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特許7556542施設内気温制御方法、施設内気温制御プログラム及び施設内気温制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】施設内気温制御方法、施設内気温制御プログラム及び施設内気温制御装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20240918BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A01G9/24 A ZAB
A01G7/00 601Z
A01G7/00 ZNA
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021012596
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2021126112
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2020020974
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名 園芸学会令和元年度秋季大会 公開日 令和元年9月15~16日 公開場所 島根大学 松江キャンパス(島根県松江市西川津町1060)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 一般社団法人 園芸学会 刊行物名 園芸学研究第18巻別冊2 発行年月日 令和元年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長菅 香織
(72)【発明者】
【氏名】東出 忠桐
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154386(JP,A)
【文献】特開昭53-143522(JP,A)
【文献】特開2019-050820(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031775(WO,A1)
【文献】特開2012-025740(JP,A)
【文献】特開2017-012056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を栽培している施設内の気温の変化の予測情報を取得する工程と、
取得した前記予測情報から特定される前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上を継続する時間の長さが所定時間以上である場合に、特定した時間の途中の時間を前記施設内の気温を調整する時間として決定し、
決定した前記時間において前記施設内の気温が前記第1の温度未満になるように調整する工程と、を含む施設内気温制御方法。
【請求項2】
前記施設内で栽培されている作物の花果実の生育段階が、予め定められている高温障害リスクのある生育段階である場合に、前記調整する工程を実行することを特徴とする請求項に記載の施設内気温制御方法。
【請求項3】
前記施設内で栽培されている作物の花果実の生育段階を推定する工程を更に含むことを特徴とする請求項に記載の施設内気温制御方法。
【請求項4】
生育段階に応じた前記作物の肥大不良に関連する遺伝子の発現量の変化に基づいて、前記高温障害リスクのある生育段階を設定する工程を更に含む請求項に記載の施設内気温制御方法。
【請求項5】
環境条件に応じた前記作物の肥大不良に関連する遺伝子の発現量の変化に基づいて、前記第1の温度、前記所定時間の少なくとも一方を設定する工程を更に含む請求項1~のいずれか一項に記載の施設内気温制御方法。
【請求項6】
環境条件に応じた前記作物の肥大不良に関連する遺伝子の発現量の変化に基づいて、前記施設内の気温を調整する期間の長さを設定する工程を更に含む請求項1~のいずれか一項に記載の施設内気温制御方法。
【請求項7】
前記作物は、トマトであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の施設内気温制御方法。
【請求項8】
作物を栽培している施設内の気温に関する情報を取得する工程と、
取得した前記情報に基づいて、1日のうち前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上となる時間の合計が所定時間以上であっても、前記施設内の気温が前記第1の温度以上を継続する時間が前記所定時間以上にならないように、前記施設内の気温を調整する工程と、を含む施設内気温制御方法。
【請求項9】
作物を栽培している施設内の気温の変化の予測情報を取得し、
取得した前記予測情報から特定される前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上を継続する時間の長さが所定時間である場合に、特定した時間の途中の時間を前記施設内の気温を調整する時間として決定し、
