(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】読取装置、画像形成装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20240918BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20240918BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240918BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H04N1/191
G03B27/50 A
G03G21/00 510
G03G21/00 386
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2020166752
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】倉形 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】小野 智彦
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-267801(JP,A)
【文献】特開平06-006589(JP,A)
【文献】特開2019-161419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/191
G03B 27/50
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象を複数の画素センサにより読み取る読取手段と、
前記複数の画素センサが補正対象部材を読み取るときに画素による前記補正対象部材の読取位置を変える可動手段と、
前記可動手段により画素の読取位置を変える
駆動期間に各画素センサから
ライン周期で出力される
前記補正対象部材の各読取位置における
連続する複数の出力データを記憶する記憶手段と、
前記
連続する複数の出力データ
を画素毎に平均化した後で閾値を設けて異物を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した異物が前記補正対象部材に付着しているかを前記記憶手段の2つの出力データの差分から判定する判定手段と、
前記読取手段が読み取る読取対象の画像を前記補正対象部材の所定の読取位置で得た出力データに基づいて補正する補正手段と、
を有することを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記記憶手段の2つの出力データの差分から前記異物が前記補正対象部材に付着している
かを判定
し、前記補正対象部材に付着している複数の異物が前記2つの出力データの同じ画素位置に対応する場合、前記画素位置から前記2つの出力データの読取位置間の距離にある画素位置における2つの出力データの差分も前記異物が前記補正対象部材に付着しているかどうかの判定に含める、
ことを特徴とする請求項
1に記載の読取装置。
【請求項3】
さらに、
前記検知手段が異物を検知した場合にユーザに通知する通知手段を有する、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の読取装置。
【請求項4】
さらに、
前記検知手段が異物を検知した場合にユーザに通知する通知手段を有し、
前記通知手段は、
前記判定手段による判定結果に基づいて付着位置を通知する、
ことを特徴とする請求項
2に記載の読取装置。
【請求項5】
前記可動手段は、複数の画素センサが配列される主走査方向、または主走査方向に直交する方向へ前記補正対象部材を動かすことにより、画素による前記補正対象部材の読取位置を変える、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のうちの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5のうちの何れか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置が出力する補正後の画像データに基づいて記録紙に画像を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
記憶部を有する読取装置で行われる方法であって、
複数の画素センサが補正対象部材を読み取るときに画素による前記補正対象部材の読取位置を変える可動ステップと、
前記画素の読取位置を変える
駆動期間に各画素センサから
ライン周期で出力される
前記補正対象部材の各読取位置における
連続する複数の出力データを前記記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記
連続する複数の出力データ
を画素毎に平均化した後で閾値を設けて異物を検知する検知ステップと、
前記検知した異物が前記補正対象部材に付着しているかを前記記憶部の2つの出力データの差分から判定する判定ステップと、
読取対象を前記複数の画素センサにより読み取る読取ステップと、
