、SAWの波長に対応しうる間隔だけ間隔が空けられる。追加的に、第2の群のSAWリフレクタの各SAWリフレクタが、当該群からの直近の1つ以上のSAWリフレクタから、SAWの波長に対応しうる間隔だけ間隔が空けられうる。幾つかの実施形態において、1/2波長、1/4波長及び/又は全波長の間隔の組み合わせを使用して、SAWセンサ1000A~Bを特定しうる固有の信号変調を発生させることができる。幾つかの実施形態において、SAWセンサ1000A~Bが、センサデバイス(例えば
図2のセンサデバイス200)のセンサアセンブリ(例えば
図2のSAWセンサセンブリ210)の一部でありうる。IDTを含むSAWセンサと、固有の空間的配置で配置されたSAWリフレクタの集合と、を備える様々なSAWセンサアセンブリが、ベース基板(例えば、ウエハ)にわたって配置されうる。各SAWセンサは、環境状態を測定し、情報を送信したSAWセンサアセンブリを特定する信号変調を有する信号で、情報を返すことができる。一意の信号変調を有することで、各センサが、重複する又は同等の共振周波数の範囲内で動作することが可能であり、さらに、他のセンサと区別されうることが分かる。例えば、測定された環境状態が、当該環境状態と関連付けられた情報を送る信号がベース基板の第1の領域内に位置するセンサを特定する信号変調も含むため、ベース基板の第1の領域にマッピングされうる。
【0093】
幾つかの実施形態において、SAWリフレクタの空間的配置を、本開示の他の実施形態と組み合わせて、SAWセンサを特定することができる。例えば、SAWセンサのSAWリフレクタ1004A~Dの固有の空間的配置を、
図9との関連で述べた、IDTの噛合い指910の固有の配置と組み合わせることができる。これにより、SAWセンサを一意に特定するさらに変調された信号が得られうる。他の例において、SAWリフレクタ1004の固有の空間的配置を、
図5との関連で述べた、敷設された誘電体コーティング530と組み合わすことができる。これにより調整された周波数と組み合わされた信号変調であって、SAWセンサを一意に識別する信号変調を得ることができる。
【0094】
図11~14は、本開示の態様に係る、センサデバイス1100~1400の様々な実施形態の上面斜視図である。センサデバイスは、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板1102~1402(例えば、圧電基板、又は圧電層が載置された半導体基板)と、SAW1106~1406を使用して環境の環境状態を測定することと関連付けられたRF信号を受信及び/又は送信するよう設計されたSAWセンサセンブリ1104~1404及び1108~1208と、を含む。センサアセンブリは、RFアンテナと、整合回路と、IDTを有するSAWセンサと、を含みうる。センサアセンブリは、本明細書の他の箇所に開示されたSAWセンサアセンブリ(例えば、センサデバイス200)の特徴及び構成を含みうる。以下の例示的な実施形態では、複数のセンサアセンブリ間でSAWを送って、複数のセンサアセンブリ間の圧電材料の表面上の或る領域内の環境状態を測定するための様々な構成を開示する。
【0095】
幾つかの実施形態において、例えば、
図11に示すように、センサデバイス1100が、第1のSAWセンサアセンブリ1104Aであって、着信RF信号を受信し、圧電基板又は圧電層が載置された基板でありうる基板1102の表面にわたって伝搬するSAW1106Aを生成するよう設計された第1のSAWセンサアセンブリ1104Aを含みうる。SAW1106は、受信したSAW1106Aと関連付けられた電位を生成し、当該電位と関連付けられた発信RF信号を出力するよう設計された第2のSAWセンサアセンブリ1108Aによって受信され、ここで、発信RF信号の出力が、第1のSAWセンサセンブリ1104Aと第2のSAWセンサセンブリ1108Aとの間の環境の状態を示す情報を含む。幾つかの実施形態において、導波路が、第1のSAWセンサアセンブリ1104Aと第2のSAWセンサアセンブリ1108Aとの間に配置される。導波路は、第1のSAWセンサアセンブリ1104Aと第2のSAWセンサアセンブリ1108Aとの間を伝搬するSAWを維持することができる。幾つかの実施形態において、第1のSAWセンサアセンブリ1104A及び第2のSAWセンサアセンブリ1108Aが、単一の統合デバイスの一部である。幾つかの実施形態において、SAWセンサアセンブリ1104A、1108Aの整合ネットワーク及び/又はアンテナが、統合デバイスの一部ではなく、むしろ別個の構成要素である。幾つかの実施形態において、第1のSAWセンサアセンブリ1104Aと第2のSAWセンサアセンブリ1108Aとの間に配置された導波路が、第1のSAWセンサアセンブリ1104A及び/又は第2のSAWセンサアセンブリ1108Aと共に、統合デバイスの一部である。さらなる実施形態において、センサデバイスは、第1のセットのSAWセンサアセンブリ1104を含むことができ、第1のセットのSAWセンサアセンブリ1104はそれぞれ、第2のセットのSAWセンサアセンブリ1108によって受信されるSAW1106を生成する。実施形態において、SAWセンサアセンブリのそれぞれが、単一の統合デバイスの一部でありうる。幾つかの実施形態において、導波路が、第1のSAWセンサアセンブリ1104A~Dと、第2のSAWセンサアセンブリ1108A~Dと、の1つ以上のそれぞれの対の間に配置される。
