(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240919BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240919BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2021089004
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】早坂 友輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 純
(72)【発明者】
【氏名】松本 和也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 慎伍
(72)【発明者】
【氏名】永海 幸一
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-236858(JP,A)
【文献】特開平11-097430(JP,A)
【文献】特表2004-505446(JP,A)
【文献】特表2004-531880(JP,A)
【文献】特開2005-002423(JP,A)
【文献】特開2017-055100(JP,A)
【文献】特開2018-190978(JP,A)
【文献】特開2019-021803(JP,A)
【文献】特開2021-044540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0322242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006225(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0088521(US,A1)
【文献】国際公開第2021/021531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
その上に基板が載置される第1の領域及びその上にエッジリングが載置される第2の領域を含む静電チャックであり、該第1の領域はその中に設けられた第1の電極を含み、該第2の領域はその中に設けられた第2の電極を含む、該静電チャックと、
前記第1の電極に印加される電圧のパルスを発生するバイアス電源と前記第1の電極とを互いに接続する第1の給電ラインと、
前記第2の電極に印加される電圧のパルスを発生する前記バイアス電源又は別のバイアス電源と前記第2の電極とを互いに接続する第2の給電ラインと、
その上に前記静電チャックが設けられた基台と、
前記基台に高周波電力を伝送する給電パイプであり、該基台の下方で鉛直方向に延びる、該給電パイプと、
を備え、
前記第2の給電ラインは、
複数のソケット及び
複数の給電ピンを含み、
前記
複数の給電ピンは、径方向に可撓性を有し、前記
複数のソケット内にそれぞれ嵌め込まれて
おり、
前記第2の給電ラインは、
共通ラインと、
前記共通ラインから分枝して前記第2の電極に接続された複数の分枝ラインと、
を含み、
前記複数の分枝ラインの各々は、前記複数のソケットのうち一つと前記複数の給電ピンのうち一つを含み、
前記共通ライン及び前記第1の給電ラインは、前記給電パイプの内孔を通って上方に延びており、
前記第2の給電ラインは、導電性を有する環状部材を含み、
前記共通ラインは、前記環状部材に接続されており、
前記第1の給電ラインは、前記環状部材の内孔を通って上方に延びており、
前記複数の分枝ラインは、前記環状部材と前記第2の電極との間で接続されており、前記環状部材から放射方向に延びている、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の給電ラインは、ソケット及び給電ピンを含み、
前記第1の給電ラインの前記給電ピンは、径方向に可撓性を有し、該第1の給電ラインの前記ソケット内に嵌め込まれている、
請求項
1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記複数の分枝ラインは、実質的に同一の長さを有する、請求項
1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板に対するプラズマ処理において用いられている。下記の特許文献1は、一種のプラズマ処理装置を開示している。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、及び高周波電源を備える。基板支持部は、チャンバ内に設けられている。基板支持部は、基板及びエッジリングを支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内に供給されたガスからプラズマを生成するために高周波電力を供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2004/0261946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、バイアスエネルギーである電圧のパルスをエッジリングに安定的に供給する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、静電チャック、第1の給電ライン、及び第2の給電ラインを備える。静電チャックは、その上に基板が載置される第1の領域及びその上にエッジリングが載置される第2の領域を含む。