(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】高い酸化物除去速度を有するシャロートレンチアイソレーション化学的機械平坦化組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20240919BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20240919BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240919BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
B24B37/00 H
H01L21/304 622D
(21)【出願番号】P 2022523997
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020056677
(87)【国際公開番号】W WO2021081102
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-07-26
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ディー.ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ホンチュン チョウ
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ ピー.ムレラ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0077419(US,A1)
【文献】国際公開第2015/019911(WO,A1)
【文献】特開2019-102476(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001558(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/18
H01L21/304
H01L21/463
B24B 3/00 - 3/60
B24B21/00 -39/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリア被覆無機酸化物粒子;
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子;
複数のヒドロキシ官能基を有する非イオン性有機分子;
水溶性溶媒;及び
任意に
殺生物剤;及び
pH調整剤;
を含む化学的機械研磨組成物であって、
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子は、以下の一般的な分子構造を有し、
【化1】
前記Rは、水素原子、金属陽イオン、又はアルキル基C
nH
2n+1であり、nは1~1
2であり、
前記組成物は、2~1
2のpHを
有し、
前記セリア被覆無機酸化物粒子が、セリア被覆コロイダルシリカ、セリア被覆高純度コロイダルシリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記複数のヒドロキシ官能基を有する非イオン性有機分子が、
【化2】
【化3】
及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、化学的機械研磨組成物。
【請求項2】
前記粒子が0.01重量%~20重量
%の範囲にある、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項3】
前記水溶性溶媒が、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール系有機溶媒からなる群から選択される、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項4】
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子が、0.0001重量%~2.0重量
%の範囲にある、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項5】
複数のヒドロキシ官能基を有する前記有機分子が、0.0001重量%~2.0重量
%の範囲にある、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項6】
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基が、以下に示すように環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に結合することができる、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【化4】
【請求項7】
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基のRが水素原子であり、-COOH基が、以下に示すように環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に結合することができる、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【化5】
【請求項8】
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基のRが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群から選択される金属陽イオンM
+である、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【化6】
【請求項9】
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基のRが、nが1~1
2であるアルキル基C
nH
2n+1であり、前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子がピリジンカルボン酸エステルである、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項10】
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子;ピリジン環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に、1つのカルボン酸、カルボン酸塩、又はカルボン酸エステルが結合した前記ピリジン環分子;及び水を含む、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項11】
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;ラクチトール、マルチトール、ズルシトール、及びD-ソルビトールからなる群から選択された少なくとも1つ;ピリジン環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に、1つのカルボン酸、カルボン酸塩、又はカルボン酸エステルが結合した前記ピリジン環分子;及び水を含む、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項12】
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;ラクチトール、マルチトール、ズルシトール、及びD-ソルビトールからなる群から選択された少なくとも1つ;2-ピコリン酸、3-ピリジンカルボン酸(3-Pyridinrcarboxylic Acid)、4-ピリジンカルボン酸(4-Pyridinrcarboxylic Acid)からからなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項13】
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;ラクチトール、マルチトール、ズルシトール、及びD-ソルビトールからなる群から選択された少なくとも1つ;及び2-ピコリン酸を含む、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項14】
前記組成物が、有効成分の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを有する、0.0001重量%~0.05重量
