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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】処理液供給装置および処理液供給方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240919BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240919BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240919BHJP
   G01F 23/263 20220101ALN20240919BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20240919BHJP
【FI】
H01L21/30 564Z
B05C11/10
B05C11/00
G01F23/263
B05C5/00 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020216815
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102211
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】一野 克憲
(72)【発明者】
【氏名】船越 秀朗
(72)【発明者】
【氏名】梶原 正幸
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046269(JP,A)
【文献】特開2007-103895(JP,A)
【文献】特開2006-216743(JP,A)
【文献】特開2017-011159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05C 11/10
B05C 11/00
G01F 23/26
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に供給する処理液を収容する液源容器と、
前記液源容器よりも下流に設けられ、前記液源容器からの前記処理液を一時的に貯留する貯留部と、
前記液源容器と前記貯留部とを接続する接続管と、
を有し、
前記貯留部の容量は、前記液源容器における前記処理液の最大収容量よりも大きく、
前記接続管の前記液源容器側の端部である先端部は、前記液源容器と前記貯留部との間で前記処理液の送液が行われていない場合に封止可能であり、
前記接続管の前記先端部は、前記液源容器の内面との接触によって封止される、処理液供給装置。
【請求項2】
前記接続管は、前記先端部に外方へ広がる環状の鍔部を有している、請求項に記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記接続管の前記先端部に、外部に対する前記接続管の開閉状態を切り替える開閉機構を有する、請求項1または2に記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記液源容器内に配置される前記接続管を洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給部をさらに有する、請求項1~のいずれか一項に記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記液源容器内の前記処理液の水位を検出する水位検出部をさらに有する、請求項1~のいずれか一項に記載の処理液供給装置。
【請求項6】
前記水位検出部は、前記液源容器に対して着脱可能であって、前記液源容器の側壁に高さ方向に沿って複数配列することが可能な、前記処理液の有無を検知するセンサを含む、請求項に記載の処理液供給装置。
【請求項7】
前記水位検出部による検出結果に基づいて、前記液源容器と前記接続管との相対位置を調整する位置調整部をさらに含む、請求項またはに記載の処理液供給装置。
【請求項8】
前記位置調整部は、前記接続管の前記先端部から所定の長さが前記処理液内に入った状態が維持されるように、前記液源容器と前記接続管との相対位置を調整する、請求項に記載の処理液供給装置。
【請求項9】
基板に供給する処理液を収容する液源容器と、前記液源容器における前記処理液の最大収容量よりも大きな容量を有し、前記液源容器からの前記処理液を一時的に貯留する貯留部と、の間を接続管によって送液することと、
前記液源容器と前記貯留部との間で前記処理液の送液が行われていない場合に、前記接続管の前記液源容器側の端部である先端部を、前記液源容器の内面との接触により封止することと、を含む、処理液供給方法。
【請求項10】
前記接続管の前記先端部から所定の長さが前記処理液内に入った状態が維持されるように、前記液源容器と前記接続管との相対位置を調整することをさらに含む、請求項に記載の処理液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理液供給装置および処理液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ボトルの処理液をトラップタンクで貯留した後に吐出ノズルへ向けて供給する構成において、ボトルの交換時にトラップタンク内のエア抜きが行われることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-223393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板へ供給する処理液の特性の変化を防ぐための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による処理液供給装置は、基板に供給する処理液を収容する液源容器と、前記液源容器よりも下流に設けられ、前記液源容器からの前記処理液を一時的に貯留する貯留部と、前記液源容器と前記貯留部とを接続する接続管と、を有し、前記貯留部の容量は、前記液源容器における前記処理液の最大収容量よりも大きく、前記接続管の前記液源容器側の端部である先端部は、前記液源容器と前記貯留部との間で前記処理液の送液が行われていない場合に封止可能である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板へ供給する処理液の特性の変化を防ぐための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、塗布・現像装置の内部構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、液処理ユニットの構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、処理液供給部の一例を示す模式図である。
図5図5は、制御装置のハードウェア上の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、補充部の構成の一例を示す模式図である。
図7図7は、処理液量が変化した場合の補充部の構成の一例を示す模式図である。
図8図8(a)、図8(b)は、接続管の先端形状の一例を示す模式図である。
図9図9は、補充部における処理液供給手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、処理液供給手順における補充部の動作の一例を示す模式図である。
図11図11は、処理液供給手順における補充部の動作の一例を示す模式図である。
図12図12は、処理液供給手順における補充部の動作の一例を示す模式図である。
図13図13(a)、図13(b)は、接続管の先端部の変形例を示す模式図である。
図14図14(a)、図14(b)は、補充部の構成の変形例を示す模式図である。
図15図15(a)、図15(b)は、補充部の構成の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態に係る処理液供給装置は、基板に供給する処理液を収容する液源容器と、前記液源容器よりも下流に設けられ、前記液源容器からの前記処理液を一時的に貯留する貯留部と、前記液源容器と前記貯留部とを接続する接続管と、を有し、前記貯留部の容量は、前記液源容器における前記処理液の最大収容量よりも大きく、前記接続管の前記液源容器側の端部である先端部は、前記液源容器と前記貯留部との間で前記処理液の送液が行われていない場合に封止可能である。
