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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240920BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 648A
C23C18/31 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022576590
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 JP2022000105
(87)【国際公開番号】W WO2022158286
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2021006709
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲富 裕一郎
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130935(JP,A)
【文献】特開2009-187996(JP,A)
【文献】国際公開第2020/100829(WO,A1)
【文献】特開2010-016315(JP,A)
【文献】特開2015-050408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C23C 18/31
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部によって保持された前記基板の上面を覆う蓋体と、
洗浄用治具を前記基板保持部に搬送する搬送機構と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記回転駆動部を制御することによって、前記基板保持部を回転させる制御部と
を備え、
前記洗浄用治具には、前記洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され
前記孔は、前記洗浄用治具の周方向に沿って形成される
基板処理装置。
【請求項2】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部によって保持された前記基板の上面を覆う蓋体と、
洗浄用治具を前記基板保持部に搬送する搬送機構と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記回転駆動部を制御することによって、前記基板保持部を回転させる制御部と
を備え、
前記洗浄用治具には、前記洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され、
前記洗浄用治具は、
前記基板保持部に保持される板部と、
前記板部から前記蓋体側に延びる少なくとも1つの壁部と
を備え、
前記壁部は、前記孔を通過した前記洗浄液が衝突するように形成され、
前記壁部は、前記板部に対して直交するように形成され
板処理装置。
【請求項3】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部によって保持された前記基板の上面を覆う蓋体と、
洗浄用治具を前記基板保持部に搬送する搬送機構と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記回転駆動部を制御することによって、前記基板保持部を回転させる制御部と
を備え、
前記洗浄用治具には、前記洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され、
前記洗浄用治具は、
前記基板保持部に保持される板部と、
前記板部から前記蓋体側に延びる少なくとも1つの壁部と
を備え、
前記壁部は、前記孔を通過した前記洗浄液が衝突するように形成され、
前記壁部は、前記板部に対して傾斜するように形成され
板処理装置。
【請求項4】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部によって保持された前記基板の上面を覆う蓋体と、
洗浄用治具を前記基板保持部に搬送する搬送機構と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記回転駆動部を制御することによって、前記基板保持部を回転させる制御部と
を備え、
前記洗浄用治具には、前記洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され、
前記洗浄用治具は、
前記基板保持部に保持される板部と、
前記板部から前記蓋体側に延びる少なくとも1つの羽根部と
を備え、
前記回転駆動部は、第1回転方向、および前記第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に、前記基板保持部を回転可能であり、
前記羽根部は、
前記板部に対して第1角度を有する第1傾斜面と、
前記板部に対して、前記第1角度よりも大きい第2角度を有する第2傾斜面と
を備え、
前記洗浄用治具が前記第1回転方向に回転する場合に、前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面よりも回転方向において上流側に位置し、
前記洗浄用治具が前記第2回転方向に回転する場合に、前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面よりも回転方向において上流側に位置す
板処理装置。
【請求項5】
前記壁部は、
