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特許7556643超音波撮像装置、信号処理装置、および、信号処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】超音波撮像装置、信号処理装置、および、信号処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021106840
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023005121
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千鶴枝
(72)【発明者】
【氏名】丸山 美咲
(72)【発明者】
【氏名】池田 貞一郎
(72)【発明者】
【氏名】網野 和宏
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/181869(JP,A1)
【文献】再公表特許第2016/103839(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る受信部と、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する特徴量検出部と、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、生成した前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する信号・画像処理部と、
前記信号・画像処理部の1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる制御部と、
送信部とを有し、
前記制御部は、前記特徴量検出部が算出した前記特徴量に基づいて、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含み、
前記送信部は、1以上の送信パラメータに基づいて送信信号を生成して前記超音波素子に出力し、前記超音波素子により超音波に変換させ、前記被検体に照射させ、
前記パラメータ決定部は、前記特徴量に基づいて、前記送信部が送信信号の生成に用いる前記送信パラメータのうち1以上のパラメータの値を設定することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記制御部は、前記パラメータ決定部が決定した、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を、同一の前記受信信号を前記信号・画像処理部が処理する際に設定することにより、リアルタイムに前記特徴量を前記信号・画像処理部による画像の生成に反映させることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記特徴量検出部は、前記受信信号の深度方向に変化する周波数成分の情報を求め、前記情報に基づいて前記特徴量を算出することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波撮像装置であって、
前記特徴量検出部は、
前記受信信号を区切って複数の深度区間を設定し、前記複数の深度区間の受信信号を抽出する前処理部と、
前記前処理部が抽出した複数の深度区間の受信信号をそれぞれ周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部が解析した複数の前記深度区間の受信信号の周波数成分の示す情報から、予め定めておいた周波数成分の示す特徴の深度方向の変化を求め、特徴量として出力する深度方向分布算出部とを備えることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項5】
請求項に記載の超音波撮像装置であって、前記受信部は、前記複数の超音波素子が出力する受信信号を所定のスキャンラインに沿って受信ビームフォーミングを行い、
前記特徴量検出部は、前記受信ビームフォーミングの後の受信信号について処理を行って前記特徴量を求めることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項6】
請求項3に記載の超音波撮像装置であって、前記特徴量検出部は、前記特徴量として、前記受信信号の中心周波数の深度方向における変化、前記受信信号の透過帯域の深度方向における変化、所定の周波数区間内の最大振幅の深度方向の変化、および、パワーおよびエネルギーのいずれかの深度方向の変化、のうちの1以上を算出することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記被検体に照射される超音波は、前記被検体の深度方向に照射され、
1以上の前記受信信号処理用パラメータは、前記受信信号を処理する深度可変バンドパスフィルタの値を変化させるパラメータ、深度可変受信開口の値を変化させるパラメータ、および、深度可変音速の値を変化させるパラメータを含むことを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記被検体に照射される超音波は、前記被検体の深度方向に照射され、
前記画像処理用パラメータは、タイムゲインコントロールの値を変化させるパラメータであることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項9】
請求項2に記載の超音波撮像装置であって、前記制御部は、前記特徴量検出部の処理と、前記信号・画像処理部の処理とをパイプラン処理によって行わせ、前記特徴量検出部の処理を、前記信号・画像処理部りも前段の処理とし、前記特徴量から求めた、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を後段の前記信号・画像処理部のパラメータ値として設定することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項10】
請求項5に記載の超音波撮像装置であって、
前記特徴量検出部は、
前記受信信号から生成される前記画像の範囲内に深度方向に複数のROIを設定するROI決定部と、
前記特徴量検出部は、複数の前記ROI内の画像の生成に用いられる複数の前記スキャンラインの前記受信信号を抽出し、抽出した前記受信信号について、前記ROIの深度範囲に対応する深度に深度区間をそれぞれ設定する範囲算出部とを有し、
前記前処理部は、前記範囲算出部が設定した前記深度区間の受信信号を抽出した後、同じROI内の前記深度区間の受信信号を加算平均し、
前記周波数解析部は、前記加算平均の後の前記受信信号を周波数解析し、
前記深度方向分布算出部は、前記加算平均の後の前記受信信号の周波数解析結果に基づいて前記ROIの特徴量を算出することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項11】
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る受信部と、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する特徴量検出部と、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、生成した前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する信号・画像処理部と、