第1の領域は、その中に設けられた第1の電極を含む。第2の領域はその中に設けられた第2の電極を含む。第1の給電ラインは、第1の電極に印加される電圧のパルスを発生するバイアス電源と第1の電極とを互いに接続する。第2の給電ラインは、第2の電極に印加される電圧のパルスを発生する前記バイアス電源又は別のバイアス電源と第2の電極とを互いに接続する。第2の給電ラインは、一つ以上のソケット及び一つ以上の給電ピンを含む。一つ以上の給電ピンは、径方向に可撓性を有し、一つ以上のソケット内に嵌め込まれている。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、バイアスエネルギーである電圧のパルスをエッジリングに安定的に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の基板支持部の断面図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の基板支持部の部分拡大断面図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置において採用され得る給電ピン及びソケットを示す図である。
【
図5】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の給電ラインを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、静電チャック、第1の給電ライン、及び第2の給電ラインを備える。静電チャックは、その上に基板が載置される第1の領域及びその上にエッジリングが載置される第2の領域を含む。第1の領域は、その中に設けられた第1の電極を含む。第2の領域はその中に設けられた第2の電極を含む。第1の給電ラインは、第1の電極に印加される電圧のパルスを発生するバイアス電源と第1の電極とを互いに接続する。第2の給電ラインは、第2の電極に印加される電圧のパルスを発生する前記バイアス電源又は別のバイアス電源と第2の電極とを互いに接続する。第2の給電ラインは、一つ以上のソケット及び一つ以上の給電ピンを含む。一つ以上の給電ピンは、径方向に可撓性を有し、一つ以上のソケット内に嵌め込まれている。
【0010】
第2の給電ラインの一つ以上の給電ピンの各々は、径方向に可撓性を有するので、対応のソケット内に嵌め込まれることにより縮径する。したがって、第2の給電ラインの一つ以上の給電ピンの各々は、対応のソケットによって保持されて、対応のソケットに確実に接触する。故に、上記実施形態によれば、バイアスエネルギーである電圧のパルスをエッジリングに安定的に供給することが可能となる。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第2の給電ラインは、一つ以上のソケットとして、複数のソケットを含んでいてもよく、一つ以上の給電ピンとして、複数のソケット内にそれぞれ嵌め込まれた複数の給電ピンを含んでいてもよい。第2の給電ラインは、共通ラインと複数の分枝ラインを含んでいてもよい。分枝ラインは、共通ラインから分枝して、第2の電極に接続されている。複数の分枝ラインの各々は、複数のソケットのうち一つと複数の給電ピンのうち一つを含む。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の給電ラインは、ソケット及び給電ピンを含んでいてもよい。第1の給電ラインの給電ピンは、径方向に可撓性を有していてもよく、第1の給電ラインのソケット内に嵌め込まれていてもよい。
【0013】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、基台と給電パイプを更に備える。静電チャックは、基台の上に設けられる。給電パイプは、基台に高周波電力を伝送するように構成されており、基台の下方で鉛直方向に延びている。共通ライン及び第1の給電ラインは、給電パイプの内孔を通って上方に延びている。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第2の給電ラインは、導電性を有する環状部材を含んでいてもよい。共通ラインは、環状部材に接続されていてもよい。第1の給電ラインは、環状部材の内孔を通って上方に延びていてもよい。複数の分枝ラインは、環状部材と第2の電極との間で接続されており、環状部材から放射方向に延びていてもよい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、複数の分枝ラインは、実質的に同一の長さを有していてもよい。
【0016】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図1に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sは、減圧可能である。内部空間10sの中ではプラズマが形成される。
【0018】
チャンバ10は、チャンバ本体12及び天部14を含んでいてもよい。チャンバ本体12は、チャンバ10の側壁及び底部を構成している。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。チャンバ本体12の中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXに略一致している。チャンバ本体12は、電気的に接地されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成されている。チャンバ本体12の表面には、耐腐食性の膜が形成されている。耐腐食性の膜は、例えば、酸化アルミニウム又は酸化イットリウムといった材料から形成されている。