%の前記殺生物剤を更に含む、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項15】
前記組成物が、酸性のpH条件では硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、その他の無機酸又は有機酸、及びそれらの混合物からなる群から選択された、又はアルカリ性のpH条件では、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアンモニウムヒドロキシド、有機第四級アンモニウムヒドロキシド化合物、有機アミン、及びそれらの混合物からなる群から選択された、0重量%~1重量
%の前記pH調整剤を更に含む、請求項1に記載の化学的機械研磨組成物。
【請求項16】
シリコン酸化膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基板の化学的機械研磨(CMP)方法であって、
前記半導体基板を提供すること;
研磨パッドを提供すること;
請求項1~
15のいずれかに記載の化学的機械研磨組成物を提供すること;
前記半導体基板の前記少なくとも1つの表面に前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物を接触させること;及び
前記シリコン酸化膜を含む前記少なくとも1つの表面を研磨すること
を含む方法。
【請求項17】
前記シリコン酸化膜が、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度蒸着CVD(HDP)、又はスピンオン酸化膜からなる群から選択される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記シリコン酸化膜がSiO
2膜である、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体基板が、窒化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を更に有し、酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が10よりも大
きい、請求項
16に記載の方法。
【請求項20】
シリコン酸化膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基板の化学的機械研磨(CMP)システムであって、
a.前記半導体基板;
b.請求項1~
15のいずれかに記載の化学的機械研磨組成物;
c.研磨パッド;
を含み、
前記シリコン酸化膜を含む前記少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物に接触している、システム。
【請求項21】
前記シリコン酸化膜が、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度蒸着CVD(HDP)、又はスピンオン酸化膜からなる群から選択される、請求項
20に記載のシステム。
【請求項22】
前記シリコン酸化膜がSiO
2膜である、請求項
20に記載のシステム。
【請求項23】
前記半導体基板が、窒化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を更に有し、酸化ケイ素膜を含む前記少なくとも1つの表面及び窒化ケイ素膜を含む前記少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物で研磨されるときに、窒化ケイ素膜を含む前記少なくとも1つの表面は、前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物と接触し、酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が10よりも大
きい、請求項
20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月24日に出願された先の米国特許出願番号62/925,378に対する35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容は、参照により全体的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シャロートレンチアイソレーション(STI)化学的機械平坦化(CMP)組成物及びシャロートレンチアイソレーション(STI)工程のための化学的機械平坦化(CMP)に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクスデバイスの製造に含まれる重要な工程は研磨であり、特に選択された材料を回収する及び/又は構造を平坦化させるための、表面に対する化学的-機械的研磨である。
【0004】
例えば、SiN層は研磨停止層として機能させるために、SiO2層の下に堆積される。このような研磨停止の役割は、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造において特に重要である。選択性は、酸化物の研磨速度と窒化物の研磨速度の比率で表されるのが特徴的である。例として、二酸化ケイ素(SiO2)の研磨選択速度は窒化ケイ素(SiN)と比較して高くなる。
【0005】
パターン化されたSTI構造のグローバルプラナリゼーションにおいて、酸化物トレンチディッシングを低減することは、考慮される主要因である。トレンチ酸化物の損失が低いほど、隣接するトランジスタ間の電流リークが防止される。ダイ間(ダイ内)での不均一なトレンチ酸化物の損失は、トランジスタの性能と装置の生産収率に影響を及ぼす。トレンチ酸化物の損失が激しい(酸化物トレンチディッシングが大きい)と、トランジスタの絶縁不良を引き起こし、装置の故障をもたらす。したがって、STI CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減することにより、トレンチ酸化物の損失を低減させることは重要である。
【0006】
米国特許第5876490号は、研磨粒子を含み、正常な応力効果を示す研磨組成物を開示する。スラリーは、凹部における研磨速度の低減をもたらす非研磨粒子を更に含み、一方で研磨粒子は高所で高い研磨速度を維持する。このことは、平坦化を向上させる。より具体的には、スラリーは酸化セリウム粒子及び高分子電解質を含み、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨用途に使用することができる。
【0007】
米国特許第6964923号は、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨用途の酸化セリウム粒子及び高分子電解質を含む研磨組成物を教示する。使用される高分子電解質は、米国特許第5876490号のものと同様な、ポリアクリル酸の塩を含む。セリア、アルミナ、シリカ、及びジルコニアは、研磨剤として使用される。このような列挙された高分子電解質の分子量は、300から20000であるが、全体としては100000未満である。
【0008】
米国特許第6616514号は、化学的機械研磨によって窒化ケイ素に優先して物品の表面から第一物質を除去する際に使用するための化学的機械研磨スラリーを開示する。当該発明による化学的機械研磨は、研磨剤、水性媒体、及びプロトンを解離しない有機ポリオールを含み、前記有機ポリオールは、水性媒体中で解離しない少なくとも3つのヒドロキシ基を有する化合物、又は水性媒体中で解離しない少なくとも3つのヒドロキシ基を有する少なくとも1つのモノマーから形成されるポリマーを含む。
【0009】
しかし、これらの先に開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨組成物は、酸化物トレンチディッシング低減の重要性及び高い酸化物対窒化物選択性と共に研磨されたパターン付きウェーハ上のより均一な酸化物トレンチディッシングに対処していなかった。
【0010】
また、これらの先に開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨組成物は、パターン付きウェーハ上の、HDPのような一部の酸化膜の段差の効率的な除去に対処していなかった。
【0011】