上端が前記洗浄用治具の径方向内側に向くように形成される第1壁部、および上端が前記洗浄用治具の径方向外側に向くように形成される第2壁部の少なくとも1つを含む
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板保持部に保持された前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給部
を備え、
前記洗浄液供給部は、前記基板保持部によって保持される前記基板の下面に向けて洗浄液を供給する
請求項1~のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を保持可能な基板保持部に、洗浄用治具を搬送する搬送工程と、
前記洗浄用治具を保持した前記基板保持部を回転させる回転工程と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を吐出する吐出工程と
を有し、
前記洗浄用治具には、洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記洗浄用治具の上面を覆う蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され
前記孔は、前記洗浄用治具の周方向に沿って形成される
基板処理方法。
【請求項8】
基板を保持可能な基板保持部に、洗浄用治具を搬送する搬送工程と、
前記洗浄用治具を保持した前記基板保持部を回転させる回転工程と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を吐出する吐出工程と
を有し、
前記洗浄用治具には、洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記洗浄用治具の上面を覆う蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され、
前記洗浄用治具は、
前記基板保持部に保持される板部と、
前記板部から前記蓋体側に延びる少なくとも1つの壁部と
を備え、
前記壁部は、前記孔を通過した前記洗浄液が衝突するように形成され、
前記壁部は、前記板部に対して直交するように形成される
基板処理方法。
【請求項9】
基板を保持可能な基板保持部に、洗浄用治具を搬送する搬送工程と、
前記洗浄用治具を保持した前記基板保持部を回転させる回転工程と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を吐出する吐出工程と
を有し、
前記洗浄用治具には、洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記洗浄用治具の上面を覆う蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され、
前記洗浄用治具は、
前記基板保持部に保持される板部と、
前記板部から前記蓋体側に延びる少なくとも1つの壁部と
を備え、
前記壁部は、前記孔を通過した前記洗浄液が衝突するように形成され、
前記壁部は、前記板部に対して傾斜するように形成される
基板処理方法。
【請求項10】
基板を保持可能な基板保持部に、洗浄用治具を搬送する搬送工程と、
前記洗浄用治具を保持した前記基板保持部を回転させる回転工程と、
前記基板保持部に保持された前記洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を吐出する吐出工程と
を有し、
前記洗浄用治具には、洗浄液供給部から吐出される前記洗浄液を前記洗浄用治具の上面を覆う蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成され、
前記洗浄用治具は、
前記基板保持部に保持される板部と、
前記板部から前記蓋体側に延びる少なくとも1つの羽根部と
を備え、
前記基板保持部は、第1回転方向、および前記第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に、回転可能であり、
前記羽根部は、
前記板部に対して第1角度を有する第1傾斜面と、
前記板部に対して、前記第1角度よりも大きい第2角度を有する第2傾斜面と
を備え、
前記洗浄用治具が前記第1回転方向に回転する場合に、前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面よりも回転方向において上流側に位置し、
前記洗浄用治具が前記第2回転方向に回転する場合に、前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面よりも回転方向において上流側に位置する
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の上方を覆う蓋体を有する基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-3097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、蓋体を効率的に洗浄する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、基板保持部と、回転駆動部と、蓋体と、搬送機構と、洗浄液供給部と、制御部とを備える。基板保持部は、基板を保持する。回転駆動部は、基板保持部を回転させる。蓋体は、基板保持部によって保持された基板の上面を覆う。搬送機構は、洗浄用治具を基板保持部に搬送する。洗浄液供給部は、基板保持部に保持された洗浄用治具の下面に向けて洗浄液を供給する。制御部は、回転駆動部を制御することによって、基板保持部を回転させる。洗浄用治具には、洗浄液供給部から吐出される洗浄液を蓋体に向けて通過させる孔が少なくとも1つ形成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、蓋体を効率的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る処理ユニットの構成を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る洗浄用治具の構成を示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る洗浄用治具の図3のIV-IVにおける断面図である。