前記読取対象の画像を前記補正対象部材の所定の読取位置で得た出力データに基づいて補正する補正ステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、画像形成装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラインセンサ等の読取手段は、読取手段の各画素センサの出力データに精度バラツキを有する。精度ばらつきは、例えば読取対象に照射する光源の出力光量の変動や、読取手段におけり各画素の素子の感度のばらつきや、読取手段に設けられたSLA(セルフォック(登録商標)・レンズ・アレイ)の屈折率分布に基づく画素配列方向の周期的な入射光量変動等によって生じる。そこで従来の画像読取装置では、補正対象部材である所定の濃度基準部材を読取手段で読み取り、その読取データであるシェーディングデータを使用して読取対象の読取画像の補正を行う。
【0003】
一方、濃度基準部材に汚れなどの異物が付着したまま作成されたシェーディングデータを使用して読取画像の補正を行うと、その異物を読み取った画素で過補正あるいは補正不足となり画像に縦スジなどが入る品質不良を生じさせる。そのためシェーディングデータの作成前に濃度基準部材の異物を除去しておくことが推奨されている。
【0004】
濃度基準部材上の異物を検知する技術としては、例えば特許文献1において、シェーディングデータの出力レベルが所定の閾値を超える場合に異物があることを検知する異物検知技術が開示されている。また、特許文献2には、シェーディングデータに基づき異物が濃度基準部材に付着しているのか、それともガラス面に付着しているのかを判定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の方法においては、シェーディングデータの出力変動が大きい異物については検知することができるが、出力変動が小さな異物になると検知することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、出力変動が小さな異物も検知することが可能な読取装置、画像形成装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の読取装置は、読取対象を複数の画素センサにより読み取る読取手段と、前記複数の画素センサが補正対象部材を読み取るときに画素による前記補正対象部材の読取位置を変える可動手段と、前記可動手段により画素の読取位置を変える駆動期間に各画素センサからライン周期で出力される前記補正対象部材の各読取位置における連続する複数の出力データを記憶する記憶手段と、前記連続する複数の出力データを画素毎に平均化した後で閾値を設けて異物を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した異物が前記補正対象部材に付着しているかを前記記憶手段の2つの出力データの差分から判定する判定手段と、前記読取手段が読み取る読取対象の画像を前記補正対象部材の所定の読取位置で得た出力データに基づいて補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、出力変動の小さな異物も検知することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる読取装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、読取装置のシステムブロックの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、画像処理部の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、汚れが濃度基準部材に付着している場合の説明図である。
【
図5】
図5は、濃度基準部材を主走査方向に駆動して読取位置をずらした場合の説明図である。
【
図6】
図6は、汚れがガラス面に付着していた場合のシェーディングデータの説明図である。
【
図8】
図8は、平均化前の画素値の出力レベルを基準に閾値の設定を行った場合の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、異物検知部で行う閾値設定の説明図である。
【
図10】
図10は、画像処理部の変形例1にかかる構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、差分演算部における演算結果を示す図である。
【
図12】
図12は、濃度基準部材に複数の汚れが付着し、且つ、その間隔が濃度基準部材の駆動距離と同じであった場合の説明図である。
【
図13】
図13は、濃度基準部材に複数の汚れが付着し、且つ、その間隔が濃度基準部材の駆動距離と同じであった場合の説明図である。
【
図14】
図14は、読取装置の変形例2にかかる構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、読取装置、画像形成装置および方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる読取装置の一例を示す図である。
図1には、読取装置の一例として、ADF(Automatic Document Feeder)を搭載した読取装置1の構成を示している。
【0012】
読取装置本体10は、上面にコンタクトガラス11を有し、読取装置本体10の内部に読取手段を有する。ここで読取手段の一例として縮小光学系方式の読取手段(第1の読取手段)の構成を示している。第1の読取手段には、光源13、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズユニット16、センサボード17などが含まれる。なお、
図1において、第1キャリッジ14は光源13と反射ミラー14-1とを有し、第2キャリッジ15は反射ミラー15-1、15-2を有する。