したがって、STI化学的機械研磨(CMP)工程においてパターン付きウェーハを研磨する際に、低減された酸化物トレンチディッシング、及び様々なサイズの酸化物トレンチ特徴に渡ってより均一な酸化物トレンチディッシングを与えることができ、窒化ケイ素に対して二酸化ケイ素の選択性が高く、かつ二酸化ケイ素の除去速度が高いことに加えて、パターン付きウェーハを研磨する際に特定の種類の酸化膜の段差を効果的に除去することができる、STI化学的機械研磨の組成物、方法及びシステムに対する必要性が当技術分野に残っていることは、上記から容易に明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、低減された酸化物トレンチディッシング、及び研磨パターン付きウェーハ上の様々なサイズの酸化物トレンチ特徴に渡ってより均一な酸化物トレンチディッシングを提供し、窒化ケイ素に対して二酸化ケイ素の選択性が高く、かつ二酸化ケイ素の除去速度が高いことに加えて、パターン付きウェーハを研磨する際に特定の種類の酸化膜の段差を効果的に除去する。
【0013】
本発明のSTI CMP研磨組成物は、酸性、中性、及びアルカリ性を含む広いpH範囲において、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途の化学的機械研磨(CMP)組成物にSiN膜除去速度抑制剤及び酸化物トレンチディッシング低減剤として化学添加物を導入することにより、高い酸化物対窒化物選択性もまた提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途の化学的機械研磨(CMP)組成物は、セリア被覆無機酸化物研磨粒子と、酸化物トレンチディッシング低減剤及び窒化物抑制剤として適切な化学添加物とを使用するという独自の組み合わせを有する。
【0015】
ある側面において、
セリア被覆無機酸化物粒子;
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又はカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子;複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化学添加物;
水溶性溶媒;及び
任意に
殺生物剤;及び
pH調整剤;
を含むSTI CMP研磨組成物が提供され、
前記組成物は、2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有する。
【0016】
別の側面において、
セリア被覆無機酸化物粒子;
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子;
複数のヒドロキシ官能基を有する非イオン性有機分子;
水溶性溶媒;及び
任意に
殺生物剤;及び
pH調整剤;
を含むSTI CMP研磨組成物が提供され、
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子は、以下の一般的な分子構造を有し、
【化1】
前記Rは、水素原子、金属陽イオン、又はアルキル基C
nH
2n+1であり、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であり;
前記組成物は、2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有する。
【0017】
セリア被覆無機酸化物粒子としては、セリア被覆コロイダルシリカ、セリア被覆高純度コロイダルシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア、又はその他のセリア被覆無機金属酸化物粒子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
水溶性溶媒としては、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール系有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
化学添加物は、SiN膜の除去速度抑制剤及び酸化物トレンチディッシング低減剤として機能する。
【0020】
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子である化学添加物の一般的な分子構造を以下に示す。
【化2】
【0021】
一般的な分子構造において、-COOR基は、以下に示すように環の2位、3位、又は4位に位置する炭素原子に結合することができる。
【化3】
【0022】
ここで、Rは、水素原子、金属陽イオン、及びアルキル基CnH2n+1とすることができ、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。
【0023】
以下の3つの化学添加物は、Rが水素原子である場合に1つのカルボン酸基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子である。
【化4】
【0024】
Rが金属陽イオンである場合、以下のような一般的な分子構造を示す。
【化5】
ここで、陽イオンはナトリウムイオン、カリウムイオン、又はアンモニウムイオンとすることができる。
【0025】
Rがアルキル基CnH2n+1である場合、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であり、化学添加物はピリジンカルボン酸エステルである。
【0026】
複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子である化学添加物の一般的な分子構造の1つを以下に示す。
【化6】
【0027】
一般的な分子構造において、nは1~5000、好ましくは2~12、より好ましくは3~6から選択される。
【0028】
これらの一般的な分子構造において、R1、R2、R3、及びR4基は、同一又は異なる原子若しくは官能基とすることができる。
【0029】
R1、R2、R3、及びR4は、水素、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であるアルキル基CnH2n+1、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミノ基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ;少なくとも2個以上、好ましくは4個以上が水素原子である。
【0030】
R1、R2、R3及びR4が全て水素原子である場合、化学添加物は複数のヒドロキシ官能基を有する。このような化学添加物の分子構造の幾つかの例を、以下に示す。
【化7】
【0031】
複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子である化学添加物の他の一般的な分子構造を以下に示す。
【化8】
【0032】
これらの一般的な分子構造において、R基のR1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7は、同一又は異なる原子若しくは官能基であることができる。
【0033】
一般的な分子構造において、nは1~5000、好ましくは1~100、より好ましくは1~12、最も好ましくは2~6から選択される。
【0034】
各々のR基は、水素、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であるアルキル基CnH2n+1、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミノ基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ、それらの少なくとも2個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは6個以上が水素原子である。
【0035】
R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が全て水素原子である場合、複数のヒドロキシ官能基を有する化学添加物が提供される。
【0036】
このような化学添加物の分子構造の幾つかの例を、以下に示す。
【化9】
【0037】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)工程において上記で説明された化学的機械研磨(CMP)組成物を用いて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基板を化学的機械研磨(CMP)する方法が提供される。
