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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】セラミック配線部材
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240918BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K3/46 N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024518021
(86)(22)【出願日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2023016613
(87)【国際公開番号】W WO2023210735
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/019340
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】西島 英孝
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080075(WO,A1)
【文献】特開2010-035078(JP,A)
【文献】特開2010-073847(JP,A)
【文献】特開平07-066009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備え、
前記本体部は、
平板状の形状を有し、セラミック製の板状部と、
前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含み、
前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を含むように配置された導電領域を含み、
前記本体部は、前記板状部の厚み方向において前記第1端面とは反対側に位置する前記本体部の表面を前記板状部の厚み方向に平面的に見て、
前記本体部の表面の一部である一対の第1領域と、
前記一対の第1領域とは離れた前記本体部の表面の一部である一対の第2領域と、を含み、
前記導電部は、
前記一対の第1領域に対応するように前記本体部に接触して配置される一対の第1外部端子と、
前記一対の第2領域に対応するように前記本体部に接触して配置される一対の第2外部端子と、
前記第1外部端子および前記第2外部端子とは別に、前記板状部の厚み方向において前記第1端面とは反対側に位置する前記本体部の表面に接触して配置されるグラウンド端子と、
前記第1キャビティに面する前記本体部の表面に接触して配置される一対の第1内部端子と、
前記一対の第1内部端子と離れて前記本体部に接触して配置される一対の第2内部端子と、を含み、
前記グラウンド端子は、前記第1外部端子、前記第2外部端子、前記第1内部端子および前記第2内部端子と電気的に接続されることなく、前記導電領域と電気的に接続されており、
(A)前記一対の第1外部端子のうち一方は前記一対の第1内部端子のうち一方と、前記一対の第1外部端子のうち他方は前記一対の第1内部端子のうち他方と電気的に接続されており、
前記一対の第2外部端子のうち一方は前記一対の第2内部端子のうち一方と、前記一対の第2外部端子のうち他方は前記一対の第2内部端子のうち他方と電気的に接続されているか、
または
(B)前記一対の第1外部端子のうち一方は前記一対の第2内部端子のうち一方と、前記一対の第1外部端子のうち他方は前記一対の第2内部端子のうち他方と電気的に接続されており、
前記一対の第2外部端子のうち一方は前記一対の第1内部端子のうち一方と、前記一対の第2外部端子のうち他方は前記一対の第1内部端子のうち他方と電気的に接続されている、セラミック配線部材。
【請求項2】
前記グラウンド端子が、前記一対の第1領域のうち、一方の前記第1領域に対応する前記本体部の表面に接触し、前記一対の第1外部端子のうち一方の前記第1外部端子に隣接して配置されている、請求項1に記載のセラミック配線部材。
【請求項3】
前記グラウンド端子に隣接する前記一方の前記第1外部端子は、前記一対の第2内部端子のいずれか一方と接続されている、請求項2に記載のセラミック配線部材。
【請求項4】
前記本体部は、前記板状部の第1主面とは厚み方向において反対側に位置する第2主面上の空間である第2キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第2枠部をさらに含み、
前記一対の第1内部端子は前記第1主面に接触して配置され、
前記一対の第2内部端子は前記第2主面に接触して配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセラミック配線部材。
【請求項5】
前記導電部は、前記第1主面上に前記一対の第1内部端子と離れて配置された第3内部端子をさらに含み、
前記第3内部端子は前記一対の第2内部端子のうちの一方の前記第2内部端子と電気的に接続されている、請求項4に記載のセラミック配線部材。
【請求項6】
前記第1主面を前記板状部の厚み方向に見て、前記第3内部端子の面積は一対の第1内部端子の面積の合計よりも小さい、請求項5に記載のセラミック配線部材。
【請求項7】
前記第1主面を前記板状部の厚み方向に見て、前記第3内部端子の面積は一対の第1内部端子のうちの面積の小さい方の面積よりもさらに小さい、請求項6に記載のセラミック配線部材。
【請求項8】
前記一対の第2内部端子は、前記第1キャビティに面する前記本体部の表面に接触して配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセラミック配線部材。
【請求項9】
前記第1枠部は、
前記第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、前記板状部から立ち上がるセラミック製の枠体と、
前記枠体の前記板状部とは反対側に位置する端面上に配置された前記導電領域としての導電層と、を含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のセラミック配線部材。
【請求項10】
前記第1枠部は金属製である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のセラミック配線部材。
【請求項11】
前記第1枠部は、
前記第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、前記板状部から立ち上がるセラミック製の第1部分と、