前記信号・画像処理部の1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる制御部と、
パラメータ値メモリとを有し、
前記制御部は、前記特徴量検出部が算出した前記特徴量に基づいて、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含み、
前記特徴量検出部は、前記受信信号の深度方向に変化する周波数成分の情報を求め、前記情報に基づいて前記特徴量を算出し、
前記特徴量検出部は、
前記受信信号を区切って複数の深度区間を設定し、前記複数の深度区間の受信信号を抽出する前処理部と、
前記前処理部が抽出した複数の深度区間の受信信号をそれぞれ周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部が解析した複数の前記深度区間の受信信号の周波数成分の示す情報から、予め定めておいた周波数成分の示す特徴の深度方向の変化を求め、特徴量として出力する深度方向分布算出部とを備え、
前記パラメータ値メモリには、前記特徴量の深度方向の変化の仕方に応じて予め定めておいた複数のタイプと、前記複数のタイプごとに予め定めておいた、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値とが、対応づけられて格納されており、
前記パラメータ決定部は、前記特徴量検出部が、前記受信信号について求めた前記特徴量の深度方向の変化が、前記複数のタイプのどのタイプに該当するかを判定するタイプ判定器と、判定したタイプに対応する、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータ値を、前記パラメータ値メモリから選択する選択部とを有することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項12】
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る受信部と、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する特徴量検出部と、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、生成した前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する信号・画像処理部と、
前記信号・画像処理部の1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる制御部とを有し、
前記制御部は、前記特徴量検出部が算出した前記特徴量に基づいて、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含み、
前記パラメータ決定部は、前記特徴量を保存する特徴量保存メモリと、前回またはそれ以前の前記特徴量を前記特徴量保存メモリから読み出して、今回前記特徴量検出部が算出した前記特徴量との差を算出する差算出部と、その差が予め定めた第1閾値よりも大きい場合、今回の前記特徴量を補正する特徴量補正部と、前記特徴量補正部が補正した前記特徴量を用いて対応するパラメータの値を予め定めたおいた、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータ値から選択する選択部とを有することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項13】
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る受信部と、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する特徴量検出部と、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、生成した前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する信号・画像処理部と、
前記信号・画像処理部の1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる制御部と、
送信部とを有し、
前記制御部は、前記特徴量検出部が算出した前記特徴量に基づいて、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含み、
前記送信部は、1以上の送信パラメータに基づいて送信信号を生成して前記超音波素子に出力し、前記超音波素子により超音波に変換させ、前記被検体に照射させ、
前記パラメータ決定部は、前記特徴量を保存する特徴量保存メモリと、前回またはそれ以前の前記特徴量を前記特徴量保存メモリから読み出して、今回前記特徴量検出部が算出した前記特徴量との差を算出する差算出部と、その差が予め定めた第2閾値よりも大きい場合、前記送信部の前記送信パラメータの値を、予め定めた送信パラメータ値から選択する選択部とを有することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項14】
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る受信部と、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する特徴量検出部と、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、生成した前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する信号・画像処理部と、
前記信号・画像処理部の1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる制御部とを有し、
前記制御部は、前記特徴量検出部が算出した前記特徴量に基づいて、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含み、
前記特徴量検出部は、前記受信信号の深度方向に変化する周波数成分の情報を求め、前記情報に基づいて前記特徴量を算出し、
前記特徴量検出部は、
前記受信信号を区切って複数の深度区間を設定し、前記複数の深度区間の受信信号を抽出する前処理部と、
前記前処理部が抽出した複数の深度区間の受信信号をそれぞれ周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部が解析した複数の前記深度区間の受信信号の周波数成分の示す情報から、予め定めておいた周波数成分の示す特徴の深度方向の変化を求め、特徴量として出力する深度方向分布算出部とを備え、
前記受信部は、前記複数の超音波素子が出力する受信信号を所定のスキャンラインに沿って受信ビームフォーミングを行い、
前記特徴量検出部は、前記受信ビームフォーミングの後の受信信号について処理を行って前記特徴量を求め、
前記特徴量検出部は、
前記受信信号から生成される前記画像の範囲内に深度方向に複数のROIを設定するROI決定部と、
前記特徴量検出部は、複数の前記ROI内の画像の生成に用いられる複数の前記スキャンラインの前記受信信号を抽出し、抽出した前記受信信号について、前記ROIの深度範囲に対応する深度に深度区間をそれぞれ設定する範囲算出部とを有し、
前記前処理部は、前記範囲算出部が設定した前記深度区間の受信信号を抽出した後、同じROI内の前記深度区間の受信信号を加算平均し、
前記周波数解析部は、前記加算平均の後の前記受信信号を周波数解析し、