【0038】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)工程において上記で説明された化学的機械研磨(CMP)組成物を用いて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基板を化学的機械研磨(CMP)するシステムが提供される。
【0039】
研磨された酸化膜は、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度蒸着CVD(HDP)、又はスピンオン酸化膜とすることができる。
【0040】
上記で開示された基板は、窒化ケイ素の表面を更に含むことができる。SiO2:SiNの除去選択性は、窒化ケイ素よりも大きく、10より大きく、好ましくは30より大きく、より好ましくは50より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】ブランケット膜及びP50μmRR(Å/min.)に対するピコリン酸の影響
【0042】
【
図2】膜RR(A/min.)とTEOS:SiN選択性に対するピコリン酸の影響
【0043】
【
図3】酸化物トレンチディッシング速度などに対するピコリン酸の影響
【0044】
【
図4】膜RR(A/min.)に対するピコリン酸の影響
【0045】
【
図5】膜RR(A/min.)とTEOS:SiN選択性に対するピコリン酸の異なるpHでの影響
【0046】
【
図6】酸化物トレンチ損失(A/sec.)に対するピコリン酸の異なるpHでの影響
【0047】
【
図7】酸化物トレンチディッシング速度(A/sec.)に対するピコリン酸の異なるpHでの影響
【発明を実施するための形態】
【0048】
パターン付きSTI構造のグローバルプラナリゼーションにおいて、SiN除去速度を抑制すること及び酸化物トレンチディッシングを低減すること及び様々な大きさの酸化物トレンチの特徴に渡って、より均一な酸化物トレンチディッシングを提供することは、考慮される主要因である。トレンチ酸化物の損失がより低減することにより、隣接するトランジスタ間の電流リークが防止される。ダイ全体(ダイ内)で均一でないトレンチ酸化物の損失は、トランジスタの性能及び装置の生産収率に影響を及ぼす。トレンチ酸化物の損失が激しい(酸化物トレンチディッシングが大きい)と、トランジスタの絶縁不良が起こり、結果として装置が故障する。したがって、STI CMP研磨組成物における酸化物トレンチディッシングを低減させることによって、トレンチ酸化物の損失を低減させることは重要である。
【0049】
本発明は、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途における化学的機械研磨(CMP)組成物に関する。
【0050】
より具体的には、開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途における化学的機械研磨(CMP)組成物は、セリア被覆無機酸化物研磨粒子と、酸化物トレンチディッシング低減剤及び窒化物抑制剤として適切な化学添加物とを使用する独自の組み合わせを有する。
【0051】
適切な化学添加物には、2種類の化学添加物、すなわち1種類目の化学添加物は、1つのカルボン酸基、カルボン酸塩基、又はカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子であり、2種類目の化学添加物は、複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子である化学添加物、及びその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
1種類目の化学添加物は、1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子である。これらのカルボン酸基、カルボン酸塩基、又はカルボン酸エステル基は、それぞれ環の2位、3位、又は4位に位置する炭素原子と結合することができる。
【0053】
2種類目の化学添加物は、2つ以上、すなわち複数のヒドロキシ官能基を有する非イオン性及び非芳香族性の有機分子である。
【0054】
化学添加物は、高い酸化膜除去速度、低いSiN膜除去速度、高くかつ調整可能な酸化物:SiN選択性を達成するという恩恵をもたらし、より重要なことは、パターン付きウェーハを研磨しながら望みの段差除去速度を提供し、パターン付きウェーハを研磨する際に、酸化物トレンチディッシングを著しく低減し、研磨ウインドウ安定性を向上させることである。
【0055】
ある側面において、
セリア被覆無機酸化物粒子;
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子;
複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子;及び
それらの組み合わせからなる群から選択された化学添加物;
水溶性溶媒;及び
任意に
殺生物剤;及び
pH調整剤;
を含むSTI CMP研磨組成物が提供され、
前記組成物は、2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有する。
【0056】
別の側面において、
セリア被覆無機酸化物粒子;
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子;
複数のヒドロキシ官能基を有する非イオン性有機分子;
水溶性溶媒;及び
任意に
殺生物剤;及び
pH調整剤;
を含むSTI CMP研磨組成物が提供され、
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子は、以下の一般的な分子構造を有し
【化10】
前記Rは、水素原子、金属陽イオン、又はアルキル基C
nH
2n+1であり、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であり、
前記組成物は、2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有する。
【0057】
セリア被覆無機酸化物粒子としては、セリア被覆コロイダルシリカ、セリア被覆高純度コロイダルシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア、又はその他のセリア被覆無機金属酸化物粒子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
本明細書で開示された発明における、これらセリア被覆無機酸化物粒子の粒子径は、10nm~1000nmの範囲にあり、好ましい平均粒子径は、20nm~500nmの範囲にあり、より好ましい平均粒子径は、50nm~250nmの範囲にある。
【0059】
これらセリア被覆無機酸化物粒子の濃度は、0.01重量%~20重量%の範囲にあり、好ましい濃度は0.05重量%~10重量%の範囲にあり、より好ましい濃度は0.1重量%~5重量%の範囲にある。
【0060】
好ましいセリア被覆無機酸化物粒子は、セリア被覆コロイダルシリカ粒子である。
【0061】
水溶性溶媒としては、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール系有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
好ましい水溶性溶媒は、DI水である。
【0063】
STI CMP組成物は、0.0001重量%~0.05重量%、好ましくは0.0005重量%~0.025重量%、より好ましくは0.001重量%~0.01重量%の殺生物剤を含んでもよい。
【0064】
殺生物剤としては、Dupont/Dow Chemical Co.のDupont/Dow Chemical Co.BiobanのKathonTM、KathonTM CG/ICP IIが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを有効成分として有する。
【0065】
STI CMP組成物は、pH調整剤を含んでもよい。
【0066】
酸性又は塩基性のpH調整剤を使用して、STI CMP組成物を最適なpH値に調整することができる。
【0067】
pH調整剤としては、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、その他の無機酸又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
pH調整剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアンモニウムヒドロキシド、有機第四級アンモニウムヒドロキシド化合物、有機アミン、及びpHをよりアルカリ性側に調整するために使用できるその他の化学試薬のような、塩基性pH調整剤もまた挙げられる。
