(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ピックアップ方法、及びピックアップ装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240920BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/52 F
H01L21/78 Y
(21)【出願番号】P 2020125350
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
(72)【発明者】
【氏名】田村 一成
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-092905(JP,A)
【文献】特開2010-192648(JP,A)
【文献】特開平01-321650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67
H01L 21/52
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープに貼着されたチップをピックアップするピックアップ方法であって、
ピックアップすべきチップの周囲のテープを吸引保持するテープ保持面を有したテープ保持部でテープを吸引保持し、ピックアップすべきチップの外周領域をテープを介して突き上げる外周突き上げ部と、該外周突き上げ部の内側で該チップの中央をテープを介して突き上げる中央突き上げ部と、を有した突き上げユニットでテープを介して該チップを支持するとともに、該チップを挟んで該突き上げユニットに対向し、チップを吸引保持する保持面を有したチップ保持具の該保持面を
吸引保持することなくチップに当接させて該チップ保持具と該突き上げユニットとでチップを挟持した状態とするチップ挟持ステップと、
該チップ挟持ステップを実施した後、
該外周突き上げ部と該中央突き上げ部に該挟持したチップを突き上げさせて、該テープ保持部と該外周突き上げ部とを該チップから離反させ該中央突き上げ部と該チップ保持具とでチップを挟持した状態とすることで、該チップの外周縁からテープを剥離させるテープ剥離ステップと、
該テープ剥離ステップを実施した後、該チップ保持具の該保持面に負圧を作用させて該チップ保持具で該チップを吸引保持するチップ保持ステップと、
該チップ保持ステップを実施した後、該チップ保持具で保持された該チップを該テープ上から搬出するピックアップステップと、を備えたピックアップ方法。
【請求項2】
テープに貼着されたチップをピックアップするピックアップ装置であって、
該テープのピックアップすべきチップの周囲を保持するテープ保持ユニットと、
ピックアップすべきチップの周囲のテープを吸引保持するテープ保持面を有したテープ保持部と、ピックアップすべきチップの外周領域をテープを介して突き上げる外周突き上げ部と、該外周突き上げ部の内側で該チップの中央をテープを介して突き上げる中央突き上げ部と、を有した突き上げユニットと、
該チップを挟んで該突き上げユニットに対向し、該チップを吸引保持する保持面を有したチップ保持具と、
該チップ保持具を移動させる保持具移動ユニットと、
該テープ保持ユニットと該突き上げユニットと該チップ保持具と該保持具移動ユニットとを制御する制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
ピックアップすべきチップを該突き上げユニットと該チップ保持具とで
該チップ保持具の該保持面に該チップを吸引保持することなく挟持させるチップ挟持部と、
該チップ挟持部がピックアップすべきチップを該突き上げユニットと該チップ保持具とで挟持させた状態で、該外周突き上げ部及び該中央突き上げ部に該チップを突き上げさせて、
該テープ保持部と該外周突き上げ部とを該チップから離反させて、該中央突き上げ部と該チップ保持具とでチップを挟持させた状態とすることで、該チップの外周縁からテープを剥離させるテープ剥離部と、
該テープ剥離部が該中央突き上げ部と該チップ保持具とでチップを挟持させた状態で、該チップ保持具の該保持面にチップを吸引保持させるチップ保持部と、
該チップ保持部が該保持面に該チップを吸引保持させた状態で、該保持具移動ユニットに該チップ保持具に吸引保持された該チップを該テープ上から搬出させるピックアップ部と、
を備えることを特徴とするピックアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップ方法、及びピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチップへと分割され、かつテープに貼着されるとともにテープの外周がリングフレームに装着されたウェーハのチップをテープから剥離するピックアップ装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前述した特許文献1に示されたピックアップ装置は、チップのピックアップ時には、予めチップの上面側をチップ保持具で吸引保持した状態で、テープを介して突き上げ部材でチップを突き上げてテープからチップを剥離している。前述した特許文献1に示されたピックアップ装置は、突き上げ部材でテープを所定量突き上げた後、チップを保持具で搬出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した特許文献1に示されたピックアップ装置は、チップを突き上げる際に、チップがテープに引っ張られて撓み、チップの外周領域に保持具から離れる方向に力がかかる。
【0006】
このために、前述した特許文献1に示されたピックアップ装置は、チップを突き上げる際に、チップがチップ保持具の保持面で吸引保持されている状態においてチップの外周領域にチップ保持具から離れる方向に力がかかるので、チップが破損してしまうおそれがある。特に、厚みが100μm以下の厚みが薄いチップの場合、破損リスクが非常に高い。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、テープから剥離するチップの破損を抑制することができるピックアップ方法、及びピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のピックアップ方法は、テープに貼着されたチップをピックアップするピックアップ方法であって、ピックアップすべきチップの周囲のテープを吸引保持するテープ保持面を有したテープ保持部でテープを吸引保持し、ピックアップすべきチップの外周領域をテープを介して突き上げる外周突き上げ部と、該外周突き上げ部の内側で該チップの中央をテープを介して突き上げる中央突き上げ部と、を有した突き上げユニットでテープを介して該チップを支持するとともに、該チップを挟んで該突き上げユニットに対向し、チップを吸引保持する保持面を有したチップ保持具の該保持面を吸引保持することなくチップに当接させて該チップ保持具と該突き上げユニットとでチップを挟持した状態とするチップ挟持ステップと、該チップ挟持ステップを実施した後、該外周突き上げ部と該中央突き上げ部に該挟持したチップを突き上げさせて、該テープ保持部と該外周突き上げ部とを該チップから離反させ該中央突き上げ部と該チップ保持具とでチップを挟持した状態とすることで、該チップの外周縁からテープを剥離させるテープ剥離ステップと、該テープ剥離ステップを実施した後、該チップ保持具の該保持面に負圧を作用させて該チップ保持具で該チップを吸引保持するチップ保