前記第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、前記第1部分上に積み重ねられる金属製の第2部分と、を含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のセラミック配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック配線部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品を搭載可能なセラミック配線部材が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1のセラミック配線部材には、水晶振動子とサーミスタとが搭載される。水晶振動子は、金属製の蓋で封止されたキャビティ内に配置される。セラミック配線部材には、水晶振動子およびサーミスタのそれぞれに対応する複数の外部端子が形成される。そして、水晶振動子およびサーミスタのそれぞれと外部端子とが複数の電子部品用配線を介して接続される。さらに、上記蓋と外部端子とがグラウンド配線を介して接続される。このとき、グラウンド配線は、上記複数の電子部品用配線のいずれかと接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-142683公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1に開示されたセラミック配線部材では、金属製の蓋と外部端子とを接続するグラウンド配線と、複数の電子部品用配線のいずれかとが接続される。そのため、グラウンド配線と接続された電子部品用配線を通る信号は、グラウンド配線の影響を受け、不安定となるおそれがある。
【0005】
金属製の蓋で封止可能なキャビティ内に搭載される電子部品を含む複数の電子部品を搭載可能で、かつ電子部品と外部端子とを接続する電子部品用配線を通る信号の高い安定性を達成可能なセラミック配線部材を提供することが、本開示の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従ったセラミック配線部材は、本体部と、本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備える。本体部は、平板状の形状を有し、セラミック製の板状部と、板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように板状部から立ち上がる第1枠部と、を含む。第1枠部は、板状部の厚み方向において板状部とは反対側に位置する第1端面を含むように配置された導電領域を含む。本体部は、板状部の厚み方向において第1端面とは反対側に位置する本体部の表面を板状部の厚み方向に平面的に見て、本体部の表面の一部である一対の第1領域と、一対の第1領域とは離れた本体部の表面の一部である一対の第2領域と、を含む。導電部は、一対の第1領域に対応するように本体部に接触して配置される一対の第1外部端子と、一対の第2領域に対応するように本体部に接触して配置される一対の第2外部端子と、第1外部端子および第2外部端子とは別に、板状部の厚み方向において第1端面とは反対側に位置する本体部の表面に接触して配置されるグラウンド端子と、第1キャビティに面する本体部の表面に接触して配置される一対の第1内部端子と、一対の第1内部端子と離れて本体部に接触して配置される一対の第2内部端子と、を含む。グラウンド端子は、第1外部端子、第2外部端子、第1内部端子および第2内部端子と電気的に接続されることなく、上記導電領域と電気的に接続されている。(A)一対の第1外部端子のうち一方は一対の第1内部端子のうち一方と、一対の第1外部端子のうち他方は一対の第1内部端子のうち他方と電気的に接続されており、一対の第2外部端子のうち一方は一対の第2内部端子のうち一方と、一対の第2外部端子のうち他方は一対の第2内部端子のうち他方と電気的に接続されている。または、(B)一対の第1外部端子のうち一方は一対の第2内部端子のうち一方と、一対の第1外部端子のうち他方は一対の第2内部端子のうち他方と電気的に接続されており、一対の第2外部端子のうち一方は一対の第1内部端子のうち一方と、一対の第2外部端子のうち他方は一対の第1内部端子のうち他方と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
上記セラミック配線部材によれば、金属製の蓋で封止可能なキャビティ内に搭載される電子部品を含む複数の電子部品を搭載可能で、かつ電子部品と外部端子とを接続する電子部品用配線を通る信号の高い安定性を達成可能なセラミック配線部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図2図2は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図3図3は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図4図4は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の使用状態を示す概略断面図である。
図5図5は、実施の形態2におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図6図6は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図7図7は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図8図8は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図9図9は、実施の形態4におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図10図10は、実施の形態5におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図11図11は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図12図12は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図13図13は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図14図14は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の使用状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示のセラミック配線部材は、本体部と、本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備える。