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特許7557969エッチング方法、基板処理装置、及び基板処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】エッチング方法、基板処理装置、及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240920BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/31 C
H01L21/31 D
H01L21/316 X
H05H1/46 M
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020101012
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021118347
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2020012240
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】戸村 幕樹
(72)【発明者】
【氏名】新関 智彦
(72)【発明者】
【氏名】勝沼 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】笹川 大成
(72)【発明者】
【氏名】中根 由太
(72)【発明者】
【氏名】石川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】小野 健太
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 翔
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】本田 昌伸
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225501(JP,A)
【文献】特開2016-066681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0219780(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0086817(US,A1)
【文献】特開2004-335526(JP,A)
【文献】特開2019-207911(JP,A)
【文献】特開2018-093189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0050603(US,A1)
【文献】特開2016-225437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/316
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)成膜ガスを用いて基板の表面上に膜を形成する工程であり、該基板はマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有し、該マスクは該領域を部分的に露出させる開口を提供し、該膜は前記領域の材料と同種の材料から形成される、該工程と、
b)前記領域をエッチングする工程と、
を含み、
前記a)において、前記膜は、その厚さが前記基板内での該基板の上端からの深さに応じて減少するように形成される、エッチング方法。
【請求項2】
前記b)において、前記膜のエッチングレートは前記領域のエッチングレート以上又は該領域の該エッチングレート以下である、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記領域は酸化シリコン又は窒化シリコンから形成されている、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記領域は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び多結晶シリコンのうち二つ以上の材料からそれぞれ形成された複数の層を有する、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記領域はシリコン及び/又はゲルマニウムから形成されている、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項6】
a)基板の表面上に膜を形成する工程であり、該基板はマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有し、該マスクは該領域を部分的に露出させる開口を提供し、該膜は前記領域の材料と同種の材料から形成される、該工程と、
b)前記領域をエッチングする工程と、
を含み、
前記領域はシリコン及び/又はゲルマニウムから形成されており、
前記膜は、アモルファスシリコンから形成される、エッチング方法。
【請求項7】
前記領域は、低誘電率材料から形成されている、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項8】
c)前記領域を部分的にエッチングする工程を更に含み、
前記膜は、前記c)において形成された側壁面上に形成され、
前記c)において前記領域に形成された開口の深さが、前記b)において増大される、
請求項1~の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
a)基板の表面上に膜を形成する工程であり、該基板はマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有し、該マスクは該領域を部分的に露出させる開口を提供し、該膜は前記領域の材料と同種の材料から形成される、該工程と、
b)前記領域をエッチングする工程と、
を含み、
前記a)は、
第1のガスを基板に供給することにより前記基板上に前駆体層を形成する工程と、
第2のガスを前記前駆体層に供給すること又は前記前駆体層を活性化することにより前記前駆体層から前記膜を形成する工程と、
を含む、エッチング方法。
【請求項10】
前記膜は、前記第2のガスから生成されたプラズマからの化学種を用いて形成される、請求項に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記膜は、CVDにより形成される、請求項1~の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記領域に10以上のアスペクト比を有する開口が形成される、請求項1~11の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記マスクが提供する前記開口の幅は、100nm以下である、請求項1~12の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項14】
a)成膜ガスを用いて、基板の表面上に膜を形成する工程であり、該基板はマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有し、該マスクは該領域を部分的に露出させる開口を提供し、該膜は前記領域の材料と同種の材料から形成される、該工程と、
b)前記領域をエッチングする工程と、
を含み、
膜を形成する前記工程と前記領域をエッチングする前記工程とが交互に繰り返される、エッチング方法。
【請求項15】
チャンバと、
前記チャンバ内にガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記ガス供給部を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
a)開口を提供するマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有する基板上に、成膜ガスを用いて該領域の材料と同種の材料の膜を形成するために前記チャンバ内に前記成膜ガスを供給するように前記ガス供給部を制御し、
b)前記領域をエッチングするために前記チャンバ内にガスを供給するように前記ガス供給部を制御し、
前記a)において、前記膜は、その厚さが前記基板内での該基板の上端からの深さに応じて減少するように形成される、
基板処理装置。
【請求項16】
