(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】探査方法、探査システム、制御装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20240919BHJP
G01S 13/88 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G01V3/12 B
G01S13/88 200
(21)【出願番号】P 2023504881
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2021008917
(87)【国際公開番号】W WO2022190158
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】西山 大策
(72)【発明者】
【氏名】日吉 健至
(72)【発明者】
【氏名】小林 大樹
(72)【発明者】
【氏名】田端 みずき
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-090433(JP,A)
【文献】特開2018-040615(JP,A)
【文献】特開2005-345118(JP,A)
【文献】特開平02-179492(JP,A)
【文献】国際公開第03/076916(WO,A1)
【文献】特開平03-235084(JP,A)
【文献】特開2007-322254(JP,A)
【文献】特開2001-220992(JP,A)
【文献】特開平06-235638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0227577(US,A1)
【文献】特開2018-115952(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1670488(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42 、13/00 -13/95 、
G01V 1/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機を、複数のマンホール間を連通させる
塩化ビニル製の管路内に配設するステップと、
前記電磁波を発信するステップと、
前記電磁波の反射波である反射電磁波を受信するステップと、
前記反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから前記反射電磁波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算するステップと、
前記電磁波受発信機における前記管路との当接面の、水平面に対する角度を検出するステップと、
前記強度分布を示す分布図を生成するステップと、
前記分布図を反射電磁波に対応する前記角度だけ傾けて表示するステップと、
を含む探査方法。
【請求項2】
前記電磁波受発信機を移動させるステップと、
前記電磁波受発信機が前記管路内で基準位置から移動した移動距離にさらに基づいて、前記反射電磁波の前記強度分布を演算するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の探査方法。
【請求項3】
前記電磁波受発信機を移動させるステップは
、牽引機によって、前記電磁波受発信機を移動させるステップを含む、請求項2に記載の探査方法。
【請求項4】
複数のマンホール間を連通させる
塩化ビニル製の管路内で、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機と、
前記反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから前記反射電磁波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算する制御装置と、を備え
、
前記電磁波受発信機は、該電磁波受発信機における前記管路との当接面の、水平面に対する角度をさらに検出し、
前記制御装置は、前記強度分布を示す分布図を生成し、該分布図を反射電磁波に対応する前記角度だけ傾けて表示する探査システム。
【請求項5】
前記電磁波受発信機を一定の速度で移動させる牽引機をさらに備え、
前記制御装置は、前記牽引機によって、前記電磁波受発信機が前記管路内で基準位置から移動した移動距離にさらに基づいて、前記反射電磁波の前記強度分布を演算する、請求項4に記載の探査システム。
【請求項6】
複数のマンホール間を連通させる
塩化ビニル製の管路内に配設された電磁波受発信機から発信された電磁波の反射波である反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから該電磁波の反射波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算
し、前記強度分布を示す分布図を生成し、前記電磁波受発信機における前記管路との当接面の、水平面に対する角度に基づいて、前記分布図を反射電磁波に対応する前記角度だけ傾けて表示する制御装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項
6に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、探査方法、探査システム、制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の陥没を防止し、地下の社会インフラ設備を安全に確保するために、地下空間における空洞及び埋設物の位置を正確に特定する必要があり、特に、構造物が密集している状態にある都市部の地下空間においては、空洞及び埋設物の位置をより正確に特定することが求められている。したがって、定期的に、あるいは、地下空間の工事前に、空洞及び埋設物の位置を特定するために、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に記載されているように、地上から電磁波を地中に放出し、該電磁波の反射波を受信することによって、空洞及び埋設物の位置を特定することが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「地中レーダー技術に関する調査検討会 報告書」,地中レーダー技術に関する調査検討会,平成29年3月
【0004】