決定した前記時間において前記施設内の気温が前記第1の温度未満になるように調整する、
処理をコンピュータに実行させるための施設内気温制御プログラム。
【請求項10】
作物を栽培している施設内の気温に関する情報を取得し、
取得した前記情報に基づいて、1日のうち前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上となる時間の合計が所定時間以上であっても、前記施設内の気温が前記第1の温度以上を継続する時間が前記所定時間以上にならないように、前記施設内の気温を調整する、
処理をコンピュータに実行させるための施設内気温制御プログラム。
【請求項11】
作物を栽培している施設内の気温の変化の予測情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記予測情報から特定される前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上を継続する時間の長さが所定時間である場合に、特定した時間の途中の時間を前記施設内の気温を調整する時間として決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記時間において前記施設内の気温が前記第1の温度未満になるように調整する調整部と、
を備える施設内気温制御装置。
【請求項12】
作物を栽培している施設内の気温に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記情報に基づいて、1日のうち前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上となる時間の合計が所定時間以上であっても、前記施設内の気温が前記第1の温度以上を継続する時間が前記所定時間以上にならないように、前記施設内の気温を調整する調整部と、
を備える施設内気温制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内気温制御方法、施設内気温制御プログラム及び施設内気温制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に伴い、夏季に著しい高温が生じることが増えてきている。トマトなどの施設栽培作物にとっても高温は大きな問題であり、夏季高温による9~10月頃の品薄や価格高騰が顕著になってきている。
【0003】
例えば、トマトは、高温に曝されることで果実の肥大不良が生じるため、高温を緩和するために、細霧システムやヒートポンプ等の冷房設備を利用するのが有効である(例えば、特許文献1等参照)。施設園芸における冷房設備の利用は、冷房負荷が小さく電気料金が安価な夜間の冷房のみとすることが多い(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-154386号公報
【文献】特開昭52-098127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日中の施設内の気温を低下させるためには、相当数の機器を導入する必要があり、コストがかかる。また、電力コストやエネルギ消費量も膨大である。
【0006】
本発明は、作物の高温障害の発生を抑制することが可能な施設内気温制御方法、施設内気温制御プログラム及び施設内気温制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の施設内気温制御方法は、作物を栽培している施設内の気温の変化の予測情報を取得する工程と、取得した前記予測情報から特定される前記施設内の気温が予め定められている第1の温度以上を継続する時間の長さが所定時間以上である場合に、特定した時間の途中の時間を前記施設内の気温を調整する時間として決定し、決定した前記時間において前記施設内の気温が前記第1の温度未満になるように調整する工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の施設内気温制御方法、施設内気温制御プログラム及び施設内気温制御装置は、作物の高温障害の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る農業システムの構成を示す図である。
図2図1の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図3図1の制御装置の機能ブロック図である。
図4図4(a)は、授粉後の遭遇温度と関連遺伝子発現を示すグラフであり、図4(b)は、高温下の授粉後日数と関連遺伝子発現を示すグラフである。
図5図5(a)、図5(b)は、高温遭遇の長さを異ならせた場合における関連遺伝子相対発現量を調べる実験について説明するための図である。
図6】制御装置の処理を示すフローチャートである。