【0019】
チャンバ10の側壁には、開口12pが形成されている。開口12pは、チャンバ本体12によって提供されている。開口12pは、ゲートバルブ12gによって開閉可能である。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、開口12pを通過する。
【0020】
チャンバ本体12は、第1部材12a及び第2部材12bを含んでいてもよい。第1部材12aは、略円筒形状を有している。第1部材12aは、チャンバ10の底部及び側壁の一部を構成している。第2部材12bは、略円筒形状を有している。第2部材12bは、第1部材12a上に設けられている。第2部材12bは、チャンバ10の側壁の別の一部を構成している。第2部材12bは、開口12pを提供している。
【0021】
プラズマ処理装置1は、基板支持部16を更に備えている。基板支持部16は、内部空間10sの中に設けられている。基板支持部16は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板支持部16の下方には、底板17が設けられている。底板17は、チャンバ10の底部、例えば第1部材12aによって支持されている。底板17からは、支持体18が上方に延在している。支持体18は、略円筒形状を有している。支持体18は、例えば石英といった絶縁体から形成されている。基板支持部16は、支持体18上に搭載されており、支持体18によって支持されている。
【0022】
基板支持部16は、基台20及び静電チャック22を含んでいる。基台20は、略円盤形状を有している。基台20の中心軸線は、軸線AXに略一致している。基台20は、アルミニウムといった導体から形成されている。基台20の中には、流路20fが形成されている。流路20fは、例えば渦巻き状に延在している。流路20fには、チラーユニット26から冷媒が供給される。チラーユニット26は、チャンバ10の外部に設けられている。チラーユニット26は、例えば液状の冷媒を流路20fに供給する。流路20fに供給された冷媒は、流路20fの中を流れて、チラーユニット26に戻される。
【0023】
静電チャック22は、基台20上に設けられている。静電チャック22は、略円盤形状を有している。静電チャック22は、その上に載置される基板Wを静電引力により保持するように構成されている。また、静電チャック22は、その上に載置されるエッジリングERを支持するように構成されている。エッジリングERは、例えばシリコン、石英、又は炭化ケイ素から形成されている。エッジリングERは、基板Wに対するプラズマ処理の面内均一性を改善するために利用される。基板は、エッジリングERによって囲まれた領域内、且つ、静電チャック22上に配置される。
【0024】
基板支持部16は、リング27、筒状部28、及び筒状部29を更に含んでいてもよい。リング27は、エッジリングERと基台20との間に設けられている。リング27は、絶縁体から形成されている。筒状部28は、基台20、リング27、及び支持体18の外周に沿って延在している。筒状部28は、筒状部29上に設けられている。筒状部28は、耐腐食性を有する絶縁体から形成されている。筒状部28は、例えば石英から形成されている。筒状部29は、支持体18の外周に沿って延在している。筒状部29は、耐腐食性を有する絶縁体から形成されている。筒状部29は、例えば石英から形成されている。
【0025】
天部14は、チャンバ10の上端開口を閉じるように設けられている。天部14は、上部電極30を含んでいる。天部14は、部材32及び部材34を更に含み得る。部材32は、略環状の板であり、アルミニウムといった金属から形成されている。部材32は、後述する部材58を介して、チャンバ10の側壁上に設けられている。即ち、部材32は、部材58上に設けられている。部材34は、上部電極30と部材32との間に設けられている。部材34は、軸線AXに対して周方向に延在している。部材34は、石英といった絶縁体から形成されている。上部電極30は、部材32によって画成された開口内に部材34を介して配置されている。上部電極30は、部材34を介して部材32によって支持されている。
【0026】
上部電極30は、天板36及び支持体38を含んでいる。天板36は、略円盤形状を有している。天板36は、内部空間10sに接している。天板36には、複数のガス吐出孔36hが形成されている。複数のガス吐出孔36hは、板厚方向(鉛直方向)に天板36を貫通している。天板36は、シリコン、酸化アルミニウム、又は石英から形成されている。或いは、天板36は、アルミニウムといった導体製の部材の表面上に耐腐食性の膜を形成することにより構成されていてもよい。耐腐食性の膜は、例えば、酸化アルミニウム又は酸化イットリウムといった材料から形成されている。
【0027】
支持体38は、天板36上に設けられている。支持体38は、天板36を着脱自在に支持している。支持体38は、例えばアルミニウムから形成されている。支持体38には、流路38fが形成されている。流路38fは、支持体38内で、例えば渦巻き状に延在している。流路38fには、チラーユニット40から冷媒が供給される。チラーユニット40は、チャンバ10の外部に設けられている。チラーユニット40は、液状の冷媒(例えば冷却水)を流路38fに供給する。流路38fに供給された冷媒は、流路38fの中を流れて、チラーユニット40に戻される。
