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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】積層膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/06 20060101AFI20240918BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20240918BHJP
   H01L 21/203 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C23C14/06 A
C23C14/34 R
H01L21/203
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020005715
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113339
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】召田 雅実
(72)【発明者】
【氏名】原 慎一
(72)【発明者】
【氏名】末本 祐也
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528420(JP,A)
【文献】特開平08-002999(JP,A)
【文献】特開2018-046277(JP,A)
【文献】特開2005-112641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/06
C23C 14/34
H01L 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボン基板と窒化ガリウム系膜を含む積層膜であって、該窒化ガリウム系膜の膜表面の表面粗さ(Ra)が100nm以上5000nm以下、X線回折測定における(0002)面の強度と(10-11)面の強度をそれぞれI(0002)、I(10-11)としたときに、その強度比I(0002)/I(10-11)が3以上であり、基板の表面粗さ(Ra)が100nm以上であることを特徴とする積層膜。
【請求項2】
窒化ガリウム系膜の表面粗さ(Ra)が100nm以上5000nm以下、(0002)面の2θ/ωスキャンの半価半幅が10°以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層膜。
【請求項3】
単位面積当たりの基板の被覆率が80%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層膜。
【請求項4】
窒化ガリウム系膜の厚みが10nm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層膜。
【請求項5】
カーボン基板上に窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力が0.4Pa未満でスパッタすることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層膜の製造方法。
【請求項6】
窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタ電力密度を1W/cm以上でスパッタすることを特徴とする請求項5に記載の積層膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
窒化ガリウムは、青色発光ダイオード(LED)の発光層や青色レーザーダイオード(LD)の原料として注目され、近年では薄膜や基板の形態にて白色LEDや青色LDなどの様々な用途に用いられており、また将来的にはパワーデバイスなどの用途の材料としても注目されている。現在、窒化ガリウム薄膜は有機金属化学気相成長(MOCVD)法によって製造されることが一般的である。MOCVD法は、キャリアガスに原料の蒸気を含ませて基板表面に運搬し、加熱された基板との反応で原料を分解させることにより、結晶を成長させる方法である。また、単結晶成長に利用されるハイドライド気相成長(HVPE)法があげられる。
【0002】
従来、窒化ガリウム系のエピタキシャル成長は、Raが1nmの極めて平滑でかつ、緻密な膜にのみ成長可能な手法であり、そのメカニズムはMOCVD法やHVPE法において、まず核を起点とし、島状成長した後に緻密化しつつ膜形状に成長する。しかし、例えば表面が荒れている、もしくは多孔質な基板上においては島状成長時に結晶配向せず、更に、緻密化する過程において島同士の成長が整合しないため、緻密な膜を得ることが難しい。
【0003】
ところで、MOCVD法やHVPE法以外の薄膜の作製法としてスパッタリング法が挙げられる。このスパッタリング法は陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面に設置した基板上にターゲット材料とほぼ同組成の膜を堆積する方法であり、直流スパッタリング法(DCスパッタリング法)と高周波スパッタリング法(RFスパッタリング法)がある。
【0004】