本体部は、平板状の形状を有し、セラミック製の板状部と、板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように板状部から立ち上がる第1枠部と、を含む。第1枠部は、板状部の厚み方向において板状部とは反対側に位置する第1端面を含むように配置された導電領域を含む。本体部は、板状部の厚み方向において第1端面とは反対側に位置する本体部の表面を板状部の厚み方向に平面的に見て、本体部の表面の一部である一対の第1領域と、一対の第1領域とは離れた本体部の表面の一部である一対の第2領域と、を含む。導電部は、一対の第1領域に対応するように本体部に接触して配置される一対の第1外部端子と、一対の第2領域に対応するように本体部に接触して配置される一対の第2外部端子と、第1外部端子および第2外部端子とは別に、板状部の厚み方向において第1端面とは反対側に位置する本体部の表面に接触して配置されるグラウンド端子と、第1キャビティに面する本体部の表面に接触して配置される一対の第1内部端子と、一対の第1内部端子と離れて本体部に接触して配置される一対の第2内部端子と、を含む。グラウンド端子は、第1外部端子、第2外部端子、第1内部端子および第2内部端子と電気的に接続されることなく、上記導電領域と電気的に接続されている。(A)一対の第1外部端子のうち一方は一対の第1内部端子のうち一方と、一対の第1外部端子のうち他方は一対の第1内部端子のうち他方と電気的に接続されており、一対の第2外部端子のうち一方は一対の第2内部端子のうち一方と、一対の第2外部端子のうち他方は一対の第2内部端子のうち他方と電気的に接続されている。または、(B)一対の第1外部端子のうち一方は一対の第2内部端子のうち一方と、一対の第1外部端子のうち他方は一対の第2内部端子のうち他方と電気的に接続されており、一対の第2外部端子のうち一方は一対の第1内部端子のうち一方と、一対の第2外部端子のうち他方は一対の第1内部端子のうち他方と電気的に接続されている。
【0010】
本開示のセラミック配線部材においては、第1内部端子および第2内部端子に含まれる各内部端子と、第1外部端子および第2外部端子に含まれる各外部端子とが、一対一の関係で電気的に接続されている。そのため、第1内部端子および第2内部端子のそれぞれに電気的に接続されるように電子部品を配置することで、複数の電子部品を本開示のセラミック配線部材に搭載することができる。また、第1内部端子が第1キャビティに面する本体部の表面に接触して配置されているため、第1枠部上に金属製の蓋を配置することで、第1内部端子上に配置される電子部品を第1キャビティ内に封止することができる。さらに、第1枠部上に金属製の蓋を配置すると、蓋とグラウンド端子とが導電領域を介して電気的に接続される一方で、グラウンド端子は第1外部端子、第2外部端子、第1内部端子および第2内部端子と電気的に接続されないため、電子部品と外部端子とを接続する電子部品用配線を通る信号が、グラウンド配線の影響を受けない。その結果、電子部品用配線を通る信号の高い安定性を達成することができる。以上のように、本開示のセラミック配線部材によれば、金属製の蓋で封止可能なキャビティ内に搭載される電子部品を含む複数の電子部品を搭載可能で、かつ電子部品と外部端子とを接続する電子部品用配線を通る信号の高い安定性を達成可能なセラミック配線部材を提供することができる。
【0011】
なお、第1枠部のうち、第1端面を含む一部のみが導電領域であってもよいし、第1枠部の全体が導電領域であってもよい。
【0012】
上記セラミック配線部材において、グラウンド端子が、上記一対の第1領域のうち、一方の第1領域に対応する本体部の表面に接触し、一対の第1外部端子のうち一方の第1外部端子に隣接して配置されていてもよい。この構成を採用することにより、電子部品が搭載されたセラミック配線部材を回路基板上に実装する際、隣接して配置されるグラウンド端子と第1外部端子とを回路基板上の同一の端子と接続する状態と、異なる端子と接続する状態とを選択することができる。その結果、幅広い設計の回路基板に対応可能なセラミック配線部材を得ることができる。
【0013】
上記セラミック配線部材において、本体部は、板状部の第1主面とは厚み方向において反対側に位置する第2主面上の空間である第2キャビティを取り囲むように板状部から立ち上がる第2枠部をさらに含んでいてもよい。一対の第1内部端子は第1主面に接触して配置されてもよい。一対の第2内部端子は第2主面に接触して配置されてもよい。
【0014】
このように、2つのキャビティのそれぞれに内部端子を配置することにより、複数の電子部品を異なるキャビティに分けて実装することができる。これにより、一方のキャビティ内に実装される電子部品の接合材が他方のキャビティ内に実装される電子部品に付着することが防止され、接合材の付着に起因する電子部品の不具合を抑制することができる。また、一方のキャビティ内のみに電子部品を実装した状態で電子部品の動作確認ができるため、他方のキャビティに電子部品を実装する前に、動作不良等を把握することができる。
【0015】
上記セラミック配線部材において、導電部は、第1主面上に一対の第1内部端子と離れて配置された第3内部端子をさらに含んでいてもよい。第3内部端子は一対の第2内部端子のうちの一方の第2内部端子と電気的に接続されていてもよい。第3内部端子と一方の第2内部端子とが電気的に接続されることにより、第1キャビティと第2内部端子とが熱的に接続される。その結果、第2内部端子上に配置される電子部品によって第1キャビティ内の温度の情報を高い精度で検知することが可能となる。
【0016】
上記セラミック配線部材において、一対の第2内部端子は、第1キャビティに面する本体部の表面に接触して配置されてもよい。この構成により、第1キャビティ内に2つの電子部品を配置することができる。
【0017】
上記セラミック配線部材において、第1枠部は、第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、板状部から立ち上がるセラミック製の枠体と、枠体の板状部とは反対側に位置する端面上に配置された導電領域としての導電層と、を含んでいてもよい。この構成により、第1枠部上に金属製の蓋を配置した場合に、当該蓋とグラウンド端子とが電気的に接続される構造を容易に達成することができる。