図5図5は、実施形態に係る洗浄用治具の図3のV-Vにおける断面図である。
図6図6は、実施形態に係る洗浄用治具の図3のVI-VIにおける断面図である。
図7図7は、実施形態に係るめっき処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る加熱部洗浄処理を説明するフローチャートである。
図9図9は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具の構成を示す平面図である。
図10図10は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具における羽根部の断面を示す図である。
図11図11は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具の第1壁部の断面を示す図である。
図12図12は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具の第2壁部の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により開示される基板処理装置および基板処理方法が限定されるものではない。
【0009】
<全体構成>
図1は、実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。また、X軸方向を左右方向とする。
【0010】
図1に示すように、基板処理装置1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0011】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0012】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0013】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、Y軸方向において搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0014】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するアームや、アームを移動させるモータや、アームの位置を検出するセンサなどを含む。基板搬送装置17は、後述する洗浄用治具40を搬送可能である。基板搬送装置17(搬送機構の一例)は、ウェハW、または洗浄用治具40を後述する基板保持部21に搬送する。
【0015】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定のウェハ処理を行う。具体的には、処理ユニット16は、ウェハWに対してめっき処理を行う。処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送される洗浄用治具40を用いて所定の加熱部洗浄処理を行う。
【0016】
また、基板処理装置1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。例えば、制御部18は、後述する回転駆動部22を制御することによって、基板保持部21を回転させる。
【0017】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0018】
上記のように構成された基板処理装置1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0019】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0020】
また、基板処理装置1は、例えば、予め定められた所定枚数のウェハWに対してめっき処理を行うと、洗浄用治具40を処理ユニット16へ搬入し、処理ユニット16に対して加熱部洗浄処理を行う。基板処理装置1は、加熱部洗浄処理が終了すると、処理ユニット16から洗浄用治具40を搬出する。洗浄用治具40は、加熱部洗浄処理が実行されない場合には、例えば、受渡部14の上方、または下方に設けられる載置部14aに載置される。
【0021】
<処理ユニットの構成>
次に、処理ユニット16の構成について図2を参照し説明する。図2は、実施形態に係る処理ユニット16の構成を示す図である。処理ユニット16は、ウェハWにめっき処理を行うユニットである。具体的には、処理ユニット16は、ウェハWに無電解めっき処理を行うユニットである。
【0022】
処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持部21と、回転駆動部22と、めっき液供給部23と、第1洗浄液供給部24と、リンス液供給部25と、第2洗浄液供給部26と、加熱部27と、回収カップ28とを備える。
【0023】