前記深度方向分布算出部は、前記加算平均の後の前記受信信号の周波数解析結果に基づいて前記ROIの特徴量を算出し、
前記パラメータ決定部は、前記特徴量を保存する特徴量保存メモリと、前回またはそれ以前の前記特徴量を前記特徴量保存メモリから読み出して、今回前記特徴量検出部が算出した前記特徴量との差を算出する差算出部とを有し、
前記差が予め定めた第2閾値よりも大きい場合、前記ROI決定部は、前記ROIの設定領域および/または大きさを変更することを有することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項15】
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る受信部と、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する特徴量検出部と、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する信号・画像処理部と、
前記信号・画像処理部の1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる制御部と、
送信部とを有し、
前記制御部は、前記特徴量検出部が算出した前記特徴量に基づいて1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の前記画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含み、
前記送信部は、1以上の送信パラメータに基づいて送信信号を生成して前記超音波素子に出力し、前記超音波素子により超音波に変換させ、前記被検体に照射させ、
前記パラメータ決定部は、前記特徴量に基づいて、前記送信部が送信信号の生成に用いる前記送信パラメータのうち1以上のパラメータの値を設定する
ることを特徴とする信号処理装置。
【請求項16】
1以上の送信パラメータに基づいて送信信号を生成して音波素子に出力し、前記超音波素子により超音波に変換させ、検体に照射させる第1ステップと、
超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る第2ステップと、
前記被検体内を超音波が伝搬することに伴う前記超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、前記受信信号から算出する第3ステップと、
前記受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、前記画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する第4ステップとを有し、
前記第4ステップにおいて、1以上の前記受信信号処理用パラメータおよび1以上の画像処理用パラメータのうちの1以上のパラメータの値を、前記特徴量に基づいて定め、前記特徴量に基づいて、前記第1ステップにおいて前記送信信号の生成に用いる前記送信パラメータのうち1以上のパラメータの値を設定することを特徴とする信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波撮像装置の撮像パラメータの設定に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像装置を用いて医用超音波検査を行う際には,検査者が、患者や撮像部位に応じて、超音波探触子や撮像装置の撮像パラメータを適切な値に調整することによってはじめて診断に適切な画像を得ることができる。調整すべきパラメータは、多数あるため,撮像パラメータの設定のために時間がかかるとともに、検査の煩雑さが増す。検査時間を短縮し、検査の煩雑さを低減する目的で,あらかじめ撮像パラメータセットを用意しておき、接続した探触子に応じて適切なパラメータセットを自動選択する装置が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、あらかじめ登録されている患者データベースの患者の体重、体脂肪率、年齢、性別、体格および診断対象部位に基づいて、適切な撮像パラメータセットを自動選択する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-167116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際の患者の体内の組織や内臓の様態は、患者による差が大きい。また、検査者に依って、患者に対する探触子の押し当て方も異なる。さらに、同じ臓器であっても、検査したい内容によって、適切な画像が異なる。このため,従来の撮像の自動設定の技術によって、すべての患者、検査者および検査内容の組み合わせについて、診断に適切な画像を得ることは難しく、最終的には、検査ごとに撮像パラメータを手動で適切に設定する作業が必要となる。このパラメータの調整作業は,患者の様態や超音波の特性などを考慮しながら行う必要があり、知識と経験が要求される。
【0006】
また,医用超音波検査のビギナーにとっては、そもそも手動で装置の撮像パラメータを調整すること自体が困難な場合もある。
更に,手動で調整できるパラメータは,装置の持つ多数のパラメータのうち一部に限られる場合があり,内部的に決定されて可変できないパラメータも存在するため、診断に適した超音波画像を得ることに、限界が生じる。
【0007】
本発明は,検査ごとにパラメータの最適化を図りつつ、検査時間を短縮することができる超音波撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の超音波撮像装置は、受信部と、特徴量検出部と、信号・画像処理部と、制御部とを備える。受信部は、超音波の照射を受けた被検体からの超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号を受け取る。特徴量検出部は、被検体内を超音波が伝搬することに伴う減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、受信信号から算出する。信号・画像処理部は、受信信号に対して1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成し、生成した画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する。制御部は、信号・画像処理部の受信信号処理用パラメータおよび画像処理用パラメータの値を設定し、処理を実行させる。また、制御部は、特徴量検出部が算出した特徴量に基づいて受信信号処理用パラメータおよび画像処理用パラメータのうち1以上のパラメータの値を決定するパラメータ決定部を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,撮像対象の状態に合わせてリアルタイムにパラメータの最適化が行われ,検査時間を省きながら診断性能の高い画像を生成する超音波撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の超音波撮像装置100の全体構成を示すブロック図
図2】実施形態1の特徴量検出部10の構成を示すブロック図
図3】実施形態1のパラメータ決定部21とパラメータ値メモリ30の構成を示すブロック図
図4】実施形態1の信号処理装置101の各部の動作を示すフローチャート
図5】実施形態2の信号処理装置101の構成を示すブロック図
図6】実施形態2の信号処理装置101の動作を説明するフローチャート
図7】実施形態3のパラメータ決定部21の構成を説明するブロック図