【0028】
支持体38の内部には、ガス拡散室38dが形成されている。支持体38には、複数の孔38hが形成されている。複数の孔38hは、ガス拡散室38dから下方に延びて、複数のガス吐出孔36hにそれぞれ接続している。支持体38には、ポート38pが設けられている。ポート38pは、ガス拡散室38dに接続している。ポート38pには、ガスソース群41が、バルブ群42、流量制御器群43、及びバルブ群44を介して接続されている。
【0029】
ガスソース群41は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42及びバルブ群44の各々は、複数のバルブを含んでいる。流量制御器群43は、複数の流量制御器を含んでいる。複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群41の複数のガスソースの各々は、バルブ群44の対応のバルブ、流量制御器群43の対応の流量制御器、及びバルブ群42の対応のバルブを介して、ポート38pに接続されている。プラズマ処理装置1では、ガスソース群41の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースの各々からのガスが、ガス拡散室38dに供給される。ガス拡散室38dに供給されたガスは、複数のガス吐出孔36hから内部空間10sに供給される。
【0030】
プラズマ処理装置1は、部材58を更に備えている。部材58は、部分的に内部空間10sの中に設けられている。即ち、部材58の一部は、内部空間10sの中でプラズマに晒される。部材58は、内部空間10sからチャンバ10の外側に向けて延びてチャンバ10の外側の空間に対して露出されている。
【0031】
部材58は、プラズマ処理による副生成物がチャンバ10の内壁面に堆積することを抑制するよう、チャンバ10の内壁面に沿って延在している。具体的には、部材58は、チャンバ本体12の内壁面又は第2部材12bの内壁面に沿って延在している。部材58は、略円筒形状を有している。部材58は、アルミニウムといった導体製の部材の表面上に耐腐食性の膜を形成することにより構成され得る。耐腐食性の膜は、例えば酸化アルミニウム又は酸化イットリウムといった材料から形成されている。
【0032】
部材58は、チャンバ本体12と天部14との間で挟持されている。例えば、部材58は、チャンバ本体12の第2部材12bと天部14の部材32との間で挟持されている。
【0033】
プラズマ処理装置1は、スペーサ59を更に備えていてもよい。スペーサ59は、板状をなしており、軸線AXの周りで周方向に延びている。スペーサ59は、部材58とチャンバ10との間に設けられている。スペーサ59は、例えば導体から形成されている。スペーサ59は、アルミニウムの熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料から形成されていてもよい。スペーサ59は、例えばステンレスから形成されていてもよい。スペーサ59は、アルミニウムの熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料であれば、ステンレス以外の材料から形成されていてもよい。なお、スペーサ59は、アルミニウムから形成されていてもよい。
【0034】
スペーサ59は、部材58と第2部材12bとの間に設けられている。スペーサ59及び第2部材12bは、ねじ60aを用いて第1部材12aに固定されている。ねじ60aは、スペーサ59及び第2部材12bを貫通して第1部材12aのねじ穴に螺合している。部材58は、ねじ60bを用いてスペーサ59に固定されている。ねじ60bは、部材58を貫通してスペーサ59のねじ穴に螺合している。
【0035】
プラズマ処理装置1は、ヒータユニット62を更に備えていてもよい。ヒータユニット62は、本体62m及びヒータ62hを含んでいる。ヒータ62hは、部材58を加熱するように構成されている。ヒータ62hは、抵抗加熱素子であり得る。ヒータ62hは、本体62m内に設けられている。本体62mは、部材58に熱的に接している。本体62mは、部材58に物理的に接している。本体62mは、アルミニウムといった導体から形成されている。ヒータ62hは、本体62mを介して部材58を加熱するように構成されている。
【0036】
本体62mは、略略環状の板であり、上部電極30を囲むように周方向に延在している。一実施形態において、天部14は、部材56を更に含んでいる。部材56は、略環状の板である。部材56は、天板36の径方向外側の領域で周方向に延在している。径方向は、軸線AXに対して放射方向である。ヒータユニット62は、部材56と部材32との間、且つ、部材34と部材58との間に設けられている。
【0037】
部材58と支持体18との間には、バッフル部材72が設けられている。一実施形態において、バッフル部材72は、略円筒形状を有している。バッフル部材72の上端は、鍔状に形成されている。バッフル部材72の下端は、略環形状に形成されており、径方向内側に延びている。バッフル部材72の上端の外縁は、部材58の下端に結合されている。バッフル部材72の下端の内縁は、筒状部29と底板17との間に挟持されている。バッフル部材72は、アルミニウムといった導体製の板から形成されている。バッフル部材72の表面には、耐腐食性の膜が形成されている。耐腐食性の膜は、例えば、酸化アルミニウム又は酸化イットリウムといった材料から形成されている。バッフル部材72には、複数の貫通孔が形成されている。