持ステップと、該チップ保持ステップを実施した後、該チップ保持具で保持された該チップを該テープ上から搬出するピックアップステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のピックアップ装置は、テープに貼着されたチップをピックアップするピックアップ装置であって、該テープのピックアップすべきチップの周囲を保持するテープ保持ユニットと、ピックアップすべきチップの周囲のテープを吸引保持するテープ保持面を有したテープ保持部と、ピックアップすべきチップの外周領域をテープを介して突き上げる外周突き上げ部と、該外周突き上げ部の内側で該チップの中央をテープを介して突き上げる中央突き上げ部と、を有した突き上げユニットと、該チップを挟んで該突き上げユニットに対向し、該チップを吸引保持する保持面を有したチップ保持具と、該チップ保持具を移動させる保持具移動ユニットと、該テープ保持ユニットと該突き上げユニットと該チップ保持具と該保持具移動ユニットとを制御する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、ピックアップすべきチップを該突き上げユニットと該チップ保持具とで該チップ保持具の該保持面に該チップを吸引保持することなく挟持させるチップ挟持部と、該チップ挟持部がピックアップすべきチップを該突き上げユニットと該チップ保持具とで挟持させた状態で、該外周突き上げ部及び該中央突き上げ部に該チップを突き上げさせて、該テープ保持部と該外周突き上げ部とを該チップから離反させて、該中央突き上げ部と該チップ保持具とでチップを挟持させた状態とすることで、該チップの外周縁からテープを剥離させるテープ剥離部と、該テープ剥離部が該中央突き上げ部と該チップ保持具とでチップを挟持させた状態で、該チップ保持具の該保持面にチップを吸引保持させるチップ保持部と、該チップ保持部が該保持面に該チップを吸引保持させた状態で、該保持具移動ユニットに該チップ保持具に吸引保持された該チップを該テープ上から搬出させるピックアップ部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、テープから剥離するチップの破損を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るピックアップ装置を備える試験装置の構成例の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された試験装置の要部の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された試験装置の測定対象のウェーハを備えるウェーハユニットの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された試験装置の突き上げユニット等を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示された試験装置の突き上げユニットを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された突き上げユニットを模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示された試験装置のピックアップ機構の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示されたピックアップ機構のチップ保持具の下面を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係るピックアップ方法の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図9に示されたピックアップ方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図9に示されたピックアップ方法のチップ挟持ステップにおいて、テープを突き上げユニットのテープ保持部に吸引保持した状態を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、
図9に示されたピックアップ方法のチップ挟持ステップにおいて、ピックアップすべきチップにチップ保持具と突き上げユニットとでチップを挟持した状態を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図12のピックアップすべきチップ、チップ保持具及び突き上げユニットなどを模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、
図9に示されたピックアップ方法のテープ剥離ステップにおいて、全ての突き上げ部材を上昇させた状態を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、
図9に示されたピックアップ方法のテープ剥離ステップにおいて、
図14に示された第2突き上げ部材及び第3突き上げ部材を更に上昇させた状態を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、
図9に示されたピックアップ方法のテープ剥離ステップにおいて、
図15に示された第3突き上げ部材を更に上昇させた状態を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、
図9に示されたピックアップ方法のチップ保持ステップを模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、
図9に示されたピックアップ方法のピックアップステップを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るピックアップ装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るピックアップ装置を備える試験装置の構成例の一部を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された試験装置の要部の斜視図である。
図3は、
図1に示された試験装置の測定対象のウェーハを備えるウェーハユニットの斜視図である。
【0014】
実施形態1に係るピックアップ装置20は、
図1及び
図2に示すように、試験装置1を構成する。試験装置1は、
図3に示すウェーハユニット17のテープ15から試験片であるチップ14をピックアップし、チップ14を破壊して、チップ14の抗折強度を測定する装置である。
【0015】
(ウェーハユニット)
実施形態1では、ウェーハユニット17は、
図3に示すように、複数のチップ14へ分割されたウェーハ10がテープ15に貼着されているとともに、テープ15の外周が円環状のリングフレーム16に装着されて、構成されている。ウェーハ10は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板11とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等である。
【0016】
ウェーハ10は、基板11の表面11-1に格子状に形成された複数の分割予定ライン12によって区画された領域にデバイス13が形成されている。実施形態1において、ウェーハ10は、外周にリングフレーム16が装着されたテープ15が下面11-2に貼着されて、リングフレーム16に支持されて、ウェーハユニット17を構成している。また、ウェーハ10は、分割予定ライン12に沿って切削加工等が施されて、個々のチップ14に個片化されている。即ち、ウェーハ10は、チップ14間にウェーハ10自体を貫通した切削溝18が形成されている。なお、チップ14は、基板11の一部とデバイス13とを備える。