【0069】
STI CMP組成物は、0重量%~1重量%、好ましくは0.01重量%~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.25重量%のpH調整剤を含む。
【0070】
STI CMP組成物は、1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子である、0.0001重量%~2.0重量%、0.0002重量%~1.0重量%、又は0.0005重量%~0.5重量%の化学添加物を含む。
【0071】
STI CMP組成物は、複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子である、0.0001重量%~2.0重量%、0.001重量%~1.0重量%、又は0.005重量%~0.75重量%の化学添加物を含む。
【0072】
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子である、化学添加物の一般的な分子構造を以下に示す。
【化11】
【0073】
一般的な分子構造において、-COOR基は、以下に示すように環の2位、3位、又は4位に位置する炭素原子に結合することができる。
【化12】
【0074】
ここで、Rは、水素原子、金属陽イオン、又はアルキル基CnH2n+1とすることができ、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。
【0075】
Rが水素原子の場合、化学添加物は以下に示すような、カルボン酸基を1つ有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子である。
【化13】
【0076】
Rが金属陽イオンの場合、次のような一般的な分子構造を表す。
【化14】
ここで、陽イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はアンモニウムイオンとすることができる。
【0077】
Rがアルキル基CnH2n+1である場合、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であり、化学添加物はピリジンカルボン酸エステルである。
【0078】
複数のヒドロキシ官能基を有する有機分子である2種類目の化学添加物の一般的な分子構造の一つを以下に示す。
【化15】
【0079】
一般的な分子構造において、nは1~5000、好ましくは2~12、より好ましくは3~6から選択される。
【0080】
これらの一般的な分子構造において、R1、R2、R3、及びR4基は、同一又は異なる原子若しくは官能基であることができる。
【0081】
R1、R2、R3、及びR4は、水素、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であるアルキルCnH2n+1、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミノ基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ、少なくとも2個以上、好ましくは4個以上が水素原子である。
【0082】
R1、R2、R3、及びR4がすべて水素原子である場合、化学添加物は複数のヒドロキシ官能基を有する。このような化学添加物の分子構造の幾つかの例を以下に示す。
【化16】
【0083】
複数のヒドロキシ官能基を有する2種類目の化学添加物における別の一般的な分子構造を以下に示す。
【化17】
【0084】
これらの一般的な分子構造において、R基のR1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7は、同一又は異なる原子若しくは官能基であることができる。
【0085】
一般的な分子構造において、nは1~5000、好ましくは1~100、より好ましくは1~12、最も好ましくは2~6から選択される。
【0086】
各々のR基は、水素、アルキル(CnH2n+1、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である)、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミノ基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ、少なくとも2個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは6個以上が水素原子である。
【0087】
R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が全て水素原子である場合、複数のヒドロキシ官能基を有する化学添加物が提供される。
【0088】
このような化学添加物の分子構造の幾つかの例を以下に示す。
【化18】
【0089】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)工程において上記で説明された化学的機械研磨(CMP)組成物を用いて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基板を化学的機械研磨(CMP)する方法が提供される。
【0090】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)工程において上記で説明された化学的機械研磨(CMP)組成物を用いて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基板を化学的機械研磨(CMP)するシステムが提供される。
【0091】
研磨された酸化膜は、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度蒸着CVD(HDP)、又はスピンオン酸化膜とすることができる。
【0092】
上記で開示された基板は、窒化ケイ素の表面を更に含むことができる。SiO2:SiNの除去選択性は、10より大きく、好ましくは20より大きく、より好ましくは30より大きい。
【0093】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)工程における上記で説明された化学的機械研磨(CMP)組成物を用いて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基板を化学的機械研磨(CMP)する方法が提供される。研磨された酸化膜は、CVD酸化物、PECVD酸化物、高密度酸化物、又はスピンオン酸化膜とすることができる。
【0094】
本発明を更に説明するために、以下の非限定的な実施例を示す。
【0095】
CMPの手法
以下に示す例において、以下に示す手順及び実験条件でCMP実験を行った。
【0096】
用語集、構成要素
セリア被覆シリカ:約100ナノメートル(nm)の粒子径を有する研磨剤として使用され、このようなセリア被覆シリカ粒子は、約20ナノメートル(nm)~約500ナノメートル(nm)の範囲の粒子径を有することができる。
【0097】
セリア被覆シリカ粒子(様々な粒子径)は、日本のJGCC社によって供給された。
【0098】
ピコリン酸、マルチトール、D-フルクトース、ズルシトール、D-ソルビトール及びその他の化学原料などの化学添加物は、ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrich社から供給された。
【0099】
TEOS:オルトケイ酸テトラエチル
【0100】
研磨パッド:研磨パッド、IC1000、IC1010、及びその他のパッドは、CMPの際に使用し、DOW社から供給された。
【0101】
パラメータ 一般
Å又はA:オングストローム(s)-長さの単位
【0102】
BP:背圧、単位はpsi
【0103】
CMP:化学的機械平坦化=化学的機械研磨
【0104】
CS:搬送速度
【0105】
DF:ダウンフォース:CMPの際にかかる圧力、単位はpsi
【0106】
min:分
【0107】
ml:ミリリットル
【0108】
mV:ミリボルト
【0109】
psi:重量ポンド毎平方インチ
【0110】
PS:研磨工具のプラテン回転速度、単位はrpm(1分間あたりの回転数)
【0111】
SF:組成流量、ml/min
【0112】
Wt.%又は%:(記載された成分の)重量パーセント
【0113】
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