チャンバ20は、基板保持部21、加熱部27、および回収カップ28などを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)20aが設けられる。FFU20aは、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0024】
基板保持部21は、ウェハW(基板の一例)を保持する。具体的には、基板保持部21は、基板搬送装置17(図1参照)によって搬入されたウェハWの下面を支持し、ウェハWを水平に保持する。基板保持部21は、ウェハWの下面に真空吸着するバキュームチャックタイプである。基板保持部21は、ウェハWの中央付近を吸着する。基板保持部21は、ウェハWと同様に、洗浄用治具40を保持する。
【0025】
基板保持部21は、回転シャフト21aを介して回転駆動部22に取り付けられる。回転駆動部22は、例えば、モータである。回転駆動部22が駆動され、回転駆動部22で発生した回転が回転シャフト21aを介して基板保持部21に伝達されることで、基板保持部21が回転する。すなわち、回転駆動部22は、基板保持部21を回転させる。基板保持部21がウェハWを保持した状態で回転することで、ウェハWは基板保持部21と共に回転する。基板保持部21が洗浄用治具40を保持した状態で回転することで、洗浄用治具40は基板保持部21と共に回転する。基板保持部21の回転速度、すなわちウェハWの回転速度、および洗浄用治具40の回転速度は、回転駆動部22によって調整される。
【0026】
なお、以下では、基板保持部21の回転軸を中心とした回転座標系を用いて説明することがある。例えば、基板保持部21の回転軸を中心とした径方向を規定し、説明することがある。
【0027】
また、基板保持部21は、モータや、シリンダなどの移動機構(不図示)によって、上下方向に沿って移動可能である。具体的には、基板保持部21は、受け渡し位置と、処理位置との間を上下方向に沿って移動する。受け渡し位置は、回収カップ28よりも上方の位置であり、基板搬送装置17と基板保持部21との間で、ウェハWまたは洗浄用治具40の受け渡しを行う位置である。処理位置は、受け渡し位置よりも下方であり、基板保持部21によって保持されたウェハWにめっき処理などを行う位置である。また、処理位置は、洗浄用治具40を用いて加熱部洗浄処理を行う位置である。なお、ウェハWにめっき処理などを行う位置と、洗浄用治具40を用いて加熱部洗浄処理を行う位置とは、異なる位置であってもよい。
【0028】
めっき液供給部23は、基板保持部21に保持されたウェハWの上面にめっき液(処理液の一例)を供給する。めっき液供給部23は、めっき液供給ノズル23aと、めっき液供給源23bとを備える。めっき液供給ノズル23aは、ノズルアーム30に保持される。ノズルアーム30は、左右方向(X軸方向)、および上下方向(Z軸方向)に沿って移動可能である。
【0029】
ノズルアーム30は、モータや、シリンダなどの移動機構(不図示)によって、左右方向、および上下方向に沿って移動する。ノズルアーム30は、第1退避位置と第1上昇位置との間を左右方向に沿って移動する。第1退避位置は、ノズルアーム30が回収カップ28よりも径方向外側となる位置であり、加熱部27の上下方向への移動を妨げない位置である。第1上昇位置は、基板保持部21に保持されたウェハWの上方となる位置であり、第1退避位置からX軸方向に沿って移動した位置である。
【0030】
また、ノズルアーム30は、第1上昇位置と第1降下位置との間を上下方向に沿って移動する。第1降下位置は、第1上昇位置よりも下方であり、基板保持部21によって保持されたウェハWよりも上方となる位置である。
【0031】
めっき液供給ノズル23aは、めっき液供給ライン23cを介してめっき液供給源23bに接続される。めっき液供給ノズル23aは、めっき液供給源23bから、所定の温度に加熱されためっき液が供給され、めっき液をウェハWに吐出する。これにより、ウェハWの上面には、めっき液が液盛りされる。
【0032】
めっき液は、無電解めっき用のめっき液である。めっき液は、例えば、コバルト(Co)イオン、ニッケル(Ni)イオン、タングステン(W)イオン、銅(Cu)イオン、パラジウム(Pd)イオン、金(Au)イオン等の金属イオンと、次亜リン酸、ジメチルアミンボラン等の還元剤とを含有する。めっき液は、添加剤等を含有していてもよい。めっき液を使用しためっき処理により形成されるめっき膜としては、例えば、CoWB、CoB、CoWP、CoWBP、NiWB、NiB、NiWP、NiWBP等が挙げられる。
【0033】
第1洗浄液供給部24は、第1洗浄液供給ノズル24aと、第1洗浄液供給源24bとを備える。第1洗浄液供給ノズル24aは、ノズルアーム30に保持される。
【0034】
第1洗浄液供給ノズル24aは、第1洗浄液供給ライン24cを介して第1洗浄液供給源24bに接続される。第1洗浄液供給ノズル24aは、第1洗浄液供給源24bから第1洗浄液が供給され、第1洗浄液をウェハWの上面に吐出する。第1洗浄液は、例えば、ギ酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸や、ウェハWの被めっき面を腐食させない程度の濃度に希釈されたフッ化水素(DHF)などである。
【0035】
リンス液供給部25は、リンス液供給ノズル25aと、リンス液供給源25bとを備える。リンス液供給ノズル25aは、ノズルアーム30に保持される。
【0036】
リンス液供給ノズル25aは、リンス液供給ライン25cを介してリンス液供給源25bに接続される。リンス液供給ノズル25aは、リンス液供給源25bからリンス液が供給され、リンス液をウェハWに吐出する。リンス液は、例えば、純水である。