図7図7(a)~図7(c)は、気温制御方法について説明するための図である。
図8図8(a)、図8(b)は、変形例を示す図である。
図9図9(a)~図9(h)は、各国内市販品種における授粉後の遭遇温度と関連遺伝子相対発現量との関係を示すグラフである。
図10図10(a)~図10(h)は、各国内市販品種における授粉後の高温遭遇時間と関連遺伝子相対発現量との関係を示すグラフである。
図11図11(a)~図11(d)は、各国内市販品種における低温期の長さと関連遺伝子相対発現量との関係を示すグラフである。
図12図12(a)は、2020年8月2日における温室内の対照区および細霧冷房区における気温の推移を示す図であり、図12(b)は、対照区及び細霧冷房区のそれぞれから収穫されたCF桃太郎ヨークおよび麗夏の一果重を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について、図1図8に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態に係る農業システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の農業システム100は、トマトなどの作物を栽培する大規模施設(例えば温室)において、温室内の環境を調整するシステムである。
【0011】
農業システム100は、図1に示すように、施設内気温制御装置としての制御装置10と、屋外センサ12と、温室20内に設置された温室内センサ14及び施設・機器情報提供装置16と、温室20内の環境を調整する環境調整設備(制御対象機器と呼ぶ)18と、外部サーバ22と、を備える。制御装置10、屋外センサ12、温室内センサ14、施設・機器情報提供装置16、及び制御対象機器18、外部サーバ22は、インターネットなどのネットワークを介して接続されており、各装置間において情報のやり取りが可能となっている。
【0012】
制御装置10は、温室20内で作物(トマトとする)を栽培する作業者が利用可能な情報処理装置である。制御装置10は、屋外センサ12や温室内センサ14において取得される環境情報、施設・機器情報提供装置16から入力される温室20内の性能に関する情報(施設情報や機器情報)、制御対象機器18に設定されている情報(機器設定情報)、外部サーバ22から入力される屋外環境の予測情報を取得する。また、制御装置10は、各情報に基づいて、温室20内の環境(本実施形態では温室20内の気温の推移)を推定する。また、制御装置10は、温室20内の気温の推移に基づいて、トマトの各果房の各花果実の生育段階を推定する。そして、制御装置10は、推定した情報に基づいて、制御対象機器18の制御方法(どのタイミングでどのように制御するか)を特定し、特定した制御方法で制御対象機器18を制御する。なお、制御装置10の構成や処理の詳細については後述する。
【0013】
屋外センサ12は、温室20の外部の気温を検出する温度センサや日射を検出する日射センサを含み、検出結果を制御装置10に対して入力する。
【0014】
温室内センサ14は、温室20内の気温を検出する温度センサ、温室20内の日射を検出する日射センサ、温室20内の湿度(相対湿度)を検出する湿度センサ、温室20内のCO2(二酸化炭素)濃度を検出するCO2濃度センサを含み、検出結果を制御装置10に対して入力する。
【0015】
施設・機器情報提供装置16は、温室20(施設)の情報(施設情報)及び温室20内の機器(制御対象機器)の能力に関する情報(機器情報)を記憶する装置である。施設・機器情報提供装置16は、実測値や作業者の入力情報等に基づいて格納している情報を適宜更新し、制御装置10からの求めに応じて、制御装置10に対して情報を提供する。なお、施設・機器情報提供装置16は温室20内に設置せず、別の場所に設置してもよいし、制御装置10において施設・機器情報提供装置16の機能を備えていてもよい。
【0016】
制御対象機器18は、ヒートポンプ、換気窓、暖房機、CO2施用機、遮光・保温カーテン、細霧装置等を含む。換気窓は、温室20内に外気を取り入れる窓である。暖房機は、温室20内の気温を上げる機器であり、CO2施用機は、温室20内のCO2濃度を調整する機器である。また、遮光・保温カーテンは、温室20内の日射や気温を調整するカーテンである。細霧装置は、温室20内の気温を低下させ、湿度を上昇させる装置である。制御対象機器18は、制御装置10の指示に応じた動作を実行することが可能であるものとし、制御対象機器18の動作により温室20内の環境が調整される。
【0017】
