(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】情報表示装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240919BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20240919BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06F3/04815
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2023189514
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2021532715の分割
【原出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2019132789
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】與那覇 誠
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049951(JP,A)
【文献】特開2017-168077(JP,A)
【文献】特開2019-211277(JP,A)
【文献】特開2018-151964(JP,A)
【文献】特開2017-182695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06F 3/04815
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元モデルを表示する表示部と、
前記3次元モデルの管理区分毎の管理情報を記憶する記憶部と、
ユーザ操作に応じて前記表示部に表示された前記3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付ける操作部と、
前記受け付けた位置情報に基づいて前記3次元モデル上の1点の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む前記管理区分を特定する管理区分特定部と、
前記特定された管理区分に対応する管理情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記管理情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備え、
前記3次元モデルは、構造物を撮影した画像から生成したモデルであり、
前記管理区分は、前記構造物の点検単位に基づく管理単位であり、
前記管理情報は、前記構造物の管理区分に対応するオルソ画像、損傷情報が重畳されたオルソ画像、損傷図、損傷数量表、補修図、及び補修数量表のうちの1以上である、
情報表示装置。
【請求項2】
前記3次元モデルは、前記構造物の表面上の多数の点の3次元情報からなる3次元点群を基に生成したモデルである、
請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記管理区分は、3次元情報を有する、
請求項1又は2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記管理区分は、前記構造物の定期点検で行われる、前記構造物の点検単位に基づく管理単位である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項5】
プロセッサが、構造物の3次元モデルと前記3次元モデルの管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部から前記管理情報を読み出し、前記管理情報を表示部に表示させる情報表示方法であって、
前記プロセッサが、前記3次元モデルを前記表示部に表示させるステップと、
前記プロセッサが、ユーザ操作に応じて前記表示部に表示された前記3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付けるステップと、
前記プロセッサが、前記受け付けた位置情報に基づいて前記3次元モデル上の1点の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む前記管理区分を特定するステップと、
前記プロセッサが、前記特定された管理区分に対応する管理情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記管理情報を前記表示部に表示させるステップと、を含み、
前記3次元モデルは、構造物を撮影した画像から生成したモデルであり、
前記管理区分は、前記構造物の点検単位に基づく管理単位であり、
前記管理情報は、前記構造物の管理区分に対応するオルソ画像、損傷情報が重畳されたオルソ画像、損傷図、損傷数量表、補修図、及び補修数量表のうちの1以上である、
情報表示方法。
【請求項6】
構造物の3次元モデルと前記構造物の管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータにインストールされる情報表示プログラムであって、
前記3次元モデルを表示部に表示させる機能と、
ユーザ操作に応じて前記表示部に表示された前記3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付ける機能と、
前記受け付けた位置情報に基づいて前記3次元モデル上の1点の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む前記管理区分を特定する機能と、
前記特定された管理区分に対応する管理情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記管理情報を前記表示部に表示させる機能と、