開口を提供するマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有する基板上に、成膜ガスを用いて該領域の材料と同種の材料の膜を形成するように構成された成膜装置と、
前記領域をエッチングするように構成された基板処理装置と、
を備え、
前記成膜装置は、前記成膜ガスを用いた前記膜の形成において、前記膜を、該膜の厚さが前記基板内での該基板の上端からの深さに応じて減少するように形成する、
基板処理システム。
【請求項17】
開口を提供するマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有する基板上に、該領域の材料と同種の材料の膜を形成するように構成された成膜装置と、
前記領域をエッチングするように構成された基板処理装置と、
を備え、
前記成膜装置は、
第1のガスを基板に供給することにより前記基板上に前駆体層を形成し、
第2のガスを前記前駆体層に供給すること又は前記前駆体層を活性化することにより前記前駆体層から前記膜を形成する、
基板処理システム。
【請求項18】
開口を提供するマスク及び該マスクがその上に設けられた領域を有する基板上に、成膜ガスを用いて該領域の材料と同種の材料の膜を形成するように構成された成膜装置と、
前記領域をエッチングするように構成された基板処理装置と、
を備え、
前記成膜装置と前記基板処理装置は、前記膜を形成することと前記領域をエッチングすることを交互に繰り返す、
基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法、基板処理装置、及び基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板内の膜に開口を形成するためにプラズマエッチングが用いられている。特許文献1は、シリコンを含む保護膜を有機膜のプラズマエッチングによって形成された開口を画成する側壁上に形成し、有機膜のプラズマエッチングを更に行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-204668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板内の領域のエッチングにおいてマスクの開口の閉塞を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、基板の表面上に膜を形成する工程を含む。基板は、エッチングされる領域及びマスクを有する。マスクは、基板の領域上に設けられており、該領域を部分的に露出させる開口を提供している。膜は、基板の領域の材料と同種の材料から形成される。エッチング方法は、基板の領域をエッチングする工程を更に含む。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、基板内の領域のエッチングにおいてマスクの開口の閉塞を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。
図2】一例の基板の部分拡大断面図である。
図3】一つの例示的実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す図である。
図4】一つの例示的実施形態に係る基板処理装置における静電チャックの拡大断面図である。
図5図5の(a)は、図1に示すエッチング方法の工程STaの例を説明するための図であり、図5の(b)は、工程STaの実行後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。
図6】一つの例示的実施形態に係るエッチング方法において用いられ得る成膜方法の流れ図である。
図7図7の(a)は、前駆体層が形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。図7の(b)は、膜PFが形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。
図8図8の(a)は、図1に示すエッチング方法の工程ST2の例を説明するための図であり、図8の(b)は、工程ST2の実行後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。
図9図9の(a)は、前駆体層が形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図であり、図9の(b)は、膜が形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。
図10】一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、a)基板の表面上に膜を形成する工程を含む。基板は、エッチングされる領域及びマスクを有する。マスクは、基板の領域上に設けられており、該領域を部分的に露出させる開口を提供している。膜は、基板の領域の材料と同種の材料から形成される。エッチング方法は、b)基板の領域をエッチングする工程を更に含む。b)では、プラズマエッチングにより領域がエッチングされ得る。
【0010】
上記実施形態では、基板上に形成された膜が、領域のエッチングの開始時にマスクを保護する。したがって、マスクがエッチングされることによりマスクから放たれた物質が開口を閉塞するようにマスクに再付着することが抑制され得る。或いは、エッチングのためのガスとしてマスクを保護するためにマスク上に堆積物を形成するガスを用いる場合には、過剰な堆積物が開口を閉塞することが抑制され得る。
【0011】
一つの例示的実施形態では、b)において膜のエッチングレートは基板の領域のエッチングレート以上又は該領域のエッチングレート以下であってもよい。
【0012】
基板の領域は有機材料から形成されていてもよい。基板の領域は酸化シリコン又は窒化シリコンから形成されていてもよい。基板の領域は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び多結晶シリコンのうち二つ以上の材料からそれぞれ形成された複数の層を有していてもよい。基板の領域は、シリコン及び/又はゲルマニウムから形成されていてもよい。基板の領域がシリコン及び/又はゲルマニウムから形成されている場合には、膜は、アモルファスシリコンから形成されていてもよい。
【0013】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、c)領域を部分的にエッチングする工程を更に含んでいてもよい。膜は、c)において形成された側壁面上に形成され、c)において領域に形成された開口の深さが、b)において増大されてもよい。
【0014】
一つの例示的実施形態において、a)は、第1のガスを基板に供給することにより基板上に前駆体層を形成する工程と、第2のガスを前駆体層に供給すること又は前駆体層を活性化することにより、前駆体層から膜を形成する工程と、を含んでいてもよい。一つの例示的実施形態において、膜は、第2のガスから生成されたプラズマからの化学種を用いて形成されてもよい。別の例示的実施形態において、膜は、CVDにより形成されてもよい。CVDは、プラズマ、熱、又は光などを用いるCVDであり得る。種々の例示的実施形態において、膜は、その厚さが基板内での基板の上端からの深さに応じて減少するように形成されてもよい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、基板の領域に10以上のアスペクト比を有する開口を形成してもよい。一つの例示的実施形態において、マスクが提供する開口の幅は、100nm以下であってもよい。
【0016】
一つの例示的実施形態において、膜を形成する工程と領域をエッチングする工程とが交互に繰り返されてもよい。
【0017】
別の例示的実施形態においては、基板処理装置が提供される。基板処理装置は、チャンバ、ガス供給部、及び制御部を備える。ガス供給部は、チャンバ内にガスを供給するように構成されている。制御部は、基板上に膜を形成するためにチャンバ内にガスを供給するようにガス供給部を制御する。基板は、エッチングされる領域及びマスクを有する。マスクは、基板の領域上に設けられており、開口を提供する。膜は、基板の領域の材料と同種の材料から形成される。制御部は、基板の領域をエッチングするためにチャンバ内にガスを供給するようにガス供給部を制御する。
【0018】