【0017】
なお、実施形態1では、ウェーハ10は、基板11の表面11-1にデバイス13が形成されているが、本発明では、試験装置1がウェーハ10を個々のチップ14に分割する所謂後工程の加工条件の妥当性を評価するために用いられる場合には、表面11-1にデバイス13が形成されていなくても良い。
【0018】
(試験装置)
試験装置1は、
図1に示すように、装置本体2上に設けられウェーハユニット17を複数収容するカセット4が載置されるカセット載置台3と、カセット4にウェーハユニット17を出し入れする搬出入ユニット5と、カセット4から搬出されたウェーハユニット17又はカセット4に搬入される前のウェーハユニット17が仮置きされる一対の仮置きレール6と、実施形態1に係るピックアップ装置20と、チップ観察機構100と、強度測定機構200とを備える。
【0019】
カセット4は、複数のウェーハユニット17を鉛直方向と平行なZ軸方向に間隔をあけて収容する収容容器であって、ウェーハ10を出し入れする開口8が設けられている。カセット載置台3は、上面にカセット4が載置され、カセット4をZ軸方向に昇降させる。
【0020】
一対の仮置きレール6は、装置本体2上でかつカセット載置台3に載置されるカセット4の開口8の幅方向の両端に設けられ、水平方向と平行なY軸方向に直線状に延びている。一対の仮置きレール6は、互いに平行に配置され、Y軸方向に直交しかつ水平方向と平行なX軸方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。一対の仮置きレール6は、ウェーハユニット17のリングフレーム16が仮置きされる。
【0021】
搬出入ユニット5は、図示しない移動機構によりY軸方向に移動自在に設けられている。搬出入ユニット5は、カセット4からウェーハユニット17を搬出して、仮置きレール6上に仮置きした後、ピックアップ装置20のテープ保持ユニット7の降下したフレーム支持部材22の上面までウェーハユニット17を搬出して、フレーム支持部材22の上面に載置する。また、搬出入ユニット5は、テープ保持ユニット7の降下したフレーム支持部材22の上面上のウェーハユニット17を仮置きレール6を介してカセット4内に搬入する。
【0022】
(ピックアップ装置)
ピックアップ装置20は、前述したウェーハユニット17のテープ15に貼着されたチップ14をテープ15からピックアップする装置である。ピックアップ装置20は、
図2に示すように、テープ保持ユニット7と、テープ保持ユニット7をY軸方向とX軸方向とに移動する移動機構30と、突き上げユニット40と、光源ユニット50と、撮像カメラ60と、ピックアップ機構70と、保持具移動ユニット80と、制御ユニット400とを備える。
【0023】
(テープ保持ユニット)
テープ保持ユニット7は、ウェーハユニット17のテープ15のウェーハ10の周囲即ちピックアップすべきチップ14の周囲を保持するものである。テープ保持ユニット7は、移動テーブル21上に設置されている。テープ保持ユニット7は、環状のフレーム支持部材22と、フレーム支持部材22の上方に配置されかつ固定された環状のフレーム押さえ部材23と、フレーム支持部材22を昇降させる図示しない昇降機構とを備える。
【0024】
フレーム支持部材22は、上昇される前では上面が仮置きレール6の上面と同一平面上に位置して、ウェーハユニット17のリングフレーム16が載置される。テープ保持ユニット7は、フレーム支持部材22の上面にウェーハユニット17のリングフレーム16が載置されると、昇降機構がフレーム支持部材22を上昇させて、フレーム押さえ部材23とフレーム支持部材22との間にリングフレーム16を挟み込む。テープ保持ユニット7は、フレーム押さえ部材23とフレーム支持部材22との間にリングフレーム16を挟み込んで、テープ15のウェーハ10の周囲を保持、固定し、ウェーハユニット17を固定する。
【0025】
(移動機構)
移動機構30は、装置本体2上に設けられかつ移動テーブル21をX軸方向に移動するX軸移動機構31と、X軸移動機構31によりX軸方向に移動される移動テーブル21上に設けられかつテープ保持ユニット7をY軸方向に移動するY軸移動機構32とを備える。X軸移動機構31は、一対の仮置きレール6とY軸方向に並ぶ位置と一対の仮置きレール6から離れる位置とに亘って移動テーブル21即ちテープ保持ユニット7をX軸方向に移動する。各移動機構31,32は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ33,34、ボールねじ33,34を軸心回りに回転させる周知のモータ35,36及び移動テーブル21又はテープ保持ユニット7をX軸方向又はY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール37,38を備える。
【0026】
(突き上げユニット)
図4は、
図1に示された試験装置の突き上げユニット等を模式的に示す断面図である。
図5は、
図1に示された試験装置の突き上げユニットを示す斜視図である。
図6は、
図5に示された突き上げユニットを模式的に示す断面図である。突き上げユニット40は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたテープ保持ユニット7の下方に配置される。突き上げユニット40は、装置本体2の凹部9内に設けられ、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたテープ保持ユニット7で保持されたリングフレーム16を含むウェーハユニット17のテープ15を介していずれかのチップ14を突き上げるものである。
【0027】
突き上げユニット40は、全体が一体として、モータ等で構成される昇降機構(図示せず)と接続され、Z軸方向に沿って昇降する。突き上げユニット40は、
図4、
図5及び
図6に示すように、中空の円筒状に形成されたテープ保持部41と、テープ保持部41の内部に配置された四角柱状の突き上げ部42とを有する。テープ保持部41が有する上面48は、水平方向と平行に平坦に形成され、ピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持するテープ保持面である。テープ保持部41の上面48には、テープ保持部41の周方向に沿って同心円状に形成された複数の吸引溝44が形成されている。吸引溝44はそれぞれ、突き上げユニット40の内部に形成された吸引路45及び開閉弁46を介して、エジェクタ等でなる吸引源47に接続している。
【0028】
突き上げ部42は、上面の平面形状がチップ14と同等の大きさの四角形に形成されている。突き上げ部42は、四角筒状に形成された第1突き上げ部材42-1と、四角筒状に形成されかつ第1突き上げ部材42-1内に収容された第2突き上げ部材42-2と、四角柱状に形成されかつ第2突き上げ部材42-2内に収容された第3突き上げ部材42-3とを備える。第1突き上げ部材42-1、第2突き上げ部材42-2、及び第3突き上げ部材42-3は、それぞれ、モータ等で構成される昇降ユニット49(
図5に示す)と接続され、Z軸方向に沿って昇降する。
【0029】