を前記コンピュータに実現させる情報表示プログラムであり、
前記3次元モデルは、構造物を撮影した画像から生成したモデルであり、
前記管理区分は、前記構造物の点検単位に基づく管理単位であり、
前記管理情報は、前記構造物の管理区分に対応するオルソ画像、損傷情報が重畳されたオルソ画像、損傷図、損傷数量表、補修図、及び補修数量表のうちの1以上である、
情報表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報表示装置、方法及びプログラムに係り、特に構造物の点検を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁などの構造物は、構造物の維持管理及び補修を行うために定期点検する必要がある。
【0003】
構造物の点検は、構造物の管理区分の単位で行われ、国や自治体などで定めた点検評価基準にしたがって管理区分毎に損傷程度の評価、外観性状の記録などが行われる。
【0004】
従来、構造物等の対象物体の3次元モデル上で指定された位置に関連付けられた情報が容易に一覧可能にする画像処理方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載の画像処理方法は、対象物体を撮影した複数の撮影画像(2次元画像)から対象物体の3次元モデルを生成し、3次元モデルに近似する3次元メッシュを生成する。そして、生成した3次元メッシュの各部分平面の2次元展開図(パノラマ画像)を生成する。
【0006】
この画像処理方法は、3次元メッシュの各部分平面毎のパノラマ画像のうちの閲覧対象としてユーザが選択したパノラマ画像を表示部のパノラマ画像表示領域に表示し、このパノラマ画像に対してユーザにより指定された位置に対応する点検画像(撮影画像)を表示部の点検画像表示領域に表示し、更に点検画像には、注釈としてひび画像などのコンテンツを重畳表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の画像処理方法は、構造物等の対象物体の表面を表す3次元メッシュから3次元メッシュの各部分平面のパノラマ画像を生成し、部分平面毎のパノラマ画像から、適宜選択したパノラマ画像を表示部のパノラマ画像表示領域に表示し、パノラマ画像上で指定した位置に対応する点検画像である撮影画像を、表示部の点検画像表示領域に表示しており、立体的に表示される3次元モデル上で指定した位置に対応する点検画像を表示するものではない。
【0009】
また、点検画像は、撮影画像又は撮影画像にひび画像等の注釈が重畳されたものであり、構造物の管理区分毎の管理情報ではない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、構造物の3次元モデルを使用して構造物の管理区分毎に管理情報を容易に確認することができる情報表示装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の一の態様に係る情報表示装置は、構造物の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された3次元モデルを表示部に表示させる場合に、表示部に表示させる3次元モデルの少なくとも拡大を含むビュー操作を受け付ける第1操作部と、記憶部に記憶された3次元モデルを読み出して表示部に表示させ、ビュー操作に基づいて3次元モデルを少なくとも拡大表示させる第1表示制御部と、ユーザ操作に応じて表示部に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付ける第2操作部と、受け付けた位置情報に基づいて3次元モデル上の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む管理区分を特定する管理区分特定部と、特定された管理区分に対応する管理情報を記憶部から読み出し、読み出した管理情報を表示部に表示させる第2表示制御部と、を備える。
【0012】
本発明の一の態様によれば、構造物の3次元モデルを表示部に表示させ、少なくとも3次元モデルを拡大表示させるビュー操作を行うことで、構造物を俯瞰しながら構造物の所望の位置を容易に指定することができる。構造物の所望の位置が指定されると、その位置に対応する3次元モデル上の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む構造物の管理区分を特定する。構造物の管理区分が特定されると、その特定した管理区分に対応する管理情報を記憶部から読み出し、表示部に表示させることで、所望の管理情報を容易に確認することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る情報表示装置において、管理情報は、構造物の管理区分に対応するオルソ画像、損傷情報が重畳されたオルソ画像、損傷図、損傷数量表、補修図、及び補修数量表のうちの1以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の更に他の態様に係る情報表示装置において、管理区分は、構造物を構成する部位及び部材の点検単位の区分であることが好ましい。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る情報表示装置において、第1操作部は、表示部に表示させる3次元モデルを拡大、縮小、平行移動、又は回転移動させるビュー操作を受け付け、第1表示制御部は、第1操作部が受け付けたビュー操作に基づいて表示部に表示させる3次元モデルを拡大表示、縮小表示、平行移動、又は回転移動させることが好ましい。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る情報表示装置において、3次元モデルは、構造物の表面上の多数の点の3次元情報からなる3次元点群で表したもの、3次元点群に基づいて多角形のポリゴンの集合体で構造物の表面を表したもの、又は多角形のポリゴンに構造物を撮影した撮影画像をテクスチャーマッピングしたものである。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る情報表示装置において、第1表示制御部は、表示部に拡大表示させた3次元モデル上の、第2操作部が受け付けた位置情報が示す位置に指標を重畳表示させることが好ましい。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る情報表示装置において、第1表示制御部は、表示部の第1表示領域に3次元モデルを表示させ、第2表示制御部は、表示部の第2表示領域に管理情報を表示させることが好ましい。