ここで、制御装置10の構成や処理について詳細に説明する。図2には、制御装置10のハードウェア構成が概略的に示されている。図2に示すように、制御装置10は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD)96、ネットワークインタフェース97、表示部93、入力部95、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。表示部93は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部95は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。これら制御装置10の構成各部は、バス98に接続されている。制御装置10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(施設内気温制御プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(施設内気温制御プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、図3に示す各部の機能が実現される。なお、図3の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0018】
図3には、制御装置10の機能ブロック図が示されている。制御装置10においては、CPU90がプログラムを実行することにより、図3に示すように、情報取得部30、温室環境予測部32、生育段階予測部34、気温制御方法特定部36、機器制御部38、としての機能が実現されている。
【0019】
情報取得部30は、屋外センサ12、温室内センサ14、施設・機器情報提供装置16、外部サーバ22から情報を取得し、温室環境予測部32及び生育段階予測部34に受け渡す。
【0020】
温室環境予測部32は、情報取得部30から取得した情報に基づいて、温室20内の気温の推移を予測する。温室環境予測部32は、予測結果を生育段階予測部34及び気温制御方法特定部36に受け渡す。
【0021】
生育段階予測部34は、情報取得部30から取得した情報と、温室環境予測部32から取得した予測結果とに基づいて、トマトの各果房の各花果実における積算気温を算出し、算出した積算気温に基づいて、各果房の各花果実の生育段階を予測する。生育段階予測部34は、予測結果を気温制御方法特定部36に受け渡す。
【0022】
気温制御方法特定部36は、温室環境予測部32から取得した予測結果に基づいて、温室20内の気温制御方法を特定する。より具体的には、気温制御方法特定部36は、花果実いずれかの生育段階が所定の生育段階である場合に、当日の温室20内の気温を参照し、第1の温度以上を継続する時間(第1の温度以上のままで経過する時間)が所定時間を超えないようにするための気温制御方法を特定する。気温制御方法特定部36は、特定した気温制御方法を制御テーブル50に格納する。なお、各パラメータ(所定の生育段階、第1の温度、所定時間)の詳細については、後述する。
【0023】
機器制御部38は、気温制御方法特定部36が特定した気温制御方法が制御テーブル50に格納された場合に、格納されている気温制御方法に基づいて、制御対象機器18を制御し、温室20内の気温を調整する。
【0024】
(パラメータについて)
ここで、上述したパラメータの決定方法について詳細に説明する。
【0025】
本発明者は、トマトの高温障害について鋭意研究を重ねた結果、トマト果実の肥大不良に連動して発現する関連遺伝子に着目した。この関連遺伝子は、高温で発達抑制される子房組織特異的であり、トマト果実肥大不良に関与する環境ストレス応答や細胞周期関連機能を有している。この関連遺伝子の発現が高まると肥大不良が発生すると考えられる。したがって、本発明者は、この関連遺伝子の発現が高まる条件を検討した。
【0026】
ここで、関連遺伝子は、一例として、配列番号1(5’-AGGGACATTGCCCTAGAGATGC-3’)及び配列番号2(5’-ACCGGACCGTTCAATACGTTGG-3’)に示す一対のプライマーセットを用いて増幅される遺伝子(遺伝子ID:Solyc08g078940)や、配列番号3(5’-TCAATGGCCGATTTCAACCACAG-3’)及び配列番号4(5’-AGATATTTGGCCGCGTGAGTCC-3’)に示す一対のプライマーセットを用いて増幅される遺伝子(遺伝子ID:Solyc01g089850)であるものとする。なお、配列番号1,3が、フォワードプライマー(Fプライマー)であり、配列番号2,4がリバースプライマー(Rプライマー)である。
【0027】
まず、本発明者は、ある品種のトマト(実験対象のトマト)に関し、授粉後の遭遇温度と関連遺伝子の発現について調べる実験を行った。この実験においては、ガラス温室における育苗後、第1花房発生時期に、温度処理を行うため28℃/23℃(昼/夜温、14時間日長)に設定した人工光型チャンバへ株を搬入した。また、第1果房の最大4花について開葯前に除雄し開花時に授粉した(ここまでを実験準備と呼ぶ)。そして、高温遭遇時の温度を32℃、34℃、36℃として、授粉翌日から1日あたり6時間の高温遭遇を9日間行った。なお、高温遭遇以外の昼温(対照温度)は28℃とし、処理終了時に子房を採取し、関連遺伝子をリアルタイムPCRにより測定し、内在性コントロール遺伝子(Ubiquitin:ユビキチン)の発現量に対する相対値(関連遺伝子相対発現量)を比較解析した。