【0037】
第2洗浄液供給部26は、基板保持部21に保持されたウェハW(基板の一例)の下面に向けて第2洗浄液(洗浄液の一例)を供給する。第2洗浄液供給部26(洗浄液供給部の一例)は、基板保持部21に保持された洗浄用治具40の下面に向けて第2洗浄液(洗浄液の一例)を供給する。第2洗浄液は、例えば、リンス液であり、純水である。以下では、第2洗浄液をリンス液として説明する。
【0038】
第2洗浄液供給部26は、第2洗浄液供給ノズル26aと、第2洗浄液供給源26bとを備える。第2洗浄液供給ノズル26aは、ノズル保持部(不図示)によって保持される。第2洗浄液供給ノズル26aは、第2洗浄液供給ライン26cを介して第2洗浄液供給源26bに接続される。
【0039】
第2洗浄液供給ノズル26aは、第2洗浄液供給源26bからリンス液が供給され、第2洗浄液をウェハWの下面、または洗浄用治具40の下面に吐出する。第2洗浄液供給ノズル26aは、径方向内側から、径方向外側へ斜め上方に向けてリンス液を吐出するように設けられる。なお、第2洗浄液供給ノズル26aは、リンス液供給源25bからリンス液が供給されてもよい。
【0040】
加熱部27は、板状であり、円形状に形成される。加熱部27は、内部にヒータ27aを備える。加熱部27(蓋体の一例)は、後述する加熱位置において、基板保持部21によって保持されたウェハW(基板の一例)、または基板保持部21によって保持された洗浄用治具40の上面を覆うように設けられる。加熱部27は、めっき液が供給されたウェハWを上面側から加熱する。加熱部27は、ウェハWに液盛りされためっき液を加熱し、ウェハWの上面にめっき膜を形成する。加熱部27の直径は、ウェハWの直径よりも大きい。また、加熱部27の直径は、回収カップ28の開口径よりも小さい。なお、加熱部27は、円環状であってもよい。
【0041】
加熱部27は、アーム31を介して支持部32に取り付けられる。アーム31は、モータや、シリンダなどの移動機構(不図示)によって、支持部32を中心に回動可能であり、また、上下方向に沿って移動可能である。
【0042】
例えば、回動モータ(不図示)で発生した回転がアーム31に伝達されると、加熱部27は、アーム31と共に回動する。加熱部27は、第2退避位置と第2上昇位置との間を回動する。第2退避位置は、回収カップ28よりも径方向外側となる位置であり、基板搬送装置17(図1参照)と、基板保持部21との間でウェハWの受け渡しが可能となる位置である。第2上昇位置は、ウェハWの上方を覆う位置であり、例えば、加熱部27が基板保持部21と略同軸上となる位置である。図2では、第2上昇位置にある加熱部27、およびアーム31を実線で示す。
【0043】
また、加熱部27は、第2上方位置と、加熱位置との間を上下方向に沿って移動する。加熱位置は、第2上方位置よりも下方であり、ウェハWに液盛りされためっき液に接触しない位置である。加熱位置は、めっき液が液盛りされたウェハWを加熱する位置である。図2では、加熱位置にある加熱部27、およびアーム31を破線で示す。
【0044】
回収カップ28は、基板保持部21よりも径方向外側に設けられ、基板保持部21の周囲に設けられる。回収カップ28は、ウェハWから飛散した液、例えば、めっき液を受ける。回収カップ28は、洗浄用治具40から飛散したリンス液を受ける。回収カップ28によって回収された液は、ドレインライン28aを介して外部に排出される。なお、ドレインライン28aは、複数の経路を有しており、回収する液に応じて経路が切り替えられる。回収カップ28は、ウェハW、または洗浄用治具40を保持した基板保持部21、および加熱部27が上下方向に沿って移動可能となるように、上方が開口している。
【0045】
<洗浄用治具>
次に、洗浄用治具40の構成について図3図6を参照し説明する。図3は、実施形態に係る洗浄用治具40の構成を示す平面図である。図4は、実施形態に係る洗浄用治具40の図3のIV-IVにおける断面図である。図5は、実施形態に係る洗浄用治具40の図3のIV-IVにおける断面図である。図6は、実施形態に係る洗浄用治具40の図3のIV-IVにおける断面図である。
【0046】
洗浄用治具40は、板部41と、少なくとも1つの壁部42と、少なくとも1つの羽根部43とを備える。
【0047】
板部41は、ウェハWと同じ外形状であり、例えば、円形である。例えば、板部41の直径は、ウェハWの直径と等しい。板部41は、基板保持部21に保持される板部41には、少なくとも1つの孔44が形成される。孔44は、第2洗浄液供給部26(洗浄液供給部の一例)から吐出されたリンス液(洗浄液の一例)を加熱部27(蓋体の一例)に向けて通過させるように設けられる。孔44は、例えば、円形に形成される。
【0048】
板部41には、複数の孔44が形成される。具体的には、板部41には、4つの孔44が形成される。4つの孔44は、例えば、板部41の周方向に対して等間隔に形成される。すなわち、4つの孔44は、板部41の周方向に90度の間隔で形成される。なお、孔44の数は、これに限られることはなく、1つでもよく、2つ、または3つであってもよい。孔44の数は、5つ以上であってもよい。
【0049】
壁部42は、第2洗浄液供給部26から吐出されて孔44を通過したリンス液(洗浄液の一例)が衝突するように形成される。具体的には、壁部42は、孔44よりも径方向外側の板部41から加熱部27(蓋体の一例)側に延びるように形成される。例えば、壁部42は、板部41に対して直交するように形成される。壁部42は、複数設けられる。壁部42は、例えば、2つ設けられる。壁部42は、板部41の中心に対して対向する孔44の近傍に設けられる。なお、壁部42の数は、これに限られることはなく、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0050】