【0019】
本発明の更に他の態様に係る情報表示装置において、表示部における第1表示制御部による3次元モデルの表示と、第2表示制御部による管理情報の表示とを切り替える表示切替部を備えることが好ましい。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る情報表示方法は、構造物の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部を準備するステップと、記憶部に記憶された3次元モデルを表示部に表示させる場合に第1操作部が、表示部に表示させる3次元モデルの少なくとも拡大を含むビュー操作を受け付けるステップと、第1表示制御部が記憶部に記憶された3次元モデルを読み出して表示部に表示させる第1表示ステップであって、第1操作部が受け付けたビュー操作に基づいて3次元モデルを少なくとも拡大表示させる第1表示ステップと、第2操作部が、ユーザ操作に応じて表示部に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付けるステップと、管理区分特定部が、第2操作部が受け付けた位置の指示入力に基づいて3次元モデル上の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む管理区分を特定するステップと、第2表示制御部が、特定された管理区分に対応する管理情報を記憶部から読み出し、読み出した管理情報を表示部に表示させる第2表示ステップと、を含む。
【0021】
本発明の更に他の態様に係る情報表示方法において、管理情報は、構造物の管理区分に対応するオルソ画像、損傷情報が重畳されたオルソ画像、損傷図、損傷数量表、補修図、及び補修数量表のうちの1以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の更に他の態様に係る情報表示方法において、管理区分は、構造物を構成する部位及び部材の点検単位の区分であることが好ましい。
【0023】
本発明の更に他の態様に係る情報表示方法において、ビュー操作を受け付けるステップは、表示部に表示させる3次元モデルを拡大、縮小、平行移動、又は回転移動させるビュー操作を受け付け、第1表示ステップは、第1操作部が受け付けたビュー操作に基づいて表示部に表示させる3次元モデルを拡大表示、縮小表示、平行移動、又は回転移動させることが好ましい。
【0024】
本発明の更に他の態様に係る情報表示方法において、3次元モデルは、構造物の表面上の多数の点の3次元情報からなる3次元点群で表したもの、3次元点群に基づいて多角形のポリゴンの集合体で構造物の表面を表したもの、又は多角形のポリゴンに構造物を撮影した撮影画像をテクスチャーマッピングしたものである。
【0025】
更に他の態様に係る発明は、構造物の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータにインストールされる情報表示プログラムであって、記憶部に記憶された3次元モデルを表示部に表示させる場合に、表示部に表示させる3次元モデルの少なくとも拡大を含むビュー操作を受け付ける機能と、記憶部に記憶された3次元モデルを読み出して表示部に表示させ、ビュー操作に基づいて3次元モデルを少なくとも拡大表示させる機能と、ユーザ操作に応じて表示部に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付ける機能と、受け付けた位置情報に基づいて3次元モデル上の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む管理区分を特定する機能と、特定された管理区分に対応する管理情報を記憶部から読み出し、読み出した管理情報を表示部に表示させる機能と、をコンピュータに実現させる情報表示プログラムである。
【0026】
更に他の態様に係る発明は、構造物の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された3次元モデルを表示部に表示させる場合に、表示部に表示させる3次元モデルの少なくとも拡大を含むビュー操作を受け付け、記憶部に記憶された3次元モデルを読み出して表示部に表示させ、ビュー操作に基づいて3次元モデルを少なくとも拡大表示させ、ユーザ操作に応じて表示部に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付け、受け付けた位置情報に基づいて3次元モデル上の3次元位置を特定し、特定した3次元位置を含む管理区分を特定し、特定された管理区分に対応する管理情報を記憶部から読み出し、読み出した管理情報を表示部に表示させるプロセッサと、を備える情報表示装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、構造物の3次元モデルを表示部に表示させ、少なくもと3次元モデルを拡大表示させるビュー操作を行うことで、構造物を俯瞰しながら構造物の所望の位置を容易に指定することができ、構造物の所望の位置が指定されると、その位置に対応する3次元モデル上の3次元位置を含む構造物の管理区分を特定し、その特定した管理区分に対応する管理情報を表示部に表示させることで、所望の管理情報を