【0018】
上記セラミック配線部材において、第1枠部は金属製であってもよい。この構成により、第1枠部上に金属製の蓋を配置した場合に、当該蓋とグラウンド端子とが電気的に接続される構造を容易に達成することができる。
【0019】
上記セラミック配線部材において、第1枠部は、第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、板状部から立ち上がるセラミック製の第1部分と、第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、第1部分上に積み重ねられる金属製の第2部分と、を含んでいてもよい。この構成により、第1枠部上に金属製の蓋を配置した場合に、当該蓋とグラウンド端子とが電気的に接続される構造を容易に達成することができる。
【0020】
[実施形態の具体例]
次に、本開示のセラミック配線部材の具体的な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。図2および図3は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。図1は、図2および図3の線分I-Iに沿う断面に対応する図である。図4は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の使用状態を示す概略断面図である。なお、以下の図面においては、配線による端子同士の接続態様の理解を容易にする観点から、配線の位置、形状は概略的に表現されている。
【0022】
図1図3を参照して、本実施の形態のセラミック配線部材1は、本体部10と、本体部10に接触して配置され、導電体から構成される導電部30とを備えている。本体部10は、板状部11と、第1枠部12と、第2枠部13とを含んでいる。板状部11は、セラミック製である。板状部11は、平板状の形状を有している。板状部11の形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態において、板状部11の平面形状(第1主面11Aに対して垂直な方向;Z軸方向に見た形状)は、四角形(長方形)である(図2および図3参照)。第1枠部12は、板状部11の第1主面11Aから立ち上がる環状の部分である。第1枠部12は、板状部11の第1主面11A上の空間である第1キャビティ21を取り囲む。Z軸方向に見た第1枠部12の形状は、板状部11の外周面に沿う四角形(長方形)である(図2および図3参照)。第2枠部13は、板状部11の第2主面11Bから立ち上がる環状の部分である。第2枠部13は、板状部11の第2主面11B上の空間である第2キャビティ22を取り囲む。第2枠部13は、セラミック製である。Z軸方向に見た第2枠部13の形状は、板状部11の外周面に沿う四角形(長方形)である(図2および図3参照)。
【0023】
第1枠部12は、第1キャビティ21を取り囲む枠状の形状を有し、板状部11から立ち上がるセラミック製の枠体121と、枠体121の板状部11とは反対側に位置する端面上に配置された導電領域としての導電層122と、を含んでいる。導電層122は、板状部11の厚み方向(Z軸方向)において板状部11とは反対側に位置する第1端面12Aを含むように配置される。すなわち、導電層122は第1端面12Aを構成する。板状部11、枠体121および第2枠部13を構成するセラミックは、特に限定されるものではないが、たとえば酸化アルミニウム(Al)を採用することができる。また、本体部10を構成するセラミックは、焼結助剤として二酸化珪素(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化マンガン(MnO)および酸化バリウム(BaO)からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0024】
本体部10は、板状部11の厚み方向(Z軸方向)において第1端面12Aとは反対側に位置する本体部10の表面をZ軸方向に平面的に見て、本体部10の表面の一部である一対の第1領域131A,131Bと、一対の第1領域131A,131Bとは離れた本体部10の表面の一部である一対の第2領域132A,132Bと、を含んでいる。本実施の形態では、第1領域131A,131Bおよび第2領域132A,132Bは、Z軸方向見て四角形状の形状を有する第2枠部13の角部に配置されている。より具体的には、一対の第1領域131A,131Bが、四角形状の形状を有する第2枠部13の対角線上に位置する角部に配置されている。一対の第2領域132A,132Bは、四角形状の形状を有する第2枠部13の対角線上に位置し、一対の第1領域131A,131Bが配置される角部とは異なる角部に配置されている。
【0025】
導電部30は、第1外部入力端子31Aと、第1外部出力端子31Bと、第2外部入力端子32Aと、第2外部出力端子32Bと、グラウンド端子33と、第1内部入力端子36Aと、第1内部出力端子36Bと、第2内部入力端子37Aと、第2内部出力端子37Bと、を含んでいる。第1外部入力端子31Aは、一方の第1領域131Aに対応するように第2枠部13の板状部11とは反対側の端面13Aに接触して配置されている。第1外部出力端子31Bは、他方の第1領域131Bに対応するように第2枠部13の端面13Aに接触して配置されている。第2外部入力端子32Aは、一方の第2領域132Aに対応するように第2枠部13の端面13Aに接触して配置されている。第2外部出力端子32Bは、他方の第2領域132Bに対応するように第2枠部13の端面13Aに接触して配置されている。グラウンド端子33は、他方の第2領域132Bに対応するように第2枠部13の端面13Aに接触して配置されている。グラウンド端子33は、他方の第2領域132Bに対応する領域に、第2外部出力端子32Bに隣接して配置されている。図3に示す本実施の形態ではグラウンド端子33が角部に配置され、第2外部出力端子32Bはグラウンド端子33から見て第1外部出力端子31Bの側(図3においてグラウンド端子33の左側)に隣接して配置されている。第2外部出力端子32Bが角部に配置され、グラウンド端子33が第2外部出力端子32Bの左隣に配置されていてもよい。
【0026】