更に別の例示的実施形態においては、基板処理システムが提供される。基板処理システムは、成膜装置及び基板処理装置を備える。成膜装置は、基板上に膜を形成するように構成されている。基板は、エッチングされる領域及びマスクを有する。マスクは、基板の領域上に設けられており、開口を提供する。膜は、基板の領域の材料と同種の材料から形成される。基板処理装置は、基板の領域をエッチングするように構成されている。
【0019】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0020】
図1は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の流れ図である。図1に示すエッチング方法(以下、「方法MT」という)は、基板内の領域をエッチングするために実行される。図2は、一例の基板の部分拡大断面図である。図2に示す基板Wは、領域RE及びマスクMKを有する。基板Wは、下地領域URを更に有していてもよい。
【0021】
領域REは、方法MTにおいてエッチングされる領域である。図2に示す基板Wにおいて、領域REは、下地領域UR上に設けられている。マスクMKは、領域RE上に設けられている。マスクMKは、パターニングされている。即ち、マスクMKは、領域REを部分的に露出させる一つ以上の開口OPを提供している。マスクMKが提供する開口OPの幅は、例えば100nm以下であり得る。領域REは、任意の材料から形成され得る。マスクMKは、後述する工程ST2においてマスクMKに対して領域REが選択的にエッチングされる限り、任意の材料から形成され得る。
【0022】
基板Wの第1例において、領域REは、有機材料から形成される。基板Wの第2例において、領域REは、酸化シリコンから形成される。基板Wの第3例において、領域REは、窒化シリコンから形成される。基板Wの第4例において、領域REは、シリコン(例えば多結晶シリコン)及び/又はゲルマニウムから形成される。基板Wの第5例において、領域REは、交互に積層された一つ以上のシリコン酸化膜と一つ以上のシリコン窒化膜を含む。基板Wの第5例において、領域REは、単一のシリコン酸化膜と単一のシリコン窒化膜を含んでいてもよい。基板Wの第5例において、単一のシリコン窒化膜は、単一のシリコン酸化膜とマスクMKとの間に設けられ得る。基板Wの第6例において、領域REは、交互に積層された一つ以上のシリコン酸化膜と一つ以上の多結晶シリコン膜を含む。基板Wの第7例において、領域REは、一つ以上のシリコン酸化膜、一つ以上のシリコン窒化膜、及び一つ以上の多結晶シリコン膜を含む積層体から形成される。基板Wの第8例において、領域REは、低誘電率材料から形成される。基板Wの第8例において、領域REは、シリコン、炭素、酸素、及び水素を含む。即ち、基板Wの第8例において、膜PFは、SiCOH膜であり得る。
【0023】
基板Wの第1例において、マスクMKは、SiON、金属含有材料、又はシリコン含有材料から形成される。シリコン含有材料から形成されるマスクMKは、例えばシリコン含有反射防止膜から形成され得る。基板Wの第2例、第3例、第5例、第6例、及び第7例の各々において、マスクMKは、シリコン、炭素含有材料、又は金属含有材料から形成される。基板Wの第4例において、マスクMKは、酸化シリコンから形成される。基板Wの第8例において、マスクMKは、タングステン含有材料、チタン含有材料といった金属含有材料から形成される。基板Wの第8例において、マスクMKは、フォトレジストといった有機材料、窒化シリコン、又は多結晶シリコンから形成されてもよい。マスクMKに含まれるシリコンは、例えば多結晶シリコン又はアモルファスシリコンである。マスクMKに含まれる炭素含有材料は、例えばアモルファスカーボン又はスピンオンカーボン材料である。マスクMKに含まれる金属含有材料は、例えばタングステン、タングステンカーバイド、又は窒化チタンである。
【0024】
一実施形態において、方法MTは、基板処理装置を用いて実行される。図3は、一つの例示的実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す図である。図3に示す基板処理装置は、容量結合型のプラズマ処理装置1である。
【0025】
プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。チャンバ10の中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は、電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。耐腐食性を有する膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。
【0026】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉可能となっている。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0027】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備えている。基板支持器16は、チャンバ10内で基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有し得る。基板支持器16は、支持体15によって支持されている。支持体15は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持体15は、略円筒形状を有している。支持体15は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0028】
基板支持器16は、下部電極18及び静電チャック20を含んでいる。基板支持器16は、電極プレート19を更に含んでいてもよい。電極プレート19は、アルミニウムといった導電性材料から形成されている。電極プレート19は略円盤形状を有しており、その中心軸線は軸線AXである。下部電極18は、電極プレート19上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されている。下部電極18は略円盤形状を有しており、その中心軸線は軸線AXである。下部電極18は、電極プレート19に電気的に接続されている。
【0029】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体(例えば冷媒)用の流路である。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。熱交換媒体の供給装置は、プラズマ処理装置1の温度調整機構を構成する。
【0030】
図4は、一つの例示的実施形態に係る基板処理装置における静電チャックの拡大断面図である。以下、図3及び図4を参照する。静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。静電チャック20の上面の上には、基板Wが載置される。静電チャック20は、本体20m及び電極20eを有する。本体20mは、誘電体から形成されている。静電チャック20及び本体20mの各々は、略円盤形状を有しており、その中心軸線は軸線AXである。電極20eは、膜状の電極であり、本体20m内に設けられている。電極20eは、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。直流電源20pからの電圧が電極20eに印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0031】
基板支持器16は、一つ以上のヒータHTを有していてもよい。一つ以上のヒータHTの各々は、抵抗加熱素子であり得る。プラズマ処理装置1は、ヒータコントローラHCを更に備え得る。一つ以上のヒータHTの各々は、ヒータコントローラHCから個別に与えられる電力に応じて発熱する。その結果、基板支持器16上の基板Wの温度が調整される。一つ以上のヒータHTは、プラズマ処理装置1の温度調整機構を構成する。一実施形態においては、基板支持器16は、複数のヒータHTを有している。複数のヒータHTは、静電チャック20の中に設けられていてもよい。
【0032】
基板支持器16の周縁部上には、基板Wのエッジを囲むように、エッジリングERが配置される。基板Wは、静電チャック20上且つエッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。エッジリングERは、基板Wに対するプラズマ処理の面内均一性を向上させるために利用される。エッジリングERは、シリコン、炭化シリコン、又は石英から形成され得る。