また、特許文献2において、低酸素含有量窒化ガリウムの焼結体が提案されているが、それを用いた薄膜において、多孔質基板や表面が荒れている基板に対して膜成長させる記述はなく、成膜条件における更なる検討、窒化ガリウムの更なる低酸素化が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-147271号公報
【文献】特開2014-159368号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Applied Physics Letters 97, 141902 (2010)
【文献】Japanese Journal of Applied Physics 53, 11RC01 (2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、窒化ガリウム系ターゲットを用いたスパッタリング法により、ガス組成、スパッタ時のエネルギーを制御することで、基板と必要な結晶相を持ち、高い結晶性、緻密性を持つ窒化ガリウム系膜を含む積層膜とその膜の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような背景に鑑み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、スパッタ成膜条件を鋭意検討し、スパッタエネルギーを制御することにより膜中の結晶配向性を制御し、更に緻密性の高く、被覆率の高い基板と窒化ガリウム系膜を含む積層膜が得られる条件を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の態様は以下の通りである。
(1)
基板と窒化ガリウム系膜を含む積層膜であって、該窒化ガリウム系膜の膜表面の表面粗さ(Ra)が100nm以上5000nm以下、X線回折測定における(0002)面の強度と(10-11)面の強度をそれぞれI(0002)、I(10-11)としたときに、その強度比I(0002)/I(10-11)が3以上であることを特徴とする積層膜。
(2)
窒化ガリウム系膜の表面粗さ(Ra)が100nm以上5000nm以下、(0002)面の2θ/ωスキャンの半価半幅が10°以下であることを特徴とする(1)に記載の積層膜。
(3)
単位面積当たりの基板の被覆率が80%以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の積層膜。
(4)
基板の表面粗さ(Ra)が100nm以上であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の積層膜。
(5)
基板上に窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力が0.4Pa未満でスパッタすることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の積層膜の製造方法。
(6)
窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタ電力密度を1W/cm以上でスパッタすることを特徴とする(5)に記載の積層膜の製造方法。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の積層膜における窒化ガリウム系膜は、主成分が窒化ガリウムである薄膜であり、一般的に組成としてガリウムを25at%以上含有しているものを指す。本発明においては、同族元素であるインジウムやアルミニウム、導電性や半導体物性を発現させるためにドーパントとしてシリコンなどを含有させても構わない。
【0012】
窒化ガリウム系膜は、その結晶相が六方晶構造であることが好ましい。これにより、半導体素子とした際、従来と比較して高い性能を発揮できる可能性がある。
【0013】
また、結晶の成長方位に関して、立方晶は(hkl)、六方晶は(hklm)表記で表している。
【0014】
窒化ガリウム系膜は、膜表面の表面粗さ(Ra)が100nm以上5000nm以下であり、好ましくは100nm以上2000nm以下であり、特に好ましくは1000nm以下である。ここでの表面粗さ(Ra)は触診式表面粗さ計にて5mmを測定した際に得られる算術平均粗さを指す。
【0015】
窒化ガリウム系膜は、X線回折測定における(0002)面の強度と(10-11)面の強度をそれぞれI(0002)、I(10-11)としたときに、その強度比I(0002)/I(10-11)が3以上であり、更に好ましくは7以上である。それにより、各種デバイスを作製するに当たり発生する様々な不具合を解消することが可能となる。
【0016】
窒化ガリウム系膜の結晶相は六方晶であり、ωスキャンの半価半幅が10°以下のピークを有することが好ましく、更に好ましくは7°以下であり、特に好ましくは5°以下である。それにより、結晶が揃った膜となり、各種用途での性能が向上する。対象とするωスキャンの半価半幅は、結晶方位として(0002)面または(000-2)面の少なくともいずれかを対象とし、標記としてはどちらも(0002)面とする。ωスキャンの測定方法は、結晶軸の配向性を精密に測定する手法のため、測定サンプル側にてω方向に可動域を持つXRD装置を用いる必要がある。
【0017】
窒化ガリウム系膜の厚みは10nm以上が好ましく、更に好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは300nm以上である。それにより、所定の結晶性の薄膜を得ることが可能となる。