図8】実施形態3の信号処理装置101の動作を説明するフローチャート
図9】実施形態4の超音波撮像装置100の構成を説明するブロック図
図10】実施形態4の超音波撮像装置の動作を説明するフローチャート
図11】実施形態5のユーザーからROIの選択を受け付ける画面例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の実施形態について説明する。
【0012】
音波は、伝搬過程で周波数依存減衰する特性があり、伝搬距離すなわち撮像深度(時刻)ごとに受信される超音波信号の特性が異なる。また、患者の様態や撮像部位によって,音波の伝搬する媒質(組織)の状態によって周波数依存減衰特性も異なるため、受信される超音波信号の特性も異なる。また、送信ビームをスキャンした場合には、送信ビームが照射される領域が変化するため、超音波信号の特性の時々刻々と変化する。
【0013】
発明者らは、これらの現象に着目し、超音波を受信した超音波素子から出力される時系列な受信信号の周波数依存減衰特性を解析することにより、網羅的かつ簡便に超音波が伝搬する組織の状態を把握する。その解析結果に応じて受信信号等の処理に用いるパラメータの値を設定する。これにより、検査ごとにパラメータの最適化を図りつつ、検査時間を短縮する。パラメータは,様々な被検体の状態を想定して予め複数用意し,その中から選択することで,網羅的かつ簡便にパラメータに基づく処理が可能となる。
【0014】
<<実施形態1>>
実施形態1の超音波撮像装置100について図面を用いて説明する。図1は、超音波撮像装置100の全体構成を示す。
【0015】
図1のように、超音波撮像装置100は、送信部102と、信号処理装置101と、入力装置等のユーザーインターフェース(UI)51と、表示装置50とを備えて構成される。超音波撮像装置100には、複数の超音波素子が配列されたアレイを備える超音波探触子108が接続されている。
【0016】
送信部102は、送信信号を生成して、超音波探触子108の複数の超音波素子に出力する。これにより、超音波素子は、送信信号を超音波に変換し、被検体120に照射する。ここでは、被検体120の深度方向に超音波を送信する例について説明する。
【0017】
照射された超音波は、被検体120内を伝搬しながら被検体120内の物体によって一部が反射・散乱等されることによって減衰する。減衰する超音波の周波数は、被検体120を構成する組織や組織に含まれる反射・散乱体のサイズ等よって異なるため、減衰特性は、超音波の周波数および被検体120を構成する組織によって異なる。反射・散乱された超音波は、進行方向を変えてさらに伝搬し、その一部が超音波探触子108の超音波素子に到達し、受信される。超音波素子によって被検体120内に照射されてから、反射・散乱等されて、再び超音波素子に到達して受信信号に変換されるまでに要する時間は、反射・散乱等された深度に依存する。また、信号振幅には、被検体120内の反射・散乱等した位置の反射強度・散乱強度等を反映している。
【0018】
よって、被検体120で反射・散乱等された超音波を受信した複数の超音波素子が時系列に出力する受信信号には、反射・散乱等された深さの情報と、被検体120内の反射・散乱等した位置の反射強度・散乱強度等の情報が含まれる。これらの情報を用いて、信号処理装置101は、画像を生成する。
【0019】
さらに、受信信号には、上述したように被検体120を構成する組織によって異なる周波数依存減衰特性の情報が含まれている。信号処理装置101は、この周波数依存減衰特性を検出して、受信信号を処理する際のパラメータや、生成した画像を処理する際のパラメータを設定する。これにより、被検体120内の様態や撮像部位に適したパラメータを設定する。以下、信号処理装置101内での処理を具体的に説明する。
【0020】
信号処理装置101は、受信部104と、特徴量検出部10と、信号・画像処理部40と、制御部20と、パラメータ値メモリ30とを備えて構成される。
【0021】
受信部104は、超音波探触子108の複数の超音波素子から受信信号をそれぞれ受け取ってサンプリングし、デジタル信号に変換する。その後、受信部104は、超音波素子ごとの受信信号を予め定めた遅延時間で遅延させた後加算する等して、所定のスキャンラインに沿って受信ビームフォーミングを行う。受信部104は、受信ビームフォーミングを複数のスキャンラインについてそれぞれ行って、各スキャンラインについて受信ビームフォーミング後の受信信号を生成する。
【0022】
特徴量検出部10は、被検体内を超音波が伝搬することに伴う超音波の減衰の周波数依存特性を示す特徴量を、素子ごとの受信信号,もしくは特定のスキャンライン上の受信ビームフォーミング後の受信信号から算出する。
【0023】
信号・画像処理部40は、受信ビームフォーミング後の受信信号に対して、1以上の受信信号処理用パラメータを用いて所定の処理を実行して画像を生成した後、生成した画像を1以上の画像処理用パラメータを用いて画像処理する。
【0024】
制御部20は、信号・画像処理部40が処理に用いる受信信号処理用パラメータおよび画像処理用パラメータのうち1以上の値を設定し、処理を実行させる。このとき、制御部20は、特徴量検出部10が算出した特徴量を受け取って、これに基づいて受信信号処理用パラメータおよび画像処理用パラメータのうち1以上のパラメータの値を定めるパラメータ決定部21を備えている。
【0025】
図2を用いて、特徴量検出部10の構成についてさらに説明する。以下、特徴量検出部10が、受信ビームフォーミング後の受信信号を処理することにより特徴量を算出する例について説明するが、受信ビームフォーミング前の超音波素子ごとの受信信号について特徴量を算出してもよい。
【0026】
特徴量検出部10は、時系列データ前処理部11と、周波数解析部12と、深度方向分布算出部13とを備えている。
【0027】
時系列データ前処理部11は、受信部104が所定のスキャンラインに沿って受信ビームフォーミングした受信信号を受信部104から受け取って、所定の深度(時間)範囲の信号を抽出し、ノイズ除去等を行う。
【0028】
時系列データ前処理部11は、時系列データ前処理部11から受け取った受信信号の深度(時間)方向に,あらかじめ決められた間隔と幅で区切り、複数の深度区間(例えば深度区間A,B,C)を設定する。
【0029】
周波数解析部12は、各深度区間(A,B,C)における受信信号に対してそれぞれフーリエ変換等の処理を行うことにより,深度方向に変化する周波数成分の情報を算出する。
【0030】
深度方向分布算出部13は、周波数解析部12が求めた深度方向に変化する周波数成分の情報から、予め定めておいた周波数成分の示す特徴の深度方向の変化を求め、特徴量として出力する。例えば、特徴量として、受信信号の中心周波数の深度(時間)方向の変化、受信信号の透過帯域の深度(時間)方向の変化、および、規定の周波数区間内の最大振幅の深度(時間)方向の変化、パワーおよびエネルギーのいずれかの深度(時間)方向の変化等を算出する。図2の例では、深度方向分布算出部13は、特徴量1として、受信信号の中心周波数の深度方向の変化を、特徴量2として、周波数f1(例えば1.5MHz)から周波数f2(例えば5.5MHz)の周波数区間内の最大振幅の深度方向の変化を算出する。
【0031】
図3を用いて、パラメータ決定部21とパラメータ値メモリ30の構成について説明する。受信信号処理用パラメータとしては、例えば、受信信号を処理する、深度可変バンドパスフィルタ、深度可変受信開口、および、深度可変音速のうちの1以上の値を変化させるパラメータが挙げられる。また、画像処理用パラメータとしては、タイムゲインコントロールが挙げられる。