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明に係る情報表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る情報表示方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、橋梁の全景を示す3次元モデルが表示された表示部の画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、拡大等のビュー操作により立体的に動かされた橋梁の3次元モデルを表示した、表示部の画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、橋梁の管理区分の1つである格間に対応するオルソ画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、格間に対応する損傷図の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、格間に対応する損傷図が重畳されたオルソ画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、格間に対応する損傷数量表の一例を示す図表である。
【
図9】
図9は、格間に対応する補修図の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、格間に対応する補修数量表の一例を示す図表である。
【
図11】
図11は、3次元モデルと管理情報とが同時に表示された表示部の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明に係る情報表示装置、方法及びプログラムの好ましい実施形態について説明する。
【0030】
[情報表示装置のハードウエア構成]
図1は、本発明に係る情報表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図1に示す情報表示装置10としては、パーソナルコンピュータ又はワークステーションを使用することができる。本例の情報表示装置10は、主として画像取得部12と、画像データベース14と、記憶部16と、操作部18と、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)22と、ROM(Read Only Memory)24と、表示制御部26とから構成されている。
【0032】
画像取得部12は、入出力インターフェースに相当し、本例では点検対象の構造物を撮影した撮影画像等を取得する。点検対象の構造物は、例えば、橋梁、トンネル等の構造物を含む。
【0033】
画像取得部12が取得する画像は、例えば、カメラを搭載したドローン(無人飛行体)により構造物を撮影した多数の画像(撮影画像群)である。撮影画像群は、構造物の全体を網羅するものであり、かつ隣接する各撮影画像は、8割程度の範囲で画像が重複していることが好ましい。
【0034】
画像取得部12により取得した撮影画像群は、画像データベース14に格納される。
【0035】
記憶部16は、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等から構成される記憶部であり、オペレーティングシステム、情報表示プログラムの他、構造物の3次元モデル、構造物の管理区分毎の管理情報、3次元モデルと管理情報とを関連付ける情報等を記憶する。
【0036】
ここで、3次元モデルは、画像データベース14に格納された撮影画像群の、互いに重複する撮影画像間の特徴点を抽出し、抽出した特徴点に基づいて、ドローンに搭載されたカメラの位置及び姿勢を推定した3次元点群を含む。また、カメラの位置及び姿勢の推定結果から同時に特徴点の3次元位置を推定した3次元点群を含む。
【0037】
ドローンによりカメラの撮影位置が動いていく撮影画像群の中から、多数の特徴点の動きをトラッキングし、構造物の3次元構造(Structure)とカメラ姿勢(Motion)とを同時に推定するStructure from Motion(SfM)手法がある。近年、bundle adjustmentという最適化計算法が開発され、高精度な出力を出せるようになっている。
【0038】
尚、SfM手法を適用する場合に必要なカメラのパラメータ(焦点距離、イメージセンサの画像サイズ、画素ピッチ等)は、記憶部16に記憶させたものを使用することができる。また、SfM手法では、絶対的なスケールは求めることができないため、例えば、構造物の既知の大きさ(2点間の距離等)を指示することで、絶対的なスケール(3次元位置)を求めることができる。
【0039】
ここで、3次元モデルは、構造物の表面上の多数の点の3次元点群で表したもの、3次元点群に基づいて多角形のポリゴン(例えば、三角パッチ)の集合体で構造物の表面を表したもの、又は多角形のポリゴンに構造物を撮影した撮影画像(テクスチャ)をテクスチャーマッピングしたものが考えられる。本例の構造物の3次元モデルは、多角形のポリゴンに撮影画像をテクスチャーマッピングしたものとする。
【0040】
また、構造物の定期点検は、構造物を構成する部位及び部材の点検単位の区分である、管理区分毎に行われる。
【0041】
以下、構造物として橋梁を例に説明する。
【0042】
図4は、橋梁1の3次元モデル(の一部)が表示された、表示部30の画面30Aの一例を示す。
【0043】
画面30Aに表示されている橋梁1は、橋脚7の間に渡された主桁2と、主桁2と直交する方向に設けられ、主桁間を連結する横桁3と、風、地震等の横荷重に抵抗するために主桁2を相互に連結する対傾構4及び横構5とを含む各種の部材から構成されている。そして、主桁等の上部には、車輌等が走行するための床版6が打設されている。床版6は、鉄筋コンクリート製のものが一般的である。
【0044】