【0028】
その結果、高温を32℃、34℃、36℃と定義したときの関連遺伝子相対発現量として、図4(a)のグラフが得られた。図4(a)のグラフは、横軸が授粉後の遭遇温度を示し、縦軸が関連遺伝子相対発現量を示している。図4(a)のグラフからは、実験対象のトマトにおいては、授粉後の遭遇温度が36℃の場合に関連遺伝子の発現量が最も多く、遭遇温度が低くなるほど関連遺伝子の発現量が少なくなっていることがわかる。
【0029】
また、本発明者は、実験対象のトマトに関し、高温下での授粉後日数と関連遺伝子の発現について調べる実験を行った。この実験においては、上記と同様に実験準備を行い、授粉翌日から1日あたり6時間の高温(36℃)遭遇を1~20日間行った。なお、36℃遭遇以外の昼温(対照温度)は28℃とした。その結果、図4(b)のグラフに示すような結果が得られた。
【0030】
図4(b)のグラフは、横軸が授粉後日数を示し、縦軸が関連遺伝子相対発現量を示している。図4(b)のグラフから分かるように、実験対象のトマトにおいては、授粉後5日程度で関連遺伝子の発現量が多く、その後少なくなっていることがわかる。
【0031】
このような結果から、本実施形態においては、パラメータ「第1の温度」を36℃とし、パラメータ「所定の生育段階」を受粉から5日間とした。
【0032】
また、本発明者は、気温が36℃以上の期間(高温期)の長さを異ならせた場合における関連遺伝子相対発現量を調べる実験を行った。この実験においては、上記と同様に実験準備を行い、授粉翌日から3日間、1日当たり4時間の高温(36℃)遭遇、1日当たり6時間の高温(36℃)遭遇を行った(図5(a)の左図参照)。なお、36℃遭遇以外の昼温(対照温度)は28℃とした。図5(a)の右図には、実験対象のトマトに関し、高温遭遇を4時間とした場合と、6時間とした場合の関連遺伝子相対発現量が示されている。図5(a)からは、高温期が6時間の場合よりも、4時間の方が関連遺伝子相対発現量が少なくなることが分かった。
【0033】
また、本発明者は、1日における高温期のトータル時間を6時間とし、高温期を2回に分けるように間に低温期(36℃未満)を挿入した場合について、同様の実験を行った。すなわち、図5(b)の左図に示すように、3時間の高温期の後に、2時間の低温期を挟んで、3時間の高温期となるように人工光型チャンバ内の気温を制御した。この場合、図5(b)の右図に示すように、1日における高温期のトータル時間が6時間であるにもかかわらず、関連遺伝子相対発現量は、高温期が4時間の場合(図5(a)の右図参照)とさほど変わらなかった。
【0034】
この結果から、高温期が長くなると予測されるような日には、1回の高温期の時間を短くすれば関連遺伝子の発現量が減ると推定できるため、本実施形態では1回の高温期の継続時間の限界値を示すパラメータ「所定時間」を3時間とした。
【0035】
(制御装置10の処理について)
次に、制御装置10の処理について、図6のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ、詳細に説明する。なお、図6の処理は、1日における所定時刻(例えば深夜0時や朝5時など)に行われるものとする。
【0036】
図6の処理では、まず、ステップS10において、情報取得部30が、屋外センサ12、温室内センサ14、施設・機器情報提供装置16、外部サーバ22から情報を取得し、温室環境予測部32及び生育段階予測部34に受け渡す。
【0037】
次いで、ステップS12では、温室環境予測部32が、情報取得部30から取得した情報に基づいて、温室20内の当日の気温を予測する。温室環境予測部32は、予測結果を気温制御方法特定部36に受け渡す。
【0038】
次いで、ステップS14では、生育段階予測部34が、情報取得部30から取得した情報と、温室環境予測部32から取得した予測結果とに基づいて、トマトの各果房の各花果実における積算気温を算出し、算出した積算気温に基づいて、当日における各花果実の生育段階を予測する。
【0039】
次いで、ステップS16では、気温制御方法特定部36が、各花果実の生育段階のいずれかが所定の生育段階(本実施形態では受粉後5日間)であるか否かを判断する。このステップS16の判断が否定された場合には、図6の全処理を終了するが、肯定された場合にはステップS18に移行する。
【0040】