【0010】
上記の処理液供給装置によれば、貯留部の容量が液源容器における処理液の最大収容量よりも大きいため、液源容器からの処理液を貯留部へ一度に移送することができる。また、液源容器と貯留部との間で処理液の送液が行われていない場合に接続管の先端部が封止可能であるため、接続管内または接続管を介して貯留部内の処理液が、処理液以外の気体等と触れることが防がれるため、処理液の特性の変化を防ぐことができる。
【0011】
前記接続管の前記先端部は、前記液源容器の内面との接触によって封止される態様としてもよい。
【0012】
この場合、液源容器の内面に先端部が触れることで封止可能となるため、複雑な機構を設けることなく先端部を封止することができる。
【0013】
前記接続管は、前記先端部に外方へ広がる環状の鍔部を有している態様としてもよい。
【0014】
上記の構成を有している場合、より簡単な構成で先端部の封止を実現することができる。
【0015】
前記接続管の前記先端部に、外部に対する前記接続管の開閉状態を切り替える開閉機構を有する態様としてもよい。
【0016】
上記のように、開閉機構が設けられていることで、例えば液源容器の交換時にも接続管の開閉を制御することが可能となるため、適切なタイミングで先端部の封止を行うことが可能となる。
【0017】
前記液源容器内に配置される前記接続管を洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給部をさらに有する態様としてもよい。
【0018】
上記のように液源容器内に配置される接続管を洗浄するための洗浄液供給部を有することで、例えば、液源容器の交換時に接続管の洗浄が可能となり、交換前の処理液が付着した状態で液源容器の交換が行われることが防がれる。
【0019】
前記液源容器内の前記処理液の水位を検出する水位検出部をさらに有する態様としてもよい。
【0020】
上記のように液源容器内の処理液の水位を検出する構成を有していることで、接続管の先端部と処理液の水位との位置関係を把握することが可能となる。したがって、例えば、接続管の先端部に処理液以外の流体が入り込む可能性を事前に検知することができる。
【0021】
前記水位検出部は、前記液源容器に対して着脱可能であって、前記液源容器の側壁に高さ方向に沿って複数配列することが可能な、前記処理液の有無を検知するセンサを含む態様としてもよい。
【0022】
上記のように、水位検出部が液源容器に対して着脱可能であることで、液源容器を交換した場合でも水位検出部によって水位の検出を容易に行うことができる。また、水位検出部が液源容器の側壁に高さ方向に沿って複数配列することが可能なセンサを含んでいることで、液源容器の外部から水位を検出することが可能となり、水位検出部が処理液と触れること等が防がれる。
【0023】
前記水位検出部による検出結果に基づいて、前記液源容器と前記接続管との相対位置を調整する位置調整部をさらに含む態様としてもよい。
【0024】
上記のように水位の検出結果に基づいて、位置調整部によって液源容器と接続管との相対位置を調整する構成とすることで、例えば、接続管の先端部に処理液以外の流体が入り込まないように位置を調整することが可能となる。そのため、上記の構成によれば、処理液の特性の変化が生じる可能性を低減させることができる。
【0025】
前記位置調整部は、前記接続管の前記先端部から所定の長さが前記処理液内に入った状態が維持されるように、前記液源容器と前記接続管との相対位置を調整する態様としてもよい。
【0026】
上記のように、接続管の先端部から所定の長さが処理液内に入った状態が維持されるように調整することで、例えば、接続管の外面に付着する処理液の量を減らすことができる。
【0027】
一つの例示的実施形態に係る処理液供給方法は、基板に供給する処理液を収容する液源容器と、前記液源容器における前記処理液の最大収容量よりも大きな容量を有し、前記液源容器からの前記処理液を一時的に貯留する貯留部と、の間を接続管によって送液することと、前記液源容器と前記貯留部との間で前記処理液の送液が行われていない場合に、前記接続管の前記液源容器側の端部である先端部を封止することと、を含む。
【0028】
上記の処理液供給方法によれば、貯留部の容量が液源容器における処理液の最大収容量よりも大きいため、液源容器からの処理液を貯留部へ一度に移送することができる。また、液源容器と貯留部との間で処理液の送液が行われていない場合に接続管の先端部が封止されるため、接続管内または接続管を介して貯留部内の処理液が、処理液以外の気体等と触れることが防がれるため、処理液の特性の変化を防ぐことができる。
【0029】
前記接続管の前記先端部から所定の長さが前記処理液内に入った状態が維持されるように、前記液源容器と前記接続管との相対位置を調整することをさらに含む態様としてもよい。
【0030】
上記のように、接続管の先端部から所定の長さが処理液内に入った状態が維持されるように調整することで、例えば、接続管の外面に付着する処理液の量を減らすことができる。
【0031】
[例示的実施形態]
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0032】
[基板処理システム]
まず、図1図5を参照して一実施形態に係る基板処理システムを説明する。図1に示される基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、および当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象のワークW(基板)は、例えば半導体用の基板である。基板としては、一例として、シリコンウェハである。ワークWは円形に形成されてもよい。また、処理対象のワークWは、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよい。ワークWは、一部が切り欠かれた切欠部を有していてもよい。切欠部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。また、感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0033】
基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、ワークW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ワークW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0034】
[基板処理装置]
以下、基板処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。図1および図2に示されるように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御装置100とを備える。
【0035】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのワークWの導入および塗布・現像装置2内からのワークWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。
【0036】
処理ブロック5は、複数の処理モジュール11,12,13,14を有する。処理モジュール11,12,13,14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送アームを含む搬送装置A3とを内蔵している。