【文献】”関東地質調査業協会|技術の部屋_ニュースの言葉|技術ニュース78 地中レーダ探査”,[online],[令和3年2月9日検索],インターネット<URL:http://www.kanto-geo.or.jp/various/technologyRoom/TR2_wotn_78_1.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような技術においては、地上に鉄道軌道等の支障物がある場合に、該支障物が障害となって、電磁波を地中に発信することができず、地下の空洞及び埋設物の位置を特定することが困難であることがある。
【0006】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、地上に支障物がある場合においても、地下の空洞及び埋設物の位置を特定することができる探査方法、探査システム、制御装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示に係る探査方法は、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機を、複数のマンホール間を連通させる管路内に配設するステップと、前記電磁波を発信するステップと、前記電磁波の反射波である反射電磁波を受信するステップと、前記反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから前記反射電磁波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算するステップと、を含む。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本開示に係る探査システムは、複数のマンホール間を連通させる管路内で、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機と、前記反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから前記反射電磁波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算する制御装置と、を備える。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本開示に係る制御装置は、複数のマンホール間を連通させる管路内に配設された電磁波受発信機から発信された電磁波の反射波である反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから該電磁波の反射波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算する。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本開示に係るプログラムは、コンピュータを、上述した制御装置として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る探査方法、探査システム、制御装置、及びプログラムによれば、地上に支障物がある場合においても、地下の空洞及び埋設物の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る探査システムの全体概略図である。
【
図2】
図1に示す電磁波受発信機が地下の管路に配設された状態の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示す表示部によって表示される、電磁波の強度分布を示す分布図の一例である。
【
図4】
図1に示す探査システムによる探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】第2の実施形態に係る探査システムの全体概略図である。
【
図6】
図5に示す電磁波受発信機が地下の管路に配設された状態の一例を示す図である。
【
図7】
図5に示す探査システムによる探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】第3の実施形態に係る探査システムの全体概略図である。
【
図9】
図8に示す電磁波受発信機が地下の管路に配設された状態の一例を示す図である。
【
図10A】
図8に示す探査システムによる探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図10B】
図8に示す探査システムによる探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】第4の実施形態に係る探査システムの全体概略図である。
【
図12】
図11に示す電磁波受発信機が地下の管路に配設された状態の一例を示す図である。
【
図13】
図11に示す制御装置の表示部によって表示される、電磁波の強度分布を示す分布図の一例である。
【
図14A】
図11に示す探査システムによる探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図14B】
図11に示す探査システムによる探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図15】第3及び第4の実施形態に係る制御装置のハードウェアブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
<<第1の実施形態>>
<探査システムの機能構成>
図1を参照して第1の実施形態の全体構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る探査システム100の概略図である。
【0015】
第1の実施形態に係る探査システム100は、電磁波受発信機1と、情報処理装置2とを備える。電磁波受発信機1と情報処理装置2とは、有線又は無線の通信ネットワークを介して互いに情報を送受信する。
【0016】
電磁波受発信機1は、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する。電磁波受発信機1は、例えば、電磁波探査機のプローブであり、ボアホールレーダとすることができる。
図2に示すように、電磁波受発信機1は、地下に設けられた、複数のマンホールMHの間を連通させる管路PL内に配設される。マンホールMHは、上水道、下水道、電気、ガス、通信等のインフラ施設の保守を行う作業者が入る地下空間を画定する設備である。管路PLは、金属ではない材料、例えば、塩化ビニルによって形成されている。