第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2は、昇降ユニット49により上昇されることで、ピックアップすべきチップ14の外周領域をテープ15を介して突き上げる。第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2は、外周突き上げ部である。第3突き上げ部材42-3は、昇降ユニット49により上昇されることで、第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2の内側でチップ14の中央をテープ15を介して突き上げる。第3突き上げ部材42-3は、中央突き上げ部である。
【0030】
突き上げユニット40は、テープ保持ユニット7で保持されたリングフレーム16を含むウェーハユニット17が上方に位置付けられた状態で、テープ保持部41の上面48の吸引溝44が吸引源47により吸引されて、テープ保持部41の上面48にピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持する。突き上げユニット40は、テープ保持部41の上面48にピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持して、突き上げ部42の各突き上げ部材42-1,42-2,42-3が上昇されることで、チップ14をテープ15よりも上方に突き上げて、チップ14の外周縁をテープ15から剥離する。なお、突き上げユニット40の寸法は、チップ14のサイズに応じて適宜調整される。
【0031】
実施形態1では、突き上げユニット40は、チップ14を突き上げる際に、昇降機構により第1突き上げ部材42-1、第2突き上げ部材42-2、及び第3突き上げ部材42-3の上昇が同時に同速度で開始され、第2突き上げ部材42-2が第1突き上げ部材42-1よりも上側まで上昇され、第3突き上げ部材42-3が第2突き上げ部材42-2よりも上側まで上昇されて、それぞれの上昇が停止する。即ち、突き上げユニット40は、チップ14を突き上げる際に、第1突き上げ部材42-1、第2突き上げ部材42-2、及び第3突き上げ部材42-3が同時に同速度で上昇を開始し、第1突き上げ部材42-1、第2突き上げ部材42-2、第3突き上げ部材42-3が順に上昇を停止する。
【0032】
(光源ユニット)
光源ユニット50は、装置本体2の凹部9内に設けられ、テープ保持ユニット7で保持されたリングフレーム16を含むウェーハユニット17のテープ15越しにウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲に照明光を照射するものである。光源ユニット50は、凹部9内の突き上げユニット40の隣に配置されている。
【0033】
(撮像カメラ)
撮像カメラ60は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたテープ保持ユニット7の上方に配置される。撮像カメラ60は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたテープ保持ユニット7で保持されたリングフレーム16を含むウェーハユニット17のウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲を撮像して、撮像画像を形成するものである。
【0034】
撮像カメラ60は、テープ保持ユニット7で保持されたリングフレーム16を含むウェーハユニット17のウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲を撮像する撮像素子(即ち、画素)を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像カメラ60は、テープ保持ユニット7で保持されたリングフレーム16を含むウェーハユニット17のウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲を撮影して、ウェーハ10の突き上げユニット40により突き上げられるピックアップすべきチップ14と突き上げユニット40との位置合わせを行なうため等の撮像画像を取得し、取得した撮像画像を制御ユニット400に出力する。
【0035】
(ピックアップ機構)
図7は、
図1に示された試験装置のピックアップ機構の斜視図である。
図8は、
図7に示されたピックアップ機構のチップ保持具の下面を示す斜視図である。ピックアップ機構70は、複数のチップ14に分割されテープ15で支持されたウェーハ10から突き上げユニット40により突き上げられたチップ14をピックアップするものである。ピックアップ機構70は、
図7に示すように、保持具移動ユニット80によりY軸方向とZ軸方向とに移動される移動基台72と、移動基台72から保持具移動ユニット80から離れる方向にX軸方向に延在したアーム74と、アーム74の先端に設けられチップ14を保持するチップ保持具76とを備える。
【0036】
チップ保持具76は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたテープ保持ユニット7で保持されたウェーハユニット17のピックアップすべきチップ14を挟んで突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3に対向する下面78を有している。下面78の平面形状は、チップ14の同等の大きさの四角形に形成されている。下面78には、吸引路73及び開閉弁75を介してエジェクタ等でなる吸引源77に接続した吸引溝79が形成されている。下面78は、突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3で突き上げられたチップ14を吸引保持する保持面である。
【0037】
チップ保持具76は、下面78に突き上げ部材42-1,42-2,42-3で突き上げられたチップ14を接触させた状態で、吸引溝79が吸引源77により吸引されて、チップ14を下面78に吸引保持する。チップ保持具76は、下面78に突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2,42-3で突き上げられたチップ14を吸引保持し、保持具移動ユニット80により上昇されることで、下面78に吸引保持したチップ14をテープ15からピックアップする。
【0038】
また、実施形態1では、試験装置1は、突き上げユニット40の上面側にテープ15からピックアップすべき際にチップ14にかかる荷重を計測する計測手段であるロードセルを備えても良い。ロードセルは、計測結果を制御ユニット400に出力する。なお、本発明では、計測手段であるロードセルをピックアップ機構70のチップ保持具76の下面78側に設けても良い。
【0039】
(保持具移動ユニット)
保持具移動ユニット80は、チップ保持具76をZ軸方向とY軸方向とに沿って移動させるものである。保持具移動ユニット80は、チップ14をテープ15からピックアップするピックアップ位置と、強度測定機構200の支持ユニット210の一対の支持部上にチップ14を載置する載置位置との間でチップ保持具76を移動させる。保持具移動ユニット80は、チップ保持具76をピックアップ位置と載置位置との間で移動することで、チップ保持具76でピックアップされたチップ14を強度測定機構200の支持ユニット210に搬送する。
【0040】
保持具移動ユニット80は、