【0037】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2によりワークWの表面上に下層膜を形成する。処理モジュール11の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークW上に塗布する。処理モジュール11の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0038】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。処理モジュール12の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜の上に塗布する。処理モジュール12の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0039】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。処理モジュール13の液処理ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。処理モジュール13の熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0040】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。液処理ユニットU1は、露光済みのワークWの表面上に現像液を塗布する。また、液処理ユニットU1は、塗布された現像液をリンス液により洗い流す。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0041】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0042】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0043】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0044】
制御装置100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このワークWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0045】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの表面上に下層膜を形成するように液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、下層膜が形成されたワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0046】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの下層膜上にレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0047】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0048】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。その後制御装置100は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0049】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御し、このワークWのレジスト膜に現像処理を施すように液処理ユニットU1および熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7および搬送装置A1を制御する。以上で塗布・現像処理が完了する。
【0050】
なお、基板処理装置の具体的な構成は、以上に例示した塗布・現像装置2の構成に限られない。基板処理装置は、ワークWに処理液を吐出して液処理を行う液処理ユニットと、これを制御可能な制御装置とを備えていればどのようなものであってもよい。
【0051】
(液処理ユニット)
続いて、図3および図4を参照して、処理モジュール12における液処理ユニットU1の一例について詳細に説明する。液処理ユニットU1は、回転保持部20と、処理液供給部30と、を備える。
【0052】
回転保持部20は、制御装置100の動作指示に基づき、ワークWを保持して回転させる。回転保持部20は、保持部21と、駆動部22とを備える。保持部21は、表面Waを上方に向けて水平に配置されたワークWの中心部を支持し、当該ワークWを吸着(例えば真空吸着)等により保持する。駆動部22は、例えば電動モータ等を動力源とした回転アクチュエータであり、鉛直な回転軸周りに保持部21を回転させる。これにより、鉛直な回転軸周りにワークWが回転する。
【0053】
処理液供給部30は、回転保持部20に回転保持されたワークWに処理液を供給する。処理液供給部30は、図3および図4に示されるように、吐出部40と、送液部60と、補充部50と、を備える。補充部50が、本実施形態における処理液供給装置に対応する構成を有している。
【0054】
吐出部40は、ワークWの表面Waに向けて処理液を吐出する。吐出部40は、ノズル41と、送液管42とを備える。ノズル41は、ワークWに処理液を吐出する。ノズル41は、図3に示されるように、例えば、ワークWの上方に配置され、処理液を下方に吐出する。送液管42は、ノズル41まで処理液を導く。ノズル41からワークWに向けて処理液が吐出されることで、ワークWに処理液が塗布(供給)される。
【0055】
図4に示されるように、送液部60は、処理液を所定圧力で吐出部40(ノズル41)に向けて送り出す。送液部60は、送液管61と、フィルタ63と、圧送部64(吐出用圧送部)と、分岐管62a,62bと、第1接続バルブ67と、第2接続バルブ68と、圧力測定部69と、を備える。
【0056】
送液管61は、処理液を吐出部40まで導く。送液管61は、吐出部40の送液管42の上流側の端部に接続されている。フィルタ63は、送液管61に設けられており、送液管61内を通過する処理液に含まれる異物を捕集し除去する。
【0057】
圧送部64は、送液管61を経て処理液を受け入れ、受け入れた処理液を加圧して吐出部40に向けて送り出す。圧送部64は、圧送部64は、例えば、ポンプ71と、ポンプ駆動部72と、流量測定部73と、圧力測定部74と、を備える。
【0058】
ポンプ71は、処理液を収容する収容室と、収容室を収縮させる収縮部とを有する。ポンプ71は、収縮部により収容室を拡大して処理液を受け入れ、収縮部により収容室を収縮させて処理液を送り出す。ポンプ71として、例えば、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、またはベローズポンプが用いられてもよい。
【0059】
ポンプ駆動部72は、制御装置100の動作指示に基づき、ポンプ71を駆動する。ポンプ駆動部72は、ポンプ71の収容室を収縮させるように収縮部を動作させる(駆動する)。例えば、ポンプ駆動部72は、気体により収縮部を動作させるエアオペレーション型の駆動部である。ポンプ駆動部72は、上記気体の圧力(駆動圧)を調節することで、ポンプ71の収容室を収縮させてもよい。
【0060】
流量測定部73は、ポンプ71に対する処理液の入出量に関する情報として、ポンプ71を駆動するための気体の流量を取得する。流量測定部73は、例えば、ポンプ71とポンプ駆動部72との間の接続管内を流れる気体の流量を測定し、測定値を制御装置100に出力する。圧力測定部74は、ポンプ71内の圧力に関する情報を取得する。例えば、圧力測定部74は、ポンプ71とポンプ駆動部72との間の接続管内の圧力を測定し、測定値を制御装置100に出力する。
【0061】
分岐管62aは、送液管61のうちのフィルタ63の上流部分から分岐し、送液管61とポンプ71とを接続する。分岐管62bは、送液管61のうちのフィルタ63の下流部分から分岐し、送液管61とポンプ71とを接続する。
【0062】
第1接続バルブ67は、分岐管62aに設けられており、制御装置100の動作指示に基づき、送液管61と圧送部64との間を開閉する。第1接続バルブ67は、例えば、エアオペレーションバルブである。第2接続バルブ68は、分岐管62bに設けられており、制御装置100の動作指示に基づき、送液管61と圧送部64との間を開閉する。第2接続バルブ68は、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0063】
