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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20240918BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B24B7/04 A
B24B45/00 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020042840
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021142603
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 宏
(72)【発明者】
【氏名】浦山 孝世
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-058068(JP,A)
【文献】特開2013-158871(JP,A)
【文献】特開2011-131291(JP,A)
【文献】特開2000-079544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-7/30
B24B21/00-51/00
B24D3/00-99/00
B23Q3/155-3/157
H01L21/301;21/78
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持手段に保持された被加工物を研削する研削装置であって、
円環状の粗砥石と該粗砥石と同心の円環状の第1仕上げ砥石との中心を回転軸とし、該回転軸の軸方向に該粗砥石と該第1仕上げ砥石とを相対的に進退させて、該被加工物に対して該粗砥石または該第1仕上げ砥石を選択的に接近させる切換機構を備える複合研削手段と、
円環状の第2仕上げ砥石を備える仕上げ研削手段と、
該粗砥石を交換すべき砥石の残り厚さを設定する粗砥石交換設定部と、
該第1仕上げ砥石を交換すべき砥石の残り厚さを設定する第1仕上げ砥石交換設定部と、
該第2仕上げ砥石を交換すべき砥石の残り厚さを設定する第2仕上げ砥石交換設定部と、
該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石を用いて予め行われた被加工物のテスト研削により得られた、1枚の被加工物を所定の厚みまで研削したときの該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の消耗量がそれぞれ記憶されている消耗量認識部と、
該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の研削開始前の残量から、前記消耗量認識部により認識される該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の消耗量をそれぞれ差し引くことにより、該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の残量を検知する砥石残量検知部と、
該砥石残量検知部によって検知された該粗砥石の残量が該粗砥石交換設定部に設定された粗砥石の交換すべき残り厚さになったときに、該砥石残量検知部によって検知された該第1仕上げ砥石の残量が該第1仕上げ砥石交換設定部に設定された該第1仕上げ砥石の交換すべき残り厚さになるとともに、該砥石残量検知部によって検知された該第2仕上げ砥石の残量が該第2仕上げ砥石交換設定部に設定された該第2仕上げ砥石の交換すべき残り厚さになるように、該粗砥石による粗研削量と、該第1仕上げ砥石による仕上げ研削量と、該第2仕上げ砥石による仕上げ研削量と、を制御する制御手段と、
を備える研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削砥石を用いて保持手段によって保持された被加工物を研削する研削装置は、特許文献1、2に開示のように粗砥石を用いて被加工物を所定の第1厚みに粗研削した後、仕上げ砥石を用いて被加工物を第1厚みより薄い第2厚みに研削している。
【0003】
上記のような2つの種類の砥石を用いて研削する研削加工においては、粗砥石より仕上げ砥石の消耗が大きいため、仕上げ砥石を頻繁に交換している。そして、仕上げ砥石の交換作業を行うには、研削加工を停止させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開1995-130692号公報
【文献】特開2007-335458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、研削加工が中断され生産性が低下するという課題がある。
従って、生産性を低下させずに砥石の交換を可能とするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保持手段に保持された被加工物を研削する研削装置であって、円環状の粗砥
石と該粗砥石と同心の円環状の第1仕上げ砥石との中心を回転軸とし、該回転軸の軸方向に該粗砥石と該第1仕上げ砥石とを相対的に進退させて、該被加工物に対して該粗砥石または該第1仕上げ砥石を選択的に接近させる切換機構を備える複合研削手段と、円環状の第2仕上げ砥石を備える仕上げ研削手段と、該粗砥石を交換すべき砥石の残り厚さを設定する粗砥石交換設定部と、該第1仕上げ砥石を交換すべき砥石の残り厚さを設定する第1仕上げ砥石交換設定部と、該第2仕上げ砥石を交換すべき砥石の残り厚さを設定する第2仕上げ砥石交換設定部と、該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石を用いて予め行われた被加工物のテスト研削により得られた、1枚の被加工物を所定の厚みまで研削したときの該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の消耗量がそれぞれ記憶されている消耗量認識部と、該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の研削開始前の残量から、前記消耗量認識部により認識される該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の消耗量をそれぞれ差し引くことにより、該粗砥石、該第1仕上げ砥石及び該第2仕上げ砥石の残量を検知する砥石残量検知部と、該砥石残量検知部によって検知された該粗砥石の残量が該粗砥石交換設定部に設定された粗砥石の交換すべき残り厚さになったときに、該砥石残量検知部によって検知された該第1仕上げ砥石の残量が該第1仕上げ砥石交換設定部に設定された該第1仕上げ砥石の交換すべき残り厚さになるとともに、該砥石残量検知部によって検知された該第2仕上げ砥石の残量が該第2仕上げ砥石交換設定部に設定された該第2仕上げ砥石の交換すべき残り厚さになるように、該粗砥石による粗研削量と、該第1仕上げ砥石による仕上げ研削量と、該第2仕上げ砥石による仕上げ研削量と、を制御する制御手段と、を備える研削装置である。