第1内部端子としての第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bは、第1キャビティ21に面する本体部10の表面に接触して配置されている。より具体的には、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bは、板状部11の第1主面11Aに接触して配置されている。第2内部端子としての第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bは、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bと離れて本体部10に接触して配置されている。より具体的には、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bは、板状部11の第2主面11Bに接触して配置されている。
【0027】
グラウンド端子33は、第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32B、第1内部入力端子36A、第1内部出力端子36B、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bと電気的に接続されることなく、グラウンド配線としての配線55により導電層122と電気的に接続されている。
【0028】
第1内部入力端子36Aと第1外部入力端子31Aとは、電子部品用配線としての配線52により電気的に接続されている。第1内部出力端子36Bと第1外部出力端子31Bとは、電子部品用配線としての配線51により電気的に接続されている。第2内部入力端子37Aと第2外部入力端子32Aとは、電子部品用配線としての配線53により電気的に接続されている。第2内部出力端子37Bと第2外部出力端子32Bとは、電子部品用配線としての配線54により電気的に接続されている。
【0029】
なお、本実施の形態では、上記のように端子間を電子部品用配線が接続する構造が採用されるが、上記接続に代えて、第1内部入力端子36Aと第2外部入力端子32Aとが、電子部品用配線により接続されてもよい。第1内部出力端子36Bと第2外部出力端子32Bとが、電子部品用配線により電気的に接続されてもよい。第2内部入力端子37Aと第1外部入力端子31Aとが、電子部品用配線により電気的に接続されてもよい。第2内部出力端子37Bと第1外部出力端子31Bとが、電子部品用配線により電気的に接続されてもよい。導電部30、導電層122および配線51,52,53,54,55は、たとえばW(タングステン)、Mo(モリブデン)およびCu(銅)の少なくともいずれか1つを含む導電体から構成される。
【0030】
上記本実施の形態のセラミック配線部材1においては、各内部端子36A,36B,37A,37Bと、各外部端子31A,31B,32A,32Bとが、一対一の関係で電気的に接続されている。そのため、図4に示すように、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36B上に、たとえば圧電振動素子である水晶振動子71を配置することができる。水晶振動子71を共振させるための電圧は外部端子31Aと31Bの間に印加される。また、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37B上に、たとえばサーミスタ72を配置することができる。サーミスタ72の抵抗を計測するための電圧は外部端子32Aと32Bの間に印加される。サーミスタ72の抵抗は温度によって変化する。このように、本実施の形態のセラミック配線部材1は、複数の電子部品を搭載可能なセラミック配線部材となっている。また、第1枠部12の第1端面12A上に金属製の蓋81を配置することで、水晶振動子71を第1キャビティ21内に気密状態で封止することができる。さらに、第1枠部12の第1端面12A上に金属製の蓋81を配置すると、蓋81とグラウンド端子33とが導電層122および配線55を介して電気的に接続される。一方、グラウンド端子33は第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32B、第1内部入力端子36A、第1内部出力端子36B、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bと電気的に接続されない。そのため、水晶振動子71およびサーミスタ72と外部端子31A,31B,32A,32Bとを接続する電子部品用配線51,52,53,54を通る信号が、グラウンド配線としての配線55の影響を受けない。その結果、電子部品用配線51,52,53,54を通る信号の高い安定性を達成することが可能となっている。以上のように、本実施の形態のセラミック配線部材1は、金属製の蓋81で封止可能な第1キャビティ21内に搭載される水晶振動子71を含む複数の電子部品(水晶振動子71およびサーミスタ72)を搭載可能で、かつ電子部品(水晶振動子71およびサーミスタ72)と外部端子31A,31B,32A,32Bとを接続する電子部品用配線51,52,53,54を通る信号の高い安定性を達成可能なセラミック配線部材となっている。
【0031】
なお、蓋81と第1枠部12の第1端面12A(導電層122)とは、溶接、ロウ付け、圧接など任意の方法で接合することができる。
【0032】
また、水晶振動子71の発信周波数は温度の影響を受ける。図4のように水晶振動子71と温度を検知する素子であるサーミスタ72とを単一のセラミック配線部材1上に搭載することにより、サーミスタ72にて検知した温度に基づいて水晶振動子71を駆動することにより、水晶振動子71を適切に動作させることができる。
【0033】
さらに、本実施の形態のセラミック配線部材1においては、グラウンド端子33が、他方の第2領域132Bに対応する領域に、第2外部出力端子32Bに隣接して配置されている。本開示において、グラウンド端子33と第2外部出力端子32Bなどの他の端子とは必ずしも隣接して配置される必要はないが、このように隣接して配置することにより、水晶振動子71およびサーミスタ72を搭載したセラミック配線部材1を回路基板上に実装する際、隣接して配置されるグラウンド端子と第2外部出力端子32Bとを回路基板上の同一の端子と接続する状態と、異なる端子と接続する状態とを選択することができる。その結果、本実施の形態のセラミック配線部材1は、幅広い設計の回路基板に対応可能なセラミック配線部材となっている。なお、図3を参照して、グラウンド端子33を第2領域132Bに対応する領域において第2外部出力端子32Bに隣接して配置するため、Z軸方向に見た第2外部出力端子32Bの面積は、他の外部端子(第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A)に比べて小さくなっている。
【0034】