【0018】
本発明の積層膜における基板としては、例えば無アルカリガラスや石英等を含むガラス基板、樹脂製の高分子フィルム基材、セラミックスや金属の基板、カーボンやグラフェンなどの基板等が挙げられ、特に好ましくはカーボン等である。
【0019】
また、本発明の積層膜は基板の被覆率が80%以上であることが好ましい。さらに好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは99%以上であり、更に好ましくは100%である。
【0020】
基板の表面粗さ(Ra)は、100nm以上が好ましく、更に好ましくは200nm以上である。そのような材料を利用可能とすることで、安価な基板への対応が可能となる。
【0021】
基板の厚みは0.1mm以上が好ましく、更に好ましくは0.5mm以上であり、さらに好ましくは1mm以上である。
【0022】
本発明の積層膜では、基板と窒化ガリウム系膜に加えて、更に窒化ガリウム膜、窒化ガリウムアルミニウム膜、窒化アルミニウム等の膜を含んでも良い。
【0023】
次に、本発明の積層膜の製造方法及び得られた膜について説明する。
【0024】
本発明の積層膜は、基板上に窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力が0.4Pa未満でスパッタする。
【0025】
スパッタリングの方式としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を適宜選択することができ、これらの中、大面積に均一に、かつ高速成膜可能な点でDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0026】
スパッタ時のガス圧力は0.4Pa未満とし、好ましくは0.3Pa以下、更に好ましくは0.1Pa以下、より好ましくは0.08Pa以下である。スパッタ時のガス圧力が低いほど、スパッタリングターゲットから放出された粒子が高エネルギーのまま基板に到達しやすく、エピタキシャルに再配列しやすくなる。それにより、六方晶窒化ガリウム膜を得ることが可能となる。また、高い被覆率を得るためには他の結晶相が混在していないことが好ましい。
【0027】
使用するスパッタリングターゲットは、膜全体の結晶性を高めるために、酸素含有量が3at%未満であることが好ましく、1at%以下であることが更に好ましい。純度についても高い方が好ましく、金属不純物の含有量は0.1wt%未満が好ましく、0.01wt%未満が更に好ましい。ここでの不純物には意図的に添加したインジウムやアルミニウム等は含まない。スパッタリングターゲットの面積は18cm以上が好ましく、より好ましくは100cm以上である。ターゲット面積が大きくなるほど放電が安定し、より低ガス圧力、低電力密度でのスパッタリングが可能となる。更に膜厚や膜質の均一性も向上する。
【0028】
成膜前の成膜装置内の真空度は、3×10-5Pa以下とすることが好ましく、1×10-5Pa以下とすることがより好ましい。真空度をより低圧にすることで、成膜時に残留気体が不純物として混入しにくくなり、薄膜の結晶性が向上する。残留気体を除去する目的で装置のベーキング処理をすることが好ましい。
【0029】
また、成膜前に基板を前処理することが好ましい。前処理を実施することにより、基板表面の付着の障害となるものを除去し、エピタキシャル成長を可能にする。前処理方法は、逆スパッタ処理、酸処理、UV処理などが例示されるが、処理後に不純物などの再付着を防止する観点において、逆スパッタ処理をすることが好ましい。逆スパッタ処理とはスパッタリングターゲット側ではなく、基板側にプラズマ化した原子が衝突することで、表面をクリーニングする方法である。こうした仕組みを利用することにより、基板の表面を洗浄し、外気に触れずに成膜室に送ることで、基板表面の清浄度を保ったまま成膜が可能となる。逆スパッタ処理をするに当たり、逆スパッタされた不純物が成膜室に付着することを防ぐ意味で、成膜室とは別に処理をすることが好ましい。逆スパッタ処理のガス種として、アルゴンや窒素、酸素などを用いることが可能である。処理時間は30秒以上900秒以下が好ましく、より好ましくは60秒以上300秒以下である。それにより、表面の不純物を除去しつつ、好ましい表面状態とすることができる。
【0030】
また、成膜時は基板を加熱しないで行うことが好ましい。基板を加熱すると成膜時時間がかかりスループットが低下する。
【0031】
利用するガスは窒素を主成分とする。通常よく用いられるアルゴンを一部添加した状態で製膜することが好ましい。表面粗さ(Ra)は悪化する。窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比は0.7以上0.9以下であることが好ましい。
【0032】