【0096】
幾つかの実施形態において、例えば
図12に示すように、センサデバイス1200が、着信RF信号を受信し、圧電基板又は圧電層を含む基板でありうる基板1202の表面にわたって伝搬するSAW1206を生成するよう設計されたSAW生成センサアセンブリ1204のセットを含みうる。センサデバイス1200はまた、SAW生成センサアセンブリ1204のセットによって生成されたSAW1206を受信するよう設計されたSAW受信センサアセンブリ1208も含みうる。SAW受信センサアセンブリ1208は、SAW生成センサアセンブリ1204によって生成されたSAW1206のそれぞれと関連付けられた振動電位を生成するよう設計されうる。SAW受信センサアセンブリ1208は、各振動電位に従って発信RF信号を出力し、ここで、各RF信号は、SAW受信センサアセンブリ1208と、関連するSAW生成センサアセンブリ(例えば、1204A)と、の間に配置された環境の環境状態を示す情報を含む。幾つかの実施形態において、第1の導波路が、SAW生成センサアセンブリ1208と第1のSAWセンサアセンブリ1204Aとの間に配置され得、第2の導波路が、SAW生成アセンブリ1208と第2のSAWセンサアセンブリ1204Bとの間に配置されうる。幾つかの実施形態において、第1のSAWセンサアセンブリ1204A、第2のSAWセンサアセンブリ1204B、及びSAW受信センサアセンブリ1208が、単一の統合デバイスの一部である。幾つかの実施形態において、SAWセンサアセンブリ1204A、1204B、1208の整合ネットワーク及び/又はアンテナが、統合デバイスの一部ではなく、むしろ別個の構成要素である。幾つかの実施形態において、第1のSAWセンサアセンブリ1204AとSAW受信センサアセンブリ1208との間に配置された第1の導波路と、第2のSAWセンサアセンブリ1204BとSAW受信センサアセンブリ1208との間に配置された第2の導波路とが、第1のSAWセンサアセンブリ1204A、第2のSAWセンサアセンブリ1204B、及び/又はSAW受信センサアセンブリ1208と共に、統合デバイスの一部である。さらなる実施形態において、センサデバイス1200が、複数セットのSAW生成センサアセンブリ(例えば、1204)と、各セットのSAW生成センサアセンブリによって生成されたSAW(例えば、1206)を受信するための複数のSAW受信センサアセンブリ(例えば、1208)と、を含みうる。
【0097】
幾つかの実施形態において、例えば
図13に示すように、センサデバイス1300が、圧電基板1302上(又は圧電層が載置された基板上)にそれぞれが配置された2つのセンサアセンブリ1304A及び1304Bを含みうる。各センサアセンブリ1304A及び1304Bは、着信RF信号を受信し、受信した着信RF信号と関連付けられたSAW1306を生成することができる。各信号によって生成されたSAW1306は、他のセンサアセンブリによって受け取られる。例えば、第1のセンサアセンブリ1304Aによって生成されたSAW1306が、第2のセンサアセンブリ1304Bによって受け取られ、第2のセンサアセンブリ1304Bによって生成されたSAW1306が、第1のセンサアセンブリ1304Aによって受け取られる。各センサアセンブリ1304は、各センサアセンブリ1304によって受け取られた対応するSAW1306と関連付けられた振動電位を生成することができる。各センサアセンブリ1304は、各振動電位に従って発信RF信号を出力することができ、ここで、各発信RF信号は、2つのセンサアセンブリ1304Aと1304Bの間に配置された環境の環境状態を示す情報を含む。さらなる実施形態において、処理システム(例えば、
図1の処理システム100)は、センサアセンブリがSAW生成と振動電位生成の役割を交互に行うように、着信RF信号の送信を調整することができる。他の実施形態において、処理システムは、各センサアセンブリ1304が他のセンサアセンブリ1304と同期してSAWを生成するように、着信RF信号の送信を調整することができる。さらなる実施形態において、センサデバイス1300は、センサアセンブリ1304A及び1304Bを詳述した先に記載の例示的な実施形態に従って動作する複数対のセンサを含みうる。
【0098】
幾つかの実施形態において、導波路が、第1のSAWセンサアセンブリ1304Aと第2のSAWセンサアセンブリ1304Bとの間に配置される。幾つかの実施形態において、第1のSAWセンサアセンブリ1304A及び第2のSAWセンサアセンブリ1304Bが、単一の統合デバイスの一部である。幾つかの実施形態において、SAWセンサアセンブリ1304A~Bの整合ネットワーク及び/又はアンテナが、統合デバイスの一部ではなく、むしろ別個の構成要素である。幾つかの実施形態において、第1のSAWセンサアセンブリ1304Aと第2のSAWセンサアセンブリ1304Bとの間に配置された導波路が、第1のSAWセンサアセンブリ1304A及び/又は第2のSAWセンサアセンブリ1304Bと共に、統合デバイスの一部である。
【0099】
幾つかの実施形態において、