【0033】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
【0034】
プラズマ処理装置1は、筒状部28及び絶縁部29を更に備え得る。筒状部28は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。筒状部28は、支持体15の外周に沿って延在している。筒状部28は、導電性材料から形成されており、略円筒形状を有している。筒状部28は、電気的に接地されている。絶縁部29は、筒状部28上に設けられている。絶縁部29は、絶縁性を有する材料から形成されている。絶縁部29は、例えば石英といったセラミックから形成されている。絶縁部29は、略円筒形状を有している。絶縁部29は、電極プレート19の外周、下部電極18の外周、及び静電チャック20の外周に沿って延在している。
【0035】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する材料から形成されている。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0036】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sの側の下面であり、内部空間10sを画成している。天板34は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。一実施形態においては、天板34は、シリコンから形成されている。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aは、天板34をその板厚方向に貫通している。
【0037】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムといった導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36には、複数のガス孔36bが形成されている。複数のガス孔36bは、ガス拡散室36aから下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0038】
ガス供給管38には、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部GSを構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。ガスソース群40の複数のガスソースは、方法MTで利用される複数のガスのソースを含んでいる。方法MTで用いられる一つ以上のガスが液体から形成される場合には、複数のガスソースは、各々が液体ソース及び気化器を有する一つ以上のガスソースを含む。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数の開閉バルブを含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応の開閉バルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応の開閉バルブを介して、ガス供給管38に接続されている。
【0039】
プラズマ処理装置1は、バッフル部材48を更に備えていてもよい。バッフル部材48は、筒状部28とチャンバ本体12の側壁との間に設けられている。バッフル部材48は、板状の部材であり得る。バッフル部材48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面上に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。バッフル部材48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフル部材48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口が設けられている。排気口には、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプといった真空ポンプを有している。
【0040】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、プラズマ生成用の高周波電力HFを発生する電源である。高周波電力HFは、第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば27~100MHzの範囲内の周波数である。高周波電源61は、高周波電力HFを下部電極18に供給するために、整合器61m及び電極プレート19を介して下部電極18に接続されている。整合器61mは、整合回路を有している。整合器61mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器61mの整合回路のインピーダンスは、高周波電源61の負荷からの反射を低減させるように調整される。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合器61mを介して上部電極30に接続されていてもよい。高周波電源61は、一例のプラズマ生成部を構成している。
【0041】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備える。バイアス電源62は、基板Wにイオンを引き込むために用いられるバイアス電力BPを発生する。バイアス電源62は、電極プレート19を介して下部電極18に接続されている。
【0042】
一実施形態において、バイアス電源62は、バイアス電力BPとして高周波電力LFを発生する高周波電源であってもよい。高周波電力LFは、プラズマ中のイオンを基板Wに引き込むのに適した第2の周波数を有する。第2の周波数は、第1の周波数より低い周波数であってもよい。第2の周波数は、例えば400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数である。この実施形態において、バイアス電源62は、整合器62m及び電極プレート19を介して下部電極18に接続される。整合器62mは、整合回路を有している。整合器62mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器62mの整合回路のインピーダンスは、バイアス電源62の負荷からの反射を低減させるように調整される。
【0043】
なお、プラズマは、高周波電源61及びバイアス電源62のうち一つの電源のみを用いて生成されてもよい。この場合において、一つの電源は、一例のプラズマ生成部を構成する。この場合において、一つの電源から供給される高周波電力の周波数は、13.56MHzよりも大きな周波数、例えば40MHzであってもよい。この場合において、プラズマ処理装置は、高周波電源61及びバイアス電源62のうち別の電源を備えていなくてもよい。
【0044】
別の実施形態において、バイアス電源62は、バイアス電力BPとして負極性の直流電圧のパルスを断続的に又は周期的に下部電極18に印加する直流電源装置であってもよい。例えば、バイアス電源62は、1kHz~1MHzの範囲内の周波数によって規定される周期で周期的に、負極性の直流電圧のパルスを下部電極18に印加してもよい。
【0045】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、直流電源装置64を更に備えていてもよい。直流電源装置64は、上部電極30に接続されている。直流電源装置64は、直流電圧、例えば負極性の直流電圧を上部電極30に印加するように構成されている。直流電源装置64は、直流電圧のパルスを断続的又は周期的に上部電極30に印加してもよい。
【0046】
プラズマ処理装置1においてプラズマが生成される場合には、ガスが、ガス供給部GSから内部空間10sに供給される。また、高周波電力が供給されることにより、上部電極30と下部電極18との間で高周波電界が生成される。生成された高周波電界によって、ガスが励起される。その結果、チャンバ10内でプラズマが生成される。
【0047】
プラズマ処理装置1は、制御部80を更に備える。制御部80は、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。具体的に、制御部80は、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部80による制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。方法MTは、制御部80によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において実行され得る。