以下では、板部41に形成された複数の孔44のうち、孔44の近傍に壁部42が形成される孔44を「第1孔44a」と称し、孔44の近傍に壁部42が形成されない孔44を「第2孔44b」と称する場合がある。
【0051】
羽根部43は、洗浄用治具40がチャンバ20内で回転することによって、洗浄用治具40の上方に旋回流を発生させる。羽根部43は、板部41から加熱部27(蓋体の一例)側に延びるように形成される。羽根部43は、板部41の径方向に沿って延びるように設けられる。羽根部43は、2つの孔44の間の板部41から、斜め上方に延びるように形成される。羽根部43は、板部41に対して傾斜する傾斜面45を有する。傾斜面45は、洗浄用治具40の回転方向において上流側の面に形成される。羽根部43は、例えば、複数設けられる。羽根部43は、例えば、4つ設けられる。なお、羽根部43の数は、これに限られることはなく、1つでもよく、2つ、または3つであってもよい。羽根部43の数は、5つ以上であってもよい。
【0052】
<めっき処理>
次に、実施形態に係るめっき処理について図7を参照し説明する。図7は、実施形態に係るめっき処理を説明するフローチャートである。
【0053】
基板処理装置1は、搬入処理を行う(S10)。具体的には、基板処理装置1は、基板搬送装置17によって、ウェハWをチャンバ20に搬入し、ウェハWを基板保持部21によって保持する。基板保持部21は、ウェハWの下面を吸着し、ウェハWを水平に保つ。
【0054】
基板処理装置1は、洗浄処理を行う(S11)。具体的には、基板処理装置1は、基板保持部21を回転させてウェハWを回転させつつ、第1洗浄液供給ノズル24aから洗浄液を吐出し、ウェハWの洗浄を行う。なお、洗浄処理、および以下で説明する各処理におけるウェハWの回転速度は、処理毎に調整される。各処理におけるウェハWの回転速度は、処理中に変更されてもよい。
【0055】
基板処理装置1は、第1リンス処理を行う(S12)。具体的には、基板処理装置1は、ウェハWを回転させつつ、リンス液供給ノズル25aからリンス液を吐出し、ウェハWに残存する洗浄液を洗い流す。また、基板処理装置1は、第2洗浄液供給ノズル26aからリンス液を吐出し、ウェハWの下面を洗浄する。
【0056】
基板処理装置1は、めっき処理を行う(S13)。具体的には、基板処理装置1は、ウェハWを回転させつつ、めっき液供給ノズル23aからめっき液を供給する。これにより、ウェハWには、めっき液が液盛りされる。
【0057】
基板処理装置1は、ウェハWにめっき液が液盛りされた後に、加熱部27を加熱位置まで降下させて、ウェハWに液盛りされためっき液を加熱する。なお、基板処理装置1は、加熱部27の加熱位置を変更して、めっき液を加熱してもよい。また、基板処理装置1は、不活性ガス供給部(不図示)を設け、不活性ガス供給部によって不活性ガスをチャンバ20に吐出した後に、加熱部27によってめっき液を加熱してもよい。また、基板処理装置1は、ウェハWの回転を停止し、めっき液を加熱してもよい。
【0058】
基板処理装置1は、第2リンス処理を行う(S14)。具体的には、基板処理装置1は、加熱部27を退避位置まで移動させた後に、ウェハWを回転させつつ、リンス液供給ノズル25a、および第2洗浄液供給ノズル26aからリンス液を吐出し、ウェハWをリンス液によって洗浄する。
【0059】
基板処理装置1は、乾燥処理を行う(S15)。具体的には、基板処理装置1は、ウェハWの回転速度を上昇させて、ウェハWに残存するリンス液を振り切り、ウェハWを乾燥させる。
【0060】
基板処理装置1は、搬出処理を行う(S16)。具体的には、基板処理装置1は、ウェハWの回転を停止し、基板搬送装置17によって、ウェハWをチャンバ20から搬出する。
【0061】
上記するめっき処理を行うことで、加熱部27に、めっき液の蒸気や、ミストなどが付着する。そのため、実施形態に係る基板処理装置1は、以下で説明する加熱部洗浄処理を行う。
【0062】
<加熱部洗浄処理>
次に、実施形態に係る加熱部洗浄処理について図8を参照し説明する。図8は、実施形態に係る加熱部洗浄処理を説明するフローチャートである。加熱部洗浄処理は、例えば、所定枚数のウェハWにめっき処理を行った後に行われる。加熱部洗浄処理は、例えば、めっき処理の累積時間が所定時間となった後に行われてもよい。また、加熱部洗浄処理は、作業者などの操作、例えば、メンテナンスモードにおける洗浄操作ボタンの操作によって、任意のタイミングによって行われてもよい。
【0063】
基板処理装置1は、搬入処理を行う(S20)。具体的には、基板処理装置1は、基板搬送装置17によって、洗浄用治具40をチャンバ20に搬入し、洗浄用治具40を基板保持部21によって保持する。基板保持部21は、洗浄用治具40の板部41の下面を吸着し、洗浄用治具40を水平に保つ。
【0064】
基板処理装置1は、洗浄処理を行う(S21)。具体的には、基板処理装置1は、加熱部27を加熱位置まで降下させて、洗浄用治具40を回転させつつ、第2洗浄液供給ノズル26aからリンス液を吐出する。第2洗浄液供給ノズル26aから吐出されたリンス液は、洗浄用治具40の孔44を通過し、洗浄用治具40の板部41よりも上方に供給される。なお、基板処理装置1は、加熱部27の位置を加熱位置に対して変更してもよい。また、基板処理装置1は、加熱部27の位置を変更しながら、第2洗浄液供給ノズル26aからリンス液を吐出してもよい。
【0065】