図2に示すように、装置本体2上に設けられかつ移動テーブル83をY軸方向に移動する第2Y軸移動機構81と、第2Y軸移動機構81によりY軸方向に移動される移動テーブル83上に設けられかつ移動基台72即ちピックアップ機構70をZ軸方向に移動するZ軸移動機構82とを備える。
【0041】
第2Y軸移動機構81は、突き上げユニット40のテープ保持部41の上面とチップ保持具76の下面78がZ軸方向に対面するピックアップ位置から移動テーブル83即ちピックアップ機構70をY軸方向に沿って強度測定機構200に向かって移動する。各移動機構81,82は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ84,85、ボールねじ84,85を軸心回りに回転させる周知のモータ86,87及び移動テーブル83又はピックアップ機構70をY軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール88,89を備える。
【0042】
(チップ観察機構)
チップ観察機構100は、チップ14の表面11-1、下面11-2及び側面を撮像して観察するものである。チップ観察機構100は、
図1及び
図2に示すように、装置本体2上の突き上げユニット40のY軸方向の隣に配置された下方撮像ユニット102と、側方撮像ユニット112と、チップ14の上下を反転するチップ反転機構150とを備える。
【0043】
下方撮像ユニット102は、ピックアップ機構70のチップ保持具76に保持されたチップ14を下方から撮像する下方撮像カメラ103を備える。下方撮像カメラ103は、チップ保持具76の移動経路と重なる位置に配置されている。下方撮像ユニット102は、下方撮像カメラ103がチップ14を下方から撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0044】
側方撮像ユニット112は、チップ14を側方から即ちチップ14の側面を撮像するものである。側方撮像ユニット112は、下方撮像ユニット102のY軸方向の隣に配置され、実施形態1では、下方撮像ユニット102よりも突き上げユニット40から離れた側に配置されている。
【0045】
側方撮像ユニット112は、チップ14を支持する柱状のチップ支持台114と、チップ14の側面を撮像する側面撮像カメラ113とを備える。
【0046】
チップ支持台114は、装置本体2から上方に向かって延びており、下方撮像カメラ103とY軸方向に並ぶ位置(即ち、チップ保持具76の移動経路と重なる位置)に配置されている。チップ支持台114は、上面が水平方向と平行に平坦に形成され、上面上にピックアップ機構70のチップ保持具76により搬送されたチップ14を支持する。また、チップ支持台114は、図示しない回転駆動源と接続されており、回転駆動源によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。
【0047】
側面撮像カメラ113は、チップ支持台114の上面上に配置されたチップ14の側面を撮影可能な位置に配置されている。側面撮像カメラ113は、チップ14の側面を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。側面撮像カメラ113は、チップ支持台114の上面に配置されたチップ14の側面を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0048】
なお、試験装置1は、チップ保持具76の移動経路と重なる位置にチップ支持台114を設けているため、チップ保持具76によってチップ14をチップ支持台114の上面に配置できる。
【0049】
側方撮像ユニット112は、チップ支持台114によって支持されたチップ14の一側面を側面撮像カメラ113によって撮像する。その後、チップ支持台114を所定の角度回転させた後、側面撮像カメラ113によってチップ14の他の側面を撮像する。このようにして、側方撮像ユニット112は、側面撮像カメラ113によってチップ14の全ての側面(例えば、チップ14の4辺の側面)が撮像し、チップ14の厚さや、チップ14に形成された欠け(チッピング)の大きさ等を含んだ画像を得て、得た画像を制御ユニット400に出力する。また、側方撮像ユニット112は、チップ支持台114の回転角度を制御することにより、チップ14が強度測定機構200に配置される際における、チップ14の水平方向の向き(角度)を調整できる。
【0050】
上記の下方撮像ユニット102及び側方撮像ユニット112により、チップ観察機構100は、チップ保持具76にピックアップされたチップ14の表面11-1、下面11-2及び側面を撮像する。なお、本発明では、チップ14の側面を撮像する側面撮像カメラ113は、チップ保持具76によって保持された状態のチップ14の側面を撮像可能な位置に設けられていてもよい。この場合、チップ14をチップ支持台114で支持することなくチップ14の側面を観察できるため、チップ14をチップ支持台114上に配置することによってチップ14の下面11-2等が傷つくことを防止できる。
【0051】
チップ反転機構150は、側方撮像ユニット112のチップ支持台114の上方に配置されている。チップ反転機構150は、先端部でチップ14を保持した状態で、X軸方向と平行な軸心回りに基底部151を180°回転可能に構成されている。
【0052】
チップ反転機構150は、チップ14の上下に反転する際、チップ14を支持したチップ支持台114の上面に対して、
図1及び
図2中に実線で示す位置から基底部151を180°回転させて、
図1及び
図2中に点線で示す位置に位置付ける。チップ反転機構150は、先端部にチップ14を吸引保持し、基底部151を180°回転して、チップ14の上下を反転する。
【0053】
チップ反転機構150により反転されたチップ14は、ピックアップ機構70のチップ保持具76により吸引保持されて、チップ反転機構150の先端部の吸引保持が停止した後、保持具移動ユニット80に移動されるチップ保持具76により下方撮像ユニット102上又は強度測定機構200に搬送される。このように、チップ反転機構150は、チップ14の上下を反転する。
【0054】
(強度測定機構)
強度測定機構200は、ピックアップ機構70でピックアップされたチップ14の抗折強度を計測する計測手段である。強度測定機構200は、チップ観察機構100とY軸方向の隣に配置され、実施形態1では、チップ観察機構100よりも突き上げユニット40から離れた側に配置されている。また、実施形態1では、強度測定機構200は、チップ保持具76の移動経路と重なる位置に配置されている。
【0055】
強度測定機構200は、支持ユニット210と、押圧ユニット220とを備える。支持ユニット210は、ピックアップ機構70のチップ保持具76によりピックアップされかつチップ観察機構100により表面11-1、下面11-2及び側面が撮像されたチップ14を支持するものである。支持ユニット210は、チップ保持具76の移動経路と重なる位置に配置されている。このために、保持具移動ユニット80は、チップ保持具76を突き上げユニット40にZ軸方向に対向する位置から支持ユニット210とZ軸方向に対向する位置に移動する。
【0056】
支持ユニット210は、所定間隔を有して配設され、チップ14の下面11-2を支持する一対の支持部を備える。一対の支持部は、X軸方向に互いに所定間隔をあけて配設されている。
【0057】
押圧ユニット220は、支持ユニット210に支持されたチップ14を圧子221で押圧し、チップ14の押圧時に押圧ユニット220にかかる荷重を測定するとともに、支持ユニット210に支持されたチップ14を押圧して破壊するものである。押圧ユニット220は、支持ユニット210の上方に設けられている。