【0048】
再び図1を参照して、方法MTについて詳細に説明する。以下の説明では、プラズマ処理装置1を用いて図2に示す基板Wが処理される場合を例にとって、方法MTを説明する。なお、方法MTでは、他の基板処理装置が用いられてもよい。方法MTでは、他の基板が処理されてもよい。
【0049】
方法MTは、基板Wが基板支持器16上に載置された状態で実行される。方法MTは、チャンバ10の内部空間10sの減圧された環境を維持し、且つ、内部空間10sから基板Wを取り出すことなく、実行され得る。一実施形態において、方法MTは、工程STaで開始されてもよい。工程STaでは、領域REが部分的にエッチングされる。領域REは、プラズマを用いてエッチングされ得る。
【0050】
工程STaでは、チャンバ10内で処理ガスからプラズマPaが生成される。上述した基板Wの第1例が処理される場合には、工程STaで用いられる処理ガスは、酸素含有ガスを含み得る。酸素含有ガスは、Oガス、COSガス、SOガス、COガス、及びCOガスのうち一つ以上のガスを含み得る。上述した基板Wの第2例及び第8例が処理される場合には、工程STaで用いられる処理ガスは、フルオロカーボンガスを含み得る。上述した基板Wの第3例が処理される場合には、工程STaで用いられる処理ガスは、ハイドロフルオロカーボンガスを含み得る。上述した基板Wの第4例が処理される場合には、工程STaで用いられる処理ガスは、ハロゲン含有ガスを含み得る。ハロゲン含有ガスは、例えばCFガス、Clガス、HBrガス、HIガスのうち一つ以上のガスを含み得る。上述した基板Wの第5例、第6例、及び第7例の各々が処理される場合には、工程STaで用いられる処理ガスは、上述のフルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのうち一つ以上のガスを含み得る。なお、何れの例の基板Wが処理される場合においても、工程STaで用いられる処理ガスは、不活性ガス(例えば希ガス)を更に含んでいてもよい。
【0051】
図5の(a)は、図1に示すエッチング方法の工程STaの例を説明するための図であり、図5の(b)は、工程STaの実行後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。工程STaでは、図5の(a)に示すように、プラズマPaからの化学種が基板Wに供給されて、領域REが当該化学種によって部分的にエッチングされる。工程STaでは、領域REは、領域REの上面と領域REの下面との間の位置までエッチングされる。なお、領域REの下面は、下地領域URと接触する領域REの面である。領域REの上面は、マスクMKの開口から露出された領域REの表面である。工程STaが実行されると、図5の(b)に示すように、開口OPが、マスクMKから領域REの中まで延びるように形成される。
【0052】
工程STaにおいて、制御部80は、チャンバ10内のガスの圧力を指定された圧力に設定するように排気装置50を制御する。工程STaにおいて、制御部80は、処理ガスをチャンバ10内に供給するようにガス供給部GSを制御する。工程STaにおいて、制御部80は、処理ガスからプラズマを生成するためにプラズマ生成部を制御する。一実施形態における工程STaでは、制御部80は、高周波電力HF及びバイアス電力BPを供給するよう、高周波電源61及びバイアス電源62を制御する。工程STaにおいては、プラズマを生成するために、高周波電力HF及び高周波電力LFのうち一方のみが供給されてもよい。
【0053】
なお、方法MTは、工程STaを含んでいなくてもよい。この場合には、方法MTが適用される基板の領域REには、開口OPが予め設けられる。或いは、方法MTが工程STaを含んでいない場合には、図2に示す基板Wに対して工程ST1及び工程ST2が適用される。
【0054】
工程ST1では、膜PFが、基板Wの表面上に形成される(図7の(b)参照)。工程ST2では、領域REがエッチングされる。膜PFは、領域REの材料と同種の材料から形成される。膜PFは、工程ST2における領域REのエッチングの際に、同時にエッチングされる。一実施形態において、工程ST2における膜PFのエッチングレートは、領域REのエッチングレート以上又は該領域REのエッチングレート以下であってもよい。或いは、膜PFのエッチングレートを領域REのエッチングレートで除した値は、0.7以上、1.2以下であってもよい。膜PFのエッチングレートを領域REのエッチングレートで除した値は、0.8以上、1.1以下であってもよい。
【0055】
基板Wの第1例が処理される場合には、膜PFは、炭素含有材料から形成される。基板Wの第1例が処理される場合には、膜PFは、例えば、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素、炭素、又はホウ素がドープされた炭素から形成され得る。領域REがアモルファスカーボン又はフォトレジストから形成されている場合には、膜PFは、ホウ素がドープされた炭素から形成され得る。基板Wの第2例~第7例の各々が処理される場合には、膜PFは、シリコン含有材料から形成される。基板Wの第2例又は第5例の各々が処理される場合には、膜PFは、例えば酸化シリコン(例えばTEOS等)、SiOC、SiON、又は窒化シリコンから形成される。基板Wの第3例が処理される場合には、膜PFは、例えば窒化シリコン、SiON、又は酸化シリコンから形成される。基板Wの第4例が処理される場合には、膜PFは、例えば多結晶シリコン又はアモルファスシリコンから形成される。基板Wの第6例が処理される場合には、膜PFは、例えば酸化シリコン(例えばTEOS等)、SiOC、SiON、窒化シリコン、多結晶シリコン、又はアモルファスシリコンから形成される。基板Wの第6例及び第7例が処理される場合には、膜PFは、例えば酸化シリコン(例えばTEOS等)、SiOC、SiON、窒化シリコン、多結晶シリコン、又はアモルファスシリコンから形成される。領域REがTEOSを用いて形成された酸化シリコンから形成されている場合、或いは、基板Wの第8例のように基板Wが低誘電率材料(例えば、多孔質SiOCH)から形成されている場合には、膜PFは、酸化シリコンから形成され得る。
【0056】
基板Wの第1例~第8例の各々が処理される場合に、工程ST1では、CVD法により、膜PFが形成されてもよい。CVD法は、プラズマ(Plasma Enhanced)CVD法であってもよく、熱又は光等を利用するCVD法であってもよい。CVD法による工程ST1では、チャンバ10内に成膜ガスが供給される。CVD法による工程ST1では、チャンバ10内で成膜ガスからプラズマが生成されてもよい。或いは、工程ST13では、膜PFを形成する成膜ガス中の前駆体が熱又は光等により活性化されてもよい。
【0057】
CVD法による工程ST1では、制御部80は、チャンバ10内に成膜ガスを供給するよう、ガス供給部GSを制御する。また、制御部80は、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、排気装置50を制御する。CVD法による工程ST1では、制御部80は、成膜ガスからプラズマを生成するためにプラズマ生成部を制御してもよい。具体的には、制御部80は、高周波電力HF及び/又は高周波電力LFを供給するよう、高周波電源61及び/又はバイアス電源62を制御し得る。或いは、CVD法による工程ST1では、チャンバ10内に成膜ガスを供給し、且つ、活性化のために基板Wを加熱するようにヒータHTを制御してもよい。或いは、工程ST13において、制御部80は、活性化のために基板Wに光を照射するよう光源を制御してもよい。
【0058】
基板Wの第1例が処理される場合には、CVD法による工程ST1において用いられる成膜ガスは、例えば、フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、COガス、又は炭化水素ガス(例えば、CHガス、Cガス、若しくはCガス)を含む。工程ST1では、成膜ガスは、Arガスといった希ガス及び/又はNガスを更に含んでいてもよい。
【0059】
基板Wの第2例及び第3例が処理される場合には、CVD法による工程ST1において用いられる成膜ガスは、シリコン含有ガスを含む。成膜ガスは、酸素含有ガス及び/又は窒素含有ガスを更に含む。成膜ガスは、例えばSiClガス及びOガスを含み得る。或いは、成膜ガスは、例えばSiClガス及びNHガスを含み得る。