図4に示すように水晶振動子71とサーミスタ72とを配置する場合、第1外部入力端子31Aと第1外部出力端子31Bは水晶振動子71に接続される。第1外部入力端子31Aと第1外部出力端子31Bは従来と同等の面積を維持しているため、水晶振動子71の動作確認を行うための検査端子との接触不良が生じにくい。
【0035】
次に、本実施の形態のセラミック配線部材1の製造方法の一例を概略的に説明する。本実施の形態のセラミック配線部材1の製造方法では、まず本体部10となるべきグリーンシートが準備される。具体的には、本体部10を構成するセラミックの主成分であるAl粉末と、焼結助剤であるSiO、CaO、MgO、MnOおよびBaOからなる群から選択される少なくとも1つの粉末と、樹脂、溶剤等とをボールミルにて混合し、スラリーを得る。このスラリーを、ドクターブレード法によりグリーンシートに加工する。これにより、本体部10となるべきグリーンシートが得られる。ここで、図1を参照して、板状部11となるべきグリーンシートとして平面形状が矩形のグリーンシートが複数枚準備される。また、第1枠部12および第2枠部13となるべきグリーンシートも複数枚準備される。第1枠部12および第2枠部13となるべきグリーンシートとしては、矩形の平面形状を有し、第1キャビティ21および第2キャビティ22に対応する部分(中央部)が除去された環状のグリーンシートが準備される。
【0036】
次に、準備されたグリーンシートに、導電部30、導電層122および配線51,52,53,54,55となるべきペーストが印刷される。具体的には、まずW、MoおよびCuの少なくともいずれか1つの金属成分と、添加材、樹脂、溶剤などとを配合し、さらに必要に応じてセラミック粉末を添加し、混錬することによりペーストを作成する。金属成分は粉末であってよい。
【0037】
このペーストを、先に準備されたグリーンシートに、たとえばスクリーン印刷により印刷する。このとき、図1図3を参照して、導電部30、導電層122および配線51,52,53,54,55のうち、X-Y平面内で広がる、または延びるものについてはグリーンシートの表面に上記ペーストを印刷し、Z軸方向に延びるものについてはグリーンシートを厚み方向に貫通する貫通孔を形成し、当該貫通孔を上記ペーストにて充填する。その後、ペーストが印刷されたグリーンシートが乾燥され、積層されることにより、積層体が得られる。そして、この積層体が焼成されることにより、セラミック配線部材1が得られる。
【0038】
(実施の形態2)
次に、本開示の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。図5は、実施の形態1の図1に対応する図である。
【0039】
実施の形態2のセラミック配線部材1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。しかし、図5および図1を参照して、実施の形態2のセラミック配線部材1は、実施の形態1のセラミック配線部材1に対して、さらなる端子および配線が設けられる点において実施の形態1とは異なっている。
【0040】
図5を参照して、実施の形態2のセラミック配線部材1の導電部30は、第1主面11A上に第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bと離れて配置された第3内部端子38をさらに含んでいる。第3内部端子38は、一対の第2内部端子37A,37Bのうちの一方、より具体的には第2内部出力端子37Bと配線56を介して電気的に接続されている。
【0041】
本実施の形態のセラミック配線部材1では、第1主面11A上に位置する第3内部端子38と第2内部出力端子37Bとが配線56を介して電気的に接続されている。これにより、第1主面11A上に位置する第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36B上に配置される水晶振動子71から放出される熱が、第3内部端子38、配線56および第2内部出力端子37Bを介してサーミスタ72へと伝わる。その結果、水晶振動子71の温度をより高い精度でサーミスタ72にて検知することが可能となっている。第3内部端子38は、第2内部出力端子37Bではなく第2内部入力端子37Aと配線を介して電気的に接続されていてもよい。第3内部端子38の面積を、第1内部入力端子36Aの面積と第1内部出力端子36Bの面積の合計よりも小さくしてもよい。第3内部端子38の熱容量が小さくなるため、水晶振動子71の温度の検出感度が高まる。第3内部端子38の面積を、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bのうち、面積の小さい方よりも小さくしてもよい。この構成により、第3内部端子38の熱容量が小さくなるため、水晶振動子71の温度の検出感度がさらに高まる。
【0042】
なお、第3内部端子38、配線56および第2内部出力端子37Bの電気的接続は、上記の通り電流の経路を確保することを目的とするものではなく、熱的接続を目的とするものである。
【0043】
(実施の形態3)
次に、本開示のさらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。図7および図8は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。図6図7および図8は、実施の形態1における図1図2および図3に対応する図である。
【0044】
実施の形態3のセラミック配線部材1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。しかし、図6図8および図1図3を参照して、実施の形態3のセラミック配線部材1は、グラウンド端子33の配置およびそれに伴う配線の配置において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0045】
図6図8を参照して、本実施の形態のセラミック配線部材1においては、グラウンド端子33は、他方の第1領域131Bに対応する領域に、第1外部出力端子31Bに隣接して配置されている。図8を参照して、グラウンド端子33を第1領域131Bに対応する領域において第1外部出力端子31Bに隣接して配置するため、Z軸方向に見た第1外部出力端子31Bの面積は、他の外部端子(第1外部入力端子31A、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32B)に比べて小さくなっている。
【0046】