【0038】
内部空間10sは、バッフル部材72の下方で延在する排気領域を含んでいる。排気領域には、排気装置74が接続されている。排気装置74は、自動圧力制御弁といった圧力調整器及びターボ分子ポンプといった減圧ポンプを含んでいる。
【0039】
部材58には、開口58pが形成されている。開口58pは、開口12pと対面するように部材58に形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、開口12p及び開口58pを通過する。
【0040】
プラズマ処理装置1は、シャッター機構76を更に備えていてもよい。シャッター機構76は、開口58pを開閉するように構成されている。シャッター機構76は、弁体76v及び軸体76sを有している。シャッター機構76は、筒体76a及び駆動部76dを更に有し得る。
【0041】
弁体76vは、開口58p内に配置されている状態では開口58pを閉じる。弁体76vは、軸体76sによって支持されている。即ち、軸体76sは、弁体76vに連結している。軸体76sは、弁体76vから下方に延在している。
【0042】
筒体76aは、筒形状をなしている。筒体76aは、直接的に又は間接的にチャンバ本体12に固定されている。軸体76sは、筒体76aの中を通って上下に移動可能になっている。駆動部76dは、軸体76sを上下に移動させるための動力を発生する。駆動部76dは、例えばモータを含む。
【0043】
一実施形態においてプラズマ処理装置1は、制御部80を更に備え得る。制御部80は、プラズマ処理装置1の各部を制御するように構成されている。制御部80は、例えば、コンピュータ装置である。制御部80は、プロセッサ、記憶部、キーボードといった入力装置、表示装置、及び信号の入出力インタフェイスを有する。記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが記憶されている。プロセッサは、制御プログラムを実行し、レシピデータに従ってプラズマ処理装置1の各部に入出力インタフェイスを介して制御信号を送出する。
【0044】
以下、プラズマ処理装置1の基板支持部16及びこれに関連する構成について詳細に説明する。以下の説明では、
図1に加えて、
図2及び
図3を参照する。
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の基板支持部の断面図である。
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の基板支持部の部分拡大断面図である。
【0045】
上述したように、一実施形態において、基板支持部16は、基台20を含む。基台20の下方では、給電パイプ57が下方に延びている。給電パイプ57は、導体から形成されたパイプである。給電パイプ57の中心軸線は、軸線AXに略一致している。給電パイプ57の上端は、基台20に接続されている。
【0046】
プラズマ処理装置1は、高周波電源51を更に備えている。高周波電源51は、整合器51mを介して給電パイプ57に接続されており、給電パイプ57を介して基台20に接続されている。高周波電源51は、プラズマ生成用の高周波電力を発生する電源である。高周波電源51によって発生される高周波電力の周波数は、例えば13.56MHz以上、150MHz以下の周波数である。整合器51mは、高周波電源51の負荷側(基台20側)のインピーダンスを高周波電源51の出力インピーダンスに整合させるための整合回路を有している。なお、高周波電源51は、基台20ではなく、整合器51mを介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0047】
上述したように、静電チャック22は、基台20上に設けられている。静電チャック22は、第1の領域22a及び第2の領域22bを提供している。第1の領域22aは、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。第2の領域22bは、その上に載置されるエッジリングERを支持するように構成されている。第1の領域22aは、平面視において略円形の領域であり、その中心軸線は、軸線AXに略一致している。第2の領域22bは、平面視において略環状の領域であり、第1の領域22aを囲むように、周方向に延在している。
【0048】
静電チャック22は、誘電体部22mを含んでいる。誘電体部22mは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムのようなセラミックから形成されている。誘電体部22mは、略円盤形状を有している。誘電体部22mの中央領域は、第1の領域22aを構成しており、誘電体部22mの周縁領域は、第2の領域22bを構成している。
【0049】
第1の領域22aは、チャック電極224を含んでいる。チャック電極224は、導電性材料から形成された膜であり、第1の領域22aにおいて誘電体部22mの中に設けられている。チャック電極224は、平面視においては略円形の形状を有していてもよい。チャック電極224には、直流電源52が、フィルタ52fを介して電気的に接続されている。フィルタ52fは、ローパスフィルタである。直流電源52からの直流電圧がチャック電極224に印加されると、第1の領域22aとその上に載置された基板Wとの間で静電引力が発生する。基板Wは、発生した静電引力により第1の領域22aに引き付けられて、第1の領域22a上で静電チャック22によって保持される。