圧力測定部69は、送液部60内の管路を流れる処理液の圧力を測定する。例えば、圧力測定部69は、フィルタ63と圧送部64との間において、分岐管62b内の処理液の圧力(液圧)を測定する。圧力測定部69は、測定値を制御装置100に出力する。
【0064】
補充部50は、吐出部40に向けて送るための処理液を送液部60に補充する。補充部50は、液源容器51と、圧送部53(補充用圧送部)と、接続管54と、送出管55と、を備える。
【0065】
液源容器51は、送液部60に補充される処理液の供給源となる。液源容器51は、例えば、処理液が封入された容器(例えばガロン瓶等)であり、補充部50を構成する接続管54と接続することによって使用され得る。
【0066】
圧送部53は、液源容器51から送液部60に処理液を送り出す。圧送部53は、例えば、液源容器51から供給された処理液を一時的に貯留し、当該処理液を加圧した状態で送液部60に送り出す。あるいは、圧送部53は、例えば、液源容器51内の処理液を吸い込むことで処理液を受け入れ、受け入れた処理液を送液部60に送り出す。圧送部53は、例えば、ポンプ56と、ポンプ駆動部57と、圧力測定部58と、を備える。
【0067】
ポンプ56は、液源容器51内の処理液を吸い込み、吸い込んだ処理液を吐出部40に向けて送り出す。ポンプ56は、例えば、処理液を収容する収容室56aと、収容室を収縮させる収縮部56bとを有する。ポンプ56は、収縮部56bにより収容室56aを拡大して処理液を受け入れ、収縮部56bにより収容室56aを収縮させて処理液を送り出す。ポンプ56の収容室56aは、処理液を一時的に貯留する貯留部としての機能を有する。収縮部56bがポンプ56の内部側面側に設けられており、ポンプ56上面に液源容器51との間を介する、後述する接続管54が接続され、ポンプ56下面には後述の送出管55が接続される。ポンプ56として、例えば、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、又はベローズポンプが用いられてもよい。なお、ポンプ56には、内部の気体を排出するための排出管56cが設けられていてもよい。排出管56cは、例えば、収容室56aにおいて処理液中から分離された気体を排出するために使用されてもよい。
【0068】
ポンプ駆動部57は、制御装置100に動作指示に基づき、ポンプ56を駆動する。具体的には、ポンプ駆動部57は、ポンプ56の収容室を収縮させるように収縮部を動作させる(駆動する)。例えば、ポンプ駆動部57は、気体により収縮部を動作させるエアオペレーション型の駆動部である。ポンプ駆動部57は、上記気体の圧力(以下、「駆動圧」という。)を調節することで、ポンプ56の収容室を収縮させてもよい。
【0069】
圧力測定部58は、ポンプ56内の圧力に関する情報を取得する。例えば、圧力測定部58は、ポンプ56とポンプ駆動部57との間の接続管に接続されており、当該接続管内の圧力を測定する。圧力測定部58は、例えば、ポンプ56を駆動するための気体の圧力を測定する。圧力測定部58は、測定値を制御装置100に出力する。
【0070】
接続管54は、液源容器51と圧送部53のポンプ56との間を接続し、液源容器51からポンプ56まで処理液を導く。接続管54上には、バルブ91が設けられる。バルブ91は、例えば、エアオペレーションバルブである。バルブ91は、制御装置100の動作指示に基づき、液源容器51と圧送部53との間を開閉する。
【0071】
また、接続管54は、バルブ91よりも上流側(液源容器51側)において接続管54から分岐して延びる排出管54aをさらに有する。排出管54aは、外部に接続されていて、接続管54内部を流れる処理液を系外に排出可能とされている。排出管54a上には、バルブ92が設けられる。バルブ92は、例えば、エアオペレーションバルブである。バルブ92は、制御装置100の動作指示に基づき、接続管54と外部(系外)との間を開閉する。
【0072】
送出管55は、圧送部53(ポンプ56)から送液部60まで処理液を導く。具体的には、送出管55は、送液部60の送液管61の上流側における端部に接続されている。つまり、送液管61は、フィルタ63を介して補充部50と送液部60との間を接続している。フィルタ63は、送液管61内の流路を流れる処理液(補充部50から送液部60に補充される処理液)に含まれる異物を除去する。
【0073】
なお、補充部50は、処理液が気体(外気)と接触することを防ぐための構成として、水位検出部81、接続管調整部82、接続管保護部83、溶媒供給部84、窒素ガス供給部85等を有している。この点については後述する。
【0074】
補充部50と送液部60との間には、切替バルブ70Aが設けられる。切替バルブ70Aは、制御装置100の動作指示に基づき、補充部50と送液部60との間を開閉する。切替バルブ70Aは、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0075】
送液部60と吐出部40との間には、吐出バルブ70Bが設けられる。吐出バルブ70Bは、制御装置100の動作指令に基づき、送液部60と吐出部40との間を開閉する。吐出バルブ70Bは、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0076】
図4および図5を参照して、制御装置100について詳細に説明する。制御装置100は、補充部50内から後段の吐出部40(ノズル41)へ処理液を送出する機能を有する。また、補充部50における液源容器51を交換する際に、補充部50に含まれる各部を制御するように構成されている。
【0077】
図5に示されるように、制御装置100は、機能上のモジュール(以下、「機能モジュール」という。)として、吐出制御部101と、補充制御部102と、動作指令保持部103と、を含む。
【0078】
吐出制御部101は、ノズル41から処理液を吐出させるように処理液供給部30を制御する。吐出時の各部の動作については動作指令保持部103において保持される動作指令において指定されている。吐出制御部101は、動作指令に基づいて、処理液供給部30の各部を制御する。
【0079】
補充制御部102は、液源容器51を交換する際のノズル41から処理液を吐出させるように処理液供給部30を制御する。吐出時の各部の動作については動作指令保持部103において保持される動作指令において指定されている。吐出制御部101は、動作指令に基づいて、処理液供給部30の各部を制御する。
【0080】
動作指令保持部103は、液処理ユニットU1において実行される液処理手順を規定する動作指令を保持する。この動作指令には、ノズル41から処理液を吐出する際の吐出圧力の目標値(設定値)、ノズル41から処理液を吐出させる実行時間、補充圧力および補充流量の目標値(設定値)、並びに補充部50から送液部60に処理液を補充させる実行時間等が含まれてもよい。さらに、動作指令には、液源容器51を交換する際の補充部50の動作等を規定する情報賀含まれていてもよい。
【0081】
制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば、制御装置100は、図5に示される回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマ125と、を備える。
【0082】
ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の液処理手順を塗布・現像装置2に実行させるためのプログラムを記録している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスクおよび光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラムおよびプロセッサ121による演算結果を一時的に記録する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、圧送部53,64、切替バルブ70A、第1接続バルブ67、第2接続バルブ68、吐出バルブ70B、圧力測定部58,66,69、および流量測定部73等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ125は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。