【0114】
HDP:高密度プラズマ蒸着TEOS
【0115】
TEOS又はHDPの除去速度:所定のダウン圧で測定されたTEOS又はHDPの除去速度。CMPツールのダウン圧は、上記の例では2.0psi、3.0psi、又は4.0psiであった。
【0116】
SiNの除去速度:所定のダウン圧で測定されたSiNの除去速度。CMPツールのダウン圧は、上記の例では3.0psiであった。
【0117】
計測学
膜は、Creative Design Engeering社(20565 Alves Dr.,Cupertino,CA,95014)製のResMap CDE,モデル168を使用して測定した。ResMapツールは、4点プローブのシート抵抗ツールである。膜の5mmエッジエクスクルージョンで49点の直径スキャンを行った。
【0118】
CMPツール
CMPツールは、Applied Materials社(3050 Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054)製の200mm Mirra、又は300mm Reflexionを使用した。DOW社(451 Bellevue Rd.,Newark,DE 19713)によって供給されたIC1000パッドは、ブランケット及びパターン付きウェーハの検討のために、プラテン1上で使用された。
【0119】
IC1010パッド又は他のパッドは、18分間パッドを調整することによって慣らした。コンディショナーのダウンフォースは7ポンドである。工具の設定とパッドの慣らしを確認するために、2つのタングステンモニター及び2つのTEOSモニターは、基準条件でVersum Materials社によって供給された、Versum(登録商標)STI2305組成物で研磨された。
【0120】
ウェーハ
研磨実験は、PECVD又はLECVD又はHD TEOSウェーハを用いて行った。これらのブランケットウェーハは、Silicon Valley Microelectronics社(2985 Kifer Rd.,Santa,CA 95051)から購入した。
【0121】
研磨実験
ブランケットウェーハの検討では、酸化物ブランケットウェーハ、及びSiNブランケットウェーハを基準条件で研磨した。工具基準条件は、テーブル速度が87rpm、ヘッド速度が93rpm、膜圧力が2.0psi、チューブ間圧力が2.0psi、保持リング圧力が2.9psi、組成流量が200ml/minであった。
【0122】
この組成物は、SWK Associates社(2920 Scott Blvd.Santa Clara,CA 95054)から供給された、パターン付きウェーハ(MIT860)上の研磨実験に使用された。これらのウェーハは、VeecoVX300型彫機/AFM装置で測定した。酸化膜ディッシングの測定には、3種類の異なる大きさのピッチ構造を使用した。ウェーハは、中心、中間部、端のダイ位置で測定された。
【0123】
STI CMP研磨組成物から得られたTEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)は、調整可能であった。
【実施例】
【0124】
以下の実施例において、1.0重量%のセリウム被覆シリカ粒子、0.1重量%のD-ソルビトール、0.0001重量%~0.05重量%の殺生物剤、及び脱イオン水を含むSTI P1(STI P1工程は、積み過ぎた酸化膜を比較的高い除去速度で取り除くことである)研磨組成物は、参考として調製された。
【0125】
研磨組成物は、参考(1.0重量%のセリウム被覆シリカ粒子、0.0001重量%~0.05重量%の殺生物剤、及び脱イオン水)及び0.0025重量%~0.28重量%の範囲において、開示された化学添加物で調製された。
【0126】
実施例の表は、%は重量%、ppmは重量ppmとした。
【0127】
実施例1
実施例1では、酸化物P1工程研磨に使用された研磨組成物を表1に示す。標準試料は、1.0重量%のセリア被覆シリカに非常に低濃度の殺生物剤と0.1重量%のD-ソルビトールを足したものを用いて調製した。2種類目の化学添加物であるピコリン酸は、試験試料の中にそれぞれ0.002重量%及び0.02重量%で使用された。
【0128】
全ての標準試料及び試験試料のpH値は、5.35前後で同じであった。
【表1】
【0129】
種々の膜の除去速度(Å/minでのRR)を試験した。膜除去速度及びピッチ50μmトレンチ酸化物除去速度及び活性酸化物除去速度に対する化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表1に示し、
図1に図示した。
【0130】
種々の膜の除去速度(Å/minでのRR)を試験した。膜除去速度及びピッチ50μmトレンチ酸化物除去速度及び活性酸化物除去速度に対する化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表1に示し、
図1に図示した。
【0131】
P1酸化物研磨工程の条件は、Dow社のIC1010パッドを3.7psfダウンフォースで、テーブル/ヘッド速度は87/93で、ex-situコンディショニングで行った。
【0132】
表1及び
図1に示す結果より、研磨組成物へのピコリン酸の添加は、高いHDP膜除去速度を依然として与えながら、ピッチ50μm特徴のトレンチ酸化物除去速度を効果的に高め、パターン付きウェーハの酸化膜トレンチ除去速度を増加させた。
【0133】
実施例2
実施例2では、酸化物P2工程(STI P2 CMP工程は、比較的低い酸化膜除去速度を使用し、酸化物パターン付きウェーハを研磨するためにSTI CMP工程で使用された工程でもある)研磨で使用された研磨組成物を表2に示す。標準試料は、0.2重量%のセリア被覆シリカに非常に低濃度の殺生物剤と0.15重量%のD-ソルビトールを足したものを用いて調製した。2種類目の化学添加物であるピコリン酸は、試験試料の中に0.002重量%で使用された。
【0134】
全ての標準試料及び試験試料のpH値は、5.35前後で同じであった。
【0135】
種々の膜の除去速度(Å/minでのRR)を試験した。膜除去速度及びTEOS:SiN選択性に対する化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表2に示し、
図2に図示した。
【表2】
【0136】
表2及び
図2に示す結果より、研磨組成物へのピコリン酸の添加は、TEOS及びHDP膜除去速度を効果的に高め、その上TEOS:SiN選択性を増加させた。
【0137】
したがって、研磨組成物は向上したTEOS膜及びHDP膜の除去速度と、高い酸化物:SiN選択性を与えた。
【0138】
P2酸化物研磨の研磨条件は、Dow社のIC1010パッドを2.7psfダウンフォースで、テーブル/ヘッド速度は86/85で、in-situコンディショニングで行った。
【0139】
酸化物トレンチディッシング速度、SiN膜損失速度、及び酸化物トレンチ損失速度対ブランケット膜除去速度の比に対するP2工程研磨組成物における化学的添加物である、ピコリン酸の影響が試験された。その結果を表3に示し、
図3に図示した。
【表3】
【0140】
表3及び
図3に示す結果より、研磨組成物へのピコリン酸の添加は、P200 SiN損失除去速度に影響を及ぼさず、比較的低いトレンチ酸化物損失速度及び酸化物トレンチディッシング速度を依然として維持していることを示した。
【0141】
実施例3
実施例3では、酸化物P2工程研磨で使用された研磨組成物を表4に示す。標準試料は、0.2重量%のセリア被覆シリカに非常に低濃度の殺生物剤と0.28重量%のマルチトールを足したものを用いて調製した。2種類目の化学添加物であるピコリン酸は、試験試料の中で0.0075重量%が使用された。全ての標準試料及び試験試料のpH値は、5.35前後で同じであった。
【0142】
種々の膜の除去速度(Å/minでのRR)を試験した。膜除去速度及びTEOS:SiN選択性に対する化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表4に示し、
図4に図示した。
【0143】
研磨部品及び条件は、Dow社の研磨パッド、3M社のコンディショニングディスク、2.0psfダウンフォースで、ex-situコンディショニングで、テーブル/ヘッド回転数は50/48rpmで行った。
【表4】
【0144】
表4及び
図4に示す結果より、研磨組成物への化学添加物ピコリン酸の添加は、TEOS及びHDP膜除去速度を低下させ、したがって、TEOS:SiN選択性を低下させた。
【0145】
実施例4