【0058】
押圧ユニット220は、
図1及び
図2に示すように、圧子221と、圧子移動ユニット222と、荷重計測器223とを備える。
【0059】
圧子221は、支持ユニット210よりも上方で、且つ、チップ14の下面11-2を支持する一対の支持部の間の上方に配置されている。圧子移動ユニット222は、一対の支持部で支持されたチップ14に対して圧子221をZ軸方向に沿って相対的に近接移動させるものである。圧子移動ユニット222は、圧子221を下端に支持して、圧子221を支持ユニット210の一対の支持部の間とZ軸方向に沿って対向させて、圧子221をZ軸方向に沿って昇降移動させる。
【0060】
荷重計測器223は、圧子221が支持部で支持されたチップ14を押圧する荷重を計測するものである。実施形態1では、荷重計測器223は、圧子移動ユニット222によって圧子221とともにZ軸方向に沿って昇降移動される。荷重計測器223は、周知のロードセル等により構成され、圧子221が一対の支持部で支持されたチップ14を押圧する荷重を計測し、計測結果を制御ユニット400に出力する。
【0061】
強度測定機構200は、チップ14の抗折強度を測定する際は、一対の支持部上にチップ保持具76等によりチップ14が載置される。このとき、チップ14は、両端部が一対の支持部によって支持され、中央部が一対の支持部間と重なる。
【0062】
強度測定機構200は、圧子221を圧子移動ユニット222により降下させて、圧子221でチップ14を押圧し、チップ14を押圧する圧子221にかかる荷重(Z軸方向の力)を荷重計測器223によって計測し、計測結果を適宜制御ユニット400に出力しながら圧子221でチップ14を破壊する。強度測定機構200は、チップ14の一対の支持部及び圧子221を用いた3点曲げ試験を行い、この3点曲げ試験により、チップ14の曲げ強度(抗折強度)を計測し、計測結果を制御ユニット400に出力する。
【0063】
(制御ユニット)
制御ユニット400は、試験装置1の上述した各構成ユニットをそれぞれ制御して、チップ14の抗折強度を測定するなどの各チップ14に対する測定動作を試験装置1に実施させるものである。即ち、制御ユニット400は、ピックアップ装置20の上述した各構成ユニットであるテープ保持ユニット7と、突き上げユニット40と、ピックアップ機構70即ちチップ保持具76と、保持具移動ユニット80と、光源ユニット50と、撮像カメラ60とをそれぞれ制御して、ウェーハユニット17からチップ14をピックアップするピックアップ動作をピックアップ装置20に実施させるものである。
【0064】
制御ユニット400は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット400の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、試験装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して試験装置1の上述した各ユニットに出力する。
【0065】
また、制御ユニット400は、測定動作の状態や画像などを表示する表示画面301を有する表示手段である表示ユニット300と、オペレータが試験装置1の制御ユニット400に情報などを入力する際に用いる入力手段であるタッチパネル302とが接続されている。表示ユニット300は、液晶表示装置などにより構成される。タッチパネル302は、表示ユニット300の表示画面301に重ねられる。
【0066】
また、制御ユニット400は、チップ挟持部401と、テープ剥離部402と、チップ保持部403と、ピックアップ部404とを備える。チップ挟持部401は、テープ保持部41の上面48でピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持し、第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2の上面と、第3突き上げ部材42-3の上面とでテープ15を介してチップ14を支持させるとともに、チップ保持具76の下面78をチップに当接させて、ピックアップすべきチップ14を突き上げユニット40とチップ保持具76とで挟持させるように、突き上げユニット40、ピックアップ機構70、及び保持具移動ユニット80を制御するものである。
【0067】
テープ剥離部402は、チップ挟持部401がピックアップすべきチップ14を突き上げユニット40とチップ保持具76とで挟持させた状態で、第1突き上げ部材42-1、第2突き上げ部材42-2、及び第3突き上げ部材42-3にチップ14を突き上げさせて、テープ保持部41と第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2とをチップ14から離反させ、第3突き上げ部材42-3とチップ保持具76とでチップ14を挟持させた状態とすることで、チップ14の外周縁からテープ15を剥離させるように、突き上げユニット40、ピックアップ機構70、及び保持具移動ユニット80を制御するものである。
【0068】
チップ保持部403は、テープ剥離部402が第3突き上げ部材42-3とチップ保持具76とでチップ14を挟持させてチップ14の外周縁からテープ15を剥離させた状態で、チップ保持具76の下面78にチップ14を吸引保持させるように、ピックアップ機構70を制御するものである。ピックアップ部404は、チップ保持部403が下面78にチップ14を吸引保持させた状態で、保持具移動ユニット80にチップ保持具76をテープ15から離反する方向である上方に移動させて、保持具移動ユニット80にチップ保持具76に吸引保持されたチップ14をテープ15上から搬出させるように、保持具移動ユニット80を制御するものである。
【0069】
なお、チップ挟持部401と、テープ剥離部402と、チップ保持部403と、ピックアップ部404の機能は、それぞれ、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0070】
(ピックアップ方法)
次に、本明細書は、実施形態1に係るピックアップ方法を図面に基づいて説明する。
図9は、実施形態1に係るピックアップ方法の流れを示すフローチャートである。ピックアップ方法は、ウェーハユニット17のテープ15に貼着されたチップ14をテープ15からピックアップする方法であるとともに、実施形態1では、ウェーハユニット17からピックアップしたチップ14に対して試験装置1が測定動作を実施する方法、即ちチップ14の抗折強度を測定する方法でもある。即ち、実施形態1では、ピックアップ方法は、試験装置1の測定動作である。
【0071】
実施形態1に係るピックアップ方法は、オペレータが複数のウェーハユニット17を収容したカセット4をカセット載置台3に設置し、タッチパネル302を操作して、測定内容情報を制御ユニット400に入力し、制御ユニット400がオペレータの測定開始指示を受け付けると、試験装置1により実施される。なお、測定内容情報は、抗折強度等の測定対象であるテープ15から突き上げ部材42-1,42-2,42-3により突き上げられるチップ14、即ちテープ15からピックアップすべきチップ14の位置を含む。
【0072】