【0032】
パラメータ値メモリ30内には、深度方向分布算出部13が算出する特徴量について、深度方向の変化の仕方の異なる複数のタイプが予め設定され、特徴量ごとに格納されている。例えば、図3のように、特徴量1(受信信号の中心周波数の深度方向の変化)には、中心周波数の深度方向の変化量(傾斜や段差の有無)の異なるタイプ1~3が設定されている。特徴量2(周波数f1から周波数f2の区間内の最大振幅の深度方向の変化)には、最大振幅の変化量(傾斜)の異なるタイプ1~4が設定されている。
【0033】
パラメータ値メモリ30内には、特徴量1,2の複数のタイプごとに、信号処理用パラメータまたは画像処理用パラメータの予め定めた値が、対応づけられて格納されている。
【0034】
例えば、図3に示す例では、特徴量1(受信信号の中心周波数の深度方向の変化)のタイプ1~3には、信号処理用パラメータである深度可変バンドパスフィルタの透過帯域を深度方向に変化させるパラメータ1の値がそれぞれ対応づけられている。具体的には図3の例では、特徴量1のタイプ1,2,3ごとに、深度可変バンドパスフィルタの-6dB透過帯域の上限値と下限値の周波数を深度方向に変化させるパラメータ1の値が予め定められている。パラメータ1の値は、タイプ1,2,3にそれぞれ対応づけられてパラメータ値メモリ30に格納されている。
【0035】
また、特徴量2(周波数f1から周波数f2の区間内の最大振幅)のタイプ1~4には、画像処理用パラメータであるタイムゲインコントロールの増幅率を深度(時間)方向に変化させるパラメータ2の値がそれぞれ予め定められている。パラメータ2の値は、タイプ1~4にそれぞれ対応づけられてパラメータ値メモリ30に格納されている。
【0036】
さらに詳しく説明すると、パラメータ値メモリ30内のパラメータの値は、図3に示すよう、特徴量の深度方向分布(時間方向の変化)のタイプごとに対応づけられている。例えば、特徴量1(受信信号の中心周波数の深度方向の変化)は、中心周波数が深度の経過とともに階段状に低下していくタイプ1と、滑らかに低下していくタイプ2と、一定勾配で低下するタイプ3の3種類が設定されている。タイプ1~3のそれぞれに、異なるパラメータ1(深度可変バンドパスフィルタの透過帯域の深度変化)が割り当てられている。また、特徴量2(周波数f1から周波数f2の区間内の最大振幅)には、深度方向の減衰の傾斜量が異なるタイプ1~4が設定され、それぞれにタイムゲインコントロールの増幅率を深度方向に増加させる傾斜量の異なるパラメータ2の値が割り当てられている。
【0037】
パラメータ決定部21は、図3に示すように、特徴量の種類ごとにタイプ判定器26-1,26-2等と選択部24-1,24-2等を備える。タイプ判定器26-1,26-2等は、特徴量検出部10が検出した特徴量が、パラメータ値メモリ30に格納されている特徴量の複数のタイプのいずれに該当するかを判定する。選択部24-1,24-2等は、判定したタイプに対応するパラメータの値を選択することにより、特徴量を抽出した受信信号の処理に適切なパラメータの値を求めることができる。
【0038】
具体的には、タイプ判定器26-1,26-2等は,特徴量の深度方向分布と、パラメータ値メモリ30に予め格納されている特徴量の深度方向分布の複数のタイプを比較して,もっとも適したタイプを判定する。タイプ判定器26-1,26-2等によるタイプの判定方法としては、例えば、特徴量検出部10から受け付けた特徴量の深度方向分布と,複数のタイプの特徴量の深度推移の曲線の一致度の高いものを解析的に選ぶ方法を用いる。また、例えば,予め設定されたタイプ分けルールに従って決定する方法が実装されたプログラムなどに従って選択する方法を用いることもできる。また,特徴量の深度方向分布を入力データとし、それに対応するタイプを正解データとする学習データセットを用いて、機械学習により学習させた学習モデルをタイプ判定器として用いることも可能である。
【0039】
また、本実施形態の信号処理装置101では、特徴量検出部10の処理と、信号・画像処理部40の処理とをパイプラン処理によって行う構成としている。そして、特徴量検出部10の処理を、信号・画像処理部40よりも前段の処理としている。これにより、特徴量検出部10が、ある受信信号について検出した特徴量からパラメータ決定部21が求めたパラメータの値を、制御部20が後段の信号・画像処理部のパラメータ値として設定し、その受信信号の処理に用いることができる。
【0040】
これにより、制御部20は、受信信号の特徴量をリアルタイムに信号・画像処理部40による画像の生成に反映させることができる。よって、信号・画像処理部40は、その受信信号が得られた被検体120の部位の態様に適したパラメータを用いて、診断に適した画像を生成することができる。
【0041】
具体的には、信号・画像処理部40は、図1に示したように、受信信号を処理して画像を生成する信号処理部41と、生成された画像を処理する画像処理部42とを含む。制御部20は、特徴量検出部10と、信号処理部41と、画像処理部42にそれぞれ制御信号を出力して、並行して処理を実行させるパイプライン処理を実行する。これにより、制御部20は、特徴量検出部10に特徴量の検出を指示し、特徴量を受け取ってパラメータ決定部21により、その特徴量に対応する信号処理用パラメータと、画像処理用パラメータとをそれぞれ決定する。そして、制御部20は、受信信号が特徴量検出部10から信号処理部41に受け渡されるタイミングで、信号処理用パラメータと信号処理を指示する制御信号とを信号処理部41に出力する。さらに制御部20は、信号処理部41が生成した画像が、画像処理部42に受け渡されるタイミングで、画像処理用パラメータと画像処理を指示する制御信号を画像処理部42に出力する。
【0042】
次に、図4のフローチャートを用いて、信号処理装置101の各部の動作を説明する。ここでは、信号処理装置101は、ハードウエアにより構成することができる。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて、各部の機能を実現するように回路設計を行えばよい。また、信号処理装置101の一部および全部をソフトウエアでその機能を実現することも可能である。その場合、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーと、メモリとを備えたコンピュータ等によって信号処理装置101の一部または全部を構成し、CPUが、メモリに格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、それらの機能を実現する。
【0043】
送信部102が送信信号を超音波探触子108の複数の超音波素子に出力すると、超音波探触子108が超音波を被検体120に送信する。被検体120内を伝搬しながら被検体120内で一部が反射・散乱等され、超音波は周波数依存減衰する。反射・散乱等した超音波は、超音波素子に到達し、受信信号に変換され、超音波素子は、時系列な受信信号を出力する。
【0044】
(ステップS501)
受信部104は、超音波素子から時系列な受信信号を受け取り、予め定めたスキャンラインに沿って受信ビームフォーミングを行う。
【0045】
(ステップS502)
時系列データ前処理部11は、受信ビームフォーミング後の受信信号データの所定の深度(時間)範囲を抽出し、予め定めておいた間隔と幅で複数の深度区間(例えば区間A,B,C)を設定する。
【0046】
(ステップS503)
周波数解析部12は、各区間(A,B,C)における受信信号を周波数解析し、深度区間ごと(深度ごと)に変化する周波数成分の情報について求める。
【0047】
(ステップS504)