【発明の効果】
【0007】
仕上げ砥石を交換している際に研削装置による被加工物の研削加工の動作を停止させないため、被加工物の連続加工が可能になる。また、仕上げ研削手段の仕上げ砥石と、複合研削手段に装着される該粗砥石と仕上げ砥石との3つの砥石を同時に交換可能とするため、研削装置を停止させている時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】研削装置全体を表す斜視図である。
図2】複合研削手段の粗砥石が第1仕上げ砥石よりも下側に位置づけられている様子を表す断面図である。
図3】複合研削手段の第1仕上げ砥石が粗砥石よりも下側に位置づけられている様子を表す断面図である。
図4】複合研削手段を用いて被加工物の粗研削を行う様子を表す断面図である。
図5】複合研削手段を用いて被加工物の仕上げ研削を行う様子を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 研削装置の構成
図1に示す研削装置1は、複合研削手段5及び仕上げ研削手段3を用いて被加工物11を研削加工する研削装置である。被加工物11の下面112には、保護テープ113が貼着されている。以下、研削装置1の構成について説明する。
【0010】
図1に示すように、研削装置1は、Y軸方向に延設されたベース10を備えている。ベース10の+Y方向側、かつ+X方向側には、第1コラム101が立設されており、第1コラム101の-X方向側には、第2コラム102が立設されている。
【0011】
ベース10の上における+X方向側には第1保持手段21が配設されており、ベース10の上における-X方向側には第2保持手段22が配設されている。
第1保持手段21は、円板状の吸引部210と吸引部210を支持する枠体211とを備えている。吸引部210の上面は被加工物11が保持される保持面212であり、保持面212は枠体211の上面213と面一に形成されている。
第2保持手段22は、円板状の吸引部220と吸引部220を支持する枠体221とを備えている。吸引部220の上面は被加工物11が保持される保持面222であり、保持面222は枠体221の上面223と面一に形成されている。
【0012】
第1保持手段21は、図示しない吸引源に接続されている。第1保持手段21の保持面212に被加工物11が載置された状態で、第1保持手段21に接続されている該吸引源を作動させて、生み出された吸引力を保持面212に伝達することによって、保持面212に被加工物11を吸引保持することができる。同様に、第2保持手段22も吸引源に接続されている。第2保持手段22の保持面222に被加工物11が載置された状態で該吸引源を作動させて、被加工物11を吸引保持することができる。
【0013】
第1保持手段21及び第2保持手段22は、図示しない回転手段に接続されている。該回転手段を用いることにより、第1保持手段21及び第2保持手段22は、Z軸方向の回転軸を軸にして回転可能となっている。
【0014】
第1保持手段21の周囲には、カバー27及びカバー27に伸縮自在に連結された蛇腹28が配設されている。例えば、第1保持手段21がY軸方向に移動すると、カバー27が第1保持手段21とともにY軸方向に移動して蛇腹28が伸縮することとなる。
第2保持手段22の周囲には、第1保持手段21の周囲に配設されているカバー27及び蛇腹28と同様の構成を有するカバー27及び蛇腹28が配設されている。
【0015】
ベース10の-Y方向側かつ+X方向側には第1カセット載置部7010が設けられており、第1カセット載置部7010の-Y方向側には、第2カセット載置部7020が設けられている。
第1カセット載置部7010には、第1カセット701が配設されている。第1カセット701には、研削加工前の被加工物11が収容されている。
第2カセット載置部7020には、第2カセット702が配設されている。第2カセット702には、研削加工後の被加工物11を収容することができる。
【0016】
第1カセット701の+Y方向側には、ロボット71が配設されている。ロボット71を用いて第1カセット701に収容されている被加工物11を第1カセット701から取り出して、仮置き領域720に搬送することができる。
【0017】
ロボット71の可動域における+X方向側には、研削加工前の被加工物11が仮置きされる仮置き領域720が配設されており、ロボット71の可動域における-X方向側には、研削加工後の被加工物11を洗浄する洗浄領域732が設けられている。
【0018】
仮置き領域720には、位置合わせ手段72が配設されている。カセット70から搬出されて仮置き領域720に載置された被加工物11は、位置合わせ手段72によって所定の位置に位置合わせされることとなる。
【0019】
洗浄領域732には、スピンナ洗浄手段73が配設されている。スピンナ洗浄手段73は、被加工物11が保持されるスピンナテーブル730と、スピンナテーブル730に保持された被加工物11に向けて洗浄水を噴出する洗浄水供給ノズル731とを備えている。スピンナテーブル730の上面は、被加工物11が保持されるスピンナ保持面742となっている。
例えば、スピンナテーブル730のスピンナ保持面742に研削加工後の被加工物11が載置されている状態で、洗浄水供給ノズル731から洗浄水を供給することにより被加工物11を洗浄することができる。
【0020】
ベース10の-Y方向側には、X軸移動手段79を備えている。X軸移動手段79は、仮置き領域720及び洗浄領域732に跨るようにX軸方向に向けて架設された門型の支持台790と、支持台790の上にX軸方向に向けて延設された薄板状のガイドボード792と、ガイドボード792の上に配設された可動板794とを備えている。また、可動板794の上には、スライドテーブル793が配設されている。
【0021】
スライドテーブル793は、保持部795と保持部795を支持する枠体798とを備えており、保持部795の上面は被加工物11が保持される保持面796となっている。
【0022】
スライドテーブル793の保持面796は、図示しない吸引源に接続されている。
例えば、スライドテーブル793の保持面796に被加工物11が載置されている状態で、該吸引源を用いて吸引力を発揮して、生み出された吸引力を保持面796に伝達することによって、保持面796に被加工物11を吸引保持することができる。
【0023】