本実施の形態のセラミック配線部材1においても、グラウンド端子33は第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32B、第1内部入力端子36A、第1内部出力端子36B、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bと電気的に接続されない。そのため、水晶振動子71およびサーミスタ72と外部端子31A,31B,32A,32Bとを接続する電子部品用配線51,52,53,54を通る信号が、グラウンド配線としての配線55の影響を受けない。その結果、電子部品用配線51,52,53,54を通る信号の高い安定性を達成することが可能となっている。その結果、本実施の形態のセラミック配線部材1は、実施の形態1の場合と同様に、金属製の蓋81で封止可能な第1キャビティ21内に搭載される水晶振動子71を含む複数の電子部品(水晶振動子71およびサーミスタ72)を搭載可能で、かつ電子部品(水晶振動子71およびサーミスタ72)と外部端子31A,31B,32A,32Bとを接続する電子部品用配線51,52,53,54を通る信号の高い安定性を達成可能なセラミック配線部材となっている。
【0047】
(実施の形態4)
次に、本開示のさらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図9は、実施の形態4におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。図9は、実施の形態1における図1に対応する図である。
【0048】
実施の形態4のセラミック配線部材1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。しかし、図9および図1を参照して、実施の形態4のセラミック配線部材1は、第1枠部の構造において、実施の形態1とは異なっている。
【0049】
図9および図1を参照して、本実施の形態のセラミック配線部材1においては、実施の形態1の枠体121および導電層122に代えて、第1枠部としての金属製の金属枠14が採用される。すなわち、本実施の形態における第1枠部は金属製である。別の観点から説明すると、本実施の形態における第1枠部の全体が導電領域である。金属枠14を構成する金属は、特に限定されるものではないが、たとえばコバールなど、本体部10を構成するセラミックとの線膨張係数の差の小さい合金を採用することができる。一方、板状部11の第1主面11A上には、板状部11の外周に沿う環状に導電層122が配置される。そして、グラウンド配線としての配線55は、金属枠14とグラウンド端子33とを導電層122を介して電気的に接続する。
【0050】
このような構成によっても、金属枠14の板状部11とは反対側の端面である第1端面14A上に金属製の蓋81を配置することで、電子部品(たとえば水晶振動子71)を第1キャビティ21内に気密状態で封止することができる。さらに、金属枠14の第1端面14A上に金属製の蓋81を配置すると、蓋81とグラウンド端子33とが金属枠14、導電層122および配線55を介して電気的に接続される。その結果、本実施の形態の構造を採用したセラミック配線部材1においても、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(実施の形態5)
次に、本開示のさらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図10は、実施の形態5におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。図10は、実施の形態1における図1に対応する図である。
【0052】
実施の形態5のセラミック配線部材1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。しかし、図10および図1を参照して、実施の形態5のセラミック配線部材1は、第1枠部の構造において、実施の形態1とは異なっている。
【0053】
図10および図1を参照して、本実施の形態のセラミック配線部材1における第1枠部12は、第1キャビティ21を取り囲む枠状の形状を有し、板状部11から立ち上がるセラミック製の枠体121と、枠体121の板状部11とは反対側に位置する端面上に配置された導電領域としての導電層122と、導電層122上に積層された金属枠14とを含む。すなわち、第1枠部12は、第1キャビティを取り囲む枠状の形状を有し、板状部11から立ち上がるセラミック製の第1部分としての枠体121と、第1キャビティ21を取り囲む枠状の形状を有し、枠体121上に積み重ねられる金属製の第2部分としての導電層122および金属枠14とを含む。このような構成によっても、第1枠部12の板状部11とは反対側の端面である第1端面12A上(金属枠14上)に金属製の蓋81を配置することで、電子部品(たとえば水晶振動子71)を第1キャビティ21内に気密状態で封止することができる。さらに、第1端面12A上に金属製の蓋81を配置すると、蓋81とグラウンド端子33とが金属枠14、導電層122および配線55を介して電気的に接続される。その結果、本実施の形態の構造を採用したセラミック配線部材1においても、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(実施の形態6)
次に、本開示のさらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。図11は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。図12および図13は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。図11は、図12および図13の線分XI-XIに沿う断面に対応する図である。図14は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の使用状態を示す概略断面図である。
【0055】
実施の形態6のセラミック配線部材1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。しかし、図11図14および図1図4を参照して、実施の形態6のセラミック配線部材1は、枠体の配置および内部端子の配置において、実施の形態1とは異なっている。
【0056】