放電時の電力としては、電力密度が1W/cm以上20W/cm以下であることが好ましく、1.5W/cm以上10W/cm以下であることがより好ましく、2.5W/cm以上5W/cm以下であることが更に好ましい。電力密度の計算は放電時にかける電力をスパッタリングターゲットの面積で除したものである。放電時の電力が20W/cmより高いと、使用する窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットが一般的に低密度であるために、ターゲットに与えるパワーにより、スパッタリングターゲットから粗大な多結晶体粒子が剥離してしまい好ましくない。1W/cm未満とすると、プラズマが安定しないため放電が難しくなること、成膜速度が低下するため膜の生産性が低下することのため好ましくない。さらに、スパッタ時のエネルギーが低く、成膜時に付着力が低下する。
【0033】
なお、作製した窒化ガリウム系膜の上に再度別の手法にて窒化ガリウム系膜を積層しても構わない。例えば、スパッタリング法にて成膜した窒化ガリウム系膜の上に、MOCVD法にて窒化ガリウム系膜を成膜しても良い。
【0034】
本発明の積層膜は、複数の機能部品と構成された半導体素子として好適に用いられる。例えば、LED等の発光素子、レーザーダイオード、トランジスタなどのパワーデバイスなどに用いられる。また、その半導体素子は種々の電子機器に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の積層膜は、基板表面が荒れているにもかかわらず高配向で被覆率の高く、六方晶であることからLED等の発光素子、パワーデバイス用素子に好適に用いることができる。
【実施例
【0036】
本発明を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
(結晶面の確認、半価半幅、強度比の測定方法)
通常の測定は、一般的な粉末X線回折装置(装置名:UltimaIII、リガク社製)を用いた。XRD測定の条件は、以下のとおりである。
【0038】
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 2θ/θスキャン
測定間隔 : 0.01°
発散スリット : 0.5deg
散乱スリット : 0.5deg
受光スリット : 0.3mm
計測時間 : 1.0秒
測定範囲:2θ=20°~80°
XRDパターンの同定分析には、XRD解析ソフトウェア(商品名:JADE7、MID社製)を用いた。六方晶はJCPDSNo.00-050-0792を参考にして窒化ガリウム結晶面を確認し、立方晶はJCPDSNo.00-052-0791を参考にし、XRDパターンにて結晶相の同定が難しい場合には、飛行時間型原子散乱表面分析装置(TOFLAS-3000、パスカル社製)を利用して判断した。六方晶については(0002)面、立方晶については(111)面についてその半価幅を測定し、強度比は、六方晶ではI(0002)とI(10-11)について、立方晶ではI(111)/I(220)について、下記の式を用いて算出した。
【0039】
強度比=I(0002)/I(10-11)(六方晶)
分母に相当するピークが検出されない場合は、36~37°のバックグラウンドピーク強度を分母のピークとみなし計算を実施した。
【0040】
高精度な測定は、XRD装置(ブルカー製D8 DISCOVER)の下記の構成とし、40kV,40mAの条件にて、HIGH RESOLUTIONモード、Ge(220)モノクロメーターを使用しCuKα2を除去し、ωスキャンを実施した。
【0041】
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : ωスキャン
測定間隔 : 0.01°
計測時間 : 0.5秒
測定範囲 : ω=0°~35°
(表面粗さ(Ra)の測定)
触診式表面粗さ計を利用して測定を行った。
【0042】
(ターゲット中の酸素含有量測定)
対象物を熱分解させ、酸素・窒素・水素分析装置(Leco社製)を用いて酸素含有量を熱伝導度法により測定した。
【0043】
(薄膜の膜厚測定)
成膜した薄膜の厚みは基板部分と膜部分の段差をレーザー顕微鏡VK-X250/260を用いて測定した。
【0044】
(被覆率の測定方法)
窒化ガリウムの被覆率は100倍でSEM-EDSを利用し、視野全体に基板表面が撮影されるように観察し、窒化ガリウム膜が存在する率を算出した。
【0045】
被覆率=窒化ガリウムの占める面積/撮影視野
ただし、EDS測定が困難な陥没した穴は撮影視野から除く。
【0046】
実施例1~3
基板は、カーボン製基板、10mm角のものを用いた。
【0047】
窒化ガリウムスパッタリングターゲット(純度99.99wt%)を用いて、マグネトロンスパッタ装置で表1の条件にてスパッタ成膜試験を実施した。
【0048】
成膜時のターゲット-基板間距離は150mmとし、成膜前にチャンバー内のベーキング処理により到達真空度をより高くするようにした。
【0049】
スパッタ開始時に、基板側のシャッターを閉じた状態で窒素ガスを使ってプラズマを点火し、成膜時と同じ条件でプレスパッタを10分間実施し、放電を安定化させた上で成膜を実施した。シャッター-基板間距離は5mmであった。シャッターのサイズは3inchφのものを用いた。
【0050】
以上の条件にて成膜を行なった結果、表1に示されるような、緻密な高結晶性の六方晶窒化ガリウム薄膜の作製に成功した。
【0051】
比較例1
スパッタガス圧を高くする等表1の条件にて成膜したところ、被覆率が悪化し、求める特性の膜を得ることができなかった。
【0052】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の窒化ガリウム系膜は、に好適に用いることができる。