【0083】
なお、制御装置100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0084】
[処理液供給手順]
上記の基板処理装置の制御方法(基板処理方法)の一例として、制御装置100により実行される液処理手順について説明する。
【0085】
まず、制御装置100は、補充部50から送液部60に処理液を補充する準備として、補充部50内と送液部60内との圧力差を縮小させるように処理液供給部30を制御する。
【0086】
次に、制御装置100は、補充部50内と送液部60内との圧力差が縮小した状態で、補充部50から送液部60に処理液を補充させるように処理液供給部30を制御する。このとき、制御装置100は、切替バルブ70Aを閉状態から開状態に切り替える。その後、補充部50の圧送部53から送液部60の圧送部64に送られる処理液の補充圧力、及び当該処理液の補充流量を調節する。このとき、制御装置100は、例えば、圧力測定部74による測定値に基づいて、補充圧力を目標値に追従させるように圧送部53(ポンプ駆動部57)を制御してもよい。また、制御装置100は、流量測定部73による測定値に基づいて、補充流量を目標値に追従させるように圧送部64(ポンプ駆動部72)を制御してもよい。
【0087】
次に、制御装置100は、ノズル41からの処理液の吐出の準備として、送液部60内と吐出部40内との圧力差を縮小させるように処理液供給部30を制御する。さらに、制御装置100は、送液部60内と吐出部40内との圧力差が縮小した状態で、ノズル41から処理液をワークWに向けて吐出させるように処理液供給部30を制御する。このとき、制御装置100は、圧送部64(ポンプ71の収縮部)を制御することで、ノズル41まで送られる処理液の吐出圧力を調節する。これにより、ノズル41からの処理液の吐出を開始させる。このとき、制御装置100は、圧力測定部74による測定値に基づいてポンプ駆動部72(ポンプ71から処理液に加わる圧力)を調節してもよい。所定時間が経過した後、制御装置100が、切替バルブ70A及び第1接続バルブ67を閉じた状態に維持したまま、第2接続バルブ68及び吐出バルブ70Bを開状態から閉状態にそれぞれ切り替える。これにより、吐出が終了する。
【0088】
制御装置100による上記の制御に含まれる所定時間等は、動作指令保持部103が保持する動作指令に定められており、例えば、1回あたりの液処理において使用される処理液の量に応じて予め設定されている。処理液の吐出中は、制御装置100が、ワークWが回転するように回転保持部20を制御することで、ワークWの表面Waにレジスト塗布膜が形成されてもよい。
【0089】
[処理液供給装置(補充部)の構成]
処理液供給装置として機能する補充部50の構成について、図6および図7を参照しながら説明する。図6および図7では、補充部50のうち液源容器51およびポンプ56の周辺について説明する。そのため、ポンプ駆動部57および圧力測定部58については図示を省略している。
【0090】
液源容器51は、例えば、ガロン瓶等であって内部の処理液がなくなると液源容器51の交換が行われる。本実施形態では、液源容器51とは、処理液Rを収容する容器のことをいう。液源容器51には、対応する蓋部59が取り付けられる。なお、液源容器51は、図6および図7に示すように、傾斜した状態で設置される場合がある。このように傾斜した状態で配置することで、液源容器51内の処理液を最大限液処理に使用することが可能となる。なお、図7に示すように、接続管54の先端部が傾斜した液源容器51の最深部に到達可能となるように接続管54を配置した場合、処理液の使用効率がさらに高められる。
【0091】
ポンプ56の収容室56aは、貯留部として機能する。ポンプ56の収容室56aの容量は、上述のように、液源容器51に収容される処理液の最大容量よりも大きくされる。詳細な手順は後述するが、例えば、液源容器51として最大量の処理液を貯留した容器を接続した際には、液源容器51中の処理液の全量をポンプ56の収容室56aへ移動させる。したがって、処理液の全量を収容可能な収容室56aが準備される。
【0092】
また、上述のように補充部50は、水位検出部81、接続管調整部82、接続管保護部83、溶媒供給部84、および窒素ガス供給部85を有している。
【0093】
水位検出部81は、液源容器51の容器中の処理液Rの水位を検出する。例えば、水位検出部81は、静電容量型の近接センサ81aを複数準備して一列に配列したものとしてもよい。この場合、複数のセンサが容器の上下方向に並ぶように配置することで、各センサが近隣における処理液の有無を検知する。これらの結果を確認することで、容器中の処理液Rを検出することができる。水位検出部81による水位の検出結果は、例えば、制御装置100へ出力される。
【0094】
接続管調整部82は、液源容器51の処理液Rの水位に応じて接続管54の先端(液源容器51側の端部)の高さ位置を変更する機能を有する。接続管調整部82は、例えば、接続管54を支持する支持部82aと、支持部82aを移動させるための駆動部82bとを含んでいてもよい。支持部82aによって接続管54を支持した状態で、駆動部82bによって支持部82aを移動させることによって、接続管54を移動させることができる。駆動部82bによる駆動は、例えば、制御装置100からの動作指令に基づいて行われる。接続管調整部82によって、接続管54は、液源容器51に対する相対位置を変更可能とされる。この結果、処理液Rの水位の変動に応じて、接続管54の先端の位置を変化させることができる。このように、接続管調整部82は、位置調整部としての機能を有する。
【0095】
接続管保護部83は、液源容器51に対する接続管54の先端の位置を変化させる際に液源容器51(容器)内の気密性を維持する機能を有する。具体的には、接続管保護部83は、接続管54の下流側(ポンプ56側:図示上方)の一点に固定される上端部材83aと、上端部材83aよりも先端側であって、且つ、液源容器51に対して取り付けられる蓋部59に対して固定される下端部材83bとを有する。上端部材83aおよび下端部材83bは、いずれも中央に貫通孔を有し、接続管54が挿通される。上端部材83aは接続管54に対して固定されるが、下端部材83bは、貫通孔に挿通される接続管54に対して移動可能とされている。下端部材83bは、その貫通孔が蓋部59に設けられた接続管54を挿通するための貫通孔59aに対して連通するように、蓋部59に対して固定される。
【0096】
さらに、接続管保護部83として、上端部材83aと下端部材83bとの間に、これらを接続すると共に、接続管54の延在方向に沿って伸縮可能なベローズ83cが設けられる。液源容器51に対する接続管54の位置を変化させる場合、蓋部59に対して上端部材83aの位置が変動し得るため、上端部材83aと下端部材83bとの距離が変動する。このとき、ベローズ83cが伸縮することによって、上端部材83aと下端部材83bとの間の接続管54が外部に露出されることが防がれる。
【0097】
図7は、処理液Rの水位の変動に対応させて、接続管54を液源容器51の底面(最深部)に向けて挿入した状態を示している。図7では、液源容器51の位置を変化させて接続管54の液源容器51の内部への挿入長さを大きくした状態を示しているが、実際には、液源容器51の位置は変わらず、接続管調整部82によって接続管54が変位し得る。このとき、図7に示すように、上端部材83aと下端部材83bとの距離が小さくなるため、その間に設けられるベローズ83cが縮んだ状態となる。図6図7のどちらの状態であっても、ベローズ83cによって、液源容器51内部は、外部から遮断された状態となる。
【0098】
溶媒供給部84は、処理液Rに含まれる溶媒を液源容器51内へ供給する。溶媒供給部84は、図示しない溶媒供給源から延びるノズル84aを含む。ノズル84aの先端は、蓋部59を貫通して液源容器51内に挿入される。溶媒供給源から供給される溶媒は、液源容器51内でノズル84aから吐出される。なお、ノズル84aの先端は、ノズル84aから吐出される溶媒が液源容器51内に挿入された接続管54に対して当たるような向きに調整されていてもよい。溶媒は、接続管54を洗浄するための洗浄液として用いられる。すなわち、溶媒供給部84は、洗浄液供給部として機能する。