【0013】
読取装置本体10は、光源13の光を読取対象に照射し、読取対象からの反射光を第1キャリッジ14のミラー14-1や第2キャリッジ15のミラー15-1、15-2で折り返してレンズユニット16に入射し、レンズユニット16からセンサボード17上の受光面上に結像した読取対象の像を読み取る。センサボード17は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary MOS)などのラインセンサを読取部として有し、ラインセンサにおいて受光面に結像した読取対象の像を順次電気信号に変換して読み取る。
【0014】
基準白板12は、ラインセンサからの出力画像を補正するために使用される補正対象部材である。基準白板12には一例として白板の濃度基準部材が使用されている。本実施の形態において補正対象部材は可動できるように設けられている。補正対象部材の構成については後に詳しく説明する。
【0015】
読取装置1は読取装置本体10に制御ボードを備え、読取装置本体10の各部やADF20の各部を制御して所定の読取方式で読取対象の読取を行う。読取対象は、例えば文字または絵柄等が形成されている記録媒体または画像形成前の記録媒体である。以下では記録媒体の一例である原稿(原稿用紙とも言う)を例に説明する。
【0016】
読取装置1は、ADF20を使用してシートスルー方式で原稿100の読取を行う。
図1に示す構成では、読取装置1は、ADF20のトレイ21の原稿束からピックアップローラ22により1枚ずつに分離して原稿100を搬送路23に搬送し、原稿100の読取対象の面を所定の読取位置で読み取って原稿100を排紙トレイ25に排出する。原稿100の搬送は各種搬送ローラ24の回転により行われる。
【0017】
原稿100の読取は、読取装置1が例えば第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を所定のホームポジションに移動して固定し、それを固定した状態で、原稿100が読取窓19と背景部26との間を通過するタイミングで行う。読取窓19はコンタクトガラス11の一部に設けられたスリット状の読取窓であり、原稿100が自動搬送で読取窓19を通過することで原稿100の副走査方向が走査される。背景部26は、スリットの対向位置に配置される所定の背景色の背景部材である。読取装置1は、原稿100が読取窓19を通過する間に読取窓19側に向けられている原稿100の第1面(例えば表面)に照射した光源13の光の反射光をセンサボード17上のラインセンサで逐次読み取る。
【0018】
原稿100の両面読取を行う場合には、読取窓19の通過後に、読取手段の他の一例である第2の読取手段により原稿100の第2面(裏面)の読み取りを行う。
図1に示す読取装置1では、ADF20に設けられている搬送路23の原稿100の第1面の背面側に設けた読取モジュール27により第2面を読み取る。読取モジュール27は、照射部と、第2の読取部である密着型イメージセンサとを有し、原稿100の第2面に対して照射された光の反射光を密着型イメージセンサで読み取る。読取モジュール27に対し対向配置で設けている背景部材28は可動できるように構成されている。背景部材28は、第2の読取手段の補正対象部材に相当し、例えば白色の濃度基準部材で構成されている。
【0019】
本例の読取装置1の構成では、フラットベット方式で第1の読取手段による読取も可能である。具体的には、ADF20を持ち上げてコンタクトガラス11を露出し、コンタクトガラス11上に原稿100を直接配置する。そして、ADF20を元の位置に下ろしてADF20の下部で原稿100の背面を押さえる。フラットベット方式では原稿100が固定されるため、原稿100に対しキャリッジ(第1キャリッジ14、第2キャリッジ15)側を移動して走査を行う。第1キャリッジ14および第2キャリッジ15はスキャナモータによって駆動され、原稿100の副走査方向を走査する。例えば、第1キャリッジ14が速度Vで移動し、同時にそれと連動して第2キャリッジ15が、第1キャリッジ14の半分の速度1/2Vで移動して、原稿100のコンタクトガラス11側の第1面を読み取る。この場合、ADF20の下部(原稿100を背面から抑える白色等の背景部材)が背景部に相当する。また、基準白板12は、第1キャリッジ14および第2キャリッジ15の移動によりラインセンサにより読み取られ「補正対象部材」として利用される。
【0020】
なお、この例では、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズユニット16、センサボード17等を別々に示しているが、これらは、個別に設けてもよいし、一体となった一体型センサモジュールとして設けてもよい。
【0021】
第1の読取手段および第2の読取手段は、原稿100を読み取る前に、それぞれの対応する濃度基準部材を読み取って、それぞれシェーディングデータを生成する。シェーディングデータは、読取部からの出力データに現れる画素毎の精度バラツキを補正するために使用され、第1の読取手段および第2の読取手段が補正手段として機能し、原稿100の読取前、例えば読取装置1の電源ON時、電源OFF時、原稿100の読取直前、または予め設定した所定時刻など、所定のタイミングに生成し、最新のシェーディングデータを使用して原稿100の読み取り画像を補正する。
【0022】