図11図13を参照して、本実施の形態の本体部10は、板状部11と、第1枠部12とを含んでおり、第2枠部13を含んでいない。第1枠部12は、第1キャビティ21を取り囲む枠状の形状を有し、板状部11から立ち上がるセラミック製の下側枠部15と、下側枠部15上に積層される上側枠部16とを含んでいる。上側枠部16は、セラミック製の枠体161と、枠体161の下側枠部15とは反対側に位置する端面上に配置された導電領域としての導電層162と、を含んでいる。Z軸方向に見て、下側枠部15の幅は、上側枠部16の幅よりも大きい。その結果、第1キャビティ21内に、板状部11の第1主面11Aおよび下側枠部15の板状部11とは反対側の端面15Aの一部が露出する。
【0057】
第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bは、第1キャビティ21内に露出する下側枠部15の端面15A上に配置される。第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bは、第1キャビティ21内に露出する板状部11の第1主面11A上に配置される。すなわち、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bは、第1キャビティ21に面する本体部10の表面に接触して配置されている。
【0058】
本体部10は、板状部11の厚み方向(Z軸方向)において第1端面12Aとは反対側に位置する本体部10の表面をZ軸方向に平面的に見て、本体部10の表面の一部である一対の第1領域131A,131Bと、一対の第1領域131A,131Bとは離れた本体部10の表面の一部である一対の第2領域132A,132Bと、を含んでいる。Z軸方向に見た第1領域131A,131Bおよび第2領域132A,132Bの配置は実施の形態1の場合と同様であるが、本実施の形態においては第2枠部13が存在しないため、第1領域131A,131Bおよび第2領域132A,132Bは、板状部11の角部に配置されている。第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32Bおよびグラウンド端子33は、実施の形態1の場合と同様に、第1領域131A,131Bおよび第2領域132A,132Bに対応するように板状部11の第2主面11Bに接触して配置されている。そして、第1内部入力端子36A、第1内部出力端子36B、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bと、第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32Aおよび第2外部出力端子32Bとは、実施の形態1の場合と同様に電子部品用配線としての配線51,52,53,54によって電気的に接続されている。グラウンド端子33と導電層162とは、グラウンド配線としての配線55によって電気的に接続されている。
【0059】
上記本実施の形態のセラミック配線部材1においても、各内部端子36A,36B,37A,37Bと、各外部端子31A,31B,32A,32Bとが、一対一の関係で電気的に接続されている。そのため、図14に示すように、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36B上に、たとえば水晶振動子71を配置することができる。また、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37B上に、たとえばサーミスタ72を配置することができる。このように、本実施の形態のセラミック配線部材1は、複数の電子部品を搭載可能なセラミック配線部材となっている。また、第1枠部12の第1端面12A上に金属製の蓋81を配置することで、水晶振動子71およびサーミスタ72を第1キャビティ21内に気密状態で封止することができる。さらに、第1枠部12の第1端面12A上に金属製の蓋81を配置すると、蓋81とグラウンド端子33とが導電層162および配線55を介して電気的に接続される。一方、グラウンド端子33は第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32B、第1内部入力端子36A、第1内部出力端子36B、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bと電気的に接続されない。そのため、水晶振動子71およびサーミスタ72と外部端子31A,31B,32A,32Bとを接続する電子部品用配線51,52,53,54を通る信号が、グラウンド配線としての配線55の影響を受けない。その結果、電子部品用配線51,52,53,54を通る信号の高い安定性を達成することが可能となっている。以上のように、本実施の形態のセラミック配線部材1は、金属製の蓋81で封止可能な第1キャビティ21内に搭載される水晶振動子71およびサーミスタ72を含む複数の電子部品を搭載可能で、かつ電子部品(水晶振動子71およびサーミスタ72)と外部端子31A,31B,32A,32Bとを接続する電子部品用配線51,52,53,54を通る信号の高い安定性を達成可能なセラミック配線部材となっている。
【0060】
なお、上記実施の形態においては、セラミック配線部材1に搭載可能な電子部品の一例として水晶振動子71およびサーミスタ72を例示したが、本開示のセラミック配線部材に搭載可能な電子部品はこれらに限られない。たとえば、サーミスタ72に代えて、集積回路(Integrated Circuit;IC)がセラミック配線部材1の第2内部端子37A,37B上に搭載されてもよい。ICはサーミスタを内蔵していてもよい。第2内部端子37A,37Bはサーミスタと接続されていてもよい。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 セラミック配線部材、10 本体部、11 板状部、11A 第1主面、11B 第2主面、12 第1枠部、12A 第1端面、13 第2枠部、13A 端面、14 金属枠、14A 第1端面、15 下側枠部、15A 端面、16 上側枠部、21 第1キャビティ、22 第2キャビティ、30 導電部、31A 第1外部入力端子、31B 第1外部出力端子、32A 第2外部入力端子、32B 第2外部出力端子、33 グラウンド端子、36A 第1内部入力端子、36B 第1内部出力端子、37A 第2内部入力端子、37B 第2内部出力端子、38 第3内部端子、51~56 配線、71 水晶振動子、72 サーミスタ、81 蓋、121 枠体、122 導電層、131A,131B 第1領域、132A,132B 第2領域、161 枠体、162 導電層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14