【0099】
窒素ガス供給部85は、窒素ガス(N)を液源容器51内へ供給する。窒素ガス供給部85は、図示しないガス供給源から延びるノズル85aを含む。ノズル85aの先端は、蓋部59を貫通して液源容器51内に挿入される。ガス供給源から供給される窒素ガスは、液源容器51内でノズル85aから吐出される。なお、窒素ガスに代えて、処理液に対して不活性な(何らかの影響を与えない)別の種類のガスを用いてもよい。窒素ガスの代替としては、例えば、アルゴン(Ar)ガスなどが挙げられる。
【0100】
図8(a)および図8(b)は、接続管54の先端部(液源容器51に挿入される端部)を示す図である。接続管54は、基本的に内径が均一な配管として構成されるが、その先端は、例えば図8(a)に示すように中心に対して外方へ拡がる環状の鍔部54bを有していてもよい。また、鍔部54bは、弾性を有していてもよい。鍔部54bを有している場合、接続管54の先端が液源容器51の内面51aと触れた場合には、鍔部54bが内面51aと当接した状態となる。図8(b)に示すように、鍔部54bが全周にわたって内面51aと触れた場合、接続管54が封止された状態となる。この場合、接続管54内部へ周辺の気体または液体が入ることが防がれる。
【0101】
図6および図7に示すように、液源容器51は、傾斜した状態で設置される場合がある。この場合であっても、鍔部54bが弾性を有していると、液源容器51の傾斜に対応して弾性変形することで、鍔部54bと内面51aとが密着した状態を実現することができる。
【0102】
[補充部における液源容器交換の手順]
図9を参照しながら、補充部50における液源容器51の交換時の動作について説明する。図9は、補充部50における処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0103】
まず、ステップS01では、液源容器51を補充部50において取り付けた状態で、処理液が使用される。この段階では、液源容器51の処理液がポンプ56の収容室56aに収容されている。収容室56aに収容された状態の処理液を、送出管55を経て後段に圧送することによって、処理液がワークWの液処理に使用される。なお、処理液を使用する段階では、液源容器51中の処理液はポンプ56の収容室56aに全量が移送されている。具体的には、図7に示すように液源容器51からポンプ56へ処理液Rが移動された状態で、ポンプ56から送液部60へ処理液が送られ、送液部60から吐出部40へ送られた処理液がノズル41から吐出される。このとき、接続管54中のバルブ91は閉状態とされる。また、液源容器51内に配置されている接続管54の先端は、液源容器51の底面に対して接した状態であって、図8(b)に示すように、液源容器51の内面51a(底面)と鍔部54bとが接した状態とされていてもよい。このような状態とすることで、接続管54の内部へ空気等の周辺の気体が入り込むことが防がれる。
【0104】
次に、ステップS02では、液源容器51を交換するための準備として、接続管54の壁面(外周)に付着した処理液の除去(洗浄)が行われる。具体的には、図10に示すように、接続管54のうち液源容器51内に挿入された先端部の近傍である先端近傍54cに対して、溶媒供給部84のノズル84aから溶媒を吐出し、先端近傍54cの洗浄を行う。ノズル84aから吐出される溶媒は、液源容器51内の処理液Rに使用される溶媒と同種とするか、あるいは、先端近傍54cに付着した処理液を溶解可能な溶媒とすることができる。吐出された溶媒は、接続管54の先端近傍54cを洗浄した後、液源容器51の底部に貯留される。
【0105】
次に、ステップS03では、接続管54の内部の液体の排出(ドレイン)を行う。具体的には、排出管54a上のバルブ92を閉とし、接続管54上のバルブ92を開とした状態で、ポンプ56の収縮部56bにより収容室56aを収縮させる。これにより、接続管54内の液体の一部が、収容室56aから逆流した(液源容器51へ向かう方向へ移動した)処理液によって置換される。この結果、接続管54内に残留していた処理液の一部は液源容器51に向けて排出される。このとき、図11に示すように、接続管54の液源容器51内の端部は、液源容器51内の処理液Rの液面よりも上方となるように、接続管54と液源容器51との相対位置を移動させてもよい。このような配置とした場合、接続管54の外面に処理液が付着することを防ぐことができる。なお、接続管54のうち少なくともバルブ91よりも下流側(ポンプ56側)の領域が、収容室56aからの処理液による置換が行われる程度に、収容室56aを収縮させて処理液を移動させてもよい。このような構成とすることで、接続管54内に長期間残留する気体がポンプ56の収容室56aへ移動することが防がれる。
【0106】
次に、ステップS04では、液源容器51の交換が行われる。液源容器51が蓋部59から取り外され、処理液が封入された新たな液源容器51に交換される。新たな液源容器51は、蓋部59に対して固定される。このとき、接続管54の先端部が液源容器51内へ入るように、蓋部59が取り付けられる。なお、液源容器51を取り付けの際に、窒素ガス供給部85から窒素ガスを吐出しながら液源容器51の交換を行うことで、液源容器51内の空気を窒素ガスに置換した状態で蓋部59への取り付けができる。また、液源容器51を交換する際には、交換前の液源容器51からの水位検出部81の取り外しと、交換後の液源容器51への水位検出部81の取り付けも行われる。
【0107】
さらに、図12に示すように、液源容器51を取り付けた後に、接続管54のバルブ91を閉とし、排出管54aのバルブ92を開とした状態で、窒素ガス供給部85からから窒素ガスを吐出する。これにより、液源容器51内の気体領域の圧力が高くなり、液源容器51内の処理液の一部が接続管54内へ流れ込む。この処理液が排出管54aから排出されることにより、交換前の液源容器51に入っていた処理液を接続管54内から排出することができる。窒素ガスの供給を停止すると、排出管54aからの処理液の排出が停止される。この状態でバルブ92を閉とする。
【0108】
次に、ステップS05では、ポンプ56へ向けて処理液が移動される。バルブ91を開とし、ポンプ56の収縮部56bの動作により収容室56aを大きくすることによって、液源容器51中の処理液をポンプ56に対して移送する。液源容器51中の処理液を速やかにポンプ56まで移動させることで、処理液が大気(特に酸素)と触れることが防がれる。
【0109】
なお、ステップS05において液源容器51間からポンプ56へ向けて処理液を移動させると、液源容器51内の処理液Rの水位が変化する。このとき、制御装置100は、処理液Rの水位の変化に応じて、液源容器51に対する接続管54の相対位置を変化させてもよい。例えば、制御装置100では、水位検出部81による水位の検出結果に基づいて、液源容器51内の処理液Rの水位を把握する。このとき、制御装置100は、接続管54の先端の開口から所定の長さ(例えば、数mm~数cm)の先端部分のみが処理液R内に入るように、接続管調整部82を制御してもよい。すなわち、制御装置100は、処理液Rに対して上記の所定の長さだけ下方に接続管54の先端が位置するように、接続管調整部82を制御してもよい。このような制御を行うことで、接続管54の外面における処理液Rの付着量を制御することができ得る。一例として、処理液Rの水位が高いときに接続管54を液源容器51の底面付近まで下降させた場合、処理液Rが付着する接続管54の外面の面積が大きくなるが、上記の制御を行うことで、処理液Rが付着する接続管54の外面を小さくすることができる。
【0110】
[補充部の構成の変更例]
補充部50は上記の構成を有することで、処理液の特性が変化することを防いでいる。ここで、補充部50の構成の変更例について説明する。
【0111】
(接続管の先端の形状変更)
上記実施形態では、液源容器51内に配置される接続管54の先端に対して鍔部54bを設けることによって、接続管54内の処理液が大気等を触れることを防ぐ構成としていた。この構成に代えて、接続管54の先端に、外部に対する接続管54の開閉状態(封止状態)を切り替える開閉機構を設けてもよい。