床版6は、通常、主桁2と横桁3とにより画成された矩形形状の格間が基本単位となっており、床版の損傷(ひび割れ、コンクリート剥離など)を点検する場合、格間単位で行われる。
【0045】
したがって、床版の各格間は、構造物(橋梁)を構成する部位及び部材の点検単位の管理区分の一つである。尚、橋梁の管理区分となり得る構造物を構成する部位・部材区分は、床版(格間)の他に、構造物を構成する部位・部材区分(主桁2、横桁3、対傾構4、横構5、橋脚7(柱部・壁部、梁部、隅角部・接合部))などがある。
【0046】
また、記憶部16に記憶される構造物の管理区分毎の管理情報は、構造物の管理区分に対応するオルソ画像、損傷情報が重畳されたオルソ画像、損傷図、損傷数量表、補修図、又は補修数量表などが考えられる。これらの管理情報は、構造物の点検が行われた時や補修時に作成されたものであるが、その詳細については後述する。
【0047】
操作部18は、コンピュータに有線接続又は無線接続されるキーボード及びマウス等のUI(User Interface)を含む。かかるキーボード及びマウス等は、本例では、コンピュータの通常の操作入力を受け付ける操作部として機能する他に、表示部30の画面に表示させる3次元モデルの少なくとも拡大を含むビュー操作を受け付ける第1操作部として機能し、また、ユーザ操作に応じて表示部30に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付ける第2操作部として機能する。
【0048】
CPU20は第1操作部及び第2操作部からの入力を受付け、各種処理を行う。具体的には、CPU20は、記憶部16又はROM24等に記憶された各種のプログラムを読み出し、各部を統括制御するとともに、3次元モデル及び管理情報を生成する処理等の各種の処理を実行する。また、CPU20は、後述するように構造物の管理区分を特定する管理区分特定部として機能する。
【0049】
RAM22は、CPU20の作業領域として使用され、読み出されたプログラムや各種のデータを一時的に記憶する記憶部として用いられる。
【0050】
表示制御部26は、GPU(Graphics Processing Unit)等により構成され、表示部30に表示させる表示用データを作成し、表示部30に出力する。表示制御部26は、本例では記憶部16に記憶された3次元モデルを読み出して表示部30に3次元モデルを示す画像を表示させ、操作部18による3次元モデルのビュー操作に基づいて3次元モデルを少なくとも拡大表示させる第1表示制御部として機能する。また、管理区分特定部(CPU20)により特定された管理区分に対応する管理情報を記憶部16から読み出し、読み出した管理情報を表示部30に表示させる第2表示制御部として機能する。なお、表示制御部26は、上述のGPUではなくCPU20により実現されてもよい。
【0051】
表示部30は、コンピュータに接続可能な液晶モニタ等の各種のモニタが用いられ、表示制御部26から入力する表示用データにより3次元モデル、管理情報等の各種の情報を表示し、また、操作部18とともにユーザインターフェースの一部として使用される。
【0052】
上記構成の情報表示装置10は、操作部18からの指示入力によりCPU20が、記憶部16又はROM24に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムを実行することにより、操作部18による操作に応じて各種の情報を表示部30に表示させる。
【0053】
[情報表示方法]
図2は、本発明に係る情報表示方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0054】
図2において、
図1に示した情報表示装置10の各部の動作を説明しつつ、本発明に係る情報表示方法を説明する。
【0055】
情報表示装置10の記憶部16には、構造物(本例では橋梁)の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とが記憶されている。本例の情報表示方法を実施する場合、かかる記憶部16を予め準備しておく。
【0056】
情報表示装置10の表示制御部26は、まず、記憶部16に記憶された3次元モデルを読み出して3次元モデルを表示部30に表示させる(ステップS10、第1表示ステップ)。ここで、表示制御部26は、3次元モデルを表示部30に最初に表示させる場合には、
図3に示すように構造物である橋梁1の全体が把握できるように橋梁の全景を示す3次元モデルを表示部30の画面30Aに表示させる。
【0057】
続いて、CPU20又は表示制御部26は、ユーザにより画面30Aに表示されている3次元モデルに対し、少なくとも拡大を含むビュー操作が行われたか否かを判別する(ステップS12)。ビュー操作は、画面30Aに3D(three dimensions)で表現された3次元モデルを拡大表示、縮小表示、平行移動、又は回転移動させるための操作であり、第1操作部として機能する操作部18を使用して行われる。この場合、ユーザのビュー操作を受け付ける第1操作部としては、3Dマウスが好適であるが、通常のマウス等も使用可能である。
【0058】
ステップS12において、ビュー操作が行われたと判別されると(「Yes」の場合)、CPU20又は表示制御部26は、ビュー操作が3次元モデルを拡大又は縮小させる操作か、3次元モデルを平行移動させる操作か、又は回転移動させる操作かを判別する(ステップS14、ステップS16)。
【0059】
第1表示制御部として機能する表示制御部26は、3次元モデルを拡大又は縮小させるビュー操作が操作部18により行われると、そのビュー操作による拡大又は縮小の指示に応じて3次元モデルを拡大又は縮小させる表示用データを作成し、表示部30に出力する(ステップS18)。また、表示制御部26は、3次元モデルを平行移動させるビュー操作が操作部18により行われると、そのビュー操作による平行移動の指示に応じて3次元モデルを平行移動させる表示用データを作成し、表示部30に出力し(ステップS20)、3次元モデルを回転移動させるビュー操作が操作部18により行われると、そのビュー操作による回転移動の指示に応じて3次元モデルを回転移動させる表示用データを作成し、表示部30に出力する(ステップS22)。