画素毎の精度ばらつきの原因は、例えば原稿100に照射する光源の出力光量の変動や、読取部における各画素の素子の感度のばらつきや、読取部に対して設けられたSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)等の屈折率分布に基づく画素配列方向の周期的な入射光量変動などである。
【0023】
しかし、濃度基準部材にごみや汚れなどの異物が付着していると、それらの異物を読み取った画素で異物の情報がシェーディングデータに反映される。そのシェーディングデータで補正を行うと、異物の読み取った部分が過補正または補正不足となり画像の品質が劣化する。
【0024】
本実施の形態では、読取部が濃度基準部材を読み取る際に、読取部の各画素による濃度基準部材の読取位置を可動手段により変えながら、読取部から複数のシェーディングデータを取得する。そして、複数のシェーディングデータに基づいて異物を検知し、その異物を除去してから異物のないシェーディングデータで更新する。例えば、第1の読取手段の場合には第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を基準白板12の読取位置に固定し、主走査方向に濃度基準部材を往復移動させる機構で濃度基準部材を主走査方向側へずらす制御を行う。主走査方向は、原稿100を搬送する搬送方向を副走査方向としたときの直交方向である。また、第2の読取手段の場合には所定位置に固定されている読取モジュール27に対し、原稿100の搬送方向(副走査方向)に対し直交する主走査方向に濃度基準部材を往復移動させる機構で濃度基準部材を主走査方向へずらす制御を行う。
【0025】
例えば駆動モータの回転力を主走査方向の直線運動へと変える機構により濃度基準部材を主走査方向へ往復移動させる。なお、濃度基準部材を固定して読取モジュールを移動させる構成にしてもよい。また、濃度基準部材と読取モジュールを相対的に移動させる機構にしてもよい。いずれの場合にも同様の効果が得られる。また、濃度基準部材等を移動させる機構によらず、読取モジュール等の各画素による濃度基準部材上の読取位置を変えることができるものであれば、その他の可動手段を適宜適用してもよい。
【0026】
次に、読取装置1のシステム構成について説明する。
図2は、読取装置1のシステムブロックの構成の一例を示す図である。
図2には主にシェーディングデータの作成に関わるシステムブロックの構成を示し、その他のブロックについては図示を一部省略している。
図2に示すように、読取装置1は、制御部300と、操作パネル301と、各種センサ302と、スキャナモータ303と、搬送路の各種モータ304と、可動手段の駆動モータ305と、読取手段306とを含む。読取手段306は、第1の読取手段と第2の読取手段の典型的な構成を示している。なお、第1の読取手段および第2の読取手段の構成を読取手段306の構成に限定するものではない。また、本実施の形態では一例として2つの読取手段を備えるものを示しているが、読取手段は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0027】
操作パネル301は、読取装置1を操作する操作ボタンを有する操作パネルである。また、ユーザへの通知手段の一例として操作パネル301に表示画面や音声出力部等も含めている。操作パネル301は、ユーザからの各種設定や読取実行などの入力操作を操作ボタン(タッチパネルでもよい)で受け付け、対応する操作信号を制御部300に送信する。また、操作パネル301は、制御部300からの表示制御信号に基づいて各種情報を表示画面に表示したり、制御部300からの通知信号に基づいて音声出力したりすることもできる。
【0028】
制御部300は、読取装置1の各部の制御を行う制御ボードである。制御部300は、CPUなどを有し、操作パネル301からの入力情報と、搬送路に設けられた原稿の位置センサや原稿サイズの検知センサなどの各種センサ302から入力するセンサ情報とに基づいて、所定のステップで原稿100の読取動作を制御する。例えば制御部300は、スキャナモータ303に制御信号を出力して第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を濃度基準部材の読取位置や原稿100の読取位置に移動する。また制御部300は駆動モータ305に制御信号を出力して濃度基準部材を可動手段(一例として往復機構)により主走査方向へ駆動する。
【0029】
読取手段306は、制御部300が出力する読取制御信号(タイミング信号等)に基づきコントローラ307により駆動されて所定の読取動作を行う。
図2に示す例では、読取手段306は、光源部401と、センサチップ402と、増幅器403と、A/D404と、画像処理部405と、フレームメモリ406と、出力制御回路407と、I/F回路408とを有し、読み取られた画像データがフレーム毎に出力制御回路407からI/F回路408を通じて制御部300に出力される。
【0030】
例えば読取手段306は、コントローラ307からの点灯信号に基づいて光源部401を点灯することで原稿100に光を照射する。また、読取手段306は、各センサチップ402に結像した原稿100からの光(反射光等)を電気信号に変換するなどして出力する。センサチップ402は画素センサの一例である。この例では一つのセンサチップ402と、一つの増幅器403と、一つのA/D404の組が、一つの画素(画素回路)を構成するが、これは一例であり、画素の構成をこれに限定するものではない。
【0031】