ステップS18に移行すると、気温制御方法特定部36は、気温制御方法を特定する。ここで、気温制御方法特定部36は、温室環境予測部32が予測した当日の気温を参照して、第1の温度(例えば36℃)以上を継続する時間(高温期)が所定時間(例えば3時間)を超えるか否かを判断する。そして、高温期が所定時間を超えるような場合には、高温期の間に制御対象機器18を制御する期間(気温制御時間)を挿入して、1回の高温期の時間が所定時間を超えないようにする気温制御方法を特定する。例えば、図7(a)に示すように、高温期が8時間継続すると予想された場合には、図7(b)に示すように、間に気温制御の時間を2時間挟み、2回の高温期の時間それぞれが3時間を超えないようにする気温制御方法を特定する。あるいは、図7(c)に示すように、間に36℃未満の時間を2時間挟むように気温制御を行う気温制御方法を特定する。なお、図7(b)、図7(c)の気温制御方法は一例である。予測される気温の推移は様々であるので、気温制御方法特定部36は、気温の推移に応じて、各高温期の時間が所定時間(3時間)を超えないように気温制御方法を適宜決定すればよい。なお、気温制御方法特定部36は、温室環境予測部32が予測した当日の気温において高温期が所定時間を超えなかった場合には、気温制御方法として、制御対象機器18を制御しない旨特定する。
【0041】
また、ステップS18では、気温制御方法特定部36は、特定した気温制御方法を示す画面を表示部93上に出力(表示)する。この画面には、特定した気温制御方法を採用して、実際に制御を行うか否かを作業者に選択させる選択ボタンが設けられているものとする。なお、気温制御方法特定部36は、制御対象機器18を制御することによる使用電力量、電力コストなどを併せて画面表示するようにしてもよい。これにより、作業者は、環境への影響や、金銭的な負担等を考慮して、制御を行うか否かを選択することが可能となる。
【0042】
次いで、ステップS20では、気温制御方法特定部36が、制御有無の入力があるまで待機する。すなわち、気温制御方法特定部36は、作業者が選択ボタンを押すまで待機し、選択ボタンが押された段階でステップS22に移行する。
【0043】
ステップS22に移行すると、気温制御方法特定部36は、特定した気温制御方法に基づく制御をするか否かを判断する。この場合、作業者が特定した気温制御方法に基づく制御を行わない旨の選択を行った場合には、図6の全処理を終了するが、制御を行う旨の選択を行った場合には、ステップS24に移行する。
【0044】
ステップS24に移行した場合には、気温制御方法特定部36は、特定した制御方法を制御テーブル50に格納する。ステップS24の処理が行われた後は、図6の全処理が終了する。
【0045】
ここで、制御テーブル50に格納された制御方法は、当日における機器制御部38による制御対象機器18の制御に用いられる。したがって、図7(b)に示すような気温制御方法が制御テーブル50に格納されていた場合には、機器制御部38は、気温制御時間として特定されている時間の間だけ、制御対象機器18を制御して、温室20内の気温を低下させる。また、制御テーブル50に格納されている気温制御方法が「制御対象機器18を制御しない」である場合や、制御テーブル50に気温制御方法が格納されていない場合には、機器制御部38は、制御対象機器18を制御しないようにする。
【0046】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、情報取得部30と温室環境予測部32を含んで、トマトを栽培している温室20内の気温に関する情報を取得する取得部としての機能が実現されている。また、本実施形態では、生育段階予測部34、気温制御方法特定部36、機器制御部38を含んで、温室20内の気温が予め定められている第1の温度以上を継続する時間が所定時間以上にならないように、温室20内の気温を調整する調整部としての機能が実現されている。
【0047】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、温室環境予測部32は、トマトを栽培している温室20内の気温の推移を予測し(S12)、気温制御方法特定部36は、予測結果に基づいて、温室20内の気温が第1の温度以上を継続する時間が所定時間以上にならないような温室20内の気温制御方法を特定し(S18)、機器制御部38が、特定された気温制御方法に基づいて制御対象機器18を制御する。これにより、本実施形態では、高温になると予測される期間、継続的に気温を制御しなくても、トマトの高温障害を抑制することができる。この場合、気温を制御する時間を短縮できるため、制御に要するコストの低減を図ることができ、エネルギ利用による環境への影響も低減することができる。
【0048】