【0017】
具体的には、電磁波受発信機1は、作業者によって、管路PLの一方側の端部(以降、「管路入口」という)側(
図2の例では、左側のマンホールMHの方)から管路PL内に挿入されて配設される。電磁波受発信機1は、作業者によって、管路PL内で配設し直されことによって移動してもよい。
【0018】
図1に示すように、電磁波受発信機1は、電磁波発信部11と、電磁波受信部12と、通信部13とを備える。電磁波発信部11及び電磁波受信部12は、アンテナを含んで構成される。通信部13は、通信インターフェースによって構成される。
【0019】
電磁波発信部11は、作業者によって駆動命令が入力されると、電磁波を発信する。電磁波発信部11によって発信される電磁波は、50MHz~4.5GHzの周波数帯域の電磁波である。駆動命令は、電磁波受発信機1に入力されてもよいし、情報処理装置2に入力されて、情報処理装置2から電磁波受発信機1に送信されてもよい。
【0020】
電磁波受信部12は、電磁波を受信する。具体的には、電磁波受信部12は、電磁波発信部11によって発信された電磁波の反射波である反射電磁波を受信する。
【0021】
通信部13は、有線又は無線の通信ネットワークを介して、各時点おける、電磁波受信部12によって受信された反射電磁波の強度と、電磁波の往復伝播時間とを示す電磁波情報を情報処理装置2に送信する。往復伝播時間は、電磁波受発信機1が該電磁波を発信してから、該電磁波の反射波である反射電磁波を受信するまでの時間である。通信部13が有線の通信ネットワークを介して電磁波情報を情報処理装置2に送信する構成においては、作業者が、探査の実行を完了した後に有線の通信ネットワークを構成する通信ケーブルを管路入口側から引っ張ることによって、電磁波受発信機1を管路PLから取り出すことができる。なお、上述した「時点」とは、基準時点から経過した時間であってもよいし、時刻であってもよい。基準時点は、例えば、情報処理装置2に駆動命令が入力された時点である。
【0022】
情報処理装置2は、例えば、電磁波探査機の本体である。情報処理装置2は、通信部21と、入力部22と、記憶部23と、演算部24と、表示部25とを備える。通信部21は、通信インターフェースによって構成される。記憶部23は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ等のメモリによって構成される。演算部24は、制御部(コントローラ)を構成する。制御部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。表示部25は、液晶パネル、有機EL等の表示インターフェースによって構成される。
【0023】
通信部21は、電磁波受発信機1の通信部13から、有線又は無線の通信ネットワークを介して電磁波情報を受信する。また、電磁波受発信機1の駆動命令が情報処理装置2に入力される構成において、通信部21は、入力された駆動命令を電磁波受発信機1に送信する。
【0024】
入力部22は、電磁波受発信機1が、管路PL内で基準位置から移動した移動距離Laを示す移動距離情報の入力を受け付ける。基準位置は、管路PL内の任意の所定の位置であり、
図2に示す例では管路入口である。移動距離情報は、作業者によって入力されてもよいし、他の任意の方法によって入力されてもよい。移動距離情報が作業者によって入力される構成において、作業者は、電磁波受発信機1に取り付けられた紐状の部材に設けられた目盛りを目視することにより、各時点における移動距離Laを計測してもよい。
【0025】
記憶部23は、通信部21によって受信された電磁波情報を記憶する。記憶部23は、入力部22によって入力が受け付けられた移動距離情報を記憶する。
【0026】
演算部24は、反射電磁波の強度と、電磁波が発信されてから反射電磁波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、反射電磁波の強度分布を演算する。以降において、演算部24が強度分布を演算する処理の詳細を説明する。
【0027】
演算部24は、電磁波情報に含まれる、各時点における電磁波の往復伝播時間に基づいて、電磁波受発信機1から電磁波が反射された位置までの距離(電磁波到達距離)Lbを算出する。具体的には、演算部24は、電磁波の伝播速度と往復伝播時間とに基づいて電磁波到達距離Lbを算出する。さらに具体的には、演算部24は、電磁波到達距離Lbを、(電磁波伝播速度v×往復伝播時間)/2と算出する。ここで、電磁波伝播速度vは、以下の式(1)によって算出される。なお、式(1)において、Cは真空中での光の速度であり、εsは電磁波が伝播する媒体の比誘電率である。
【0028】
【0029】
そして、演算部24は、上述のように算出された、各時点における電磁波到達距離Lb、及び電磁波情報に含まれる各時点における反射電磁波の強度に基づいて、電磁波到達距離Lbと反射電磁波の強度との関係である電磁波の強度分布を演算する。
【0030】
このとき、演算部24は、電磁波受発信機1が管路PL内で基準位置から移動した移動距離Laにさらに基づいて、電磁波の強度分布を演算してもよい。具体的には、演算部24は、移動距離情報に示される移動距離Laにさらに基づいて、各時点において移動距離Laと、電磁波到達距離Lbと、反射電磁波の強度との関係である電磁波の強度分布を演算してもよい。
【0031】
例えば、演算部24は、
図3に示すような、電磁波到達距離Lbと移動距離Laとに対する、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを生成してもよい。具体的には、演算部24は、移動距離Laと、電磁波到達距離Lbとに対応する箇所に、反射電磁波の強度を輝度で示した分布
図DMを生成してもよい。
【0032】
表示部25は、演算部24によって演算された、反射電磁波の強度分布を表示する。上述したように、演算部24が分布
図DMを生成する構成において、表示部25は、演算部24によって生成された分布
図DMを表示してもよい。
【0033】
<探査方法>
ここで、第1の実施形態に係る探査方法について、
図4を参照して説明する。
図4は、第1の実施形態に係る探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【0034】