【0060】
ステップS12において、ビュー操作が行われていないと判別されると(「No」の場合)、又はステップS18、S20、S22の処理が終了すると、ステップS23に遷移させる。
【0061】
ステップS23において、CPU20は、操作部18からの本情報表示の終了の指示入力の有無を判別し、終了の指示入力がない場合(「No」の場合)には、ステップS24に遷移させる。終了の指示入力がある場合(「Yes」の場合)には、本情報表示に係る処理を終了させる。
【0062】
次に、CPU20は、第2操作部として機能する操作部18でのユーザ操作に応じて、表示部30に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付けたか否かを判別する(ステップS24)。
【0063】
3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付けていない場合(「No」の場合)には、ステップS10に遷移し、表示制御部26は、引き続き3次元モデルを表示部30に表示させる。尚、ビュー操作が行われ、ステップS18、S20又はS22により3次元モデルを拡大又は縮小させる表示用データ、3次元モデルを平行移動させる表示用データ、又は3次元モデルを回転移動させる表示用データが作成された場合には、最新の表示用データに基づいて、拡大縮小、平行移動、又は回転移動した(立体的に動かされた)3次元モデルが表示部30に表示される。
【0064】
図4は、拡大等のビュー操作により立体的に動かされた橋梁の3次元モデルを表示した、表示部30の画面30Aの一例を示す図である。
【0065】
即ち、ユーザのビュー操作により、表示部30の画面30Aに表示させる橋梁1の3次元モデルを、
図3に示した橋梁1の全景を示す3次元モデルから、
図4に示すように拡大、移動及び回転させた3次元モデルに遷移させることができる。尚、ビュー操作は、3次元モデルで橋梁全体を空間把握しながら、要点検箇所を見やすくするために行われる。
【0066】
図4において、32は、表示部30の画面30Aでの入力位置を示すカーソルであり、カーソル32は、操作部18(マウス等のポインティングデバイス)の操作により画面30A上を移動することができる。
【0067】
ユーザは、橋梁の所望の管理区分の管理情報を確認したい場合、3次元モデルで橋梁全体を空間把握しながら3次元モデルを立体的に動かして、所望の管理区分を表示部30の画面30A上で探索する。そして、表示部30の画面30Aにおいて、所望の管理区分内にカーソル32を移動させ、マウスによるクリック操作や実行キーによる入力操作を行う。これにより、操作部18は、表示部30の画面30Aに表示された3次元モデル上の位置を指定することができ、指定した位置を示す位置情報を受け付けることができる。
【0068】
図4において、カーソル32の位置は、橋梁1の床版6に含まれる特定の格間(管理区分)内に位置している。ここで、マウスによるクリック操作等が行われると、第1表示制御部として機能する表示制御部26は、所望の管理区分の選択指示が行われたことを示す指標34を、3次元モデル上のカーソル32が示す位置に重畳表示させることが好ましい。
【0069】
図2に戻って、ステップS24において、表示部30に拡大表示された3次元モデル上の位置を示す位置情報を受け付けたと判別されると(「Yes」の場合)、ステップS26に遷移し、ここで管理区分特定部として機能するCPU20は、橋梁の管理区分を特定する。
【0070】
管理区分特定部は、まず、表示部30の画面30A(に表示された3次元モデル)上のカーソル32が示す位置の位置情報に基づいて3次元モデル上の3次元位置を特定する。表示部30の画面30A上のカーソル32が示す位置の位置情報は、画面30A上の座標情報として取得することができる。一方、表示部30の画面30Aに表示されている3次元モデルは、ビュー操作により拡大、平行移動、及び回転移動している。
【0071】
したがって、拡大等のビュー操作が行われて表示部30の画面30Aに表示されている3次元モデル上の位置情報(座標情報)と、ビュー操作による3次元モデルの拡大率、平行移動量、及び回転移動量の情報とにより、3次元モデル上の3次元位置を特定することができる。
【0072】
管理区分特定部は、3次元モデル上の特定した3次元位置に基づいて、その3次元位置を含む橋梁の管理区分を特定する。ここで、各管理区分は、管理区分毎の3次元情報を有するものとする。管理区分毎の3次元情報は、例えば、管理区分(部位、部材)上の3次元点群、あるいは管理区分の特徴点(例えば、格間の場合には格間の4隅の4つ特徴点)の3次元情報とすることができる。
【0073】
したがって、管理区分特定部は、3次元モデル上の特定した3次元位置に基づいて、その3次元位置と同一又は最も近接した3次元情報を有する管理区分を、その3次元位置を含む橋梁の管理区分として特定することができる。
【0074】
管理区分特定部により橋梁の管理区分が特定されると、第2表示制御部として機能する表示制御部26は、特定された管理区分に対応する管理情報を記憶部16から読み出し、読み出した管理情報を表示部30に表示させる(ステップS28、第2表示ステップ)。
【0075】
これにより、ビュー操作により立体的に動かした橋梁の3次元モデル上で、要点検箇所の位置を指示すると、指示した位置により特定された管理区分の管理情報を表示部30に表示させることができ、所望の管理情報を容易に確認することができる。
【0076】
本例では、表示切替部として機能するCPU20は、表示部30に管理情報を表示させる場合には、表示制御部26の機能を第1表示制御部から第2表示制御部に切り替える。表示切替部による3次元モデルから管理情報への表示の切り替えは、橋梁の管理区分が特定され、特定された管理区分に対応する管理情報の表示が可能になると、自動的に切り替えることができる。