【0050】
第1の領域22aは、第1の電極221を更に含んでいる。第1の電極221は、導電性材料から形成された膜である。第1の電極221は、第1の領域22aにおいて誘電体部22mの中に設けられている。第1の電極221は、第1の領域22aの上面と第1の電極221との間にチャック電極224が位置するように設けられ得る。第1の電極221は、平面視においては略円形の形状を有していてもよい。
【0051】
プラズマ処理装置1は、第1の給電ライン81を更に備えている。第1の給電ライン81は、バイアス電源54と第1の電極221とを互いに接続する。第1の給電ライン81の詳細については、後述する。
【0052】
バイアス電源54は、チャンバ10内で生成されたプラズマから基板Wにイオンを引き込むために第1の電極221に印加される電圧のパルスを、バイアスエネルギーとして発生する。電圧のパルスは、負の電圧のパルスであってもよく、正の電圧のパルスであってもよい。電圧のパルスは、矩形パルス、三角パルスのような任意の波形を有し得る。バイアス電源54は、電圧のパルスを第1の電極221に周期的に印加し得る。バイアス電源54から第1の電極221に電圧のパルスが印加される周期の時間長は、バイアス周波数の逆数である。バイアス周波数は、例えば100kHz以上、13.56MHz以下の範囲内の周波数である。
【0053】
第2の領域22bは、チャック電極225を含んでいる。チャック電極225は、導電性材料から形成された膜であり、第2の領域22bにおいて誘電体部22mの中に設けられている。チャック電極225は、平面視において略環形状を有していてもよく、軸線AXの周りで延在していてもよい。チャック電極225には、直流電源53がフィルタ53fを介して電気的に接続されている。フィルタ53fは、ローパスフィルタである。直流電源53からの直流電圧がチャック電極225に印加されると、第2の領域22bとその上に載置されたエッジリングERとの間で静電引力が発生する。エッジリングERは、発生した静電引力により第2の領域22bに引き付けられて、第2の領域22b上で静電チャック22によって保持される。なお、第2の領域22bは、双極型の静電チャックを構成する一対の電極をチャック電極として含んでいてもよい。
【0054】
第2の領域22bは、第2の電極222を更に含んでいる。第2の電極222は、導電性材料から形成された膜である。第2の電極222は、平面視において略環形状を有していてもよく、軸線AXの周りで延在していてもよい。第2の電極222は、第2の領域22bにおいて誘電体部22mの中に設けられている。なお、チャック電極225は、第2の電極222と第2の領域22bの上面との間で延在し得る。
【0055】
プラズマ処理装置1は、第2の給電ライン82を更に備えている。第2の給電ライン82は、バイアス電源55と第2の電極222とを互いに接続する。第2の給電ライン82の詳細については、後述する。なお、第2の給電ライン82は、バイアス電源54と第2の電極222とを互いに接続していてもよい。この場合に、プラズマ処理装置1は、バイアス電源55を備えていなくてもよい。
【0056】
バイアス電源55は、チャンバ10内で生成されたプラズマから基板Wにイオンを引き込むために第2の電極222に印加される電圧のパルスを、バイアスエネルギーとして発生する。電圧のパルスは、負の電圧のパルスであってもよく、正の電圧のパルスであってもよい。電圧のパルスは、矩形パルス、三角パルスのような任意の波形を有し得る。バイアス電源55は、電圧のパルスを第2の電極222に周期的に印加し得る。バイアス電源55から第2の電極222に電圧のパルスが印加される周期の時間長は、バイアス周波数の逆数である。バイアス周波数は、例えば100kHz以上、13.56MHz以下の範囲内の周波数である。
【0057】
一実施形態において、基台20の略中央には、貫通孔が形成されている。この貫通孔の中には、碍子83が嵌め込まれている。碍子83は、絶縁体から形成されている。碍子83は、略円筒形状を有し得る。静電チャック22は、端子22eを更に含んでいる。端子22eは、第1の電極221に接続されており、静電チャック22の下面において碍子83の内孔に露出している。
【0058】
第1の給電ライン81は、ソケット81s及び給電ピン81pを含んでいる。給電ピン81p及びソケット81sは、金属のような導体から形成されている。ソケット81sは、碍子83の内孔の中に設けられている。ソケット81sは、その上端を含む上部と下部とを有する。ソケット81sの上部は、略円柱形状を有し得る。ソケット81sの下部は、略円筒形状を有し得る。ソケット81sの上端は、端子22eに接続されている。ソケット81sの上端は、例えば端子22eにロウ付けされている。
【0059】
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置において採用され得る給電ピン及びソケットを示す図である。給電ピン81pは、
図4に示す給電ピン100と同じ構造を有し、ソケット81sは、
図4に示すソケット102と同じ構造を有し得る。
【0060】