実施例4では、酸化物P2工程研磨で使用された研磨組成物を表5に示す。標準試料は、0.2重量%のセリア被覆シリカに非常に低濃度の殺生物剤と0.28重量%のマルチトールを足したものを用いて、pH値は5.35で調製した。2種類目の化学添加物であるピコリン酸は、試験試料の中に0.0075重量%で、異なるpH条件で使用された。
【0146】
種々の膜の除去速度(Å/minでのRR)を試験した。膜除去速度及びTEOS:SiN選択性に対する異なるpH条件での化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表5に示し、
図5に図示した。
【0147】
研磨部品及び条件は、Dow社の研磨パッド、3M社のコンディショニングディスク、2.0psfダウンフォースで、ex-situコンディショニングで、テーブル/ヘッド回転数は50/48rpmで行った。
【0148】
表5及び
図5に示す結果より、2種類目の化学添加物ピコリン酸を同じ濃度で異なるpH条件とした場合、HDP膜及びTEOS膜除去速度は、研磨組成物のpHが増加するほど、いずれも次第に増加した。
【表5】
【0149】
SiN膜除去速度は、研磨組成物のpHが増加するに伴い、徐々に低下した。TEOS:SiN選択性は、研磨組成物のpHが増加するに伴い、徐々に増加した。62:1のTEOS:SiN選択性は、pHが6.5で達成された。
【表6】
【0150】
酸化物トレンチ損失速度に対する、同濃度及び異なるpH条件での化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表6に示し、
図6に図示した。
【0151】
研磨部品及び条件は、Dow社の研磨パッド、3M社のコンディショニングディスク、2.0psfダウンフォースで、ex-situコンディショニングで、テーブル/ヘッド回転数は50/48rpmで行った。
【0152】
表6及び
図6に示す結果より、2種類目の化学添加物ピコリン酸を同じ濃度で異なるpH条件とした場合、3種類の異なる大きさのピッチにおける酸化物トレンチ損失速度は、研磨組成物のpHが増加するほど、次第に減少した。
【0153】
酸化物トレンチディッシング速度に対する、同濃度及び異なるpH条件での化学添加物ピコリン酸の効果を観察し、その結果を表7に示し、
図7に図示した。
【0154】
研磨部品及び条件は、Dow社の研磨パッド、3M社のコンディショニングディスク、2.0psfダウンフォースで、ex-situコンディショニングで、テーブル/ヘッド回転数は50/48rpmで行った。
【表7】
【0155】
表7及び
図7に示す結果より、2種類目の化学添加物ピコリン酸を同じ濃度で異なるpH条件とした場合、3種類の異なる大きさのピッチにおける酸化物トレンチディッシング速度は、研磨組成物のpHが増加するほど、次第に減少した。
【0156】
上述の実施例を含む本発明の実施形態は、本発明を行うことができる多数の実施形態を例示するものである。この工程の多数の他の構成が使用されてもよく、この工程で使用される材料は、具体的に開示されたもの以外の多数の材料から選出されてもよいことが期待される。
以下の項目[態様1]~[態様28]に本発明の実施形態の例を列記する。
[態様1]
セリア被覆無機酸化物粒子;
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する含窒素有機芳香族又はピリジン環分子;
複数のヒドロキシ官能基を有する非イオン性有機分子;
水溶性溶媒;及び
任意に
殺生物剤;及び
pH調整剤;
を含む化学的機械研磨組成物であって、
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子は、以下の一般的な分子構造を有し、
【化19】
前記Rは、水素原子、金属陽イオン、又はアルキル基C
n
H
2n+1
であり、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であり、
前記組成物は、2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有する、化学的機械研磨組成物。
[態様2]
前記セリア被覆無機金属酸化物粒子が、セリア被覆コロイダルシリカ、セリア被覆高純度コロイダルシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記粒子が0.01重量%~20重量%、好ましくは0.05重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%の範囲にある、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様3]
前記水溶性溶媒が、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール系有機溶媒からなる群から選択される、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様4]
1つのカルボン酸基、1つのカルボン酸塩基、又は1つのカルボン酸エステル基を有する前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子が、0.0001重量%~2.0重量%、0.0005重量%~1.0重量%、又は0.0005重量%~0.5重量%の範囲にある、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様5]
複数のヒドロキシ官能基を有する前記有機分子が、0.0001重量%~2.0重量%、0.001重量%~1.0重量%、又は0.005重量%~0.75重量%の範囲にある、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様6]
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基が、以下に示すように環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に結合することができる、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
【化20】
[態様7]
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基のRが水素原子であり、-COOH基が、以下に示すように環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に結合することができる、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
【化21】
[態様8]
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基のRが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群から選択される金属陽イオンM
+
である、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
【化22】
[態様9]
前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子中の-COOR基のRが、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であるアルキル基C
n
H
2n+1
であり、前記含窒素有機芳香族又はピリジン環分子がピリジンカルボン酸エステルである、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様10]
複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子は、以下の一般的な分子構造を有しており、
【化23】
nは1~5000、好ましくは2~12、より好ましくは3~6から選択され、
R基のR1、R2、R3、及びR4は、同一又は異なる原子若しくは官能基であり、水素、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であるアルキル基C
n
H
2n+1
、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミノ基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ、R基の少なくとも2個以上、好ましくは4個以上が全て水素原子である、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様11]