ステップS11において、作業者が、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機1を、複数のマンホールMH間を連通させる管路PL内に配設する。
【0035】
ステップS12において、作業者が、電磁波受発信機1を駆動させるための駆動命令を入力する。
【0036】
ステップS13において、作業者によって入力された駆動命令に基づいて、電磁波受発信機1が電磁波を発信する。
【0037】
ステップS14において、電磁波受発信機1が、電磁波の反射波である反射電磁波を受信する。
【0038】
ステップS15において、通信部13が有線又は無線の通信ネットワークを介して電磁波情報を情報処理装置2に送信する。
【0039】
ステップS16において、情報処理装置2が、電磁波情報を受信する。
【0040】
ステップS17において、情報処理装置2が、電磁波情報を記憶する。
【0041】
以降における任意のタイミングであるステップS18において、情報処理装置2が、電磁波情報に示される反射電磁波の強度に基づいて、反射電磁波の強度分布を演算する。また、情報処理装置2は、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを生成してもよい。
【0042】
ステップS19において、情報処理装置2が、電磁波の強度分布を表示する。情報処理装置2が分布
図DMを生成する構成において、情報処理装置2は、分布
図DMを表示してもよい。
【0043】
なお、ステップ14以降の任意のタイミングで、作業者が、管路PL内で電磁波受発信機1を配設し直すことによって、該電磁波受発信機1を移動させてもよい。この場合、探査システム100はステップS13に戻って処理を繰り返す。
【0044】
また、ステップS11以降であってステップS18の前までのいずれかのタイミングにおいて、作業者が、基準位置から電磁波受発信機1までの距離である移動距離Laを示す移動距離情報を情報処理装置2に入力し、情報処理装置2が移動距離情報の入力を受け付けてもよい。このような構成では、ステップS19において、情報処理装置2が、各時点において電磁波受発信機1が管路内PLにおいて基準位置から移動した移動距離Laにさらに基づいて、反射電磁波の強度分布を演算する。
【0045】
上述したように、第1の実施形態によれば、探査システム100は、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機1を、複数のマンホールMH間を連通させる管路PL内に配設する。このため、地上に支障物がある場合においても、地中の空洞及び埋設物の位置を特定することができる。
【0046】
<<第2の実施形態>>
<探査システムの機能構成>
図5を参照して第2の実施形態の全体構成について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る探査システム101の概略図である。第2の実施形態における、第1の実施形態と同一の機能部については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態に係る探査システム101は、電磁波受発信機1と、情報処理装置2と、引張部材3とを備える。
【0048】
引張部材3は、電磁波受発信機1に一端が固定して取り付けられている。引張部材3は任意の素材によって形成されており、引張部材3は地中の管路PLを貫通可能な任意の形状を有することができる。引張部材3は、例えば、金属ワイヤであってもよい。
【0049】
図6に示すように、引張部材3の他端は、作業者によって管路PLの一方側の端部(管路入口)から他方側の端部(以降、「管路出口」という)に貫通され、電磁波受発信機1は、作業者によって管路PLに配設される。このとき、電磁波受発信機1における管路PLとの当接面に潤滑剤が塗布されていてもよい。潤滑剤は、流動性ポリマー、油等の低摩擦の流動体である。そして、作業者は、引張部材3の他端を引っ張ることによって、電磁波受発信機1を移動させる。
【0050】
<探査方法>
ここで、第2の実施形態に係る探査方法について、
図7を参照して説明する。
図7は、第2の実施形態に係る探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【0051】
ステップS21において、作業者が、電磁波受発信機1に一端が固定して取り付けられている引張部材3の他端を管路PLに貫通させる。
【0052】
ステップS22において、作業者が、電磁波受発信機1における管路PLとの当接面に潤滑剤を塗布する。
【0053】
ステップS23において、作業者が、潤滑剤が塗布された電磁波受発信機1を管路PL内に配設する。
【0054】
ステップS24において、作業者が、電磁波受発信機1を駆動させるための駆動命令を入力する。
【0055】
ステップS25において、作業者が、引張部材3を引っ張ることによって、管路PL内で電磁波受発信機1を移動させる。
【0056】
ステップS24以降、電磁波受発信機1が、作業者によって移動されながら、ステップS26からステップS28の処理を実行する。また、情報処理装置2が、ステップS29からステップS32の処理を実行する。ステップS26からステップS32の処理は、第1の実施形態におけるステップS13からステップS19の処理と同一である。
【0057】
なお、ステップS22の処理は、実行されなくてもよい。また、ステップS22の処理の後にステップS21の処理が実行されてもよい。
【0058】
上述したように、第2の実施形態によれば、作業者が電磁波受発信機1に一端が取り付けられた引張部材3を引っ張るため、第1の実施形態に比べて広範囲にわたって電磁波受発信機1を移動させることができる。したがって、探査システム101は、広範囲にわたって空洞又は埋設物等の位置を特定することができる。
【0059】
また、第2の実施形態によれば、電磁波受発信機1における管路PLとの当接面に潤滑剤が塗布されるため、電磁波受発信機1と管路PLとの間の摩擦力が軽減され、電磁波受発信機1を効率的に移動させることができる。したがって、探査システム101は、広範囲にわたって効率的に空洞又は埋設物等の位置を特定することができる。
【0060】
<<第3の実施形態>>
<探査システムの機能構成>
図8を参照して第3の実施形態の全体構成について説明する。
図8は、第3の実施形態に係る探査システム102の概略図である。第3の実施形態における、第2の実施形態と同一の機能部については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0061】