【0077】
[管理情報]
次に、橋梁の管理区分の管理情報について説明する。
【0078】
以下、橋梁の管理区分の1つとして、橋梁1の床版6を構成する或る格間が特定された場合について説明する。
【0079】
格間の管理情報の第1例として、格間に対応するオルソ画像が考えられる。
【0080】
図5は、橋梁の格間に対応するオルソ画像の一例を示す図である。
【0081】
オルソ画像は、被写体(格間)の撮影画像を、格間の面に正射影された画像である。1つの格間のオルソ画像は、画像データベース14に格納された撮影画像群から、その格間に対応する複数の撮影画像を抽出し、抽出した複数の撮影画像をパノラマ合成し、パノラマ合成した画像が、格間の面に正射影された画像になるように、パノラマ合成した画像を射影変換することにより作成することができる。
【0082】
複数の撮影画像のパノラマ合成は、互いに重複する撮影画像間の重複領域の複数の特徴点を抽出し、抽出した複数の特徴点をそれぞれ一致させる画像処理により行うことができる。また、パノラマ合成された画像の格間の面への正射影は、パノラマ合成された画像内の格間の4隅に対応する位置と、格間の4隅の3次元位置とを一致させる射影変換により行うことができる。
【0083】
ところで、本例の3次元モデルは、多角形のポリゴンに撮影画像をテクスチャーマッピングしたものであるため、3次元モデルを拡大表示させることで、ある程度、橋梁(格間)の表面の性状を確認することができる。しかし、小さな損傷(例えば、0.1mm幅のひび割れなど)を確認することはできない。3次元モデルのデータ量には限界があり、3次元モデルを拡大させても、オリジナルの撮影画像又はそれに相当する画像として視認することができないからである。
【0084】
これに対して、橋梁全体に対して小さい管理区分のオルソ画像を表示することで、管理区分の損傷等を確認することができる。
【0085】
格間の管理情報の第2例として、格間に対応する損傷図が考えられる。
【0086】
図6は、格間に対応する損傷図の一例を示す図である。
【0087】
図6に示す損傷図には、5本のひび割れC1~C5、コンクリートの剥離H1が図示されている。損傷図は、オルソ画像上で視認したひび割れ、剥離等の損傷を手動でトレースしたり、オルソ画像から自動で損傷を検出する画像処理を行い、必要に応じて手動で補正することで生成することができる。
【0088】
格間の管理情報の第3例として、格間に対応する損傷図が重畳されたオルソ画像が考えられる。
【0089】
図7は、格間に対応する損傷図が重畳されたオルソ画像の一例を示す図である。
【0090】
図7に示す損傷図が重畳されたオルソ画像は、
図5に示したオルソ画像に
図6に示した損傷図を重畳することで作成することができる。
【0091】
損傷図は、損傷箇所が赤色等の目立つ色が付されて作成されており、オルソ画像に損傷図を重畳することで、損傷箇所を容易に視認することができる。
【0092】
格間の管理情報の第4例として、格間に対応する損傷数量表が考えられる。
【0093】
図8は、格間に対応する損傷数量表の一例を示す図表である。
【0094】
図8に示す損傷数量表では、損傷ID(identification)、損傷種類、サイズ(幅)、サイズ(長さ)、サイズ(面積)の項目を有し、損傷毎に各項目に対応する情報が記載されている。
【0095】
尚、管理情報として損傷数量表を表示する場合には、損傷図も合せて表示することが好ましい。
【0096】
格間の管理情報の第5例として、格間に対応する補修図が考えられる。
【0097】
図9は、格間に対応する補修図の一例を示す図である。
【0098】
図9に示す補修図には、2本のひび割れ補修工A1、A2、断面補修工D1が図示されている。ひび割れ補修工A1、A2は、
図6に示したひび割れC2、C5に対する補修工を示し、断面補修工D1は、
図6に示したコンクリートの剥離H1に対する補修工を示している。
【0099】
格間の管理情報として、格間の補修図を表示することで格間の補修結果を確認することができる。
【0100】
格間の管理情報の第6例として、格間に対応する補修数量表が考えられる。
【0101】
図10は、格間に対応する補修数量表の一例を示す図表である。
【0102】
図10に示す補修数量表では、補修ID、補修工法種類、サイズ(幅)、サイズ(長さ)、サイズ(面積)の項目を有し、補修箇所毎に各項目に対応する情報が記載されている。
【0103】
ひび割れ補修工には、ひび割れに沿ってコンクリートをカットし、その部分に補修材を充填するひび割れ充填工、補修材を専用の治具を用いて所定の注入圧力で注入するひび割れ注入工などの工法がある。補修工法種類には、ひび割れ補修工としていずれの工法が適用されたかが記載されている。
【0104】
また、断面修復工には、型枠を設置して注入材を注入する型枠注入工法、断面修復材を塗りつける左官工法、断面修復材を圧縮空気などを用いて吹き付ける吹付工法などがあり、補修工法種類には、断面修復工としていずれの工法が適用されたかが記載されている。
【0105】
尚、管理情報として補修数量表を表示する場合には、補修図も合せて表示することが好ましい。
【0106】
図5から
図10に示した第1例から第6例の管理情報は、いずれか1つ又は2以上を組み合わせて表示部30の画面30Aに表示することができ、また、いずれの管理情報を表示させるかをユーザが適宜選択できるようにしてもよい。更に、管理情報は、上記のものに限らず、例えば、「損傷の原因」、「損傷の評価」、「損傷が原因で起きる事象」(例えば、漏水、さび汁、遊離石灰、鉄筋露出等)を管理情報とすることができる。
【0107】
図2に戻って、管理情報が表示部30に表示されると、続いてCPU20は、表示部30での表示を、管理情報から3次元モデルに切り替えるか否かを判別する(ステップS30)。管理情報から3次元モデルへの切り替えの判別は、操作部18でのユーザ操作に基づいて行うことができる。例えば、ユーザは、異なる管理区分の管理情報を確認したい場合に、操作部18により管理情報から3次元モデルに切り替える操作を行うことができる。