可動板794は、図示しない移動機構に接続されている。該移動機構は、例えばボールネジやモータ等を備えるボールネジ機構であり、ガイドボード792に沿って可動板794をX軸方向に往復移動させることができる。可動板794がX軸方向に移動するのに伴って、可動板794に支持されているスライドテーブル793が可動板794と一体的にX軸方向に移動する構成となっている。
スライドテーブル793の保持面796に被加工物11が保持されている状態で、該移動機構を用いてスライドテーブル793をX軸方向に移動させることにより、被加工物11をX軸方向に移動させることができる。
【0024】
ベース10の上における第1保持手段21と第2保持手段22との間の領域には、背板800が配設されている。
【0025】
背板800の+X方向側の側面には、第1搬送手段8001が配設されている。
第1搬送手段8001は、第1搬送パッド801と、第1搬送パッド801に背中合わせに配設された第2搬送パッド802と、第1搬送パッド801及び第2搬送パッド802を支持する反転手段84とを備えている。
【0026】
第1搬送パッド801は、円板状の吸引部810と吸引部810を支持する枠体811とを備えている。吸引部810は、例えば多数の細孔を有するポーラス部材であり、吸引部810の露出面は、被加工物11を保持する保持面812となっている。
吸引部810には、図示しない吸引源が接続されている。保持面812に被加工物11の上面111が接触している状態で、該吸引源を作動させて、生み出された吸引力を保持面812に伝達することにより、保持面812に被加工物11を吸引保持することができる。
【0027】
第2搬送パッド802は、第1搬送パッド801と同様に構成されているため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
反転手段84は、小径部840と小径部840に連結された大径部841とを備えている。小径部840の-Z方向側の端部は、上下移動ブロック823の+X方向側の側面に連結されている。大径部841の円筒側面は、第1搬送パッド801の枠体811の下面、及び第2搬送パッド802の枠体811の下面を支持している。
【0029】
また、例えば、小径部840の内部には、図示しないモータ等の回転制御機構が配設されている。第1搬送パッド81の保持面812が+Z方向側に向いている状態で、反転手段84を用いて第1搬送パッド81を180度回転させることにより、第1搬送パッド81の保持面812が-Z方向側に向いている状態にすることができる。
また、第1搬送パッド81の保持面812が+Z方向側に向いている状態では、第2搬送パッド802の保持面812は-Z方向側に向いている。従って、第1搬送パッド801が+Z方向側に向いている状態で、反転手段84を用いて第1搬送パッド801を180度回転させると、第2搬送パッド802の保持面812が+Z方向側に向いている状態となる。
【0030】
第1搬送手段8001においては、例えば、第1搬送パッド801の保持面812に、ある被加工物11が吸引保持されている状態で、反転手段84を用いて第1搬送パッド801の保持面812の上下を反転させてから、第2搬送パッド802の保持面812に別の被加工物11を吸引保持することが可能となっている。
【0031】
第1搬送手段8001は、第1搬送パッド801、及び第2搬送パッド802を水平方向に移動させるY軸移動手段83を備えている。
Y軸移動手段83は、背板800の+X方向側の側面に配設され、Y軸方向の軸心835を有するボールネジ830と、ボールネジ830に対して平行に配設された一対のガイドレール831と、ボールネジ830を回転させる水平軸モータ832と、内部のナットがボールネジ830に螺合して側部がガイドレール831に摺接する水平移動ブロック833とを備えている。
【0032】
第1搬送手段8001は、第1搬送パッド801、及び第2搬送パッド802を+Z方向に移動させるZ軸移動手段82を備えている。
Z軸移動手段82は、水平移動ブロック833の+X方向側の側面に連結された支持板824と、支持板824の+X方向側の側面に配設されZ軸方向の軸心825を有するボールネジ820と、ボールネジ820に平行に配列されたガイドレール821と、ボールネジ820を回転させる垂直軸モータ822と、側部のナットがボールネジ820にして側部がガイドレール821に摺接する上下移動ブロック823とを備えている。
【0033】
水平軸モータ832に駆動されてボールネジ830が回転すると、ガイドレール831に案内されながら水平移動ブロック833がY軸方向に往復移動する。水平移動ブロック833のY軸方向への移動に伴い、水平移動ブロック833に支持されている支持板824、支持板824に支持されている上下移動ブロック823、上下移動ブロック823に連結されている反転手段84、及び反転手段84に支持されている第1搬送パッド801、並びに第2搬送パッド802が一体的にY軸方向に移動することとなる。
【0034】
また、垂直軸モータ822に駆動されてボールネジ820が回転軸825を軸にして回転すると、ガイドレール821に案内されながら上下移動ブロック823がZ軸方向に往復移動する。上下移動ブロック823のZ軸方向への移動に伴って、上下移動ブロック823に連結されている反転手段84、及び反転手段84に支持されている第1搬送パッド801、並びに第2搬送パッド802がZ軸方向に移動する構成となっている。
【0035】
背板800の-X方向側の側面には第2搬送手段8002が配設されている。
第2搬送手段8002は、第3搬送パッド803と、第3搬送パッド803に背中合わせに配設された第4搬送パッド804と、第3搬送パッド803と第4搬送パッドとを支持する反転手段84を備えている。
第3搬送パッド803及び第4搬送パッド804は、第1搬送パッド801と同様に構成されているためその説明を省略する。
また、第2搬送手段8002のその他の部分については、第1搬送手段8001と同様に構成されているため、その説明を省略する。
【0036】
ベース10の上における複合研削手段5の下方には、被加工物11の厚みを測定する第1厚み測定手段1001が配設されている。第1厚み測定手段1001は、筐体103と、筐体103にそれぞれ連結された保持面ハイトゲージ104と上面ハイトゲージ105とを備えている。
保持面ハイトゲージ104の接触子を第1保持手段21の保持面212に面一な枠体211の上面213に接触させることにより、保持面212の高さを測定できる。
また、例えば被加工物11が保持面212に保持されている状態で、上面ハイトゲージ105の接触子を被加工物11の上面111に接触させることにより、被加工物11の上面111の高さを測定できる。