【0060】
基板Wの第4例が処理される場合には、CVD法による工程ST1において用いられる成膜ガスは、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、塩化ケイ素、クロロシラン、又はフッカケイ素を含む。塩化ケイ素は、例えば四塩化ケイ素(SiCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)等である。クロロシランは、例えばトリクロロシラン(HSiCl)、ジクロロシラン(HSiCl)、クロロトリメチルシラン((CHSiCl)等である。フッカケイ素は、例えば四フッカケイ素(SiF)等である。成膜ガスは、水素(例えばH)及び/又は希ガス(例えば、Ar、He)を含んでいてもよい。
【0061】
基板Wの第5例が処理される場合には、CVD法による工程ST1において用いられる成膜ガスは、基板Wの第2例又は第3例に対する工程ST1において用いられる成膜ガスと同じ成膜ガスである。基板Wの第6例及び第8例が処理される場合には、CVD法による工程ST1において用いられる成膜ガスは、基板Wの第2例又は第4例に対する工程ST1において用いられる成膜ガスと同じ成膜ガスである。基板Wの第7例が処理される場合には、CVD法による工程ST1において用いられる成膜ガスは、基板Wの第2例、第3例、又は第4例に対する工程ST1において用いられる成膜ガスと同じ成膜ガスである。
【0062】
基板Wの第4例が処理される場合には、工程ST1では、膜PFは、物理気相成長(PVD)法により形成されてもよい。この場合には、チャンバ10内に不活性ガスが供給される。不活性ガスは、例えば希ガスである。また、チャンバ10内で不活性ガスからプラズマが生成される。また、上部電極30に負極性の直流電圧が印加される。その結果、プラズマからの正イオンが天板34に衝突し、天板34からシリコンが放出される。天板34から放出されたシリコンは、基板Wの表面上に堆積して領域REを形成する。
【0063】
PVD法による工程ST1では、制御部80は、チャンバ10内に不活性ガスを供給するよう、ガス供給部GSを制御する。また、制御部80は、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、排気装置50を制御する。PVD法による工程ST1では、制御部80は、不活性ガスからプラズマを生成するためにプラズマ生成部を制御する。具体的には、制御部80は、高周波電力HF及び/又は高周波電力LFを供給するよう、高周波電源61及び/又はバイアス電源62を制御し得る。PVD法による工程ST1では、制御部80は、上部電極30に負極性の直流電圧を印加するよう、直流電源装置64を制御する。
【0064】
基板Wの第1例~第8例の各々が処理される場合に、工程ST1では、膜PFは、図6に示す成膜法により形成されてもよい。図6は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法において用いられ得る成膜方法の流れ図である。以下、図6と共に図7の(a)及び図7の(b)を参照する。図7の(a)は、前駆体層が形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。図7の(b)は、膜PFが形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。
【0065】
図6に示すように、一実施形態において、工程ST1は、工程ST11及び工程ST13を含む。工程ST1は、工程ST12及び工程ST14を更に含んでいてもよい。工程ST12は、工程ST11と工程ST13の間で実行される。工程ST14は、工程ST13と工程ST11との間で実行される。
【0066】
工程ST11では、図7の(a)に示すように、前駆体層PCが、基板Wの表面上に形成される。工程ST11では、前駆体層PCの形成のために、第1のガスが用いられる。第1のガスは、前駆体層PCを構成する物質を含む。工程ST11では、前駆体層PCは、第1のガスからプラズマを生成することなく、形成されてもよい。或いは、工程ST11では、前駆体層PCは、第1のガスから生成されたプラズマからの化学種を用いて形成されてもよい。
【0067】
基板Wの第1例が処理される場合に、第1のガスは、例えばカルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、無水カルボン酸、又はイソシアネートを含む。基板Wの第2例、第3例、第5例、第6例、第7例、及び第8例の各々が処理される場合に、第1のガスは、例えばアミノシランを含む。第1のガスは、アミノシランではなく、SiClを含んでいてもよい。基板Wの第4例が処理される場合に、第1のガスは、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、塩化ケイ素、クロロシラン、又はフッカケイ素を含む。塩化ケイ素は、例えば四塩化ケイ素(SiCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)等である。クロロシランは、例えばトリクロロシラン(HSiCl)、ジクロロシラン(HSiCl)、クロロトリメチルシラン((CHSiCl)等である。フッカケイ素は、例えば四フッカケイ素(SiF)等である。
【0068】
工程ST11において、制御部80は、第1のガスをチャンバ10内に供給するようにガス供給部GSを制御する。工程ST11において、制御部80は、チャンバ10内のガスの圧力を指定された圧力に設定するように排気装置50を制御する。工程ST11においてプラズマが生成される場合には、制御部80は、チャンバ10内において第1のガスからプラズマを生成するようにプラズマ生成部を制御する。一実施形態では、第1のガスからプラズマを生成するために、制御部80は、高周波電力HF及び/又は高周波電力LFを供給するよう、高周波電源61及び/又はバイアス電源62を制御する。
【0069】
工程ST12では、内部空間10sのパージが実行される。工程ST12では、制御部80は、内部空間10sの排気を実行するように排気装置50を制御する。工程ST12では、制御部80は、チャンバ10内に不活性ガスを供給するようにガス供給部GSを制御してもよい。工程ST12の実行により、チャンバ10内の第1のガスが不活性ガスに置換され得る。工程ST12の実行により、基板W上に吸着している過剰な物質が除去されてもよい。工程ST11と工程ST12の実行により、前駆体層PCは単分子層として基板W上に形成されてもよい。
【0070】
工程ST13では、図7の(b)に示すように、前駆体層PCから膜PFが形成される。工程ST13では、膜PFの形成のために、第2のガスが用いられてもよい。第2のガスは、前駆体層PCを構成する物質と反応することにより前駆体層PCから膜PFを形成する反応種を含む。工程ST13では、膜PFは、第2のガスからプラズマを生成することなく、形成されてもよい。或いは、工程ST13では、膜PFは、第2のガスから生成されたプラズマからの化学種を用いて、形成されてもよい。或いは、工程ST13では、熱又は光等により前駆体層PCが活性化されてもよい。
【0071】
基板Wの第1例が処理される場合に、第2のガスは、例えばNH基を有する化合物又は水酸基を有する化合物を含む。NH基を有する化合物は、例えばアミン、NH、N、又はNを含む。基板Wの第2例、第3例、第5例、第6例、第7例、及び第8例の各々が処理される場合に、第2のガスは、酸素含有ガス又は窒素含有ガスを含む。酸素含有ガスは、例えばOガスである。窒素含有ガスは、例えばNHガスである。基板Wの第4例が処理される場合には、第2のガスは、水素含有ガス(例えばHガス)を含む。
【0072】
工程ST13において、制御部80は、第2のガスをチャンバ10内に供給するようにガス供給部GSを制御する。工程ST13において、制御部80は、チャンバ10内のガスの圧力を指定された圧力に設定するように排気装置50を制御する。工程ST13においてプラズマが生成される場合には、制御部80は、チャンバ10内において第2のガスからプラズマを生成するようにプラズマ生成部を制御する。一実施形態では、第2のガスからプラズマを生成するために、制御部80は、高周波電力HF及び/又は高周波電力LFを供給するよう、高周波電源61及び/又はバイアス電源62を制御する。或いは、工程ST13において、制御部80は、前駆体層PCの活性化のために基板Wを加熱するようにヒータHTを制御してもよい。或いは、工程ST13において、制御部80は、前駆体層PCの活性化のために基板Wに光を照射するよう光源を制御してもよい。