給電ピン100は、その一端と他端との間における一部分として可撓部100fを有している。可撓部100fは、長手方向における給電ピン100の他の部分の直径よりも大きな直径を有している。また、可撓部100fは、径方向において可撓性を有する。即ち、可撓部100fは、径方向において弾性変形可能であるように構成されている。一実施形態においては、可撓部100fは、中空であり、周方向に沿って配列された複数の切り欠き100sを提供している。可撓部100fは、ソケット102の中では、縮径した状態でソケット102の内面に接触し、ソケット102によって保持される。
【0061】
プラズマ処理装置1では、給電ピン81p及びソケット81sは、給電ピン100及びソケット102と同じ構造を有するので、給電ピン81pは、ソケット81sによって保持されて、ソケット81sに確実に接触する。したがって、バイアス電源54からのバイアスエネルギー、即ち電圧のパルスが、第1の電極221に安定的に供給される。
【0062】
一実施形態において、第1の給電ライン81は、配線81wを更に含んでいてもよい。配線81wは、給電ピン81pをバイアス電源54に接続している。一実施形態においては、第1の給電ライン81は、給電パイプ57の内孔を通って上方に延びている。具体的には、第1の給電ライン81の配線81w及び給電ピン81pの一部が、給電パイプ57の内孔の中で延びている。一実施形態では、環状部材82rが、給電パイプ57の中に設けられている。第1の給電ライン81は、環状部材82rの内孔を通って、上方に延びていてもよい。具体的には、配線81wが、環状部材82rの内孔を通って、上方に延びていてもよい。
【0063】
一実施形態において、基台20には、複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔は、軸線AXの周りで周方向に配列されている。複数の貫通孔の中には、複数の碍子84がそれぞれ嵌め込まれている。複数の碍子84の各々は、絶縁体から形成されている。複数の碍子84の各々は、略円筒形状を有し得る。静電チャック22は、複数の端子22fを更に含んでいる。複数の端子22fの各々は、第2の電極222に接続されており、静電チャック22の下面において複数の碍子84のうち対応の碍子の内孔に露出している。
【0064】
第2の給電ライン82は、一つ以上のソケット82s及び一つ以上の給電ピン82pを含んでいる。一つ以上のソケット82s及び一つ以上の給電ピン82pは、金属のような導体から形成されている。一実施形態では、第2の給電ライン82は、複数のソケット82s及び複数の給電ピン82pを含んでいる。各給電ピン82pは、対応のソケット82s内に嵌め込まれている。
【0065】
複数のソケット82sは、複数の碍子84のうち対応の碍子の内孔の中で延在している。複数のソケット82sは、スリーブ86を介して複数の碍子84のうち対応の碍子によって保持されている。複数のソケット82sは、その上端において閉じられた略円筒形状を有し得る。複数のソケット82sの上端は、複数の端子22fにそれぞれ接続されている。一実施形態において、第2の給電ライン82は、複数の配線82tを含んでいる。複数の配線82tは、例えば、より線から構成されている。複数の配線82tはそれぞれ、複数のソケット82sを複数の端子22fに接続している。
【0066】
プラズマ処理装置1では、各給電ピン82p及び各ソケット82sは、給電ピン100及びソケット102と同じ構造を有する。したがって、各給電ピン82pは、対応のソケット82sによって保持されて、対応のソケット82sに確実に接触する。故に、バイアス電源55からのバイアスエネルギー、即ち電圧のパルスが、第2の電極222を介してエッジリングERに安定的に供給される。
【0067】
以下、
図1~
図4に加えて、
図5を参照する。
図5は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の給電ラインを示す平面図である。一実施形態において、第2の給電ライン82は、共通ライン82c、環状部材82r、及び複数の分枝ライン82bを含んでいてもよい。
【0068】
環状部材82rは、環形状を有しており、金属のような導体から形成されている。環状部材82rの中心軸線は、軸線AXと略一致している。環状部材82rは、給電パイプ57の内孔の中に設けられている。環状部材82rは、ホルダ88によって保持されており、ホルダ88を介して給電パイプ57によって支持されていてもよい。ホルダ88は、絶縁体から形成されており、給電パイプ57と環状部材82rとの間に介在している。
【0069】
共通ライン82cは、導体から形成された配線であり、バイアス電源55(又はバイアス電源54)を環状部材82rに接続している。共通ライン82cは、給電パイプ57の内孔を通って上方に延びて、給電パイプ57の中で環状部材82rに接続している。
【0070】
複数の分枝ライン82bは、第2の電極222を環状部材82rに接続している。複数の分枝ライン82bの各々は、複数の給電ピン82pのうち一つと複数のソケット82sのうち一つを含んでいる。複数の分枝ライン82bは、互いに同一の長さを有していてもよい。複数の分枝ライン82bは、軸線AXに対して周方向に沿って等間隔に配列されていてもよい。
【0071】
一実施形態において、複数の分枝ライン82bの各々は、配線82w及びジョイント82jを更に含んでいてもよい。配線82wは、環状部材82rに接続されたその一端から軸線AXに対して放射方向に延びており、その他端においてジョイント82jに接続されている。配線82wは、ホルダ88の孔及び給電パイプ57の孔を通って、放射方向に延びている。配線82wは、環状部材82rとジョイント82jとの間で屈曲されていてもよい。例えば、配線82wは、環状部材82rとジョイント82jとの間で曲線状に延在していてもよい。