深度方向分布算出部13は、深度区間ごと(深度ごと)に変化する周波数成分の情報から、予め定めた1以上の特徴量を算出する。ここでは、特徴量検出部10は、特徴量1として、受信信号の中心周波数の深度(時間)方向の変化を算出し、特徴量2として、予め定めた周波数Aから周波数Bの周波数区間の最大振幅を算出する(図2参照)。
【0048】
(ステップS505)
パラメータ決定部21のタイプ判定器26-1,26-2は、特徴量検出部10から特徴量1おおよび特徴量2を受け取って、特徴量の種類(特徴量1,特徴量2)ごとに、予め定めておいたタイプのいずれに該当するか判別する。
【0049】
(ステップS506)
選択部24-1,24-2等は、特徴量の種類(特徴量1,特徴量2)ごとに、判別したタイプに対応するパラメータの値を、パラメータ値メモリ30から読み出し、特徴量に対応するパラメータの値として決定する(図4参照)。これをすべての特徴量1,2について行うことにより、例えば、特徴量1から深度可変バンドパスフィルタの透過帯域を深度(時間)方向に変化させるパラメータ1の値を決定する。特徴量2から、タイムゲインコントロールの増幅率を深度(時間)方向に変化させるパラメータ2の値を決定する。
【0050】
制御部20は、パラメータ決定部21が決定したパラメータのうち、特徴量1のタイプに基づいて決定した受信信号処理用のパラメータの値(深度可変バンドパスフィルタの透過帯域を深度方向の変化)を信号処理部41に設定する。また、制御部20は、特徴量2のタイプに基づいて決定した画像処理用のパラメータの値(タイムゲインコントロールの増幅率の深度方向の変化)を画像処理部42に設定する。なお、制御部20は、パラメータ1,2以外の受信信号処理に必要なパラメータの値は、予め定めた値、もしくは、操作者が設定した値を設定する。
【0051】
(ステップS507)
信号処理部41は、ステップS506で設定されたパラメータ1(深度可変バンドパスフィルタの透過帯域)により、受信ビームフォーミング後の受信信号を深度ごとに設定された周波数帯域のみを透過させるフィルタ処理を行う。処理後の受信信号は、画像処理部42に出力する。
なお、深度可変バンドパスフィルタ処理は,各スキャンラインの受信信号について特徴量1を算出して、パラメータ1を決定し、決定したパラメータ1によってその受信信号を処理してもよい。深度可変バンドパスフィルタ処理は,1つのスキャンラインの受信信号について特徴量1を算出してパラメータ1を決定し、そのパラメータ1によって、フレームを生成するのに使われる全スキャンラインの受信信号に同一の深度可変バンドパスフィルタ処理を行ってもよい。
【0052】
(ステップS508)
画像処理部42は、受け取ったスキャンラインごとの受信ビームフォーミング後の信号を並べて1フレームの画像を生成する。画像処理部42は、ステップS506で設定された画像処理用のパラメータ2(タイムゲインコントロールの増幅率の深度方向の変化)によって、生成した画像の画像処理を行う。具体的には、画像処理部42は、パラメータ2として設定されたタイムゲインコントロールの増幅率により、生成した画像を処理する。
【0053】
パラメータ決定部21が特徴量から画像処理用パラメータを決定していない場合には、制御部20は、画像処理部42に画像生成を指示する制御信号のみを出力する。画像処理部42は、受け取ったスキャンラインごとの受信ビームフォーミング後の信号を並べて1フレームの画像を生成した後、予め定めたられたパラメータの値を用いて画像処理を行う。
【0054】
いずれの場合も、画像処理部42は、生成した画像を表示装置50に出力し、表示させる。
【0055】
本実施形態によれば,被検体120の深さ方向の情報を反映した時系列な受信信号データを使って、特徴量の深度方向分布を得ることにより、網羅的かつ簡便に受信信号の状態を把握することができる。よって、特徴量の深度方向分布を用いることにより、患者・撮像部位の特性に対応したパラメータの値を決定するとすることでる。
【0056】
また,本実施形態の超音波撮像装置は,複数の処理をパイプライン処理で実施しているため、上流の受信信号から,最適化の必要なパラメータに対して最適値を求め,それより後段の処理に対し同時に最適化できる。これにより、超音波撮像装置は、フレーム毎に最適な撮像パラメータを使用した診断画像を提供できる。したがって,撮像対象の状態に合わせてリアルタイムにパラメータの最適化が行われ,検査時間を省きながら,診断性能の高い画像を提供することができる。
【0057】
なお、送信部102は、1以上のパラメータに基づいて送信信号を生成する構成としてもより。この場合、制御部20のパラメータ決定部21は、特徴量検出部10が算出した特徴量の深度方向分布に基づいて、送信部102のパラメータの値を決定してもよい。
【0058】
<<実施形態2>>
本発明の実施形態2の超音波撮像装置について図5および図6を用いて説明する説明する。図5は、特徴量検出部10を中心に信号処理装置101の構成を説明する図であり、図6は、信号処理装置101の動作を説明するフローチャートである。
【0059】
実施形態2の超音波撮像装置は、実施形態1と同様の構成であるが、ROI(Region of Interest)を設定し、ROI内の画像生成に用いられる受信ビームフォーミング後の受信信号から特徴量の深度方向分布を算出する点が実施形態1とは異なっている。患者特性が表れている領域にROIを設定することにより、患者特性が表れている領域に適したパラメータ値を設定することが可能になる。以下、実施形態1の超音波撮像装置とは、異なる点を中心に説明する。
【0060】
図5に示すように、特徴量検出部10は、実施形態1の特徴量検出部10の構成に加えてROI決定部15と、時系列データ範囲算出部16とを備えている。ROI決定部15は、ユーザから受け付けた情報を元に,特徴量を検出するROI17を決定する。時系列データ範囲算出部16は、決定されたROI17から,各スキャンラインの受信ビームフォーミング後の受信信号に深度区間を設定する。
【0061】
図6のフローを用いて実施形態2の超音波撮像装置の動作について説明する。図6のフローは、図4のフローのステップS501とステップS502との間に、ステップS601およびS602が追加され、ステップS508の後にステップS603が追加されている。図4と異なるステップを中心に説明する。
【0062】
(ステップS501)
受信部104は、超音波素子から時系列な受信信号を受け取り、予め定めたスキャンラインに沿って受信ビームフォーミングを行う。
【0063】
(ステップS601)
ROI決定部15は,UI51および制御部20を介してユーザーが選択した領域に,特徴量を検出するROI17を決定する。例えば,ユーザーが被検者の特性が現れている代表領域(特定の深度およびサイズ)を選択し,その選択した領域を含む,撮像領域の最浅部から最深部の領域を自動的に決定し,ROI17を決定する。また,ROI17内には、特徴量を検出するに適切な深度幅で小さいROI(図5の例ではROI17a~17c)を決定する。なお,代表領域は,予め定めておいた位置(例えば画像の中央)およびサイズとしてもよい。
【0064】
(ステップS602)
時系列データ範囲算出部16は,ROI決定部15が決定した各ROI17a~17cの横方向(方位方向)に含まれるN本のスキャンラインの受信信号を抽出し、複数のスキャンラインの受信信号の各ROI17a~17cの深度範囲に対応する深度の範囲に、それぞれ深度区間を設定する。すなわち、ROI17a~17cの深さ方向(縦方向)の範囲は時系列データの深度区間に反映され,ROIの横方向(方位方向)の範囲は、スキャンラインの本数に反映される。