【0073】
工程ST14では、内部空間10sのパージが実行される。工程ST14は、工程ST12と同様の工程である。工程ST14の実行により、チャンバ10内の第2のガスが不活性ガスに置換され得る。
【0074】
工程ST1では、工程ST11及び工程ST13を各々が含む複数の成膜サイクルCY1が順に繰り返されてもよい。複数の成膜サイクルCY1の各々は、工程ST12及び工程ST14を更に含んでいてもよい。膜PFの厚さは、成膜サイクルCY1の繰り返し回数により調整され得る。成膜サイクルCY1が繰り返される場合には、工程ST15において停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、成膜サイクルCY1の実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程ST15において停止条件が満たされないと判定される場合には、成膜サイクルCY1が再び実行される。工程ST15において停止条件が満たされていると判定される場合には、工程ST1の実行が終了して、図1に示すように、処理は工程ST2に進む。
【0075】
工程ST2は、工程ST1において基板W上に膜PFが形成された後に実行される。工程ST2では、領域REがエッチングされる。一実施形態では、領域REは、プラズマからの化学種により、エッチングされる。工程ST2では、チャンバ10内で処理ガスからプラズマP2が生成される。工程ST2で用いられる処理ガスは、工程STaで用いられる処理ガスと同一であり得る。
【0076】
図8の(a)は、図1に示すエッチング方法の工程ST2の例を説明するための図であり、図8の(b)は、工程ST2の実行後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。工程ST2では、図8の(a)に示すように、プラズマP2からの化学種が領域REに照射されて、領域REが当該化学種によってエッチングされる。工程ST2の実行の結果、図8の(b)に示すように、開口OPの深さが増加する。領域REに形成された開口OPは、10以上のアスペクト比を有していてもよい。
【0077】
工程ST2において、制御部80は、チャンバ10内のガスの圧力を指定された圧力に設定するように排気装置50を制御する。工程ST2において、制御部80は、処理ガスをチャンバ10内に供給するようにガス供給部GSを制御する。工程ST2において、制御部80は、処理ガスからプラズマを生成するためにプラズマ生成部を制御する。一実施形態における工程ST2では、制御部80は、高周波電力HF及びバイアス電力BPを供給するよう、高周波電源61及びバイアス電源62を制御する。工程ST2においては、プラズマを生成するために、高周波電力HF及び高周波電力LFのうち一方のみが供給されてもよい。
【0078】
方法MTでは、工程ST1及び工程ST2を各々が含む複数のサイクルCYが順に実行されてもよい。複数のサイクルCYが順に実行される場合には、工程ST3において停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、サイクルCYの実行回数が所定回数に達している場合に満たされる。工程ST3において停止条件が満たされないと判定される場合には、サイクルCYが再び実行される。工程ST3において停止条件が満たされていると判定される場合には、方法MTの実行が終了する。
【0079】
基板W上に形成された膜PFは、工程ST2における領域REのエッチングの開始時にマスクMKを保護する。したがって、マスクMKがエッチングされることによりマスクMKから放たれた物質が開口OPを閉塞するようにマスクMKに再付着することが抑制され得る。或いは、エッチングのためのガスとしてマスクMKを保護するためにマスクMK上に堆積物を形成するガスを用いる場合には、過剰な堆積物が開口OPを閉塞することが抑制され得る。また、膜PFは領域REに形成された側壁面を保護するので、領域RE内に形成される開口OPが工程ST2におけるエッチングによって横方向に広がることを抑制することができる。
【0080】
また、膜PFが形成された後に工程ST2において領域REがエッチングされるので、工程ST2においてマスクMKのエッチングの開始が遅延する。したがって、方法MTにおいて、マスクMKのエッチングに対する領域REのエッチングの選択比は、高くなる。
【0081】
なお、複数のサイクルCYのうち少なくとも一つのサイクルにおいて膜PFを形成するための工程ST1の条件が、複数のサイクルCYのうち少なくとも一つの別のサイクルにおいて膜PFを形成するための工程ST1の条件と異なっていてもよい。全てのサイクルCYの工程ST1の条件が、互いに異なっていてもよい。この場合には、各サイクルにおいて膜PFは、その厚さ又はカバレッジが他のサイクルおいて形成される膜PFの厚さ又はカバレッジと異なるように、形成され得る。
【0082】
複数のサイクルCYのうち少なくとも一つのサイクルにおいて領域REをエッチングするための工程ST2の条件が、複数のサイクルCYのうち少なくとも一つの別のサイクルにおいて領域REをエッチングするための工程ST2の条件と異なっていてもよい。全てのサイクルCYの工程ST2の条件が、互いに異なっていてもよい。この場合には、各サイクルにおいて領域REは、そのエッチング量が、他のサイクルおける領域REのエッチング量と異なるように、エッチングされる。
【0083】
複数のサイクルCYの各々では、複数の成膜サイクルCY1のうち一つの成膜サイクルで膜PFを形成する条件が、複数の成膜サイクルCY1のうち少なくとも一つの別の成膜サイクルで膜PFを形成するための条件と異なっていてもよい。即ち、複数のサイクルCYの各々では、一つの成膜サイクルにおける工程ST11の条件及び/又は工程ST13の条件が、少なくとも一つの別の成膜サイクルにおける工程ST11の条件及び/又は工程ST13の条件と異なっていてもよい。複数のサイクルCYの各々では、全ての成膜サイクルCY1で膜PFを形成する条件が、互いに異なっていてもよい。この場合には、複数のサイクルCYの各々に含まれる複数の成膜サイクルCY1の各々で膜PFの厚さの分布が制御され得る。
【0084】
以下、図9の(a)及び図9の(b)を参照する。図9の(a)は、前駆体層が形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図であり、図9の(b)は、膜が形成された後の状態における一例の基板の部分拡大断面図である。一実施形態においては、図9の(b)に示すように、膜PFは、基板W内の上部における表面を覆っていればよい。基板W内の上部における表面は、マスクMKの表面を含む。基板W内の上部における表面は、開口OPを画成する底面BSを含まない。基板W内の上部における表面は、開口OPを画成する側面SSにおいて底面BSの近傍の領域を更に含んでいてなくてもよい。或いは、一実施形態において、膜PFの厚さは、位置に応じて変化する分布を有していてもよい。例えば、膜PFは、その厚さが基板W内での基板Wの上端からの深さに応じて減少するように形成されてもよい。より具体的には、膜PFの厚さは、開口OPの上端の近傍で大きく、開口OPの深部の近傍では小さいかゼロであってもよい。このような厚さの分布を有する膜PFを用いることにより、開口OPの幅がその底部側で狭くなることが抑制される。このような厚さの分布を有する膜PFは、以下で説明する膜PFの形成方法又は上述したCVD法により、形成され得る。
【0085】
図9の(b)に示す膜PFを形成するために、工程ST11において、前駆体層PCは、図9の(a)に示すように、マスクMKの表面を覆うが、基板Wの全表面を覆わないように形成されてもよい。このように前駆体層PCを形成するために、工程ST11において、(1)~(5)の条件のうち少なくとも一つの条件が満たされる。(1)の条件では、工程ST11の実行中のチャンバ10の中のガスの圧力が、他の処理条件が同一の場合に前駆体層PCを形成する物質が基板Wの全表面に吸着する圧力よりも低い圧力に設定される。(2)の条件では、工程ST11の処理時間が、他の処理条件が同一の場合に前駆体層PCを形成する物質が基板Wの全表面に吸着する処理時間よりも短い時間に設定される。(3)の条件では、前駆体層PCを形成する物質の第1のガスにおける希釈度が、他の処理条件が同一の場合に前駆体層PCを形成する物質が基板Wの全表面に吸着する希釈度よりも高い値に設定される。(4)の条件では、工程ST11の実行中の基板支持器16の温度が、他の処理条件が同一の場合に前駆体層PCを形成する物質が基板Wの全表面に吸着する温度よりも低い温度に設定される。(5)の条件は、工程ST11においてプラズマが生成される場合に適用され得る。(5)の条件では、高周波電力(高周波電力HF及び/又は高周波電力LF)の絶対値が、他の処理条件が同一の場合に前駆体層PCを形成する物質が基板Wの全表面に吸着する絶対値よりも小さい値に設定される。