【0072】
複数の分枝ライン82bの各々のジョイント82jは、部材24と部材25との間で挟持されている。部材24と部材25は、支持体18と基台20との間に設けられている。複数の分枝ライン82bの各々のジョイント82jには、複数の給電ピン82pのうち一つが接続されている。複数の給電ピン82pの各々は、ジョイント82jから上方に延びて、対応のソケット82sの中に嵌め込まれている。
【0073】
共通ライン82c、環状部材82r、及び複数の分枝ライン82bから構成された第2の給電ライン82によれば、バイアスエネルギーは、周方向に沿って均等にエッジリングERに供給され得る。
【0074】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0075】
例えば、第2の給電ライン82は、単一の給電ピンと単一のソケットから構成されていてもよい。
【0076】
また、別の実施形態においてプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは異なる容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。更に別の実施形態においてプラズマ処理装置は、誘導結合型のプラズマ処理装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理装置、又はマイクロ波のような表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0077】
以下、プラズマ処理装置1の評価のために行った第1~第4の実験について説明する。第1~第4の実験では、プラズマ処理装置1を用いて、サンプル基板のシリコン酸化膜のプラズマエッチングを行った。第1~第4の実験で用いたプラズマ処理装置1は、六つの給電ピン82pと六つのソケット82sを有しており、六つの分枝ライン82bを有していた。第1~第4の実験で用いた分枝ライン82bの個数、即ち給電本数は、互いに異なっていた。第1の実験では、六つのソケット82s内に六つの給電ピン82pをそれぞれ嵌め込んだ。即ち、第1の実験では、バイアス電源55を第2の電極222に複数の分枝ライン82bの全てを用いて接続した。第2の実験では、一つの給電ピン82pを一つのソケット82sから取り外して、バイアス電源55を第2の電極222に五つの分枝ライン82bを用いて接続した。第3の実験では、三つの給電ピン82pを三つのソケット82sから取り外して、バイアス電源55を第2の電極222に三つの分枝ライン82bを用いて接続した。第4の実験では、五つの給電ピン82pを五つのソケット82sから取り外して、バイアス電源55を第2の電極222に一つの分枝ライン82bを用いて接続した。以下、第1~第4の実験におけるプラズマエッチングの条件を示す。なお、第1~第4の実験では、高周波電源51の高周波電力、バイアス電源54の電圧のパルス、及びバイアス電源55の電圧のパルスを、10kHzの繰り返し周波数、60%のONデューティー比により、オンオフ変調して、互いに同期させた。
<第1~第4の実験における給電本数>
第1の実験(No.1):6本
第2の実験(No.2):5本
第3の実験(No.3):3本
第4の実験(No.4):1本
<第1~第4の実験におけるプラズマエッチングの条件>
・処理ガス:CF4ガス、O2ガス、及びArガスの混合ガス
・チャンバ10内の圧力:10mTorr(1.333Pa)
・高周波電源51の高周波電力:2500W、40MHz
・バイアス電源54の電圧のパルス:-3600V、400kHzのバイアス周波数、20%のONデューティー比
・バイアス電源55の電圧のパルス:-360V、400kHzのバイアス周波数、20%のONデューティー比
【0078】
第1~第4の実験では、サンプル基板の半径方向に沿った複数の位置におけるシリコン酸化膜のエッチングレートを求めた。そして、第2~第4の実験の各々において求めた複数の位置の各々におけるシリコン酸化膜のエッチングレートと第1の実験において求めた対応の位置におけるシリコン酸化膜のエッチングレートとの差ΔERを求めた。
図6に実験の結果を示す。
図6において横軸は、サンプル基板の半径方向に沿った複数の位置をサンプル基板の中心からの距離で表している。
図6において縦軸は、ΔERを示している。また、
図6において、No.2、No.3、No.4はそれぞれ、第2~第4の実験のΔERを示している。
図6に示すように、第4の実験、即ち六つの分枝ライン82bのうち一つのみを用いてバイアス電源55を第2の電極222に接続した場合には、ΔERがその絶対値が大きい負値を有しており、したがって、エッチングレートが大きく低下していた。一方、より多くの分枝ライン82bを用いてバイアス電源55を第2の電極222に接続した場合には、ΔERの絶対値は小さくなっていた。したがって、複数の分枝ライン82bを用いることが好ましいことが確認された。
【0079】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0080】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、22…静電チャック、22a…第1の領域、22b…第2の領域、221…第1の電極、222…第2の電極、54,55…バイアス電源、81…第1の給電ライン、82…第2の給電ライン、82p…給電ピン、82s…ソケット。