筐体103の内部には、CPU、メモリ等を有する図示しない算出手段等が備えられている。保持面ハイトゲージ104により測定された保持面212の高さと上面ハイトゲージ105により測定された被加工物11の上面111の高さの情報が電気信号によって該算出手段に送信されると、該算出手段において、両高さの差が被加工物11の厚みとして算出される構成となっている。
【0037】
また、ベース10の上における仕上げ研削手段3の下方には、第2厚み測定手段1002が配設されている。第2厚み測定手段1002は、第1厚み測定手段1001と同様の構成を有しており、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
第2コラム102の-Y方向側の側面には、仕上げ研削手段3を昇降可能に支持する第2研削送り手段42が配設されている。
【0039】
仕上げ研削手段3は、Z軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続された円環状のマウント33と、を備えている。マウント33の下面には、研削ホイール34が着脱可能に装着されている。
研削ホイール34は、ホイール基台341と、ホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体形状の複数の第2仕上げ砥石340とを備えている。
【0040】
第2研削送り手段42は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ400と、ボールネジ400に対して平行に配設された一対のガイドレール410と、回転軸450を軸にしてボールネジ400を回転させるZ軸モータ420と、内部のナットがボールネジ400に螺合して側部がガイドレール410に摺接する昇降板430と、昇降板430に連結され仕上げ研削手段3を支持するホルダ440とを備えている。
【0041】
Z軸モータ420によってボールネジ400が駆動されて、ボールネジ400が回転軸450を軸にして回転すると、これに伴って、昇降板430がガイドレール410に案内されてZ軸方向に昇降移動するとともに、ホルダ440に保持されている仕上げ研削手段3がZ軸方向に移動することとなる。
【0042】
第1コラム101の-Y方向側の側面には、複合研削手段5を昇降可能に支持する第1研削送り手段41が配設されている。
第1研削送り手段41は、上記の第2研削送り手段42と同様に構成されているため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
複合研削手段5は、図2に示すように、Z軸方向に延びる回転軸19を備えている。回転軸19の上端には、ロータリジョイント17が接続されており、回転軸19の下端にはマウント13が連結されている。
【0044】
ロータリジョイント17には、電磁弁900が接続されている。電磁弁900には、シリンダ用エア供給源90が接続されている。
ロータリジョイント17の内部には、第1の連通路901と、第1の連通路901に接続された第3のエア供給路93と、第3のエア供給路93に接続された第1のエア供給路91とが備えられている。
また、同じくロータリジョイント17の内部には、第2の連通路902と、第2の連通路902に接続された第4のエア供給路94と、第4のエア供給路94に接続された第3のエア供給路93とが備えられている。
第1の連通路901と第2の連通路902とは、それぞれ電磁弁900を介してシリンダ用エア供給源90に接続されている。
電磁弁900の開閉状態の切り替えを行うことによって、シリンダ用エア供給源90と第1の連通路901とが接続された状態と、シリンダ用エア供給源90と第2の連通路902とが接続された状態と、を切り替えることができる。
【0045】
回転軸19は、Z軸方向に延設された円筒状の第1軸部191と、第1軸部191の下方にZ軸方向に延設され、第1軸部191よりも大きな外径を有する円筒状の第2軸部192とを備えている。第1軸部191と第2軸部192との間には、ベアリング板190が配設されている。
回転軸19の内部には、研削水の流路である研削水供給路193がZ軸方向に延ばされて形成されている。研削水供給路193の周りには、シリンダ用エア供給源90から供給されるエアの流路である第1のエア供給路91と第2のエア供給路92とがZ軸方向に延ばされて形成されている。
【0046】
第1軸部191の周りには、回転軸19をZ軸方向の軸心を軸にして回転駆動するモータ16が配設されている。モータ16は、回転軸19に設けられたロータ160と、ロータ160の周りに配設されたステータ162とを備えている。
【0047】
複合研削手段5は、ケーシング12を備えている。ケーシング12は、第1軸部191及びモータ16を囲繞する上部ケーシング120と、第2軸部192を囲繞する下部ケーシング121と、上部ケーシング120と下部ケーシング121とを連結し、ベアリング板190を囲繞する中部ケーシング122とを備えている。
【0048】
上部ケーシング120は、第1軸部191が貫通する開口が形成された上底面を備える中空円筒状の部材である。
上部ケーシング120の側面の下部には、冷却ジャケット161に冷却水を供給するための冷却水供給口123が形成されている。また、上部ケーシング120の側面の上部には、冷却ジャケット161から冷却水を排出するための冷却水排出口124が形成されている。
【0049】
上部ケーシング120とステータ162との間には、ケーシング12の内部を冷却する冷却ジャケット161が配設されている。冷却ジャケット161の内部には多数の冷却水路が形成されている。
図示しない冷却水供給源等から冷却水供給口123を通じて冷却ジャケット161に供給することにより、上部ケーシング120の内部を冷却することができる。上部ケーシング120の内部の冷却に用いられた冷却水は、冷却水排出口124から上部ケーシング120の外部へと排出されることとなる。
【0050】
中部ケーシング122は円筒側面状の部材である。中部ケーシング122の内部にはエア流路197が形成されている。エア流路197の一方の端部にはエア供給口199が形成されており、エア流路197は、エア供給口199を通じて中部ケーシング122の外部の空間へと接続されている。
【0051】
下部ケーシング121は比較的大きな厚みを有する環状の部材である。
下部ケーシング121の内部には、エア流路197に接続され、複数の流路に分岐したエア流路198が形成されている。
下部ケーシング121の上面には複数の上側噴出口181が形成されており、下部ケーシング121の下面には複数の下側噴出口183が形成されている。また、下部ケーシング121の内側面には複数の内側噴出口185が形成されている。
エア流路198のエア流路197に接続されていない複数の端部は、上側噴出口181、下側噴出口183、及び内側噴出口185に接続されている。