図14に示すように、センサデバイス1400が、圧電材料の少なくとも1つの層を有する基板1402の表面上に配置された複数のセンサアセンブリ1404を含みうる。センサデバイス1400は、着信RF信号を受信し、複数のSAWセンサアセンブリ1404B、1404C、及び1404Dによって受信されるSAW1406を生成するよう設計されたSAWセンサアセンブリ1404Aを含みうる。センサデバイス1400は、他のSAWセンサアセンブリ1404AからSAW1406Aを受信し、当該SAWと関連付けられた振動電位を生成し、生成された振動電位と関連付けられた発信RF信号を出力するよう構成されたSAWセンサアセンブリ1404Bを含みうる。SAWセンサアセンブリ1404Bはまた、着信RF信号を受信したことに応じてSAW1408を生成するよう設計されうる。センサデバイスは、複数のSAWセンサアセンブリ1404A及び1404Bから、SAW1408及び1406Bを受信するよう設計されたSAWセンサアセンブリ1404Cをさらに含みうる。SAWセンサアセンブリ1404Cは、受信したSAWそれぞれについて振動電位を生成し、生成された振動電位のそれぞれと関連付けられた発信RF信号を出力することができる。SAWセンサアセンブリ1404Cはまた、着信RF信号を受信したことに応じてSAW1410を生成するよう設計されうる。センサデバイスは、複数のSAWセンサアセンブリ1404C及び1404Aから、SAW1410及び1406Cを受信するよう設計されたSAWセンサアセンブリ1404Dをさらに含みうる。SAWセンサアセンブリ1404Dは、受信したSAWそれぞれについて電位を生成し、生成された振動電位のそれぞれと関連付けられた発信RF信号を出力することができる。
【0100】
幾つかの実施形態において、1つ以上のSAWセンサアセンブリ1404A~Dが、同じ統合デバイスの一部である。幾つかの実施形態において、導波路が、1つ以上のSAWセンサセンブリ1404A~Dの間に配置され、例えば、SAWセンサアセンブリ1404AとSAWセンサアセンブリ1404Dとの間、及び/又はSAWセンサアセンブリ1404AとSAWセンサアセンブリ1404Cとの間に配置される。実施形態において、導波路が、1つ以上のSAWセンサアセンブリを含む統合デバイスの一部でありうる。例えば、導波路は、圧電材料上に形成された平面的な導体とすることができ、その上にSAWセンサアセンブリが形成される。
【0101】
幾つかの実施形態において、
図11~
図14に示す実施形態の組み合わせが使用される。例えば、センサアセンブリ1104、1108、1204、1208、1304、及び1404を、圧電基板の表面上で、互いの任意の組み合わせにより、着信RF信号を受信したことに応じて圧電基板の表面全体の様々な領域で環境状態を測定するために使用することができる。
【0102】
先の明細書の記載では、本開示の幾つかの実施形態が良く理解できるように、特定のシステム、構成要素、方法などの例といった数多くの具体的な詳細事項を説明している。当業者には、これらの具体的な詳細事項がなくとも、本開示の少なくとも幾つかの実施形態を実施しうることが明らかであろう。他の例では、周知の構成要素又は方法は、本開示を不必要に曖昧にしないために、詳細には記載せず又は簡素なブロック図で提示される。従って、記載された具体的な詳細事項は、単なる例示に過ぎない。特定の実施形態が、これらの例示的な詳細事項か変更されてよく、それでも尚、本開示の範囲内にあると見做されうる。
【0103】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」又は「或る実施形態」への言及は、当該実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、「或る実施形態において」又は「一実施形態において」という表現が本明細書の様々な箇所で現れたとしても、必ずしも全てが同じ実施形態をさすものではない。加えて、「又は(or)」という用語は、排他的「論理和(or)」というより、むしろ包括的「論理和(or)」を意味するものとする。本明細書で、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語が使用される場合に、これは、提示された公称値が±10%の範囲内で正しいということを意味するものとする。
【0104】
本明細書の方法の工程は特定の順序で示され説明されているが、各方法の工程の順序を変えることもでき、これにより、特定の工程を逆の順序で実行することがで、又は、特定の操作を少なくとも部分的に他の工程と同時に実行することができる。他の実施形態において、別個の工程の命令又は二次工程が、断続的な形態及び/又は交互になった形態であってよい。一実施形態において、複数の金属接合工程が1つの工程として実行される。
【0105】
先の記載は例示であり、限定的でないことが意図されていると理解されたい。先の明細書の記載を読み理解すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかであろう。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、かかる特許請求が権利付与される均等物の全範囲と共に規定される。