洗浄用治具40の第1孔44aを通過したリンス液は、図4において破線の矢印で示すように、壁部42に衝突し、径方向内側に向けて供給される。径方向内側に向けて供給されたリンス液は、加熱部27の中心側に衝突し、拡散する。これによって、径方向内側の加熱部27が、リンス液によって洗浄される。
【0066】
洗浄用治具40の第2孔44bを通過したリンス液は、図5において破線の矢印で示すように、径方向外側に向けて供給される。径方向外側に向けて供給されたリンス液は、加熱部27の外周側に衝突し、拡散する。これによって、径方向外側の加熱部27が、リンス液によって洗浄される。このように、リンス液は、径方向において広範囲の加熱部27に供給され、広範囲の加熱部27を洗浄する。
【0067】
洗浄用治具40が回転することによって羽根部43に当たったリンス液は、加熱部27の広範囲に拡散される。そのため、リンス液は、径方向において広範囲の加熱部27に供給され、広範囲の加熱部27を洗浄する。
【0068】
また、洗浄用治具40が回転することによって羽根部43によって旋回流が形成され、リンス液のミストが拡散される。そのため、リンス液は、広範囲の加熱部27を洗浄する。
【0069】
図8に戻り、基板処理装置1は、乾燥処理を行う(S22)。具体的には、基板洗浄装置は、第2洗浄液供給ノズル26aによるリンス液の吐出を停止し、洗浄用治具40を回転させる。例えば、基板洗浄装置は、洗浄用治具40の回転速度を、洗浄処理における回転速度よりも大きくする。洗浄用治具40が回転することによって羽根部43によって旋回流が発生し、加熱部27、およびチャンバ20内を乾燥させる。
【0070】
基板処理装置1は、搬出処理を行う(S23)。具体的には、基板処理装置1は、洗浄用治具40の回転を停止し、基板搬送装置17によって、洗浄用治具40をチャンバ20から搬出する。
【0071】
<効果>
基板処理装置1は、基板保持部21と、回転駆動部22と、加熱部27(蓋体の一例)と、基板搬送装置17(搬送機構の一例)と、第2洗浄液供給部26(洗浄液供給部の一例)と、制御部18とを備える。基板保持部21は、ウェハW(基板の一例)を保持する。回転駆動部22は、基板保持部21を回転させる。加熱部27は、基板保持部21によって保持されたウェハWの上面を覆う。基板搬送装置17は、洗浄用治具40を基板保持部21に搬送する。第2洗浄液供給部26は、基板保持部21に保持された洗浄用治具40の下面に向けてリンス液(洗浄液の一例)を供給する。制御部18は、回転駆動部22を制御することによって、基板保持部21を回転させる。洗浄用治具40には、第2洗浄液供給部26から吐出されるリンス液を加熱部27に向けて通過させる孔44が少なくとも1つ形成される。
【0072】
これにより、基板処理装置1は、孔44を通過するリンス液を加熱部27の下面に当てることによって、加熱部27をリンス液によって効率的に洗浄することができる。例えば、基板処理装置1は、加熱部27の下面をリンス液によって効率的に洗浄することができる。
【0073】
また、基板処理装置1は、基板保持部21に洗浄用治具40を保持させた状態で、リンス液を供給し、加熱部27を洗浄する。基板保持部21によってウェハWを保持する箇所、例えば、基板保持部21のバキュームチャックの吸着面にリンス液などが付着すると、基板保持部21におけるウェハWの保持力が低下するおそれがある。基板処理装置1は、リンス液によって加熱部27を洗浄する場合に、基板保持部21の吸着面にリンス液が付着することを防止し、基板保持部21におけるウェハWの保持力の低下を防止することができる。
【0074】
洗浄用治具40は、板部41と、少なくとも1つの壁部42とを備える。板部41は、基板保持部21に保持される。壁部42は、板部41から加熱部27側に延びる。壁部42は、孔44を通過したリンス液が衝突するように形成される。
【0075】
これにより、基板処理装置1は、リンス液を壁部42に衝突させて、加熱部27の広範囲にリンス液を拡散することができる。そのため、基板処理装置1は、加熱部27を効率的に洗浄することができる。
【0076】
壁部42は、板部41に対して直交するように形成される。
【0077】
これにより、基板処理装置1は、径方向中心側の加熱部27にリンス液を供給することができ、径方向中心側の加熱部27を洗浄することができる。そのため、基板処理装置1は、加熱部27を効率的の洗浄することができる。
【0078】
洗浄用治具40は、板部41と、少なくとも1つの羽根部43とを備える。羽根部43は、板部41から加熱部27側に延びる。
【0079】
これにより、基板処理装置1は、羽根部43に衝突するリンス液を拡散させることができる。基板処理装置1は、羽根部43によって旋回流を発生させることによって、リンス液を拡散させることができる。そのため、基板処理装置1は、加熱部27の広範囲にリンス液を供給することができ、加熱部27を効率的に洗浄することができる。また、基板処理装置1は、リンス液の供給を停止した後に、洗浄用治具40を回転させることによって、羽根部43によって旋回流を発生させ、旋回流によってチャンバ20内を早期に乾燥させることができる。
【0080】
基板処理装置1は、めっき液供給部23を備える。めっき液供給部23は、基板保持部21に保持されたウェハWの上面にめっき液を供給する。第2洗浄液供給部26は、基板保持部21に保持されるウェハWの下面に向けてリンス液を供給する。
【0081】
これにより、基板処理装置1は、ウェハWの下面を洗浄する第2洗浄液供給部26を用いて、加熱部27を洗浄することができる。すなわち、基板処理装置1は、加熱部27の下面を洗浄するためのリンス液供給装置を別途設けずに、既存の装置によって加熱部27を洗浄することができる。
【0082】
<変形例>