読取手段306は、各センサチップ402から出力された電気信号(画素信号)を、増幅器403により増幅し、A/D404によりアナログ信号からデジタル信号に変換して画素のレベル信号(出力信号)として出力する。画像処理部405は各画素からの出力信号を入力し、得られたデジタル画像データに対しる画像処理を行う。
【0032】
画像処理部405は、原稿100を読み取って得たデジタル画像データを補正する補正手段である。一例として画像処理部405は、濃度基準部材を読み取って得たシェーディングデータを保持し、原稿100を読み取って得たデジタル画像データをシェーディングデータにより補正する処理を行う。また、シェーディングデータを更新する際には、ここで異物検知処理を行う。なお、異物検知処理については後述する。画像処理部405は、シェーディング補正後の画像処理が行われたフレーム画像をフレームメモリ406に記憶する。
【0033】
したがって、読取手段306は、フレームメモリ406に蓄積した各フレームの画像データを出力制御回路407、I/F回路408を介して制御部300に転送する。
【0034】
図3は、画像処理部405の構成の一例を示す図である。
図3には、画像処理部405の構成の一例として、異物検知にかかる処理部の構成の一例を示している。
図3に示すように、画像処理部405は異物検知にかかる処理部として、シェーディングデータメモリ601と、前処理部602と、異物検知部603とを有する。ここで、シェーディングデータメモリ601が「記憶手段」に相当し、前処理部602と異物検知部603が「検知手段」に相当する。
【0035】
シェーディングデータメモリ601は、画像処理部405の前段部が、異なるタイミングで濃度基準部材500を読み取って順次出力する複数のシェーディングデータを保持するためのメモリである。例えば、ある第1の配置のタイミングと、ある第2の配置のタイミング、或いは第1の配置と第2の配置を含む第1の配置から第2の配置までの間の予め設定した複数タイミングで取得したシェーディングデータをすべて保持する。シェーディングデータメモリ601は、順次出力される複数のシェーディングデータを保持するメモリ容量を有している。
【0036】
前処理部602は、シェーディングデータメモリ601が保持する複数のシェーディングデータを平均化する演算(平均化演算)を行う。
【0037】
異物検知部603は、前処理部602で平均化演算して得られたデータから異物の付着を検知する。
【0038】
(異物がある場合のシェーディング補正)
図4は、汚れが濃度基準部材に付着している場合の説明図である。
図4(a)には、汚れが付着している濃度基準部材500と、それを読み取る読取手段306とを示している。読取手段306および濃度基準部材500は、例えば従来のような相互に位置が固定されている配置関係(「第1の配置関係」とする)にあり、互いに対向する向きで配置されている状態を模式的に示している。
【0039】
図4(a)において読取手段306の下面つまり濃度基準部材500側に向けられている面に、受光面を下向きにして主走査方向に多数の画素センサ(センサチップ402)が配列されている。受光面はガラスで覆われているものとする。
【0040】
また、画素配列に対応するように平行光線を照射する光源401の照射部が配設されている。照射部が照射した平行光線の濃度基準部材500からの1ライン分の反射光を各画素センサで読み取る。照射部は画素センサと共にセンサモジュールとして構成されてもよいし、画素センサとは別体で設けてもよい。ここでは便宜的にセンサモジュールとして構成されているものとして説明する。また、説明を分かりやすくするために一列分の画素センサについて説明するが、RGB各色の列のように複数の列が並列して設けられていてもよい。また、主走査方向の列が複数分割されていてもよい。
【0041】
図4(a)において濃度基準部材500の4000[px(ピクセル)]の位置に汚れXが付着している。4000[px]の位置は、読取手段306の4000[px]目の画素が読み取る読取位置に対応する。この濃度基準部材500を第1配置で読取手段306により読み取ると、読取解像度を600dpiとした場合、主走査方向の画素値の出力データは例えば
図4(b)に示すような特性を示す。
【0042】
図4(b)の特性データfは、横軸を主走査位置とし、縦軸を画素値(階調値)とした場合の出力データであり、各主走査位置において画素値にばらつきが含まれている。この特性データfが第1配置のときのシェーディングデータに相当する。画素値は明度または輝度であるため明るい画素では大きな値となり、暗い画素では小さな値となる。
図4(b)において主走査位置が4000dpiの位置の値は汚れXを読み取った位置のため、その前後の主走査位置の画素値よりも値が突出して小さい値つまり暗い値を示す。
【0043】
なお、
図4(b)に示す例では、白色の濃度基準部材500を読み取ったため、汚れXがない位置では画素値が220[digit]と大きな値となるが、汚れXが付着している4000[px]の位置では画素値が40[digit]まで低下している。
【0044】
図5は、濃度基準部材500を主走査方向に駆動して読取位置をずらした場合の説明図である。
図5(a)には、濃度基準部材500を主走査方向に+2mm駆動つまり可動手段による可動させた後の読取手段306と濃度基準部材500の配置(「第2の配置」と呼ぶ)を示している。
図5(b)には、第2の配置で読取手段306で濃度基準部材500を読み取ったときの主走査方向の画素値の出力データ(特性データ)である。
【0045】
図5(a)に示すように、濃度基準部材500を主走査方向に+2mm駆動させたことにより、読取手段306の各画素センサにより読み取られる濃度基準部材500上の各読取位置が主走査方向に+47[px]分ずれ、汚れXも4047[px]の画素の位置に移動する。これより、