第2の実施形態に係る探査システム102は、電磁波受発信機1と、情報処理装置2-1と、引張部材3と、牽引機4と、制御装置5とを備える。
【0062】
情報処理装置2-1は、通信部21と、記憶部23と、演算部24と、表示部25とを備える。第3の実施形態における情報処理装置2-1は、第1及び第2の実施形態における情報処理装置2とは異なり、入力部22を備えなくてもよい。
【0063】
牽引機4は、複数のマンホール間を連通させる管路PL内で、電磁波受発信機1を移動させる。牽引機4は、制御部41と、牽引部42と、通信部43とを備える。制御部41は、ASIC、FPGA等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。牽引部42は、引張部材3を引っ張ることができるウインチ等によって構成される。通信部43は、通信インターフェースによって構成される。
【0064】
制御部41は、各時点において、管路内PLでの基準位置からそれぞれ移動距離Laとなる位置に電磁波受発信機1を移動させるように牽引部42を制御する。例えば、制御部41は、牽引部42が電磁波受発信機1に一端が固定して取り付けられている引張部材3を管路PLの他方側の端部(以降、「管路出口」という)側から牽引するように、牽引部42を制御してもよい。また、制御部41は、電磁波受発信機1を一定の速度で移動させるように牽引部42を制御してもよい。
【0065】
牽引部42は、制御部41の制御に基づいて電磁波受発信機1を移動させる。牽引部42は、電磁波受発信機1を一定の速度で移動させてもよい。本例では、牽引部42は、
図9に示すような、電磁波受発信機1に一端が固定して取り付けられている引張部材3を、管路出口側から牽引することによって、管路出口の方へ電磁波受発信機1を移動させる。
図9に示す例では、管路出口は、管路PLにおける右側のマンホールMH側の端部である。
【0066】
通信部43は、制御部41による牽引部42の制御に基づいて、各時点における電磁波受発信機1の移動距離Laを示す移動距離情報を制御装置5に送信する。
【0067】
図8に示すように、制御装置5は、通信部51と、取得部52と、記憶部53と、演算部54と、表示部55とを備える。通信部51は、通信インターフェースによって構成される。取得部52は、通信インターフェース又は入力インターフェースによって構成される。記憶部53は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ等のメモリによって構成される。演算部54は、制御部を構成する。制御部は、ASIC、FPGA等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。表示部55は、液晶パネル、有機EL等の表示インターフェースによって構成される。
【0068】
通信部51は、牽引機4の通信部43によって送信された移動距離情報を受信する。
【0069】
取得部52は、情報処理装置2-1から電磁波情報を取得する。具体的には、取得部52は、情報処理装置2-1から電磁波情報を受信してもよいし、任意の方法により、情報処理装置2-1が受信した電磁波情報の入力を受け付けてもよい。
【0070】
記憶部53は、通信部51によって受信された移動距離情報を記憶する。また、記憶部53は、取得部52によって取得された電磁波情報を記憶する。
【0071】
演算部54は、第1及び第2の実施形態の演算部24と同じく、反射電磁波の強度、及び電磁波が発信されてから受信されるまでの往復伝播時間に基づいて、反射電磁波の強度分布を演算する。また、演算部54は、牽引機4によって、電磁波受発信機1が管路PL内で基準位置から移動した移動距離Laにさらに基づいて、電磁波の強度分布を演算してもよい。
【0072】
具体的には、まず、演算部54は、第1及び第2の実施形態における情報処理装置2の演算部24と同様に、電磁波情報に含まれる往復伝播時間に基づいて、各時点において受信された反射電磁波の電磁波到達距離Lbを算出する。そして、演算部54は、移動距離情報に示される各時点における移動距離Laと、各時点において受信された反射電磁波の電磁波到達距離Lb及び反射電磁波の強度とに基づいて、移動距離La、電磁波到達距離Lb、及び反射電磁波の強度の関係である電磁波の強度分布を演算する。例えば、演算部54は、電磁波到達距離Lbと移動距離Laとに対する、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを生成してもよい。
【0073】
表示部55は、演算部54によって演算された、反射電磁波の強度分布を表示する。上述したように、演算部54が分布
図DMを生成する構成において、表示部55は、演算部54によって生成された分布
図DMを表示してもよい。
【0074】
<探査方法>
ここで、第3の実施形態に係る探査方法について、
図10A及び
図10Bを参照して説明する。
図10A及び
図10Bは、第3の実施形態に係る探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【0075】
作業者がステップS41からステップS44の処理を実行する。ステップS41からステップS44の処理は、第2の実施形態のそれぞれステップS21からステップS24の処理と同一である。
【0076】
ステップS45において、作業者が、牽引機4に電磁波受発信機1を移動させるための牽引命令を入力する。
【0077】
ステップS44で、駆動命令が入力されると、電磁波受発信機1がステップS46からステップS48の処理を実行し、情報処理装置2-1がステップS49及びステップS50の処理を実行する。ステップS46からステップS50の処理は、第2の実施形態のそれぞれステップS26からステップS30の処理と同一である。
【0078】
ステップS45で、牽引命令が入力されると、ステップS51において、牽引機4が、一定の速度で引張部材3を引っ張ることによって、管路PL内で電磁波受発信機1を一定の速度で移動させる。
【0079】
ステップS52において、牽引機4が、引張部材3を牽引することによって、各時点において、電磁波受発信機1を移動させた移動距離Laを示す移動距離情報を制御装置5に送信する。
【0080】
ステップS53において、制御装置5が、牽引機4によって送信された移動距離情報を受信する。
【0081】
ステップS54において、制御装置5が、移動距離情報を記憶する。
【0082】