変形例に係る洗浄用治具50の孔51は、例えば、図9に示すように、洗浄用治具50の周方向、具体的には板部41の周方向に沿って形成されてもよい。図9は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具50の構成を示す平面図である。これにより、変形例に係る基板処理装置1は、孔51を通過するリンス液の流量を多くすることができ、加熱部27の洗浄効率を向上させることができる。
【0083】
変形例に係る洗浄用治具60の羽根部61は、例えば、図10に示すように、第1傾斜面62と、第2傾斜面63とを備えてもよい。図10は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具60における羽根部61の断面を示す図である。第1傾斜面62は、板部41に対して第1角度θ1を有する。第2傾斜面63は、板部41に対して第2角度θ2を有する。第2角度θ2は、第1角度θ1よりも大きい。
【0084】
変形例に係る基板処理装置1の回転駆動部22は、第1回転方向、および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に基板保持部21を回転可能である。すなわち、変形例に係る基板処理装置1は、洗浄用治具60を正逆回転させることができる。洗浄用治具60が第1回転方向に回転する場合に、第1傾斜面62は、第2傾斜面63よりも回転方向において上流側に位置する。洗浄用治具60が第2回転方向に回転する場合に、第2傾斜面63は、第1傾斜面62よりも回転方向において上流側に位置する。
【0085】
変形例に係る基板処理装置1は、加熱部洗浄処理における洗浄処理時に、基板保持部21を第1回転方向に回転させる。変形例に係る基板処理装置1は、第1傾斜面62によって形成される旋回流によってリンス液を拡散させる。また、変形例に係る基板処理装置1は、第1傾斜面62に衝突するリンス液を拡散させる。変形例に係る基板処理装置1は、第1傾斜面62によってリンス液を上方に向けて拡散させることができ、リンス液によって加熱部27を効率よく洗浄することができる。
【0086】
変形例に係る基板処理装置1は、加熱部洗浄処理における乾燥処理時に、基板保持部21を第2回転方向に回転させる。変形例に係る基板処理装置1は、第2傾斜面63によって旋回流を発生させる。変形例に係る基板処理装置1は、第1回転方向の回転によって発生する旋回流よりも流速が大きい旋回流を第2傾斜面63によって発生させることができ、チャンバ20内を効率よく乾燥させることができる。
【0087】
変形例に係る基板処理装置1は、めっき処理においてウェハWの下面にリンス液を供給するノズルと、加熱部洗浄処理においてリンス液を供給するノズルとを異なるノズルとしてもよい。例えば、めっき処理においてウェハWの下面にリンス液を供給するノズルと、加熱部洗浄処理においてリンス液を供給するノズルとは、リンス液を吐出する吐出角度が異なる。これにより、変形例に係る基板処理装置1は、各処理において適切な吐出角度によって、リンス液を吐出することができる。
【0088】
変形例に係る洗浄用治具70の壁部71は、板部41に対して傾斜するように形成される。壁部71は、図11に示す第1壁部72、および図12に示す第2壁部73の少なくとも1つを含む。図11は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具70の第1壁部72の断面を示す図である。図12は、実施形態の変形例に係る洗浄用治具70の第2壁部73の断面を示す図である。図11、および図12は、図3のIV-IVに対応する位置における断面図である。第1壁部72は、上端が洗浄用治具70の径方向内側に向くように形成される。第2壁部73は、上端が洗浄用治具70の径方向外側に向くように形成される。
【0089】
なお、壁部71は、第1壁部72と、第2壁部73とを含んでもよい。壁部71は、板部41に対して直交する壁部42(図4参照)、第1壁部72、および第2壁部73の2つ以上を含んでもよい。
【0090】
変形例に係る基板処理装置1は、第1壁部72、および第2壁部73の少なくとも1つによって、リンス液を広範囲に拡散させることができ、加熱部27を効率的に洗浄することができる。
【0091】
変形例に係る基板処理装置1は、異なるチャンバによって、めっき液の液盛り、およびめっき液の加熱を行ってもよい。また、変形例に係る基板処理装置1は、めっき処理を行う装置に限られることはなく、ウェハWに各種処理液を供給して処理を行う装置であってもよい。
【0092】
上記した実施形態、および変形例は、組み合わせて適用することができる。例えば、洗浄用治具40は、洗浄用治具40の周方向に孔51が形成され、羽根部43は、第1傾斜面62と、第2傾斜面63とを備えてもよい。例えば、洗浄用治具40は、洗浄用治具40の周方向に孔51が形成され、壁部42は、第1壁部72、および第2壁部73の少なくとも1つを含んでもよい。
【0093】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 基板処理装置
4 制御装置
16 処理ユニット
17 基板搬送装置(搬送機構)
18 制御部
20 チャンバ
21 基板保持部
22 回転駆動部
23 めっき液供給部
24 第1洗浄液供給部
25 リンス液供給部
26 第2洗浄液供給部(洗浄液供給部)
27 加熱部(蓋体)
40、50、60、70 洗浄用治具
41 板部
42、71 壁部
43、61 羽根部
44、51 孔
45 傾斜面
62 第1傾斜面
63 第2傾斜面
72 第1壁部
73 第2壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12