また、本実施形態によると、トマトの各花果実の生育段階を推定し、推定した生育段階が高温障害リスクのある所定の生育段階である場合に、温室20内の気温を制御することとしている。このため、所定の生育段階にある場合とない場合の両方において気温を制御する場合に比べて気温制御を効率的に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態によると、生育段階に応じたトマトの肥大不良に関連する遺伝子の発現量の変化や、環境条件に応じたトマトの肥大不良に関連する遺伝子の発現量の変化に基づいて、パラメータ(所定の生育段階、第1の温度、所定時間)を決定することとしている。これにより、パラメータとして適切な値を決定することができるため、肥大不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、温室20内の気温の推移の予測結果に基づいて、温室20内の気温を制御することとしているため、例えば季節ごとに同一の制御を行うような場合よりも、効率的に高温障害の発生を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、高温期が所定時間を超えると予測された場合に、高温期の途中において、温室20内の気温制御を行うこととしているので、高温期が所定時間(例えば3時間)に達した後の時間において気温制御を行い続ける場合と比べて、気温を制御する時間を短くすることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、温室内の当日の気温の推移を予測して、予測結果に基づいて当日の気温制御方法を特定し、温室20内の気温を制御する場合について説明したが、これに限られるものではない。所定期間(例えば1週間)の気温の推移を予測して、所定期間の気温制御方法を特定することとしてもよい。
【0053】
なお、上記実施形態では、機器制御部38が、特定された気温制御方法に基づいて制御対象機器18を制御する場合について説明したが、これに限らず、特定された気温制御方法を表示部93に出力することで、作業者に制御対象機器18を制御させるようにしてもよい。
【0054】
なお、上記実施形態では、気温の推移を予測して、気温制御方法を特定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、温室20内の気温をリアルタイムに計測し、気温が第1の温度以上を継続する時間が所定時間を超えるタイミングで、機器制御部38が制御対象機器18を制御して、温室20内の気温を下げるようにしてもよい。あるいは、機器制御部38は、気温が第1の温度以上を継続する時間が所定時間を超えるタイミングを作業者に通知することで、作業者に制御対象機器18を制御させるようにしてもよい。
【0055】
なお、上記実施形態では、高温期の途中に1回だけ気温制御を行う場合について説明したが、これに限らず、図8(a)に示すように、高温期の途中に2回(又は3回以上)気温制御時間を挿入することとしてもよい。また、図8(b)に示すように、高温期の長さは、それぞれ異なってもよい。
【0056】
なお、上記実施形態で説明した、パラメータの値は一例である。トマトの品種によっても異なるため、品種ごとにパラメータの値を決定するようにすればよい。また、本発明は、トマト以外、例えばパプリカやナスなどのナス科の作物においても同様に適用することができる。また、本発明は、ナス科の作物以外であっても、温室などで施設栽培が行われ、夏季に高温障害が発生するような作物に同様に適用することができる。
【0057】
(実施例)
トマトの国内市販品種(桃太郎8、麗夏、りんか409、冠美、CF桃太郎ヨーク、麗容、CF桃太郎ファイト、およびCF桃太郎はるか)に関し、パラメータ「第1の温度」、「所定時間」および「低温時間」を調査した。
【0058】
(事前準備)
各品種について、ガラス温室における育苗後、第1花房発生時期に、温度処理を行うため28℃/23℃(昼/夜温、14時間日長)に設定した人工光型チャンバへ株を搬入した。また、第1果房の最大4花について開葯前に除雄し開花時に授粉した。
【0059】
(「第1の温度」の特定)
「第1の温度」を特定するため、高温遭遇時の温度を30℃、32℃、34℃、36℃として、授粉翌日から1日あたり6時間の高温遭遇を3日間行った。処理終了時に子房を採取し、関連遺伝子をリアルタイムPCRにより測定し、内在性コントロール遺伝子の発現量に対する相対値(関連遺伝子相対発現量)を比較解析した。
【0060】
結果を図9(a)~図9(h)に示す。図9(a)~図9(h)のグラフは、横軸が授粉後の遭遇温度を示し、縦軸が関連遺伝子相対発現量を示している。関連遺伝子の発現量が高い場合に、果実肥大不良が発生すると考えられるため、各グラフにおいて、関連遺伝子の発現量が最も高い温度を「第1の温度」とした。例えば、桃太郎8では、遭遇温度が30℃の場合に関連遺伝子の発現量が最も高い。したがって、桃太郎8では、30℃を「第1の温度」とした。各国内市販品種の「第1の温度」は、表1に示すとおりである。
【0061】
(「所定時間」の特定)
「所定時間」を特定するため、各国内市販品種において関連遺伝子発現量が最も高くなった高温遭遇時の温度において、授粉翌日から1日あたり1、2、4、6時間の高温遭遇を3日間行い、遺伝子発現解析を行った。
【0062】