また、ステップS49及びS50で情報処理装置2-1によって電磁波情報が受信され、記憶されると、ステップS55において、制御装置5は、任意の方法により、該電磁波情報を取得する。
【0083】
ステップS56において、制御装置5が、電磁波情報を記憶する。
【0084】
以降における任意のタイミングであるステップS57において、制御装置5が、電磁波の強度分布を演算する。このとき、制御装置5が、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを生成してもよい。
【0085】
ステップS58において、制御装置5が、電磁波の強度分布を表示する。情報処理装置2-1が、電磁波の強度分布を表示する。制御装置5が、分布
図DMを生成する構成において、制御装置5は、分布
図DMを表示してもよい。
【0086】
なお、ステップS42の処理は、実行されなくてもよい。また、ステップS42の処理の後にステップS41の処理が実行されてもよい。
【0087】
上述したように、第3の実施形態によれば、探査システム102は、複数のマンホールMHを連通させる管路PL内で、電磁波受発信機1を牽引することによって移動させる牽引機4を備える。牽引機4は、人力より大きな力で電磁波受発信機1を牽引することができ、これにより効率的に広範にわたって電磁波受発信機1を移動させることができる。したがって、探査システム102は、第2の実施形態の探査システム101に比べて広範にわたって空洞及び埋設物の位置を特定することができる。
【0088】
また、第3の実施形態によれば、牽引機4の制御に基づく移動距離情報に基づいて、電磁波の強度分布を演算する。第3の実施形態において、移動距離情報は、電磁波受発信機1を移動させる牽引機4を制御装置5の制御に基づく情報であるため、第1及び第2の実施形態のような、作業者によって入力された移動距離情報に比べて精度が高い。このため、制御装置5は、高い精度の移動距離情報に基づいて、高い精度で電磁波の強度分布を演算することができる。したがって、探査システム102は、高い精度で空洞又は埋設物等の位置を特定することができる。
【0089】
また、第3の実施形態によれば、牽引機4は、所望の速度又は一定の速度で電磁波受発信機1を移動させるため、制御装置5は、各時点における電磁波受発信機1の管路内PLでの基準位置からの移動距離Laを高い精度で特定することができる。このため、制御装置5は、高い精度の移動距離情報に基づいて、高い精度で電磁波の強度分布を演算することができる。したがって、探査システム102は、高い精度で空洞又は埋設物等の位置を特定することができる。
【0090】
なお、第3の実施形態においても、電磁波受発信機1における管路PLとの当接面には、潤滑剤が塗布されていてもよい。これにより、牽引機4は、より小さい駆動力により電磁波受発信機1を移動させることができ、牽引機4の作動負荷を低減させることができる。
【0091】
<<第4の実施形態>>
<探査システムの機能構成>
図11を参照して第4の実施形態の全体構成について説明する。
図11は、第4の実施形態に係る探査システム103の概略図である。第4の実施形態における、第3の実施形態と同一の機能部については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0092】
第4の実施形態に係る探査システム103は、電磁波受発信機1-2と、情報処理装置2-2と、引張部材3と、牽引機4と、制御装置5-2とを備える。
【0093】
電磁波受発信機1-2は、第1から第3の実施形態の電磁波受発信機1と同じく、電磁波を発信して該電磁波の反射波である電磁波を受信する。電磁波受発信機1-2は、ボアホールレーダとすることができる。
図12に示すように、電磁波受発信機1-2は、地中に設けられた、複数のマンホールMH間を連通させる、水平方向から角度θ、傾いている部分を有する管路PL内に配設される。
図12に示す例において、管路PLは、水平方向に延伸している部分と、水平方向から角度θ1、傾いて延伸している部分と、水平方向から角度θ2、傾いて延伸している部分とを有している。
【0094】
図11に示すように、電磁波受発信機1-2は、電磁波発信部11と、電磁波受信部12と、通信部13-2と、角度検出部14とを備える。
【0095】
角度検出部14は、ジャイロセンサ等のセンサによって構成される。角度検出部14は、電磁波受発信機1-2における管路PLとの当接面の、水平面に対する角度θを検出する。
【0096】
通信部13-2は、電磁波受信部12によって受信された電磁波の強度、及び該電磁波の往復伝播時間を示す電磁波情報と、電磁波を受信したときに角度検出部14によって検出された角度θを示す角度情報とを情報処理装置2-2に送信する。
【0097】
情報処理装置2-2は、通信部21-2と、記憶部23-2と、演算部24と、表示部25とを備える。
【0098】
通信部21-2は、電磁波受発信機1-2の通信部13-2から、有線又は無線の通信ネットワークを介して電磁波情報及び角度情報を受信する。
【0099】
記憶部23-2は、通信部21-2によって受信された電磁波情報及び角度情報を記憶する。
【0100】
制御装置5-2は、通信部51と、取得部52-2と、記憶部53-2と、演算部54-2と、表示部55-2とを備える。取得部52-2は、通信インターフェース又は入力インターフェースによって構成される。記憶部53-2は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ等のメモリによって構成される。演算部54-2は、制御部を構成する。制御部は、ASIC、FPGA等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。表示部55-2は、液晶パネル、有機EL等の表示インターフェースによって構成される。
【0101】
取得部52-2は、情報処理装置2-2から電磁波情報及び角度情報を取得する。具体的には、取得部52-2は、情報処理装置2-2から電磁波情報及び角度情報を受信してもよいし、任意の方法により情報処理装置2-2が受信した電磁波情報及び角度情報の入力を受け付けてもよい。
【0102】
記憶部53-2は、通信部51によって受信された移動距離情報を記憶する。また、記憶部53-2は、取得部52-2によって取得された電磁波情報及び角度情報を記憶する。
【0103】