【0112】
図13(a)および図13(b)は、接続管54の先端に開閉機構87を設けた例を示している。図13(a)に示すように、開閉機構87は、本体部87a、スプリング87b(バネ部材)、および開閉部87cを含んでいる。本体部87aおよび開閉部87cはいずれも円筒状の部材である。本体部87aは、接続管54の先端に取り付けられている。その内部には、内側に突出する凸部87sが設けられ、凸部87sの下方(先端側)にスプリング87bの一端(上端)が取り付けられている。スプリング87bの他端には、開閉部87cが取り付けられている。開閉部87cはその一部が本体部87aの内部(下端側)に入り込んでいる。スプリング87bの伸縮によって、開閉部87cは本体部87aの内部を摺動可能となっている。開閉部87cには側面に貫通孔87dが設けられていて、スプリング87bが伸びている状態(図13(a)に示す状態)では、貫通孔87dが本体部87aよりも下方となっている。
【0113】
上記の開閉機構87のスプリング87bは、処理液中では伸びた状態となるように弾性が調整されている。そのため、処理液中では、図13(a)に示すように、貫通孔87dを介して処理液が、開閉部87cおよび本体部87aの内部に入ることができる。一方、開閉部87cが液源容器51の内面51a(底面)と当接すると、内面51aによって開閉部87cの移動が規制される。その結果、図13(b)に示すように、開閉部87cが本体部87a内へ押し込まれ、貫通孔87dを介した流体の移動が規制される。そのため、周囲の処理液・気体等が本体部87aを経て接続管54内へ入り込むことが防がれる。
【0114】
このように、接続管54の先端部(液源容器51内の先端)には、液源容器51の内面51aと接触(当接)した場合に流体の移動が規制される(先端部が封止される)開閉機構87を設けてもよい。
【0115】
なお、開閉機構87は、液源容器51の内面51aとの接触の有無に関係なく開閉が制御可能な構成であってもよい。鍔部54b、開閉機構87のように、接続管54の先端において、気体等の流体が内部へ入ることが防がれるような構成を有することで、接続管54内の処理液Rが気体等と触れることによって特性が変化することを防ぐことができる。
【0116】
(処理液水位と接続管との相対位置の調整方法の変更)
上記実施形態では、例えば、図6等に示すように、水位検出部81における水位の検出結果に基づいて、液源容器51と接続管54との相対位置を調整する場合について説明した。この方法に代えて、例えば、水位検出部81による水位の検出結果を利用せずに、液源容器51と接続管54との相対位置を調整してもよい。以下ではその方法の一例について説明する。
【0117】
図14では、接続管保護部83内に水位検出機構(水位検出部)を設けた例を示している。なお、図14では、接続管保護部83における水位検出機構の説明を簡単にするために、液源容器51中の処理液Rに対して接続管54を鉛直方向に挿入する状態を示している。図14(a)および図14(b)は、処理液Rの水位が互いに異なる状態を示している。なお、図14では、接続管54の位置を調整する接続管調整部82については省略している。
【0118】
図14(a)に示すように、接続管保護部83の上端部材83aの下面(下端部材83bとの対向面)には、距離センサ95が取り付けられている。距離センサ95は、接続管54の延在方向に沿って赤外線等の光L1を出射し、その反射光L2を受光することで、反射面との間の距離を測定する。また、下端部材83bに形成されて接続管54が挿通される貫通孔83eは、距離センサ95からの光L1および反射光L2に干渉しないように、その径が大きく設定されている。すなわち、距離センサ95からの光L1および反射光L2が通過可能な程度に貫通孔83eの径および形状が調整され、処理液Rの液面Raが反射面となるように調整される。また、上端部材83aに取り付けられる距離センサ95の位置も調整されている。
【0119】
距離センサ95からの光L1は処理液Rの液面Raで反射し、反射光L2が距離センサ95において受光される。したがって、距離センサ95を用いて上端部材83aと処理液Rの液面Raとの距離を測定することができる。上端部材83aは、接続管54に対して固定されているので、上端部材83aと処理液Rの液面Raとの距離に基づいて、接続管54の先端と液面Raとの距離も算出することができる。したがって、処理液Rの水位が変化した場合であっても、上端部材83aと処理液Rの液面Raとの距離を測定し、この距離が一定となるように、接続管調整部82によって接続管54の位置を調整する。これにより、例えば、図14(b)に示されるように、処理液Rの水位(液面Raの高さ位置)が変化した場合でも、上端部材83aと、距離センサ95からの光L1が到達する液面Raとの距離が一定となるように接続管54の位置を調整できる。その結果、接続管54の先端の開口から所定の長さの先端部分のみが処理液R内に入るように、接続管54の位置を調整することができる。
【0120】
このように、接続管54の先端の開口から所定の長さの先端部分のみが処理液R内に入るように、液源容器51と接続管54との相対位置を調整する方法は適宜変更することができる。
【0121】
図15は、液源容器51と接続管54との相対位置を調整する方法として、液源容器51の高さ位置を調整する例を示している。なお、図15では、液源容器51の位置調整の説明を簡単にするために、液源容器51中の処理液Rに対して接続管54を鉛直方向に挿入する状態を示している。図15(a)および図15(b)は、処理液Rの水位が互いに異なる状態を示している。
【0122】
図15(a)に示すように、液源容器51を床面Fに対して固定されたスプリング89(バネ部材)上に支持する。図15(a)および図15(b)では、スプリング上に液源容器51が直接取り付けられているが、当然ながらスプリング89上に支持台等を設けてもよい。また、液源容器51を周囲から支持する部材等が設けられていてもよい。なお、図15に示す例では、接続管54は、その位置は固定されているため、接続管調整部82は設けられていない。ただし、接続管保護部83は、他の例と同様に取り付けられている。
【0123】
図15(a)に示す例では、液源容器51中の処理液Rがほぼ満杯の状態であって、処理液Rの液面Raが液源容器51の上方に位置している。一方、図15(b)に示す例では、液源容器51中の処理液Rが半分以下となっていて、処理液Rの液面Raは液源容器51の中央より下方に位置している。図15に示す例では、スプリング89の弾性率が、処理液Rの液面Raの絶対的高さが変動しないように調整されている。スプリング89は液面Rに対するボトルの位置を追従させることが可能な動作機構(位置追従動作機構)と言い換えることができる。すなわち、図15(a)における処理液Rの液面Raと、図15(b)における処理液Rの液面Raとが略同等となるように、スプリング89が調整されている。
【0124】
この場合、例えば、図15(b)に示されるように、処理液Rの水位(液面Raの高さ位置)が変化した場合でも、スプリング89によって液源容器51の高さが調整される。したがって、接続管54の位置調整を行わなくても、接続管54の先端の開口から所定の長さの先端部分のみが処理液R内に入るように、接続管54の位置を調整することができる。
【0125】
このように、接続管54の高さ位置を変更するのではなく、液源容器51の高さ位置を調節することで、液源容器51と接続管54との相対位置を調整する構成としてもよい。したがって、接続管54に固定されている上端部材83aの位置を変えずに液源容器51と接続管54の相対位置調整がされる。そのため、接続管54において上端部材83aより下方にある部分の姿勢は勿論、上端部材83aより上方の接続管54においても、管路の変化や管のねじれ等が抑制した状態で、相対位置を調整することができる。なお、スプリング89を用いることに代えて、例えば、水位検出部81による水位の検出結果を利用して液源容器51の高さ位置を調整する機構を設ける構成を用いてもよい。
【0126】
[作用]