図5(b)に示すように、特性データfは、全体的な特性は変わらないが、汚れXを読み取った出力が4047[px]の位置に移動する。
【0046】
図6は、汚れがガラス面に付着していた場合のシェーディングデータの説明図である。ここでガラス面とは、読取手段306の受光面を覆うガラスを想定しているが、光源部401と濃度基準部材からの光を受光する読取手段306の受光面との間の光の光学経路内に設けられている部材も含まれる。例えばコンタクトガラス11や、読取窓や、レンズ面などを含めてもよい。
【0047】
図6(a)に示すように、第1の配置において汚れYはガラス面の4000[px]の位置に付着しているため、主走査位置が4000[px]の位置の画素値は、その前後の主走査位置の画素値よりも値が突出して小さい値つまり暗い値になっている。一方、
図6(b)に示すように、濃度基準部材500の駆動後においても、読取手段306の各画素に対するガラス面の位置は変化しないため、汚れYを読み取る画素も同じ画素のまま変わらない。つまり、汚れを検知した場合は駆動前後の画素位置の変化を調べることで汚れの位置も検知することができることが分かる。
【0048】
図7は、前処理部602の処理の説明図である。
図7(a)に濃度基準部材500に汚れXが付着している場合の説明図として、濃度基準部材500を駆動したときの濃度基準部材500および読取手段306の配置と、濃度基準部材500の駆動期間に所定のライン周期で取得したシェーディングデータを縦軸方向に並べた図とを示している。また、
図7(b)にガラス面に汚れYが付着している場合の説明図として、濃度基準部材500を駆動したときの濃度基準部材500および読取手段306の配置と、濃度基準部材500の駆動期間に所定のライン周期で取得したシェーディングデータを縦軸方向に並べた図とを示している。縦軸方向に並べた各タイミングのシェーディングデータはシェーディングデータメモリ601に保持されている。
【0049】
図7(a)および
図7(b)に共に示すように、可動可能な濃度基準部材500は、位置が固定されている読取手段306に対し主走査方向に駆動される。この例では+2mmだけ駆動される。この駆動期間にシェーディングデータを所定のライン周期で取得し、主走査位置毎に、取得したすべてのシェーディングデータ(シェーディングデータメモリ601に保持されているデータ)を対象に平均化の演算を行う。
【0050】
なお、
図7(a)に示すように、濃度基準部材500に汚れXが付着している場合は、汚れXを読み取った主走査位置の画素値が他の主走査位置に連続的に移動する。また、
図7(b)に示すように、ガラス面に汚れYが付着している場合は、汚れYを読み取った主走査位置の画素値は常に同じ主走査位置に現れるので、平均化後のデータから汚れの位置も検知することができる。
【0051】
平均化後のデータは、例えば複数のシェーディングデータを画素単位で加算して画素単位で平均化するなどして生成する。これにより特性データにおける異物以外のノイズの振れを圧縮する。具体的には、ラインカウンタにより
図7の特性データの縦軸方向に画素毎に画素値を加算して、各画素の平均値を算出する。
【0052】
図8および
図9は、異物検知部603の閾値の設定方法について説明する図である。
図8および
図9には共に、平均化前と平均化後の画素値の出力レベルの一例を図示している。
図8は、平均化前の画素値の出力レベルを基準に閾値の設定を行った場合の例を示している。
図8に示すように平均化前は光源の照度ムラや濃度基準部材の濃度ムラなどにより出力レベルが大きく変動する。このまま平均化を行わずに平均化前の出力レベルを基準に閾値を設定すると、出力レベルの下限からさらにノイズマージンφの分を減らした値が閾値Aとなるため、閾値Aが低くなる。異物検知のための閾値は、ノイズを拾わないように統計的手法で事前に決定したノイズマージンφをノイズ下限値を基準に設定した値となる。
【0053】
しかし、例えば150[digit]程度の出力変動の小さな異物を検出する場合は、閾値A(140[digit])では検知されない。出力変動が小さな異物では閾値Aを跨ぐことができずに検知されないことになる。
【0054】
図9は異物検知部603で行う閾値設定の説明図である。
図9に示すように異物検知部603で行う閾値設定方法では、
図9に示すように平均化後において濃度基準部材が有する濃度ムラ起因等の出力変動を小さくすることができ、その出力レベルの下限からノイズマージンφをとることができる。そのため150[digit]程度の出力変動の小さな異物であっても検出か可能になる。つまり、本実施の形態の検知方法であれば異物の検出精度が向上し、出力変動が小さな異物も検出可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態に示す濃度基準部材の形状や配置は一例である。読取手段で読み取ることができる形状および配置であれば適宜変更してもよい。例えば濃度基準部材として板状部材を示したが、例えば主走査方向に駆動可能なローラ部材を使用するなどしても同様の効果が得られる。
【0056】
また、本実施の形態では、読取手段の画像処理部に対しシェーディング補正や異物検知のための手段を設けているが、制御部側でシェーディング補正や異物検知を行う構成に変形してもよい。
【0057】
(変形例1)