演算部54-2は、反射電磁波の強度、及び電磁波が発信されてから受信されるまでの往復伝播時間に基づいて、反射電磁波の強度分布を演算する。また、演算部54-2は、電磁波受発信機1-2が管路PL内で基準位置から移動した移動距離Laにさらに基づいて、電磁波の強度分布を演算してもよい。そして、演算部54-2は、電磁波到達距離Lbと移動距離Laとに対する、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを生成する。演算部54-2が、強度分布を演算し、分布
図DMを生成する方法は、第3の実施形態における演算部54-2が強度分布を演算し、分布
図DMを生成する方法と同一である。
【0104】
表示部55-2は、角度情報に基づいて分布
図DMを表示する。具体的には、
図13に示すように、表示部55-2は、電磁波受発信機1-2の移動距離Laに対応した、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを、角度情報において反射電磁波に対応する角度θだけ傾けて表示する。
【0105】
図13に示す例では、表示部55-2は、0以上La1未満の移動距離Laに対応する分布
図DM0を角度0だけ傾けて(傾けずに)表示する。表示部55-2は、La1以上La2未満の移動距離Laに対応する分布
図DM1を角度θ1だけ傾けて表示する。同様にして、表示部55-2は、La2以上La3未満の移動距離Laに対応する分布
図DM2を角度θ2、傾けて表示する。
【0106】
<探査方法>
ここで、第4の実施形態に係る探査方法について、
図14A及び
図14Bを参照して説明する。
図14A及び
図14Bは、第4の実施形態に係る探査方法の一例を示すシーケンス図である。
【0107】
作業者が、ステップS61からステップS65の処理を実行する。ステップS61からステップS65の処理は、第3の実施形態のステップS41からステップS45の処理と同一である。
【0108】
ステップS64で駆動命令が入力されると、電磁波受発信機1-2がステップS66及びステップS67の処理を実行する。ステップS66及びステップS67の処理は、第3の実施形態におけるステップS46及びステップS47の処理と同一である。
【0109】
ステップS68において、電磁波受発信機1-2は、該電磁波受発信機1-2における管路PLとの当接面の、水平面に対する角度θを検出する。
【0110】
ステップS69において、電磁波受発信機1-2は、電磁波情報及び角度情報を情報処理装置2-2に送信する。
【0111】
ステップS70において、情報処理装置2-2は、電磁波情報及び角度情報を電磁波受発信機1-2から受信する。
【0112】
ステップS71において、情報処理装置2-2は、電磁波情報及び角度情報を記憶する。
【0113】
次に、牽引機4が、ステップS72及びステップS73の処理を実行し、制御装置5-2が、ステップS74及びステップS75の処理を実行する。ステップS72からステップS75の処理は、第3の実施形態のステップS51からステップS54の処理と同一である。
【0114】
また、ステップS70及びステップS71で情報処理装置2-2によって電磁波情報及び角度情報が受信され、記憶されると、ステップS76において、制御装置5-2は、任意の方法により、電磁波情報及び角度情報を取得する。
【0115】
ステップS77において、制御装置5-2が、電磁波情報及び角度情報を記憶する。
【0116】
以降における任意のタイミングであるステップS78において、制御装置5-2が、電磁波の強度分布を演算する。具体的には、制御装置5-2が、反射電磁波の強度分布を示す分布
図DMを生成する。
【0117】
ステップS79において、制御装置5-2が、電磁波の強度分布を角度情報に基づいて表示する。具体的には、制御装置5-2は、角度情報に示される角度θ、傾けて分布
図DMを表示する。
【0118】
なお、ステップS62の処理は、実行されなくてもよい。また、ステップS62の処理の後にステップS61の処理が実行されてもよい。
【0119】
上述したように、第4の実施形態によれば、電磁波受発信機1-2は、該電磁波受発信機1-2における管路PLとの当接面の、水平面に対する角度θをさらに検出し、情報処理装置2-2は、角度θに基づいて電磁波情報を表示する。そのため、電磁波受発信機1-2が水平方向から傾いた方向に配設されている状態で電磁波を計測した場合も、表示部55-2によって表示される反射強度分布の方向を実空間又は設計図における方向に対応させることができる。したがって、作業者は、実空間又は設計図における空洞及び埋設物の位置を容易に特定することができる。
【0120】
なお、第4の実施形態では、管路PLにおける、一方のマンホール側の端部と、他方のマンホール側との端部とに高度差がある場合、作業者は、高度の高い側の端部から電磁波受発信機1-2を管路PLに挿入することによって電磁波受発信機1-2を配設し、牽引機4が高度の低い側の端部に向かって電磁波受発信機1-2を移動させてもよい。これにより、牽引機4は、より小さい駆動力により電磁波受発信機1-2を移動させることができ、牽引機4の作動負荷を低減させることができる。
【0121】
また、第4の実施形態においても、電磁波受発信機1-2における管路PLとの当接面には、潤滑剤が塗布されていてもよい。これにより、牽引機4は、より小さい駆動力により電磁波受発信機1-2を移動させることができ、牽引機4の作動負荷を低減させることができる。
【0122】
<<プログラム>>
上述した制御装置5及び5-2として機能させるために、それぞれプログラム命令を実行可能なコンピュータ600を用いることも可能である。
図15は、制御装置5及び5-2としてそれぞれ機能するコンピュータ600の概略構成を示すブロック図である。ここで、コンピュータ600は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッド等であってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメント等であってもよい。同一にして、制御装置5及び5-2として機能させるために、それぞれプログラム命令を実行可能なコンピュータ600を用いることも可能であり、制御装置5及び5-2として機能させるために、それぞれプログラム命令を実行可能なコンピュータ600を用いることも可能である。
【0123】
<<ハードウェア構成>>