上記の処理液供給装置および処理液供給方法によれば、貯留部としてのポンプ56の収容室56aの容量が、液源容器51における処理液Rの最大収容量よりも大きい。したがって、液源容器51からの処理液Rを収容室56aへ一度に移送することができる。そのため、液源容器51内で処理液Rの液面Raが容器内の気体と触れることが防がれるため、乾燥等による処理液の特性の変化を防ぐことができる。
【0127】
また、液源容器51とポンプ56の収容室56aとの間で処理液Rの送液が行われていない場合には、接続管54の先端部が封止可能とされている。そのため、接続管54内の処理液、または、接続管54から連続する収容室56a内の処理液Rが、処理液R以外の流体(気体等)と触れることが防がれる。したがって、処理液Rの特性の変化を防ぐことができる。
【0128】
ワークWに対する処理液を用いた液処理では、処理液の特性の変化がワークWに対する液処理の結果に大きく影響し得る。特に処理液がレジストである場合には、微細な粒子(パーティクル)の存在等を含む特性のわずかな変化が、レジストパターンの形成結果にも影響を与える場合がある。したがって、処理液の特性を変化させないように、液源容器51からワークW表面まで処理液Rを供給することが求められる。
【0129】
処理液Rを外部から系内に供給するための液源容器51の周辺は、処理液Rが外気等と接触する可能性が高い場所の1つである。これに対して、上記の処理液供給装置および処理液供給方法によれば、液源容器51からポンプ56の収容室56aへ処理液Rを速やかに移動可能な構成とすることによって液源容器51周辺での処理液Rの特性の変化が防がれる。さらに、接続管54の先端部を封止可能とすることで、処理液Rと外気との接触がさらに防がれる。そのため、処理液Rの特性の変化に影響を与える外部との接触が効果的に防がれ、処理液Rの特性の変化を抑制することができる。
【0130】
接続管54の先端部は、液源容器51の内面51aとの接触によって封止されてもよい。この場合、液源容器51の内面51aに先端部が触れることで封止可能となるため、複雑な機構を設けることなく先端部を封止することができる。
【0131】
一例として、接続管54は、先端部に外方へ広がる環状の鍔部54bを有していてもよい。この場合、より簡単な構成で先端部の封止を実現することができる。また、鍔部54bが弾性を有していて変形可能な構成である場合、上記実施形態で説明したように内面51aに対して接続管54が傾斜した状態であっても、確実に封止を行うことができる。
【0132】
なお、接続管54の先端部に、外部に対する接続管54の開閉状態を切り替える開閉機構を有していてもよい。この場合、開閉機構を用いて、例えば液源容器51の交換時にも接続管の開閉を制御することが可能となるため、適切なタイミングで先端部の封止を行うことが可能となる。なお、上記実施形態で説明した開閉機構87は、内面51aと開閉部87cとが当接した場合に封止される態様となっている。そのため、液源容器51の交換時に接続管54の封止を行おうとすると、開閉部87cの移動を規制する何らかの部材を別途設けることになる。
【0133】
液源容器51内に配置される接続管54を洗浄することを目的として、洗浄液を供給する洗浄液供給部を有していてもよい。一例として、洗浄液として処理液に用いられる溶媒を選択し、溶媒供給部84を設けてもよい。接続管54を洗浄するための洗浄液供給部を有することで、例えば、液源容器の交換時に接続管の洗浄が可能となり、交換前の処理液が付着した状態で液源容器の交換が行われることが防がれる。
【0134】
また、液源容器51内の処理液Rの水位を検出する水位検出部81をさらに有していてもよい。液源容器51内の処理液Rの水位を検出する構成を有していることで、接続管54の先端部と処理液Rの水位との位置関係を把握することが可能となる。したがって、例えば、接続管の先端部に処理液以外の流体が入り込む可能性を事前に検知することができる。
【0135】
また、水位検出部81は、液源容器51に対して着脱可能であって、液源容器51の側壁に高さ方向に沿って複数配列することが可能な、処理液の有無を検知するセンサとしての近接センサ81aを含んでいてもよい。水位検出部81が液源容器51に対して着脱可能である場合、液源容器51を交換した場合でも水位検出部81の取り付けを速やかに行うことができる。したがって、水位の検出を容易に行うことができる。また、水位検出部81が液源容器51の側壁に高さ方向に沿って複数配列することが可能な近接センサ81aを含んでいることで、液源容器の外部から水位を検出することが可能となる。したがって、水位検出部81が処理液と触れること等が防がれる。
【0136】
また、水位検出部81による検出結果に基づいて、液源容器51と接続管54との相対位置を調整する位置調整部をさらに含んでいてもよい。一例として、位置調整部は、接続管54の位置を調整する接続管調整部82であってもよい。また、位置調整部は、液源容器51の高さ位置を調整する機能であってもよく、例えば、スプリング89を用いたものであってもよい。水位の検出結果に基づいて、位置調整部によって液源容器51と接続管54との相対位置を調整する構成とすることで、例えば、接続管54の先端部に処理液R以外の流体が入り込まないように位置を調整することが可能となる。そのため、処理液の特性の変化が生じる可能性を低減させることができる。
【0137】
このとき、位置調整部は、接続管54の先端部から所定の長さが処理液R内に入った状態が維持されるように、液源容器51と接続管54との相対位置を調整してもよい。上記のように調整することで、例えば、接続管の外面に付着する処理液の量を減らすことができる。
【0138】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、および変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0139】
例えば、上記実施形態では変形例として、距離センサ95およびスプリング89等を用いる例について説明した。このとき、液源容器51中の処理液Rに対して接続管54を鉛直方向に挿入する状態を用いて説明したが、これらの機構は、液源容器51が傾斜した状態で設置されている場合にも適用可能である。距離センサ95を利用する場合には、必要に応じて光路を調整するための光学系を別途設けてもよい。また、スプリング89を用いる場合には、液源容器51の移動方向を規制する(接続管54の伸びる方向に応じて移動方向を調節する)機構等を別途設けてもよい。
【0140】
また、上記実施形態で説明した構成の一部は省略または変形されてもよい。例えば、窒素ガス供給部85を有していない構成としてもよい。また、溶媒供給部84および窒素ガス供給部85は、蓋部59に設けられていてもよいが、他の部材に取り付けられてもよい。さらに、接続管保護部83の構成は、上端部材83a、下端部材83bおよびベローズ83cを組み合わせた構成に限定されず、他の構成を採用してもよい。さらに、上記実施形態を適用可能な処理液の種類はレジストに限定されない。
【0141】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲および主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0142】
1…基板処理システム、2…塗布・現像装置、3…露光装置、20…回転保持部、21…保持部、22…駆動部、30…処理液供給部、40…吐出部、41…ノズル、42…送液管、50…補充部、51…液源容器、51a…内面、53…圧送部、54…接続管、54a…排出管、54b…鍔部、55…送出管、56…ポンプ、56a…収容室、56b…収縮部、56c…排出管、57…ポンプ駆動部、58…圧力測定部、59…蓋部、59a…貫通孔、60…送液部、81a…近接センサ、82…接続管調整部、82a…支持部、82b…駆動部、83…接続管保護部、83a…上端部材、83b…下端部材、83c…ベローズ、83e…貫通孔、84…溶媒供給部、84a…ノズル、85…窒素ガス供給部、85a…ノズル、87…開閉機構、87a…本体部、87b…スプリング、87c…開閉部、87d…貫通孔、87s…凸部、89…スプリング、91,92…バルブ、95…距離センサ、100…制御装置、101…吐出制御部、102…補充制御部、103…動作指令保持部。
図1
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