第1の実施の形態にかかる読取装置では、出力変動の小さなものを含め異物が存在している場合に異物ありの検知結果が得られる構成を示した。第1の実施の形態にかかる読取装置を使用し、異物ありの結果が得られた場合、ユーザは、濃度基準部材上またはガラス面を掃除するなどして異物を取り除く。しかし、異物が濃度基準部材上に存在するのか、それともガラス面に存在するのか詳細には分からない。そこで、読取装置の変形例1として、異物が濃度基準部材上とガラス面のどちらに存在するのかを示す検知結果を得るための画像処理部405の構成を示す。
【0058】
図10は、画像処理部405の変形例1にかかる構成の一例を示す図である。
図10に示すように変形例1にかかる画像処理部405は、第1の実施の形態にかかる画像処理部405の構成(
図3参照)にさらに差分演算部604と付着位置判定部605とを含む。ここで、差分演算部604および付着位置判定部605が「判定手段」に相当する。
【0059】
差分演算部604と付着位置判定部605は、異物検知部603によって異物が検知された場合に動作し、異物が濃度基準部材に付着しているのかガラス面に付着しているのかを判定する。
【0060】
一例として、差分演算部604はシェーディングデータメモリ601に保持されている複数のシェーディングデータのうち、所定の2つ分のライン数のシェーディングデータをそれぞれ前処理部602で平均化演算した結果(SHデータ1とSHデータ2)を用いて差分演算(SHデータ1-SHデータ2)する。ここでSHデータ1は、一例として濃度基準部材が駆動する前に取得するシェーディングデータに対応し、SHデータ2は、濃度基準部材が駆動した後に取得するシェーディングデータに対応する。付着位置判定部605は、差分演算部604の演算結果から異物の付着位置を判定する。差分演算部604と付着位置判定部605の動作について
図11~
図13を参照してさらに詳しく説明する。
【0061】
図11は、差分演算部604における演算結果を示す図である。
図11(a)に汚れが濃度基準部材に付着していた場合のSHデータ1とSHデータ2の差分演算結果を示し、
図11(b)に汚れがガラス面に付着していた場合のSHデータ1とSHデータ2の差分演算結果を示している。
【0062】
図11(a)と
図11(b)から、濃度基準部材の駆動前に汚れが付着していた4000[px]に注目すると汚れが付着している位置が濃度基準部材上かガラス面かによってそれぞれの演算結果が異なることが分かる。つまり
図11(a)に示すように、汚れが濃度基準部材上に付着していた場合は駆動後に汚れを検出する画素も4047[px]に変わり差分が4000[px]で+180[digit]となり、汚れがガラス面に付着していた場合は画素間の移動がないので差分は0[digit]となる。
【0063】
従って、濃度基準部材の駆動前に汚れが付着していた画素(この例では4000[px])の演算結果を判定式に入力することで、汚れが濃度基準部材に付着しているのかガラス面に付着しているのかを判定することができる。
【0064】
次の式(1)および式(2)は、付着位置判定部605が判定を行う判定式の一例である。付着位置判定部605は、差分演算部604が出力するSHデータ1とSHデータ2の演算結果の絶対値を所定の閾値(画素レベル)と比較し、式(1)を満たす場合に濃度基準部材に汚れが付着していると判定し、式(2)を満たす場合にガラス面に汚れが付着していると判定する。ここでは閾値の一例として15[digit]を示しているが、これに限らず汚れの付着位置がガラス面と濃度基準部材とで切り分けることができる値であれば適宜変更してよい。
【0065】
|SHデータ1-SHデータ2|>15[digit]・・・式(1)
|SHデータ1-SHデータ2|≦15[digit]・・・式(2)
【0066】
なお、濃度基準部材に複数の汚れがあり、その間隔が濃度基準部材の駆動距離と同じであった場合には次のように検知する。
【0067】
図12および
図13は、濃度基準部材に複数の汚れが付着し、且つ、その間隔が濃度基準部材の駆動距離と同じであった場合の説明図である。
図12(a)および
図12(b)には駆動前と駆動後に得たシェーディングデータをそれぞれ示している。
【0068】
図12(a)および
図12(b)に示すように汚れX1と汚れX2は濃度基準部材の駆動距離+2mmと同じ間隔+2mm(47[px]に相当)で付着している。このため
図12(b)に示す濃度基準部材の駆動後のシェーディングデータにおいても、駆動前の4000[px]の位置の40[digit]の汚れX2と同様に4000[px]の位置に40[digit]の汚れX1が検出される。
【0069】
図13は、濃度基準部材に複数の汚れが付着し、且つ、その間隔が濃度基準部材の駆動距離と同じであった場合のSHデータ1とSHデータ2の差分演算結果である。
図13に示すように、4000[px]に注目すると演算結果は0[digit]となるが、3053[px]に注目すると演算結果が+180[digit]となる。そのため、4000[px]で演算結果が0であっても、いずれかの画素、この例では3053[px]などで汚れが付着しているかを判定することにより、濃度基準部材に付着しているという判定が可能である。
【0070】
なお、ここでは差分演算部604の処理であるため差分演算の演算処理を説明したが、差分演算だけでなく異物信号を強調するフィルタやノイズを平均化する緩和フィルタ等の処理を前処理または後処理として実施してもよい。
【0071】
(変形例2)
第1の実施の形態または変形例1の構成により異物が検知された場合、読取装置の動作を停止したり、ユーザに異物の検知を通知したりすることが考えられる。そこで、読取装置の変形例2として、ユーザに異物の検知を通知するための構成を示す。