図15に示すように、コンピュータ600は、プロセッサ610と、ROM(Read Only Memory)620と、RAM(Random Access Memory)630と、ストレージ640と、入力部650と、出力部660と、通信インターフェース(I/F)670と、を備える。各構成は、バス680を介して相互に通信可能に接続されている。プロセッサ610は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System on a Chip)等であり、同種又は異種の複数のプロセッサにより構成されてもよい。
【0124】
プロセッサ610は、各構成の制御、及び各種の演算処理を実行する。すなわち、プロセッサ610は、ROM620又はストレージ640からプログラムを読み出し、RAM630を作業領域としてプログラムを実行する。プロセッサ610は、ROM620又はストレージ640に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を実行する。第1から第4の実施形態では、ROM620又はストレージ640に、本開示に係るプログラムが格納されている。
【0125】
プログラムは、コンピュータ600が読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータ600にインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性(non-transitory)の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0126】
ROM620は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM630は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ640は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データを格納する。
【0127】
入力部650は、ユーザの入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく情報を取得する1つ以上の入力インターフェースを含む。例えば、入力部650は、ポインティングデバイス、キーボード、マウス等であるが、これらに限定されない。
【0128】
出力部660は、情報を出力する1つ以上の出力インターフェースを含む。例えば、出力部660は、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカを制御するが、これらに限定されない。
【0129】
通信インターフェース670は、外部の装置等の他の機器と通信するためのインターフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0130】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0131】
(付記項1)
電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信する電磁波受発信機を、複数のマンホール間を連通させる管路内に配設するステップと、
前記電磁波を発信するステップと、
前記電磁波の反射波である反射電磁波を受信するステップと、
前記反射電磁波の強度、及び前記電磁波が発信されてから受信されるまでの往復伝播時間に基づいて前記反射電磁波の強度分布を演算するステップと、
を含む探査方法。
(付記項2)
前記電磁波受発信機を移動させるステップと、
前記電磁波受発信機が前記管路内で基準位置から移動した移動距離にさらに基づいて、前記反射電磁波の前記強度分布を演算するステップと、
をさらに含む、付記項1に記載の探査方法。
(付記項3)
前記電磁波受発信機を移動させるステップは、前記牽引機によって、前記電磁波受発信機を移動させるステップを含む、付記項2に記載の探査方法。
(付記項4)
複数のマンホール間を連通させる管路内で、電磁波を発信して該電磁波の反射波である反射電磁波を受信するアンテナを含む電磁波受発信機と、
前記管路内で、前記電磁波受発信機を移動させる牽引機と、
前記反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから前記反射電磁波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算する制御装置と、を備える探査システム。
(付記項5)
前記電磁波受発信機を一定の速度で移動させる牽引機をさらに備え、
前記制御装置は、前記牽引機によって、前記電磁波受発信機が前記管路内で基準位置から移動した移動距離にさらに基づいて、前記反射電磁波の前記強度分布を演算する、付記項4に記載の探査システム。
(付記項6)
前記電磁波受発信機は、該電磁波受発信機における前記管路との当接面の、水平面に対する角度を検出するセンサをさらに含み、
前記制御装置は、前記強度分布を示す分布図を生成する、付記項4又は5に記載の探査システム。
(付記項7)
複数のマンホール間を連通させる管路内に配設された電磁波受発信機から発信された電磁波の反射波である反射電磁波の強度と、前記電磁波が発信されてから該電磁波の反射波が受信されるまでの往復伝播時間とに基づいて、前記反射電磁波の強度分布を演算する制御装置。
(付記項8)
コンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、前記コンピュータを付記項7に記載の制御装置として機能させるプログラムを記憶した非一時的記憶媒体。
【0132】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0133】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0134】
1、1-2 電磁波受発信機
2、2-1、2-2 情報処理装置
3 引張部材
4 牽引機
5、5-2 制御装置
11 電磁波発信部
12 電磁波受信部
13、13-2 通信部
14 角度検出部
21、21-2 通信部
22 入力部
23、23-2 記憶部
24 演算部
25 表示部
41 制御部
42 牽引部
43 通信部
51 通信部
52、52-2 取得部
53、53-2 記憶部
54、54-2 演算部
55、55-2 表示部
100、101、102、103 探査システム
600 コンピュータ
610 プロセッサ
620 ROM
630 RAM
640 ストレージ
650 入力部
660 出力部
670 通信インターフェース(I/F)
680 バス