【0052】
図示しない高圧エア源からエア供給口199に高圧エアを供給すると、供給された高圧エアは中部ケーシング122の内部のエア流路197から下部ケーシング121の内部のエア流路198を通っていき、上側噴出口181、下側噴出口183、及び内側噴出口185から下部ケーシング121の外へと噴出することとなる。
【0053】
マウント13は、回転軸19の下端に連結された切換機構6と、円板マウント54と、円板マウント54の外側に配設された環状マウント130とを備えている。
【0054】
切換機構6はシリンダ15を備えている。シリンダ15は、下部ケーシング121の下面に連結された大径部150と、大径部150の下端に連なる小径部151とを備えている。
シリンダ15の大径部150の内部には、環状の収容室61が形成されている。収容室61の内部には、環状ピストン600が収容されている。環状ピストン600の下部には環状ピストン600の周方向に等間隔を空けて複数設けられたロッド60が連結されている。ロッド60は、少なくとも3本配置されているとよい。なお、図2においては1本のみが図示されている。
また、収容室61およびピストンは、環状で無くてもよい。つまり、複数配置されるロッド毎にピストンを備え、各ピストンを摺動可能に収容する収容室を備えてもよい。
【0055】
シリンダ15の内部には、第1流路141と第2流路142とが形成されている。第1流路141は、第1のエア供給路91に接続されている。第2流路142は、第2のエア供給路92に接続されている。
【0056】
収容室61の上面には第1のエア供給口1410が形成されている。第1のエア供給口1410は、第1流路141に接続されている。
収容室61の下面には第2のエア供給口1420が形成されている。第2のエア供給口1420は、第2流路142に接続されている。
【0057】
例えば、シリンダ用エア供給源90が第1の連通路901と連通している状態で、シリンダ用エア供給源90を作動させて、第1のエア供給口1410から収容室61にエアを供給することにより、収容室61の上方の空間の圧力が上昇して、環状ピストン600が下方に移動させられることとなる。
一方、例えば、シリンダ用エア供給源90が第2の連通路902と連通している状態で、シリンダ用エア供給源90を作動させて、第2のエア供給口1420から収容室61にエアを供給することにより、収容室61の下方の空間の圧力が上昇して環状ピストン600が上方に移動させられることとなる。
【0058】
ロッド60の下面には、環状マウント130が連結されている。環状マウント130にはガイド57が貫通するガイド穴570が形成されている。環状マウント130は、シリンダ用エア供給源90から供給されるエアの作用による環状ピストン600の上下移動に伴って、ガイド穴570に沿って、Z軸方向に昇降移動することとなる。
【0059】
環状マウント130の内側の開口には、シリンダ15の小径部151が貫通している。環状マウント130の下面には環状の仕上げ研削ホイール52が着脱可能に配設されている。仕上げ研削ホイール52には、複数の第1仕上げ砥石520が円環状に配設されている。
【0060】
シリンダ15の小径部151の下面には、円板マウント54が固定されている。円板マウント54と、シリンダ15の大径部150の下面との間には、両者を連結するガイド57が設けられている。ガイド57は、例えば、円板マウント54の周方向に、隣り合うロッド60の間にそれぞれ配置されている。図2においては1つのみが示されている。
【0061】
円板マウント54の下面には、被加工物11を粗研削加工する粗研削ホイール55が着脱可能に配設されている。粗研削ホイール55には複数の粗砥石550が第1砥石520と同心の円環状に配設されている。
【0062】
複合研削手段5においては、シリンダ用エア供給源90からのエアの供給と電磁弁900の開閉状態の切り替えとを行って切換機構6を作動させることにより、環状マウント130及び環状マウント130に配設された仕上げ研削ホイール51が一体的に昇降移動する。
具体的には、図2に示すように、シリンダ用エア供給源90と第2の連通路902とが連通している状態でシリンダ用エア供給源90からエアを供給すると、供給されたエアが第2の連通路902、第4のエア供給路94、第2のエア供給路92、及び第2流路142を通って、第2のエア供給口1420から収容室61にエアが供給される。これにより、環状ピストン600が下方からエアの押圧力を受けて環状ピストン600、ロッド60、環状マウント130、及び仕上げ研削ホイール52が+Z方向に押し上げられて、第1仕上げ砥石520が粗砥石550よりも上に位置づけられた状態となる。
かかる状態から、図3に示すように、電磁弁900の開閉状態を切り替えて、シリンダ用エア供給源90と第1の連通路901とが連通している状態で、シリンダ用エア供給源90からエアを供給する。すると、第2のエア供給口1420から収容室61へのエアの供給が停止されるとともに、今度は、シリンダ用エア供給源90から供給されたエアが、第1の連通路901、第3のエア供給路93、第1のエア供給路91、及び第1流路141を通って第1のエア供給口1410から切換機構6の収容室61の内部に供給される。これにより、環状ピストン600が上方からエアの押圧力を受けて粗研削ホイール51が-Z方向に押し下げられて、仕上げ砥石520が粗砥石550に対して-Z方向に進行していく。こうして、第1仕上げ砥石520の下面522が粗砥石550の下面522よりも下に位置づけられた状態となる。
上記のように、電磁弁900の開閉状態の切り替えと、シリンダ用エア供給源90からのエアの供給とを行って切換機構6を作動させて、第1仕上げ砥石520をZ軸方向に昇降させることにより、第1仕上げ砥石520と粗砥石550とを相対的にZ軸方向に進退させることが可能である。
【0063】
第1保持手段21に保持された被加工物11が複合研削手段5の下方に位置付けられている状態で、上記のように切換機構6を作動させて、回転軸19の軸方向に粗砥石550と第1仕上げ砥石520とを相対的に進退させることにより、被加工物11に対して粗砥石550または第1仕上げ砥石520を選択的に接近させることができる。
【0064】
マウント13の内部には、2本の流路194が形成されている。流路194は、研削水供給路193に連通されている。
円板マウント54及び仕上げ研削ホイール55の内部には研削水の流路195、196が形成されている。流路195と196とは連通されている。
また、流路195は、流路194に接続されている。