【0072】
図14は、読取装置1の変形例2にかかる構成の一例を示す図である。
図14に示すように、変形例1の構成(
図10参照)にさらに通知部700を設ける。ここで、通知部700が「通知手段」に相当する。
【0073】
通知部700は、異物を検知した場合にユーザに異物の存在を通知する。この例において通知部700は付着位置判定部605により付着位置まで検知することができるため付着位置判定部605の判定結果に基づき付着位置をユーザに通知する。なお、第1の実施の形態に示すように付着位置判定部605がない構成であれば異物検知部603が異物を検知したことを条件に通知部700がユーザに異物の存在を通知するようにしてもよい。
【0074】
通知部700は、異物の存在や位置を示す情報を操作パネル301に出力することで、操作パネル301の表示画面で異物の存在や位置などを表示させたり、音声出力部で音声出力したりすることが可能である。
【0075】
(変形例3)
濃度基準部材は、回転部材であってもよい。この場合、読取装置は、濃度基準部材を正回転方向または逆回転方向に駆動し、濃度基準部材の回転面において回転方向に読取位置を変える。異物が縦方向に短い、つまり濃度基準部材の回転方向に対して短い異物の場合には、読取位置を回転方向に変えれば異物のない領域が現れるため、駆動前と駆動後とで同じ画素で画素値が変わり異物を検知することができる。特に、付着している異物が濃度基準部材の駆動距離と同等の幅を持っている場合に効果が最大となる。
【0076】
反対に駆動距離に対して十分小さな異物である場合、取得した複数ラインのシェーディングデータを平均化することで異物も均一化されてしまい、異物検知の精度が低減する。従って副走査方向にも駆動可能な構成を設けることで、主走査方向に幅の狭い異物であったとしても、副走査方向に幅を持つ異物であれば精度良く検出することができる。
【0077】
(第2の実施の形態)
図15は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
図15に示す画像形成装置2は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP)と称される画像形成装置である。
【0078】
画像形成装置2は、読取装置1を有し、読取装置1で読み取った原稿100の画像を読取装置1の下部の画像形成部80により記録紙に印刷する。ここで、画像形成部80が「画像形成手段」に相当する。
【0079】
具体的に、画像形成部80は、光書込装置81や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)82や、中間転写ベルト83や、二次転写ベルト84などを有する。読取装置1で補正された画像に基づき光書込装置81が作像ユニット82の感光体ドラム820に画像を書き込み、各感光体ドラム820から中間転写ベルト83上にそれぞれトナー画像が転写される。
【0080】
図15に示す例では、作像ユニット(Y、M、C、K)82は、回転可能な4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)820を有し、各感光体ドラム820の周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素をそれぞれ備える。各感光体ドラム820の周囲で各作像要素が所定の作像プロセスで動作することにより、各感光体ドラム820上に画像が形成され、各感光体ドラム820に形成された画像が一次転写ローラにより中間転写ベルト83上にそれぞれトナー画像として転写される。
【0081】
中間転写ベルト83は、各感光体ドラム820と各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト83に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト83の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト84上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト84の走行により、定着装置85に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。
【0082】
なお、記録紙は、例えば給紙部90が用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット91、92から所定の記録紙を繰り出して、各種ローラからなる搬送手段93で搬送して二次転写ベルト84に供給する。
【0083】
なお、画像形成部80は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
【0084】
以上、本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、実施の形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 読取装置
306 読取手段
405 画像処理部
601 シェーディングデータメモリ
602 前処理部
603 異物検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【文献】特開2018-121247号公報
【文献】特開2018-067886号公報