結果を図10(a)~図10(h)に示す。図10(a)~図10(h)のグラフは、横軸が「第1の温度」での高温遭遇時間を示し、縦軸が関連遺伝子相対発現量を示している。関連遺伝子の発現量が低い高温遭遇時間内では果実肥大不良は生じないと考えられるため、各グラフにおいて関連遺伝子の発現量が最も高くなる高温遭遇時間の1つ前の時間を「所定時間」とした。例えば、桃太郎8の場合、関連遺伝子の発現量が最も高くなる高温遭遇時間は「2時間」であるため、その1つ前の時間である「1時間」を「所定時間」とした。なお、CF桃太郎はるかでは、関連遺伝子の発現量が最も高くなる高温遭遇時間が1時間であるため、「所定時間」を1時間未満とした。各国内市販品種の「所定時間」は、表1に示すとおりである。
【0063】
(「低温時間」の特定)
低温期の継続時間を「低温時間」とし、各国内市販品種について好ましい低温時間を特定するため、授粉翌日から3日間、各品種を「第1の温度」に「所定時間」遭遇させる高温期の間に、28℃(低温)に遭遇させる低温期を挿入し、低温時間を4水準の時間とした場合における関連遺伝子相対発現量を調べた。CF桃太郎ヨーク、冠美、麗容、およびCF桃太郎はるかの4品種について調査した。
【0064】
結果を図11(a)~図11(d)に示す。図11(a)~図11(d)のグラフにおいて、横軸が低温時間を示し、縦軸が関連遺伝子相対発現量を示している。関連遺伝子の発現量が低い場合に果実肥大不良を回避できると考えられるため、関連遺伝子の発現量が低い低温時間のうち、最も短い時間を「低温時間」とした。例えば、CF桃太郎ヨークの場合、低温時間が6時間の場合に、関連遺伝子の発現量が低くなっているため、「6時間」を「低温時間」とした。また、例えば、麗容では、低温時間が2時間および4時間の場合に関連遺伝子の発現量が低くなっているが、2時間の方が短いため、「2時間」を「低温時間」とした。各国内市販品種の「低温時間」は、表1に示すとおりである。
【0065】
【表1】
【0066】
高温期の途中に気温制御を行うことによる果実肥大不良回避の効果について調査した。CF桃太郎ヨークと麗夏とについて、2020年6月23日にガラス温室(150m)内でトマト苗を定植し、ロックウール養液栽培を行った。第1花房開花時の2020年7月16日に、ガラス温室内を2区画に仕切り、対照区と細霧冷房区を設けた。細霧冷房区では細霧冷房を開始した。細霧冷房は、11時と14時から2時間ずつ、室温が30℃以上の場合に稼働させた。2020年8月2日における温室内の対照区および細霧冷房区における気温の推移を図12(a)に示す。
【0067】
2020年9月上旬に、対照区及び細霧冷房区のそれぞれからCF桃太郎ヨークと麗夏とを収穫し、一果重を調べた。結果を図12(b)に示す。図12(b)に示すように、CF桃太郎ヨーク及び麗夏のいずれにおいても、細霧冷房区から収穫したもののほうが、一果重が大きかった。これにより、高温期の途中に気温制御を行うことで、果実肥大不良が回避できることが確かめられた。
【0068】
夏季高温日に、温室内の気温が「第1の温度」以上の場合にヒートポンプを稼働する通常冷房におけるヒートポンプの稼働時間と、温室内の気温が「第1の温度」以上の状態が「所定時間」継続した場合に、ヒートポンプを「低温時間」稼働させる短時間冷房におけるヒートポンプの稼働時間と、を試算した。試算は、麗容およびCF桃太郎はるかについて行った。「第1の温度」、「所定時間」および「低温時間」は、麗容およびCF桃太郎はるかについてそれぞれ上記で特定した値を用いた。また、試算には、2020年8月15日の150mのガラス温室における気温データを使用した。試算結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
表2によれば、短時間冷房の方が通常冷房よりもヒートポンプを稼働させる時間が短く、短時間冷房によってヒートポンプの稼働時間を削減でき、電力コストやエネルギ消費量を削減できることが確かめられた。
【0071】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0072】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0073】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0074】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 制御装置(施設内気温制御装置)
20 温室(施設)
30 情報取得部(取得部の一部)
32 温室環境予測部(取得部の一部)
34 生育段階予測部(調整部の一部)
36 気温制御方法特定部(調整部の一部)
38 機器制御部(調整部の一部)
90 CPU(コンピュータ)
図1
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図3
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【配列表】
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