被加工物11の研削加工時に、研削水供給路193に接続されている図示しない研削水供給源から研削水供給路193に研削水を供給することにより、研削水が研削水供給路193及び各流路194、195、196を通って仕上げ研削ホイール55の流路196の下流端から流れ出し、被加工物11の上面111に供給されることとなる。これにより、被加工物11の上面111に付着している研削屑を洗い流すことができる。また、研削水の供給により、粗砥石550、第1仕上げ砥石520、及び被加工物11を冷却することができる。
【0065】
回転軸19の周りには、ベアリング18が形成されている。ベアリング18は、上アキシャルベアリング180、下アキシャルベアリング182、及びラジアルベアリング184から構成されている。
【0066】
上アキシャルベアリング180では、下部ケーシング121の上側噴出口181からベアリング板190の下面に高圧エアを噴きつけることにより、ベアリング板190の下面と下部ケーシング121の上面との間にエアが流れ込んでいき、ベアリング板190の下面と下部ケーシング121の上面との間に僅かな隙間が形成されることとなる。
上側噴出口181からベアリング板190の下面に高圧エアが噴きつけられている状態では、ベアリング板190の下面と下部ケーシング121の上面との間に形成された隙間が維持される。
【0067】
下アキシャルベアリング182では、下部ケーシング121の下側噴出口183からシリンダ15の上面に対して高圧エアを噴きつけることにより、シリンダ15の上面と下部ケーシング121の下面との間にエアが流れ込んでいき、シリンダ15の上面と下部ケーシング121の下面との間に僅かな隙間が形成されることとなる。
下側噴出口183からシリンダ15の上面に高圧エアが噴きつけられている状態では、シリンダ15の上面と下部ケーシング121の下面との間に形成された隙間が維持される。
【0068】
ラジアルベアリング184では、下部ケーシング121の内側噴出口185から第2軸部192の外周面に高圧エアを噴きつけることにより、第2軸部192の外周面と下部ケーシング121の内周面との間にエアが流れ込んでいき、第2軸部192の外周面と下部ケーシング121の内周面との間に僅かな隙間が形成されることとなる。
内側噴出口185から第2軸部192の外周面に高圧エアが噴きつけられている状態では、第2軸部192の外周面と下部ケーシング121の内周面との間に形成された隙間が維持される。
【0069】
図1に示すように、研削装置1は、粗砥石550を交換すべき砥石の残り厚さを設定する粗砥石交換設定部47と、第1仕上げ砥石520を交換すべき砥石の残り厚さを設定する第1仕上げ砥石交換設定部48と、第2仕上げ砥石340を交換すべき砥石の残り厚さを設定する第2仕上げ砥石交換設定部49と、を備えている。
【0070】
粗砥石交換設定部47、第1仕上げ砥石交換設定部48、及び第2仕上げ砥石交換設定部49は、各々メモリ等の記憶媒体を備えており、交換すべき各砥石の残り厚さの設定値を記憶することができる。
【0071】
研削装置1は、研削装置1の各種の機構の動作を制御する制御手段46を備えている。制御手段46は、粗砥石550が粗砥石交換設定部47に設定された砥石の残り厚さになったときに、第1仕上げ砥石520が第1仕上げ砥石交換設定部48に設定された砥石の残り厚さになると共に、第2仕上げ砥石340が第2仕上げ砥石交換設定部49に設定された砥石の残り厚さになるように、粗砥石550による粗研削量と、第1仕上げ砥石520による仕上げ研削量と、第2仕上げ砥石340による仕上げ研削量と、を制御する機能を有している。
【0072】
研削装置1は、消耗量認識部67を備えている。
消耗量認識部67には、例えば、複合研削手段5に備える粗砥石550を用いて予め行われた被加工物11のテスト粗研削により得られた、1枚の被加工物11を所定の厚みまで粗研削したときの粗砥石550の消耗量が記憶されている。そして、消耗量認識部67は、上記の被加工物1枚当たりの粗砥石550の消耗量に、本番の研削加工において粗砥石550を用いて粗研削された被加工物の枚数を乗じた値を算出し、粗砥石550の消耗量として認識することができる。
同様に、消耗量認識部67は、第1仕上げ砥石520、及び第2仕上げ砥石340の消耗量を認識することができる。
【0073】
研削装置1には、砥石残量検知部68が備えられている。砥石残量検知部68は、予め記憶された粗砥石550の研削開始前の残量から、上記の消耗量認識部67により認識される砥石の消耗量を差し引くことにより、粗砥石550の残量を検知する機能を有している。
また、砥石残量検知部68は、同様にして第1仕上げ砥石520、及び第2仕上げ砥石340の残量も検知することができる。
【0074】
研削装置1は、砥石交換時期算出手段69を備えている。砥石交換時期算出手段69は、上記の砥石残量検知部68を用いて検知される各砥石の残量に基づいて、粗砥石550、第1仕上げ砥石520、及び第2仕上げ砥石340の交換時期を算出する機能を有している。
【0075】
2 研削装置の動作
上記の研削装置1においては、図1に示した砥石交換時期算出手段69によって算出された第2仕上げ砥石340の交換時期に、研削加工によって消耗された第2仕上げ砥石340が新たな第2仕上げ砥石340に交換される。第2仕上げ砥石340を交換する際には、第2仕上げ砥石340の交換を行いながら、複合研削手段5を用いて被加工物11の粗研削、及び仕上げ研削を行う。
以下、複合研削手段5を用いて被加工物11を粗研削、及び仕上げ研削する際の研削装置1の動作について説明する。
【0076】
まず、ロボット71を用いて第1カセット701から被加工物11を一枚取り出して仮置き領域720に載置し、位置合わせ手段72を用いて被加工物11の位置合わせをする。
【0077】
次いで、第1搬送手段8001を用いて仮置き領域720から第1保持手段21へと被加工物11を搬送する。
第1搬送手段8001を用いて仮置き領域720から第1保持手段21へと被加工物11を搬送する際には、まず、第1搬送手段8001に備える第1搬送パッド801が、仮置き領域720において位置合わせされている被加工物11を把持できるように、Y軸移動手段83を用いて、第1搬送パッド801を-Y方向に移動させる。
そして、第1搬送パッド801の保持面812を被加工物11の上面111に接触させて、図示しない吸引手段等を用いて被加工物11の保持面812に接触されている面を吸引することにより、保持面812に被加工物11を吸引保持する。
【0078】
次に、Y軸移動手段83を用いて第1搬送パッド801を+Y方向に移動させて、第1搬送パッド801を第1保持手段21の下方に位置付ける。
その後、Z軸移動手段82を用いて第1搬送パッド801を-Z方向に移動させるとともに、該吸引源を停止させて、保持面812に作用している吸引力を取り除く。これにより、被加工物11が、第1保持手段21の保持面212に載置される。
【0079】