【0086】
図9の(b)に示す膜PFを形成するために、工程ST13において、(1)~(5)の条件のうち少なくとも一つの条件が満たされてもよい。(1)の条件では、工程ST13の実行中のチャンバ10の中のガスの圧力が、他の処理条件が同一の場合に第2のガス中の物質と前駆体層PCを形成する物質との反応が前駆体層PCの全体において完了する圧力よりも低い圧力に設定される。(2)の条件では、工程ST13の処理時間が、他の処理条件が同一の場合に第2のガス中の物質と前駆体層PCを形成する物質との反応が前駆体層PCの全体において完了する処理時間よりも短い時間に設定される。(3)の条件では、膜PFを形成する物質の第2のガスにおける希釈度が、他の処理条件が同一の場合に第2のガス中の物質と前駆体層PCを形成する物質との反応が前駆体層PCの全体において完了する希釈度よりも高い値に設定される。(4)の条件では、工程ST13の実行中の基板支持器16の温度が、他の処理条件が同一の場合に第2のガス中の物質と前駆体層PCを形成する物質との反応が前駆体層PCの全体において完了する温度よりも低い温度に設定される。(5)の条件は、工程ST13においてプラズマが生成される場合に適用され得る。(5)の条件では、高周波電力(高周波電力HF及び/又は高周波電力LF)の絶対値が、他の処理条件が同一の場合に第2のガス中の物質と前駆体層PCを形成する物質との反応が前駆体層PCの全体において完了する絶対値よりも小さい値に設定される。
【0087】
以下、図10を参照する。方法MTは、成膜装置及び基板処理装置を含む基板処理システムを用いて実行されてもよい。図10は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す図である。図10に示す基板処理システムPSは、方法MTの実行のために用いられ得る。
【0088】
基板処理システムPSは、台2a~2d、容器4a~4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1~PM6、搬送モジュールTF、及び制御部MCを備えている。なお、基板処理システムPSにおける台の個数、容器の個数、ロードロックモジュールの個数は一つ以上の任意の個数であり得る。また、基板処理システムPSにおけるプロセスモジュールの個数は、二以上の任意の個数であり得る。
【0089】
台2a~2dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a~4dはそれぞれ、台2a~2d上に搭載されている。容器4a~4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a~4dの各々は、その内部に基板Wを収容するように構成されている。
【0090】
ローダモジュールLMは、チャンバを有する。ローダモジュールLMのチャンバ内の圧力は、大気圧に設定される。ローダモジュールLMは、搬送装置TU1を有する。搬送装置TU1は、例えば多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU1は、ローダモジュールLMのチャンバを介して基板Wを搬送するように構成されている。搬送装置TU1は、容器4a~4dの各々とアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1,LL2の各々との間、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々と容器4a~4dの各々との間で、基板Wを搬送し得る。アライナANは、ローダモジュールLMに接続されている。アライナANは、基板Wの位置の調整(位置の較正)を行うように構成されている。
【0091】
ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMと搬送モジュールTFとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。
【0092】
搬送モジュールTFは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々にゲートバルブを介して接続されている。搬送モジュールTFは、減圧可能な搬送チャンバTCを有している。搬送モジュールTFは、搬送装置TU2を有している。搬送装置TU2は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU2は、搬送チャンバTCを介して基板Wを搬送するように構成されている。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々とプロセスモジュールPM1~PM6の各々との間、及び、プロセスモジュールPM1~PM6のうち任意の二つのプロセスモジュールの間において、基板Wを搬送し得る。
【0093】
プロセスモジュールPM1~PM6の各々は、専用の基板処理を行うように構成された装置である。プロセスモジュールPM1~PM6のうち一つのプロセスモジュールは、成膜装置である。この成膜装置は、工程ST1において膜PFを形成するめに用いられる。したがって、この成膜装置は、上述した成膜法による工程ST1を実行するように構成された装置である。この成膜装置は、工程ST1においてプラズマが生成される場合には、プラズマ処理装置1又は他のプラズマ処理装置といったプラズマ処理装置であり得る。この成膜装置は、工程ST1においてプラズマを生成することなく膜PFを形成する場合には、プラズマを生成するための構成を有していなくてもよい。
【0094】
プロセスモジュールPM1~PM6のうち別の一つのプロセスモジュールは、プラズマ処理装置1又は他のプラズマ処理装置といった基板処理装置である。この基板処理装置は、工程ST2において領域REをエッチングするために用いられる。この基板処理装置は、工程STaにおけるエッチングに用いられてもよい。或いは、工程STaにおけるエッチングは、プロセスモジュールPM1~PM6のうち更に別のプロセスモジュールである基板処理装置を用いて実行されてもよい。
【0095】
基板処理システムPSにおいて、制御部MCは、基板処理システムPSの各部を制御するように構成されている。制御部MCは、工程ST1において膜PFを形成するように成膜装置を制御する。制御部MCは、膜PFを形成した後に、領域REをエッチングするように基板処理装置を制御する。この基板処理システムPSは、プロセスモジュール間で基板Wを大気に接触させることなく搬送することができる。
【0096】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0097】
例えば、方法MTの実行に用いられる基板処理装置は、任意のタイプのプラズマ処理装置であってもよい。例えば、方法MTの実行に用いられる基板処理装置は、プラズマ処理装置1以外の容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。方法MTの実行に用いられる基板処理装置は、誘導結合型のプラズマ処理装置、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置、又はマイクロ波といった表面波をプラズマの生成のために用いるプラズマ処理装置であってもよい。また、方法MTにおいて、プラズマが利用されない場合には、基板処理装置は、プラズマ生成部を有していなくてもよい。
【0098】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0099】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、GS…ガス供給部、80…制御部、W…基板、RE…領域、MK…マスク。
図1
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図10