即ち、テープ15からピックアップすべきチップ14の位置は、実施形態1に係るピックアップ方法が実施される前に、制御ユニット400に予め登録されている。なお、本明細書では、ピックアップ方法の実施中に、チップ14をピックアップする度に、オペレータがタッチパネル等を操作して、テープ15からピックアップするチップ14を選定しても良い。ピックアップ方法は、
図9に示すように、保持ステップ1001と、チップ挟持ステップ1002と、テープ剥離ステップ1003と、チップ保持ステップ1004と、ピックアップステップ1005と、測定ステップ1006とを備える。
【0073】
(保持ステップ)
図10は、
図9に示されたピックアップ方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。保持ステップ1001は、ウェーハユニット17のリングフレーム16即ちテープ15のピックアップすべきチップ14の周囲をテープ保持ユニット7で保持するステップである。
【0074】
保持ステップ1001では、制御ユニット400は、搬出入ユニット5を制御して試験前のウェーハ10を含むウェーハユニット17をカセット4から搬出させて一対の仮置きレール6上に仮置きさせ、搬出入ユニット5を制御して、仮置きレール6上に仮置きされたウェーハユニット17のリングフレーム16をテープ保持ユニット7の降下したフレーム支持部材22上に載置させる。保持ステップ1001では、制御ユニット400は、テープ保持ユニット7を制御して、フレーム支持部材22を上昇させて、
図10に示すように、フレーム押さえ部材23とフレーム支持部材22との間にリングフレーム16即ちテープ15のピックアップすべきチップ14の周囲を挟み込んで、ウェーハユニット17をテープ保持ユニット7で固定する。
【0075】
(チップ挟持ステップ)
図11は、
図9に示されたピックアップ方法のチップ挟持ステップにおいて、テープを突き上げユニットのテープ保持部に吸引保持した状態を模式的に示す断面図である。
図12は、
図9に示されたピックアップ方法のチップ挟持ステップにおいて、ピックアップすべきチップにチップ保持具と突き上げユニットとでチップを挟持した状態を模式的に示す断面図である。
図13は、
図12のピックアップすべきチップ、チップ保持具及び突き上げユニットなどを模式的に示す断面図である。
【0076】
チップ挟持ステップ1002は、テープ保持部41の上面48でピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持し、突き上げユニット40でテープ15を介してチップ14を支持するとともに、チップ保持具76の下面78をチップ14に当接させて、チップ保持具76と突き上げユニット40とでピックアップすべきチップ14を挟持した状態とするステップである。チップ挟持ステップ1002では、制御ユニット400のチップ挟持部401は、測定内容情報に基づいて移動機構30を制御しテープ保持ユニット7を移動して、テープ保持ユニット7で保持されたウェーハユニット17のピックアップすべきチップ14(以下、符号14-1で示す)を突き上げユニット40の上方でかつ撮像カメラ60の下方に位置付ける。
【0077】
チップ挟持ステップ1002では、制御ユニット400のチップ挟持部401は、光源ユニット50からテープ15越しに光をウェーハ10に照射して、撮像カメラ60にテープ保持ユニット7に固定されたウェーハユニット17のウェーハ10のチップ14-1及びチップ14-1の周囲を撮像させて、撮像画像を取得する。チップ挟持ステップ1002では、制御ユニット400のチップ挟持部401は、撮像画像からピックアップすべきチップ14-1の外縁の位置を検出し、移動機構30を制御しテープ保持ユニット7の位置を調整するとともに、保持具移動ユニット80を制御しチップ保持具76を移動して、ウェーハ10のチップ14-1、突き上げユニット40及びチップ保持具76の位置合わせを遂行する。なお、実施形態1において、位置合わせでは、チップ14-1の外縁と突き上げ部42の外縁とを鉛直方向に沿って対面させ、チップ14-1の外縁とチップ保持具76の下面78の外縁とを鉛直方向に沿って対面させる。
【0078】
チップ挟持ステップ1002では、制御ユニット400のチップ挟持部401は、突き上げユニット40を制御して、突き上げ部材42-1,42-2,42-3を下降させた状態で、突き上げユニット40全体を上昇させて、突き上げユニット40のテープ保持部41の上面及び突き上げ部材42-1,42-2,42-3の上面をテープ15に接触させる。また、チップ挟持ステップ1002では、制御ユニット400のチップ挟持部401が、開閉弁46を開いて、
図11に示すように、突き上げユニット40のテープ保持部41の上面にテープ15を吸引保持するとともに、突き上げユニット40の突き上げ部42でテープ15を介してピックアップすべきチップ14-1を支持する。
【0079】
チップ挟持ステップ1002では、
図12及び
図13に示すように、制御ユニット400のチップ挟持部401が保持具移動ユニット80を制御し、チップ保持具76を下降して、チップ保持具76の下面78をチップ14-1に当接させて、チップ保持具76と突き上げユニット40とでピックアップすべきチップ14-1を挟持した状態とする。
【0080】
(テープ剥離ステップ)
図14は、
図9に示されたピックアップ方法のテープ剥離ステップにおいて、全ての突き上げ部材を上昇させた状態を模式的に示す断面図である。
図15は、
図9に示されたピックアップ方法のテープ剥離ステップにおいて、
図14に示された第2突き上げ部材及び第3突き上げ部材を更に上昇させた状態を模式的に示す断面図である。
図16は、
図9に示されたピックアップ方法のテープ剥離ステップにおいて、
図15に示された第3突き上げ部材を更に上昇させた状態を模式的に示す断面図である。
【0081】
テープ剥離ステップ1003は、チップ挟持ステップ1002を実施した後、テープ保持部41と第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2とをチップ14-1から離反させ、第3突き上げ部材42-3とチップ保持具76とでチップ14-1を挟持した状態とすることで、チップ14-1の外周縁からテープ15を剥離させるステップである。テープ剥離ステップ1003では、制御ユニット400のテープ剥離部402は、
図14に示すように、突き上げユニット40を制御して突き上げ部材42-1,42-2,42-3を上昇させるとともに、保持具移動ユニット80を制御してチップ保持具76を上昇させる。このとき、テープ剥離ステップ1003では、制御ユニット400のテープ剥離部402は、突き上げ部材42-1,42-2,42-3の上昇動作と、チップ保持具76との上昇動作とを、突き上げ部材42-1,42-1,42-3の上面とチップ保持具76の下面78との距離がチップ14-1の厚みに応じた距離(実施形態1では、チップ14-1の厚みとテープ15の厚みとを合わせた距離)となるように連動させる。
【0082】
テープ剥離ステップ1003では、制御ユニット400のテープ剥離部402は、突き上げユニット40を制御して、
図14に示す位置で第1突き上げ部材42-1の上昇を停止し、
図15に示すように、第2突き上げ部材42-2及び第3突き上げ部材42-3を第1突き上げ部材42-1よりも上方に上昇させて、テープ保持部41及び第1突き上げ部材42-1をチップ14-1から離反させて、第2突き上げ部材42-2と第3突き上げ部材42-3とでチップ14-1を挟持した状態とすることで、チップ14-1の外周縁からテープ15を剥離させる。
【0083】