複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子が、
【化24】
及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様12]
複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子が、以下の一般構造を有し、
【化25】
nは1~5000、好ましくは1~100、より好ましくは1~12、最も好ましくは2~6から選択され、
R基のR1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7は、同一又は異なる原子若しくは官能基であり、水素、nが1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3であるアルキル基C
n
H
2n+1
、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミノ基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ、R基の少なくとも2個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは6個以上が水素原子である、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様13]
複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子が、以下の一般構造を有し、
【化26】
nは1~5000、好ましくは1~100、より好ましくは1~12、最も好ましくは2~6から選択され、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7が全て水素原子である、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様14]
複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子が、
【化27】
及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様15]
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;複数のヒドロキシ官能基を有する前記非イオン性有機分子;ピリジン環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に、1つのカルボン酸、カルボン酸塩、又はカルボン酸エステルが結合した前記ピリジン環分子;及び水を含む、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様16]
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;ラクチトール、マルチトール、ズルシトール、及びD-ソルビトールからなる群から選択された少なくとも1つ;ピリジン環の2位、3位又は4位に位置する炭素原子に、1つのカルボン酸、カルボン酸塩、又はカルボン酸エステルが結合した前記ピリジン環分子;及び水を含む、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様17]
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;ラクチトール、マルチトール、ズルシトール、及びD-ソルビトールからなる群から選択された少なくとも1つ;2-ピコリン酸、3-ピリジンカルボン酸(3-Pyridinrcarboxylic Acid)、4-ピリジンカルボン酸(4-Pyridinrcarboxylic Acid)からからなる群から選択された少なくとも1つを含む、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様18]
前記組成物が、セリア被覆コロイダルシリカ粒子;ラクチトール、マルチトール、ズルシトール、及びD-ソルビトールからなる群から選択された少なくとも1つ;及び2-ピコリン酸を含む、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様19]
前記組成物が、有効成分の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを有する、0.0001重量%~0.05重量%、好ましくは0.0005重量%~0.025重量%、より好ましくは0.001重量%~0.01重量%の前記殺生物剤を更に含む、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様20]
前記組成物が、酸性のpH条件では硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、その他の無機酸又は有機酸、及びそれらの混合物からなる群から選択された、又はアルカリ性のpH条件では、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアンモニウムヒドロキシド、有機第四級アンモニウムヒドロキシド化合物、有機アミン、及びそれらの混合物からなる群から選択された、0重量%~1重量%、好ましくは0.01重量%~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.25重量%の前記pH調整剤を更に含む、態様1に記載の化学的機械研磨組成物。
[態様21]
シリコン酸化膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基板の化学的機械研磨(CMP)方法であって、
前記半導体基板を提供すること;
研磨パッドを提供すること;
態様1~20のいずれかに記載の化学的機械研磨組成物を提供すること;
前記半導体基板の前記少なくとも1つの表面に前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物を接触させること;及び
前記シリコン酸化膜を含む前記少なくとも1つの表面を研磨すること
を含む方法。
[態様22]
前記シリコン酸化膜が、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度蒸着CVD(HDP)、又はスピンオン酸化膜からなる群から選択される、態様21に記載の方法。
[態様23]
前記シリコン酸化膜がSiO
2
膜である、態様21に記載の方法。
[態様24]
前記半導体基板が、窒化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を更に有し、酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が10よりも大きく、好ましくは30よりも大きく、より好ましくは50よりも大きい、態様21に記載の方法。
[態様25]
シリコン酸化膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基板の化学的機械研磨(CMP)システムであって、
a.前記半導体基板;
b.態様1~20のいずれかに記載の化学的機械研磨組成物;
c.研磨パッド;
を含み、
前記シリコン酸化膜を含む前記少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物に接触している、システム。
[態様26]
前記シリコン酸化膜が、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度蒸着CVD(HDP)、又はスピンオン酸化膜からなる群から選択される、態様25に記載のシステム。
[態様27]
前記シリコン酸化膜がSiO
2
膜である、態様25に記載のシステム。
[態様28]
前記半導体基板が、窒化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を更に有し、酸化ケイ素膜を含む前記少なくとも1つの表面及び窒化ケイ素膜を含む前記少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物で研磨されるときに、窒化ケイ素膜を含む前記少なくとも1つの表面は、前記研磨パッド及び前記化学的機械研磨組成物と接触し、酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が10よりも大きく、好ましくは30よりも大きく、より好ましくは50よりも大きい、態様25に記載のシステム。