その後、第1保持手段21に接続されている図示しない吸引源を用いて第1保持手段21の保持面242に被加工物11を吸引保持する。
【0080】
次いで、図4に示すように、第1保持手段21の下方に配設されているY軸移動手段29を用いて第1保持手段21を+Y方向に移動させる。これにより、第1保持手段21に吸引保持されている被加工物11が複合研削手段5の下方に位置付けられる。
【0081】
さらに、図示しないモータ等を用いて第1保持手段21を回転させることにより、保持面212に保持されている被加工物11を回転させる。
【0082】
このとき、図2に示すように、複合研削手段5においては、電磁弁900によって第2の連通路902がシリンダ用エア供給源90に連通されている状態で、シリンダ用エア供給源90からエアが供給されており、エアが第2のエア供給口1420から収容室61に供給されている。
従って、環状ピストン600、ロッド60、ロッド60の下面に配設された環状マウント130、及び環状マウント130に装着されている仕上げ研削ホイール52がエアの押圧力を受けて+Z方向に上昇させられており、粗砥石550が第1仕上げ砥石520よりも-Z方向に押し下げられた状態、すなわち、保持面212に保持されている被加工物11に対して粗砥石550が第1仕上げ砥石520よりも接近している状態にある。
【0083】
かかる状態で、図示しないモータ等を用いて複合研削手段5の回転軸19を回転させる。これにより、回転軸19に連結されているマウント13が回転し、粗砥石550及び第1仕上げ砥石520が回転する。
【0084】
被加工物11が回転しており、かつ、粗砥石550が回転している状態で、第1研削送り手段41を用いて粗砥石550を-Z方向に下降させる。これにより、図4に示すように、粗砥石550の下面552が被加工物11の上面111に接触する。
粗砥石550の下面552が被加工物11の上面111に接触している状態で、第1研削送り手段41を用いてさらに粗砥石550を-Z方向に下降させていくことにより、被加工物11が粗研削される。
【0085】
被加工物11の粗研削後、第1研削送り手段41を用いて複合研削手段5を+Z方向に上昇させて、一旦、粗砥石550を被加工物11の上面111から離間させる。
【0086】
次いで、図3に示すように、電磁弁900を用いてシリンダ用エア供給源90が第1の連通路901に連通している状態に切り換えるとともに、シリンダ用エア供給源90からエアを供給することによって、切換機構6を作動させて粗砥石550よりも第1仕上げ砥石520の方が被加工物11に接近している状態に切り換える。
【0087】
粗砥石550よりも第1仕上げ砥石520の方が被加工物11に接近している状態で、再び、第1研削送り手段41を用いて粗砥石550を-Z方向に下降させる。これにより、図5に示すように、被加工物11の上面111に第1仕上げ砥石520の下面522が接触する。
被加工物11の上面111に第1仕上げ砥石520の下面522が接触している状態で、さらに第1仕上げ砥石520を被加工物11に対して-Z方向に押し下げていくことにより、被加工物11が仕上げ研削される。
【0088】
以上のように、仕上げ研削手段3の第2仕上げ砥石340の交換をしている間に、複合研削手段5を用いて被加工物11を粗研削、及び仕上げ研削することにより、第2仕上げ砥石340を交換している間に研削装置1を停止させずに、複数の被加工物11を連続して加工することができる。
【0089】
研削装置1においては、例えば、第1仕上げ砥石520を用いた仕上げ研削の終了時に、仕上げ研削手段3の第2仕上げ砥石340の交換が完了している場合、複合研削手段5に備える粗砥石550または第1仕上げ砥石520、若しくはその両方を交換しながら、仕上げ研削手段3を用いて被加工物11の仕上げ研削を行うことも可能である。
【0090】
具体的には、まず被加工物11を第1保持手段21の保持面212から搬出する。その際には、Y軸移動手段83を用いて第1搬送パッド801を+Y方向に移動させて、第1搬送パッド801を第1保持手段21の上方に位置づけてから、Z軸移動手段82を用いて第1搬送パッド801を-Z方向に下降させる。これにより、第1搬送パッド801の保持面812が被加工物11の上面111に接触する。第1搬送パッド801の保持面812が被加工物11の上面111に接触している状態で、保持面812に接続されている図示しない吸引源を作動して、保持面812に吸引力を伝達し、保持面812に被加工物11を吸引保持する。
【0091】
第1搬送パッド801の保持面812に被加工物11が吸引保持されている状態で、Y軸移動手段83を用いて第1搬送パッド801を-Y方向に移動させて、スライドテーブル793の保持面796の上方に位置づける。そして、保持面812に接続されている該吸引源を停止させて、保持面812に作用している吸引力を取り除くことにより、スライドテーブル793の保持面796に被加工物11を載置する。
そして、スライドテーブル793に接続されている図示しない吸引源を作動させてスライドテーブル793の保持面796に吸引力を伝達し、スライドテーブル793の保持面796に被加工物11を吸引保持する。
【0092】
次に、スライドテーブル793に接続された図示しないX軸方向への移動機構等を用いてスライドテーブル793を-X方向に移動させる。そして、スライドテーブル793に接続されている該吸引源を停止して、スライドテーブル793に作用している吸引力を取り除いてから、第2搬送手段8002を用いてスライドテーブル793に保持されている被加工物11を第2保持手段22の保持面212に搬送する。
被加工物11を第2保持手段22の保持面212に搬送する際の第2搬送手段8002の動作は、上記の第1搬送手段8001による被加工物11の搬送動作と同様であるため、その説明を省略する。
第2保持手段22の保持面212に被加工物11が載置されている状態で、図示しない吸引源を作動させて、保持面212に吸引力を伝達させることにより、第2保持手段の保持面212に被加工物11を吸引保持する。
【0093】
その後、図5に示すように、Y軸移動手段29を用いて保持面212に保持されている被加工物11を+Y方向に移動させて、仕上げ研削手段3の下方に位置付ける。
そして、図示しない回転手段を用いて保持面212に保持されている被加工物11を回転させるとともに、スピンドルモータ32を用いて回転軸35を軸にして第2仕上げ砥石340を回転させる。
【0094】
被加工物11が回転しており、かつ、第2仕上げ砥石340が回転軸35を軸にして回転している状態で、第1研削送り手段41を用いて第2仕上げ砥石340を-Z方向に下降させて、第2仕上げ砥石340の下面342を被加工物11の上面111に接触させる。