【0065】
(ステップS502)
時系列データ前処理部11は、ステップS602においてN本のスキャンラインの受信信号にそれぞれ設定された、ROI17a~17cに対応する複数の深度区間内の信号を抽出する。さらに時系列データ前処理部11は、N本のスキャンラインの受信信号のROI17a~17cに対応する深度区間の受信信号を、スキャンライン方向に平均加算する。すなわち、N本のスキャンラインの受信信号から同じROI17aの深度区間について抽出された受信信号を加算平均することにより、ノイズを除去する。これをROI17b,17cについてもそれぞれ行う。加算平均処理後の受信信号(図5の例では,信号18a、18b、18c)を周波数解析部12に送る。
【0066】
(ステップS503~S506)
ステップS503~S506は、実施形態1と同様に、周波数解析部12が、深度区間ごとに加算平均後の受信信号の周波数解析を行い、特徴量検出部10が特徴量1,2を算出し、パラメータ決定部21がパラメータ1,2を決定する。
【0067】
(ステップS507~S508)
ステップS503~S506は、ROI17に対応する受信信号だけでなく、画像全体の受信信号に対して、決定されたパラメータ1,2の値を用いて信号処理と画像処理を行って、画像を生成する。制御部20は、生成した画像を表示装置50に表示する。
【0068】
(ステップS603)
制御部20は、生成した画像を見たユーザーに対して、ROI17の位置や大きさの変更をするかどうかを尋ねる画面を表示装置50に表示する等して、ユーザーに確認する。ユーザーがUI51を介して、ROI17の変更を選択した場合には、ステップS602に戻って、ROI17の位置やサイズを変更する。変更後のROI17に基づきステップS502~S508が再び実行される。
【0069】
実施形態2の超音波撮像装置によれば、スキャン範囲全体の受信信号の中から、患者特性が表れている代表的な領域に設定したROI17の受信信号のみを特徴量の検出に用いることで,安定した特徴量のデータの検出が可能となり、パラメータの値を安定して決定することができる。
【0070】
<<実施形態3>>
本発明の実施形態3の超音波撮像装置について図7および図8を用いて説明する説明する。図7は、実施形態3のパラメータ決定部21の構成を説明する図であり、図8は、信号処理装置101の動作を説明するフローチャートである。
【0071】
実施形態3の超音波撮像装置は、実施形態1と同様の構成であるが、パラメータ決定部21は、特徴量保存メモリ25と、差算出部22と、特徴量補正部23と、タイプ判定器26と、選択部24を有する。特徴量保存メモリ25は、過去の特徴量の深度方向分布を保存する。差算出部22は、現在と過去の特徴量の深度方向分布を比較して差を算出する。特徴量補正部23は、差が大きい場合に現在の特徴量の深度方向分布を過去の特徴量の深度方向分布から極端に変化しないデータに補正する。
【0072】
図8のフローを用いて実施形態3の超音波撮像装置の動作について説明する。図8のフローは、図4のフローのステップS541とステップS505との間に、ステップS901~S904が追加されている。以下、図4と異なるステップを中心に説明する。
【0073】
(ステップS501~S504)
受信部104は、超音波素子から時系列な受信信号を受け取り、特徴量検出部10の予め定めた特徴量1,2の深度方向分布を算出する。
【0074】
(ステップS901)
特徴量検出部10は、今回算出した特徴量1,2の深度方向分布データを特徴量保存メモリ25に保存する。
【0075】
(ステップS902,S903)
差算出部22は、前回またはそれ以前の特徴量1,2の深度方向分布を特徴量保存メモリ25から読み出して、今回の特徴量検出部10が算出した特徴量1,2の深度方向分布との差を算出する。差算出部22はその差が予め定めた第1閾値以上かどうか判定する。差算出部22は、その差が予め定めた第1閾値以上の特徴量がある場合、ステップS904に進む。差が予め定めた第1閾値未満の場合、ステップS505に進む。
【0076】
(ステップS904)
特徴量補正部23は、差が第1閾値以上の特徴量1および/または特徴量2の今回の深度方向分布を、前回以前の特徴量の深度方向分布に近づける補正をする。例えば、今回の深度方向分布の分布曲線と前回の分布曲線の平均値をとって,今回の特徴量の深度方向分布を補正する。
【0077】
(ステップS505)
パラメータ決定部21のタイプ判定器26は、実施形態1のタイプ判定器26-1,26-2と同様に、特徴量検出部10から特徴量を受け取って、特徴量の種類ごとに、予め定めておいたタイプのいずれに該当するか判別する。
【0078】
(ステップS506)
選択部24は、実施形態1の選択部24-1,24-2等と同様に、該当するタイプに対応するパラメータの値を、パラメータ値メモリ30から読み出し、特徴量1、2に対応するパラメータ1,2の値として決定する(図4参照)。
【0079】
上記ステップS901~904、S505およびS506は、特徴量ごとに行う。
【0080】
制御部20は、パラメータ決定部21が決定したパラメータ値1,2を信号処理部41および/または画像処理部42に設定する。
【0081】
(ステップS507、S508)
ステップS507およびS508は、実施形態1と同様に行って、画像を生成する。画像処理部42は、生成した画像を表示装置50に出力し、表示させる。
【0082】
実施形態3の超音波撮像装置は、特徴量の深度方向分布が大きく変化し、パラメータ値がフレーム間で大きく変化することを抑制できるため、生成されるフレーム間の画像の連続性を保ち,診断しやすい動画を生成することができる。
【0083】
なお、実施形態3では、特徴量の深度方向分布を特徴量保存メモリ25に格納して、前回以前と今回の特徴量の深度方向分布の差を算出したが、決定したパラメータ値をメモリに格納して、前回以前と今回のパラメータ値の差を算出してもよい。この場合も、パラメータ値がフレーム間で大きく変化することを抑制できるため、生成されるフレーム間の画像の連続性を保ち,診断しやすい動画を生成することができる。
【0084】
<<実施形態4>>
本発明の実施形態4の超音波撮像装置について図9および図10を用いて説明する説明する。図9は、実施形態4の超音波撮像装置100の構成を説明する図であり、図10は、超音波撮像装置の動作を説明するフローチャートである。
【0085】
実施形態4の超音波撮像装置100は、実施形態2の構成の特徴量検出部10と、実施形態3の構成のパラメータ決定部21とを備えている。また、実施形態4の送信部102は、1以上のパラメータに基づいて送信信号を生成して超音波探触子の超音波素子に出力する。さらに、制御部20は、変更対象選択部60を備えている。
【0086】
パラメータ決定部21は、差算出部22が、実施形態3と同様に、前回またはそれ以前の特徴量を特徴量保存メモリ25から読み出して、今回、特徴量検出部10が算出した特徴量との差を算出する。その差が予め定めた第2閾値よりも大きい場合、制御部20は、送信部102のパラメータの値または、ROI17の設定領域および/または大きさを変更する。変更対象選択部60は、送信部102のパラメータ値を変更するか、ROI17を変更するかを、ユーザーからUI51を介して受け付けた指示等に基づいて選択する。
【0087】
図10のフローを用いて実施形態3の超音波撮像装置の動作について説明する。図10のフローは、実施形態3の図8のフローのステップS501とステップS502との間に、実施形態2の図6のステップS601とS602が追加されている。また、図8のフローのステップS501の前に送信のステップS1001が追加され、ステップS902とステップS903の間に、判定のステップS1002がさらに追加され、このステップS1002からステップS1001へステップS100、S1004を介して戻るループが追加されている。以下、図8と異なるステップを中心に説明する。