【0108】
ステップS30において、管理情報から3次元モデルの表示に切り替える場合(「Yes」の場合)、CPU20は、ステップS10に遷移させる。
【0109】
これにより、橋梁の全景を示す3次元モデルを表示部30に表示させることができる。表示切替部として機能するCPU20は、表示部30に3次元モデルを表示させる場合には、表示制御部26の機能を第2表示制御部から第1表示制御部に切り替えることができる。
【0110】
尚、CPU20は、管理情報から3次元モデルの表示に切り替える場合(「Yes」の場合)、ステップS12に遷移させてもよい。これにより、3次元モデルから管理情報に表示を切り替えたときの、直近の3次元モデルを表示させることができ、前回の管理区分に近い管理区分の管理情報を確認したい場合に好適である。
【0111】
一方、ステップS30において、管理情報から3次元モデルへの表示に切り替えないと判別されると(「No」の場合)、ステップS32に遷移する。
【0112】
ステップS32において、CPU20は、操作部18からの本情報表示の終了の指示入力の有無を判別し、終了の指示入力がない場合(「No」の場合)には、ステップS28に戻り、引き続き管理情報を表示部30に表示させる。一方、終了の指示入力がある場合(「Yes」の場合)には、本情報表示に係る処理を終了させる。
【0113】
本例では、表示部30での3次元モデルの表示と管理情報の表示とをユーザ操作等に基づいて切り替えるようにしたが、3次元モデルと管理情報とを表示部30に同時に表示するようにしてもよい。
【0114】
図11は、3次元モデルと管理情報とが同時に表示された表示部30の画面30Aの一例を示す図である。
【0115】
図11に示す例では、表示部30の画面30Aの左側の第1表示領域30Lに3次元モデルが表示され、右側の第2表示領域30Rに管理情報として損傷図が重畳されたオルソ画像が表示されている。
【0116】
ユーザは、3次元モデルの拡大を含むビュー操作により第1表示領域30Lに表示される橋梁の3次元モデルを立体的に動かすことができる。また、第1表示領域30Lに拡大表示された3次元モデル上の位置をマウスカーソルで指定することで、指定位置を含む橋梁の管理区分に対応するオルソ画像を第2表示領域30Rに表示させることができる。
【0117】
ユーザは、表示部30の画面30Aに並列に表示された3次元モデルとオルソ画像とを見比べることができ、所望の管理情報を容易に確認することができる。
【0118】
[その他]
記憶部16に記憶される構造物の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とは、情報表示装置10により生成されたものに限らず、外部装置により生成されたものでもよい。この場合、外部装置により生成された3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とが記憶部16に記憶されることになる。
【0119】
また、3次元モデルは、構造物を撮影した撮影画像群を使用し、SfM手法により生成されたものに限らず、種々の方法により生成することができる。
【0120】
例えば、二眼カメラにより撮影された2枚の視差画像から構造物の3次元情報を取得し、取得した3次元情報を使用して構造物の3次元モデルを生成することができる。また、タイム・オブ・フライト式カメラにより構造物の撮影画像を取得するとともに、撮影画像上の各画素に対応する構造物の3次元座標を取得して3次元モデルを生成することができる。更に、カメラとしての機能を備えたレーザースキャナを含み、レーザースキャナが取得した構造物の3次元情報に基づいて構造物の3次元モデルを生成することができる。
【0121】
本発明に係る情報表示装置を実現するハードウエアは、各種のプロセッサ(processor)で構成できる。各種プロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device;PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。情報表示装置を構成する1つの処理部は、上記各種プロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、あるいは、CPUとFPGAの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip;SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウエア的な構造として、上記各種プロセッサを1つ以上用いて構成される。更に、これらの各種のプロセッサのハードウエア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0122】
また、本発明は、構造物の3次元モデルと構造物の管理区分毎の管理情報とを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータにインストールされることにより、コンピュータを本発明に係る情報表示装置として機能させる情報表示プログラム、及びこの情報表示プログラムが記録された記憶媒体を含む。
【0123】
更にまた、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0124】
1 橋梁
2 主桁
3 横桁
4 対傾構
5 横構
6 床版
7 橋脚
10 情報表示装置
12 画像取得部
14 画像データベース
16 記憶部
18 操作部
20 CPU
22 RAM
24 ROM
26 表示制御部
30 表示部
30A 画面
30L 第1表示領域
30R 第2表示領域
32 カーソル
34 指標
S10~S32 ステップ