下面342が被加工物11の上面111に接触している状態で、第1研削送り手段41を用いて、さらに第2仕上げ砥石340を-Z方向に下降させていくことにより、被加工物11が仕上げ研削される。
【0095】
研削装置1においては、粗研削及び仕上げ研削を行う際に、消耗量認識部67によって粗砥石550、第1仕上げ砥石520、及び第2仕上げ砥石340の消耗量が認識されている。そして、砥石残量検知部68によって、各砥石の研削開始前の残量から、消耗量認識部67により認識された各砥石の消耗量が差し引かれて、各砥石の残量が検知されている。
【0096】
また、粗砥石550を交換すべき砥石の残り厚さが粗砥石交換設定部47において設定されており、第1仕上げ砥石520を交換すべき砥石の残り厚さが第1仕上げ砥石交換設定部48において設定されており、第2仕上げ砥石340を交換すべき砥石の残り厚さが第2仕上げ砥石交換設定部49において設定されている。
【0097】
そこで、研削装置1を用いて被加工物11を研削加工する際に、制御手段46を用いて、粗砥石550による粗研削量と、第1仕上げ砥石520による仕上げ研削量と、第2仕上げ砥石340による仕上げ研削量とを制御することによって、粗砥石550が粗砥石交換設定部47に設定された砥石の残り厚さになったときに、第1仕上げ砥石520が第1仕上げ砥石交換設定部48に設定された砥石の残り厚さになるとともに、第2仕上げ砥石340が第2仕上げ砥石交換設定部49に設定された砥石の残り厚さになるように制御する。
例えば、第1仕上げ研削砥石520及び第2仕上げ研削砥石340の消耗速度が粗研削砥石550の消耗速度の2倍である場合は、粗研削砥石550による累積研削時間が、第1仕上げ研削砥石520による累積研削時間の2倍であり、かつ、第2仕上げ研削砥石340による累積研削時間の2倍となるように、制御手段46による制御を行う。ただし、粗研削砥石550による研削と第1仕上げ研削砥石520による研削とを同時に行うことはできないため、粗研削砥石550の厚さが設定された残り厚さに達する時期と、第1仕上げ砥石520の厚さが設定された残り厚さに達する時期と、第2仕上げ砥石340の厚さが設定された残り厚さに達する時期とを完全に一致させることはできない。したがって、例えば、複合研削手段5によるある被加工物の粗研削又は仕上げ研削と、仕上げ研削手段3による他の被加工物の仕上げ研削とが終了した時点で、粗研削砥石550、第1仕上げ砥石520及び第2仕上げ砥石340の残り厚さが、設定された所定の残り厚さになっていればよい。
【0098】
このようにして、各砥石の交換時期を合わせることにより、各砥石を一挙に交換することが可能となり、研削装置1が停止している時間が短縮され、研削加工の効率化が図られる。
【0099】
なお、研削装置1は、被加工物11をY軸方向に移動させる第1搬送手段8001、及び第2搬送手段8002、並びに被加工物11をX軸方向に移動させるX軸移動手段79を備えるものにかえて、ターンテーブルとターンテーブルの上に配設された保持手段とを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1:研削装置 109:研削装置 10:ベース 101:第1コラム
102:第2コラム 11:被加工物111:上面 112:下面 113:保護テープ
21:第1保持手段210:吸引部 211:枠体
212:保持面 213:枠体の上面
22:第2保持手段 220:吸引部 221:枠体
222:保持面 223:枠体の上面
27:カバー 28:蛇腹 29:Y軸移動手段
3:仕上げ研削手段 30:スピンドル 31:ハウジング 32:スピンドルモータ
33:マウント 34:粗研削ホイール 35:回転軸 36:仕上げ研削ホイール
340:第2仕上げ砥石 341:ホイール基台 342:下面
4:移動手段41:第1研削送り手段 42:第2研削送り手段
400:ボールネジ 410:ガイドレール 420:Z軸モータ 430:昇降板
440:ホルダ 450:回転軸
5:複合研削手段 52:仕上げ研削ホイール 520:粗砥石 522:下面
54:円板マウント 55:粗研削ホイール 550:粗砥石 552:下面
57:ガイド 570:ガイド穴
6:切換手段 60:ロッド 61:収容室 600:環状ピストン
12:ケーシング 120:上部ケーシング 121:下部ケーシング
122:中部ケーシング 123:冷却水供給口 124:冷却水排出口
13:マウント 130:環状マウント
15:シリンダ 150:大径部 151:小径部
16:モータ 160:ロータ 161:冷却ジャケット 162:ステータ
17:ロータリジョイント
18:ベアリング 180:上アキシャルベアリング 181:上側噴出口
182:下アキシャルベアリング 183:下側噴出口
184:ラジアルベアリング 185:内側噴出口
19:スピンドル 190:ベアリング板 191:第1軸部 192:第2軸部
193:研削水供給路 194:流路 195:流路 196:流路 197:エア流路
198:エア流路 199:エア供給口
71:ロボット 75:プレート 76:アーム 77:軸部
701:第1カセット 702:第2カセット
7010:第1カセット載置部 7020:第2カセット載置部
72:位置合わせ手段 720:仮置き領域
73:スピンナ洗浄手段 730:スピンナテーブル 731:洗浄水供給ノズル
732:洗浄領域 742:スピンナ保持面
79:X軸方向移動手段 790:支持台 792:ガイドボード
793:スライドテーブル 794:可動板 795:保持部 796:保持面
798:枠体
800:背板 8001:第1搬送手段 8002:第2搬送手段
801:第1搬送パッド 802:第2搬送パッド
810:吸引部 811:枠体 812:保持面
82:Z軸移動手段 820:ボールネジ 821:ガイドレール
822:垂直軸モータ 823:上下移動ブロック 824:支持板 825:回転軸
83:Y軸移動手段 830:ボールネジ 831:ガイドレール
832:水平軸モータ 833:水平移動ブロック 835:回転軸
840:小径部 841:大径部
90:シリンダ用エア供給源 91:第1のエア供給路 92:第2のエア供給路
93:第3のエア供給路 94:第4のエア供給路
900:電磁弁 901:第1の連通路 902:第2の連通路
100:研削条件設定部 101:制御手段 102:通知手段
141:第1流路 142:第2流路
1001:第1厚み測定手段 1002:第2厚み測定手段
103:筐体 104:保持面ハイトゲージ 105:上面ハイトゲージ
1410:第1のエア供給口
1420:第2のエア供給口
46:制御手段 47:粗砥石交換設定部 48:第1仕上げ砥石交換設定部
49:第2仕上げ砥石交換設定部
67:消耗量認識部 68:砥石残量検知部 69:砥石交換時期算出手段
図1
図2
図3
図4
図5