【0088】
(ステップS1001)
送信部102は、1以上のパラメータに基づいて送信信号を生成し、超音波探触子108の超音波素子に出力に出力する。超音波素子は、送信信号を超音波に変換し、被検体120に照射する。
【0089】
(ステップS501)
受信部104は、超音波素子から時系列な受信信号を受け取る。
【0090】
(ステップS601)
ROI決定部15は、実施形態2と同様に、受信信号から信号・画像処理部40が生成する1フレームの画像もしくは画像の範囲を演算により求める。
(ステップS602)
ROI決定部15は、画像の範囲内にROI17を設定する。ROI17を設定する領域は、予め定めておいた位置(例えば画像の中央)およびサイズであってもよいし、UI51を介してユーザーから受け付けた領域でもよい。
【0091】
(ステップS502~S504)
特徴量検出部10は、ROI17内の画像生成に用いられる受信信号から、予め定めた1以上の特徴量の深度方向分布を算出する。
【0092】
(ステップS901)
特徴量検出部は、今回算出した特徴量の深度方向分布データを特徴量保存メモリ25に保存する。
【0093】
(ステップS902)
差算出部22は、前回またはそれ以前の特徴量の深度方向分布を特徴量保存メモリ25から読み出して、今回特徴量検出部10が算出した特徴量の深度方向分布との差を算出する。
【0094】
(ステップS1002)
差算出部22は、その差が予め定めた第2閾値以上の場合、特徴量が前フレームから大きく変化しているので、ステップS1003に進む。
【0095】
(ステップS1003)
変更対象選択部60は、特徴量の大きな変化に対応するため、送信部102のパラメータ値を変更するか、または、ROI17を変更するかをユーザーに選択するように促し、ユーザによる選択をUI51を介して受け付ける。なお、ユーザーから選択を受け付ける以外に、変更対象選択部60が、送信部102のパラメータ値の変更またはROI17の変更の一方を選択してもよい。
【0096】
変更対象選択部60は、ROI17の変更を選択した場合、ステップS602に戻り、ROI17の位置や大きさを変更した後、ステップS502以降に進む。
【0097】
このように、ROI17の位置や大きさを変更することにより、患者特性のあらわれた領域にROI17を設定して特徴量の検出をやり直すことができる。
【0098】
一方、変更対象選択部60は、ROI17の変更を選択しなかった場合、すなわち、送信部102のパラメータ値を選択した場合、ステップS1004に進む。
【0099】
(ステップS1004)
ステップS1004において、選択部24は、ユーザーの選択もしくは自動的に送信に用いるパラメータ値をパラメータ値メモリ30から選択し、変更対象選択部60に出力する。例えば、送信周波数帯域を狭め、狭周波数帯域の送信信号を送信することにより、受信信号に含まれるノイズを低減する。また,より低い中心周波数の送信波形を使った送信ビームを送信することで,受信信号の振幅を向上させる。これにより,受信信号の信号対雑音比が向上し,特徴検出の精度が向上する。
【0100】
変更対象選択部60は、送信部102にパラメータ値を送信部102に設定し、ステップS1001に戻る。
【0101】
これにより、ステップS1001において、送信部102は、変更対象選択部60から設定されたパラメータ値を用いて送信信号を生成して、超音波探触子108に出力し、送信を行う。
【0102】
これにより、患者特性が受信信号に表れやすい送信ビームに切り替えて、特徴量の検出ができる。
【0103】
(ステップS1002)
上述のステップS1002において、差算出部22は、その差が予め定めた第2閾値未満の場合、ステップS903に進む。
【0104】
(ステップS903、S904)
差算出部22は、ステップS902で算出した差が、予め定めた第1閾値以上第2閾値未満かどうかを判定する。第1閾値以上第2閾値未満の場合、差算出部22は、ステップS904に進み、実施形態3と同様に、今回の特徴量の深度方向分布を前回以前の特徴量の深度方向分布に近づける補正をした後、ステップS505に進む。
【0105】
差算出部22は、ステップS902で算出した差が、予め定めた第1閾値未満の場合、そのままステップS505に進む。
【0106】
(ステップS505~S508)
実施形態1~3と同様に、パラメータ決定部21は、特徴量検出部10が算出した特徴量の深度方向分布に基づいてパラメータの値を決定する。そのパラメータ値を用いて、信号処理部41および画像処理部42は、画像を生成し、画像処理を行う。画像処理部42は、生成した画像を表示装置50に出力し、表示させる。
【0107】
実施形態4の超音波撮像装置は、特徴量の深度方向分布が極端に大きく変化した場合、送信パラメータを変化させて送信ビームを切り替える。もしくは、ROI17の位置やサイズを変化させることにより、被検体の特性が特徴量の深度方向分布に現れやすくすることができる。よって、被検体の特徴量の検出の精度が高め、ロバスト性のより高い方法で特徴量検出が行うことができ、安定した深度方向分布の検出が可能となる。
【0108】
<<実施形態5>>
実施形態5として、表示装置50に表示する画面の例について図11を用いて説明する。図11の画面は、実施形態2および実施形態4のステップS601において、ROI決定部15がROI17の決定のために,表示装置50に表示する画面の例である。ROI決定部15は、ユーザーは、図11の画面上で操作を行うことにより、特徴量のタイプと代表ROIの位置を選択することができる。
【0109】
撮像中の受信信号に基づいてタイプ判定された結果をタイプ選択画面152に表示し,ユーザーは超音波画像とその判定結果を照らし合わせて,判定結果に基づいて適用されているパラメータの適正度の判断を行うことができる。より診断に適した超音波画像を描画するために,ユーザーは,タイプ選択画面152のカーソルを移動させ,別の判定タイプによるパラメータを適用した画像を見ることができる。またユーザーは,患者特性が表れている代表的な領域に代表ROIを,ROI選択画面151のカーソルを移動させ、OKボタン53を押下することで選択できる。図11の例のように,番号とROIの大きさが予め対応づけられているものから選択する方法や,操作パネルを使って領域を手動で囲む方法でもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 特徴量検出部
11 時系列データ前処理部
12 周波数解析部
13 深度方向分布算出部
15 ROI決定部
16 時系列データ範囲算出部
17 ROI
17a,17b、17c ROI
18a,18b,18c 信号
20 制御部
21 パラメータ決定部
22 差算出部
23 特徴量補正部
24 選択部
24-1,24-2 選択部
25 特徴量保存メモリ
26-1,26-2 タイプ判定器
30 パラメータ値メモリ
40 信号・画像処理部
41 信号処理部
42 画像処理部
53 OKボタン
50 表示装置
51 UI(ユーザーインターフェース)
60 変更対象選択部
100 超音波撮像装置
101 信号処理装置
102 送信部
104 受信部
108 超音波探触子
120 被検体
151 ROI選択画面
152 タイプ選択画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11