また、テープ剥離ステップ1003では、制御ユニット400のテープ剥離部402は、突き上げユニット40を制御して、
図15に示すように、第1突き上げ部材42-1よりも上方の位置で第2突き上げ部材42-2の上昇を停止し、
図16に示すように、第3突き上げ部材42-3を第2突き上げ部材42-2よりも上方に上昇させて、第2突き上げ部材42-2をチップ14-1から離反させて、第3突き上げ部材42-3とでチップ14-1を挟持した状態とすることで、チップ14-1の外周縁からテープ15を剥離させる。
【0084】
テープ剥離ステップ1003では、制御ユニット400のテープ剥離部402は、突き上げユニット40を制御して、
図16に示すように、第2突き上げ部材42-2よりも上方の位置で第3突き上げ部材42-3の上昇を停止する。こうして、テープ剥離ステップ1003では、突き上げ部材42-1,42-2,42-3がテープ15を介してチップ14-1を突き上げて、特に、第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2上のテープ15からチップ14-1の外周縁を剥離する。
【0085】
(チップ保持ステップ)
図17は、
図9に示されたピックアップ方法のチップ保持ステップを模式的に示す断面図である。チップ保持ステップ1004は、テープ剥離ステップ1003を実施した後、チップ保持具76の下面78に負圧を作用させてチップ保持具76でチップ14-1を吸引保持するステップである。チップ保持ステップ1004では、制御ユニット400のチップ保持部403は、
図17に示すように、開閉弁75を開いて、チップ保持具76の下面78を吸引源77で吸引して、下面78に負圧を作用させて、下面78にチップ14-1を吸引保持する。
【0086】
(ピックアップステップ)
図18は、
図9に示されたピックアップ方法のピックアップステップを模式的に示す断面図である。ピックアップステップ1005は、チップ保持ステップ1004を実施した後、チップ保持具76で保持されたチップ14-1をテープ15上から搬出するステップである。
【0087】
ピックアップステップ1005では、制御ユニット400のピックアップ部404は、保持具移動ユニット80を制御して、チップ保持具76を上昇して、
図18に示すように、チップ保持具76の下面78に吸引保持したチップ14-1をテープ15からピックアップして、テープ15上から搬出する。
【0088】
(測定ステップ)
測定ステップ1006は、チップ保持具76で支持したチップ14-1を支持ユニット210の一対の支持部上に載置し、次いで一対の支持部で支持されたチップ14-1を圧子221で押圧して破壊し、チップ14-1が破壊した際の荷重を荷重計測器223で検出するステップである。実施形態1において、測定ステップ1006では、制御ユニット400は、保持具移動ユニット80を制御してチップ保持具76を適宜移動させ、チップ観察機構100を制御して、測定内容情報で定められた表面11-1、下面11-2及び側面を撮像してこれらの画像を取得し、記憶装置に記憶した後、強度測定機構200の支持ユニット210の一対の支持部上にチップ14-1の下面11-2を載置する。
【0089】
実施形態1において、測定ステップ1006では、制御ユニット400は、強度測定機構200を制御して圧子移動ユニット222により圧子221を降下させて、圧子221の先端をチップ14-1の表面11-1側に接触させ、チップ14-1を圧子221により押圧する。また、チップ14-1の押圧によって圧子221にかかる荷重(Z軸方向の力)が、荷重計測器223によって計測され、計測結果が適宜制御ユニット400に出力される。
【0090】
測定ステップ1006では、制御ユニット400は、強度測定機構200を制御して、圧子221を更に降下させ、チップ14-1を破壊する。チップ14-1が破壊されると、荷重計測器223によって測定される荷重が最大値からゼロになる。そのため、強度測定機構200は、荷重計測器223によって測定された荷重の値の変化からチップ14-1が破壊されたタイミングを検出できる。また、荷重計測器223によって測定された荷重の最大値が、チップ14-1の抗折強度に対応する。
【0091】
試験装置1の制御ユニット400は、測定内容情報に位置が入力されたチップ14-1の全ての抗折強度を測定すると、測定方法を終了する。
【0092】
以上説明したように、実施形態1に係るピックアップ方法は、テープ剥離ステップ1003においてチップ14を突き上げて、第3突き上げ部材42-3とチップ保持具76とでチップ14-1を挟持し、チップ14-1の外周縁からテープ15を剥離した後に、チップ保持ステップ1004においてチップ保持具76の下面78にチップ14-1を吸引保持する。このように、ピックアップ方法は、テープ剥離ステップ1003においてチップ14-1を突き上げ、チップ14-1の外周縁が自然にテープ15から剥離した後に、チップ保持ステップ1004においてチップ14-1を吸引保持するため、チップ14-1に過度な力がかからず、破損するおそれを低減できる。その結果、実施形態1に係るピックアップ方法は、テープ15から剥離するチップ14-1の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0093】
また、実施形態1に係るピックアップ装置20及び試験装置1は、前述したピックアップ方法を実施するので、チップ14-1の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0094】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。実施形態では、試験装置1は、チップ14-1の抗折強度を測定したが、本発明では、チップ14-1に限らず、種々の試験片の強度を測定しても良い。また、実施形態1では、ピックアップ装置20は、試験装置1の一部分を構成したが、本発明では、これに限定されずに、試験装置1等の他の装置を構成せずに、単体でも良い。
【0095】
また、本発明では、第3突き上げ部材42-3とチップ保持具76とでチップ14-1を挟持した後に、チップ保持具76にチップ14-1を吸引保持したが、本発明では、第2突き上げ部材42-2及び第3突き上げ部材42-3とチップ保持具76とでチップ14-1を挟持した後に、チップ保持具76にチップ14-1を吸引保持しても良い。実施形態1では、突き上げユニット40の突き上げ部42が3つの突き上げ部材42-1,42-2,42-3を備えるが、本発明では、これに限定されることなく、突き上げユニット40の突き上げ部42が、外周突き上げ部を備えことなく、チップ14-1よりも小さい中央突き上げ部である突き上げ部材を一つのみ備えても良く、突き上げ部材を2つでも4つ以上備えても良い。
【符号の説明】
【0096】
7 テープ保持ユニット
10 ウェーハ
11-2 下面
14,14-1 チップ
15 テープ
20 ピックアップ装置
40 突き上げユニット
41 テープ保持部
42-1 第1突き上げ部材(外周突き上げ部)
42-2 第2突き上げ部材(外周突き上げ部)
42-3 第3突き上げ部材(中央突き上げ部)
48 上面(テープ保持面)
76 チップ保持具
78 下面(保持面)
80 保持具移動ユニット(搬送ユニット)
400 制御ユニット
401 チップ挟持部
402 テープ剥離部
403 チップ保持部
404 ピックアップ部
1002 チップ挟持ステップ
1003 テープ剥離ステップ
1004 チップ保持ステップ
1005 ピックアップステップ